JP4550247B2 - ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物 - Google Patents

ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4550247B2
JP4550247B2 JP2000285813A JP2000285813A JP4550247B2 JP 4550247 B2 JP4550247 B2 JP 4550247B2 JP 2000285813 A JP2000285813 A JP 2000285813A JP 2000285813 A JP2000285813 A JP 2000285813A JP 4550247 B2 JP4550247 B2 JP 4550247B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
epoxy resin
anhydride
general formula
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000285813A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002097182A (ja
Inventor
杉矢  正
哲郎 坂田
川壁  弘
原  義房
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemical Industrial Co Ltd filed Critical Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Priority to JP2000285813A priority Critical patent/JP4550247B2/ja
Publication of JP2002097182A publication Critical patent/JP2002097182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4550247B2 publication Critical patent/JP4550247B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なホスホニウム化合物及びその製造方法、その用途に関するものであり、更に詳しくは、エポキシ樹脂の硬化剤と硬化触媒の両方の作用を有し、酸無水物等のエポキシ樹脂硬化剤を実質的に使用しなくても、速硬性のエポキシ樹脂を得ることができる新規なホスホニウム化合物及びその製造方法、並びに、該ホスホニウム化合物を添加剤として用いた、ダイオード、トランジスタ、IC、LSI、VLSI等の電気素子の封止に有用なエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用電気・電子部品の封止方法は、一般に注型法、低圧トランスファー成形法が用いられてきた。注型法は、型枠の中に素子をセットし、液状樹脂を注入した後に、加熱硬化させる。特徴として、設備投資が少なくてすみ、少量多品種生産に適している。しかし、硬化サイクルが1〜4時間と長く、作業効率が非常に悪い。また、常圧で硬化させるので、脱泡工程が必要である。また、低圧トランスファー成形法は、粉末材料をタブレットにして、予熱溶解させた後に、素子をセットした金型に圧入して加熱硬化させる。これは、現在大量生産に用いられている方法で、信頼性が非常に高く、装置、工程、材料などの技術は完成している。硬化条件は、150〜180℃・5分以内で硬化できる。しかし、設備投資が高く、予熱溶解させるので注入機に残存する樹脂が発生し、樹脂の使用効率が低いと言う問題がある。
【0003】
これらの問題点を解決する方法として、LIM成形が検討されている。LIM成形は、液状樹脂を用いて常温、低圧で金型に圧入する方法で、電気・電子部品の破損が少ない、金型の摩耗が少ない、外装する樹脂の薄肉化が可能、部品自体の小型化が可能、樹脂の使用効率が高いなどの利点を有する。しかし、液状樹脂は、一液性であることが必須条件で、速硬化性、ロングポットライフなどの厳しい条件が付帯されている。硬化剤、硬化触媒がすでに混合された状態で販売されているので、室温で硬化し難く、加熱時に速硬化する熱潜在性が強く求められる。
【0004】
一液性液状エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる酸無水物は、樹脂の保管時に吸湿や一部昇華がみられるので望ましくなく、硬化時に酸性ガスが発生することが多い。また、イミダゾールやアミンアダクトは固体のものが多く、粘度が高く流動性に問題があり使用できない。アミン系硬化剤は、常温でも硬化し易く、ポットライフが短く使用できないと言う欠点がある。
【0005】
そこで近年、実質的に酸無水物、イミダゾールやアミンアダクト等の硬化剤を含有しない一液性液状エポキシ樹脂組成物が提案されている。例えば、特開平8−213417号公報には、液状エポキシ樹脂、またはエポキシ樹脂と希釈剤からなる硬化性液状混合物、無機充填剤、芳香環からのα位の炭素原子にヘテロ原子を有するオニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩および内部離型剤を含む一液性液状エポキシ樹脂組成物、特開平9−246435号公報には、液状エポキシ樹脂、またはエポキシ樹脂と希釈剤からなる硬化性液状混合物、無機充填剤、芳香環からのα位の炭素原子にヘテロ原子を有するオニウムのヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩、および内部離型剤を含む一液性液状エポキシ樹脂組成物等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アンチモンや砒素などの重金属や毒物は、今後ますます作業環境の悪化や廃棄物中への環境負荷の問題などで使用することが規制されつつある。また、フッ素などのハロゲンを含む化合物は、得られる硬化物中にフッ素イオンが残存し、電気特性を悪化させたり、金型を腐食させたりする問題がある。
従って、本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤と硬化触媒の両方の作用を有し、酸無水物等のエポキシ樹脂硬化剤を実質的に使用しなくても、速硬性のエポキシ樹脂を得ることができる新規なホスホニウム化合物及びその工業的に有利な製造方法、並びにその用途として、エポキシ樹脂用添加剤及び該添加剤を含有する常温における安定性(ポットライフ)が十分に長く、加熱時に速やかに硬化することができるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題に鑑み、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物が、エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化触媒の両方の作用を有し、
