JP4554767B2 - ディップ成形用ラテックス組成物及びディップ成形物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディップ成形用ラテックス組成物、特に医療用手袋や電子部品製造時クリーンルームで使用される手袋などに要求される耐油性に優れ、機械的強度が高く、ピンホールがないという条件を満たし、しかもソフトな風合いを有するディップ成形物を容易且つ効率的に製造することができるディップ成形用ラテックス組成物およびそれから得られるディップ成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療、衛生、電子部品製造分野で使用する手袋、指サックなどのディップ成形物は、耐油性、機械的強度に優れ、ピンホールがなく、かつ肌に対する密着性が良好である必要がある。
ディップ成形法として、木材、ガラス、陶器、金属又はプラスチックなどから作られた型を予め凝固剤液に浸漬した後、天然ラテックス組成物や合成ゴムラテックス組成物に浸漬するアノード凝着浸漬法や、型をラテックス組成物に浸漬した後、凝固液に浸漬するティーグ凝着浸漬法などが知られており、これらのディップ成型法により得られる成形物がディップ成形物である。
ディップ成形物における、フィルムの厚さ、ピンホールの有無及び肌に対する密着性は大部分、ラテックス組成物および凝固液の組成に依存してくる。
従来ディップ成形法に用いるラテックスは主として天然ゴムラテックス、又は合成ゴムラテックスであるが、油脂或いは有機溶媒などに対する耐性が高いという理由でアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)ラテックスが好ましく用いられる。最近、使用者が天然ゴムラテックスを用いた場合に起こるアレルギーの発生により、NBRラテックスの使用がさらに多くなってきた。しかしながらNBRからディップ成形法により作られた成形物は耐油性に優れているものの、そのガラス転移温度(Tg)が高いため肌に対してソフトな風合いを持たせることは困難である。
そこで、NBR製造におけるブタジエン等の共役ジエン化合物の使用量を多くしたり、或いは天然ゴムとブレンドしたり、天然ゴムとNBRを積層化する方法もあるが、その場合は耐油性、或いは耐薬品性に乏しいものとなる。
【0003】
一方、耐油性に優れ、かつ肌に対してソフトな風合いを有するNBRフィルムを得るための方法として、例えば共重合体ラテックスの分子量とメチルエチルケトン不溶分を規定する方法(特開平5−247266号、特開平6−182788号)等が提案されているが、未だ十分にその目的が達成されたとは云えない。
このソフトな風合いとともに重要なことは、ピンホールの有無である。特に成形物が医療用のものである場合、ピンホールの存在は致命的である。このピンホールはラテックスに気泡が混入していたり、ラテックス組成物の凝固剤に対する化学的安定性が高すぎる、すなわちラテックス組成物の塩凝固性が低すぎたり、また、ラテックス組成物の型に対する濡れ性が不十分である場合などに発生し勝ちである。ラテックス組成物中への気泡の混入は、主としてラテックス合成時や配合剤をラテックスに添加する際の攪拌により起るが、一旦混入した気泡はラテックス組成物中の乳化剤等の作用により簡単には消えず、それが成形物のピンホールの原因の一つとなる。またラテックス組成物の凝固剤に対する塩凝固性が低すぎたり、ラテックス組成物の型に対する濡れ性が不十分である場合も成形物の膜厚が不均一となったり、ピンホール発生の原因ともなる。
また、成形物表面に粘着性が生じないようにすることも重要なことである。この粘着性とはディップ成形物を製造する際、成形物表面のベトツキにより、成形物同士がくっつく性質を云い、粘着性が生じると成形物の品質が低下し、商品価値が著しく低下することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は耐油性、機械的強度に優れ、膜厚が均一でしかもソフトな風合いを有し、ピンホールがなく、成形後表面に粘着性が生じないディップ成形物が得られるディップ成形用ラテックス組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの目的を達成すべく鋭意検討した結果、単量体混合物の乳化重合により得られる共重合体ラテックスに、特定量の炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩からなる破泡剤を配合し、望ましくはさらに炭素数5〜12のアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩および/またはアルキル基の炭素数が13〜20であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を配合することにより、破泡性及びラテックス組成物の型表面への濡れ性、ラテックス組成物の凝固剤に対する塩凝固性、さらには成形物の耐粘着性が著しく改善されることを見出し、この知見に基づいてさらに検討を重ね本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は
【0006】
(1)単量体混合物の乳化重合により得られる共重合体ラテックス(L)および単量体混合物100重量部に対し、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩からなる破泡剤(A)を0.05〜5.0重量部
式(1)
【化1】
(式中、R およびR は、同一または異なって、炭素数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩(B)を0.1〜5.0重量部およびアルキル基の炭素数が13〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩(C)を0.5〜10.0重量部を含有してなるディップ成形用ラテックス組成物。
(2)さらに単量体混合物100重量部に対し、増粘剤を0.01〜1.0重量部含有してなる(1)記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(3)単量体混合物の乳化重合が、ポリヒドロキシ化合物の存在下に行われる(1)記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(4)ポリヒドロキシ化合物がグリコール類である()記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(5)単量体混合物がその100重量部中に、シアン化ビニル系単量体15〜45重量部、共役ジエン系単量体35〜80重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜20重量部、及びこれらの単量体と共重合可能な他のエチレン系不飽和単量体0〜20重量部を含んでなるものである(1)または()記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(6)共重合体ラテックス(L)から得られる共重合物中のゲル分(メチルエチルケトン不溶分)が51〜90重量%である(1)記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(7)共重合体ラテックス(L)が、シアン化ビニル系単量体とそれと共重合可能なエチレン系不飽和単量体とを乳化重合して得られた平均粒子径20〜90nmで、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃であるシード重合物の存在下、単量体混合物の乳化重合により得られたものである(1)または()記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(8)破泡剤(A)がステアリン酸またはその塩を15〜50重量%含むものである(1)記載のディップ成形用ラテックス組成物。
