JP4552813B2 - タイヤ空気圧検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサの検出信号を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
従来より、タイヤ空気圧検出装置としてダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンシング部が備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側に、アンテナを有する受信機が備えられ、センシング部からの検出信号を含む電波が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその電波が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信機が車輪という隔離された場所に配置されるため、送信機の電源として用いられる電池の取替えが容易でない。したがって、長期にわたって送信機での電流消費に耐えられる電池容量が必要とされるが、その反面、送信機の小型化等の観点から電池容量を少なくする必要もある。このため、従来では、電池容量を少なくしつつ、長い電池寿命を実現できるように、送信機内で使用するICでの消費電流低減を図ったり、最も電流消費が大きくなる送信機からの電波送信の間隔を停車中は長くし、走行中のみ間隔を短くすることで送信機の電波送信での消費電流低減を図ったりしている。
また、上記手法の他に、車体側の受信機と車輪側の送信機との間で双方向通信が行えるようにする手法がある。この手法では、タイヤ空気圧に関するデータが必要なタイミングを見計らって受信機から送信機に向けてトリガ信号を出力し、送信機がトリガ信号を受け取るとタイヤ空気圧に関するデータを受信機に向けて送り返す。このため、送信機での電波送信をタイヤ空気圧に関するデータが必要なタイミングに限ることができるため、消費電流低減を図ることが可能となる。
特許第3212311号公報
しかしながら、上述した一つ目の手法では、いくらICのプロセス技術が進歩してICでの低消費電流化が可能になっても、待機電流の低減を図れるだけで、一番消費電流が大きい送信機からの電波送信での低消費電流化に限界がある。このため、たとえ送信機の終段アンプの効率が100%であったとしても、送信機からの電波送信で相当の電流消費を免れない。
また、車両が走行中であるか否かの検出が行える走行検出デバイス(例えば、加速度センサ)を備え、車両走行時にのみ送信機から電波送信が行われるようにすれば、電波送信回数を少なくできるため、消費電流低減を図れるとも考えられる。ところが、この手法にしても、実際には車両の走行検出後に速やかに車体側の受信機でタイヤ空気圧に関するデータを入手したいため、受信率を良くするために走行検出後に複数フレーム分の電波送信を行うことになり、十分な消費電流低減を図れず、電池容量を大幅に低減するには至らない。
一方、上述した二つ目の手法では、受信機でタイヤ空気圧に関するデータが必要なタイミングを設定することになる。このため、受信機からトリガ信号が出力されるタイミングのインターバル中にタイヤ空気圧が変化しても、その変化に追従して送信機から電波送信が行われないため、タイヤ空気圧が変化したことが受信機に伝わるまでに時間が掛かる。つまり、送信機で検出したタイヤ空気圧を受信機側に反映させるのにタイムラグが生じ、送信機と受信機との間の圧力情報のリンクが図れなくなるタイミングがある。
本発明は上記点に鑑みて、送信機での消費電流低減を図り、電池容量を少なくできるタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
また、同時に送信機と受信機との間の圧力情報のリンクが図れ、送信機で検出したタイヤ空気圧を受信機側にリアルタイムで反映させられるタイヤ空気圧検出装置を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者は、タイヤ空気圧の変化と電池寿命との関係について考察した。
タイヤ空気圧の変化には、タイヤのパンク等による急変と自然減による緩やかな変化と走行中のタイヤ温度変化に伴う変化がある。電池寿命のほとんどの期間中、タイヤ空気圧の変化は自然減による緩やかな変化のみが起こり、走行中の温度変化の割合も変化なしの割合の数分の1程度である。このため、例えば、車両におけるイグニッションスイッチがオンされた後に、受信機が送信機に向けてタイヤ空気圧に関するデータを要求するトリガ信号(データ要求信号)を送り、タイヤ空気圧に関するデータを1度収集できれば、その後は、大きな圧力変化が生じない限り、送信機から電波送信を送る必要はない。
逆に言えば、タイヤのパンク等による急変と走行中の温度変化以外では、タイヤ空気圧は大きく変化しないため、送信機からの電波送信を行わないことでタイヤ空気圧が大きく変化していないことを車両側へ伝えることができる。つまり、受信機は、その電波を受け取っていないときには、先に収集したデータから求めたタイヤ空気圧が維持されていると認識できるため、結果的に、送信機で検出されているタイヤ空気圧に関するデータを受け取っていなくてもタイヤ空気圧をリアルタイムで得ることが可能となる。
また、タイヤ空気圧が大きく変化した場合には、送信機側でそれを検出することができるため、そのときには送信機からタイヤ空気圧に関するデータの電波送信を行うようにする。このとき、上記のように、タイヤ空気圧の変化が大きくないときに送信機からの電波送信を行わないようにしているため、電流消費を大幅に低減することが可能となる。ただし、圧力変化時の電波送信は100%受信される保証はないため、受信されなかったことを送信機側で知る必要があり、受信成功時はトリガ機からデータ受信確認応答信号を受け取る仕組みが必要となる。
このような制御を行うことで、タイヤ空気圧が大きく変化した場合に送信機から電波送信を行うときに、電流消費の余裕ができるため、従来よりも電波送信の間隔を短く、例えば1秒間隔とすることが可能となり、受信機側でリアルタイム(従来よりも短い時間間隔毎)でタイヤ空気圧を検出できる。
このような手法を用いれば、タイヤ空気圧が自然減のときの送信機からの電波送信回数を大幅に減らすことを可能にしつつ、かつ、タイヤ空気圧が大きく変化する場合と大きく変化しない場合いずれのときにも、受信機でタイヤ空気圧をリアルタイムで得ることが可能となる。
一般的に、2つの装置やアプリケーションをリンクさせることで互いに同じデータを共有するようなメカニズムにおいて、一方の装置の所有するデータが更新されたときに、他方の装置のデータも自動的に更新することをホットリンク(Hot Link)というが、上記手法を用いることで、各車輪に取り付けられた送信機と車体に取り付けられた受信機との間で、タイヤ空気圧のホットリンクつまり圧力ホットリンク(Pressure Hot Link)を構築することが可能となる。
