JP4552374B2 - 乗用車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車用空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、制動性能を改善するようにした乗用車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
乗用車用の空気入りタイヤでは、通常、使用材料や構造を変更することによりタイヤ性能を向上するようにしている。従来、タイヤの制動性能を改善するため、トレッド部に高いグリップ性を有するゴム組成物を使用するようにした技術の提案がある。しかし、このようなゴム組成物を使用すると、転がり抵抗が悪化し、更に摩耗性能の低下を招く。
【0003】
また、補強層を新たに配置してタイヤ剛性を高めることで、制動性能を向上する手法もあるが、このように新たな部材を配置すると、コストの増大や重量の増加を招く。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トレッド部に高いグリップ性を有するゴム組成物を使用することなく、かつ新たな部材を配置せずに制動性能を向上することが可能な乗用車用空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の乗用車用空気入りタイヤは、ビードフィラーを外周側に配設したビードコアをそれぞれ埋設した左右のビード部間に、タイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列した少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部のカーカス層外周側に2層のベルト層を配置した乗用車用空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤは、グリーンタイヤを予め型付け用金型内でインフレートさせて、加硫金型の成形面の大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成形し、該成形グリーンタイヤを前記加硫金型内でインフレート加硫して得たタイヤであって、少なくとも最内側のカーカス層の前記補強コードの平均残留歪みを、前記ビードフィラーの外周端と前記2層のベルト層の重複部端との間のサイド領域で−10〜5%にし、前記補強コードの平均残留歪みは、サイド領域のカーカス層内の補強コードの長さをN’、カーカス層から補強コードを取り出した時のサイド領域に位置した前記補強コードの長さをNとすると、100(N−N’)/N’で得られる残留歪みの値をタイヤ周上の6か所で平均した値であることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の乗用車用空気入りタイヤは、ビードフィラーを外周側に配設したビードコアをそれぞれ埋設した左右のビード部間に、タイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列した少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部のカーカス層外周側に2層のベルト層を配置した乗用車用空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤは、グリーンタイヤを予め型付け用金型内でインフレートさせて、加硫金型の成形面の大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成形し、該成形グリーンタイヤを前記加硫金型内でインフレート加硫して得たタイヤであって、少なくとも最内側のカーカス層の前記補強コードの平均残留歪みを、前記2層のベルト層の重複部領域で−5〜1%にし、前記補強コードの平均残留歪みは、重複部領域のカーカス層内の補強コードの長さをM’、カーカス層から補強コードを取り出した時の重複部領域に位置した前記補強コードの長さをMとすると、100(M−M’)/M’で得られる残留歪みの値をタイヤ周上の6か所で平均した値であることを特徴とする。
【0007】
上述した本発明によれば、カーカス層の補強コードの平均残留歪みを上記のように規定することにより、カーカス層の剛性を従来より高めることができるので、制動性能を改善することができる。トレッド部のゴム組成物を変更したり、新たな部材を設けたりする必要がないため、転がり抵抗及び摩耗性能の悪化や、コストの増大、重量の増加の問題を生じることがない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1,2は、本発明の空気入りタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。
【0010】
左右のビード部3には、ビードフィラー4を外周側に配設したビ−ドコア5がそれぞれ埋設され、そのビード部3間にタイヤ幅方向に延在する有機繊維コードからなる補強コードfをタイヤ周方向Tに沿って所定の間隔でゴム層内に配列した2層のカーカス層6A,6Bが装架されている。カーカス層6A,6Bの両端部6a,6bは、ビ−ドコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。
【0011】
