以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5を参照して説明する。なお、図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方、紙面左右方向が車両の左右方向に一致している。
図1に示すタイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送受信機2a〜2d、受信機3および表示器4を備えて構成されている。
図1に示すように、送受信機2a〜2dは、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出し、その検出結果やタイヤ空気圧が低下したこと等を示すタイヤ空気圧に関するデータを送信する。また、受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられる車載器であり、送受信機2a〜2dから送信されるタイヤ空気圧に関するデータを受信することでタイヤ空気圧もしくはタイヤ空気圧の低下を検出する。また、本実施形態にかかる送受信機2a〜2dと受信機3は、送受信機2a〜2dから受信機3への通信だけでなく、その逆も可能な双方向通信を行えるものとされている。また、各送受信機2a〜2d同士の間においても双方向通信を行えるものとされている。このため、受信機3と送受信機2a〜2dとの相互間におけるデータ通信が可能となっており、各送受信機2a〜2dのうちの一部が他の一部を通じて送受信機2a〜2dとデータ通信を行うことも可能となっている。
なお、双方向通信の形態については様々なものを適用することができ、BLE(Bluetooth Low Energyの略)通信を含むブルートゥース通信、wifiなどの無線LAN(Local Area Networkの略)、Sub-GHz通信、ウルトラワイドバンド通信、ZigBeeなどを適用できる。なお、「ブルートゥース」は登録商標である。以下、図2および図3を参照して、送受信機2a〜2dおよび受信機3の詳細構成について説明する。
図2に示すように、送受信機2a〜2dは、センシング部21、制御部22、双方向通信部23、電池24およびアンテナ25を備えた構成となっており、電池24からの電力供給に基づいて各部が駆動されるようになっている。
センシング部21は、例えば圧力センサ21aや温度センサ21bおよび加速度センサ21cを備えた構成とされている。圧力センサ21aは、タイヤ空気圧に応じた検出信号を出力する。温度センサ21bは、タイヤ内温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ21cは、タイヤ回転に伴って発生する加速度、例えば各車輪5a〜5dの径方向の加速度に応じた検出信号を出力するものである。そして、センシング部21は、これら圧力センサ21aや温度センサ21bおよび加速度センサ21cの出力する検出信号を制御部22に伝えている。
なお、これらのうちタイヤ空気圧に応じた検出信号やタイヤ内温度に応じた検出信号はタイヤ空気圧検出に用いられ、加速度に応じた検出信号は車両1が走行中であるか駐車中であるかの判定に用いられる。
制御部22は、第1制御部に相当し、メモリ22aやタイマ22bを有した構成とされている。ここではメモリ22aやタイマ22bのみ図示してあるが、制御部22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、メモリ22aの記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部22内のメモリ22aには、各送受信機2a〜2dを特定するための送受信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含むID情報が格納されている。また、各送受信機2a〜2d間において予め決めておいた固有情報や、各送受信機2a〜2dと受信機3との間において予め決めておいた固有情報についても、後述するエラーレート算出のために、メモリ22aに記憶してある。なお、ここでの固有情報は、すべて同じものであっても良いし、異なる物であっても良い。
制御部22は、センシング部21から出力された検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工する。そして、制御部22は、タイヤ空気圧検出に用いるタイヤ空気圧やタイヤ内温度の検出結果を示すデータについては、各送受信機2a〜2dのID情報と共にフレーム内に格納し、所定のタイミングでそのフレームを双方向通信部23に送る。更に、フレームには、必要に応じて、各送受信機2a〜2dと受信機3とで予め決めておいた固有情報も含めるようにしている。また、制御部22自身でタイヤ空気圧低下の判定を行うようにすることもできる。その場合、制御部22にて、タイヤ空気圧低下が生じているか否かを示すデータもフレーム内に格納して双方向通信部23に送られるようにする。例えば、制御部22は、所定の基準温度に換算したときのタイヤ空気圧を所定の警報閾値Thと比較し、タイヤ空気圧が警報閾値Th以下に低下したことを検知した場合にタイヤ空気圧低下が生じたことを示すデータをフレームに格納する。そして、制御部22は、双方向通信部23を通じて受信機3に対してフレーム送信を行う。
なお、以下の説明では、タイヤ空気圧やタイヤ内温度の検出結果を示すデータ、および、タイヤ空気圧低下の発生の有無を示すデータのことをタイヤ空気圧に関するデータという。ただし、タイヤ空気圧に関するデータにこれらすべてのデータが必ず含まれている必要はなく、タイヤ空気圧やタイヤ内温度の検出結果を示すデータと、タイヤ空気圧低下の発生の有無を示すデータの一方だけであっても良い。
また、制御部22は、他の送受信機2a〜2dと受信機3とが通信を行うときの中継器としての役割を果たす中継機能と、他の送受信機2a〜2dを中継器として受信機3との通信を行う中継元機能も有している。
制御部22は、受信機3との間の通信が良好に行われていない場合には中継器の指示を出し、中継器を介して受信機3との間の通信が行われるようにする中継指示処理を行う。受信機3との間の通信が良好に行われていない場合とは、フレーム送信を行っても受信機3から応答信号が一定期間中に届かない場合や、受信機3から送られてきた応答信号が一定の条件を満たさない場合が該当する。応答信号が一定の条件を満たさない場合としては、例えば、送受信機2a〜2dが応答信号を受信したときの受信強度が規定値以下の場合や、応答信号に受信完了信号が含まれていなかった場合などが挙げられる。また、応答信号に予め各送受信機2a〜2dと受信機3との間で決めておいた固有情報を含め、応答信号に含まれる固有情報と各送受信機2a〜2dで記憶しておいた固有情報とを照合したエラーレートが閾値以下である場合も、一定の条件を満たさない場合となる。これらの場合には、制御部22は、他の送受信機2a〜2dに対して中継器となることを指示する中継トリガを送信する。これにより、中継器を介して受信機3にフレームが伝えられるようにする。なお、エラーレートとは、通信状況を示す指標であり、例えばデータの復調率などとされる。