そこで、本発明では、送信機(2)は、第1制御部(23a)にて、センシング部(21)の出力する検出信号に基づいてタイヤ空気圧を検出し、該タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに無線部(23b)を通じて送信フレームを送信し、該タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値未満のときに送信フレームを送信しないモードで作動し、受信機(3)は、送信フレームを受信すると、該送信フレームを受け取ったことを示すデータ受信確認応答信号をトリガ機(8a〜8d)より送信するようになっていることを第1の特徴としている。
このように、送信機(2)を、タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに送信フレームを送信し、該タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値未満のときに送信フレームを送信しないモードで作動させる。このような作動によれば、送信機(2)から送信フレームが送信されないときにはタイヤ空気圧が変化していないということを認識することができ、送信フレームが送信されたときにはそれからタイヤ空気圧を取得することが可能となる。
したがって、走行中にセンシング部(21)より圧力検出を行う場合、そのほとんどが圧力に変化がないため、送信機(2)からの電波送信回数を大幅に減らすことを可能にでき、電池容量を低減することが可能となる(図9参照)。
さらに、走行中の圧力変化はパンクではない場合があるので、第1制御部(23a)は、温度に応じた検出信号に基づいて、タイヤ内の温度を求め、タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値を超えたのがタイヤ内の温度変化に起因するものであるか否かを判定し、該温度変化に起因するものであると判定した場合には、送信フレームを送信しないようにすることもできる。
これにより、タイヤ内の温度が急変したことによりタイヤ空気圧が変化した場合、つまり実際には送信フレームを送信する必要がないような場合にまで、送信フレームを送信してしまうことを防止することができる。
本発明の第1の特徴において、送信機(2)は、送信フレームの送信後、データ受信確認応答信号を一定時間待ち、該一定時間中にデータ受信確認応答信号を受信しなかったときには、再度送信フレームを送信するリトライを行うことができる。
このように、データ受信確認応答信号を受信できなかった場合にリトライすることで、送信フレームおよびデータ受信確認応答信号の受信率を向上させることができる。
この場合において、送信機(2)は、リトライを一定回数行ってもデータ受信確認応答信号を受信しなかったときには、送信フレームを所定の時間間隔毎に送信する定期送信モードで作動すると好ましい。
このように、リトライしてもデータ受信確認応答信号を受信できなかった場合に、定期送信モードで作動するようにすれば、受信機(3)で受信しているか否かは判らないが、少なくとも従来と同様にタイヤ空気圧に関するデータの定期通常送信を行うことが可能となる。
また、このような定期通常モードで作動する場合、送信機(2)は、センシング部(21)でのセンシング間隔も該定期送信の時間間隔に合せて、所定の時間間隔毎に設定すると好ましい。
このようにすれば、センシング部(21)でのセンシングのための電流消費も低減することが可能となる。
ただし、このような定期送信モードで作動している場合において、データ受信確認応答信号を受信した場合には、再びタイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに送信フレームを送信し、しきい値未満のときに送信フレームを送信しないモードに切替るようにすることもできる。
また、本発明の第1の特徴において、送信機(2)は、タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに送信フレームを送信し、しきい値未満のときに送信フレームを送信しないモードのときにタイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上となった場合、定期通常送信モードのときに送信フレームが送信される所定の時間間隔よりも短い時間間隔毎に送信フレームを送信することができる。
このように、タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに送信フレームを送信し、しきい値未満のときに送信フレームを送信しないモードのときにタイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上となった場合に、定期送信モードのときよりも短い時間間隔で送信すれば、受信機(3)でリアルタイムにタイヤ空気圧を検出することが可能となる。
さらに、本発明の第1の特徴において、複数の車輪にスペアの車輪が含まれる場合には、該スペアの車輪に備えられた送信機(2)が受信機(3)から送信されるデータ受信確認応答信号を含む信号を受信できない位置において、車体(6)に搭載されるようにすることができる。
例えば、スペアの車輪に備えられた送信機(2)からトリガ機(8a〜8d)までの距離が、前輪(5a、5b)および後輪(5c、5d)に配置された送信機(2)からそれに対応するトリガ機(8a〜8d)までの距離よりも長くなるようにすれば良い。また、アンテナの指向性を変えたり、スペアの車輪をシールドする方法もある。
このようにすれば、スペアの車輪に備えられた送信機(2)には、トリガ機(8a〜8d)から送信されるデータ受信確認応答信号を含む信号を受信されないため、送信機(2)は定期送信モードで動作することになる。
この場合、送信機(2)は、所定期間中、トリガ機(8a〜8d)から送信されるデータ受信確認応答信号を受信しないとき、スペアの車輪用の定期送信間隔で送信フレームを送信する定期送信ロングモードとなるようにすれば、より送信フレームの送信回数を低減することができ、電流消費量を低下させることができる。
また、本発明の第1の特徴において、送信機(2)に対して、該送信機(2)が取り付けられた車輪(5a〜5d)が回転していることを検出することで車両が走行中であることを検出する走行検出デバイスを備え、該走行検出デバイスにて車両が走行中であることが検出されないときには、スペアの車輪用の定期送信間隔で送信フレームを送信する定期送信ロングモードとなり、車両が走行中であることが検出されるまで、定期送信ロングモードから異なる制御モードへの移行を禁止することもできる。
