JP4555150B2 - 静電潜像担持体 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、静電記録などに用いられる静電潜像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「光導電性絶縁体」と称することもある)に関する。
電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、一様に帯電された感光体上に、画像データにより変調された書込光を照射して、感光体上に静電潜像を形成し、該静電潜像が形成された感光体に現像手段によりトナーを供給してトナー画像を感光体上に形成する。次いで、感光体上のトナー画像を転写手段で記録媒体(記録紙)に転写した後、定着手段で記録媒体上に転写したトナーを加熱及び加圧して定着させ、感光体表面に残留したトナーをクリーニングブレードにより掻き取って回収する。
このような電子写真方式を利用した画像形成装置においては、感光体として有機光導電性物質を含む有機感光体が最も広く用いられている。前記有機感光体は、可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと、等が他の感光体に対して有利な点である。しかし、前記有機感光体は、機械的強度が弱く、長期間使用することで感光層が摩耗し、該感光層が一定量削り取られると、感光体の電気特性が変化して、適正な作像プロセスを行えなくなるという問題がある。この感光体の摩擦は、前記作像プロセスにおいて、感光体と他の作像部である現像手段や転写手段等の接触する部位の全てにおいて発生する。
このため、感光層の摩耗を低減することにより感光体寿命を向上させることが検討されており、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、感光体の表面保護層として、コロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂を用いることが提案されている。しかし、前記コロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂の表面層は耐摩耗特性は改善されるが、繰り返し使用時の電子写真特性が不十分であり、カブリや画像ボケが発生しやすく、また、近年要求される高寿命感光体としての耐久性に対しては不十分である。
また、特許文献2及び特許文献3には、有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を硬化性有機ケイ素系高分子中に結合させた樹脂層を表面に有する感光体が提案されている。しかし、この感光体の樹脂層は、画像ボケが発生しやすく、実用化のためには、ドラムヒーター等の機構を搭載するなどして画像ボケの発生を抑制する必要があり、装置の大型化、コストアップを招いている。また、露光部の残留電位低減が不十分であり、帯電電位を抑えて作像する低電位現像プロセスにおいては、画像濃度の低下などが問題となる。
また、特許文献4には、電荷輸送性付与基を有する硬化性シロキサン樹脂を三次元網目構造状に硬化させる方法が提案されている。しかし、この提案の方法では、体積収縮に起因すると考えられる塗膜の亀裂が生じることがあり、特に、安価で取り扱いの容易な市販のコーティング剤との組み合わせでは、上記問題が発生する。また、露光部の残留電位に膜厚依存性があり、低電位現像プロセスにおける画像濃度低下が問題となる。また、電荷輸送性付与基の含有量を増加すると、塗膜強度が低下し、十分な耐久性が得られないことがある。更に、画像ボケを引き起こすことがあり、長期間繰り返し、良好な画像が出力される電子写真感光体を、安価にかつ容易に得ることは困難である。
また、特許文献5には、複数のポリオールとポリイソシアネートを架橋重合させたウレタン樹脂により保護層を形成する方法が提案されている。しかし、この提案の方法は、耐摩耗性はかなり良好な結果を示すが、露光部の残留電位に膜厚依存性があるために、特に低電位現像プロセスにおいては、保護層の厚膜化が困難となることが予想される。また電荷輸送性物質を架橋重合させた構成においても、露光部電位の膜厚依存性は解消されておらず、露光部の残留電位低減効果は不十分であるといえる。
また、近年、高画質化の要求から、球形の重合トナーが実用化されつつあるが、該重合トナーは、一般的に、従来の粉砕トナーと比較してウレタンゴム製クリーニングブレードによるクリーニングが困難であることが知られている。そのため、クリーニングブレードの当接圧を高くして、トナー除去性を向上する方法などが用いられているが、このような方法は、感光体の摩耗を促進するため、重合トナーを用いた電子写真プロセスでは、より耐摩耗性の高い静電潜像担時体が求められている。
しかしながら、このような高い耐摩耗性と良好な電子写真特性を有し、長期間にわたって安定した画像形成を行うことができる高耐久な静電潜像担持体及びその関連技術は、未だ得られておらず、その速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開平6−118681号公報 特開平9−124943号公報 特開平9−190004号公報 特開2000−171990号公報 特開2004−117766号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い耐摩耗性と良好な電子写真特性を有し、長期間にわたって安定した画像形成を行うことができる高耐久な静電潜像担持体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
(1)支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有する静電潜像担持体であって、
前記静電潜像担持体の最表面層が、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、
前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が前記熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、
記導電性微粒子次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種であり、その少なくとも1種はアンチモン酸亜鉛(ZnSb )であり、かつ前記導電性微粒子の体積平均粒径は0.01〜1μm、前記最表面層における含有量は1〜65質量%であり、
前記熱硬化性バインダー樹脂が、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して形成される硬化性シロキサン樹脂を含む、
ことを特徴とする静電潜像担持体。
この構成によれば、高い耐摩耗性と良好な電子写真特性を有し、長期間にわたって安定した画像形成を行うことができる高耐久な静電潜像担持体が提供される。
(2)前記感光層が、支持体上に、電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に有する積層型感光層である前記(1)に記載の静電潜像担持体。
(3)前記感光層上に保護層を有し、該保護層が最表面層である前記(1)または(2)に記載の静電潜像担持体。
(4)前記保護層の厚みが1〜20μmである前記(3)に記載の静電潜像担持体。
)最表面層が、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子以外の微粒子を含有し、かつ該微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、及び酸化スズから選択される少なくとも1種である前記(1)から()のいずれかに記載の静電潜像担持体。
)MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子の最表面層における含有量が、微粒子全量に対し10〜100質量%である前記()に記載の静電潜像担持体。
)最表面層における架橋性官能基を有する電荷輸送物質(D)と、熱硬化性バインダー樹脂(R)との混合質量比(D/R)が1/10〜15/10である前記(1)から()のいずれかに記載の静電潜像担持体。
なお、参考例として、前記熱硬化性バインダー樹脂が(i)アルキッド樹脂及び熱硬化性アクリル樹脂の少なくともいずれかと、メラミン樹脂及びグアナミン樹脂の少なくともいずれかとを含むもの、(ii)熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むものを挙げることができる。
また、本発明によれば、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電潜像担持体を用いる画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジも提供することができる。こうした画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジは次ぎの(14)〜(28)に記載のものである。
(14)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記静電潜像担持体が、前記(1)から()のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
この構成によれば、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
(15)画像形成装置が、静電潜像担持体表面に当接し、該静電潜像担持体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を有する前記(14)に記載の画像形成装置。
(16)静電潜像形成手段が、帯電器と、露光器とを有し、該帯電器が静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電する前記(14)または(15)に記載の画像形成装置。
(17)前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップを付与する手段によって非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電する前記(16)に記載の画像形成装置。
(18)画像形成装置が、静電潜像担持体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有する前記(14)から(17)のいずれかに記載の画像形成装置。
(19)前記潤滑性付与剤が、金属石鹸である前記(18)に記載の画像形成装置。
(20)金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種である前記(19)に記載の画像形成装置。
(21)前記トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する前記(14)から(20)のいずれかに記載の画像形成装置。
(22)前記トナーが、少なくとも活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させ、前記有機溶剤を除去して得られる前記(14)から(21)のいずれかに記載の画像形成装置。
(23)前記トナーの平均円形度が0.93〜1.00である前記(14)から(22)のいずれかに記載の画像形成装置。
(24)画像形成装置が、複数色のトナーを順次重ね合わせてカラー画像を形成する前記(14)から(23)のいずれかに記載の画像形成装置。
(25)画像形成装置が、少なくとも静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段を有する画像形成要素を複数備え、及び定着手段を備えたタンデム型である前記(14)から(24)のいずれかに記載の画像形成装置。
(26)画像形成装置が、静電潜像担持体上に形成されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えてなり、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する前記(14)から(25)のいずれかに記載の画像形成装置。
(27)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記静電潜像担持体が、前記(1)から()のいずれかに記載の静電潜像担持体であることを特徴とする画像形成方法。
この構成によれば、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
(28)静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、前記(1)から()のいずれかに記載の静電潜像担持体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
この構成によれば、利便性に優れ、長期間にわたって良好な画像を安定に形成することができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、耐摩耗性および電子写真特性に非常に優れ、かつ初期、及び実機ランニングによる耐久試験後においても、良好な画像を安定して出力することができる静電潜像担持体を提供することができる。
以下、本発明をさらに説明する。
(静電潜像担持体)
本発明の静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、保護層、中間層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記静電潜像担持体の最表面層は、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、かつ前記導電性微粒子が、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種である。
前記静電潜像担持体は、第一の形態では、支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
また、前記静電潜像担持体は、第二の形態では、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。なお、前記第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