トレッド部1のカーカス層6外周側には、タイヤ周方向Tに対して傾斜して延在するスチールコードからなる補強コードeをタイヤ周方向Tに沿って所定の間隔で配列した2層のベルト層7A,7Bが配置してある。カーカス層6側の1番ベルト層7Aの方が2番ベルト層7Bより幅広に形成され、両ベルト層7A,7Bの補強コードは互いにタイヤ周方向Tに対する向きを逆向きにして交差している。
【0012】
2番ベルト層7Bの外周側には、有機繊維コードをタイヤ周方向に螺旋状に巻回した2層のベルトカバー層8が設けられている。カーカス層6Aの内側にはインナーライナー層9が配置してある。10はトレッド面1Aにタイヤ周方向Tに延設された主溝である。
【0013】
上記2層のカーカス層6A,6Bは、ビードフィラー4の外周端4aと2層のベルト層7A,7Bの重複部端m(2番ベルト層7Bのエッジ位置)との間のサイド領域Xにおいて、補強コードfの平均残留歪みが−10〜5%の範囲になっている。また、2層のベルト層7A,7Bの重複部領域Yでは、補強コードfの平均残留歪みが−5〜1%の範囲にしてある。
【0014】
本発明者は、転がり抵抗や摩耗性能の悪化を招くトレッド部のゴム組成物の変更や、新たな部材を設けることなく制動性能の改善について鋭意検討した結果、左右のビード部間に装架されているカーカス層に着目した。
【0015】
カーカス層には補強コードが使用されているが、この補強コードの張力を高めることができれば、カーカス層の剛性を増大させ、トレッド部のゴム組成物の変更や新たな部材を設けることなく、制動性能を向上することができるのである。
【0016】
空気入りタイヤは、加硫工程を経て製造されるため、カーカス層の補強コードには、通常、加硫後に残留歪みが残る。この残留歪みとカーカス層の剛性の関係を調べると、残留歪みが小さい補強コードは撚り戻りの作用が小さく、補強コードが持つ剛性を活用することによりカーカス層の剛性を高めることができる。この残留歪みが小さければ小さい程補強コードが持つ剛性を一層活用してカーカス層の剛性を増大させることができる。好ましくはマイナス側にするのがよく、特に重複部領域Yでは大幅に高められることがわかった。
【0017】
そこで、従来のタイヤにおいて、最内側のカーカス層について、補強コードの平均残留歪みを測定してみると、トレッド部のベルト層重複部領域では略2%、それ以外の領域では略8%であり、これよりも補強コードの平均残留歪みを低減することができれば、トレッド部に高いグリップ性を有するゴム組成物を使用したり、新たな部材を配置することなく制動性能を向上することができるのである。
【0018】
そこで、上記のようにサイド領域Xにおける補強コードfの平均残留歪みを−10〜5%、重複部領域Yにおける補強コードfの平均残留歪みを−5〜1%の範囲にしたのである。サイド領域Xよりビード部3側の領域については、補強コードfの平均残留歪みをサイド領域Xと同じ−10〜5%の範囲にしてもよいが、通常、サイドウォール部2を構成するゴムより硬度の高いゴムからなるビードフィラー4が配置され、高い剛性を有しているので、カーカス層6A,6Bの剛性を上記ようにして高めても、制動性能の改善効果に寄与しない。
【0019】
両領域X,Yにおける補強コードfの平均残留歪みが、いずれか一方でも上記範囲より低いと、ユニフォミティが大きく低下する。両領域X,Yを共に上記範囲となるようにするのが高い制動性能の改善効果を得る上で好ましいが、いずれか一方の領域を上述した範囲にしても制動性能を改善することができる。
【0020】
上述した空気入りタイヤは、グリーンタイヤを加硫金型の成形面に押し当てた状態のグリーンタイヤの大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成型し、その成形グリーンタイヤを加硫金型内にセットしてインフレートして加硫し、更に必要に応じて加硫後の空気入りタイヤにおけるポストキュアインフレーション工程において、供給する空気圧を調整して冷却することにより得ることができる。
【0021】
成形グリーンタイヤを成型するには、図3に示す型付け用金型を有する型付け装置を用いて行うことができる。図3において、11はグリーンタイヤGを型付けする型付け用金型であり、この型付け用金型11は上下に配設された環状の上型12と下型13とから構成されている。
【0022】
下型13は、ベースプレート14上に固定され、内周側の内面にグリーンタイヤGの一方のビード部G1を型付けする下型ビードリングB1が固設してある。
上型12は、不図示の昇降手段により矢印aで示すように上下に昇降可能になっており、内周側の内面にグリーンタイヤGの他方のビード部G2を型付けする上型ビードリングB2が固定されている。
【0023】
上型12と下型13の成型面12A,13Aは、グリーンタイヤGの両ビード部G1,G2からトレッド部G3まで延在し、図3に示すようにセット時に上型12と下型13とは当接せずに離間し、トレッド部G3の中央側をあけるようになっている。これは、グリーンタイヤGをインフレートして成型面12A,13Aに押し当てた際に、ベルト層Gaやカーカス層Gbの補強コードに歪みが生じた際にそれを逃がし易くすることができるので、ユニフォミティ改善の点から好ましいが、セット時に上型12と下型13とが当接するものであってもよい。
【0024】
型付け用金型11の中心側には、グリーンタイヤGの両ビード部G1,G2を把持するための把持手段30が設けられている。把持手段30は、型付け用金型11の中心に上下に昇降する昇降手段15を備えている。この昇降手段15は、油圧により作動するシリンダから構成され、立設されたシリンダ本体15Aの上端から上方に突出して上下に延在するロッド15Bが上下に昇降するようになっている。
