JP2001310976A - ディップ成形用ラテックス組成物及びディップ成形物 - Google Patents

ディップ成形用ラテックス組成物及びディップ成形物

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JP2001310976A JP2000173527A JP2000173527A JP2001310976A JP 2001310976 A JP2001310976 A JP 2001310976A JP 2000173527 A JP2000173527 A JP 2000173527A JP 2000173527 A JP2000173527 A JP 2000173527A JP 2001310976 A JP2001310976 A JP 2001310976A
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Shigeo Suzuki
重夫 鈴木
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剛 末次
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Abstract

(57)【要約】 【課題】医療用手袋等に求められる、耐油性に優れ、機
械的強度が高く、膜厚が均一でしかもソフトな風合いを
有し、ピンホールがなく、成形後成形物の表面に粘着性
がない高品質のディップ成形物を得ることができるディ
ップ成形用ラテックス組成物の提供。 【解決手段】単量体混合物の乳化重合により得られる共
重合体ラテックス(L)および単量体混合物100重量
部に対し、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩からな
る破泡剤(A)を0.05〜5.0重量部、必要により
さらに炭素数5〜12のアルキルのスルホコハク酸ジエ
ステル塩(B)0.1〜5重量%および/またはアルキ
ル基の炭素数が13〜20のアルキルベンゼンスルホン
酸塩(C)0.5〜10.0重量部を含有してなるディ
ップ成形用ラテックス組成物が前記課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディップ成形用ラ
テックス組成物、特に医療用手袋や電子部品製造時クリ
ーンルームで使用される手袋などに要求される耐油性に
優れ、機械的強度が高く、ピンホールがないという条件
を満たし、しかもソフトな風合いを有するディップ成形
物を容易且つ効率的に製造することができるディップ成
形用ラテックス組成物およびそれから得られるディップ
成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】医療、衛生、電子部品製造分野で使用す
る手袋、指サックなどのディップ成形物は、耐油性、機
械的強度に優れ、ピンホールがなく、かつ肌に対する密
着性が良好である必要がある。ディップ成形法として、
木材、ガラス、陶器、金属又はプラスチックなどから作
られた型を予め凝固剤液に浸漬した後、天然ラテックス
組成物や合成ゴムラテックス組成物に浸漬するアノード
凝着浸漬法や、型をラテックス組成物に浸漬した後、凝
固液に浸漬するティーグ凝着浸漬法などが知られてお
り、これらのディップ成型法により得られる成形物がデ
ィップ成形物である。ディップ成形物における、フィル
ムの厚さ、ピンホールの有無及び肌に対する密着性は大
部分、ラテックス組成物および凝固液の組成に依存して
くる。従来ディップ成形法に用いるラテックスは主とし
て天然ゴムラテックス、又は合成ゴムラテックスである
が、油脂或いは有機溶媒などに対する耐性が高いという
理由でアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)ラ
テックスが好ましく用いられる。最近、使用者が天然ゴ
ムラテックスを用いた場合に起こるアレルギーの発生に
より、NBRラテックスの使用がさらに多くなってき
た。しかしながらNBRからディップ成形法により作ら
れた成形物は耐油性に優れているものの、そのガラス転
移温度(Tg)が高いため肌に対してソフトな風合いを
持たせることは困難である。そこで、NBR製造におけ
るブタジエン等の共役ジエン化合物の使用量を多くした
り、或いは天然ゴムとブレンドしたり、天然ゴムとNB
Rを積層化する方法もあるが、その場合は耐油性、或い
は耐薬品性に乏しいものとなる。
【0003】一方、耐油性に優れ、かつ肌に対してソフ
トな風合いを有するNBRフィルムを得るための方法と
して、例えば共重合体ラテックスの分子量とメチルエチ
ルケトン不溶分を規定する方法(特開平5−24726
6号、特開平6−182788号)等が提案されている
が、未だ十分にその目的が達成されたとは云えない。こ
のソフトな風合いとともに重要なことは、ピンホールの
有無である。特に成形物が医療用のものである場合、ピ
ンホールの存在は致命的である。このピンホールはラテ
ックスに気泡が混入していたり、ラテックス組成物の凝
固剤に対する化学的安定性が高すぎる、すなわちラテッ
クス組成物の塩凝固性が低すぎたり、また、ラテックス
組成物の型に対する濡れ性が不十分である場合などに発
生し勝ちである。ラテックス組成物中への気泡の混入
は、主としてラテックス合成時や配合剤をラテックスに
添加する際の攪拌により起るが、一旦混入した気泡はラ
テックス組成物中の乳化剤等の作用により簡単には消え
ず、それが成形物のピンホールの原因の一つとなる。ま
たラテックス組成物の凝固剤に対する塩凝固性が低すぎ
たり、ラテックス組成物の型に対する濡れ性が不十分で
ある場合も成形物の膜厚が不均一となったり、ピンホー
ル発生の原因ともなる。また、成形物表面に粘着性が生
じないようにすることも重要なことである。この粘着性
とはディップ成形物を製造する際、成形物表面のベトツ
キにより、成形物同士がくっつく性質を云い、粘着性が
生じると成形物の品質が低下し、商品価値が著しく低下
することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は耐油
性、機械的強度に優れ、膜厚が均一でしかもソフトな風
合いを有し、ピンホールがなく、成形後表面に粘着性が
生じないディップ成形物が得られるディップ成形用ラテ
ックス組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの目的を
達成すべく鋭意検討した結果、単量体混合物の乳化重合
により得られる共重合体ラテックスに、特定量の炭素数
8〜22の脂肪酸またはその塩からなる破泡剤を配合
し、望ましくはさらに炭素数5〜12のアルキルスルホ
コハク酸ジエステルの塩および/またはアルキル基の炭
素数が13〜20であるアルキルベンゼンスルホン酸塩
を配合することにより、破泡性及びラテックス組成物の
型表面への濡れ性、ラテックス組成物の凝固剤に対する
塩凝固性、さらには成形物の耐粘着性が著しく改善され
ることを見出し、この知見に基づいてさらに検討を重ね
本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は
【0006】(1)単量体混合物の乳化重合により得ら
れる共重合体ラテックス(L)および単量体混合物10
0重量部に対し、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩
からなる破泡剤(A)を0.05〜5.0重量部を含有
してなるディップ成形用ラテックス組成物、(2)さら
に、単量体混合物100重量部に対し式(1)
【化2】 (式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素
数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモ
ニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハ
ク酸ジエステルの塩(B)を0.1〜5.0重量部およ
び/またはアルキル基の炭素数が13〜20のアルキル
ベンゼンスルホン酸塩(C)を0.5〜10.0重量部
含有してなる前記(1)記載のディップ成形用ラテック
ス組成物、(3)さらに単量体混合物100重量部に対
し、増粘剤を0.01〜1.0重量部含有してなる前記
(1)または(2)に記載のディップ成形用ラテックス
組成物、(4)単量体混合物の乳化重合が、ポリヒドロ
キシ化合物の存在下に行われる前記(1)または(2)