前記単層型感光層では、最表面層としては感光層、又は該感光層上に形成された保護層が該当する。前記積層型感光層では、最表面層としては、電荷輸送層、又は該積層型感光層上に形成された保護層が該当する。
ここで、図1は、本発明の静電潜像担持体の模式断面図であり、支持体201上に感光層202を設けた構成のものである。また、図2、図3、図4、及び図5は、各々本発明の他の静電潜像担持体の層構成例を示すものであり、図2は、感光層が電荷発生層(CGL)203と、電荷輸送層(CTL)204より構成される機能分離型タイプのものである。図3は、支持体201と、機能分離型タイプの感光層の電荷発生層(CGL)203と、電荷輸送層(CTL)204の間に下引き層205を入れたものである。図4は、電荷輸送層204の上に保護層206を積層したタイプのものである。図5は、下引き層205と電荷発生層203との間に中間層207を設けたタイプのものである。なお、本発明の静電潜像担持体は、支持体201上に感光層202を少なくとも有していれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
<最表面層>
前記最表面層は、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含んでなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記導電性微粒子としては、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種を含む。前記金属元素Mとしては、Zn、In、Sn、Ti、Zrなどが挙げられ、Zn、Inが特に好ましい。
前記x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。前記導電性微粒子がZnSbの場合には、z:y:zは1:1.6〜2.4:5〜7である。前記導電性微粒子がInSbの場合には、z:y:zは1:0.02〜1.25:1.55〜4.63である。
前記MSb(ただし、Mは金属元素を表す。x、y、及びzは各元素のモル比を表す)で表される導電性微粒子としては、例えば、特許第3221132号公報に開示されているアンチモン酸亜鉛(ZnSb)、特許第3198494号公報に開示されているアンチモン酸インジウム(InSbO)、などが挙げられる。好ましくは、アンチモン酸亜鉛(ZnSb)である。
前記アンチモン酸亜鉛としては、例えば、導電性ゾル(セルナックスシリーズ、日産化学工業社製)として上市されており、コロイド状に溶媒に分散された状態で容易に入手可能である。また、粉体として入手される導電性微粒子を分散する方法としては、既存の分散方法を用いることができるが、例えば、マイクロフルイダイザー(MFI社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、などの高速液衝突分散方法が好適である。
ここで、一般的に、静電潜像担持体の最表面層に導電性微粒子を含有させると、該最表面層のバルク抵抗が小さくなり、表面の静電荷保持に対しては不利に働き、その結果、画像ボケを助長すると考えられている。しかし、前記MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子は、露光部の残留電位低減効果を発現しつつ、画像ボケを抑制するという効果を発揮する。また、無機フィラーであるために、耐摩耗性の向上も達成される。
この場合、前記MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子が、残留電位低減効果を発現しつつ、画像ボケを抑制する効果を発揮する理由は明確ではないが、該導電性微粒子は、イオン伝導のメカニズムではなく、電子伝導のメカニズムによって電荷移動が行われる物質であるために、環境の温湿度の影響を受けにくいことが考えられる。また、含有量当たりの残留電位低減効果が高いために、わずかな含有量でも大きな露光部電位低減効果が得られるため、最表面層のバルク抵抗をあまり下げることなく、所望の露光部電位に到達できることなどが、非常に効果的に作用していると考えられる。また、画像ボケが改善される現象については、粒径の非常に小さい導電性微粒子が最表面層に均一に分散することで、表面の静電荷が導電性微粒子付近に局在化し、表面上の静電荷の移動が抑制されるのではないかと考えられる。この効果によって、静電潜像のエッジがよりシャープに現像され、ボケが抑制された画像が得られると考えられる。
前記導電性微粒子の体積平均粒径は、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。前記導電性微粒子は、最表面層のバルク抵抗を低減する効果と、表面静電荷を局在化する効果とを有しており、これらの働きをより顕著に発現するのが上記体積平均粒径の範囲である。前記体積平均粒径が0.01μm未満であると、最表面層中に含まれる導電性微粒子の粒子間距離が小さくなり、表面の静電荷保持に対して不利になることがある。また、塗工液中で凝集して、粒径の不均一な二次粒子を形成しやすくなり、結果として、より大きな粒子として層中に局在化し、非露光部の帯電電位低下による異常画像、即ち露光部現像方式(ネガポジ方式)では、粒状地肌汚れとなり、非露光部現像方式(ポジポジ方式)では、白斑点の異常画像となってしまうことがある。一方、前記導電性微粒子の体積平均粒径が1μmを超えると、塗膜に対する導電性微粒子が大きすぎて、表面のレベリングが不十分となってしまうことがあり、電子写真感光体の表面粗さが大きくなり、例えば、ブレードクリーニング方式でのブレードの電子写真感光体表面への追従性が低下し、トナーのすり抜けによるクリーニング不良が発生してしまうことがある。特に、ブレードクリーニング性が比較的困難な球形トナーのクリーニングに対して、非常に不利になる。また、大きな粒子が保護層中に局在化することに起因する異常画像を、引き起こす可能性がある。
前記導電性微粒子の前記最表面層における含有量は、1〜65質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、残留電位低減効果が不十分になったり、耐摩耗性向上の効果が発現しないことがあり、65質量%を超えると、最表面層のバルク抵抗が低くなりすぎて、画像ボケが発生してしまったり、塗膜が脆くなってしまい、耐摩耗性が低下してしまうことがある。
前記静電潜像担持体の最表面層には、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子以外の微粒子を含有してもよい。
前記微粒子としては、例えば、フッ素樹脂微粒子(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)、シリコ−ン樹脂微粒子、グアナミンホルムアルデヒド樹脂微粒子、等の有機樹脂微粒子;銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物;チタン酸カリウム、窒化硼素等の無機微粒子;などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズは、電子写真感光体の電気特性への影響が少なく、耐摩耗性を著しく向上させることができるため、特に好ましい。
前記微粒子を併用する場合、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子の最表面層における含有量は、微粒子全量に対し10〜100質量%が好ましく、1〜65質量%が好ましい。前記導電性微粒子の含有量が10質量%より少ないと、導電性微粒子による残留電位低減効果、画像ボケ抑制効果が不十分となってしまう場合がある。
前記熱硬化性バインダー樹脂としては、架橋反応によって三次元編目構造を形成する硬化性樹脂を含むことが好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、(1)水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して形成される硬化性シロキサン樹脂、(2)アルキッド樹脂及び熱硬化性アクリル樹脂の少なくともいずれかと、メラミン樹脂及びグアナミン樹脂の少なくともいずれかとを含む樹脂、(3)熱硬化性ポリウレタン樹脂、などが挙げられる。
前記(1)の硬化性シロキサン樹脂を用いると、電子写真感光体の耐摩耗性を著しく向上させることができ、非常に有用である。該硬化性シロキサン樹脂は、アルコキシシリル基を有する化合物、その部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物を含み、必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤、アクリルポリマー等の重合体が添加された組成物を反応硬化させて得られる。得られる硬化性シロキサン系樹脂は、非常に高密度な三次元架橋構造を形成することから、耐摩耗性が著しく向上することが知られており、保護層のバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体の大幅な長寿命化が達成できる。その反面、膜厚依存性を有する著しい残留電位上昇が見られるが、本発明のような構成とすることで、硬化性シロキサン樹脂の高レベルな耐摩耗性と良好な静電特性を併せ持つ電子写真感光体が得られる。
前記アルコキシシリル基を含有する化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種が適宜選択使用される。なお、これらの化合物に、エポキシ基又はメタクリロイル基、あるいはビニル基を導入したものも使用可能である。
アルコキシシリル基を含有する化合物の部分加水分解縮合物は、アルコキシシリル基を含有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる公知の方法により製造可能である。
前記硬化性シロキサン樹脂の原料としては、市販品を用いることができ、具体的には、GR−COAT(ダイセル化学工業製)、Glass Resin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業製)、NSC(日本精化製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファイングラステクノロジー社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱化学製)、シリケート/アクリルワニスXP−1030−1(大日本色材工業製)、などが挙げられる。
前記(2)のアルキッド樹脂及び熱硬化性アクリル樹脂の少なくともいずれかと、メラミン樹脂及びグアナミン樹脂の少なくともいずれかとを含む熱硬化性樹脂は、三次元網目構造に架橋するため、耐摩耗性が高い良好な保護層を得ることができる。これらの樹脂は、多くのメーカーから多種多様なものが市販されており、下層(電荷輸送層)との接着性や、導電性微粒子の分散性などを考慮し、好適なものを選択して用いることが重要となってくる。
前記(3)の熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートを加熱架橋して得られるポリウレタン樹脂、であり、加熱架橋することで、耐摩耗性が高い保護層を形成するバインダー樹脂として好適に用いることができる。
これら熱硬化性樹脂は、一般的に残留電位上昇が著しく、膜厚依存性を有していることが知られている。即ち、該熱硬化性樹脂を用いた保護層は膜厚が大きくなると残留電位が著しく上昇し、異常画像を引き起こしてしまう場合がある。そのため、保護層の厚膜化が困難となり、感光体の長寿命化を阻害していた。また、架橋性官能基を有する電荷輸送物質を含有させ、熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合する方法も多数提案されているが、露光部残留電位の膜厚依存性を解消するには至っておらず、やはり保護層の厚膜化を困難なものとしていた。
しかしながら、本発明の電子写真感光体は、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子を含有しており、該保護層を厚膜化しても残留電位の上昇を抑えることができる。したがって、耐摩耗性の高い保護層を厚くすることで、さらなる高耐久性を獲得している。
また、保護層を厚くすることで高耐久性を獲得できれば、電荷輸送層の薄膜化、逆層感光層の長期間にわたる保護が可能となり、これらはいずれも高画質化に貢献する手段となる。すなわち、電荷輸送層を薄膜化することで、下層の電荷発生層で発生した電荷が表面に移動する際の拡散が小さくなるので、よりシャープな潜像を形成することができる。さらに、逆層の感光層は、電荷発生層が表面近傍に形成されているため、前記電荷輸送層の薄膜化よりも、さらに電荷の拡散が少なく、非常にシャープな潜像を形成することができると考えられるのである。
本発明の静電潜像担時体は、最表面層に架橋性官能基を有する電荷輸送物質を含有する。特に、分子中に2つ以上の官能基を有する多官能性物質は、熱硬化性バインダー樹脂と2つ以上の架橋点を形成しつつ架橋重合することが考えられるので、三次元網目構造を形成しやすく、より好ましい。架橋性官能基としては、熱硬化性バインダー樹脂が有する架橋性官能基との反応によって架橋するものであり、たとえば、硬化性シロキサン樹脂に含有させる場合、水酸基、メルカプト基、アミン基などの架橋性官能基を有する電荷輸送物質があげられ、熱硬化性ウレタン樹脂に含有させる場合、水酸基、イソシアネート基などを有する電荷輸送物質があげられる。
前記最表面層における電荷輸送物質(D)と、前記バインダー樹脂(R)との混合質量比(D/R)は、1/10〜15/10が好ましく、3/10〜10/10がより好ましい。前記電荷輸送物質が1/10未満であると、電荷輸送能が不十分となり、残留電位が上昇してしまうことがあり、15/10を超えると、バインダー樹脂成分が少なくなりすぎて、架橋反応による三次元網目構造の形成が阻害され、耐摩耗性が低下してしまうことがある。
また、バインダー樹脂成分が少なくなると、塗膜形成が困難になり、膜厚ムラや、電荷輸送物質の相溶性の悪化による結晶化、レベリング性の悪化など、塗膜品質が著しく悪くなってしまうことがある。
なお、前記最表面層には、更に必要に応じて、接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を添加することができる。
<複層型感光層>