このようにすれば、スペアの車輪に備えられた送信機(2)が他の車両から送信された信号を受信してしまうことにより、定期送信ロングモードがホットリンクモードなどの他の制御モードに誤って移行してしまうことを防止することが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機8a〜8dを備えて構成されている。
図1に示されるように、送信機2は、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧やタイヤ内の温度を検出すると共に、その検出結果を示すデータを送信フレーム内に格納して送信するものである。受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2から送信される送信フレームを受信し、その中に格納されたデータに基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。また、受信機3は、送信機2から送られてきた送信フレームを受信すると、その送信機2に向けてデータ受信確認応答(以下、Ackという)信号の送信も行っている。図2(a)、(b)に、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示す。
送信機2は、図2(a)に示されるように、センシング部21、電池22、制御部23a、無線部23bおよびアンテナ24を備えた構成とされ、電池22からの電流供給に基づいて作動する。
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に関するデータとして、タイヤ空気圧に応じた検出信号やタイヤ内の温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
制御部23a(第1制御部)は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので構成されている。具体的には、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
制御部23aは、センシング部21からのタイヤ空気圧に関するデータを受け取り、所定の演算周期毎にタイヤ空気圧を求め、それを検出結果を示すデータとして送信フレーム内に格納し、その後、必要に応じて送信フレームを無線部23bに送るものである。
具体的には、制御部23aは、タイヤ空気圧に関するデータを必要に応じて信号処理すると共に加工し、そこからタイヤ空気圧を求めると共にタイヤ内の温度を求める。そして、タイヤ空気圧やタイヤ内の温度のデータそのもの、もしくは、タイヤ空気圧をタイヤ内の温度に基づいて補正することで求めた所定温度下でのタイヤ空気圧のデータを送信フレーム内に格納し、無線部23bに送るようになっている。この無線部23bへ送信フレームを送る処理は、上記プログラムに従って必要なときにのみ実行される。
例えば、本実施形態の場合、制御部23aは、受信機3からのトリガ信号(データ要求信号)を受信したときと、実行される制御モードに規定されたタイミングで無線部23bへ送信フレームを送る。なお、ここでいう制御モードに関しては、後で詳細に説明する。
無線部23bは、アンテナ24を通じて、制御部23aから送られてきた送信フレームを変調し、変調信号として受信機3に向けて送信する出力部としての機能と、トリガ機8a〜8dから送られるAck信号やトリガ信号を入力し、制御部23aに送る入力部としての機能を果たすものである。
アンテナ24は、無線部23bから伝えられた送信フレームを電波として送信する役割と、受信機3から送られるAck信号やトリガ信号を受信し、無線部23bを介して制御部23aに送る役割も果たす。なお、ここではアンテナ24が送信と受信の双方が行える構成として示してあるが、送信用アンテナと充電用アンテナという別々の構成としても構わない。
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当する車輪5a〜5dのタイヤ空気圧およびタイヤ内の温度を検出し、それらの検出結果を示すデータもしくは検出結果に基づいて求めた所定温度でのタイヤ空気圧のデータを送信フレームに格納し、各送信機2に備えられたアンテナ24を通じて送信するという動作を行う。
一方、受信機3は、送信機2から送られてくる変調信号を復調し、その受信したフレームに格納されたデータを用いてタイヤ空気圧を検出するものである。
具体的には、受信機3は、図2(b)に示されるように、アンテナ31、受信部32aおよび制御部32bを備えた構成とされ、トリガ機8a〜8dからトリガ信号やAck信号を送信させるようになっている。
アンテナ31は、送信機2から送信される変調信号を受信部32aに伝え、受信部32aは、各アンテナ31から伝えられた変調信号を復調し、制御部32bに送る入力部としての機能を果たす。
制御部32b(第2制御部)は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
具体的には、制御部32bは、イグニッションスイッチのオンと同時に電源投入されると、トリガ機8a〜8dからトリガ信号を出力させる。また、制御部32bは、送信機2がこのトリガ信号に応答して変調信号を送ってきた場合だけに限らず、送信機2が送った変調信号を受信したすべてのときに、それに格納されたタイヤ空気圧に関するデータから、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を求めると共に、それを受け取ったことを示すAck信号を出力する。
さらに、制御部32bは、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。具体的には、制御部32bは、タイヤ空気圧が所定のしきい値を下回ったか否かを判定し、その判定結果に基づき、タイヤ空気圧の低下したことを示す信号を表示器4に出力するようになっている。
トリガ機8a〜8dは、受信機3からの指令に従って、様々なトリガコマンドを出力する。例えば、上記のようにイグニッションスイッチがオンされたときにトリガ信号を送信することで、各送信機2に対してデータ要求を出したり、受信機3が送信機2から送られた変調信号を受信したときにAck信号を送信するという動作を行う。
トリガ機8a〜8dは、前輪5a、5bと後輪5c、5dすべてに対して、すなわち送信機2の数に対応した個数備えられている(図1参照)。各トリガ機8a〜8dは、車体6のうち各送信機2の位置と対応する場所に設置されており、例えば、各送信機2から所定間隔離れた位置において車体6に固定されている。各送信機2と各トリガ機8a〜8dの距離は、トリガ機8a〜8dから送信されるAck信号やトリガ信号が送信機2で受信できる程度に設定されている。
