JP4552462B2 - ポリエステル重縮合反応留出物の処理方法 - Google Patents

ポリエステル重縮合反応留出物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールを主原料とするポリエステルの製造において、その重縮合反応の際に生成する重縮合反応留出物の処理方法に関する。詳しくは、ポリエステルの製造における重縮合反応留出物を処理し、該留出物中のポリエステル低分子量体やジカルボン酸に代表される固形物を変性し、蒸留残渣(高沸物)の常温での流動性を改良する処理方法に関する。
ポリエステルを代表するポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という場合がある)は、テレフタル酸(以下、「TPA」という場合がある)及び/又はジメチルテレフタレートとエチレングリコール(以下、「EG」という場合がある)とをエステル化及び/又はエステル交換反応させてポリエステル低分子量体(以下、「オリゴマー」という場合がある)とし、この低分子量体を重縮合触媒の存在下、主にEGと水とを留出させながら重縮合する方法により製造されている。このポリエステルの重縮合反応は、通常、高温、減圧下で行われるため、オリゴマー、未反応TPA、重縮合触媒等が、昇華又はEGや水に随伴されて留出する。この、主としてEGと水から成る重縮合反応留出物は、多管式コンデンサー、EGシャワー式の湿式コンデンサー等により、減圧装置の上流側で冷却凝集される。湿式コンデンサーを使用する場合はその冷却媒体を含む重縮合反応留出物の冷却凝集物は、通常、そのまま、及び/又は、蒸留工程等でEG以外の成分を分離して、ポリエステル重縮合反応用原料として再利用される(以下、重縮合反応留出物、及び湿式コンデンサーを使用する場合の冷却媒体と重縮合反応留出物との混合物を、「留出物」という場合がある)。
ところが、留出物を蒸留工程で蒸留すると、オリゴマーや未反応TPA及び/又はそれらの反応物が高濃度で蒸留残渣中に残留し、常温で沈降、固化して、蒸留残渣の流動性が著しく低下するという問題があった。
留出物の蒸留や精製分離に関しては、多くの技術が開示されている。例えば、特許第3300370号公報には、留出物中に含まれる固着性物(オリゴマーやジカルボン酸モノマー)による蒸留塔や配管の閉塞を防止することを目的として、固着性物を遠心分離した後、残余のジオール成分を蒸留する方法が開示されている。しかし、この方法においては、分離された固着性物を処理及び/又は再利用する際に、その流動性の改良が新しい課題となる。そこで、この方法では遠心分離した固着性物を新しいEGで希釈後、加熱して流動化し、初期重縮合工程に戻すことにより再利用することが示されている。ところが、重縮合反応留出物に含まれる固形物を変性することにより蒸留残渣の常温における流動性を効率良く改良する技術については、これまで開示されていなかった。
特許第3300370号公報
本発明は、ポリエステル製造時に生成する重縮合反応留出物に含まれる固形物を変性することにより、ポリエステル重縮合原料であるジオール成分の蒸留回収効率を損なうことなく、蒸留残渣(高沸物)の常温における流動性を改良する方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、その要旨は、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを主成分とする原料をエステル化及び/又はエステル交換反応し、次いで重縮合反応することによりポリエステルを製造する際の重縮合反応留出物の処理方法において、該留出物に、下記(a)及び/又は(b)の処理を施し、処理混合物を蒸留することを特徴とする留出物の処理方法に存する。
(a)エチレングリコールよりも沸点が高いアルコールを混合する処理
(b)ポリエステルの重縮合触媒能を有する化合物を混合する処理
本発明によれば、ポリエステル製造における重縮合反応留出物に含まれる固形物を変性することにより蒸留残渣の常温における流動性を改良することができるので、ポリエステル重縮合原料であるジオール成分の蒸留回収効率を損なうことがない。また、蒸留残渣の流動性を改良することで、例えば高沸物を焼却して熱回収する際の取り扱いが容易になる。
以下に記載する本発明の構成要件についての説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明におけるポリエステルは、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールとを主成分とする原料から製造されるものであり、その代表的なポリエステルは、通常はテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸及び/又はそのエステル形成誘導体成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを原料とし、エステル化及び/又はエステル交換反応を経て重縮合させることにより製造されるものである。ここで、「ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールとを主成分とする」とは、全原料に対してジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とジオールとの合計が90重量%以上、好ましくは95重量%以上、更に好ましくは98重量%以上であることを意味する。
ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。中でも、好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられる。
又、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸ジメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等の上記ジカルボン酸の炭素数1以上4以下のアルキル基を有するエステル或いはハロゲン化物等が挙げられる。
ジオール成分としては、通常はエチレングリコール、ジエチレングリコール(反応系内で副生するものを含む)、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール等が挙げられる。中でも、エチレングリコールが好ましい。
更に、共重合成分として、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分等が用いられてもいてもよい。
また、得られるポリエステルの調色を目的として、染料や顔料等を添加してもよい。染料や顔料等の添加は、通常、スラリー調製工程及び/又はエステル化工程で行われる。
本発明方法は、上記の如きテレフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする原料からポリエステルを製造する際の重縮合反応で生成する留出物に対して、特に好適に適用されるので、以下、この場合を例にして説明する。
本発明に関わるポリエステルの製造方法は、通常、ポリエステルの製造に採用されている慣用的な製造方法を用いることができる。一般的には、テレフタル酸を主原料成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主原料成分とするジオール成分とを、必要に応じて用いられる共重合成分等と共に、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとし(スラリー調製工程)、エステル化反応槽で常圧或いは加圧下、加熱下で、エステル化反応させた後(エステル化反応工程)、得られたエステル化反応生成物であるポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒能を有する化合物の存在下に、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合させる(重縮合工程)。
ここで、原料スラリーの調製は、一般的にテレフタル酸を主原料成分とするシカルボン酸成分とエチレングリコールを主原料成分とするジオール成分、及び必要に応じて用いられる共重合成分等とを、混合することによりなされる。混合されるジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は、下限が通常1.02、好ましくは1.03、上限が通常2.0、好ましくは1.7の範囲である。
また、エステル化反応は、通常、単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。又、得られるエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は、通常500以上5000以下である。
エステル化反応における反応条件としては、例えば単一のエステル化反応槽の場合、温度は、通常240℃以上280℃以下程度、大気圧に対する相対圧力は、通常0kPa以上400kPa以下(0kg/cm2G以上4kg/cm2G以下)程度、反応時間は、攪拌下に通常1時間以上10時間以下程度とする。また、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、下限は通常240℃、好ましくは245℃、上限は通常270℃、好ましくは265℃、大気圧に対する相対圧力を、下限は通常5kPa(0.05kg/cm2G)、好ましくは10kPa(0.1kg/cm2G)、上限は通常300kPa(3kg/cm2G)、好ましくは200kPa(2kg/cm2G)とし、最終段における反応温度は、下限が通常250℃、好ましくは255℃、上限は通常280℃、好ましくは275℃、大気圧に対する相対圧力は、下限が0kPa(0kg/cm2G)、上限は通常150kPa(1.5kg/cm2G)、好ましくは130kPa(1.3kg/cm2G)とする条件が一般的に用いられる。
なお、エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制する方法を用いることもできる。
又、溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールや水を系外に留出させながら行うことができる。
溶融重縮合における一般的な反応条件としては、単一の重縮合槽の場合、反応温度は通常250℃以上290℃以下程度、反応圧力は常圧から漸次減圧として、最終的に、絶対圧力を、通常1.3kPa(10Torr)以下0.013kPa(0.1Torr)以上程度とし、反応時間は攪拌下に1時間以上20時間以下程度とする。