前記複層型感光層は、上述したように、電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有し、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料と有機系材料とのいずれかを用いることができる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、などが挙げられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン又はトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン又はナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、電荷発生層形成用塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行うことができる。
前記電荷発生層形成用塗工液に用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、沸点が40℃〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールは、塗工後の乾燥が容易であることから特に好適である。
前記電荷発生層形成用塗工液は、上記有機溶媒中に前記電荷発生物質と、バインダー樹脂を分散、溶解して製造する。有機顔料を有機溶媒に分散する方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いた分散方法や、高速液衝突分散方法などが挙げられる。
前記電荷発生層の厚みに応じて、電子写真特性、特に光感度が変化し、一般的に厚みが厚いほど光感度が高くなる。従って、前記電荷発生層の厚みは、要求される画像形成装置のスペックによって好適な範囲に設定することが好ましく、電子写真方式の感光体として要求される感度を得るためには、通常、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質、などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
また、前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層が、静電潜像担持体の最表面層になる場合には、少なくとも該最表面層としての電荷輸送層中に、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、かつ前記導電性微粒子が、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種である。
前記電荷輸送層の厚みは、5〜100μmが好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5〜30μmがより好ましい。
<単層型感光層>
前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記単層型感光層が最表面層になる場合、少なくとも単層型感光層中に、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、かつ前記導電性微粒子が、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種である。
これにより、残留電位低減、耐摩耗性向上、画像ボケ抑制等の効果が得られる。
前記電荷発生物質、電荷輸送物質、熱硬化性バインダー樹脂、及び導電性微粒子としては、前述した材料を用いることができる。
キャスティング法により単層感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層感光層は、少なくとも、電荷発生物質と、熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、かかる単層感光層には、必要により、可塑剤を添加することもできる。
前記単層型感光層の厚みは、5〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。前記膜厚が5μm未満であると帯電性が低下することがあり、100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
−保護層−
前記感光層上に、保護層を設けてもよい。該保護層を感光層上に設けると該保護層が最表面層となるので、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、かつ前記導電性微粒子が、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種であり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記導電性微粒子としては、次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種が用いられる。
前記熱硬化性バインダー樹脂としては、前記最表面層と同様なものを目的に応じて適宜選択して用いることができる。
前記導電性微粒子としては、前記最表面層と同様なものを目的に応じて適宜選択して用いることができる。
前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質としては、前記最表面層と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記保護層における前記電荷輸送物質(D)と、前記バインダー樹脂(R)との混合質量比(D/R)は、1/10〜15/10が好ましく、3/10〜10/10がより好ましい。
前記保護層中には、さらなる耐摩耗性向上、電子写真感光体表面の摩擦係数低減の目的で、微粒子を添加してもよい。前記微粒子としては、前記最表面層と同じものを目的に応じて適宜選択して用いることができる。
また、前記保護層には、更に必要に応じて接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を加えてもかまわない。
前記保護層は、例えば、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ナイフ塗工等の常法の塗工方法を用いて前記感光層上に形成される。これらの中でも、量産性、塗膜品質などの面から浸漬塗工、スプレー塗工が特に好ましい。
前記保護層の厚みは、1〜20μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。前記保護層の厚みが1μm未満であると、耐久性が不十分となったり、電荷輸送層と保護層との界面による書き込み光の干渉が発生し、特にハーフトーン画像にモアレによる異常画像となって現れることがあり、20μmを超えると、残留電位の上昇を引き起こしてしまうことがある。
−支持体−
前記支持体としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電体又は導電処理をした絶縁体が好適であり、例えば、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属、又はそれらの合金;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属、あるいはIn、SnO等の導電材料の薄膜を形成したもの;樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙、などが挙げられる。
前記支持体の形状、大きさとしては、特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できるが、ベルト状の支持体を用いると、内部に駆動ローラ、従動ローラを設ける必要があるなど装置が複雑化したり、大型化する反面、レイアウトの自由度が増すなどのメリットがある。しかし、保護層を形成する場合は、該保護層の可撓性が不足して、表面にクラックとよばれる亀裂が入る可能性があり、それが原因で粒状の地肌汚れが発生することが考えられる。このため、支持体としては剛性の高いドラム状のものが好適である。
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
前記下引き層は、一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、などが挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
なお、前記下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えば、ゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層、Alを陽極酸化にて設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法により設けたもの、などを用いることもできる。
前記下引き層の厚み、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
前記静電潜像担持体(感光体)においては、必要に応じて前記支持体上に、接着性、電荷ブロッキング静を向上させるために中間層を設けてもよい。該中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
<トナー>
本発明の画像形成装置で用いるトナーとしては、材料、製法などについて特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕分級法、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させトナー母体粒子を形成させる、懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等がある。
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融及び混練し、粉砕、分級等することにより、前記トナーの母体粒子を得る方法である。なお、該粉砕法の場合、前記トナーの平均円形度を0.97〜1.0の範囲にする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いて前記トナーの母体粒子に付与することができる。
前記懸濁重合法は、油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤等を分散し、界面活性剤、その他固体分散剤等が含まれる水系媒体中で後に述べる乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化した後に、本発明におけるトナー粒子表面に無機微粒子を付着させる湿式処理を行えばよい。その際、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去したトナー粒子に処理を施すことが好ましい。
前記重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有すアクリレート、メタクリレートなどを一部に用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。
また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有するものを選ぶことによって粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
前記乳化重合法としては、水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナーを得る。その後、後述する無機微粒子の湿式処理を行えばよい。ラテックスとして懸濁重合法に使用されうる単量体と同様なものを用いればトナー粒子表面に官能基を導入できる。
本発明においては、これらの中でも、樹脂の選択性が高く、低温定着性が高く、また、造粒性に優れ、粒径、粒度分布、形状の制御が容易であるため、前記トナーとしては、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体中に乳化乃至分散させてトナーを造粒してなるものが好ましい。
前記トナー材料の溶解液は、前記トナー材料を溶媒中に溶解させてなり、前記トナー材料の分散液は、前記トナー材料を溶媒中に分散させてなる。
前記トナー材料としては、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、結着樹脂と、離型剤と、着色剤とを反応させて得られる接着性基材などを少なくとも含み、更に必要に応じて、樹脂微粒子、帯電制御剤などのその他の成分を含む。
−接着性基材−
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを少なくとも含み、更に公知の結着樹脂から適宜選択した結着樹脂を含んでいてもよい。
前記接着性基材の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1,000以上が好ましく、2,000〜10,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000が特に好ましい。
前記質量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材の貯蔵弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上であり、110〜200℃が好ましい。該(TG’)が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材の粘性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて1,000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下であり、90〜160℃が好ましい。該(Tη)が180℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
したがって、耐ホットオフセット性と低温定着性との両立を図る観点から、前記(TG’)は前記(Tη)よりも高いことが好ましい。即ち、(TG’)と(Tη)との差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。該差は大きければ大きいほどよい。