(9)(1)〜()のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物からディップ成形法により製造されたディップ成形物。
(10)手袋である()記載のディップ成形物。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のディップ成形用ラテックス組成物の製造方法について説明する。
本発明においては、単量体混合物の乳化重合により得られる共重合体ラテックス(L)に、破泡剤(A)成分(B)および成分(C)が配合される。
本発明に用いられる共重合体ラテックス(L)は単量体混合物を乳化重合して得られるもので、得られる重合体がゴム状のものであれば用いられる単量体はどのようなものであってもよい。好ましい単量体混合物は、シアン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体を含み、さらに必要によりこれらの単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を含んでなるものである。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル等を挙げることができる。これらのシアン化ビニル系単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。このようなシアン化ビニル系単量体の使用量は、単量体混合物100重量部中、15〜45重量部、好ましくは23〜40重量部である。シアン化ビニル系単量体が15重量部よりも少ない時は、得られるディップ成形物の耐油性、耐薬品性が不十分となることがあり、一方、45重量部を超える時はシアン化ビニル系単量体と共役ジエン系単量体との共重合反応が進み難く、シアン化ビニル系単量のホモポリマーを生成することがある。
【0008】
共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等、従来、ラテックスの製造に通常用いられているものを挙げることができる。これらの共役ジエン系単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、特に1,3−ブタジエンが好ましく用いられる。
このような共役ジエン系単量体の使用量は、単量体混合物100重量部中、35〜80重量部、好ましくは45〜70重量部の範囲である。
共役ジエン系単量体の使用量が35重量部よりも少ないときはディップ成形物が硬い風合いのものとなることがあり、反対に80重量部よりも多いときは、ディップ成形物の強度が低くなることがある。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸や、それらの無水物、例えば、マレイン酸メチル、イタコン酸メチルなどのジカルボン酸のモノエステル、すなわち半エステルなどを挙げることができる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩としても用いることができる。これらのうち、特に、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられる。
【0009】
このようなエチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、単量体混合物100重量部中、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは3〜7重量部の範囲である。0.1重量部よりも少ないとき時はディップ成形物の強度が低下する場合があり、反対に20重量部よりも多いときは風合いが硬くなる場合がある。
上記単量体以外の共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド化合物、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、などのエチレン系不飽和アミン化合物などを挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
これらのエチレン系不飽和単量体の使用量は単量体混合物100重量部中、0〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
本発明においては、ディップ成形物フィルムの柔軟性を向上させるために共重合体ラテックス製造時にポリヒドロキシ化合物を存在させることができる。
ポリヒドロキシ化合物はディップ成形物にソフトな風合いを持たせるために用いられるが、その添加時期は共重合体ラテックスの重合開始時あるいは重合途中が好ましい。重合途中に加える場合、モノマーの転化率が高ければ高い程、ソフト化の効果は低下する傾向にあるので、好ましくは転化率が70%までに、さらに好ましくは50%までに加えるのが適当である。
かかるポリヒドロキシ化合物としては分子量1000以下のポリヒドロキシ化合物が好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジーオール、ピナコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール類、エリトリット、ペンタエリトリット、トレイット等の四価アルコール類、ソルビット等の六価アルコール類、蔗糖、その他、ポリエーテルポリオール類等が挙げられる。これらのうち時にグリコール類が好ましく、さらにプロピレングリコールが好ましい。ポリヒドロキシ化合物の使用量は単量体混合物100重量部当たり1〜10重量部の範囲が好ましく、さらには2〜7重量部の範囲が好ましい。
本発明の共重合体ラテックスを製造するには、従来より知られている乳化重合の方法、すなわち、例えば、水のような水性媒体中に単量体混合物、重合連鎖移動剤、重合開始剤、乳化剤などを加えて乳化重合を行う方法が挙げられる。
重合連鎖移動剤は、一般に乳化重合において知られている通常の連鎖移動剤を用いることができる。
【0011】