又、複数の重縮合槽の場合は、第1段目の重縮合槽における反応温度を、下限は通常250、好ましくは260℃、上限は通常290℃、好ましくは280℃、絶対圧力を、上限は通常65kPa(500Torr))、好ましくは26kPa(200Torr)、下限は1.3kPa(10Torr)、好ましくは2kPa(15Torr)とし、最終段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常300℃、好ましくは295℃、絶対圧力を、上限は通常1.3kPa(10Torr)、好ましくは0.65kPa(5Torr)、下限は0.013kPa(0.1Torr)、好ましくは0.065kPa(0.5Torr)とする反応条件が一般的に用いられる。中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常295℃、好ましくは285℃、絶対圧力を、上限は通常6.5kPa(50Torr)、好ましくは4kPa(30Torr)、下限は0.13kPa(1Torr)、好ましくは0.26kPa(2Torr)とする。
溶融重縮合工程においては、通常、重縮合触媒能を有する化合物を添加する。重縮合触媒能を有する化合物としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモンや酢酸アンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート(以下「TBT」という場合がある)等のチタンアルコキシドや、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、水酸化チタン等のチタン化合物、アルミニウムアセチルアセトネート、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物、酢酸カルシウムやその水和物等のカルシウム化合物、酢酸マグネシウムやその水和物等のマグネシウム化合物等が例示される。また、主として重縮合速度の制御や熱安定性の改良を目的として、通常、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、エチルアシッドホスフェート、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の燐化合物を添加する。
本発明の処理方法は、アンチモン化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物のような溶融重縮合時の留出物に随伴して排出する量が小さい化合物、更にはチタン化合物のように重縮合反応系への添加量が少なくて済む化合物を用いてポリエステルを製造する方法において、特に好適に適用される。
前記の重縮合触媒能を有する化合物は、溶融重縮合開始前に、反応系に一部又は全量添加すれば良く、添加時期は、スラリー調製工程、エステル化反応工程の任意の段階、又は、溶融重縮合工程の初期の段階のいずれであっても良く、更には、エステル化反応工程から溶融重縮合工程への移送段階や、エステル化反応工程や溶融重縮合工程を複数段有する場合はそれら各段の移送段階に添加しても良い。又、これら各化合物の反応系への添加は、通常、エチレングリコール等のアルコールや水等の溶液として行う。
前記溶融重縮合により得られるポリエステルは、一般的に固有粘度が、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)に溶解させて30℃で測定した値として、通常0.35dl/g以上、好ましくは0.50dl/g以上、通常0.75dl/g以下、好ましくは0.65dl/g以下の範囲である。
前記溶融重縮合により得られたポリエステルは、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒状体とし、更に、必要に応じて固相重縮合により、より高重合度化させることができる。
溶融重縮合における留出物の主成分は、通常は原料ジオール、即ち、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)を主たる原料成分とする場合にはEGであり、通常、水やアルデヒド等の軽沸分(EGよりも沸点が低い物質)と固形物(オリゴマーや未反応TPA)をそれぞれ0.01〜数重量%程度ずつ含有する。
本発明では、この溶融重縮合反応からの留出物に、下記(a)及び/又は(b)の処理を行った後、処理混合物を蒸留することにより、蒸留残渣の常温における流動性を改良する。
(a)主たる原料成分ジオールよりも沸点が高いアルコールを混合する処理
(b)ポリエステルの重縮合触媒能を有する化合物を混合する処理
ここで、「主たる原料成分ジオール」とは、原料ジオールの50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは80重量%以上を占めるジオール成分であり、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とする原料を用いる場合、エチレングリコールに相当する。
本発明方法で処理する留出物は、溶融重縮合反応工程から得られる留出物(湿式コンデンサーの冷却媒体を含んでいてもよい)そのままでもよく、必要に応じ該留出物を蒸留し、軽沸分を除いた主成分として原料ジオールを含む留分であっても良い。又、前記の溶融重縮合反応工程から得られる留出物に、エステル化工程で留出するEG、水、固形物(オリゴマーや未反応TPA)等を含む留分を適宜混合した後に行っても良い。