に記載のディップ成形用ラテックス組成物、(5)ポリ
ヒドロキシ化合物がグリコール類である前記(4)記載
のディップ成形用ラテックス組成物、(6)単量体混合
物がその100重量部中に、シアン化ビニル系単量体1
5〜45重量部、共役ジエン系単量体35〜80重量
部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜20重
量部、及びこれらの単量体と共重合可能な他のエチレン
系不飽和単量体0〜20重量部を含んでなるものである
前記(1)または(4)記載のディップ成形用ラテック
ス組成物、(7)共重合体ラテックス(L)から得られ
る共重合物中のゲル分(メチルエチルケトン不溶分)が
51〜90重量%である前記(1)記載のディップ成形
用ラテックス組成物、(8)共重合体ラテックス(L)
が、シアン化ビニル系単量体とそれと共重合可能なエチ
レン系不飽和単量体とを乳化重合して得られた平均粒子
径20〜90nmで、ガラス転移温度(Tg)が−50
〜50℃であるシード重合物の存在下、単量体混合物の
乳化重合により得られたものである前記(1)または
(6)記載のディップ成形用ラテックス組成物、(9)
破泡剤(A)がステアリン酸またはその塩を15〜50
重量%含むものである前記(1)記載のディップ成形用
ラテックス組成物、(10)前記(1)〜(9)のいず
れかに記載のディップ成形用ラテックス組成物からディ
ップ成形法により製造されたディップ成形物、および
(11)手袋である前記(10)記載のディップ成形
物、である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明のディップ成形用ラ
テックス組成物の製造方法について説明する。本発明に
おいては、単量体混合物の乳化重合により得られる共重
合体ラテックス(L)に、破泡剤(A)を、必要により
さらに成分(B)および/または成分(C)が配合され
る。本発明に用いられる共重合体ラテックス(L)は単
量体混合物を乳化重合して得られるもので、得られる重
合体がゴム状のものであれば用いられる単量体はどのよ
うなものであってもよい。好ましい単量体混合物は、シ
アン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体およびエチ
レン系不飽和カルボン酸単量体を含み、さらに必要によ
りこれらの単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量
体を含んでなるものである。シアン化ビニル系単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−
シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル等を挙
げることができる。これらのシアン化ビニル系単量体は
単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ
る。本発明においては、特にアクリロニトリルが好まし
く用いられる。このようなシアン化ビニル系単量体の使
用量は、単量体混合物100重量部中、15〜45重量
部、好ましくは23〜40重量部である。シアン化ビニ
ル系単量体が15重量部よりも少ない時は、得られるデ
ィップ成形物の耐油性、耐薬品性が不十分となることが
あり、一方、45重量部を超える時はシアン化ビニル系
単量体と共役ジエン系単量体との共重合反応が進み難
く、シアン化ビニル系単量のホモポリマーを生成するこ
とがある。
【0008】共役ジエン系単量体としては、例えば、
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3
−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等、従
来、ラテックスの製造に通常用いられているものを挙げ
ることができる。これらの共役ジエン系単量体は、単独
で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本
発明においては、特に1,3−ブタジエンが好ましく用
いられる。このような共役ジエン系単量体の使用量は、
単量体混合物100重量部中、35〜80重量部、好ま
しくは45〜70重量部の範囲である。共役ジエン系単
量体の使用量が35重量部よりも少ないときはディップ
成形物が硬い風合いのものとなることがあり、反対に8
0重量部よりも多いときは、ディップ成形物の強度が低
くなることがある。エチレン系不飽和カルボン酸単量体
としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸な
どのモノカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸などのジカルボン酸や、それらの無水物、例
えば、マレイン酸メチル、イタコン酸メチルなどのジカ
ルボン酸のモノエステル、すなわち半エステルなどを挙
げることができる。これらのエチレン系不飽和カルボン
酸単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。またこれらのエチレン系不飽和カルボン
酸単量体はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩として
も用いることができる。これらのうち、特に、アクリル
酸、メタクリル酸が好ましく用いられる。
【0009】このようなエチレン系不飽和カルボン酸単
量体の使用量は、単量体混合物100重量部中、0.1
〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、さらに好ま
しくは3〜7重量部の範囲である。0.1重量部よりも
少ないとき時はディップ成形物の強度が低下する場合が
あり、反対に20重量部よりも多いときは風合いが硬く
なる場合がある。上記単量体以外の共重合可能なエチレ
ン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル
酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル
化合物、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド化
合物、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエス
テル類、例えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2
−ビニルピリジン、などのエチレン系不飽和アミン化合
物などを挙げることができる。これらは単独であるいは
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】これらのエチレン系不飽和単量体の使用量
は単量体混合物100重量部中、0〜20重量部であ
り、好ましくは1〜10重量部である。本発明において
は、ディップ成形物フィルムの柔軟性を向上させるため
に共重合体ラテックス製造時にポリヒドロキシ化合物を
存在させることができる。ポリヒドロキシ化合物はディ
ップ成形物にソフトな風合いを持たせるために用いられ
るが、その添加時期は共重合体ラテックスの重合開始時
あるいは重合途中が好ましい。重合途中に加える場合、
モノマーの転化率が高ければ高い程、ソフト化の効果は
低下する傾向にあるので、好ましくは転化率が70%ま
でに、さらに好ましくは50%までに加えるのが適当で
ある。かかるポリヒドロキシ化合物としては分子量10
00以下のポリヒドロキシ化合物が好ましく、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、1、4−ブ
タンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘ
キサンジーオール、ピナコール等のグリコール類、グリ
セリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール
類、エリトリット、ペンタエリトリット、トレイット等
の四価アルコール類、ソルビット等の六価アルコール
類、蔗糖、その他、ポリエーテルポリオール類等が挙げ
られる。これらのうち時にグリコール類が好ましく、さ
らにプロピレングリコールが好ましい。ポリヒドロキシ
化合物の使用量は単量体混合物100重量部当たり1〜
10重量部の範囲が好ましく、さらには2〜7重量部の