なお、アンテナ31およびトリガ機8a〜8dを、Ack信号やトリガ信号の送信用と送信フレームの受信用を兼ねた共用アンテナとして構成とすることも可能である。
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知するようになっている。以上のようにしてタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
続いて、上記のように構成されるタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。
最初に、図3に、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置における状態遷移図を示し、この図を参照してタイヤ空気圧検出装置の作動の概略を説明する。
図3に示されるように、パワーオンリセット(状態A)が実行されると、条件に応じて様々な制御モードに遷移する。
ここで、制御モードとは、送信機2と受信機3との通信状況等に応じて設定されるモードのことを言い、本実施形態の場合、定期送信ロングモード(状態B)、定期通常送信モード(状態C)、ホットリンクモード(状態D)、通常トリガ送信モード(状態E)、パワーダウンモード(状態F)等が設けられている。
タイヤ空気圧検出装置の使用時には、定期送信ロングモード、定期通常送信モード、ホットリンクモード、通常トリガ送信モードのいずれかが設定されることになるが、どの制御モードが設定されているか受信機3側でも確認できるように、送信機2が送る送信フレームに制御モードを示すデータが格納されるようになっている。
例えば、図中に示したように、制御モードを示すデータは2桁のビットとして表され、定期送信ロングモード:00、定期通常送信モード:01、ホットリンクモード:11、通常トリガ送信モード:10として示される。このため、受信機3は、どの制御モードが設定されているかを認識し、制御モードに応じた信号、例えばモードを移行させるトリガ信号(以下、モード移行トリガ信号という)等を出力するようになっている。
〔(1)定期送信ロングモード:状態B〕
定期送信ロングモードは、図示しないスペアの車輪と他の車輪5a〜5dとを区別するためのモードである。パワーオンリセットが実行されると、まずこの定期送信ロングモードが設定される。スペアの車輪にも他の車輪5a〜5dと同様に送信機2を備える場合、スペアの車輪に備えられた送信機2は、この定期送信ロングモードが設定された状態となる。
スペアの車輪にも送信機2を備える場合、その送信機2から送られる送信フレームを用い、受信機3でスペアの車輪のタイヤ空気圧を検出できる。
しかしながら、スペアの車輪に関しては、車両1の走行のために使用されない限り、タイヤ空気圧の変化は自然減しかありえず、タイヤのパンクによる急変は想定できない。したがって、スペアの車輪に関しては、定期通常送信モードで設定される送信機2の送信フレームの送信(以下、単に電波送信という)の時間間隔よりも更に長い時間間隔とすれば十分である。
このため、定期送信ロングモードでは、例えば1時間毎に電波送信を行うという設定とされる。
なお、スペアの車輪に関しては、上述したようにタイヤ空気圧検出の必要頻度が他の車輪5a〜5dと比べて低い。また、他の車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を得たいときにスペアの車輪の電波送信が重なってしまうことで、受信機3がスペアの車輪のタイヤ空気圧を他の車輪5a〜5dのタイヤ空気圧と誤受信してしまうということも好ましくない。このため、他の車輪5a〜5dのいずれかに対して受信機3がAck信号やトリガ信号を送信したときに、スペアの車輪に備えられた送信機2はそのAck信号やトリガ信号が受信されないように、他の車輪5a〜5dと比べてトリガ機8a〜8dから離れた位置にスペア車輪を取り付けると好ましい。
例えば、スペアの車輪に備えられた送信機2からトリガ機8a〜8dまでの距離が、各車輪5a〜5dに配置された送信機2からそれぞれの車輪5a〜5dに対応するトリガ機8a〜8dまでの距離よりも長くなるようにすれば良い。また、スペアの車輪をシールドする方法でも良い。
また、アンテナ31の指向性を変えることで、スペアの車輪の送信機2が仮に変調信号を送信してきたとしても、それが受信し難くなるようにする方法も考えられる。
〔(2)定期通常送信モード:状態C〕
定期通常送信モード(定期送信モード)は、定期送信ロングモードが設定されているときに、受信機3からモード移行トリガ信号が送られてきたときや、各送信機2に加速度センサ等の走行検出デバイスを備えた場合において、その走行検出デバイスの検出信号から車両1が走行中であることが検出されたとき、もしくは、ホットリンクモードが設定されている場合において、何らかの事情(例えば、トリガ機8a〜8dの送信機能の故障によりAck信号が出力できない場合や、環境ノイズにより正常にAck信号を受信できない等)により送信機2がAck信号を受信できないようなときに設定される。
基本的に、定期通常送信モードは、何らかの事情によってAck信号が受信できない場合に、受信機3で送信機2が送った送信フレームを受信できているか否かは判らないが、少なくとも従来と同様にタイヤ空気圧に関するデータの定期通常送信を行うという趣旨で設定される。
この定期通常送信モードでは、通常時には例えば1分毎という比較的長い時間間隔で電波送信を行い、タイヤ空気圧の変化が大きいような場合には、それよりも短い時間間隔、例えば15秒間隔で電波送信を行う設定とされる。このため、後述するホットリンクモードにおいてタイヤ空気圧の変化が大きいときと比べると長い時間間隔になるものの、タイヤ空気圧の変化が大きくない場合にも、送信機2による電波送信が行われる。
なお、この定期通常送信モードが設定されたときには、送信フレームを送信する時間間隔より短い間隔でタイヤ空気圧センシングを行う必要がなくなるため、タイヤ空気圧センシングのための電流消費低減の為に、定期送信と同じ時間間隔でタイヤ空気圧センシングを行うようにすると良い。
〔(3)ホットリンクモード:状態D〕
ホットリンクモードは、定期通常送信モードが設定されている場合において、受信機3が定期通常送信モードからホットリンクモードへの移行を指示するAck移行トリガ信号(Ack信号とは異なるトリガコマンドの信号)を受信したときに設定される。また、定期通常送信モードが設定されている場合において、送信機2と受信機3の通信状況が良好な場合、具体的には送信機2から変調信号を送信したときに、トリガ機8a〜8dからそれを受け取ったことを示すAck信号が返され、かつ、送信機2でそのAck信号を受信できるような状況のときに設定される。したがって、定期通常送信モードが設定されても、送信機2および受信機3に異常がなければ、すぐにこのホットリンクモードに移行することになる。