本発明の処理により、蒸留残渣の流動性が改良される詳細は、必ずしも明確ではないが、(a)の処理によりアルコールを添加混合した後、その処理混合物を蒸留することで、オリゴマーや未反応ジカルボン酸と混合したアルコールとのエステル化及び/又はエステル交換反応により留出物中の固形物が変性して、蒸留残渣の流動性が改良されるものと考えられる。
又、(b)の処理により、重縮合触媒能を有する化合物を添加後に混合物を蒸留すると、留出物中のオリゴマーの末端カルボキシル基及び/又は水酸基とジオール成分との脱水縮合反応により固形物が変性され、蒸留残渣の流動性が改良されたり、或いは、留出物中のジオール成分が脱水縮合して、より沸点の高い2価のアルコールを生成し、これがその後に続く蒸留工程でオリゴマーや未反応ジカルボン酸とエステル化及び/又はエステル交換反応することで留出物中の固形物が変性され、蒸留残渣の流動性が改良されるものと考えられる。
本発明方法では、上記(a)及び/又は(b)の処理と、それに続く混合物の蒸留を、それぞれ少なくとも1回行うことが必要であり、上記(a)及び/又は(b)の処理と、それに続く混合物の蒸留で流動性の改良された蒸留残渣を回収可能である。(a)又は(b)の処理の選択は、溶融重縮合反応工程からの留出物の組成等により決められるが、(a)及び(b)の両方の処理を行うのが好ましい。その場合、(a)と(b)の処理の順序は、特に制限されずいずれを先に行ってもよく、同時に行うことも出来、その際(b)で使用する化合物を(a)のアルコールに溶解して混合することも出来る。また、必要な場合には、処理及び蒸留を複数回行っても良い。
特に、ポリエステル製造用の重縮合触媒として、チタン化合物、アンチモン化合物及びアルミニウム化合物を使用する場合には、溶融重縮合反応工程からの留出物中に含まれるこれらの化合物の留出量が少ないので、(b)の処理を行うのが好ましい。ゲルマニウム化合物を重縮合触媒とする場合には、その留出量が比較的多いので、(b)の処理を行わなくても蒸留残渣の流動性改良を達成し得ることがある。
本発明の処理方法において、上記処理工程と蒸留工程を、処理(a)、(b)、及び蒸留(c)で表すと、具体的態様の例としては、(a)及び/又は(b)の処理を行った後に(c)を行うこと、予め(c)を行い、(a)及び/又は(b)の処理後、更に(c)を行うこと等が挙げられるが、(c)は、少なくとも2回行うのが好ましい。より好ましくは(c)、(b)、(c)の順に処理を行うと共に2回目の(c)を行う前に(a)の処理を行うこと、即ち(c)、(b)、(a)、(c)の順序、又は(c)、(a)、(b)、(c)の順序で行うことである。
更に、本発明の処理方法の具体的態様の代表例を図1a及び図1bに示す。
上記処理(a)では、ポリエステルの主原料として用いた主たる原料成分ジオールよりも沸点が高いアルコールを混合するが、例えばTPAとEGからPETを製造する場合にはこの重縮合留出物に、EGよりも沸点が高いアルコールを混合する。ここで用いられる、アルコールとしては、1価又は2価のアルコールが好ましい。具体的には、1−ドデカノール、1−テトラデカノール等の炭素数12以上16以下の1価の直鎖アルカノールや、ジエチレングリコール(以下「DEG」という場合がある)、トリエチレングリコール(以下「TEG」という場合がある)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等の炭素数3以上8以下の2価のアルキレングリコール、及びこれらの混合物が例示される。これらの中でも、2価のアルキレングリコールが好ましく、DEG及び/又はTEGが特に好ましい。
また、重合原料の主たる原料成分として用いたジオールと、処理(a)で混合するアルコールとの一般的な沸点差は、通常10℃以上、好ましくは30℃以上、通常200℃以下、好ましくは100℃以下の範囲である。
混合するアルコールの一般的な使用割合(重量比)は、処理する重縮合工程からの留出物に対して、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲であることが望ましい。
混合するアルコールの種類と混合比、重合原料の主原料として用いたジオールとの沸点差がこの範囲である場合には、処理に続く蒸留後の蒸留残渣の常温における流動性が高く、しかも蒸留分離されたジオール成分の純度が高く、また、本発明の処理によるコスト増加が大きくないので好ましい。
上記処理(b)における、ポリエステルの重縮合触媒能を有する化合物(以下、「触媒成分」という場合もある。)を混合する処理では、例えばTPAとEGからPETを製造する場合の重縮合留出物にPETの重縮合触媒能を有する化合物を混合する。ここで、重縮合触媒能とは、ジカルボン酸とジオール及び/又はその縮合物に対して、エーテル化反応、エステル化反応、エステル交換反応の何れか1以上の反応を促進させる機能のことを指す。混合する化合物としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモンや酢酸アンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、TBT等のチタンアルコキシドや、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、水酸化チタン等のチタン化合物、アルミニウムアセチルアセトネート、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物、酢酸カルシウムやその水和物等のカルシウム化合物、酢酸マグネシウムやその水和物等のマグネシウム化合物、正燐酸やエチルアシッドホスフェート等の燐化合物等が例示される。これらの化合物の何れか1以上の化合物をそれぞれ独立に用いても良いし、何れか2以上の化合物を事前に混合して用いても良い。