範囲が好ましい。本発明の共重合体ラテックスを製造す
るには、従来より知られている乳化重合の方法、すなわ
ち、例えば、水のような水性媒体中に単量体混合物、重
合連鎖移動剤、重合開始剤、乳化剤などを加えて乳化重
合を行う方法が挙げられる。重合連鎖移動剤は、一般に
乳化重合において知られている通常の連鎖移動剤を用い
ることができる。
【0011】このような連鎖移動剤としては、例えば、
2−メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸
またはその塩(例えば、メルカプト酢酸アンモニウムな
ど)、例えば、メルカプトコハク酸などのメルカプトジ
カルボン酸またはその塩(例えば、メルカプトジカルボ
ン酸塩など)、例えば、2−メルカプトエタノール、な
どの分子内に水酸基を有するメルカプタン類、例えば、
2−メルカプトエチルアミンなどの分子内にアミノ基を
有するメルカプタン類、例えば、チオグリコール酸、
3,3’−チオジプロピオン酸などの分子内にカルボキ
シル基を有するモノスルフィド類またはその塩、例え
ば、β−チオジグリコールなどの分子内に水酸基を有す
るモノスルフィド類、例えば、チオジエチルアミンなど
の分子内にアミノ基を有するモノスルフィド類、例え
ば、ジチオジグリコール酸、2,2’−ジチオジプロピ
オン酸、などの分子内にカルボキシル基を有するジスル
フィド類またはその塩、例えば、チオジグリコール酸無
水物などのようにモノスルフィド類およびジスルフィド
類の酸無水物、例えば、D−,L−またはDL−シスチ
ンなどのように分子内にカルボキシル基とアミノ基を有
するジスルフィド類、例えば、クロロメタノール、2−
クロロエタノール、などの分子内に水酸基を有するハロ
ゲン化炭化水素類、例えば、モノクロロ酢酸、ジクロロ
酢酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、クロロマロ
ン酸などの分子内にカルボキシル基を有するハロゲン化
炭化水素類またはその塩、例えば、クロロマレイン酸無
水物などのようにハロゲン化炭化水素類の酸無水物、例
えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタ
ン、などのモノチオール類、例えば、1,10−デカン
ジオール、トリグリコールジメルカプタンなどのジチオ
ール、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート
などのトリチオール、ペンタエリスリトールテトラキス
チオグリコレート、などのテトラチオールなど、分子内
に少なくとも2つのメルカプト基を有するポリチオー
ル、例えば、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエ
チルキサントゲンジスルフィド、などのキサントゲンジ
スルフィド、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド、などのチウラムジスルフィド、例えば四塩化炭素、
四臭化炭素、などのハロゲン化炭化水素、例えば、メル
カプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプ
ロピオン酸トリデシルエステルなどのメルカプトカルボ
ン酸アルキルエステル、例えば、メルカプト酢酸メトキ
シブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブ
チルエステルなどのメルカプトカルボン酸アルコキシア
ルキルエステル、例えば、オクタン酸2−メルカプトエ
チルエステルなどのカルボン酸メルカプトアルキルエス
テルおよびα−メチルスチレンダイマー、ターピノーレ
ン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ア
ニソール、アリルアルコール等を挙げることができる。
【0012】これらの連鎖移動剤は、単独で又は2種以
上を組み合わせて用いられる。本発明においては、モノ
チオール、ポリチオール、キサントゲンジスルフィド、
チウラムジスルフィド、メルカプト酢酸2−エチルヘキ
シルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステ
ル、メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプ
トプロピオン酸メトキシブチルエステル、α−メチルス
チレンダイマー、ターピノーレン等が好ましく用いられ
る。本発明において、これら連鎖移動剤の使用量は、単
量体混合物100重量部あたり、通常、0.05〜20
重量部、好ましくは0.1〜15重量部の範囲であり、
最も好ましくは0.2〜10重量部である。重合開始剤
は、特に制限されるものではなく、例えば、過硫酸カリ
ウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機
過硫酸塩、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、などの有機過酸化物、例え
ば、アゾイソブチロニトリルなどのアゾ系の開始剤等を
用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組
み合わせて使用することができる。これらのうち、特に
半減期10時間を得るための温度が100℃以上の過酸
化物が好ましく用いられる。また、本発明において、上
記した重合開始剤は、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄
などの還元剤と組み合わせてなるいわゆるレドックス系
重合開始剤としても用いることができる。本発明におい
て、重合開始剤の使用量は、全単量体混合物100重量
部当り、通常、0.01〜5重量部程度であり、好まし
くは0.1〜3重量部程度である。
【0013】乳化重合の際に用いられる乳化剤は、炭素
数8〜22の脂肪酸またはその塩(A)、式(1)で示
されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩(B)お
よびアルキル基の炭素数が13〜20であるアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩(C)以外に、例えばドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン
酸ナトリウムなどのアルキル基の炭素数が12以下であ
るアルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばドデシルジフ
ェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウムなどのアルキ
ルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、例えばラウリル
硫酸ナトリウム、α−スルホン化脂肪酸塩類等のアニオ
ン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル等のノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤として
は、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタインの
塩などのアルキルベタイン型の塩、ラウリル−β−アラ
ニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチル
ジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型のものな
どを併用することができる。これらの乳化剤のうち、特
にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルジ
フエニルエーテルジスルホン酸ジナトリウムが好ましく
用いられる。これらの乳化剤の使用量は、全単量体混合
物100重量部当たり、通常0.1〜20重量部、好ま
しくは0.5〜10重量部である。また、本発明の方法
においては、必要に応じて、乳化重合をエチレンジアミ
ン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレートなどの分散剤や燐酸塩の
ような無機塩などの存在下に行ってもよい。本発明の共
重合体ラテックス(L)を製造する場合、通常0〜10