逆に、制御部22は、受信機3で良好に受信できていれば要求に応じて中継器になるという中継器処理を行う。具体的には、フレームが的確に受信されていた場合には、制御部22は、中継トリガの受信を待機し、中継トリガを受信すると、中継機能を起動して自身が中継器となる。これにより、制御部22は、中継トリガを送信してきた送受信機2a〜2d(以下、中継元器という)と受信機3との間のデータ通信を中継し、中継元器から送信したタイヤ空気圧に関するデータが受信機3に受信されるようにする。また、送受信機2a〜2dのうちの複数が中継器になり得るため、制御部22は、自身が中継器となった場合、どれが最良中継器であるかを選択する際の第1判定指標として、中継元器から送信されてきたフレームの受信強度やエラーレートを検出する。そして、制御部22は、中継器として、中継元器が送信してきたフレームに第1判定指標のデータを含めて受信機3に伝えるようにしている。
このように、制御部22は、送信したフレームが受信機3で良好に受信できていなければ中継器の指示を出し、中継器を介して受信機3にフレーム送信が行われるようにする中継指示処理と、自身が中継器になるという中継器処理を行う。
また、制御部22は、加速度の検出結果については、車両が走行中であるか否かの判定に用いている。例えば、加速度センサ21cが各車輪5a〜5dの径方向の加速度に応じた検出信号を出力するものである場合、制御部22は、検出信号から重心加速度成分を取り除き、遠心加速度成分を抽出する。この遠心加速度成分の変化は、タイヤの回転状態を示している。このため、制御部22は、遠心加速度成分が発生していることに基づいて車両1が走行中であることを検出したり、遠心加速度成分の変化に基づいて車速を検出したりしている。
なお、制御部22は、受信機3に向けてのフレーム送信を定期送信周期毎に行っている。定期送信周期については一定であっても良いが、加速度の検出結果に基づいて車両が走行中であるか否かを判定できるため、走行中と駐車中とで定期送信周期を変え、駐車中には走行中よりも長い定期送信周期としている。また、走行中にタイヤ空気圧の低下が発生した時には、自らもしくは受信機3からの要求に基づいて更に定期送信周期を変えるようにしても良い。
また、本実施形態では、上記した各処理を車両の走行中には行っておらず、駐車中にのみ行うようにしている。車両の走行中には、駐車中と異なり、車輪5a〜5dが回転させられることから、各送受信機2a〜2dの位置が変化していく。このため、仮に、送受信機2a〜2dがNullの位置に来た時にフレーム送信が行われて、受信機3で受信できなかったとしても、次のフレーム送信の時などに受信機3で受信できるようになる。このため、上記した各処理については、駐車中だけでなく車両の走行中にも実施しても良いが、ここでは駐車中にのみ実施している。そして、車両の走行中には、従来と同様に、各送受信機2a〜2dの制御部22は、上記した各処理を行うことなく、単に、走行時の定期送信周期毎に受信機3に対してフレーム送信を行うという動作を行っている。
双方向通信部23は、第1送受信部に相当し、アンテナ25を通じて、受信機3や他の送受信機2a〜2dとのデータ通信を行うものである。具体的には、双方向通信部23は、制御部22から送られてきたフレームを電波として受信機3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。また、双方向通信部23は、受信機3や他の送受信機2a〜2dから電波として届くデータを受信する入力部としての機能も果たす。双方向通信部23は、ここでは1つの構成として記載されているが、送信部と受信部それぞれ別々に構成されたものであっても良い。制御部22から双方向通信部23へ信号を送る処理は上記プログラムに従って行われる。
電池24は、センシング部21や制御部22などに対して電力供給を行っており、この電池24からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22での各種演算などが実行される。
このように構成される送受信機2a〜2dは、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、送受信機2a〜2dは、該当車輪のタイヤ空気圧を検出し、各送受信機2a〜2dに備えられたアンテナ25を通じて、フレームを送信するようになっている。
一方、図3に示すように、受信機3は、アンテナ31、双方向通信部32および制御部33を備えた構成となっている。
アンテナ31は、車体6に備えられ、各送受信機2a〜2dから送られてくるフレームを受信したり、各送受信機2a〜2dに対してデータを伝える電波を送信することでデータ送信を行ったりするためのものである。ここでは、アンテナ31は、各送受信機2a〜2dとの送受信を総括的に行う1本の共通アンテナで構成されているが、送受信機2a〜2dごとに備えられたものであっても良いし、送信用と受信用とで別々のもので構成されていても良い。
双方向通信部32は、第2送受信部に相当し、各送受信機2a〜2dから送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部33に送る入力部としての機能を果たす。また、双方向通信部32は、制御部33からの指示に従って、各送受信機2a〜2dに対してデータ送信を行う出力部としての機能も果たす。双方向通信部32は、ここでは送信および受信の両方を行える構成とされているが、送信部と受信部それぞれ別々の構成とされたものであっても良い。
制御部33は、第2制御部に相当し、メモリ33aやタイマ33bを有した構成とされている。ここではメモリ33aやタイマ33bのみ図示してあるが、制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、メモリ33aの記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。具体的には、制御部33は、図示しないバッテリなどの電源からの電力供給に基づいて作動し、双方向通信部32でのフレーム受信やデータ送信の制御を行ったり、タイヤ空気圧検出に関わる各種処理を行ったりする。
例えば、制御部33は、タイヤ空気圧検出に関わる各種処理として、受信処理、中継通信処理および圧力検出処理等を行っている。