混合する重縮合触媒能を有する化合物としては、通常、アンチモン化合物、チタン化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物の何れか1以上の化合物を用いるのが好ましく、より好ましくはアンチモン化合物、チタン化合物、及びアルミニウム化合物が使用される。具体的には、三酸化アンチモン、TBT、酢酸カルシウム、塩化アルミニウム、酢酸マグネシウムの何れか1以上の化合物を用いることが特に望ましい。
混合する化合物の一般的な混合比(重量比)は、重縮合反応留出物に対して、通常10重量ppm以上、好ましくは50重量ppm以上、更に好ましくは80重量ppm以上、通常10000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下の範囲であることが望ましい。混合する化合物の種類と混合比がこの範囲である場合には、蒸留残渣の常温における流動性が高く、また、本発明の処理によるコスト増加が大きくなく好ましい。なお、化合物の混合方法に特に制限はなく、例えばEG、水、及び/又は、(a)のアルコール成分等に溶解させて混合すれば良い。
本発明処理方法では、上記処理(a)及び/又は(b)で得られる混合物を、次いで蒸留(c)することが必須である。蒸留は、前記の如く目的に応じ1回以上行われ、蒸留塔の温度や圧力等の蒸留条件は、目的に応じて任意に設定することが出来る。この蒸留工程で蒸留分離する処理では、例えばTPAとEGからPETを製造する場合の重縮合留出物に、(a)及び/又は(b)の処理によりアルコール及び/又は重縮合触媒能を有する化合物を混合した混合物を公知の蒸留塔に供給して単蒸留し、蒸留留分及び/又は蒸留残渣中からEGを回収する。ここで、蒸留塔に供給する前に、重縮合留出物を一時的に貯蔵するタンクを設けても良く、また、蒸留塔への留出物の供給や残渣の回収は、連続式、回分式、半回分式の何れでも良い。
TPAとEGからPETを製造する場合の一般的に用いられる条件を具体例を挙げて説明すると、重縮合留出物からEGよりも低沸点の成分を留去する場合(例えば、図1aの蒸留塔1)は、常圧下又は減圧下で、EGの沸点以下の条件で行うことが好ましい。具体的には、圧力を、下限が通常3kPa、好ましくは30kPa、更に好ましくは60kPa、上限を101kPa(常圧)とし、温度を、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、通常197℃以下、好ましくは195℃以下として行う。また、同じく、EGよりも高沸点の成分からEGを蒸留分離する場合(例えば、図1aの蒸留塔2、図1bの蒸留塔2)の一般的条件は、常圧下又は減圧下で、EGの沸点以上の条件で行うことが好ましい。具体的には、圧力を、下限が通常3kPa、好ましくは5kPa、更に好ましくは10kPa、上限を101kPa(常圧)、好ましくは60kPa、更に好ましくは40kPaとし、温度を、通常110℃以上、好ましくは140℃以上、通常240℃以下、好ましくは220℃以下として行う。ただし、(a)の処理の後に行う場合は、(a)の処理で混合するアルコール成分の沸点未満の温度で行う。なお、ここで沸点とは、各アルコールの飽和蒸気圧が気相部の圧力に等しくなる温度を指す。
以下、本発明の処理方法の代表例として、TPAとEGからPETを製造する場合に生成する留出物の処理方法について、図1a及び1bを用いて更に具体的に説明する。
<図1aの例:EGより軽沸分を分離後、EGと高沸分を分離>
本発明の処理方法は、例えば図1aに示すようなフローで実施される。具体的には、重縮合工程から得られる留出物を留出物貯槽(1)に貯蔵し、ポンプ(P1)を経由して蒸留塔1(2)に連続的に供給する。このとき、処理(a)として、留出物貯槽(1)中の留出物、及び/又は、留出物貯槽(1)から蒸留塔(2)への移送配管(L1)中の留出物に、ポンプ(P2)を経由してアルコール成分を混合する。その後、処理(c)として、蒸留塔1(2)にて前記のEGよりも低沸点の成分(軽沸分)を留去する条件にて1段目の蒸留処理を行う。蒸留塔1では主にジオールの脱水縮合が生起すると考えられ、この蒸留塔1からの軽沸成分は主に水、アルデヒド類含み、缶出液成分(高沸物)は大量のEG、アルコール及び固形物(TPA,オリゴマー)を含むものと考えられる。
この蒸留処理の蒸留残渣を蒸留塔1(2)底部から抜き出し、ポンプ(P3)を経由して全部又は一部を2段目の蒸留処理を行う蒸留塔2(3)に移送する。この移送配管(L2)に、処理(b)として、ポンプ(P4)を経由して触媒成分を混合する。なお、蒸留塔1の缶出液の一部を蒸留塔1(2)に戻す場合は、移送ライン途中の熱交換器(図示していない)にて加熱しても良い。蒸留塔2(3)にては、処理(c)として、前記のEGよりも高沸点の成分からEGを蒸留分離する条件にて2段目の蒸留処理を行い、軽沸分としてEGを主成分とする液留分を得る。蒸留塔2(3)では、アルコールと、オリゴマーやジカルボン酸とのエステル及び/又はエステル交換反応が起こると推定され、蒸留塔2(3)の缶出液(高沸物)は、主に少量のEG、アルコール及び固形物(TPA,オリゴマー,変性されたオリゴマー)を含むものである。