また、低温定着性と耐熱保存性との両立を図る観点からは、前記(TG’−Tη)は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、等が好適に挙げられる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、等が挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適に挙げられる。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が好ましい。
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプローラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1であるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の質量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。該質量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
即ち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させる。この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。前記試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。前記検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業株式会社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、前記検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、未変性ポリエステル樹脂(変性されていないポリエステル樹脂)が好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナー中に含有させると、低温定着性及び光沢性を向上させることができる。
前記未変性ポリエステル樹脂としては、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、等が挙げられる。該未変性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、即ち、互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。前記質量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあるので、上述したように前記質量平均分子量(Mw)が1,000未満である成分の含有量は、8〜28質量%であることが必要である。一方、前記質量平均分子量(Mw)が30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記未変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度としては、通常30〜70℃であり、35〜70℃がより好ましく、35〜50℃が更に好ましく、35〜45℃が特に好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5mgKOH/gが以上が好ましく、10〜120mgKOH/gがより好ましく、20〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が、5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、1.0〜50.0mgKOH/gが好ましく、1.0〜45.0mgKOH/gがより好ましく、15.0〜45.0mgKOH/gが更に好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナー材料に含有させる場合、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂)と、該未変性ポリエステル樹脂との混合質量比(重合体/未変性ポリエステル樹脂)が、5/95〜80/20が好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95を超えると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、20未満であると、光沢性が悪化することがある。
前記結着樹脂における前記未変性ポリエステル樹脂の含有量としては、例えば、50〜100質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%が更に好ましい。該含有量が50質量%未満であると、低温定着性や画像の光沢性が悪化することがある。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、帯電制御剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、等が挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−樹脂微粒子−
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられるが、これらの中でも、ビニル系樹脂が特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。
前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業株式会社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、(1)前記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、(2)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、(3)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法、(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適に挙げられる。
前記トナーとしては、例えば、公知の懸濁重合法、乳化凝集法、乳化分散法、などにより製造されるトナーが挙げられるが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む前記トナー材料を有機溶剤に溶解させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させ、前記有機溶剤を除去して得られるトナーが好適に挙げられる。
−トナー溶液−
前記トナー溶液の調製は、前記トナー材料を前記有機溶剤に溶解させることにより行う。
−−有機溶剤−−
前記有機溶剤としては、前記トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、等が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー材料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
−分散液−
前記分散液の調製は、前記トナー溶液を水系媒体中に分散させることにより行う。
前記トナー溶液を前記水系媒体中に分散させると、該水系媒体中に、前記トナー溶液からなる分散体(油滴)が形成される。
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記トナー溶液は、前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。
前記分散の方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速剪断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体(油滴)の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速剪断式分散機が好ましい。
前記高速剪断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
前記トナーの製造方法の一例として、前記接着性基材を粒子状に生成させてトナーを得る方法を以下に示す。
前記接着性基材を粒子状に生成させてトナーを造粒する方法においては、例えば、水系媒体相の調製、前記トナー溶液の調製、前記分散液の調製、前記水系媒体の添加、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成等)を行う。
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記トナー溶液の調製は、前記有機溶剤中に、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。また、トナー表面から1μm以内に無機酸化物粒子含有層を形成するため、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子を添加する。
なお、前記トナー材料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記トナー溶液を前記水系媒体相に添加する際に、該トナー溶液と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記分散液の調製は、先に調製した前記トナー溶液を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化乃至分散させることにより行うことができる。そして、該乳化乃至分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記トナー溶液を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記トナー溶液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記トナー溶液を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
前記乳化乃至分散により、前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等の前記トナー材料を前記有機溶剤に溶解乃至分散させて調製した前記トナー溶液を添加し、剪断力により分散させる方法、等が挙げられる。なお、前記分散の方法の詳細は上述した通りである。
前記分散液の調製においては、必要に応じて、前記分散体(前記トナー溶液からなる油滴)を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子株式会社製);フローラドFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フローラドFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クローライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クローライド類としては、例えば、アクリル酸クローライド、メタクリル酸クローライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
得られた分散液(乳化スラリー)から、有機溶剤を除去する。該有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、前記油滴中の前記有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。
前記有機溶剤の除去が行われると、トナー粒子が形成される。該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢、等が挙げられる。
前記トナーは、以下のような、体積平均粒径(Dv)、体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)、平均円形度、形状係数SF−1、SF−2、などを有していることが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、例えば、3〜8μmが好ましく、4〜7がより好ましく、5〜6が更に好ましい。ここで、体積平均粒径は、Dv=〔(Σ(nD)/Σn)1/3(式中、nは粒子個数、Dは粒子径である)と定義される。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像器における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、例えば、1.25以下が好ましく、1.00〜1.20がより好ましく、1.10〜1.20が更に好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.25以下であると、前記トナーの粒度分布が比較的シャープであり、定着性が向上するが、1.00未満であると、二成分現像剤では現像器における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、クリーニング性を悪化させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、1.20を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒径と個数平均粒子径との比(Dv/Dn)は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度測定器「マルチサイザーII」を用いて測定することができる。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.930〜1.000が好ましく、0.940〜0.99がより好ましい。
前記平均円形度が、0.930未満であると、球形から離れた不定形の形状のトナーとなり、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.98を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナーを含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)等を用いて計測することができる。