受信処理では、各送受信機2a〜2dからのフレームの受信を行うための処理を行う。車両の起動スイッチに相当するイグニッション(以下、IGという)スイッチがオンされたときには、受信機3に対してバッテリなどの電源からの電力供給が行われる。このときには、受信処理として、受信機3は常に各送受信機2a〜2dから送信されたフレームを受信可能な状態となる。これにより、受信機3は、各送受信機2a〜2dからフレーム送信が行われたときに、それを受信することができる。なお、受信機3から各送受信機2a〜2dへのデータ通信も可能となっていることから、フレーム受信を行った場合に、受信したフレームに格納された送受信機2a〜2dのID情報を付して、受信完了信号等を含むデータを送ることもできる。
一方、IGスイッチがオフされて駐車中の際には、電源から受信機3への電力供給がオフされるため、通常は、受信機3は送受信機2a〜2dからデータ送信されたフレームを受信することができない。このため、制御部33は、受信処理として、IGスイッチがオフされている場合には規定時間毎に電源からの電力供給に基づいてウェイクアップし、各送受信機2a〜2dからデータ送信されたフレームを受信可能となるようにする。例えば、IGスイッチがオフされているときにもタイマ33bで時間計測が行われるようにしておき、規定時間毎に所定期間中だけフレーム受信可能な状態に切り替わるプログラムをメモリ33aに記憶してある。
ここでいう所定期間とは、送受信機2a〜2dからデータ送信されたフレームの受信を完了して各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧の検出を行うまでの期間を意味している。上記したように、送受信機2a〜2dは、加速度センサ21cの検出信号に基づいて車両が走行中であるか駐車中であるかを判定しており、車両が走行中と駐車中とで定期送信周期を変えている。ここでの所定期間は、駐車時の定期送信周期に応じて各送受信機2a〜2dから送信されてくるフレーム、もしくは、中継器を通じて送信されてくるフレームを受信し、それらに基づくタイヤ空気圧検出が完了するまでの期間とされる。
中継通信処理は、中継器を通じて中継元器とのデータ通信を行う処理である。具体的には、制御部33は、中継器を通じて中継元器から送信されたフレームを受信したり、フレームを受信したことを中継元器に伝えたりする。また、上記したように、送受信機2a〜2dのうちの複数が中継器になり得る。このため、制御部33は、第2判定指標として中継器からのフレームを受信したときの受信強度やエラーレートの算出を行ったのち、第1判定指標および第2判定指標に基づいて最良中継器を選択している。ここでのエラーレートについては、中継器となる送受信機2a〜2dと受信機3との間において予め決めておいた固有情報と中継器から送られてきたフレームに含まれる固有情報とを照合することにより求めることができる。
圧力検出処理では、双方向通信部32から受け取ったフレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことでタイヤ空気圧を求める。そして、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部33は、求めたタイヤ空気圧を所定の警報閾値Thと比較し、タイヤ空気圧が所定の警報閾値Th以下に低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。また、送受信機2a〜2dでタイヤ空気圧検出を行っている場合には、受信したフレーム中に含まれるタイヤ空気圧低下が発生したことを示すデータに基づいて、表示器4にタイヤ空気圧低下が発生したことを伝えることもできる。
さらに、制御部33は、4つの車輪5a〜5dそれぞれのタイヤ空気圧を求めたら、そのタイヤ空気圧を各車輪5a〜5dと対応させて表示器4に出力することもできる。メモリ33aには、各車輪5a〜5dに配置されている送受信機2a〜2dのID情報が各車輪5a〜5dの位置と関連づけられて記憶されている。このため、制御部33は、フレームに格納されたID情報と照合することで、受信したフレームが車輪5a〜5dのどれに取り付けられた送受信機2a〜2dであるかを認識し、タイヤ空気圧が低下した車輪を特定できる。これに基づき、タイヤ空気圧低下が発生した場合に、低下した車輪を特定して表示器4に出力する。また、タイヤ空気圧低下が発生していない場合でも、求めたタイヤ空気圧を各車輪5a〜5dと対応させて、表示器4に出力するようにしても良い。
このようにして、4つの車輪5a〜5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したこと、もしくは、4つの車輪5a〜5dそれぞれのタイヤ空気圧が表示器4に伝えられる。
ただし、IGスイッチがオフの際、つまり駐車中には、表示器4に表示してもユーザが確認する可能性が低く、有効ではない。このため、IGスイッチがオフの際には、表示器4への出力は行わず、求めたタイヤ空気圧もしくはタイヤ空気圧が低下したことをデータとして記憶しておき、IGオフ時にすぐに表示器4への出力が行えるようにしている。また、駐車中にタイヤ空気圧が複数回求められた場合には、最新のデータに更新するようにしている。
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプやディスプレイによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。または、受信機3から4つの車輪5a〜5dそれぞれのタイヤ空気圧が伝えられると、各車輪5a〜5dと対応させて各タイヤ空気圧を表示する。
なお、本実施形態では、表示器4をドライバへの警告を行う警告部として用いているが、表示器4のように視覚的に警告を行うものの他、スピーカなどの聴覚的に警告を行うものを警告部として用いても良い。
以上のようにして、本実施形態にかかるタイヤ空気圧検出装置が構成されている。続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。
例えば、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、バッテリからの電力供給に基づいて受信機3などが作動させられる。これにより、制御部33は、送受信機2a〜2dから送信されるフレームが受信されることを待機する。一方、各送受信機2a〜2dでは、電池24からの電力供給に基づいて、センシング部21や制御部22などが駆動され、所定の制御周期毎に、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22での各種処理などが実行される。そして、制御部22において、加速度センサ21cの検出信号に基づいて車両が走行中であるか駐車中であるが判定され、その判定結果に応じた定期送信周期毎にタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送信される。