ここで軽沸物は、EG回収工程(図示していない)を経て、原料EGとして再利用される。また、蒸留残渣は、最終蒸留残渣処理工程(図示していない)にて、例えば、焼却処理により熱源として利用される。
<図1bの例:EGを主成分とする軽沸分と高沸分の分離>
また、他の例として、本発明の処理方法は、例えば図1bに示すようなフローで実施する。具体的には、重縮合工程から得られる留出物を留出物貯槽(1)に貯蔵し、ポンプ(P1)を経由して蒸留塔(2)に連続的に供給する。このとき、処理(a)として、留出物貯槽(1)中の留出物及び/又は留出物貯槽(1)から蒸留塔(2)への移送配管(L1)中の留出物に、ポンプ(P2)を経由してアルコール成分を混合し、また、移送配管中の留出物に、処理(b)として、触媒成分をポンプ(P3)を経由して混合する。その後、処理(c)として、蒸留塔(2)にて前記のEGよりも高沸点の成分からEGを蒸留分離する条件にて蒸留処理を行い、軽沸分としてEGを主成分とし、水、アルデヒド類を含む液留分を得る。この蒸留処理により固形物の変性が生起され、蒸留残渣の流動性が改善される。
ここで軽沸物は、軽沸処理工程(図示していない)にてEGよりも沸点の低い物質を除去し、原料EGとして再利用される。また、蒸留残渣(缶出液:高沸物)は、蒸留塔底部から抜き出し、ポンプ(P4)を経由して最終蒸留残渣処理工程(図示していない)にて、例えば、焼却処理により熱源として利用される。缶出液(高沸)には、少量のEG、アルコール及び固形物(TPA,オリゴマー、変性されたオリゴマー)が含まれている。なお、蒸留残渣の一部又は全部を熱交換器(図示していない)にて加熱して蒸留塔(2)に戻すことにより、液を循環させながら蒸留処理を行っても良い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<エステル化工程>
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重縮合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル(PET)1トン当たりの燐原子としての総量が0.161モル/PET−トンとなる量で連続的に添加して、又、有機系調色剤として、ソルベントブルー104(クラリアント社製「Polysynthrene Blue RBL」)、及びソルベントレッド135(クラリアント社製「Sandplast Red G 」)を、得られるポリエステルに対して、それぞれ1.50重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。
このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm2G)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm2G)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化率95%までエステル化反応させた。
また、その際、第2段目に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル1トン当たりのマグネシウム原子としての総量が0.206モル/PET−トンとなる量で連続的に添加した。
<重縮合反応工程>
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネート(TBT)のエチレングリコール溶液(チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度0.5重量%)を、得られるポリエステル1トン当たりのチタン原子としての総量が0.104モル/PET−トンとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPa(20Torr)に設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPa(4Torr)に設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPa(2Torr)に設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステルの固有粘度が0.60dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステルを得た。
<処理工程>
各溶融重縮合槽からの重縮合反応留出物を、それぞれ、EGシャワー式の湿式コンデンサーにて冷却凝集し、同一の留出タンクに貯蔵した。留出タンクに貯蔵された留出物は、EGが主成分で、5重量%以下の少量の固形物を含む、白色懸濁固液混合体であった。
この留出タンクに貯蔵された留出物を220g、300mlナス型フラスコに計量した。この留出物に対し、TEGを11g混合する処理(a)を行い、引き続き、TBTをチタン原子の濃度0.5重量%としたEG溶液(触媒液)を4.4g(留出物に対してチタン原子として100ppmの濃度)混合する処理(b)を行った。
この処理混合物を、図2aに示すような蒸留装置にて190℃、常圧にて2時間蒸留(以下、この蒸留を「蒸留1段処理」という)して軽沸物を留去した。具体的には、図2aに示すような装置を組み立て、系内を窒素置換し、その後、窒素シール下で、留出物等を計量済みのナス型フラスコ(5)(ロータリーエバポレータ(4)に接続されている)を、オイル温度190℃のオイルバス(6)に内容物が全量オイル液面より鉛直下方となるように浸漬し、約60rpm(60回転/分)の速度で回転して、内容物を加熱した。留出してくる軽沸物は、エバポレータ内に設けられた冷却配管(冷却水が流通している)にて冷却凝集して、エバポレータに接続された丸底フラスコ(8)に回収した。