0℃の温度で、単量体の転化率が90%好ましくは95
%以上に達するまで行われる。乳化重合を40℃以下で
行うと、ラテックスを安定に製造することができ、しか
も機械的強度が高く、かつソフトな風合のディップ成型
物が得られるので好ましい。
【0014】乳化重合の方法として、単量体成分を一括
して重合系に加える一括仕込方法のほか、単量体成分を
分割して重合系に加えるモノマー分割仕込重合法やモノ
マー連続添加重合法を用いることもできる。本発明の共
重合体ラテックス(L)を製造する場合、シアン化ビニ
ル系単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体を予
め乳化重合して得られる平均粒子径が20〜90nmで、
Tgが−50℃〜50℃であるシード重合物の存在下に
乳化重合する方法が好ましく用いられる。シード重合の
際、用いるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアク
リロニトリル、フマロニトリル等を挙げることができ
る。これらのシアン化ビニル系単量体は単独で又は2種
以上を組み合わせて用いられる。本発明においてはアク
リロニトリルが好ましく用いることができる。また、こ
のシアン化ビニル系単量体と共重合可能なエチレン系不
飽和単量体としては例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、などの芳香族ビニル化合物、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジ
ルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物、例
えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジ
メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド
などのエチレン系不飽和カルボン酸アミド化合物、例え
ば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例
えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピ
リジン、などのエチレン系不飽和アミン化合物、例えば
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ1,3−
ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役
ジエン系単量体、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン
酸などのモノカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル
酸、イタコン酸などのジカルボン酸や、それらの無水
物、例えば、マレイン酸メチル、イタコン酸メチルなど
のジカルボン酸のモノエステル、すなわち半エステルな
どのエチレン系不飽和カルボン酸単量体などを挙げるこ
とができる。本発明においては、アクリル酸ブチルが特
に好ましく用いられる。
【0015】本発明によるシード重合物の製造において
用いられる上記単量体混合物の使用量は共重合体ラテッ
クス製造のために用いられる単量体混合物100重量部
に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部
である。シード重合物の製造のための乳化重合にはアニ
オン系およびノニオン系の界面活性剤が用いられる。ア
ニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α−スルホン化
脂肪酸塩類等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性
剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエス
テル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等
を挙げることができる。これらのうち、特にドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられる。上
記界面活性剤の使用量はシード重合に用いる単量体混合
物の合計量に対して1〜20重量%、好ましくは2〜1
0重量%である。シード重合物の製造において、乳化重
合をエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート
剤、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなど
の分散剤やリン酸塩のような無機塩などの存在下に行っ
てもよい。シード重合物の製造における重合開始剤とし
ては、前記単量体混合物の乳化重合の際に用いられるも
のと同じものが使用でき、その使用量はシード重合に用
いる単量体混合物の合計量に対して0.1〜10重量
%、好ましくは0.5〜7重量%である。更に、本発明
におけるシード重合物の製造においては、必要に応じ
て、メルカプタン類に代表される連鎖移動剤を用いても
よい。シード重合物の製造は、通常20〜80℃の温度
で、単量体の転化率が90%、好ましくは95%以上に
達するまで行われる
【0016】また、シード重合物の平均粒子径は20〜
90nm、好ましくは30〜80nmの範囲である。シード
重合物の平均粒子径が20nmより小さい場合は、得られ
るラテックスの粒子径を均一にするには難しく、反対に
90nmより大きい時は得られるラテックスの粒子径が大
きくなりすぎ、単量体の転化率が90%、好ましくは9
5%以上に達するまで行う重合時間がかかり過ぎる。さ
らに、シード重合物のTgは−50℃〜50℃好ましく
は−30℃〜30℃の範囲である。−50℃より低い場
合はディップ成型物の強度が低くなる場合があり、反対
に50℃を超えるとディップ成型物の風合いが硬くなる
場合がある。このシード重合法は、重合安定性を改善す
ることが出来、しかも、シード重合物の不存在下に乳化
重合させる通常の方法と比べて、シード重合物によっ
て、重合中の粒子数を制御することができるので、得ら
れるラテックスの粒子径を自由に制御できる利点があ
る。本発明に用いられる共重合体ラテックスの平均粒子
径は80〜200nmであり、90〜180nmであること
がさらに好ましい。平均粒子径が80nm未満ではラテッ
クス粘度が上がり、ラテックスの輸送等に対して支障を
きたす場合があり、200nmを超えると、共重合体ラテ
ックスの乳化重合時、凝固物が発生しやすくなる。
【0017】本発明に用いられる共重合体ラテックス
(L)から得られる共重合体中のゲル分(メチルエチル
ケトン不溶分)の含有率は、51〜90重量%、好まし
くは51〜80重量%である。ゲル分含有率が過多にな
ると成形物が硬くなり過ぎて風合いが損なわれ、過小で
あるとラテックスのアルカリ増粘性が増大し、共重合体
ラテックスの粘度が過度に上昇する恐れがある。共重合
体のゲル分含有率は、共重合体ラテックス(L)を乾燥
して得られた共重合体フィルム片を秤量し、これをメチ
ルエチルケトンに浸漬、濾過して不溶分の乾燥重量を秤
量し、元のフィルムの乾燥重量に対する不溶分の乾燥重
量の割合を求めることにより得られる。また本発明に用
いられる共重合体ラテックス(L)はそれを乾燥して得
られる共重合体のメチルエチルケトン不溶分のスウェリ
ングインデックス(SI)が10以上であることが望ま
しく、15以上であることがさらに好ましい。SIが1
0未満であると、ディップ成形物の強度が低くなること
がある。SIは、共重合体ラテックス(L)を乾燥して
得られた共重合体フィルムをメチルエチルケトンに浸漬
後濾過して湿潤重量を秤量し、その後乾燥重量を秤量し
て、その湿潤重量に対する乾燥重量の割合を計算するこ
とにより求められる。
【0018】本発明に用いられる共重合体ラテックス
(L)から得られる乾燥フィルムのテトラヒドロフラン
に可溶なゾル分のポリスチレン換算重量平均分子量は5
0,000〜300,000であり、ポリスチレン換算
数平均分子量が10,000〜100,000でかつ分
散度が10以下であることが好ましい。重量平均分子量
が50,000未満、あるいは数平均分子量が10,0
00未満では、ディップ成形物、特に薄膜ディップ成形
物の膜厚が不均一になり且つ強度が低くなることがあ