これに基づき、受信機3では、制御部33が圧力検出処理を行うことで、タイヤ空気圧が検出される。具体的には、受信機3でのフレーム受信が行われ、そのフレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧が検出される。そして、この検出結果に基づき、表示器4を通じてタイヤ空気圧の表示もしくはタイヤ空気圧が低下したことの表示が行われる。
このとき、車両の走行中には、車輪5a〜5dが回転させられることから、各送受信機2a〜2dの位置が変化していく。このため、仮に、送受信機2a〜2dがNullの位置に来た時にフレーム送信が行われて、受信機3で受信できなかったとしても、次のフレーム送信の時などに受信機3で受信できるようになる。また、車両の走行中には、比較的短い定期送信周期でフレーム受信が行われる。このため、車両の走行中には、送受信機2a〜2dは、単に、従来と同様に、走行時の定期送信周期毎に受信機3に対してフレーム送信を行うという動作を行っている。また、走行中にタイヤ空気圧の低下が発生した時には、自らもしくは受信機3からの要求に基づいて更に定期送信周期を短周期に変えられるようしている。
一方、駐車中には、いずれかの送受信機2a〜2dがNullの位置にあって、送信したフレームが受信機3に受信されない可能性がある。このため、上記した中継指示処理、中継器処理、中継通信処理、受信処理を含む各処理が実行される。以下、送受信機2a〜2dの制御部22および受信機3の制御部33で実行される各処理について説明するが、それに先立ち、各送受信機2a〜2dおよび受信機3の動作の流れについて、図4A〜図4Hを参照して説明する。なお、図4A〜図4Hは、左前輪5bの送受信機2bから送信したフレームが受信機3で受信されず、残りの車輪5a、5c、5dの送受信機2a、2c、2dから送信したフレームが受信機3で受信された場合を例に挙げている。
まず、図4Aに示すように、駐車中には、駐車中に設定される定期送信周期毎に各送受信機2a〜2dからフレーム送信が行われる。これを受信機3が受信することになるが、左前輪5bの送受信機2bのようにNullの位置にあると、送信したフレームが受信機3で受信できなかったり、受信できたとしても良好な通信状況ではなかったりすることがある。一方、受信機3は、フレームを受信すると、図4Bに示すように、受信したフレームに格納されたID情報と共に受信完了信号やエラーレートを求めるための固有情報を格納した応答信号を送信する。これにより、送受信機2a、2c、2dには応答信号が受信されることで受信完了信号が伝えられる。ただし、送受信機2bについては、応答信号を受信できない。または、受信できたとしても、送受信機2bについては、応答信号の受信強度が規定値以下となる、応答信号に含まれる固有情報と自身が記憶している固有情報とを照合したときのエラーレートが閾値以下となって、応答信号が一定の条件を満たさなくなる。
これにより、送受信機2bは、受信機3との通信状況が良好ではない状況であることを認識する。このため、図4Cに示すように、送受信機2bは、一定期間中に応答信号が届かないこと、もしくは、応答信号が一定の条件を満たさないことに基づき、中継元器として、他の送受信機2a、2c、2dに対して中継トリガを送信する。この中継トリガが、例えば、左前輪5bから比較的近い右前輪5aおよび左後輪5dの送受信機2a、2dに受信される。そして、中継トリガを受け取った送受信機2a、2dについては中継器となり、図4Dに示すように、中継機能を起動したことを示す起動情報を中継元器である送受信機2bに送信する。このようにして、中継トリガを送信してきた送受信機2bに対して起動情報を知らせることができる。
この起動情報が送受信機2bに届くと、図4Eに示すように、送受信機2bから中継可能な送受信機2a、2dに対し、中継させる情報(以下、中継情報という)、例えば最初に受信機3に送ったものと同じタイヤ空気圧に関するデータを含むフレームを送信する。これにより、送受信機2a、2dは、送受信機2bからのフレームを受信したときの受信強度とエラーレートを検出する。ここで検出した受信強度やエラーレートは、第1判定指標となるものである。そして、各送受信機2a、2dは、これら受信強度およびエラーレートを送受信機2bから送られてきたタイヤ空気圧に関するデータに加えてフレームに格納し、図4Fに示すように受信機3に向けて送信する。
この後、受信機3で送受信機2a、2dから送信されたフレームが受信されると、受信機3では、各送受信機2a、2dからのフレームを受信したときの受信強度とエラーレートを検出する。また、受信機3は、ここで検出した受信強度やエラーレートを第2判定指標として、第1判定指標と第2判定指標とに基づいて、送受信機2a、2dのいずれが最良中継器であるかを選択する。ここでは、送受信機2dが最良中継器として選択されている。
そして、図4Gに示すように、受信機3は、送受信機2a、2dのうち最良中継器として選択した方のID情報を付した選定データと送受信機2bに対して送信する応答信号などのデータとを送信する。これに基づいて、送受信機2aについては自身が最良中継器ではないことを確認して中継機能を停止させ、送受信機2dについては自身が最良中継器になったことを確認して、図4Hに示すように、受信機3から伝えられたデータを送受信機2bに対して伝える。これにより、送受信機2dを最良中継器として、送受信機2bと受信機3との間のデータ通信の中継が行われる。この後、送受信機2bと受信機3とのデータ通信が完了すると、受信機3から送受信機2bに対して通信終了信号が送られる、さらに、受信機3から送受信機2dに対して終了トリガが送信される。これにより、送受信機2dが中継機能を停止させて、送受信機2bと受信機3との中継が終了する。
このように、送受信機2a〜2dのいずれかについて、送信したフレームが受信機3で受信されなかった場合に、他の送受信機2a〜2dが中継器となって、中継元器と受信機3とのデータ通信が行われる動作を行う。以下、このような動作を行うために、送受信機2a〜2dの制御部22および受信機3の制御部33で実行される各処理について、図5〜図8を参照して説明する。
最初に、図5を参照して、駐車中に各送受信機2a〜2dの制御部22が実行する処理について説明する。
まず、ステップS100に示すように、制御部22は、タイマ22bを用いて、第1タイマのカウントをスタートする。ここでいう第1タイマは、定期送信周期に相当する時間を計測するものである。第1タイマの計測する時間については、車両走行中であるか駐車中であるかによって異なるが、ここでは駐車中である場合を想定して説明する。この後、ステップS105に進み、第1タイマが定期送信周期Taに達したか否かを判定し、定期送信周期Taに達するとステップS110に進み、達していなければ達するまで第1タイマのカウントを継続する。そして、ステップS110に進むと、制御部22は、センシング部21からタイヤ空気圧に応じた検出信号およびタイヤ内温度に応じた検出信号を取得し、これに基づいてタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを作成して双方向通信部23から送信する。このとき、送信したフレームが受信機3で受信されれば、受信機3から送受信機2a〜2dのうち受信できたもののID情報と共に受信完了信号やエラーレート算出用の固有情報を含めた応答信号が送信されてくることになる。