更に、該ホスホニウム化合物をエポキシ樹脂の添加剤として配合したエポキシ樹脂は、常温における安定性(ポットライフ)が十分に長く、実質的に酸無水物、イミダゾールやアミンアダクト等の硬化剤を実質的に使用しなくても加熱時に速やかに硬化すると言う知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明の第一の発明は、下記一般式(1):
【0008】
【化4】
Figure 0004550247
【0009】
(式中、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ベンジル基、水酸基またはアミノ基置換のアルキル基、置換または無置換のフェニル基を示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれが同一の基であっても異なる基であってもよい。R5は水素原子またはメチル基を示し、Aは、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のシクロヘキサン環、置換または無置換のシクロヘキセン環、置換または無置換の炭素数2〜3の飽和炭化水素鎖、置換または無置換の炭素数2〜3の不飽和炭化水素鎖、置換または無置換のピリジン環、置換または無置換のノルボルネン環を示し、nは、1〜3の整数を示す。)で表されることを特徴とするホスホニウム化合物を提供するものである。
本発明の第二の発明は、下記一般式(2):
【0010】
【化5】
Figure 0004550247
【0011】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同義。)で表されるホスホニウム塩誘導体と、下記一般式(3):
【0012】
【化6】
Figure 0004550247
【0013】
(式中、Aは前記と同義。)で表されるカルボン酸無水物とを反応させることを特徴とする前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の製造方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明の第三の発明は、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂用添加剤を提供するものである。
また、本発明の第四の発明は、前記エポキシ樹脂用添加剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供するものであり、該エポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂含有硬化性液状混合物、(B)無機質充填剤、(C)前記エポキシ樹脂用添加剤を含有することが好ましい。
また、本発明の第5の発明は、前記エポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の式中、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ベンジル基、水酸基またはアミノ基置換のアルキル基、置換または無置換のフェニル基を示し、アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、iso−オクタデシル基等が挙げられる。また、R1、R2、R3、R4は、それぞれが同一の基であっても、異なる基であってもよい。また、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の式中、R5は、水素原子又はメチル基であり、Aは、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のシクロヘキサン環、置換または無置換のシクロヘキセン環、置換または無置換の炭素数2〜3の飽和炭化水素鎖、置換または無置換の炭素数2〜3の不飽和炭化水素鎖、置換または無置換のピリジン環、置換または無置換のノルボルネン環を示し、nは、1〜3の整数を示す。
【0016】
次いで、本発明の前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の製造方法について説明する。
本発明の前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の製造方法は、前記一般式(2)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体と、前記一般式(3)で表される酸無水物とを反応させることにより得ることができる。
前記一般式(2)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体の式中、R1、R2、R3、R4、R5は、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の式中のR1、R2、R3、R4、R5にそれぞれぞれ相当する基であり、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ベンジル基、水酸基またはアミノ基置換のアルキル基、置換または無置換のフェニル基を示し、アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、iso−オクタデシル基等が挙げられる。また、R1、R2、R3、R4は、それぞれが同一の基であっても、異なる基であってもよい。また、前記一般式(2)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体の式中、R5は、水素原子又はメチル基である。
【0017】
本発明の前記一般式(2)で表されるホスホニウム化合物の製造方法は、次のとおりである。
【0018】
【化7】
Figure 0004550247
【0019】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同義。XはCl、Br、Iのハロゲンを表わす。)
上記の一般式にしたがい、等モルのホスホニウムハロゲン化物、ベンゾトリアゾール化合物を水に溶かし、若干過剰のアルカリ(NaOH、KOHなど)を加えて約60〜80℃に加熱する。遊離した生成物は、n−ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機溶媒で抽出し、純水で4〜5回洗浄する。以後減圧下に溶媒を除去し、濃縮する。
【0020】