前記トナーにおける略球形状は、下記数式1で表されるトナーの球形(丸み)の程度を表す形状係数SF−1で表され、該形状係数SF−1は、トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの2乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
Figure 0004555150
ただし、前記数式1中、MXLNGは、トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長を表す。AREAは、トナーを二次元平面に投影してできる図形の面積を表す。
前記形状係数SF−1は、100〜180が好ましく、105〜140がより好ましい。
前記SF−1が100の場合にはトナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。前記SF−1の値が180を超えると、クリーニング性は向上するが、球形形状が大きくはずれるために、帯電量分布が広くなり地かぶりが多くなり画像品位が低下する。また、移動における空気の抵抗で、電界による現像及び転写が電気力線に忠実でなくなるために、細線間にトナーが現像され画像均一性が低下し、画像品位が低下することがある。
前記トナーの凹凸の程度は下記数式2で表される形状係数SF−2で表され、該形状係数SF−2は、トナーを二次元平面に投影してできる図形の周長PERIの2乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
Figure 0004555150
ただし、前記数式2中、PERIは、トナーを二次元平面に投影してできる図形の周長を表す。AREAは、トナーを二次元平面に投影してできる図形の面積を表す。
前記SF−2は100〜180が好ましく、105〜140がより好ましい。前記SF−2が100の場合にはトナー表面に凹凸が存在しないことを意味し、前記SF−2が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
ここで、前記形状係数SF−1及びSF−2は、例えば、走査型電子顕微鏡(S−800、日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3、ニレコ社製)に導入し、解析して、上記数式1及び数式2から計算により求めることができる。
また、前記トナーは、以下の形状規定によって表すことができる。略球形状のトナーの長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする)で規定するとき、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲であることが好ましい。(r2/r1)が0.5未満であると、真球形状から離れるため、ドット再現性および転写効率が劣り、高品位な画像が得られなくなってしまう場合がある。一方、(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなってしまうことが考えられる。特に、(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
前記トナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
(現像剤)
現像剤は、前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像器の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像器における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部である。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、本発明の前記静電潜像担持体を用いる。
静電潜像形成工程に適用される帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、ローラ端部にギャップテープ等のギャップを付与する手段を設け、該ギャップテープを介して静電潜像担時体に非接触に近接配置された帯電器などが挙げられる。
前記帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電器は、接触式の帯電器、ギャップを付与する手段によって非接触に近接配置された帯電器を用いることが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので好ましい。
前記帯電器が静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが、帯電ムラが低減されたり、帯電ローラの汚れに起因する帯電不良などに対する余裕度が大きく、メンテナンスフリーで用いることができるという大きなメリットがあり、特に好ましい。
静電潜像形成工程に適用される露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。
前記中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上10Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗を数Ωcm以上10Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にできる。
前記中間転写体の材質は、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、PC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PCのブレンド材料、ETFE/PATのブレンド材料、PC/PATのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミド、などが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にレジズレを生じにくいとの利点を有している。(2)上記のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を付与した2〜3層構成のベルトであり、これら2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因し発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。(3)ゴム及びエラストマーを用いたヤング率の比較的低いベルトであり、これらのベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じない利点を有している。また、ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止するので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
前記中間転写ベルトは、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、二次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けや用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために二次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
前記弾性ベルトは、次の目的で使用される。弾性ベルトは、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
前記弾性ベルトの樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン樹脂、クロロポリスチレン樹脂、ポリ−α−メチルスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。
前記弾性材ゴム、エラストマーとしては、例えば、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)、などが挙げられる。これらは、1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。
抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
表層材料、表層は弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性、二次転写性を高めるものが要求される。例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上又は粒径が異なるものの組み合わせを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
前記ベルトの製造方法は限定されるものではなく、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型,外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け,加硫研磨を行う方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。
前記弾性ベルトとして伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特定の製法に限定されるものではない。
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維、などが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の組み合わせ用いて、織布状又は糸状としたものも用いられる。
糸は1本又は複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
前記芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない、例えば、筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることから画像に伸び縮みが大きくなること等から厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
画像形成装置は、静電潜像担持体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有することが好ましい。前記潤滑性付与剤としては、金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置について、図を参照して説明する。
図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。この図6の画像形成装置は、本発明の前記静電潜像担持体(電子写真感光体)を用いた画像形成装置であり、ドラム状の感光体10と、帯電チャージャ3と、転写前チャージャ7と、転写チャージャ111と、分離チャージャ112と、クリーニング前チャージャ113と、イレーサ4と、画像露光部5と、現像ユニット6等を有する。
前記感光体10の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、各種チャージャとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド ステート チャージャ)、接触配置、又はギャップテープや端部に段差を設けるなどのギャップ付与手段によって静電潜像担時体との間にギャップを有して近接配置された帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。
近接配置された帯電ローラは、接触配置された帯電ローラと比較して、帯電ムラが低減されたり、帯電ローラの汚れに起因する帯電不良などに対する余裕度が大きく、メンテナンスフリーで用いることができるという大きなメリットがある反面、印可電圧を高くしなければならないなど、電子写真感光体表面に対するハザードが大きく、従来の高分子バインダーを用いる最表面層(電荷輸送層又は保護層)に対して、著しい摩耗を引き起こしていた。また、近接配置された帯電ローラは、直流電圧の印可だけでは放電が不安定になり、画像濃度ムラなどにつながるため、直流電圧に交流電圧を重畳印可することが望ましい。
その結果、電子写真感光体表面へハザードは非常に高くなるため、電子写真感光体寿命が短くなり、コストアップやメンテナンス頻度の増加などの不具合が発生していたが、本発明の電子写真感光体は、該帯電手段においても、ほとんど摩耗することがなく、安定して帯電が行われる。その上、露光部の残留電位低減、画像ボケ抑制も達成されているため、長期間の繰り返し使用時においても、安定して良好な画像を出力することができる。
転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図示するような転写チャージャと分離チャージャとを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図6に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光を照射することができる。
現像ユニット6により感光体10上に現像されたトナーは、レジストローラ8を経て搬送された記録媒体9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体10上にトナーが残存する。このような残存トナーがクリーニングされずに、次の複写プロセスが行われる場合、帯電不良や露光による潜像形成時の不具合が発生してしまう。そのため、一般的にはクリーニング手段を用いて残留トナーを除去する必要がある。クリーニング手段としては、クリーニングブラシ114又はブレード115単独又は組み合わせて行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングブレード115は、摩擦係数の低い弾性体としては、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー、などが挙げられる。このクリーニングブレード115としては、熱硬化性のウレタン樹脂が好ましく、特に、ウレタンエラストマーが、耐摩耗性、耐オゾン性、耐汚染性の観点から好ましい。エラストマーには、ゴムも含まれる。クリーニングブレード115は、硬度(JIS−A)が、65〜85度の範囲が好ましい。また、クリーニングブレード15は、厚さが0.8〜3.0mmで、突き出し量が3〜15mmの範囲にあることが好ましい。更に、その他の条件として当接圧、当接角度、食い込み量等は適宜決定することができる。