このような連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸またはその塩(例えば、メルカプト酢酸アンモニウムなど)、例えば、メルカプトコハク酸などのメルカプトジカルボン酸またはその塩(例えば、メルカプトジカルボン酸塩など)、例えば、2−メルカプトエタノール、などの分子内に水酸基を有するメルカプタン類、例えば、2−メルカプトエチルアミンなどの分子内にアミノ基を有するメルカプタン類、例えば、チオグリコール酸、3,3’−チオジプロピオン酸などの分子内にカルボキシル基を有するモノスルフィド類またはその塩、例えば、β−チオジグリコールなどの分子内に水酸基を有するモノスルフィド類、例えば、チオジエチルアミンなどの分子内にアミノ基を有するモノスルフィド類、例えば、ジチオジグリコール酸、2,2’−ジチオジプロピオン酸、などの分子内にカルボキシル基を有するジスルフィド類またはその塩、例えば、チオジグリコール酸無水物などのようにモノスルフィド類およびジスルフィド類の酸無水物、例えば、D−,L−またはDL−シスチンなどのように分子内にカルボキシル基とアミノ基を有するジスルフィド類、例えば、クロロメタノール、2−クロロエタノール、などの分子内に水酸基を有するハロゲン化炭化水素類、例えば、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、クロロマロン酸などの分子内にカルボキシル基を有するハロゲン化炭化水素類またはその塩、例えば、クロロマレイン酸無水物などのようにハロゲン化炭化水素類の酸無水物、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、などのモノチオール類、例えば、1,10−デカンジオール、トリグリコールジメルカプタンなどのジチオール、トリメチロールプロパントリスチオグリコレートなどのトリチオール、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、などのテトラチオールなど、分子内に少なくとも2つのメルカプト基を有するポリチオール、例えば、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、などのキサントゲンジスルフィド、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、などのチウラムジスルフィド、例えば四塩化炭素、四臭化炭素、などのハロゲン化炭化水素、例えば、メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸トリデシルエステルなどのメルカプトカルボン酸アルキルエステル、例えば、メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステルなどのメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル、例えば、オクタン酸2−メルカプトエチルエステルなどのカルボン酸メルカプトアルキルエステルおよびα−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等を挙げることができる。
【0012】
これらの連鎖移動剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。本発明においては、モノチオール、ポリチオール、キサントゲンジスルフィド、チウラムジスルフィド、メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン等が好ましく用いられる。
本発明において、これら連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100重量部あたり、通常、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部の範囲であり、最も好ましくは0.2〜10重量部である。
重合開始剤は、特に制限されるものではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、などの有機過酸化物、例えば、アゾイソブチロニトリルなどのアゾ系の開始剤等を用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、特に半減期10時間を得るための温度が100℃以上の過酸化物が好ましく用いられる。また、本発明において、上記した重合開始剤は、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄などの還元剤と組み合わせてなるいわゆるレドックス系重合開始剤としても用いることができる。本発明において、重合開始剤の使用量は、全単量体混合物100重量部当り、通常、0.01〜5重量部程度であり、好ましくは0.1〜3重量部程度である。
【0013】
乳化重合の際に用いられる乳化剤は、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩(A)、式(1)で示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩(B)およびアルキル基の炭素数が13〜20であるアルキルベンゼンスルホン酸塩(C)以外に、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキル基の炭素数が12以下であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウムなどのアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、α−スルホン化脂肪酸塩類等のアニオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などのアルキルベタイン型の塩、ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型のものなどを併用することができる。これらの乳化剤のうち、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルジフエニルエーテルジスルホン酸ジナトリウムが好ましく用いられる。これらの乳化剤の使用量は、全単量体混合物100重量部当たり、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
また、本発明の方法においては、必要に応じて、乳化重合をエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの分散剤や燐酸塩のような無機塩などの存在下に行ってもよい。
本発明の共重合体ラテックス(L)を製造する場合、通常0〜100℃の温度で、単量体の転化率が90%好ましくは95%以上に達するまで行われる。
乳化重合を40℃以下で行うと、ラテックスを安定に製造することができ、しかも機械的強度が高く、かつソフトな風合のディップ成型物が得られるので好ましい。
【0014】
乳化重合の方法として、単量体成分を一括して重合系に加える一括仕込方法のほか、単量体成分を分割して重合系に加えるモノマー分割仕込重合法やモノマー連続添加重合法を用いることもできる。
本発明の共重合体ラテックス(L)を製造する場合、シアン化ビニル系単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体を予め乳化重合して得られる平均粒子径が20〜90nmで、Tgが−50℃〜50℃であるシード重合物の存在下に乳化重合する方法が好ましく用いられる。