り、重量平均分子量が300,000あるいは数平均分
子量が100,000より大きいとディップ成型時の収
縮が大きくなることがある。さらに重量平均分子量に対
する数平均分子量の割合すなわち分散度が10より大き
くなると、ディップ成型時の収縮が大きくなり、かつ風
合いが硬くなる傾向にある。本発明において用いられる
共重合体ラテックス(L)から得られるフィルムのテト
ラヒドロフランに可溶なゾル分の重量および数平均分子
量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによっ
て測定した値である。具体的には共重合体ラテックスか
らフィルムを作製し、該フィルムをテトラヒドロフラン
に浸漬後、テトラヒドロフランに可溶なゾル分をゲルパ
ーミエーションにより測定し、ポリスチレンに換算した
値である。
【0019】本発明に用いられる破泡剤(A)成分は、
炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩であり、脂肪酸と
しては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、ノニル
酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸またはオ
レイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸など
の不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸のうち、
炭素数12〜20を有するものが好ましく、炭素数14
〜18を有するものがさらに好ましい。また、これらの
塩を構成する元素としては特に限定されるものではない
が、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金
属、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属やア
ンモニウムが挙げられ、特にナトリウム、カリウム、カ
ルシウム、アンモニウムが好ましく用いられ、さらに好
ましく用いられるのはナトリウムである。この破泡剤の
使用量は単量体混合物100重量部当たり0.05〜5
重量部、好ましくは0.5〜3重量部、さらに好ましく
は1〜2重量部である。0.05重量部よりも少ないと
き時は型に対する濡れ性に劣ることがある。さらに、ラ
テックス組成物中に混入した泡が消えず、ディップ成形
物にピンホールが発生する場合や粘着性が発生すること
もある。反対に5重量部よりも多いときは、ラテックス
中に油成分が浮遊物として存在することがあり、加硫剤
を配合してなるディップ成形用組成物の機械的安定性が
損なわれることがある。
【0020】また、破泡剤は混合脂肪酸塩であることが
好ましく、特に炭素数18のステアリン酸またはその塩
が15〜50重量%、さらに好ましくは30〜45重量
%含まれていると耐油性、機械的強度に優れ、膜厚が均
一でしかもソフトな風合いを有し、ピンホールのないデ
ィップ成形物が得られる。これらの破泡剤は乳化重合時
に用いても良く、あるいは乳化重合完了時(単量体混合
物の転化率が95%以上に達したとき)に後添加として
用いても良いが、乳化重合完了時に後添加として用いる
方が効果的である。
【0021】(B)成分は、式(1)
【化3】 (式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素
数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモ
ニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハ
ク酸ジエステルの塩である。式中RおよびRで示さ
れる炭素数5〜12のアルキル基としては、例えば、ア
ミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなど直鎖
状のものや、1,3−ジメチルブチル、1−メチルアミ
ルなど分枝状アルキルがあげられる。式(1)の化合物
のエステルの具体例としては、、例えば、ジ・nアミ
ル、ジ・1―メチル・ブチル、ジ・2―メチル・ブチ
ル、ジイソアミル、ジ1,3―ジメチル・ブチル基等ア
ルキル基の合計炭素数が10のエステル、ジ・n―ヘキ
シル、ジ・1―メチル・アミル基等アルキル基の合計炭
素数が12のエステル、ジ・n―ヘプチル、ジ・ジメチ
ル・アミル、ジ・1―イソプロピル・イソブチル、ジ・
1―プロピル・ブチル、ジ・1―メチル・ヘキシル基等
アルキル基の合計炭素数が14のエステル、ジ・n―オ
クチル、モノ・ヘキシル・モノデシル、モノ・2―エチ
ルヘキシル・モノ1―メチルペンチル、ジ・2―エチル
・ヘキシル、ジ・1―メチル・ヘプチル基等アルキル基
の合計炭素数が16のエステル、モノ・2―エチルヘキ
シル・モノ1―メチル・4―エチルヘキシル基等アルキ
ル基の合計炭素数が17のエステル、ジ・n―ノニル、
ジ・1―ブチル・アミル、ジ・イソブチルー3―メチル
ブチル、ジ・1―メチルー4エチルヘキシル基等アルキ
ル基の合計炭素数が18のエステル、ジ・1―メチルー
4エチルオクチル基等アルキル基の合計炭素数が22の
エステル類が挙げられ、特に、ジ・n―オクチル、ジ・
n―ノニル基が好ましい。
【0022】また、式(1)においてMで示される金属
としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアル
カリ金属、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金
属、亜鉛、カドミウムなどの亜鉛族金属、錫、鉛などの
炭素族金属、及びアンモニウムが挙げられ、特にナトリ
ウム、カリウムが好ましく用いられる。この式(1)で
示されるアルキルスルホコハク酸ジエステルの塩の使用
量は単量体混合物100重量部当たり0.1〜5重量
部、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは
0.5〜1.5重量部である。0.1重量部よりも少な
いときは型に対する濡れ性に劣ることがあり、反対に5
重量部よりも多いときは、ラテックス組成物に泡が発生
し易くなる。これらのアルキルスルホコハク酸ジエステ
ルの塩は乳化重合時に用いても良く、あるいは乳化重合
完了時(単量体混合物の転化率が95%以上に達したと
き)に後添加として用いても良い。
【0023】(C)成分はアルキル基の炭素数13〜2
0であるアルキルベンゼンスルホン酸塩であり、そのア
ルキルベンゼンスルホン酸としては、例えばアルキル基
の炭素数が14であるテトラデシルベンゼンスルホン
酸、炭素数が15であるペンタデシルベンゼンスルホン
酸、炭素数が16であるヘキサデシルベンゼンスルホン
酸、炭素数が18であるオクタデシルベンゼンスルホン
酸等が挙げられる。これらのアルキルベンゼンスルホン
酸のうち、炭素数13〜18のアルキル基を有するもの
が好ましく用いられ、さらに好ましくは炭素数14〜1
7のアルキル基を有するものが用いられる。また、これ
らの塩としては特に限定されるものではないが、リチウ
ム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩、カ
ルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の塩及びア
ンモニウム塩が挙げられる。これらの中で特にナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、アンモニウム塩が好ましく
用いられ、さらに好ましくはナトリウム塩が用いられ
る。このアルキルベンゼンスルホン酸塩の使用量は単量
体混合物100重量部当たり0.5〜10重量部、好ま
しくは1.0〜7重量部、さらに好ましくは2.0〜
5.0重量部である。0.5重量部よりも少ないときは
共重合体ラテックス製造において、反応安定性が不充分
であり、凝固物が生じる場合がある。また型に対する濡
れ性に劣る場合もある。反対に10重量部よりも多いと
きは、ラテックス組成物中に混入した泡が消えず、その
泡が原因となりディップ成形物にピンホールが発生する
場合がある。
【0024】また、本発明のディップ成形用ラテックス
組成物の製造にpH調整剤が用いられるときは、例えば
アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
アルカリ性物質が用いられる。ディップ成形用ラテック