このホットリンクモードでは、送信機2で演算周期毎に求めたタイヤ空気圧から、タイヤ空気圧の変化が大きいか否かを判定し、タイヤ空気圧の変化が大きいときにのみ、送信機2による電波送信を行うな設定とされる。このため、タイヤ空気圧の変化が大きくないときには送信機2による電波送信が行われず、タイヤ空気圧の変化が大きかったときには、定期通常送信モードよりも短い時間間隔、例えば1秒間隔で送信機2の電波送信が行われる。
〔(4)通常トリガ送信モード:状態E〕
通常トリガ送信モードは、定期送信ロングモード、定期通常送信モード、ホットリンクモードのいずれかが設定されている場合において、トリガ機8a〜8dからデータ送信要求を示すトリガ信号を受け取ったときに設定される。
この通常トリガ送信モードでは、トリガ機8a〜8dから送られるトリガ信号に応答して、送信フレームを1フレーム分だけ送信機2から送信し、送信後に、再び、通常トリガ送信モードに移行してくる前の制御モードに戻るという設定とされる。したがって、この通常トリガ送信モードにより、どの制御モードが設定されていたとしても、受信機3がタイヤ空気圧に関するデータを必要な場合には、そのデータを適宜得ることが可能となる。
〔(5)パワーダウンモード:状態F〕
パワーダウンモードは、定期送信ロングモードもしくは定期通常送信モードが設定されている場合において、送信機2がパワーダウンを示すパワーダウントリガ信号を受信した場合に設定される。パワーダウントリガ信号は、車両出荷前において、出荷工場などで独自のツールを用いて発生させられる。このパワーダウンモードが設定されると、送信機2での自発的な電波送信は停止され、出荷工場で車両出荷工程として送信機固有のID登録を行うときに起動トリガが与えられるまで、定期送信ロングモードに戻らないような設定とされる。
以上のように、各制御モードが設定されており、各車輪5a〜5dの送信機2は、設定された制御モードに従った処理を実行する。
なお、上述したように、スペアの車輪の場合、基本的には定期送信ロングモードが設定されることになるが、他車両で送信されたモード移行トリガを誤ってスペアの車輪に備えられた送信機2が受信してしまった場合には、定期通常送信モードやホットリンクモードに移行することもあり得る。
このような場合、スペアの車輪であるにもかかわらず、定期通常送信モードやホットリンクモードが継続されるのは電流消費の観点から好ましくない。このため、走行検出デバイスの検出信号から一定時間走行検出がなされなかった場合、もしくは、一定時間Ack信号やトリガ信号を受信しなかった場合に、再び定期送信ロングモードに戻るような設定としている。
次に、具体的なタイヤ空気圧検出装置における送信機2の作動として、通常時に設定されるホットリンクモードと定期通常送信モード、それぞれの場合に実行されるタイヤ空気圧検出処理を説明する。また、同様に、タイヤ空気圧検出装置における受信機3の作動についても説明する。
図4は、ホットリンクモードにおけるタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。この図に示される処理は、ホットリンクモードが設定されているときに、制御部23aにて所定の演算周期毎に実行される。
まず、ステップ100では、タイヤ空気圧センシングを行う。すなわち、センシング部21からのタイヤ空気圧の検出信号に基づいて、タイヤ空気圧を検出する。
そして、ステップ110に進み、タイヤ空気圧の変化があったか否かを判定する。具体的には、前回の演算周期で求めたタイヤ空気圧と、今回の演算周期で求めたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えているか否かを判定している。ここでいうしきい値は、自然減によるタイヤ空気圧の変化や圧力センサの精度を考慮して設定されるもので、例えば、タイヤがパンクしたときに15秒間で20kPaタイヤ空気圧が減少することから、その減少量と自然減によるタイヤ空気圧の減少量との中間の値がしきい値として設定される。ただし、その値がセンサの精度以下である場合、最低でもセンサの精度よりも大きい値となるよう設定される。
ステップ110で否定判定された場合には、電波送信を行う必要がないため、そのまま処理を終了し、肯定判定された場合には、ステップ120に進む。
ステップ120では、タイヤ空気圧の変化が温度変化に伴う圧力変化であるか否かを判定する。すなわち、タイヤ内の温度が急変した場合には、ボイルシャルルの法則により、タイヤ空気圧も急変することになるため、実際にはタイヤ空気圧の変化が大きなものでない可能性もある。このため、センシング部21からのタイヤ内の温度に応じた検出信号に基づいて温度を求め、前回の演算周期のときに求めた温度と今回の演算周期の時に求めた温度との差が所定のしきい値を超えているような場合には、タイヤ空気圧の変化が温度変化に因るものと判定する。
このステップで肯定判定されれば、電波送信を行う必要がないため、そのまま処理を終了し、否定判定された場合には、ステップ130に進む。
ステップ130では、データ送信を行う。すなわち、センシング部21から送られる検出信号に基づいて求めたタイヤ空気圧やタイヤ内のデータそのもの、もしくは、タイヤ空気圧をタイヤ内の温度に基づいて補正することで求めた所定温度下でのタイヤ空気圧のデータを送信フレーム内に格納し、無線部23bに送る。これにより、無線部23bからアンテナ24を通じて送信フレームを変調した変調信号を変調信号が送信される。
続く、ステップ140では、一定時間内にAck信号を受信したか否かを判定する。ステップ130で送信機2から変調信号が送信され、受信機3でそれが受信されると、受信機3がトリガ機8a〜8dを介してAck信号を出力させる。このAck信号が送信機2で受信されれば、受信機3に変調信号が届いているということが確認できる。すなわち、このように一定時間内でAck信号を受信したか否かを判定することで、受信機3との通信が正常に行われているか否かを判定できる。
なお、ここでいう一定時間は、送信機2が送信フレームを送信するのに掛かる時間(例えば15msec)と受信機3がAck信号を送信するのに掛かる時間(例えば20msec)を見込んで、それ以上の時間(例えば50ms)に設定される。
そして、ステップ140で肯定判定されれば、送信機2と受信機3との通信が正常に行われているということであるため、そのまま処理を終了し、否定判定されれば、ステップ150に進んで、データ送信のリトライを実行する。具体的には、上述したステップ130と同様の処理を再度行う。また、このとき、リトライの回数を記憶すべく、本ステップの処理を行う毎に、カウンタのカウント値を1つインクリメントする。