シード重合の際、用いるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル等を挙げることができる。これらのシアン化ビニル系単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。本発明においてはアクリロニトリルが好ましく用いることができる。また、このシアン化ビニル系単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては例えば、スチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド化合物、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、などのエチレン系不飽和アミン化合物、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン系単量体、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸や、それらの無水物、例えば、マレイン酸メチル、イタコン酸メチルなどのジカルボン酸のモノエステル、すなわち半エステルなどのエチレン系不飽和カルボン酸単量体などを挙げることができる。本発明においては、アクリル酸ブチルが特に好ましく用いられる。
【0015】
本発明によるシード重合物の製造において用いられる上記単量体混合物の使用量は共重合体ラテックス製造のために用いられる単量体混合物100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
シード重合物の製造のための乳化重合にはアニオン系およびノニオン系の界面活性剤が用いられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α−スルホン化脂肪酸塩類等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等を挙げることができる。これらのうち、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
上記界面活性剤の使用量はシード重合に用いる単量体混合物の合計量に対して1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
シード重合物の製造において、乳化重合をエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの分散剤やリン酸塩のような無機塩などの存在下に行ってもよい。
シード重合物の製造における重合開始剤としては、前記単量体混合物の乳化重合の際に用いられるものと同じものが使用でき、その使用量はシード重合に用いる単量体混合物の合計量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。
更に、本発明におけるシード重合物の製造においては、必要に応じて、メルカプタン類に代表される連鎖移動剤を用いてもよい。シード重合物の製造は、通常20〜80℃の温度で、単量体の転化率が90%、好ましくは95%以上に達するまで行われる
【0016】
また、シード重合物の平均粒子径は20〜90nm、好ましくは30〜80nmの範囲である。シード重合物の平均粒子径が20nmより小さい場合は、得られるラテックスの粒子径を均一にするには難しく、反対に90nmより大きい時は得られるラテックスの粒子径が大きくなりすぎ、単量体の転化率が90%、好ましくは95%以上に達するまで行う重合時間がかかり過ぎる。
さらに、シード重合物のTgは−50℃〜50℃好ましくは−30℃〜30℃の範囲である。−50℃より低い場合はディップ成型物の強度が低くなる場合があり、反対に50℃を超えるとディップ成型物の風合いが硬くなる場合がある。
このシード重合法は、重合安定性を改善することが出来、しかも、シード重合物の不存在下に乳化重合させる通常の方法と比べて、シード重合物によって、重合中の粒子数を制御することができるので、得られるラテックスの粒子径を自由に制御できる利点がある。
本発明に用いられる共重合体ラテックスの平均粒子径は80〜200nmであり、90〜180nmであることがさらに好ましい。平均粒子径が80nm未満ではラテックス粘度が上がり、ラテックスの輸送等に対して支障をきたす場合があり、200nmを超えると、共重合体ラテックスの乳化重合時、凝固物が発生しやすくなる。
【0017】
本発明に用いられる共重合体ラテックス(L)から得られる共重合体中のゲル分(メチルエチルケトン不溶分)の含有率は、51〜90重量%、好ましくは51〜80重量%である。ゲル分含有率が過多になると成形物が硬くなり過ぎて風合いが損なわれ、過小であるとラテックスのアルカリ増粘性が増大し、共重合体ラテックスの粘度が過度に上昇する恐れがある。
共重合体のゲル分含有率は、共重合体ラテックス(L)を乾燥して得られた共重合体フィルム片を秤量し、これをメチルエチルケトンに浸漬、濾過して不溶分の乾燥重量を秤量し、元のフィルムの乾燥重量に対する不溶分の乾燥重量の割合を求めることにより得られる。
また本発明に用いられる共重合体ラテックス(L)はそれを乾燥して得られる共重合体のメチルエチルケトン不溶分のスウェリングインデックス(SI)が10以上であることが望ましく、15以上であることがさらに好ましい。SIが10未満であると、ディップ成形物の強度が低くなることがある。
SIは、共重合体ラテックス(L)を乾燥して得られた共重合体フィルムをメチルエチルケトンに浸漬後濾過して湿潤重量を秤量し、その後乾燥重量を秤量して、その湿潤重量に対する乾燥重量の割合を計算することにより求められる。
【0018】
本発明に用いられる共重合体ラテックス(L)から得られる乾燥フィルムのテトラヒドロフランに可溶なゾル分のポリスチレン換算重量平均分子量は50,000〜300,000であり、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜100,000でかつ分散度が10以下であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満、あるいは数平均分子量が10,000未満では、ディップ成形物、特に薄膜ディップ成形物の膜厚が不均一になり且つ強度が低くなることがあり、重量平均分子量が300,000あるいは数平均分子量が100,000より大きいとディップ成型時の収縮が大きくなることがある。
さらに重量平均分子量に対する数平均分子量の割合すなわち分散度が10より大きくなると、ディップ成型時の収縮が大きくなり、かつ風合いが硬くなる傾向にある。
本発明において用いられる共重合体ラテックス(L)から得られるフィルムのテトラヒドロフランに可溶なゾル分の重量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した値である。具体的には共重合体ラテックスからフィルムを作製し、該フィルムをテトラヒドロフランに浸漬後、テトラヒドロフランに可溶なゾル分をゲルパーミエーションにより測定し、ポリスチレンに換算した値である。
【0019】
本発明に用いられる破泡剤(A)成分は、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩であり、脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、ノニル酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸またはオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。