蒸留1段処理にて得られた蒸留残渣[図2aのナス型フラスコ(5)内の残留物]を図2bに示すような蒸留装置にて170℃、40kPaにて1時間、引き続き、170℃、13kPaにて5時間蒸留(以下、この蒸留を「蒸留2段処理」という)し、EGを蒸留回収した。具体的には、図2bに示すような装置を組み立て、系内を窒素置換し、その後、真空ポンプ(図示していない)を起動して、減圧弁を用いて所定の圧力に調整し、蒸留1段処理にて得られた蒸留残渣を計量済みのナス型フラスコ(5)(ロータリーエバポレータ(4)に接続されている)を、オイル温度170℃のオイルバス(6)に内容物が全量オイル液面より鉛直下方となるように浸漬し、約60rpm(60回転/分)の速度で回転して、内容物を加熱した。留出してくる軽沸物は、エバポレータ内に設けられた冷却配管(冷却水が流通している)にて冷却凝集して、エバポレータに接続された丸底フラスコ(8)に回収した。
蒸留2段処理で回収されたEGは210g[(重縮合反応留出物+触媒液)に対して93重量%]、蒸留2段処理の残渣(最終蒸留残渣)は16g(蒸留1段処理の原料全体に対して7重量%)であった。最終蒸留残渣を室温まで冷却したところ、少量の白沈を有する流動性が良好な淡黄色透明液体が得られた。なお、流動性の評価は、以下に示す方法にて行った。これらの結果を表1に示す。
<流動性の評価>
最終蒸留残渣を、流動性が良好でない場合は加温して良好にして、内径24mmの円柱状ガラス容器に移す。内容液が室温状態になるまで放冷後、図3に示すように、当該ガラス容器の対称軸を1秒間掛けて鉛直方向から45度傾け、最終蒸留残渣の表面が水平を維持するかどうかを目視観察することで、流動性を評価した。
評価基準は以下の通りである。
良 :傾ける速度に追従して、表面がほぼ水平状態を維持する
可 :傾ける速度に追従はしないが、表面が水平面に対して45度未満の状態となる
不良:表面が水平面に対して45度の状態となる
実施例2
実施例1と同様にして得られた重縮合反応留出物に、まず、TEG、TBTを混合することなく蒸留1段処理を行い、その後にTEG、TBTをナスフラスコ(5)に添加混合する処理をそれぞれ行い、引き続き、蒸留2段処理を行った以外は実施例1と同様にして、得られた留出物の処理を行った。
その結果を、表1に示す。
実施例3〜5、比較例1
処理(a)及び(b)の処理内容を表1に示すように変更した以外は実施例2と同様にして、実施例1と同様にして得られた留出物の処理を行った。なお、処理(b)として三酸化アンチモンを混合する場合は、三酸化アンチモンをアンチモン原子の濃度1.0重量%としたEG溶液を用いた。
その結果を、表1に示す。比較例1では、得られた最終蒸留残渣の流動性が不良であった。
実施例6〜9、比較例2
実施例1のエステル化工程において、エチルアシッドホスフェート触媒液の2.8重量%エチレングリコール溶液によりエチルアシッドホスフェートの添加量を得られるポリエステル1トン当たりの燐原子としての総量が0.755モル/PET−トンとしたこと、及び有機系調色剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてエステル化反応させた。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液(マグネシウム原子の濃度6.5重量%、水分濃度4.7重量%)と三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液(アンチモン原子の濃度1.8重量%)とを、得られるポリエステル1トン当たりのマグネシウム原子としての総量が1.23モル/PET−トン、アンチモン原子としての総量が2.26モル/PET−トンとなる量で連続的に添加しつつ、実施例1と同様にして溶融重縮合させ、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。
このときの重縮合反応留出物を、実施例1と同様にして冷却凝集し貯蔵した。留出タンクに貯蔵された留出物は、EGが主成分で、5重量%以下の少量の固形物を含む、白色懸濁固液混合体であった。
この留出タンクに貯蔵された留出物に対し、処理順序と、(a)、(b)の処理内容とを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の処理を行った。なお、処理(b)として三酸化アンチモンを混合する場合は、三酸化アンチモンをアンチモン原子の濃度1.0重量%としたEG溶液を用いた。
その結果を、表1に示す。比較例2では、得られた最終蒸留残渣の流動性が不良であった。
尚、実施例8では、蒸留1段処理(EGから水等の軽沸分を除去する処理)を行っていないため、表1の回収EG欄は空欄とした。又、最終蒸留残渣は蒸留2段処理の原料全体に対する割合で示した。
比較例3
処理(a)及び(b)の処理内容を表1に示すように変更し、蒸留2段処理の条件を160℃、40kPaにて1時間、引き続き、160℃、13kPaにて3時間の蒸留に変更した以外は実施例6と同様にして、実施例6と同様にして得られた留出物の処理を行った。