ス組成物のpHは通常5〜11、好ましくは7〜10の
範囲である。このpH値が5より低いときは、得られる
ディップ成形用ラテックス組成物の機械的安定性が不十
分となり、11を越えるとディップ成型物の強度が低く
なることがある。本発明のディップ成形用ラテックス組
成物に増粘剤を配合することにより、ディップ成形用組
成物の粘性を向上することができる。増粘剤としては、
例えばカゼイン、グルー、ゼラチン等の動物性増粘剤、
アルギン酸塩、でんぷん、アラビヤガム等の植物性増粘
剤、ベントナイト等の鉱物性増粘剤、ポリカルボン酸
塩、アクリル共重合体、架橋型アクリル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、ポリアクリルアミドポリエチレンオ
キシド等の高分子系増粘剤、カルボキシル化メチルセル
ロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサントゲ
ン酸セルロース、カルボキシル化でんぷん等の繊維素誘
導体、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチ
ルピリジニウムブロマイド等のカチオン系増粘剤等が挙
げられ、特に高分子系増粘剤が好ましく、カルボン酸含
有架橋型アクリルエマルジョンがさらに好ましく用いら
れる。またこれらの増粘剤の使用量は単量体混合物10
0重量部当たり0.01〜1.0重量部、好ましくは
0.02〜0.1重量部である。本発明のディップ成形
用ラテックス組成物の粘度が低い場合は型を浸積して引
き上げた際、ラテックスのたれ現象が起る可能性がある
が、これは組成物に増粘剤を添加することにより解決で
きる。しかしながら、増粘剤使用量が1.0重量部より
多い時は、ディップ成形用ラテックス組成物の粘度が高
くなり、(A)成分の破泡効果が発揮されず、泡による
ピンホールの発生が起ることがある。
【0025】本発明のディップ成形用ラテックス組成物
を用いてディップ成形物を得るには、例えば直接浸漬
法、アノード擬着浸漬法、ティーグ浸漬法など従来公知
のディップ成形法がいずれも採用される。以下に手術用
手袋等の製造に適したアノード擬着浸漬法について簡単
に説明する。まず、型を凝固液に浸漬し、引き上げて型
表面がほぼ乾燥した状態にする。凝固液は、塩化カルシ
ウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウ
ム塩を、水、アルコール、ケトン等の親水性有機溶媒、
あるいはこの両者の混合液に溶解させたものである。凝
固液中のカルシウム塩の濃度は、通常5〜50重量%、
好ましくは10〜30重量%である。凝固液には必要に
応じて例えば、ノニオン、アニオン界面活性剤などの界
面活性剤、例えば炭酸カルシウム、タルク、シリカゲル
などの充填剤を配合してもよい。ついで型をディップ成
形用ラテックス組成物に浸漬し、引き上げて型上にラテ
ックス組成物を付着させるとラテックス組成物は凝固剤
と反応して型上にゴム状皮膜を形成する。この皮膜を水
洗、乾燥した後型から剥離すればディップ成形物が得ら
れる。本発明のディップ成形用ラテックス組成物には、
必要に応じ、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテ
ックスなどのゴムラテックス、コロイド硫黄、チウラム
ジスルフィドなどの加硫剤、ジアルキルジチオカルバミ
ン酸塩、キサントゲン酸塩などの加硫促進剤、亜鉛華、
リサージ(PbO)、鉛丹(Pb)、酸化マグネ
シウムなどの加硫促進助剤、無水フタル酸、安息香酸、
サリチル酸、炭酸マグネシウムなどの充填剤、スチレン
化フェノール、イミダゾール類、パラフェニレンジアミ
ン等の老化防止剤、ファーストイエロー、フタロシアニ
ンブルー、群青などの着色剤などを適宜配合してもよ
い。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例を挙げ
て、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。なお、実施例および比較例において、
「部」および「%」は断りのない限り重量基準である。 使用原料 実施例および比較例で用いる原料のうち、破泡剤
(A)、アルキルスルホコハク酸ジエステル塩(B)お
よびアルキルベンゼンスルホン酸塩(C)は、それぞれ
〔表1〕〜〔表3〕に示す化合物または組成物を用い
た。
【0027】(1)破泡剤(A)成分の組成と消泡剤
【表1】
【0028】(2)アルキルスルホコハク酸ジエステル
塩(B)
【表2】 (3)アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)
【表3】
【0029】(4)シード重合物(S) 下記〔表4〕に示される組成のうち、過硫酸カリウム以
外の原料を反応容器に仕込み、60℃に昇温してから過
硫酸カリウムを加え、撹拌下で1時間反応させた後30
℃まで冷却してシード重合物のエマルジョン(s1)〜
(s3)を得た。原料組成と得られたシード重合物のT
g(℃)と粒子径を〔表4〕に示した。
【表4】
【0030】実施例1 (1)共重合体ラテックス組成物の調製 窒素置換した5リットル容量のオートクレーブに1,3
−ブタジエン59部、アクリロニトリル36部、メタク
リル酸5部、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム3部およびt−ドデシルメルカプタン0.5
部を仕込み、硫酸第一鉄0.05部、クメンハイドロパ
ーオキサイド0.1部を添加し、撹拌しながら、35℃
にて反応させた。18時間に亘って反応した後、重合転
化率が95%以上に達した時点で、反応混合物を、アン
モニア水を用いてpH8.5 ±0.2に調整した。さ
らに前記〔表1〕の破泡剤(A)成分組成表に示した
(a1)組成物を1部添加した。反応混合物に水蒸気を
吹き込み、未反応単量体を除去し、さらにラテックスの
固形分濃度を45%まで濃縮して、目的とする共重合体
ラテックス組成物を得た。共重合体ラテックス組成物の
組成と物性を〔表5〕に示す。
【0031】
【表5】
【0032】(2)ディップ成形用ラテックス組成物の
調製 上記で得られた共重合体ラテックスに下記の配合剤を加
え、ディップ成形用組成物を得た。 ディップ成形用ラテックス組成物 共重合体ラテックス組成物(固形分) 100.0部 亜鉛華 1.5部 コロイドイオウ 1.0部 ジーnブチルジチオカルバミン酸亜鉛 0.3部 酸化チタン 3.0部 固形分濃度 35%
【0033】(3)ディップ成形物の製造 別に凝固液として濃度15%の硝酸カルシウム水溶液を
調製し、80℃で予備乾燥しておいた手袋用モールドを
2秒間浸漬し、引き上げた後水平にして回転下に乾燥
(80℃×2分)させた。引き続き、ディップ成形用組
成物に手袋用モールドを2秒間浸漬した後、引き上げた
後、水平にして回転下で乾燥(80℃×2分)させた。
次にその手袋用モールドを40℃の温水に3分間浸漬し
て、洗浄した後、130℃で20分間加熱処理して手袋
用モールドの表面に固形皮膜物を得た。最後にこの固形
皮膜物を手袋用モールドから剥がし、手袋形状のディッ
プ成形物を得た。このようにして得られたディップ成形
物についての評価結果を〔表6〕に示す。
【0034】実施例2〜9 〔表5〕に示す原料を用いて実施例1と同様の操作にて
ディップ成形物を得た。その評価結果を〔表6〕に示し
た。 比較例1 〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作に
て、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤
(A)成分は添加しなかった。 比較例2 〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作に
て、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤
(A)成分は(a1)を7部添加した。 比較例3 〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作に
て、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤
(A)成分は(a5)を7部添加した。 比較例4 〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作に