これらの脂肪酸のうち、炭素数12〜20を有するものが好ましく、炭素数14〜18を有するものがさらに好ましい。
また、これらの塩を構成する元素としては特に限定されるものではないが、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属やアンモニウムが挙げられ、特にナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムが好ましく用いられ、さらに好ましく用いられるのはナトリウムである。
この破泡剤の使用量は単量体混合物100重量部当たり0.05〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、さらに好ましくは1〜2重量部である。0.05重量部よりも少ないとき時は型に対する濡れ性に劣ることがある。さらに、ラテックス組成物中に混入した泡が消えず、ディップ成形物にピンホールが発生する場合や粘着性が発生することもある。反対に5重量部よりも多いときは、ラテックス中に油成分が浮遊物として存在することがあり、加硫剤を配合してなるディップ成形用組成物の機械的安定性が損なわれることがある。
【0020】
また、破泡剤は混合脂肪酸塩であることが好ましく、特に炭素数18のステアリン酸またはその塩が15〜50重量%、さらに好ましくは30〜45重量%含まれていると耐油性、機械的強度に優れ、膜厚が均一でしかもソフトな風合いを有し、ピンホールのないディップ成形物が得られる。
これらの破泡剤は乳化重合時に用いても良く、あるいは乳化重合完了時(単量体混合物の転化率が95%以上に達したとき)に後添加として用いても良いが、乳化重合完了時に後添加として用いる方が効果的である。
【0021】
(B)成分は、式(1)
【化3】
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩である。
式中RおよびRで示される炭素数5〜12のアルキル基としては、例えば、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなど直鎖状のものや、1,3−ジメチルブチル、1−メチルアミルなど分枝状アルキルがあげられる。
式(1)の化合物のエステルの具体例としては、、例えば、ジ・nアミル、ジ・1―メチル・ブチル、ジ・2―メチル・ブチル、ジイソアミル、ジ1,3―ジメチル・ブチル基等アルキル基の合計炭素数が10のエステル、ジ・n―ヘキシル、ジ・1―メチル・アミル基等アルキル基の合計炭素数が12のエステル、ジ・n―ヘプチル、ジ・ジメチル・アミル、ジ・1―イソプロピル・イソブチル、ジ・1―プロピル・ブチル、ジ・1―メチル・ヘキシル基等アルキル基の合計炭素数が14のエステル、ジ・n―オクチル、モノ・ヘキシル・モノデシル、モノ・2―エチルヘキシル・モノ1―メチルペンチル、ジ・2―エチル・ヘキシル、ジ・1―メチル・ヘプチル基等アルキル基の合計炭素数が16のエステル、モノ・2―エチルヘキシル・モノ1―メチル・4―エチルヘキシル基等アルキル基の合計炭素数が17のエステル、ジ・n―ノニル、ジ・1―ブチル・アミル、ジ・イソブチルー3―メチルブチル、ジ・1―メチルー4エチルヘキシル基等アルキル基の合計炭素数が18のエステル、ジ・1―メチルー4エチルオクチル基等アルキル基の合計炭素数が22のエステル類が挙げられ、特に、ジ・n―オクチル、ジ・n―ノニル基が好ましい。
【0022】
また、式(1)においてMで示される金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、カドミウムなどの亜鉛族金属、錫、鉛などの炭素族金属、及びアンモニウムが挙げられ、特にナトリウム、カリウムが好ましく用いられる。
この式(1)で示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩の使用量は単量体混合物100重量部当たり0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部である。0.1重量部よりも少ないときは型に対する濡れ性に劣ることがあり、反対に5重量部よりも多いときは、ラテックス組成物に泡が発生し易くなる。
これらのアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩は乳化重合時に用いても良く、あるいは乳化重合完了時(単量体混合物の転化率が95%以上に達したとき)に後添加として用いても良い。
【0023】
(C)成分はアルキル基の炭素数13〜20であるアルキルベンゼンスルホン酸塩であり、そのアルキルベンゼンスルホン酸としては、例えばアルキル基の炭素数が14であるテトラデシルベンゼンスルホン酸、炭素数が15であるペンタデシルベンゼンスルホン酸、炭素数が16であるヘキサデシルベンゼンスルホン酸、炭素数が18であるオクタデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
これらのアルキルベンゼンスルホン酸のうち、炭素数13〜18のアルキル基を有するものが好ましく用いられ、さらに好ましくは炭素数14〜17のアルキル基を有するものが用いられる。また、これらの塩としては特に限定されるものではないが、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
これらの中で特にナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム塩が好ましく用いられ、さらに好ましくはナトリウム塩が用いられる。
このアルキルベンゼンスルホン酸塩の使用量は単量体混合物100重量部当たり0.5〜10重量部、好ましくは1.0〜7重量部、さらに好ましくは2.0〜5.0重量部である。0.5重量部よりも少ないときは共重合体ラテックス製造において、反応安定性が不充分であり、凝固物が生じる場合がある。また型に対する濡れ性に劣る場合もある。反対に10重量部よりも多いときは、ラテックス組成物中に混入した泡が消えず、その泡が原因となりディップ成形物にピンホールが発生する場合がある。
【0024】
また、本発明のディップ成形用ラテックス組成物の製造にpH調整剤が用いられるときは、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性物質が用いられる。
ディップ成形用ラテックス組成物のpHは通常5〜11、好ましくは7〜10の範囲である。このpH値が5より低いときは、得られるディップ成形用ラテックス組成物の機械的安定性が不十分となり、11を越えるとディップ成型物の強度が低くなることがある。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物に増粘剤を配合することにより、ディップ成形用組成物の粘性を向上することができる。増粘剤としては、例えばカゼイン、グルー、ゼラチン等の動物性増粘剤、アルギン酸塩、でんぷん、アラビヤガム等の植物性増粘剤、ベントナイト等の鉱物性増粘剤、ポリカルボン酸塩、アクリル共重合体、架橋型アクリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドポリエチレンオキシド等の高分子系増粘剤、カルボキシル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサントゲン酸セルロース、カルボキシル化でんぷん等の繊維素誘導体、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルピリジニウムブロマイド等のカチオン系増粘剤等が挙げられ、特に高分子系増粘剤が好ましく、カルボン酸含有架橋型アクリルエマルジョンがさらに好ましく用いられる。またこれらの増粘剤の使用量は単量体混合物100重量部当たり0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.1重量部である。本発明のディップ成形用ラテックス組成物の粘度が低い場合は型を浸積して引き上げた際、ラテックスのたれ現象が起る可能性があるが、これは組成物に増粘剤を添加することにより解決できる。しかしながら、増粘剤使用量が1.0重量部より多い時は、ディップ成形用ラテックス組成物の粘度が高くなり、(A)成分の破泡効果が発揮されず、泡によるピンホールの発生が起ることがある。
