JP4551029B2 - シートのリフト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートのリフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図5(a)(b)に示すように、例えば車両用のシート1においては、フロアやスライド装置のアッパーレール等とシートクッション2との間に、シートクッション2を昇降させるリフト機構3が配置されているものがある(例えば、実開昭59−104832号公報参照)。
【0003】
このリフト機構3は、前側に設けられたI形リンク5の一端部がベースフレーム4の前部にピン6aで連結され、他端部がクッションフレーム2´にピン6bで連結されるとともに、後側に設けられたL形リンク7の中間部がベースフレーム4にピン8aで連結され、一端部がクッションフレーム2´にピン8bで連結され、他端部がコネクトロッド9の後端部にピン8cで連結されている。
【0004】
また、上記ベースフレーム4の前部に、手操作ダイヤル10に連係するピニオン10aで回転されるセクターギヤ11が設けられ、このセクターギヤ11に上記コネクタロッド9の前端部がピン8dで連結されている。
【0005】
そして、手操作ダイヤル10の操作でピニオン10aを介してセクターギヤ11が回転されると、コネクトロッド9を介してL形リンク7が右回転されてクッションフレーム2´、つまりシートクッション2の後部側が上昇されるようになる(二点鎖線参照)。
【0006】
上記セクターギヤ11の回転軸12にはアシスト用渦巻きバネ13の内端部が係止され、その外端部がセクターギヤ11のバネ掛けピン14に係止されて、この渦巻きバネ13のバネ力によりシートクッション2の後部の上昇をアシストするようになっている。
【0007】
なお、具体的に図示しないが、シートクッション2側に作用する荷重で手操作ダイヤル10側が逆回転されないようにするためのブレーキドラム等が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セクターギヤ11の回転軸12に渦巻きバネ13の内端部を係止していたから、スペース的に不利になることが多いとともに、例えばシートクッション2を最上昇位置から最下降位置に下降させる場合には、渦巻きバネ13の巻き込みの増加に伴ってバネ力が徐々に増加するので、図4に示すように、セクターギヤ11の操作力も徐々に増加して操作フィーリングが悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、スペース的に有利になるとともに、操作フィーリングが向上するシートのリフト装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、操作により回転されるセクターギヤが設けられ、このセクターギヤの回転に連係するリンク部材を介してシートを昇降させるリフト装置において、
上記セクターギヤの第1回転軸から偏心した第2回転軸で回転されるカムプレートと、このカムプレートの第2回転軸に内端部が係止され、カムプレートに外端部が係止されたアシスト用渦巻きバネとが設けられ、上記カムプレートには、上記セクターギヤに設けられたピンが嵌合する長穴が形成され、この長穴は、渦巻きバネのバネ力Fが最大となるシートの最下降位置での第2回転軸とピンとの中心間距離Hが、渦巻きバネのバネ力fが最小となるシートの最上昇位置での第2回転軸とピンとの中心間距離hよりも長くなるようピンが移動するように形成されていることを特徴とするシートのリフト装置を提供するものである。
【0011】
本発明によれば、セクターギヤの第1回転軸から偏心した第2回転軸にアシスト用渦巻きバネの内端部を係止するとともに、渦巻きバネのバネ力Fが徐々に大きくなるシートの下降方向には、中心間距離Hが徐々に長くなってピンに作用するバネ力がほぼ一定になるとともに、渦巻きバネのバネ力fが徐々に小さくなるシートの上昇方向には、中心間距離hが徐々に短くなってピンに作用するバネ力がほぼ一定になるから、セクターギヤの操作力がほぼ一定となる。
【0012】
請求項2のように、上記バネ力Fと中心間距離hの積と、バネ力fと中心間距離Hの積とをほぼ一定の関係として、ピンに作用するバネ力が最上昇位置と最下降位置との間でほぼ一定となるようにするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、従来技術と同一構成・作用の箇所は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0014】
図1及び図2に示すように、上記ベースフレーム4の前部に第1回転軸21で回転自在に支持されたセクターギヤ22には、上記コネクトロッド9の前端部の穴9aがピン8dに嵌合されてプッシュナット28bで止着されている。
【0015】
上記セクターギヤ22の上方を跨ぐバネセットプレート23が設けられ、このバネセットプレート23の一端部23aは上記ベースフレーム4にかしめピン24で固定されるとともに、他端部23bの穴23cが上記第1回転軸21に嵌め込まれて支持されている。
【0016】
上記バネセットプレート23には、図1(a)の側面視で、セクターギヤ22の第1回転軸21から前斜め上方に偏心した第2回転軸25が固定され、この第2回転軸25でカムプレート26の中心穴26aが回転自在に支持されている。
【0017】
アシスト用渦巻きバネ27は、内端部27aが第2回転軸25のすり割り部25aに嵌め込まれて係止されるとともに、外端部27bが上記カムプレート26のバネ掛け部26bに係止されている。この第2回転軸25のすり割り部25aに渦巻きバネ27の内端部27aを嵌め込んだ後に、第2回転軸25の先端にプッシュナット28aを止着することにより、カムプレート26と渦巻きバネ27の内端部27aとを抜け止めしている。