このため、ステップS115に進み、制御部22は、タイマ22bを用いて、第2タイマのカウントをスタートする。ここでいう第2タイマは、フレーム送信を行った後に、受信機3から応答信号が送信されてくるであろうと想定される期間を計測するものである。この後、制御部22は、ステップS120に進んで受信機3からの応答信号を受信したか否かを判定し、ステップS125で第2タイマが規定時間Tbに達する前に応答信号を受信すれば、ステップS130に進む。そして、ステップS130において、制御部22は、応答信号に基づいて受信機3との通信状況が良好であるか否かを判定する。
ここで、制御部22は、応答信号が一定の条件を満たさない場合には否定判定し、一定の条件を満たしていれば肯定判定する。一定の条件を満たさない場合とは、受信完了信号が含まれていない場合、応答信号の受信強度が規定値以下の場合、応答信号に含まれる固有情報と送受信機2a〜2dで記憶しておいた固有情報とを照合したときのエラーレートが閾値以下の場合などが挙げられる。そして、ステップS130で肯定判定された場合には、受信機3との通信状況が良好で、自身が送信したフレームが受信機3に伝わっていることから、ステップS135に進んで第1タイマおよび第2タイマをリセットして処理を終了する。なお、このようにして送受信機2a〜2dのうち受信機3との通信状況が良好と判定されたものについては、中継器となり得ることから、制御部22にて、後述する図8に示す中継器処理を実行することになる。
一方、ステップS130で否定判定された場合には、ステップS140以降に示す中継指示処理を実行する。具体的には、制御部22は、ステップS140において、第2タイマをリセットすると共に、タイマ22bを用いて第3タイマのカウントをスタートしたのち、ステップSS145に進んで中継トリガを送信する。ここでいう第3タイマは、中継トリガを送信したときに、中継器となる送受信機2a〜2dからの中継機能の起動情報、つまり中継可能であることを示すデータが送信されてくるであろうと想定される期間を計測するものである。
ステップS150では、制御部22は、起動情報を受信したか否かを判定し、ステップS155で第3タイマが規定時間Tcに達する前に起動情報を受信すれば、ステップS160に進む。そして、制御部22は、最初に受信機3に送ったものと同じフレームを中継器に対して送信する。これにより、中継器に中継機能を発揮させられ、中継元器から受信機3に直接フレーム送信を行う場合よりも良好な通信状況において、受信機3にタイヤ空気圧に関するデータを伝えることが可能となる。この後、中継器を介して送信したフレームが受信機3で受信され、最終的に受信機3からデータ通信が完了したことを示す通信終了信号が送られてくる。このため、制御部22は、ステップS165で通信終了信号を受信したことを判定すると、ステップS170に進んで第1タイマおよび第3タイマをリセットして処理を終了する。このように、各送受信機2a〜2dは、自身と受信機3との通信状況が良好ではないときには、中継指示処理を実行して他の送受信機2a〜2dに中継器になって貰う指示を出し、中継器を通じて受信機3との通信を行えるようにしている。
なお、中継トリガの送信後に規定時間Tcを経過しても起動情報が届かなかった場合には、中継を行うことができないと想定される。この場合、制御部22は、中継不可状態と判定し、ステップS170に進んで上記した処理を行い、受信機3や他の送受信機2a〜2dとの通信を速やかに終了する。これにより、消費電力の低減を図っている。この場合であっても、再び定期送信周期Taになると上記各処理が繰り返されることになるため、その際に再度、各送受信機2a〜2dからのフレーム送信が行われ、タイヤ空気圧の検出が行われることになる。
次に、図6を参照して、駐車中に受信機3の制御部33が実行する処理について説明する。
まず、制御部33は、受信処理として、ステップS200において、タイマ33bを用いて第4タイマのカウントをスタートしたのち、ステップS205において第4タイマが規定時間Tdに至ったか否かを判定する。ここでいう規定時間Tdは、駐車中にタイヤ空気圧検出を行う頻度を決めるものであり、この規定時間Td毎に駐車中のタイヤ空気圧検出が行われることになる。
また、ステップS205で肯定判定されるとステップS210に進み、制御部33は、タイマ33bを用いて第5タイマのカウントをスタートする。ここでいう第5タイマは、駐車中のタイヤ空気圧検出の制限時間を決めるものである。この第5タイマのカウントがスタートされると、ステップS215に進み、制御部33は、ステップS215において送受信機2a〜2dから送信されたフレームを受信したか否かを判定する。この判定は、フレームが未受信の場合には、ステップS220で第5タイマが規定時間Teに達して、タイムアウトするまで繰り返される。なお、タイムアウトした場合には、ステップS280において第5タイマをリセットして処理を終了する。
そして、フレームを受信した場合、ステップS225に進み、フレームに格納されたデータに、第1判定指標が含まれているか否かを判定する。第1判定指標が含まれていない場合、受信したフレームが中継器を介さずに伝えられたものであり、第1判定指標が含まれている場合には、受信したフレームが中継器を介して伝えられたものである。このため、ステップS225で否定判定された場合にはステップS230に進み、応答信号を送信する。具体的には、フレームを受信したときの受信強度を求め、受信強度に応じて応答信号を作成している。例えば、受信強度が閾値以上であれば良好な通信状況で受信できているとして、受信完了信号を含む応答信号を送信する。また、受信強度が閾値以下であれば良好な通信状況で受信できていない可能性があることから、各送受信機2a〜2dとの間で予め決めておいた固有情報を含ませた応答信号を送信する。この応答信号に基づいて、上記したように、各送受信機2a〜2dは、図5のステップS130の処理を行っている。
その後、ステップS235に進み、すべての送受信機2a〜2dから送信されたフレーム、つまり4輪分のタイヤ空気圧に関するデータを受信したか否かを判定し、4輪分のタイヤ空気圧に関するデータを受信するまでステップS215からの処理を繰り返す。そして、4輪分のタイヤ空気圧に関するデータが揃うと、ステップS240に進み、第5タイマをリセットして処理を終了する。