て、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤
(A)成分に代えて消泡剤(a7)を1部添加した。 比較例5 〔表5〕に示す原料を用いて、実施例1と同様の操作に
て、共重合体ラテックス組成物を調製した。なお破泡剤
(A)成分に代えて消泡剤(a8)を1部添加した。比
較例1〜5で得られた共重合体ラテックス組成物を用い
てそれぞれ実施例1と同様の操作にてディップ成形物を
得、その評価結果を〔表6〕に示した。
【0035】
【表6】 〔表6〕から明らかなように(A)成分が配合された実
施例1〜9のディップ成形用ラテックス組成物は、外観
および塩凝固性に優れ、成形物は風合い、ピンホール、
耐粘着性のすべてにおいて良好な結果が得られた。一
方、(A)成分を配合しなかった比較例1、(A)成分
以外の消泡剤を配合した比較例4および5のディップ成
形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性が劣り、成形
物のピンホールおよび耐粘着性のいずれにおいても難点
があった。また、(A)成分を過多に配合した比較例2
および3の成形物は、耐粘着性はよいもののディップ成
形用ラテックス組成物の外観および成形物のピンホール
の点で劣るものであった。
【0036】実施例10 (1)共重合体ラテックス組成物の調製 窒素置換した5リットル容量のオートクレーブに〔表
4〕に示したシード重合物(s1)を全量添加し、1,
3−ブタジエン65部、アクリロニトリル30部、メタ
クリル酸5部、水100部、プロピレングリコール5
部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、〔表
2〕に示した(B)成分表中の(b1)ナトリウム.ジ
ヘキシルスルホサクシネート0.5部およびt−ドデシ
ルメルカプタン0.5部を仕込み、反応開始剤として硫
酸第一鉄系0.05部、クメンハイドロパーオキサイド
0.1部を添加し、撹拌しながら、35℃にて反応させ
た。引き続き、実施例1と同様の操作を行い、共重合体
ラテックス組成物を得た。共重合体ラテックス組成物の
組成と物性を〔表7〕に示した。
【0037】
【表7】
【0038】(2)ディップ成形物の製造 実施例10で得られた共重合体ラテックス組成物を用い
て、実施例1の(3)と同様の操作を行い、ディップ成
形物を得た。その評価結果を〔表8〕に示した。 実施例11〜13 〔表7〕に示す原料を用いて実施例10と同様の操作に
てディップ成形物を得、その評価結果を〔表8〕に示し
た。 実施例14,15 〔表7〕に示す原料を用いて実施例10と同様の操作に
てディップ成形物を得、その評価結果を〔表8〕に示し
た。ただし、実施例14では共重合体ラテックス組成物
を得る際、増粘剤としてASE−95(日本アクリル化
学製)を0.05部、実施例15では0.1部を添加し
た。
【0039】比較例6 〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用
いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳
化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製し
た。ただし、破泡剤(A)成分及びアルキルスルホコハ
ク酸ジエステル塩(B)成分は添加しなかった。 比較例7 〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用
いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳
化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製し
た。ただし、(B)成分(b1)0.5部添加し、破泡
剤(A)成分は添加しなかった。 比較例8 〔表7〕に示す単量体組成、プロピレングリコールを用
いて重合を行った以外は、実施例10と同様の操作で乳
化重合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製し
た。ただし、(A)成分(a3)を7部と(B)成分
(b1)0.5部添加した。比較例6〜8の共重合体ラ
テックス組成物を用いて、実施例10と同様の操作によ
りディップ成形物を作成した。その評価結果を〔表8〕
に示した。
【0040】
【表8】 〔表8〕から明らかなように(A)成分と(B)成分を
配合した実施例10〜15のディップ成形用ラテックス
組成物は、いずれも外観、塩凝固性に優れ、成形物もピ
ンホール、耐粘着性のすべてにおいて良好で、特にピン
ホールに関しては著しい改善が認められた。(A)成分
も(B)成分も配合しなかった比較例6、(B)成分の
み配合した比較例7の成形物は、ピンホール、耐粘着性
に難点があり、(A)成分を過多に配合した比較例8の
ディップ成形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性に
劣り、成形物はピンホールに問題点があった。
【0041】実施例16〜18 〔表9〕に示す原料を用い実施例10と同様の操作によ
って、共重合体ラテックスおよびディップ成形用ラテッ
クス組成物を調製した。また実施例1と同様の操作を行
い、得られたディップ成形物について評価した結果を
〔表10〕に示した。 実施例19〜21 〔表9〕に示す原料を用い実施例10と同様の操作を行
い、共重合体ラテックス組成物およびディップ成形用ラ
テックス組成物を調製した。ついで実施例1と同様の操
作にてディップ成形物を得、その評価結果を〔表10〕
に示した。
【0042】比較例9 〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重
合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。破
泡剤(A)成分及びをアルキルスルホコハク酸ジエステ
ル塩(B)成分は添加しなかった。 比較例10 〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重
合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。破
泡剤(A)成分は添加せず、(B)成分(b1)を0.
5部、アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)成分(c
1)を3部添加した。 比較例11 〔表9〕に示す原料を用いて実施例10と同様に乳化重
合を行って、共重合体ラテックス組成物を調製した。本
比較例では(A)成分(a3)を7部、(B)成分(b
1)を0.5部、(C)成分(c1)を3部添加した。
実施例10と同様の操作によりディップ成形物を作成
し、その成形物の評価結果を〔表10〕に示した。
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】 〔表10〕から明らかなように(A)成分および(B)
成分を配合した実施例16〜18、(A)成分、(B)
成分および(C)成分を配合した実施例19〜21のデ
ィップ成形用ラテックス組成物は、外観、塩凝固性とも
良好で、成形物のピンホール、耐粘着性も良好であり、
特にピンホールと塩凝固性に関しては著しい改善が認め
られた。一方、(A)成分、(B)成分を配合しなかっ
た比較例9、(A)成分を配合しなかった比較例10の
成形物は、ピンホールや耐粘着性に難点があり、
(A)、(B)、(C)成分のうち(A)成分を過多に
配合した比較例11の成形物は、耐粘着性はよいものの
ディップ成形用ラテックス組成物の外観、塩凝固性およ
び成形物のピンホールに問題点を残した。
【0045】実施例及び比較例における〔表5〕〜〔表
10〕の各種物性のうち、成形物の物性については10
個のサンプルを以下の方法にて測定し、その平均値によ
り評価を行ったものである。 (1)平均粒子径 コールターカウンターMODEL N4+(コールター
(株)製)を用いて測定した。 (2)メチルエチルケトン不溶分(ゲル分) 得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流
し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。このフィル
ムを2〜3mm角に切り、0.4gを精秤した。その試
料をメチルエチルケトン100mlに浸漬し、30℃の