【0018】
上記カムプレート26には、セクターギヤ22に設けられた上記ピン8dが嵌合する長穴26cが形成されている。
【0019】
この長穴26cは、図1(a)のように、渦巻きバネ27のバネ力Fが最大となるシートクッション2の最下降位置での第2回転軸25の中心(渦巻きバネ27の中心)とピン8dの中心との中心間距離Hが、図1(b)のように、渦巻きバネ27のバネ力fが最小となるシートクッション2の最上昇位置での第2回転軸25の中心とピン8dの中心との中心間距離hよりも長くなるようピン8dが移動するように形成されている。
【0020】
ここで、バネ力Fは、最下降位置におけるカムプレート26のバネ掛け部26bにかかるバネ力、バネ力fは、最上昇位置におけるカムプレート26のバネ掛け部26bにかかるバネ力である。また、第2回転軸25の中心とカムプレート26のバネ掛け部26bに係止された外端部27bとの間の距離(常に一定)をWとする。
【0021】
そして、従来技術においては、
F×W/H>f×W/H…(F>f)
となり、最下降位置の操作力が大きくなるのに対して(図4参照)、
本実施形態においては、
F×W/H≒f×W/h…(F>f H>h)
となり、最上昇位置と最下降位置の操作力がほぼ一定となる(図5参照)。つまり、バネ力Fと中心間距離hの積と、バネ力fと中心間距離Hの積とを、ほぼ一定の関係(F×h≒f×H)として、ピンに作用するバネ力が最上昇位置と最下降位置との間でほぼ一定となるようにしている。
【0022】
上記のようなリフト装置であれば、図1(a)に示したシートクッション2の最下降位置では、渦巻きバネ27のバネ力Fが最大となるが、第2回転軸25の中心(渦巻きバネ27の中心)とピン8dの中心との中心間距離Hが下降方向に行くに従って徐々に長くなって、ピン8dに作用するバネ力がほぼ一定となる。
【0023】
また、図1(b)に示したシートクッション2の最上昇位置では、渦巻きバネ27のバネ力fが最小となるが、第2回転軸25の中心(渦巻きバネ27の中心)とピン8dの中心との中心間距離hが上昇方向に行くに従って徐々に短くなって、ピン8dに作用するバネ力がほぼ一定となる。
【0024】
このように、シートクッション2の昇降に伴ってピン8bに作用する渦巻きバネ27のバネ力がほぼ一定となるから、図3に示すように、セクターギヤ22の操作力もほぼ一定となって、操作フィーリングが向上するようになる。
【0025】
また、セクターギヤ22の第1回転軸21から偏心した第2回転軸25に渦巻きバネ27の内端部27aを係止できるから、スペース的に有利になって設計の自由度が向上するようになる。
【0026】
上記実施形態は、シートクッション2の後部を上昇させるリフト機構であったが、シートクッション2の前部を上昇させるリフト機構やシートクッション2の前部と後部を同時に上昇させるリフト機構にも適用できることは言うまでもない。また、手操作ダイヤルで操作する他、電動モータで操作するタイプにも適用できることも言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は、渦巻きバネのバネ力Fが徐々に大きくなるシートの下降方向には、中心間距離Hが徐々に長くなってピンに作用するバネ力がほぼ一定になるとともに、渦巻きバネのバネ力fが徐々に小さくなるシートの上昇方向には、中心間距離hが徐々に短くなってピンに作用するバネ力がほぼ一定になるから、セクターギヤの操作力がほぼ一定となって操作フィーリングが向上するようになる。また、セクターギヤの回転軸から偏心した第2回転軸にアシスト用渦巻きバネの内端部を係止できるから、スペース的に有利になって設計の自由度が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリフト装置の要部であり、(a)は最下降位置の側面図、(b)は最上昇位置の側面図である。
【図2】 リフト装置の要部分解斜視図である。
【図3】 本発明のリフト装置の操作角と操作力との関係を示すグラフである。
【図4】 従来のリフト装置の操作角と操作力との関係を示すグラフである。
【図5】 従来のシートであり、(a)は斜視図、(b)はリフト装置の側面図である。
【符号の説明】
1 シート
2 シートクッション
4 ベースフレーム
8d ピン
10 手操作ダイヤル
21 第1回転軸
22 セクターギヤ
25 第2回転軸
26 カムプレート
26b バネ掛け部
26c 長穴
27 アシスト用渦巻きバネ
27a 内端部
27b 外端部
F,f バネ力
H,h 中心間距離
Claims (2)
- 操作により回転されるセクターギヤが設けられ、このセクターギヤの回転に連係するリンク部材を介してシートを昇降させるリフト装置において、
上記セクターギヤの第1回転軸から偏心した第2回転軸で回転されるカムプレートと、このカムプレートの第2回転軸に内端部が係止され、カムプレートに外端部が係止されたアシスト用渦巻きバネとが設けられ、上記カムプレートには、上記セクターギヤに設けられたピンが嵌合する長穴が形成され、この長穴は、渦巻きバネのバネ力Fが最大となるシートの最下降位置での第2回転軸とピンとの中心間距離Hが、渦巻きバネのバネ力fが最小となるシートの最上昇位置での第2回転軸とピンとの中心間距離hよりも長くなるようピンが移動するように形成されていることを特徴とするシートのリフト装置。 - 上記バネ力Fと中心間距離hの積と、バネ力fと中心間距離Hの積とをほぼ一定の関係として、ピンに作用するバネ力が最上昇位置と最下降位置との間でほぼ一定となるようにした請求項1記載のシートのリフト装置。
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