一方、受信したフレームに第1判定指標が含まれていた場合には、そのフレームが中継器を介して伝えられたものである。この場合にはステップS245に進み、第5タイマをリセットしてから更にステップS250に進む。そして、ステップS250において、第2判定指標として、フレームを受信したときの受信強度とフレームに格納された固有情報をメモリ33aに記憶してある固有情報と照合してエラーレートを算出する。この処理は、第1判定指標を含むフレームを複数受信した場合、つまり複数の中継器からのフレームを受信した場合、それぞれの中継器に対して行われる。その後、ステップS255に進み、複数の中継器からのフレームを受信していた場合には、それぞれの中継器における第1判定指標と第2判定指標とから、最良中継器を選定する。
最良中継器の選定については、最良中継器選定処理により行っている。図7を参照して、最良中継器選定処理について説明する。
最良中継器については、第1判定指標および第2判定指標に含まれる受信強度やエラーレートに基づいて選定する。受信強度が第1閾値よりも大きい場合は、エラーレートを確認するまでもなく、良好な通信状況となっている場合である。また、受信強度が第2閾値よりも大きいものの第1閾値よりも小さい場合には、良好な通信状況とは言えない可能性がある場合であり、その場合にはエラーレートを確認して、良好な通信状況になっているか否かを確認することが必要となる。また、受信強度が第2閾値よりも小さい場合は、良好な通信状況とは言えない場合である。これらに基づき、最良中継器が選定されるようにする。
具体的には、図7におけるステップS300に示すように、制御部33は、第1判定指標および第2判定指標における受信強度が共に第1閾値よりも大きいという条件を満たす中継器があるか否かを判定する。ここで肯定判定されるとステップS305に進み、条件を満たす中継器を最良中継器に設定する。また、条件を満たす中継器が複数ある場合には、それぞれの中継器の第1判定指標に含まれる受信強度同士および第2判定指標に含まれる受信強度同士を比較して、最も大きいものを最良中継器に設定し、処理を終了する。このとき、第1判定指標と第2判定指標とで受信強度の大きい方の中継器が異なっている場合には、例えば第2判定指標に含まれる受信強度が大きい方を最良中継器として設定する。なお、この場合に第1判定指標と第2判定指標のいずれを優先するかについては、車両における電波環境などによって決まるものである。電波伝播特性上においては、送受信機2a〜2dの間でのデータ通信は障害となるものが少ないため、送受信機2a〜2dと受信機3との間のように障害が多いと考えられる方の特性を優先するのが好ましい。このため、第2判定指標の受信強度が大きい方を優先して最良中継器に選定している。
また、ステップS300で否定判定された場合には、ステップS310に進み、制御部33は、第1判定指標における受信強度が第2閾値よりも大きい中継器があるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合にはステップS315に進み、制御部33は、第1判定指標における受信強度が第2閾値よりも大きい中継器を第1最良中継器に選定する。該当する中継器が複数ある場合には、制御部33は、第1判定指標における受信強度が大きい中継器を第1最良中継器に選定する。また、ここで、否定判定された場合にはステップS320に進み、制御部33は、第1判定指標におけるエラーレートを比較して最も大きい中継器を第1最良中継器に選定する。
さらに、ステップS325に進み、制御部33は、第2判定指標における受信強度が第2閾値よりも大きい中継器があるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合にはステップS330に進み、制御部33は、第2判定指標における受信強度が第2閾値よりも大きい中継器を第2最良中継器に選定する。該当する中継器が複数ある場合には、制御部33は、第2判定指標における受信強度が大きい中継器を第2最良中継器に選定する。また、ここで、否定判定された場合にはステップS335に進み、制御部33は、第2判定指標におけるエラーレートを比較して最も大きい中継器を第2最良中継器に選定する。
そして、ステップS340に進み、制御部33は、第1最良中継器と第2最良中継器が一致しているか否かを判定する。ここで、一致していれば、ステップS350に進み、制御部33は、第1最良中継器かつ第2最良中継器として選定された中継器を最終的な最良中継器として選定する。また、一致していなければ、ステップS345に進み、制御部33は、第2最良中継器を第1最良中継器よりも優先して最終的な最良中継器として選定する。このとき、第1最良中継器と第2最良中継器のいずれを優先するかについては、車両における電波環境などによって決まるものである。電波伝播特性上においては、送受信機2a〜2dの間でのデータ通信は障害となるものが少ないため、送受信機2a〜2dと受信機3との間のように障害が多いと考えられる方の特性を優先するのが好ましい。このため、第1最良中継器よりも第2最良中継器を優先している。
このように、第1判定指標と第2判定指標に基づいて通信状況が良好なものを判定し、中継器の中から最も通信状況が良いものを最良中継器として選定している。そして、第1判定指標と第2判定指標との間において、通信状況が最も良好な中継器が異なっている場合には、第2判定指標において通信状況が最も良いものを優先して最良中継器に選定している。
このようにして、受信機3において、送受信機2a〜2dの中から最も安定して通信を中継可能なものを最良中継器として選定し、その情報が送受信機2a〜2dのうちフレーム受信できなかったものに対して伝えられ、安定した通信を確立することが可能となる。また、このように最良中継器を決めることで、各送受信機2a〜2dの位置が変化することで電波伝播特性が変化しても、その都度、最も通信状況の良好なものを最良中継器に選定することができる。最良中継器の選定は、受信強度とエラーレートのいずれか一方のみに基づいて行うようにしても良い。しかしながら、これらの両方に基づいて選定することで、送受信機2a〜2dの中でより安定して中継が可能なものを最良中継器に選定できる。
以上のようにして、最良中継器処理が終了となり、図6のステップS260に進む。そして、送受信機2a〜2dのうち最良中継器として選定したもののID情報等、最良中継器となったことを示すデータを付して、中継元器に対して伝える応答信号を送信する。例えば、中継器を通じて送られてきたフレームより、中継元器のタイヤ空気圧を良好に検出できていれば受信完了信号を含めた応答信号を送信し、良好に検出できていなければ再度タイヤ空気圧に関するデータを要求する応答信号を送信する。そして、ステップS265において、制御部33は、最良中継器を介して、中継元器との通信を行い、中継元器のタイヤ空気圧を検出する。なお、受信機3から送信された応答信号に基づいて、各中継器は、自身が最良中継器に選定されたか否かを把握できるため、最良中継器に選定されていれば中継機能を継続し、選定されていなければ中継機能を停止することになる。これにより、最良中継器ではなかった中継器については、中継機能を速やかに停止させられるため、消費電力の低減を図ることができる。