【0025】
ロッド15Bの上端部には環状の上部プレート16が密閉的に嵌合固定され、この上部プレート16はロッド15Bの昇降と共に上下に移動できるようにしてある。下型13の内周側には、ベースプレート14に固定され、シリンダ本体15Aに密閉的に嵌合する環状の下部プレート17が配設されている。
【0026】
上型ビードリングB2と上部プレート16との間、及び下型ビードリングB1と下部プレート17と間には、それぞれ円筒状に形成されたゴム製のシール体20A,20Bの一端部が固定されている。シール体20A,20Bの他端側は、外側に開くように拡開している。
【0027】
上部プレート16と下部プレート17との間に、両ビード部G1,G2を把持する把持部18が環状の金型周方向に沿って所定の間隔で複数箇所に設けられている。各把持部18は、上部プレート16から下側に向けて突設した上支持アーム18Aと下部プレート17から上側に向けて突設した下支持アーム18Bに、それぞれ両ビード部G1,G2を把持する把持アーム18C,18Dが連結されている。
【0028】
把持アーム18C,18Dの屈曲した先端部18C1, 18D1の先端面18C2, 18D2で、上下のビードリングB1,B2にセットされたグリーンタイヤGのビード部G1,G2の内側面をシール体20A,20Bを介して押さえ、ビード部G1,G2を把持するようになっている。
【0029】
把持アーム18C,18Dの中間部間に連結アーム18Eが連結され、上下の支持アーム18A,18B、上下の把持アーム18C,18D、及び連結アーム18Eは、リンク機構を構成している。ロッド15Bが上昇すると、把持部18による把持が解除され、降下した図1の位置で把持部18がビード部G1,G2を把持する。
【0030】
ベースプレート14と下部プレート17には、型付け用金型11にセットされたグリーンタイヤG内に圧力媒体を供給する不図示の供給路とそれを排出する排出路が形成されており、圧力媒体供給源(不図示)から供給路を介して供給された圧力媒体によりグリーンタイヤGをインフレート(膨張)させると共に、圧力媒体を供給路から常時供給する一方、グリーンタイヤG内の圧力を一定に維持しながら排出路から排出することで、インフレートしたグリーンタイヤGを圧力媒体により冷却するようになっている。
【0031】
なお、図において、Gcはビード部G1,G2に埋設されたビードコア、GdはビードコアGcの外周側に配設したビードフィラーである。
【0032】
補強コードfの平均残留歪みが上記範囲となるようにするには、成型面12A,13Aの寸法を調整することにより行う。補強コードfの平均残留歪みをより小さくしたい場合には、成型面12A,13Aの寸法を加硫金型の成型面の寸法により近づける。サイド領域Xのみ補強コードfの平均残留歪みを小さくしたい場合には、サイド領域Xに対応した箇所における成型面12A,13Aの寸法を加硫金型の成型面の寸法に近づける。重複部領域Yのみ補強コードfの平均残留歪みを小さくしたい場合には、重複部領域Yに対応した箇所における成型面12A,13Aの寸法を加硫金型の成型面の寸法に近づけるようにする。
【0033】
上記型付け用装置でグリーンタイヤGを型付けするには、先ずグリーンタイヤGを予熱する。この予熱温度としては、グリーンタイヤGを型付け用金型11内にセットする時のタイヤ表面温度が40〜90℃の範囲となるようにするのがよい。40℃より低いと、未加硫ゴムにクリープ変形を生じさせることが困難であり、その結果として、グリーンタイヤに所定の変形を与えることが難しくなる。
90℃を超えると、グリーンタイヤGの剛性が急激に低下して、インフレート時にバーストの可能性がある。
【0034】
グリーンタイヤGを予熱後、下型13にセットする。この時、上型12は上方の待機位置に待機している。また、ロッド15Bは上昇した位置にあり、把持部18による把持が解除された状態である。
【0035】
グリーンタイヤGを下型13にセットすると、ロッド15Bが降下し、把持部18が図3に示すようにビード部G1,G2をシール体20A,20Bを介して把持する。続いて、待機位置の上型12が降下してグリーンタイヤGにセットされる(図3の上型の状態)。
【0036】
型付け用金型11へのグリーンタイヤGのセットが完了すると、圧力媒体が矢印で示すように内部に供給され、グリーンタイヤGをインフレートする。これにより、グリーンタイヤGが上型12と下型13の成型面12A,13Aに押し当てられて成型される(図1の状態)。
【0037】
成型面12A,13Aに押し当てられたグリーンタイヤGをその状態を維持しながら、所定時間圧力媒体を供給することにより冷却する。グリーンタイヤGの冷却温度としては、型付け用金型11から取り出す時のタイヤ表面温度が30℃以下となるようにするのがよい。タイヤ表面温度が30℃より高いと、未加硫ゴムの弾性回復によりグリーンタイヤGの形状が成型前の形状に戻ってしまう恐れがある。
【0038】
冷却後、上型12を上方の待機位置に上昇させ、次いでロッド15Bを上昇させて把持部18による把持を解除した後、グリーンタイヤGを取り出す。得られたグリーンタイヤは、加硫金型の成形面に押し当てた状態のグリーンタイヤの大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成型され、これを従来と同様にして加硫成形するのである。