振とう式恒温槽で6時間振とうする。その後、100メ
ッシュ金網でろ過し、ろ液の固形分を求め、このゾル固
形分よりゲル分を算出した。 (3)SI値 得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流
し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。重量既知の
共重合体ラテックスフィルム0.4gをメチルエチルケ
トン100mlに浸積し、30℃の振とう式恒温槽で6
時間振とうした。その後濾過して、湿潤重量を秤量し
た。引き続き、乾燥重量を秤量して、その湿潤重量に対
する乾燥重量の割合を計算することにより求めた。
【0046】(4)平均分子量及び分散度 得られた共重合体ラテックス組成物をガラス板上に流
し、厚さ0.3mmのフィルムを作成した。このフィル
ムをテトラヒドロフランに24時間浸積後、テトラヒド
ロフランに可溶なゾル分をゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーにより測定し、ポリスチレンに換算させた
値で求めた。また、分散度は重量平均分子量/数平均分
子量より求めた。 (5)耐油性 得られた手袋形状のディップ成形物をそれぞれ灯油、ガ
ソリン及びトルエンに室温下で24時間浸漬した後、下
記式により求めた面積膨潤率にて評価した。ここで面積
膨潤率の数値が小さい程、耐油性に優れることを示す。 面積膨潤率(%)=A/ A×100 A;浸漬前のフィルムの面積 A;浸漬24時間後の
フィルムの面積 (6)風合い 手袋形状のディップ成形物を引っ張り速度300mm/
minにて引っ張り300%伸びに達した時の強度を示
した。ここで300%モジュラスの数値が小さいほど風
合いはソフトであることを示す。
【0047】(7)ディップ成形用ラテックス組成物の
外観 ディップ成形用ラテックス組成物の外観を視感にて判断
した。 完全に均一 ;○ 浮遊物がやや認められる ;△ 浮遊物が明らかに認められ、粘度上昇が認められる ;× (8)ディップ成形用ラテックス組成物の塩凝固性 濃度15%の硝酸カルシウム溶液の中にセラミック板
(5cm×10cm)を10秒浸積し、その後直ぐにセ
ラミック板を引き上げ、100℃×3分間の条件にて乾
燥させた。引き続き、濃度30重量%のラテックス組成
物に5秒浸積させ、セラミック板を引き上げ、1秒保持
した後、40℃に調整しておいた水(1リットル)に浸
した。水の濁りの程度をコールターカウンターMODE
L N4+による白濁物濃度測定により判断した。 完全に透明(濃度1.0〜2.0e×104) ;◎ 極、僅かに白濁する(濃度2.1e×104 〜9.9e×104) ;○ 少し白濁する(濃度1.0e×105 〜9.9e×106) ;△ 完全に白濁する(濃度1.0e×107 以上 ) ;× 濃度測定;光散乱強度に相関するもので、具体的には
1秒間あたりの放出電子数である。数値が大きいほど濃
度が高い。
【0048】(9)ピンホール 得られた手袋形状のディップ成形物についてピンホール
発生の有無を観察し、以下の基準で評価した。(試料1
0組) ピンホール全く発生しない ;◎ 手袋当り1個発生 ;○ 手袋当り2個〜3個発生 ;△ 手袋当り4個以上発生 ;× (10)耐粘着性 得られた手袋形状のディップ成形物を2枚重ねあわせ、
卓上プレス機にて50℃×50Kg×5分間プレスを行
ない以下の基準で評価した。 簡単に剥がれる ;◎ やや抵抗があるがスムーズに剥がれる ;○ かなり抵抗があり、剥がす時に音が生じる ;△ 粘着しており剥がすのに困難である ;×
【0049】
【発明の効果】本発明のディップ成形用ラテックス組成
物から、耐油性に優れ、ソフトな風合いを有し、且つ耐
粘着性の高い、極めて高品質のディップ成形物が効率よ
く生産できる。したがって、医療用手袋など、高品質が
求められるディップ成形物製造用ラテックス組成物とし
て有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/09 C08K 5/09 5/42 5/42 //(C08L 9/10 (C08L 9/10 101:00) 101:00) (72)発明者 鈴木 重夫 大阪府大阪市淀川区十三本町二丁目17番85 号 武田薬品工業株式会社化学品カンパニ ー内 (72)発明者 末次 剛 大阪府大阪市淀川区十三本町二丁目17番85 号 武田薬品工業株式会社化学品カンパニ ー内 (72)発明者 塙 廣 大阪府大阪市淀川区十三本町二丁目17番85 号 武田薬品工業株式会社化学品カンパニ ー内 Fターム(参考) 4F071 AA01 AA10 AC10 AC14 AE18 AH19 BA05 BB13 BC07 4J002 AA002 AC021 EF027 EF057 EV256 FD316 FD317 GC00 4J011 KA01 KA04 KA10 PA26 PA64 PB38 PC02 PC06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単量体混合物の乳化重合により得られる共
    重合体ラテックス(L)および単量体混合物100重量
    部に対し、炭素数8〜22の脂肪酸またはその塩からな
    る破泡剤(A)を0.05〜5.0重量部を含有してな
    るディップ成形用ラテックス組成物。
  2. 【請求項2】さらに、単量体混合物100重量部に対し
    式(1) 【化1】 (式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素
    数5〜12のアルキル基、Mは金属イオンまたはアンモ
    ニウムイオンである。)で示されるアルキルスルホコハ
    ク酸ジエステルの塩(B)を0.1〜5.0重量部およ
    び/またはアルキル基の炭素数が13〜20のアルキル
    ベンゼンスルホン酸塩(C)を0.5〜10.0重量部
    含有してなる請求項1記載のディップ成形用ラテックス
    組成物。
  3. 【請求項3】さらに単量体混合物100重量部に対し、
    増粘剤を0.01〜1.0重量部含有してなる請求項1
    または2に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  4. 【請求項4】単量体混合物の乳化重合が、ポリヒドロキ
    シ化合物の存在下に行われる請求項1または2記載のデ
    ィップ成形用ラテックス組成物。
  5. 【請求項5】ポリヒドロキシ化合物がグリコール類であ
    る請求項4記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  6. 【請求項6】単量体混合物がその100重量部中に、シ
    アン化ビニル系単量体15〜45重量部、共役ジエン系
    単量体35〜80重量部、エチレン系不飽和カルボン酸
    単量体0.1〜20重量部、及びこれらの単量体と共重
    合可能な他のエチレン系不飽和単量体0〜20重量部を
    含んでなるものである請求項1または4記載のディップ
    成形用ラテックス組成物。
  7. 【請求項7】共重合体ラテックス(L)から得られる共
    重合物中のゲル分(メチルエチルケトン不溶分)が51
    〜90重量%である請求項1記載のディップ成形用ラテ
    ックス組成物。
  8. 【請求項8】共重合体ラテックス(L)が、シアン化ビ
    ニル系単量体とそれと共重合可能なエチレン系不飽和単
    量体とを乳化重合して得られた平均粒子径20〜90n
    mで、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃である
    シード重合物の存在下、単量体混合物の乳化重合により
    得られたものである請求項1または6記載のディップ成
    形用ラテックス組成物。
  9. 【請求項9】破泡剤(A)がステアリン酸またはその塩
    を15〜50重量%含むものである請求項1記載のディ
    ップ成形用ラテックス組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のディッ
    プ成形用ラテックス組成物からディップ成形法により製
    造されたディップ成形物。
  11. 【請求項11】手袋である請求項10記載のディップ成
    形物。
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