【0025】
本発明のディップ成形用ラテックス組成物を用いてディップ成形物を得るには、例えば直接浸漬法、アノード擬着浸漬法、ティーグ浸漬法など従来公知のディップ成形法がいずれも採用される。
以下に手術用手袋等の製造に適したアノード擬着浸漬法について簡単に説明する。
まず、型を凝固液に浸漬し、引き上げて型表面がほぼ乾燥した状態にする。凝固液は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム塩を、水、アルコール、ケトン等の親水性有機溶媒、あるいはこの両者の混合液に溶解させたものである。凝固液中のカルシウム塩の濃度は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。凝固液には必要に応じて例えば、ノニオン、アニオン界面活性剤などの界面活性剤、例えば炭酸カルシウム、タルク、シリカゲルなどの充填剤を配合してもよい。
ついで型をディップ成形用ラテックス組成物に浸漬し、引き上げて型上にラテックス組成物を付着させるとラテックス組成物は凝固剤と反応して型上にゴム状皮膜を形成する。この皮膜を水洗、乾燥した後型から剥離すればディップ成形物が得られる。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物には、必要に応じ、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックスなどのゴムラテックス、コロイド硫黄、チウラムジスルフィドなどの加硫剤、ジアルキルジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩などの加硫促進剤、亜鉛華、リサージ(PbO)、鉛丹(Pb)、酸化マグネシウムなどの加硫促進助剤、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、炭酸マグネシウムなどの充填剤、スチレン化フェノール、イミダゾール類、パラフェニレンジアミン等の老化防止剤、ファーストイエロー、フタロシアニンブルー、群青などの着色剤などを適宜配合してもよい。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、「部」および「%」は断りのない限り重量基準である。
使用原料
実施例および比較例で用いる原料のうち、破泡剤(A)、アルキルスルホコハク酸ジエステル塩(B)およびアルキルベンゼンスルホン酸塩(C)は、それぞれ〔表1〕〜〔表3〕に示す化合物または組成物を用いた。
【0027】
(1)破泡剤(A)成分の組成と消泡剤
【表1】
【0028】
(2)アルキルスルホコハク酸ジエステル塩(B)
【表2】
(3)アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)
【表3】
【0029】
(4)シード重合物(S)
下記〔表4〕に示される組成のうち、過硫酸カリウム以外の原料を反応容器に仕込み、60℃に昇温してから過硫酸カリウムを加え、撹拌下で1時間反応させた後30℃まで冷却してシード重合物のエマルジョン(s1)〜(s3)を得た。原料組成と得られたシード重合物のTg(℃)と粒子径を〔表4〕に示した。
【表4】
【0030】
実施例1
(1)共重合体ラテックス組成物の調製
窒素置換した5リットル容量のオートクレーブに1,3−ブタジエン59部、アクリロニトリル36部、メタクリル酸5部、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびt−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、硫酸第一鉄0.05部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、撹拌しながら、35℃にて反応させた。
18時間に亘って反応した後、重合転化率が95%以上に達した時点で、反応混合物を、アンモニア水を用いてpH8.5 ±0.2に調整した。さらに前記〔表1〕の破泡剤(A)成分組成表に示した(a1)組成物を1部添加した。
反応混合物に水蒸気を吹き込み、未反応単量体を除去し、さらにラテックスの固形分濃度を45%まで濃縮して、目的とする共重合体ラテックス組成物を得た。共重合体ラテックス組成物の組成と物性を〔表5〕に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
(2)ディップ成形用ラテックス組成物の調製
上記で得られた共重合体ラテックスに下記の配合剤を加え、ディップ成形用組成物を得た。
【0033】
(3)ディップ成形物の製造
別に凝固液として濃度15%の硝酸カルシウム水溶液を調製し、80℃で予備乾燥しておいた手袋用モールドを2秒間浸漬し、引き上げた後水平にして回転下に乾燥(80℃×2分)させた。引き続き、ディップ成形用組成物に手袋用モールドを2秒間浸漬した後、引き上げた後、水平にして回転下で乾燥(80℃×2分)させた。
次にその手袋用モールドを40℃の温水に3分間浸漬して、洗浄した後、130℃で20分間加熱処理して手袋用モールドの表面に固形皮膜物を得た。最後にこの固形皮膜物を手袋用モールドから剥がし、手袋形状のディップ成形物を得た。
このようにして得られたディップ成形物についての評価結果を〔表6〕に示す。
【0034】
実施例2〜9
〔表5〕に示す原料を用いて実施例1と同様の操作にてディップ成形物を得た。その評価結果を〔表6〕に示した。
比較例1
〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作にて、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤(A)成分は添加しなかった。
比較例2
〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作にて、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤(A)成分は(a1)を7部添加した。
比較例3
〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作にて、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤(A)成分は(a5)を7部添加した。
比較例4
〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作にて、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤(A)成分に代えて消泡剤(a7)を1部添加した。
比較例5
〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作にて、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤(A)成分に代えて消泡剤(a8)を1部添加した。
比較例1〜5で得られた共重合体ラテックス組成物を用いてそれぞれ実施例1と同様の操作にてディップ成形物を得、その評価結果を〔表6〕に示した。
【0035】
【表6】
〔表6〕から明らかなように(A)成分が配合された実施例1〜9のディップ成形用ラテックス組成物は、外観および塩凝固性に優れ、成形物は風合い、ピンホール、耐粘着性のすべてにおいて良好な結果が得られた。一方、(A)成分を配合しなかった比較例1、(A)成分以外の消泡剤を配合した比較例4および5のディップ成形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性が劣り、成形物のピンホールおよび耐粘着性のいずれにおいても難点があった。
また、(A)成分を過多に配合した比較例2および3の成形物は、耐粘着性はよいもののディップ成形用ラテックス組成物の外観および成形物のピンホールの点で劣るものであった。
【0036】
実施例10
(1)共重合体ラテックス組成物の調製
窒素置換した5リットル容量のオートクレーブに〔表4〕に示したシード重合物(s1)を全量添加し、1,3−ブタジエン65部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸5部、水100部、プロピレングリコール5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、〔表2〕に示した(B)成分表中の(b1)ナトリウム.ジヘキシルスルホサクシネート0.5部およびt−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、反応開始剤として硫酸第一鉄系0.05部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、撹拌しながら、35℃にて反応させた。
引き続き、実施例1と同様の操作を行い、共重合体ラテックス組成物を得た。
共重合体ラテックス組成物の組成と物性を〔表7〕に示した。
【0037】
【表7】
【0038】
(2)ディップ成形物の製造
実施例10で得られた共重合体ラテックス組成物を用いて、実施例1の(3)と同様の操作を行い、ディップ成形物を得た。その評価結果を〔表8〕に示した。
実施例11〜13
〔表7〕に示す原料を用いて実施例10と同様の操作にてディップ成形物を得、その評価結果を〔表8〕に示した。
実施例14,15
〔表7〕に示す原料を用いて実施例10と同様の操作にてディップ成形物を得、その評価結果を〔表8〕に示した。ただし、実施例14では共重合体ラテックス組成物を得る際、増粘剤としてASE−95(日本アクリル化学製)を0.05部、実施例15では0.1部を添加した。
【0039】
比較例6
〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。ただし、破泡剤(A)成分及びアルキルスルホコハク酸ジエステル塩(B)成分は添加しなかった。
比較例7
〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。ただし、(B)成分(b1)0.5部添加し、破泡剤(A)成分は添加しなかった。
比較例8
〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。ただし、(A)成分(a3)を7部と(B)成分(b1)0.5部添加した。
比較例6〜8の共重合体ラテックス組成物を用いて、実施例10と同様の操作によりディップ成形物を作成した。その評価結果を〔表8〕に示した。
【0040】
【表8】
〔表8〕から明らかなように(A)成分と(B)成分を配合した実施例10〜15のディップ成形用ラテックス組成物は、いずれも外観、塩凝固性に優れ、成形物もピンホール、耐粘着性のすべてにおいて良好で、特にピンホールに関しては著しい改善が認められた。(A)成分も(B)成分も配合しなかった比較例6、(B)成分のみ配合した比較例7の成形物は、ピンホール、耐粘着性に難点があり、(A)成分を過多に配合した比較例8のディップ成形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性に劣り、成形物はピンホールに問題点があった。
【0041】
実施例16〜18
〔表9〕に示す原料を用い実施例10と同様の操作によって、共重合体ラテックスおよびディップ成形用ラテックス組成物を調製した。また実施例1と同様の操作を行い、得られたディップ成形物について評価した結果を〔表10〕に示した。
実施例19〜21
〔表9〕に示す原料を用い実施例10と同様の操作を行い、共重合体ラテックス組成物およびディップ成形用ラテックス組成物を調製した。ついで実施例1と同様の操作にてディップ成形物を得、その評価結果を〔表10〕に示した。
【0042】
比較例9
〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。破泡剤(A)成分及びをアルキルスルホコハク酸ジエステル塩(B)成分は添加しなかった。
比較例10
〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。破泡剤(A)成分は添加せず、(B)成分(b1)を0.5部、アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)成分(c1)を3部添加した。
比較例11
〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。本比較例では(A)成分(a3)を7部、(B)成分(b1)を0.5部、(C)成分(c1)を3部添加した。実施例10と同様の操作によりディップ成形物を作成し、その成形物の評価結果を〔表10〕に示した。
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
〔表10〕から明らかなように(A)成分および(B)成分を配合した実施例16〜18、(A)成分、(B)成分および(C)成分を配合した実施例19〜21のディップ成形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性とも良好で、成形物のピンホール、耐粘着性も良好であり、特にピンホールと塩凝固性に関しては著しい改善が認められた。一方、(A)成分、(B)成分を配合しなかった比較例9、(A)成分を配合しなかった比較例10の成形物は、ピンホールや耐粘着性に難点があり、(A)、(B)、(C)成分のうち(A)成分を過多に配合した比較例11の成形物は、耐粘着性はよいもののディップ成形用ラテックス組成物の外観、塩凝固性および成形物のピンホールに問題点を残した。
【0045】
実施例及び比較例における〔表5〕〜〔表10〕の各種物性のうち、成形物の物性については10個のサンプルを以下の方法にて測定し、その平均値により評価を行ったものである。