このような静電潜像担持体(電子写真感光体)に当接するクリーニング手段は、トナー除去性能は高いが、当然のことながら、電子写真感光体に機械的ハザードを与え、電子写真感光体表面層の摩耗を引き起こす。
本発明の静電潜像担持体は、保護層の耐摩耗性が著しく高いため、表面に当接するクリーニング手段を有する画像形成装置においても、安定して良好な画像を出力することができる。
図示を省略しているが、本発明の画像形成装置には、電子写真感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する機構を備えていてもよい。特に、近年、電子写真の高画質化に有利とされている球形トナーの実用化が進んでいるが、球形トナーは、従来の粉砕型のトナーと比較して、ブレードクリーニングが困難であることが知られている。そのため、クリーニングブレードの当接圧を強めたり、硬度の高いウレタンゴムブレードを用いるなどの対策が行われている。
これらの方法はブレードが当接する電子写真感光体表面に対するハザードが大きくなる傾向であり、実際、球形トナーを用いると、電子写真感光体の表面摩耗量は増加する傾向にあることが分かってきている。本発明の電子写真感光体は、耐摩耗性が非常に高いため、上記のようなハザードが大きい条件においても、保護層が摩耗することはほとんどないが、対クリーニングブレードの摩擦係数が高いことに起因すると考えられるブレード鳴き、ブレードエッジの摩耗などの不具合を発生させることがあった。
そこで、本発明の画像形成装置においては、電子写真感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を備えることによって、クリーニングブレードに対する電子写真感光体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減することができ、上記不具合を解消することができる、画像形成装置、及び画像形成方法を得ることができる。
図7は、潤滑性付与剤塗布手段を備えたクリーニングユニットを示す図であり、クリーニングユニット117では、潤滑性付与剤116を棒状にした固形物をクリーニングブラシ114に押し当てており、該クリーニングブラシ114が回転する際に潤滑性付与剤を掻き取り、ブラシに付着した潤滑性付与剤が感光体表面に塗布される仕組みとなっている。前記潤滑性付与剤は固形である必要はなく、液体や粉体、半練り状でも、感光体表面に塗布することができ、電子写真特性を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記潤滑性付与剤としては、前記のように例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;カルナウバ、ラノリン、木ろう等のワックス類;シリコーンオイル等の潤滑性オイル;などが挙げられる。これらの中でも、棒状に加工することが比較的容易で、潤滑性付与効果が高い点から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
図7に示す潤滑性付与剤塗布手段をクリーニングユニット117に備えることで、ドラム周りのレイアウト設計が容易になったり、装置を簡略化することができるなどのメリットがある反面、クリーニングされたトナーに潤滑性付与剤が多量に混入するためトナーリサイクルが困難になったり、ブラシのクリーニング効率が低下するなどの不具合が発生する場合もある。また、図示を省略しているが、潤滑性付与剤塗布手段を有した塗布ユニットをクリーニングユニットと別に独立して設けることで、上記不具合を解消することもできる。その場合、塗布ユニットは、クリーニングユニットの下流に設けることが好ましい。更に、塗布ユニットを複数箇所に設け、それらを同時、又は順次働かせることで、潤滑性付与剤の塗布効率を高めたり、消費量をコントロールするなどの効果を持たせることができる。
図8は、本発明による画像形成装置を用いた別のプロセスの例を示す概略図である。この図8において、感光体122は、本発明の前記静電潜像担持体であり、駆動ローラ123により駆動され、帯電チャージャ220による帯電、像露光光源121による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ帯電器125を用いる転写、クリーニングブラシ126によるクリーニング、除電光源127による除電が繰返し行われる。
図9は、本発明の電子写真感光体を適用したフルカラー画像形成装置の概略構成図である。図9において、感光体156は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ153によって一様帯電せしめられた後、図示しないレーザ光学装置から発せられるレーザ光Lの走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム156上にはイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。
感光体ドラム156の図9中左側には、リボルバ現像ユニット250が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム156に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを付着せしめて静電潜像を現像するものである。感光体ドラム156上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成され、これらはリボルバ現像ユニット250の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
前記現像位置よりも感光体ドラム156の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ159a、転写手段たる中間転写バイアスローラ157、二次転写バックアップローラ159b、ベルト駆動ローラ159cによって張架している中間転写ベルト158を、ベルト駆動ローラ159cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめる。感光体ドラム156上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像は、感光体ドラム156と中間転写ベルト158とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ157からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト158上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。このような中間転写ベルトを用いてトナー像を重ね合わせる中間転写方式は、電子写真感光体と中間転写体との相対的な位置決めが比較的容易でかつ正確に行えるため、色ずれに対して有利であることから、高画質なフルカラー画像を得るには有効な手段であるといえる。
そして、回転に伴って中間転写ニップを通過した感光体ドラム156表面は、ドラムクリーニングユニット155によって転写残トナーがクリーニングされる。このクリーニングユニット155は、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラによって転写残トナーをクリーニングするものであるがファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシや、クリーニングブレードなどを用いるものであってもよい。
転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム156表面は、除電ランプ154によって除電せしめられる。除電ランプ154には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
中間転写ユニットの図9中下側には、転写ベルトと転写バイアスローラ、駆動ローラ等各種ローラからなる転写ユニットが配設されており、これの図9中左側には、搬送ベルト164、定着ユニット165が配設されている。転写ユニットは、無端移動する転写ベルトは、図示しない移動手段によって、図9中上下方向に移動するようになっていてもよく、少なくとも、中間転写ベルト158上の1色トナー像(イエロートナー像)や、2色又は3色重ね合わせトナー像が紙転写バイアスローラ163との対向位置を通過する際には、中間転写ベルト158に接触しない位置まで待避移動する。そして、中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像の先端が紙転写バイアスローラ163との対向位置に進入してくる前に、中間転写ベルト158との接触位置まで移動して二次転写ニップを形成する。
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体160を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対161は、記録媒体160を中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ163からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体160上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体160上にはフルカラー画像が形成される。
そして、フルカラー画像が形成された記録媒体160は、転写ベルト162によって紙搬送ベルト164に送られる。
搬送ベルト164は、転写ユニットから受け取った記録媒体160を定着装置165内に送り込む。
定着装置165は、送り込まれた記録媒体160を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。
記録媒体160上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて記録媒体160上に定着せしめられる。
なお、図示を省略しているが、転写ベルト162や搬送ベルト164には、記録媒体165を吸着させるためのバイアスが印加されている。また、記録媒体160を除電する紙除電チャージャや、各ベルト(中間転写ベルト158、転写ベルト162、搬送ベルト164)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット155と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト158上の転写残トナーをクリーニングする。
図10は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。
図10に示すタンデム画像形成装置120は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図11中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。
現像器61は、現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に付着する攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着したトナーを感光体10に転移する現像部67とで構成されている。図11では、2成分現像剤を用いている。攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68が設けられている。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切られている。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。一方、現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体10と対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設ける。そして、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持し、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りする。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
他方、現像スリーブ65上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体10に転移してその感光体10上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナー補給する。
次に、1次転写装置62は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで感光体10に押し当てて設ける。
像担持体クリーニング装置63は、クリーニングブレード75を備えるとともに、外周を感光体10に接触して導電性のファーブラシ76を矢示方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79を設ける。そして、感光体10に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体10上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に回転してバイアスを印加する電界ローラ77で取り除く。電界ローラ77は、スクレーパ78でクリーニングする。像担持体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で像担持体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