その後、ステップS270に進み、制御部33は、中継元器との通信が終了したか否か、つまり中継元器のタイヤ空気圧が検出されたか否かを判定し、肯定判定されるまではステップS265の処理を繰り返す。そして、制御部33は、中継元器との通信が終了すると、中継元器に対して中継終了信号を送信したのちステップS275に進み、中継器に対して中継終了を示す終了トリガを送信させる。これにより、最良中継器が中継機能を停止させて、中継元器と受信機3との通信が終了となる。このとき、終了トリガを受信機3から送信することで、送受信機2a〜2dの消費電力の低減が図れる。
続いて、図8を参照して、送受信機2a〜2dのうち中継器となり得るものの制御部22が実行する中継器処理について説明する。この処理は、上記したように、図8に示すステップS135の処理を終えた送受信機2a〜2dについて実行されるものである。
まず、ステップS400に示すように、制御部22は、タイマ22bを用いて、第6タイマのカウントをスタートする。ここでいう第6タイマは、駐車中に設定される定期送信周期に相当する時間を計測するものである。この後、ステップS405に進み、制御部22は、中継トリガを受信したか否かを判定し、ステップS410で第6タイマが規定時間Tfに達する前に中継トリガを受信すれば、ステップS415に進む。
ここで、中継トリガが出される可能性があるのは、自身以外の送受信機2a〜2dからフレーム送信が行われた場合である。このため、定期送信周期に相当する時間分、中継トリガが受信されなければ、他の送受信機2a〜2dが中継の要求していないと考えられる。したがって、第6タイマが規定時間Tfに達する前に中継トリガが受信されなければ、タイムアウトとなってステップS420に進み、第6タイマをリセットして処理を終了する。
そして、制御部22は、ステップS415において、中継トリガの受信に伴って、中継機能を起動させたことを示す起動情報を送信したのち、ステップS425に進んで第6タイマをリセットする。このとき送信された起動情報が中継元器で受信されると、図5に示すステップS160に示すように空気圧に関するデータや固有情報を格納したフレームが再び送信される。このため、ステップS430において、制御部22は、中継情報、つまり中継元器から送信されたフレームを受信する。
その後、ステップS435に進み、制御部22は、第1判定指標として中継元器からのフレームを受信したときの受信強度およびエラーレートを検出する。エラーレートについては、各送受信機2a〜2dの間において、予め決めておいた固有情報と受信した固有情報とを照合することで求めている。そして、ステップS440に進み、制御部22は、自身のID情報と共に、受信強度およびエラーレートを中継元器から送られてきたタイヤ空気圧に関するデータに加えたフレームを受信機3に送信する。
続いて、ステップS445に進み、制御部22は、タイマ22bを用いて、第7タイマのカウントをスタートする。ここでいう第7タイマは、中継器から受信機3にデータ送信を行った場合に受信機3から応答信号が返ってくると想定される時間に設定される。この後、ステップS450に進み、制御部22は、受信機3からの応答信号を受信したか否かを判定し、ステップS455で第7タイマが規定時間Tgに達する前に応答信号を受信すれば、ステップS460に進む。また、受信できなければ、タイムアウトとなってステップS465に進み、第7タイマをリセットして処理を終了する。
ステップS460では、制御部22は、受信機3から受信した応答信号に自身のID情報が含まれていたか否かを判定する。上記したように、受信機3で最良中継器が選定され、応答信号に最良中継器のID情報が付けられる。このため、ステップS460で肯定判定された場合には、自身が最良中継器となっているため、ステップS465に進んで受信機2と中継元器との通信を中継する。そして、ステップS470において、制御部22は、受信機3から中継元器との通信が終了したことを示す終了トリガを受信するまで中継を継続し、終了トリガを受信すると中継器処理を終了する。
また、ステップS460で否定判定された場合には、自身が最良中継器ではないことから、ステップS475に進んで第7タイマをリセットし、中継機能を停止して中継器処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、駐車中にもタイヤ空気圧検出を行えるようにしている。そして、いずれかの送受信機2a〜2dについてタイヤ空気圧に関するデータを送信しても車体側の受信機3で受信できない場合や受信状況が良好ではない場合、他の送受信機2a〜2dが中継器となって受信機3に伝えるようにしている。これにより、例えば送受信機2a〜2dがNullの位置にある場合にも、確実に受信機3にタイヤ空気圧に関するデータを伝えることができる。
したがって、駐車中にも確実に受信機3でのデータ受信が行えるタイヤ空気圧検出装置とすることができる。そして、駐車中にタイヤ空気圧検出が行えることから、ユーザが車両を走行させなくてもタイヤ空気圧検出を行うことができ、より早くからユーザにタイヤ空気圧を報知できる。このため、例えば、タイヤ空気圧が低下していた場合に、ユーザは車両の走行前にそれを知ることができ、空気圧調整を行うことができることから、より車両走行の安全性を高めることが可能となる。
具体的には、送受信機2a〜2dからタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを送信すると、それに対応して受信機3から応答信号が送信されるようにしている。そして、受信機3から応答信号が一定期間中に届かない場合には、受信機3との間の通信が良好に行われなかったとして、中継器を介して受信機3との間の通信が行われるように、中継元器から中継トリガを送信させる。同様に、応答信号の受信強度が閾値以下の場合や応答信号に含めておいた固有情報と送受信機2a〜2dに記憶しておいた固有情報とを照合したときのエラーレートが閾値以下の場合も中継トリガを送信させる。これにより、中継器となる送受信機2a〜2dの中継機能を起動させることができ、中継器を介して、中継元器と受信機3との通信が可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、車搭された受信機3にて、IGスイッチなどの車両を発進可能にするための起動スイッチがオフされている駐車中にもタイヤ空気圧検出を行えるようにする場合を例に挙げた。しかしながら、これは一例を示したに過ぎない。例えば、ユーザがスマートフォンや自動車整備工場で用いられるツールなどの携帯機器を受信機として用いて行う場合においても同様の手法によってタイヤ空気圧検出を行うことができる。すなわち、図9に示すように、携帯機器7を受信機3さらには表示器4として機能させ、携帯機器7にてタイヤ空気圧検出を行いつつ、その結果を表示する。このようにすれば、ユーザは、起動スイッチがオンされて表示器4による表示が行われるようにしなくても、駐車中に実施されたタイヤ空気圧検出結果を前もって携帯機器7を通じてタイヤ空気圧の検出結果を知ることができる。