その後、ステップ160に進み、リトライが所定回数に達したか否かを判定する。つまり、受信率を高めるためにリトライを所定回数繰り返し行い、その間にAck信号が受信できなかった場合に、初めて送信機2と受信機3との通信が正常に行われていないとする。
したがって、本ステップで否定判定された場合には、再びステップ140およびステップ150の処理を実行し、ステップ140でAck信号が受信されない限り、リトライが所定回数に達するまでそれを繰り返す。そして、最終的にリトライを所定回数だけ行ってもAck信号が受信できなかった場合には、ステップ170に進んで定期通常送信モードに移行する。また、リトライの回数を計数していたカウンタのカウント値に関しては、ステップ140で肯定判定されたとき、もしくは、ステップ160で肯定判定されたときにリセットする。このようにして、ホットリンクモードにおけるタイヤ空気圧検出処理が実行される。
次に、定期通常送信モードにおけるタイヤ空気圧検出処理について説明する。図5は、定期通常送信モードにおけるタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。この図に示される処理は、定期通常送信モードが設定されているときに、制御部23aにて所定の演算周期毎に実行される。
まず、ステップ200では、送信時間間隔が経過したか否かを判定する。送信時間間隔は、予め設定された1つの値であっても良いが、ここでは通常時には例えば1分毎という比較的長い時間間隔、タイヤ空気圧の変化が大きいような場合には、それよりも短い時間間隔、例えば15秒間隔という2つの値とされている。なお、この送信時間間隔については、例えば前々回に求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えるか否かに基づいて、別フローで設定している。
設定された送信時間間隔に至ると、ステップ210に進み、タイヤ空気圧センシングを行う。すなわち、センシング部21からのタイヤ空気圧の検出信号およびタイヤ内の温度の検出信号に基づいて、タイヤ空気圧に関するデータを得る。その後、ステップ220に進み、ステップ210で得たタイヤ空気圧やタイヤ内のデータそのもの、もしくは、タイヤ空気圧をタイヤ内の温度に基づいて補正することで求めた所定温度下でのタイヤ空気圧のデータを送信フレーム内に格納し、無線部23bに送る。これにより、無線部23bからアンテナ24を通じて送信フレームを変調した変調信号を変調信号が送信される。
そして、ステップ230に進み、Ack信号を受信したか否かを判定する。ステップ220で送信機2から変調信号が送信され、受信機3でそれが受信されると、受信機3がトリガ機8a〜8dを介してAck信号を出力させる。このAck信号が送信機2で受信されれば、受信機3に変調信号が届いているということが確認できる。このため、Ack信号が受信されれば、送信機2と受信機3との通信が正常になったと考えられるため、ステップ240に進んでホットリンクモードへ移行し、Ack信号が受信されなければ、そのまま定期通常送信モードを継続する。このようにして、定期通常送信モードにおけるタイヤ空気圧検出処理が実行される。
続いて、受信機3で実行するデータ受信確認処理について説明する。図6は、データ受信確認処理のフローチャートである。この図に示される処理は、制御部32bにて、所定の演算周期毎に実行される。
まず、ステップ310では、イグニッションスイッチがオンに切り替わったか否かを判定する。イグニッションスイッチがオフのときには、車両1が走行することはなく、タイヤ空気圧検出を行う必要がない。このため、イグニッションスイッチがオンになるまで待機する。
そして、イグニッションスイッチがオンになると、ステップ320に進み、トリガ機8a〜8dにトリガ信号の送信を行わせる。このトリガ信号は、送信機2に対してタイヤ空気圧に関するデータの送信を要求するものである。このトリガ信号を送信機2が受信すると、定期送信ロングモード、定期通常通信モード、ホットリンクモードのいずれであっても、通常トリガ送信モードに移行し、タイヤ空気圧に関するデータが格納された送信フレームを1フレーム分だけ送信し、その後、再び通常トリガ送信モードに移行してくる前の制御モードに戻る。
これにより、受信機3は、各送信機2からイグニッションスイッチをオンしたときの各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧、つまり車両1の走行開始時のタイヤ空気圧に関するデータを取得することができ、そのときのタイヤ空気圧を求めることができる。
なお、各送信機2の制御部23aは、このトリガ信号の受信確認に基づく通常トリガ送信モードへの移行処理を上述した図4、図5に示す処理とは独立して実行している。
続く、ステップ330では、データ受信があったか否かを判定する。すなわち、送信機2から送られた変調信号を受信したか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、ステップ340に進んでAck信号を送信する処理を実行し、否定判定された場合にはそのまま何もせずに本処理を繰り返す。このようにして、受信機3でのデータ受信確認処理が実行される。
以上のようにして、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置が作動する。このような作動と従来の作動との相違について、図7、図8を参照して説明する。
図7(a)、(b)は、それぞれ、従来のタイヤ空気圧検出装置と本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動を模式的に示したものである。
図7(a)に示されるように、従来のタイヤ空気圧検出装置では、受信機が主制御装置、送信機が従属制御装置として機能する。具体的には、受信機がトリガ機よりトリガ信号を送信機に向けて送信すると、送信機がそれを受け取り、タイヤ空気圧に関するデータを含む送信フレームを変調して受信機に向けて送信するという応答を行う。そして、この応答があったか否かを受信機側で判定し、応答がなかった場合には、受信機が再度トリガ信号を送信することで応答を要求するという作動を行っている。
これに対して、図7(b)に示されるように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、基本的に、受信機3が従属制御装置、送信機2が主制御装置として機能する。具体的には、送信機2が送信フレームを変調した変調信号を送信すると、受信機3がそれを受け取り、受信機3が受け取ったことを示すAck信号をトリガ機8a〜8dより送信するという応答を行う。そして、この応答があったか否かを送信機2側で判定し、応答がなかった場合には、送信機2が再度変調信号を送信することで、Ack信号を要求するという作動を行う。