前記タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。更に、図10のプリンタは中間転写方式も採用しており、本発明の電子写真感光体を搭載することで、色ずれの少ない高品質なフルカラー画像を非常に高速に、長期間繰返し、安定して出力することができる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、本発明の前記静電潜像担持体とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図12に示すように、感光体101を内蔵し、帯電器102、露光器103、現像手段104、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。105は記録媒体、108は搬送ローラである。
前記感光体101としては、上述した本発明の前記静電潜像担持体を用いる。
露光器103には、高解像度で書き込みを行うことのできる光源が用いられる。
帯電器102には、任意の帯電部材が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
これにより、静電潜像担持体やその他プロセス部材の交換を短時間に、容易に行うことができるようになるので、メンテナンスに要する時間が短縮でき、コストダウンにつながる。また、プロセス部材と静電潜像担持体が一体となっているので、相対的な位置の精度向上などの利点もある。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。ただし、実施例3〜19、21〜28は参考例となるものである。
(製造例1)
−トナーの製造−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸276質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、160℃まで冷却した。これに32質量部の無水フタル酸を加えて、2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にて、イソホロンジイソシネート188質量部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。
次に、得られたプレポリマー(1)267質量部と、イソホロンジアミン14質量部とを50℃で2時間反応させ、質量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル樹脂(1)を得た。
次に、上記と同様にしてビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、及びテレフタル酸276質量部を常圧下、230℃で8時間縮合した。次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応させて、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル樹脂(a)を得た。
次に、ウレア変性ポリエステル樹脂(1)200質量部と変性されていないポリエステル樹脂(a)800質量部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解、混合し、トナーバインダー樹脂(1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。この一部減圧乾燥し、トナーバインダー樹脂(1)を単離した。ガラス転移温度(Tg)は62℃、酸価は10であった。
次に、ビーカー内に、前記トナーバインダー樹脂(1)の酢酸エチル/MEK溶液240質量部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20質量部、及びカーボンブラック10質量部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し、10分間攪拌した。次いで、この混合液を、攪拌棒、及び温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して一部溶剤を除去し、室温に戻してからTK式ホモミキサーを用いて12000rpmで攪拌を行い、トナーの形状を球形から変形させて、溶剤を完全に除去した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、母体トナー粒子を得た。
得られた母体トナー粒子100質量部に疎水性シリカ0.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、製造例1のトナーを作製した。
得られたトナーについて、以下のようにして平均円形度を測定したところ0.948であった。
<平均円形度の測定方法>
電解水溶液として、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製し、該電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分分散処理を行う。別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液粒子を所定の濃度になるように加え、懸濁液を作製した。得られた粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し解析する光学的検知帯の手法を用いた。この値はフロー式粒子像分析装置(FPIA−1000、東亜医用電子社製)により平均円形度を測定した。
(製造例2)
−トナーの製造−
製造例1において、ウレア変性ポリエステル樹脂(1)850質量部と、変性されていないポリエステル樹脂(a)150質量部とを、酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解し、混合させて、トナーバインダー樹脂(2)の酢酸エチル/MEK(1/1)溶液を得た。これの一部を減圧乾燥し、トナーバインダー樹脂(2)を単離し、得られたトナーバインダー樹脂(2)をトナーバインダー樹脂(1)の代わりに用いた以外は、製造例1と同様にして、製造例2のトナーを作製した。
得られたトナーについて、製造例1と同様にして平均円形度を測定したところ0.987であった。
(製造例3)
−トナーの製造−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343質量部、イソフタル酸166質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応した。次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14質量部を入れ、110℃にて5時間反応を行った。
次に、脱溶剤し、質量平均分子量98000のウレタン変性ポリエステル樹脂を得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363質量部、イソフタル酸166質量部を製造例1と同様に重縮合し、変性されていないポリエステル樹脂を得た。ウレタン変性ポリエステル樹脂350質量部と変性されていないポリエステル樹脂650質量部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、トナーバインダー(3)を合成した。
得られたトナーバインダー(3)100質量部、及びカーボンブラック8質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、連続式混練機で混練した。次いで、ジェット粉砕機で粉砕した後、気流分級機で分級し、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に疎水性シリカ1.0質量部と、疎水性酸化チタン0.5質量部をヘンシェルミキサーにて混合して、製造例3のトナーを作製した。
得られたトナーについて、製造例1と同様にして平均円形度を測定したところ0.934であった。
(実施例1)
−静電潜像担持体の作製−
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製)15質量部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製))10質量部を、メチルエチルケトン150質量部に溶解した。これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL、石原産業社製)90質量部を加え、ボールミルで12時間分散して、下引層用塗工液を調製した。
次に、得られた下引層用塗工液を直径30mmの円筒状アルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み3.5μmの下引き層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(XYHL、UCC社製)4質量部をシクロヘキサノン150質量部に溶解した。これに下記構造式(A)で表されるビスアゾ顔料10質量部を加え、ボールミルで48時間分散した。次いで、シクロヘキサノン210質量部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出して、固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈し、電荷発生層用塗工液を調製した。
得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0004555150
次に、テトラヒドロフラン100質量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10質量部、シリコーンオイル(KF−50、信越化学工業社製)0.002質量部、及び下記構造式(B)で表される電荷輸送物質7質量部を加えて溶解し、電荷輸送層用塗工液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗工法により塗工し、110℃にて20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0004555150
次に、シリコーンハードコート用塗料NSC1274(日本精化社製、固形分20質量%)9質量部にシクロヘキサノン18質量部、及びテトラヒドロフラン18質量部、下記構造式(C)の電荷輸送物質1.3質量部を加え攪拌した。次いで、アンチモン酸亜鉛ゾル(商品名;セルナックスCX−Z210、日産化学工業社製、固形分20質量%)1.5質量部を添加して、保護層用塗工液を調製した。
得られた保護層用塗工液は、アンチモン酸亜鉛ゾルが沈降するので、10分間の超音波照射を実施した後、ただちに電荷輸送層上にスプレー塗工法により塗工した。次いで、基体を回転させた状態で10分間放置して指触乾燥を行った後、130℃にて30分間加熱硬化して、厚み1μmの保護層を形成し、実施例1の静電潜像担持体を作製した。
また、超音波照射後のアンチモン酸亜鉛ゾルの体積平均粒径は、遠心式粒度分布測定装置(CAPA−700、堀場製作所製)で測定したところ、0.45μmであった。
Figure 0004555150
(実施例2)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、保護層の膜厚を3μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電潜像担持体を作製した。
(実施例3)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製、固形分50質量%)15質量部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG821−60、大日本インキ化学工業社製、固形分60質量%)10質量部をテトラヒドロフラン180質量部、及びシクロヘキサノン40質量部に加えて攪拌し、樹脂液Iを調製した。
次に、得られた樹脂液に、前記構造式(C)で表される電荷輸送物質9質量部と、実施例1のアンチモン酸亜鉛ゾル12.5質量部を添加して保護層用塗工液を調製した。
次に、得られた保護層用塗工液を用い、厚み5μmの保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電潜像担持体を作製した。
(実施例4)
−静電潜像担持体の作製−
実施例3において、保護層の膜厚を7μmとした以外は、実施例3と同様にして、実施例4の静電潜像担持体を作製した。
(実施例5)
−静電潜像担持体の作製−
実施例3において、アルキッド樹脂15質量部の変わりにポリオール樹脂(スチレン−アクリル共重合体LZR-170、藤倉化成社製、固形分41質量%)15質量部、メラミン樹脂10質量部の変わりにイソシアネート(スミジュールHT、住化バイエルン社製、固形分75質量%)25質量部、前記構造式(C)で表される電荷輸送物質を17質量部、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を22質量部にした以外は、実施例3と同様にして、実施例5の静電潜像担持体を作製した。
(実施例6)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を65質量部にした以外は、実施例5と同様にして、実施例6の静電潜像担持体を作製した。
(実施例7)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を160質量部にした以外は、実施例5と同様にして、実施例7の静電潜像担持体を作製した。
(実施例8)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を365質量部にした以外は、実施例5と同様にして、実施例7の静電潜像担持体を作製した。
(実施例9)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、保護層の膜厚を15μmとした以外は、実施例6と同様にして、実施例9の静電潜像担持体を作製した。
(実施例10)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、保護層の膜厚を22μmとした以外は、実施例6と同様にして、実施例10の静電潜像担持体を作製した。