その結果を、表1に示す。この様な緩和な条件での蒸留処理では、蒸留2段処理で回収されるEGの比率が低く、蒸留残渣(高沸物)中に残るEGが多くなるので、高沸物の見かけの流動性は改良されている(オリゴマーとEGのスラリー状になるため)。しかしながら、EGの歩留まりが低く(蒸留回収効率の低下)、しかも最終蒸留残渣が多く処理負荷も増加するので製造コストが増加するという別の問題があり経済性に劣る。
実施例10,11
燐化合物としてエチルアシッドホスフェートの代わりに正燐酸の1.6重量%エチレングリコール溶液を添加したこと、正燐酸の添加量を得られるポリエステル1トン当たりの燐原子としての総量が1.23モル/PET−トンとしたこと、二酸化ゲルマニウムの0.5重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル1トン当たりのゲルマニウム原子としての総量が1.06モル/PET−トンとなる量で連続的に添加したこと、及び、有機系調色剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてエステル化反応させた。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送し、実施例1と同様にして溶融重縮合させ、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。
このときの重縮合反応留出物を、実施例1と同様にして冷却凝集し貯蔵した。留出タンクに貯蔵された留出物は、EGが主成分で、5重量%以下の少量の固形物を含む白色懸濁固液混合体であった。
この留出タンクに貯蔵された留出物に対し、処理順序と、(a)、(b)の処理内容とを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の処理を行った。
その結果を、表1に示す。
尚、蒸留1段処理(EGから水等の軽沸分を除去する処理)を行っていないため、表1の回収EG欄は空欄とした。又、最終蒸留残渣は蒸留2段処理の原料全体に対する割合で示した。
Figure 0004552462
図1aは、本発明の留出物処理工程フローの一例を示す概略図である。 図1bは、本発明の留出物処理工程フローの一例を示す概略図である。 図2aは、本発明の実施例における蒸留1段処理装置の説明図である。 図2bは、本発明の実施例における蒸留2段処理装置の説明図である。 図3は、流動性の評価方法を示す説明図である。
符号の説明
1 留出物貯槽
2 蒸留塔1
3 蒸留塔2
4 ロータリーエバポレータ
5 ナス型フラスコ
6 オイルバス
7 留出物
8 丸底フラスコ
9 軽沸分

Claims (9)

  1. ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを主成分とする原料をエステル化及び/又はエステル交換反応し、次いで重縮合反応することによりポリエステルを製造する際の重縮合反応留出物の処理方法において、該留出物に、下記(a)及び/又は(b)の処理を施し、処理混合物を蒸留することを特徴とする留出物の処理方法。
    (a)エチレングリコールよりも沸点が高いアルコールを混合する処理
    (b)ポリエステルの重縮合触媒能を有する化合物を混合する処理
  2. 該留出物が、重縮合反応からの留出物を蒸留分離して得られた主成分としてエチレングリコールを含む留分であることを特徴とする請求項1に記載の留出物の処理方法。
  3. ポリエステルが、テフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールを主たる原料として得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の留出物の処理方法。
  4. エチレングリコールよりも沸点が高いアルコールが、炭素数12以上16以下の直鎖アルカノール及び炭素数3以上8以下のアルキレングリコールから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の処理方法。
  5. エチレングリコールよりも沸点が高いアルコールとエチレングリコールとの沸点差が10℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の処理方法。
  6. エチレングリコールよりも沸点が高いアルコールがジエチレングリコール及び/又はトリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の留出物の処理方法。
  7. (b)の処理で混合する化合物が、アンチモン化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の留出物の処理方法。
  8. 重縮合反応が、チタン化合物、アンチモン化合物及びアルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下に行われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の留出物の処理方法。
  9. 重縮合反応が、ゲルマニウム化合物の不存在下に行われることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の留出物の処理方法。
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