図8は、上記のような従来の作動が行われた場合と本実施形態の作動を行った場合のタイミングチャートを示したものである。図8(a)は、従来の作動が行われた場合のタイミングチャート、図8(b)は、本実施形態の作動を行った場合のタイミングチャートであり、共に、ある瞬間にタイヤ空気圧が急変したと想定し、送信機2の電波送信タイミングと受信機3での受信の状況について例示的に示している。
従来の作動が行われる場合、図8(a)に示されるように、タイヤ空気圧が急変する前には比較的長い時間間隔(例えば1分間隔)で送信機2の電波送信タイミングが到来する。この場合において、仮に1度でも受信機3で送信フレームを受信できなければ、電波送信の時間間隔分、受信機3が保有するタイヤ空気圧のデータが送信機2で取得したタイヤ空気圧のデータに更新できないため、圧力ホットリンク(Pressure Hot Link)が構築できなくなる。
また、タイヤ空気圧が急変している最中には、比較的短い時間間隔(例えば15秒間隔)で送信機2の電波送信タイミングが到来するものの、常にタイヤ空気圧が変化しているため、電波送信タイミングの一瞬しか受信機3が保有するタイヤ空気圧のデータが送信機2で取得したタイヤ空気圧のデータに追従できず、圧力ホットリンクが構築されているとは言えない。
これに対し、本実施形態の作動を行う場合、図8(b)に示されるように、タイヤ空気圧が急変する前には、送信機2の電波送信タイミングが到来せず、受信機3にタイヤ空気圧に関するデータが送られない。ところが、それはタイヤ空気圧がイグニッションスイッチがオンされたときに取得したタイヤ空気圧から変化していないことを示していることになる。このため、結果的に、受信機3が保有するタイヤ空気圧のデータが送信機2で取得したタイヤ空気圧のデータに常に更新されていると同じこととなり、圧力ホットリンクを構築することが可能となる。
また、タイヤ空気圧が急変している最中には、タイヤ空気圧の急変前に電波送信を行っていないため、従来よりも大幅に短い時間間隔で電波送信を行うことが可能となり、その短い時間間隔毎に受信機3が保有するタイヤ空気圧のデータを送信機2で取得したタイヤ空気圧のデータに更新することができる。このため、タイヤ空気圧が急変しても、受信機3が保有するタイヤ空気圧のデータを送信機2で取得したタイヤ空気圧のデータに追従させることができ、圧力ホットリンクを構築できる。
さらに、参考として、従来の作動が行われた場合と本実施形態の作動を行った場合の電流消費量について、ある実際の製品を用いて調べてみた。図9は、その結果を示したイメージ図である。
具体的には、従来の作動としては、送信機2で15秒毎にタイヤ空気圧センシングを行い、1分間隔で電波送信を行った場合の電流消費量について調べた。その結果、総電流消費量が419mA/hとなり、電波送信による電流消費量が総電流消費量の81%を占め、タイヤ空気圧センシングによる電流消費量がわずか3%であった。
また、本実施形態の作動としては、送信機2で1秒毎にタイヤ空気圧センシングを行い、非定期で電波送信を行った場合の電流消費量について調べた。その結果、総電流消費量が176mA/hとなり、電波送信による電流消費量が総電流消費量の12%まで落ち込み、タイヤ空気圧センシングによる電流消費量が61%であった。
このように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、タイヤ空気圧が自然減のときの送信機2からの電波送信回数を大幅に減らすことを可能にしつつ、かつ、タイヤ空気圧が大きく変化する場合と大きく変化しない場合いずれのときにも、受信機3でタイヤ空気圧をリアルタイムで得ることが可能となる。
このため、送信機2での消費電流低減を図り、電池容量を少なくできるタイヤ空気圧検出装置とすることが可能となる。また、送信機2と受信機3との間のリンクが図れ、送信機2で検出したタイヤ空気圧を受信機3側にリアルタイムで反映させられるタイヤ空気圧検出装置とすることも可能である。
(他の実施形態)
上記実施形態において、送信機2に対して車輪5a〜5dが回転していることを検出することで車両が走行中であることを検出する走行検出デバイスを備える場合、送信機2は、該走行検出デバイスにて車両が走行中であることが検出されないときには、スペアの車輪用の定期送信間隔で送信フレームを送信する定期送信ロングモードとなり、車両が走行中であることが検出されるまで、定期送信ロングモードから異なる制御モードへの移行を禁止することもできる。
このようにすれば、スペアの車輪に備えられた送信機2が他の車両から送信された信号を受信してしまうことにより、定期送信ロングモードがホットリンクモードなどの他の制御モードに誤って移行してしまうことを防止することが可能となる。
なお、上記実施形態では、タイヤ空気圧の変化が大きかった場合をタイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上であるか否かに基づいて判定したが、これは、タイヤ空気圧の変化の傾きが所定のしきい値以上になった場合など、実質的に、タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上になった場合を判定するようなものも含む概念を意味している。
本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置のブロック構成を示す図である。 (a)は、図1に示すタイヤ空気圧検出装置に備えられる送信機のブロック構成を示す図であり、(b)は、図1に示すタイヤ空気圧検出装置に備えられる受信機のブロック構成を示す図である。 図1に示すタイヤ空気圧検出装置における状態遷移図である。 ホットリンクモードにおけるタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。 定期通常送信モードにおけるタイヤ空気圧検出処理のフローチャートである。 データ受信確認処理のフローチャートである。 (a)、(b)は、それぞれ、従来のタイヤ空気圧検出装置と本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動を模式的に示した図である。 (a)は、従来の作動が行われた場合のタイミングチャート、(b)は、本実施形態の作動を行った場合のタイミングチャートである。 従来の作動が行われた場合と本実施形態の作動を行った場合の電流消費量のイメージを示したグラフである。
符号の説明