(実施例11)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、ポリオール樹脂を(スチレン−アクリル共重合体LZR-170、藤倉化成社製、固形分41質量%)19質量部、イソシアネートを(スミジュールHT、住化バイエルン社製、固形分75質量%)12質量部、前記構造式(C)で表される電荷輸送物質を5質量部、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を35質量部にし、保護層の膜厚を15μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例11の静電潜像担持体を作製した。
(実施例12)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、ポリオール樹脂を(スチレン−アクリル共重合体LZR-170、藤倉化成社製、固形分41質量%)8.8質量部、イソシアネートを(スミジュールHT、住化バイエルン社製、固形分75質量%)8.6質量部、前記構造式(C)で表される電荷輸送物質を5質量部、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を24質量部にし、保護層の膜厚を15μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例12の静電潜像担持体を作製した。
(実施例13)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、ポリオール樹脂を(スチレン−アクリル共重合体LZR-170、藤倉化成社製、固形分41質量%)11質量部、イソシアネートを(スミジュールHT、住化バイエルン社製、固形分75質量%)3.5質量部、前記構造式(C)で表される電荷輸送物質を5質量部、下記構造式(D)で表される電荷輸送物質を5.5質量部、アンチモン酸亜鉛ゾル添加量を29質量部にし、保護層の膜厚を15μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例13の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0004555150
(実施例14)
−静電潜像担持体の作製−
実施例9において、電荷輸送物質を下記構造式(E)で表されるものとした以外は、実施例9と同様にして、実施例14の静電潜像担持体を作製した。
Figure 0004555150
(実施例15)
−静電潜像担持体の作製−
実施例10において、電荷輸送物質を前記構造式(E)で表されるものとした以外は、実施例10と同様にして、実施例15の静電潜像担持体を作製した。
(実施例16)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、アンチモン酸亜鉛ゾルの添加量を45質量部とし、更に、コロイダルシリカ(オルガノシリカゾルMEK−ST、日立化成工業社製、固形分30質量%)13質量部を加えた以外は、実施例6と同様にして、実施例16の静電潜像担持体を作製した。
(実施例17)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、アンチモン酸亜鉛ゾルの添加量を45質量部とし、更に、アルミナ微粒子(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製)5質量部を加えた以外は、実施例6と同様にして、実施例17の静電潜像担持体を作製した。
(実施例18)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、アンチモン酸亜鉛ゾルの添加量を45質量部とし、更に、ルチル型酸化チタン微粒子(タイペークCR-EL、石原産業社製)5質量部を加えた以外は、実施例6と同様にして、実施例18の静電潜像担持体を作製した。
(実施例19)
−静電潜像担持体の作製−
実施例6において、アンチモン酸亜鉛ゾルの添加量を45質量部とし、更に、酸化スズ微粒子(三菱マテリアル社製)5質量部を加えた以外は、実施例6と同様にして、実施例19の静電潜像担持体を作製した。
(実施例20)
−静電潜像担持体の作製−
実施例1において、保護層形成用塗工液を超音波を照射しないで作製した以外は、実施例1と同様にして、実施例20の静電潜像担持体を作製した。
なお、実施例20の保護層形成用塗工液中のアンチモン酸亜鉛粉末の体積平均粒径を実施例1と同様の条件で測定したところ、0.7μmであった。
(実施例21)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、アンチモン酸亜鉛ゾルを常温常湿環境下で溶媒を揮発させ、残留固形物を乳鉢と乳棒で砕き、粉末状にした。得られたアンチモン酸亜鉛粉末をアンチモン酸亜鉛ゾルの代わりに加え、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで分散し、保護層形成用塗工液を作製した以外は、実施例5と同様にして、実施例21の静電潜像担持体を作製した。
なお、実施例21の保護層形成用塗工液中のアンチモン酸亜鉛粉末の体積平均粒径を実施例1と同様の条件で測定したところ、1.2μmであった。
(実施例22)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、特開平7−144917号公報の実施例2に開示されている方法に基づき、アンチモン酸インジウムのメタノールゾル(固形分18質量%)を作製し、アンチモン酸亜鉛ゾルの代わりに添加した以外は、実施例5と同様にして、実施例22の静電潜像担持体を作製した。
(比較例1)
−静電潜像担持体の作製−
実施例5において、保護層にアンチモン酸亜鉛を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして、比較例1の静電潜像担持体を作製した。
(比較例2)
−静電潜像担持体の作製−
実施例9において、保護層にアンチモン酸亜鉛を添加しなかった以外は、実施例9と同様にして、比較例2の静電潜像担持体を作製した。
(比較例3)
−静電潜像担持体の作製−
実施例10において、保護層にアンチモン酸亜鉛を添加しなかった以外は、実施例10と同様にして、比較例3の静電潜像担持体を作製した。
(比較例4)
−静電潜像担持体の作製−
実施例10において、電荷輸送物質を前記構造式(B)で表される電荷輸送物質とした以外は、実施例10と同様にして、比較例4の静電潜像担持体を作製した。
次に、得られた各静電潜像担持体及び製造例1のトナーを用い、以下のようにして、感光体の摩耗量、画質評価、及び感光体表面電位を測定した。結果を表1に示す。
<感光体の摩耗量の測定>
得られた各静電潜像担持体、及び製造例1のトナーを、フルカラープリンター(IPSiO CX8200、株式会社リコー製)の改造機((1)クリーニングブレード当接圧を2倍にして、感光体の摩耗に対して負荷を加えた。(2)ステアリン酸亜鉛を溶融、固化したマルスバーをクリーニングブラシにばねで押し当てるように当接させ、クリーニングブラシを介して、感光体表面にステアリン酸亜鉛を塗布する機構を設けた。)に搭載した。
前記改造プリンターを用いて、非露光部電位(VD)が−600Vになるように帯電器の電圧を調節した後、波長660nmのレーザ露光によって、1200dpi相当、A4サイズ、画像面積率5%となるテスト画像を出力するランニング試験を5万枚行い、該ランニング試験前後の感光層の厚みを渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS、フィッシャー社製)を用いて、測定し、両者の差から、摩耗量を測定した。
<画像品質>
前記ランニング試験後のフォントサイズ2ポイント文字(約0.5mm角のサイズ)の画像品質について、評価を行った。
<感光体表面電位(VL)の測定>
黒ベタ画像を出力し、黒ベタに相当する全面露光部の露光後の感光体表面電位(VL)を、プローブを設置できるように改造した現像ユニットに、プローブを設置した表面電位計model344(トレック社製)を用いて測定した。
また、実施例23として、実施例6の静電潜像担持体と、製造例2のトナーとを用い、実施例1と同様にして、感光体の摩耗量、画質評価、及び感光体表面電位を測定した。
また、実施例24として、実施例6の静電潜像担持体と、製造例3のトナーとを用い、実施例1と同様にして、感光体の摩耗量、画質評価、及び感光体表面電位を測定した。
これらの結果も併せて表1に示す。
Figure 0004555150
(実施例25)
フルカラープリンター(IPSiO CX8200、株式会社リコー製)の改造機の変わりに、図10に示すようなタンデム中間転写方式のフルカラー複写機(ステアリン酸亜鉛塗布機構を有する)を用い、実施例6で作製した静電潜像担持体を搭載し、製造例1のトナーを用いて、前記実施例と同様のランニング評価を実施したところ、色ズレの少ない非常にシャープな画像を出力することができた。
(実施例26)
実施例25において、ステアリン酸亜鉛の代わりに、溶融固化したステアリン酸アルミニウムバーを用いた以外は、実施例25と同様にしてランニング評価を実施したところ、色ズレの少ない非常にシャープな画像を出力することができた。
(実施例27)
実施例25において、ステアリン酸亜鉛の代わりに、溶融固化したステアリン酸カルシウムバーを用いた以外は、実施例25と同様にしてランニング評価を実施したところ、色ズレの少ない非常にシャープな画像を出力することができた。
(実施例28)
実施例25において、ステアリン酸亜鉛の代わりに、溶融固化したカルナウバワックスバーを用いた以外は、実施例25と同様にして、ランニング評価を実施したところ、色ズレの少ない非常にシャープな画像を出力することができたが、出力枚数当たりのカルナウバワックスバーの消費量が金属石鹸よりもやや多かった。
本発明の静電潜像担持体は、耐摩耗性および電子写真特性に非常に優れ、かつ初期、及び実機ランニングによる耐久試験後においても、良好な画像を安定して出力することができるので、長期間にわたって高画質画像を形成可能な画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに好適に用いられる。
本発明の静電潜像担持体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本発明の静電潜像担持体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載した画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載した画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布機構の一例を示す概略構成図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載した画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載したフルカラー画像形成装置の概略構成図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載した画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。 図10に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 本発明の静電潜像担持体を搭載したプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
10 感光体
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 二次転写装置
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
50 中間転写体
60 帯電器
61 現像器
64 除電器
101 感光体
102 帯電器
103 露光器
104 現像手段
107 クリーニング手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
205 下引き層
206 保護層
207 中間層
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (7)

  1. 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有する静電潜像担持体であって、
    前記静電潜像担持体の最表面層が、少なくとも熱硬化性バインダー樹脂と、架橋性官能基を有する電荷輸送物質と、導電性微粒子とを含み、
    前記架橋性官能基を有する電荷輸送物質が前記熱硬化性バインダー樹脂と架橋重合し、
    記導電性微粒子次式、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される少なくとも1種であり、その少なくとも1種はアンチモン酸亜鉛(ZnSb )であり、かつ前記導電性微粒子の体積平均粒径は0.01〜1μm、前記最表面層における含有量は1〜65質量%であり、
    前記熱硬化性バインダー樹脂が、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して形成される硬化性シロキサン樹脂を含む、
    ことを特徴とする静電潜像担持体。
  2. 前記感光層が、支持体上に、電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に有する積層型感光層である請求項1に記載の静電潜像担持体。
  3. 前記感光層上に保護層を有し、該保護層が最表面層である請求項1または2に記載の静電潜像担持体。
  4. 前記保護層の厚みが1〜20μmである請求項3に記載の静電潜像担持体。
  5. 最表面層が、MSb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子以外の微粒子を含有し、かつ該微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、及び酸化スズから選択される少なくとも1種である請求項1からのいずれかに記載の静電潜像担持体。
  6. Sb(ただし、Mは、金属元素を表す。x、y、及びzは、各元素のモル比を表す。)で表される導電性微粒子の最表面層における含有量が、微粒子全量に対し10〜100質量%である請求項に記載の静電潜像担持体。
  7. 最表面層における架橋性官能基を有する電荷輸送物質(D)と、熱硬化性バインダー樹脂(R)との混合質量比(D/R)が1/10〜15/10である請求項1からのいずれかに記載の静電潜像担持体。
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