また、携帯機器7を通じてタイヤ空気圧検出を行う場合、駐車時の定期送信周期毎の各送受信機2a〜2dからのフレーム送信が行われるまで、待機時間が長くなる可能性がある。
したがって、この場合には、携帯機器7から各送受信機2a〜2dに対して起動トリガを出し、定期送信周期ではなくても各送受信機2a〜2dからタイヤ空気圧に関するデータを含むフレーム送信を行わせるようにすると好ましい。そして、送受信機2a〜2dのうち携帯機器7でフレーム受信が行えなかったものがあった場合には、受信が行えた他のものを中継器として、通信の中継を行わせることで、確実に携帯機器7にタイヤ空気圧の検出結果を伝えることが可能となる。このようにすれば、携帯機器7を用いて、より短時間でタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。勿論、このように起動トリガを各送受信機2a〜2dに伝え、定期送信周期に限らずタイヤ空気圧検出を行わせるようにすることは、携帯機器7を用いる場合に限らず、受信機3にタイヤ空気圧を伝える場合でも同様に可能である。
なお、携帯機器7から起動トリガを出しても、それを受信できなかった送受信機2a〜2dが有った場合、その送受信機2a〜2dからは定期送信周期にならないとタイヤ空気圧に関するデータを含むフレーム送信が行われない。このため、一定期間中にタイヤ空気圧に関するデータが届かない車輪が有った場合、その旨を携帯機器7に表示するようにしても良い。
(2)また、上記実施形態では、複数の送受信機2a〜2dのいずれかがタイヤ空気圧に関するデータを受信機3に送信する際に、それよりも受信機3との通信状況が良好な他のいずれかを中継器として用いるものであれば、どのような形態であっても良い。
例えば、上記実施形態では、送受信機2a〜2dのうち中継器となるものを、中継元器から送信されたフレームを受信できた中継器の中から最も通信状況の両行のものとした。これに対して、中継器となり得る送受信機2a〜2dのうち中継元器から最も距離が近いものを中継器として選定したり、受信機3から最も距離が近いものを中継器として選定したりしても良い。このように、中継器を予め決めておいても良く、このように予め中継器を選定しておけば、中継器の選定に掛かる消費電力を低減できる。
また、携帯機器7を用いる場合、携帯機器7から起動トリガを送信した時など、携帯機器7から電波が送られたときに各送受信機2a〜2dで受信強度を測定すれば、各送受信機2a〜2dと携帯機器7との距離を把握できる。このため、携帯機器7を用いる場合にも、送受信機2a〜2dのうち携帯機器7から最も距離が近いものを中継器として選定することもできる。
(3)送受信機2a〜2dとして、エア注入バルブに取り付けられるものを例に挙げて説明したが、他の場所に備えられるものであっても良い。また、加速度センサ21cについては、タイヤ径方向の加速度を検出するものに限らない。
一例を示すと、送受信機2a〜2dとして、タイヤトレッドの裏面に配置されるタイヤマウントセンサと呼ばれるタイヤ側装置を適用することもできる。送受信機2a〜2dがタイヤマウントセンサとされる場合、加速度センサ21cが出力する検出信号については、タイヤ接線方向の振動の大きさに応じた検出信号として用いることもできる。この場合、加速度センサ21cの検出信号となる出力電圧波形は、タイヤの回転に伴ってタイヤトレッドのうち加速度センサ21cの配置箇所と対応する部分が接地し始めた接地開始時に極大値をとる。また、当該出力電圧波形は、タイヤの回転に伴ってタイヤトレッドのうち加速度センサ21cの配置箇所と対応する部分が接地していた状態から接地しなくなる接地終了時に極小値を取る。このため、加速度センサ21cの検出信号に基づいて、車両が走行中であることを検出することができる。
なお、タイヤマウントセンサを送受信機2a〜2dとして用いる場合において、加速度センサ21cにてタイヤ接線方向の振動を検出する場合について説明したが、他の方向、例えばタイヤ径方向の振動を検出しても同様のことを行える。
また、タイヤマウントセンサを送受信機2a〜2dとして用いる場合、加速度センサ21cに代えて、圧電素子を用いることもできる。圧電素子は、応力に応じた出力電圧を発生させることから、タイヤトレッドの変形に伴って、加速度センサ21cと同様の波形の出力電圧を発生させることになる。このため、圧電素子の出力電圧を検出信号として用いて、車両1が走行中であることを検出することができる。
さらに、タイヤマウントセンサを送受信機2a〜2dとして用いる場合、加速度センサ21cもしくは圧電素子の検出信号に基づいてタイヤ空気圧検出を行うこともできる。すなわち、加速度センサ21cもしくは圧電素子の検出信号が極大値を取るときから極小値を取るときまでの期間に対してタイヤ回転速度を掛ければ、タイヤ接地面の長さが求められる。そして、タイヤ接地面の長さは、タイヤ空気圧に応じて変化することから、タイヤ接地面の長さに基づいてタイヤ空気圧を算出することができる。したがって、このようにしてタイヤ空気圧を算出する場合には、加速度センサ21cもしくは圧電素子が圧力センサとして機能することになる。
また、上記第1実施形態においても、加速度センサ21cにてタイヤ径方向の加速度、つまり遠心方向の加速度を検出する例を示したが、タイヤ接線方向の加速を検出しても良い。タイヤ接線方向の加速度も、車両1の走行に伴って増減するため、それに基づいて車両1が走行中である駐車中であるかを検出することができる。
(4)上記第1実施形態では、駐車中に中継機能を用いたタイヤ空気圧検出を行う場合について説明したが、車両走行中にも実施可能である。ただし、図5のステップS100における第1タイマは車両走行中と駐車中とで異なるが設定される。このため、車両走行中には、駐車中よりも短い定期送信周期で第1タイマが設定され、ステップS115で計測する第2タイマが規定時間Tbに達するよりも前に、繰り返しフレーム送信が行われる。したがって、車両走行中に繰り返しクレーム送信が行われることで、どこかのタイミングでタイヤ空気圧に関するデータが受信機3に伝わることになり、その場合には、車両走行中には中継機能を用いなくても済む。
(5)また、上記各実施形態では、タイヤ空気圧検出装置のうち車体6側に備えられた部分を受信機3として総括的に記載しているが、受信機3は必ずしも1つの構成でなくても良い。例えば、受信機能を果たすアンテナ31や双方向通信部32とタイヤ空気圧検出機能を果たす制御部33とが別々の場所に備えられていても良い。