(1)平均粒子径
コールターカウンターMODEL N4+(コールター(株)製)を用いて測定した。
(2)メチルエチルケトン不溶分(ゲル分)
得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。このフィルムを2〜3mm角に切り、0.4gを精秤した。その試料をメチルエチルケトン100mlに浸漬し、30℃の振とう式恒温槽で6時間振とうする。その後、100メッシュ金網でろ過し、ろ液の固形分を求め、このゾル固形分よりゲル分を算出した。
(3)SI値
得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。重量既知の共重合体ラテックスフィルム0.4gをメチルエチルケトン100mlに浸積し、30℃の振とう式恒温槽で6時間振とうした。その後濾過して、湿潤重量を秤量した。引き続き、乾燥重量を秤量して、その湿潤重量に対する乾燥重量の割合を計算することにより求めた。
【0046】
(4)平均分子量及び分散度
得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。このフィルムをテトラヒドロフランに24時間浸積後、テトラヒドロフランに可溶なゾル分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定し、ポリスチレンに換算させた値で求めた。また、分散度は重量平均分子量/数平均分子量より求めた。
(5)耐油性
得られた手袋形状のディップ成形物をそれぞれ灯油、ガソリン及びトルエンに室温下で24時間浸漬した後、下記式により求めた面積膨潤率にて評価した。ここで面積膨潤率の数値が小さい程、耐油性に優れることを示す。
面積膨潤率(%)=A/ A×100
;浸漬前のフィルムの面積 A;浸漬24時間後のフィルムの面積
(6)風合い
手袋形状のディップ成形物を引っ張り速度300mm/minにて引っ張り300%伸びに達した時の強度を示した。ここで300%モジュラスの数値が小さいほど風合いはソフトであることを示す。
【0047】
(7)ディップ成形用ラテックス組成物の外観
ディップ成形用ラテックス組成物の外観を視感にて判断した。
完全に均一 ;○
浮遊物がやや認められる ;△
浮遊物が明らかに認められ、粘度上昇が認められる ;×
(8)ディップ成形用ラテックス組成物の塩凝固性
濃度15%の硝酸カルシウム溶液の中にセラミック板(5cm×10cm)を10秒浸積し、その後直ぐにセラミック板を引き上げ、100℃×3分間の条件にて乾燥させた。引き続き、濃度30重量%のラテックス組成物に5秒浸積させ、セラミック板を引き上げ、1秒保持した後、40℃に調整しておいた水(1リットル)に浸した。
水の濁りの程度をコールターカウンターMODEL N4+による白濁物濃度測定により判断した。
完全に透明(濃度1.0〜2.0e×104) ;◎
極、僅かに白濁する(濃度2.1e×104 〜9.9e×104) ;○
少し白濁する(濃度1.0e×105 〜9.9e×106) ;△
完全に白濁する(濃度1.0e×107 以上 ) ;×
濃度測定;光散乱強度に相関するもので、具体的には1秒間あたりの放出電子数である。数値が大きいほど濃度が高い。
【0048】
(9)ピンホール
得られた手袋形状のディップ成形物についてピンホール発生の有無を観察し、以下の基準で評価した。(試料10組)
ピンホール全く発生しない ;◎
手袋当り1個発生 ;○
手袋当り2個〜3個発生 ;△
手袋当り4個以上発生 ;×
(10)耐粘着性
得られた手袋形状のディップ成形物を2枚重ねあわせ、卓上プレス機にて50℃×50Kg×5分間プレスを行ない以下の基準で評価した。
簡単に剥がれる ;◎
やや抵抗があるがスムーズに剥がれる ;○
かなり抵抗があり、剥がす時に音が生じる ;△
粘着しており剥がすのに困難である ;×
【0049】
【発明の効果】
本発明のディップ成形用ラテックス組成物から、耐油性に優れ、ソフトな風合いを有し、且つ耐粘着性の高い、極めて高品質のディップ成形物が効率よく生産できる。したがって、医療用手袋など、高品質が求められるディップ成形物製造用ラテックス組成物として有用なものである。

Claims (10)

  1. 単量体混合物の乳化重合により得られる共重合体ラテックス(L)および単量体混合物100重量部に対し、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩からなる破泡剤(A)を0.05〜5.0重量部、
    式(1)
    (式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩(B)を0.1〜5.0重量部およびアルキル基の炭素数が13〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩(C)を0.5〜10.0重量部を含有してなるディップ成形用ラテックス組成物
  2. さらに単量体混合物100重量部に対し、増粘剤を0.01〜1.0重量部含有してなる請求項1に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  3. 単量体混合物の乳化重合が、ポリヒドロキシ化合物の存在下に行われる請求項1記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  4. ポリヒドロキシ化合物がグリコール類である請求項記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  5. 単量体混合物がその100重量部中に、シアン化ビニル系単量体15〜45重量部、共役ジエン系単量体35〜80重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜20重量部、及びこれらの単量体と共重合可能な他のエチレン系不飽和単量体0〜20重量部を含んでなるものである請求項1または記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  6. 共重合体ラテックス(L)から得られる共重合物中のゲル分(メチルエチルケトン不溶分)が51〜90重量%である請求項1記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  7. 共重合体ラテックス(L)が、シアン化ビニル系単量体とそれと共重合可能なエチレン系不飽和単量体とを乳化重合して得られた平均粒子径20〜90nmで、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃であるシード重合物の存在下、単量体混合物の乳化重合により得られたものである請求項1または記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  8. 破泡剤(A)がステアリン酸またはその塩を15〜50重量%含むものである請求項1記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物からディップ成形法により製造されたディップ成形物。
  10. 手袋である請求項記載のディップ成形物。
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