【0039】
上述した本発明では、カーカス層6A,6Bの補強コードfの平均残留歪みを従来より小さくすることにより、カーカス層6A,6Bの剛性を高めることができるので、制動性能を改善することができる。しかも、トレッド部1に高いグリップ性を有するゴム組成物を使用する必要がないため、転がり抵抗及び摩耗性能が悪化することがなく、更に新たな部材を設けることも不要であるため、コストの増大や重量の増加を招くことがない。
【0040】
また、カーカス層6A,6Bの補強コードfの平均残留歪みをサイド領域Xで上記のようにすることで、タイヤのサイド剛性を高めることができるため、操縦安定性を高めることも可能になる。
【0041】
本発明において、サイド領域Xにおけるカーカス層6A,6Bの補強コードfの平均残留歪みは、好ましくは−10〜3%、望ましくは−10〜0%にするのが制動性能を一層改善する上でよい。
【0042】
重複部領域Yにおけるカーカス層6A,6Bの補強コードfの平均残留歪みは、好ましくは−5〜−1%、望ましくは−5〜−3%にするのが制動性能をより向上する上でよい。
【0043】
上記実施形態では、カーカス層6A,6Bの補強コードfの平均残留歪みを上記のような範囲にしたが、少なくとも最内側のカーカス層6Aの補強コードfの平均残留歪みを上述した範囲にすればよい。
【0044】
また、カーカス層のサイド領域X及び重複部領域Yにおける補強コードfの平均残留歪みを上記のように規定するのが、制動性能をより改善する上で好ましいが、サイド領域Xまたは重複部領域Yのいずれか一方の領域における補強コードfの平均残留歪みを上記のように特定するようにしても、制動性能を改善することができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態では、カーカス層を2層設けた乗用車用空気入りタイヤの例を示したが、少なくとも1層のカーカス層を有するものであればよい。
【0046】
なお、本発明における補強コードfの平均残留歪みは、以下のようにして測定するものとする。
【0047】
先ず、空気入りタイヤからインナーライナー層9を除去して、内側のカーカス層6Aを露出させる。次いで、任意の測定対象とするカーカス層6Aの複数本(2〜5本)の補強コードfに対して、タイヤセンターラインCL上の位置、重複部端mの位置、及びビードフィラー4の外周端4aの位置にマーキングを付ける。非伸縮性テープをそのマーキングを付けた補強コードfに沿って貼り付けて、マーキングを非伸縮性テープに転写する。その後、マーキングを付けた複数本の補強コードfをタイヤから引き抜き、この引き抜かれた補強コードfのマーキング間の長さとそれに対応する非伸縮性テープに転写されたマーキング間の長さから求める。
【0048】
即ち、引き抜かれた補強コードfにおいて、タイヤセンターラインCL上のマーキング位置と重複部端mのマーキング位置との間の長さ(カーカス層から補強コードを取り出した時の重複部領域に位置した補強コードの長さ)をM、重複部端mのマーキング位置とビードフィラー4の外周端4aのマーキング位置との間の長さ(カーカス層から補強コードを取り出した時のサイド領域に位置した補強コードの長さ)をN、マーキングを転写した非伸縮性テープにおいて、タイヤセンターラインCL上のマーキング位置と重複部端mのマーキング位置との間の長さ(重複部領域のカーカス層内の補強コードの長さ)をM’、重複部端mのマーキング位置とビードフィラー4の外周端4aのマーキング位置との間の長さ(サイド領域のカーカス層内の補強コードの長さ)をN’とすると、重複部領域Yでの補強コードfの残留歪み(%)は100(M−M’)/M’、 サイド領域Xでの補強コードfの残留歪み(%)は100(N−N’)/N’で算出する。
【0049】
上記測定を略等間隔でタイヤ周上6か所で行い、得られた残留歪みの平均を平均残留歪みとする。
【0050】
【実施例】
タイヤサイズを225/55R16で共通にし、カーカス層の補強コードにポリエステルコードを使用した図1に示す構成のタイヤにおいて、サイド領域及び重複部領域でのカーカス層の補強コードの平均残留歪みを表1のようにした本発明タイヤ1〜10と比較タイヤ1,2、及び従来タイヤをそれぞれ作製した。
これら各試験タイヤをリムサイズ16×7.5JJのリムに装着し、空気圧を200kPa にして、以下に示す試験方法により、制動性能及びユニフォミティの評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
【0051】
制動性能
各試験タイヤを排気量3000ccのABS付き乗用車に取り付け、ウェットテストコースにおいて、時速100km/hから制動を付与し、停止するまでの制動距離を各7回測定し、最大及び最小の制動距離を除いた5回の平均制動距離を求め、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さいほど制動距離が短く、制動性能が優れている。なお、指数値が105以上を効果的な改善ありとする。
【0052】
ユニフォミティ
各試験タイヤ10本について、JASO 0607−87に準拠し、荷重5.0kNの条件下でRFV(ラジアル・フォース・バリエーション)を測定し、その10本の平均を各試験タイヤのRFVとし、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さいほどユニフォミティが優れている。なお、指数値が104以下は従来レベルの範囲である。