1…車両、2…送信機、3…受信機、4…表示器、5a〜5d…車輪、6…車体、21…センシング部、22…電池、23a…制御部、23b…無線部、24…アンテナ、31…アンテナ、32a…受信部、32b…制御部。

Claims (8)

  1. 複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた送信機(2)と、
    車体(6)側に備えられた受信機(3)とトリガ機(8a〜8d)を備え、
    前記送信機(2)は、複数個の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)と、前記センシング部(21)の検出信号が示すタイヤ空気圧に関するデータを送信フレームに格納する第1制御部(23a)と、前記第1制御部(23a)に伝える電波の受信と該第1制御部(23a)から伝えられる電波の送信を行う無線部(23b)と、前記センシング部(21)や前記第1制御部(23a)および前記無線部(23b)への電流供給を行う電池(22)とを備え、前記無線部(23b)を通じて前記送信フレームを送信するように構成され、
    前記受信機(3)は、電波の受信を行う受信部(32a)と、前記受信部(32a)を通じて前記送信フレームを受け取り、前記送信フレームに格納された前記タイヤ空気圧に関するデータに基づいて前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれのタイヤ空気圧を求める第2制御部(32b)とを備えた構成とされ、
    前記トリガ機(8a〜8d)によるトリガコマンドを受信可能な位置に前記送信機(2)が配置されたタイヤ空気圧検出装置であって、
    前記送信機(2)は、前記第1制御部(23a)にて、前記センシング部(21)の出力する検出信号に基づいてタイヤ空気圧を検出し、該タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに前記無線部(23b)を通じて前記送信フレームを送信し、該タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値未満のときに前記送信フレームを送信しないモードで作動し、
    前記受信機(3)は、前記送信フレームを受信すると、該送信フレームに格納された前記タイヤ空気圧に関するデータに基づいて前記複数個の車輪(5a〜5d)それぞれのタイヤ空気圧を求めると共に、該送信フレームを受け取ったことを示すデータ受信確認応答信号を前記トリガ機(8a〜8d)より送信するようになっており、
    前記送信機(2)は、前記送信フレームの送信後、前記トリガ機(8a〜8d)からの前記データ受信確認応答信号を一定時間待ち、該一定時間中に前記データ受信確認応答信号を受信しなかったときには、再度前記送信フレームを送信するリトライを行うと共に、前記リトライを一定回数行っても前記データ受信確認応答信号を受信しなかったときには、前記送信フレームを所定の時間間隔毎に送信する定期送信モードで作動することを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
  2. 前記センシング部(21)は前記タイヤ内の温度に応じた検出信号も出力しており、
    前記第1制御部(23a)は、前記温度に応じた検出信号に基づいて前記タイヤ内の温度を求め、前記タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値を超えたのが前記タイヤ内の温度変化に起因するものであるか否かを判定し、該温度変化に起因するものであると判定した場合には、前記送信フレームを送信しないことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  3. 前記送信機(2)は、前記定期送信モードのときには、前記センシング部(21)でのセンシング間隔も該定期送信の時間間隔に合せて、前記所定の時間間隔毎に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  4. 前記送信機(2)は、前記定期送信モードのときに前記データ受信確認応答信号を受信すると、前記タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに前記送信フレームを送信し、該しきい値未満のときに前記送信フレームを送信しないモードに切替ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  5. 前記送信機(2)は、前記タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上のときに前記送信フレームを送信し、該しきい値未満のときに前記送信フレームを送信しないモードのときに前記タイヤ空気圧の変化が所定のしきい値以上となった場合、前記定期通常送信モードのときに前記送信フレームが送信される前記所定の時間間隔よりも短い時間間隔毎に前記送信フレームを送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  6. 前記複数の車輪にスペアの車輪が含まれ、該スペアの車輪に備えられた前記送信機(2)が前記トリガ機(8a〜8d)から送信される前記データ受信確認応答信号を受信できない位置において、前記車体(6)に搭載されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  7. 前記送信機(2)は、所定期間中、前記受信機(3)から送信される前記データ受信確認応答信号を含む信号を受信しないとき、前記スペアの車輪用の定期送信間隔で前記送信フレームを送信する定期送信ロングモードとなることを特徴とする請求項に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  8. 前記複数の車輪にスペアの車輪が含まれ、該スペアの車輪にも前記送信機(2)が備えられ、
    前記送信機(2)は、該送信機(2)が取り付けられた車輪(5a〜5d)が回転していることを検出することで車両が走行中であることを検出する走行検出デバイスを備え、該走行検出デバイスにて前記車両が走行中であることが検出されないときには、前記スペアの車輪用の定期送信間隔で前記送信フレームを送信する定期送信ロングモードとなり、前記車両が走行中であることが検出されるまで、定期送信ロングモードから異なる制御モードへの移行を禁止することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
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