【0053】
【表1】
表1から、本発明タイヤは、ユニフォミティを従来レベルに維持しながら、制動性能を改善できることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
上述したように本発明は、カーカス層の補強コードの平均残留歪みをサイド領域や重複部領域で上記のように規定することにより、トレッド部に高いグリップ性を有するゴム組成物を使用することなく、かつ新たな部材を配置せずに制動性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
【図2】図1のカーカス層とベルト層の説明図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤを製造するのに使用する型付け装置の一例を示す半断面説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド部 2 サイドウォール部
3 ビ−ド部 4 ビードフィラー
4a 外周端 5 ビードコア
6A,6B カーカス層 7A,7B ベルト層
CL タイヤセンターライン T タイヤ周方向
X サイド領域 Y 重複部領域
f 補強コード m 重複部端
Claims (9)
- ビードフィラーを外周側に配設したビードコアをそれぞれ埋設した左右のビード部間に、タイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列した少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部のカーカス層外周側に2層のベルト層を配置した乗用車用空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤは、グリーンタイヤを予め型付け用金型内でインフレートさせて、加硫金型の成形面の大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成形し、該成形グリーンタイヤを前記加硫金型内でインフレート加硫して得たタイヤであって、少なくとも最内側のカーカス層の前記補強コードの平均残留歪みを、前記ビードフィラーの外周端と前記2層のベルト層の重複部端との間のサイド領域で−10〜5%にし、前記補強コードの平均残留歪みは、サイド領域のカーカス層内の補強コードの長さをN’、カーカス層から補強コードを取り出した時のサイド領域に位置した前記補強コードの長さをNとすると、100(N−N’)/N’で得られる残留歪みの値をタイヤ周上の6か所で平均した値である乗用車用空気入りタイヤ。 - 前記サイド領域での前記補強コードの平均残留歪みが−10〜3%である請求項1に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記サイド領域での前記補強コードの平均残留歪みが−10〜0%である請求項2に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- ビードフィラーを外周側に配設したビードコアをそれぞれ埋設した左右のビード部間に、タイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列した少なくとも1層のカーカス層を装架し、トレッド部のカーカス層外周側に2層のベルト層を配置した乗用車用空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤは、グリーンタイヤを予め型付け用金型内でインフレートさせて、加硫金型の成形面の大きさに近づけた成形グリーンタイヤに成形し、該成形グリーンタイヤを前記加硫金型内でインフレート加硫して得たタイヤであって、少なくとも最内側のカーカス層の前記補強コードの平均残留歪みを、前記2層のベルト層の重複部領域で−5〜1%にし、前記補強コードの平均残留歪みは、重複部領域のカーカス層内の補強コードの長さをM’、カーカス層から補強コードを取り出した時の重複部領域に位置した前記補強コードの長さをMとすると、100(M−M’)/M’で得られる残留歪みの値をタイヤ周上の6か所で平均した値である乗用車用空気入りタイヤ。 - 前記重複部領域での前記補強コードの平均残留歪みが−5〜−1%である請求項4に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記重複部領域での前記補強コードの平均残留歪みが−5〜−3%である請求項5に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記最内側のカーカス層の前記補強コードの平均残留歪みを、前記ビードフィラーの外周端と前記2層のベルト層の重複部端との間のサイド領域で−10〜5%にした請求項4乃至6のいずれか1項に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記サイド領域での前記補強コードの平均残留歪みが−10〜3%である請求項7に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記サイド領域での前記補強コードの平均残留歪みが−10〜0%である請求項8に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
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