前記一般式(2)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体の具体的な化合物としては、例えば、テトラメチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラエチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-プロピルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-オクチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ドデシルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-テトラデシルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-オクタデシルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリエチルオクチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-ブチルドデシルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-ブチルヘキサデシルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-ブチルベンジルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリ-n-オクチルエチル n-ブチルベンジルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラフェニルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリフェニルメチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリフェニルエチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリフェニルブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、トリフェニルベンジルホスホニウムベンゾトリアゾレート等を例示することができる。
【0021】
もう一方の反応原料である前記一般式(3)で表されるカルボン酸無水物の式中、Aは、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物の式中のAに相当する基であり、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のシクロヘキサン環、置換または無置換のシクロヘキセン環、置換または無置換の炭素数2〜3の飽和炭化水素鎖、置換または無置換の炭素数2〜3の不飽和炭化水素鎖、置換または無置換のピリジン環、置換または無置換のノルボルネン環を示す。
【0022】
前記一般式(3)で表されるカルボン酸無水物の具体的な化合物としては、無水フタル酸、無水4-メチルフタル酸、無水3-ニトロフタル酸、無水4-ニトロフタル酸、無水3-フルオロフタル酸、無水4-カルボキシフタル酸(無水トリメット酸)、無水トリメット酸クロリド、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水ホモフタル酸、無水マレイン酸、無水フェニルマレイン酸、無水2,3-ジメチルマレイン酸、無水コハク酸、無水2,2-ジメチルコハク酸、無水ノネニルコハク酸、無水ドデセニルコハク酸(1,3,5,7-テトラメチルオクチニルコハク酸)、無水2-ドデセン-1-イルコハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水3-エチル-3-メチルグルタル酸、無水2,2-ジメチルグルタル酸、無水3,3-ジメチルグルタル酸、無水3,3-テトラメチレングルタル酸、無水2-フェニルグルタル酸、無水3-メチルグルタル酸、無水ヘキサフルオログルタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸(無水cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸)、無水4-メチルテトラヒドロフタル酸(無水cis-4-メチルシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸)、無水テトラヒドロフタル酸(無水cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸)、無水4-メチルヘキサヒドロフタル酸、6-メチル-4-シクロヘキセン-1,2,3-トリカルボン酸-1,2-無水物、無水3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、無水3,6-exo-オキソ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、エンディック酸無水物(無水ナジック酸、無水ハイミック酸、無水5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸)、無水1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、無水メチルナジル酸(無水メチルノルボルネン-2,3-ジカルボン酸)、クロレンド酸無水物(無水ヘット酸)、無水endo-ビシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、無水2,3-ピリジンジカルボン酸、無水1,8-ナフタル酸、無水3-ニトロ-1,8-ナフタル酸、無水ピロメット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等を例示することができる。
【0023】
次いで、反応条件について説明する。
反応原料の前記一般式(2)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体に対する前記一般式(3)で表されるカルボン酸無水物のモル比は、通常1〜3であり、好ましくは1程度である。反応溶媒は、特に用いなくてもよいが、アセトニトリルなどの二トリル類、アセトン、エチルメチルケトン、MIBKなどケトン類、ヘキサン、へプタンなどの飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等の1種又は2種以上で用いることができる。反応温度は、用いる反応溶媒の沸点にもよるが、室温〜100℃、好ましくは室温〜50℃が望ましい。反応時間は、0.1〜12時間、好ましくは0.5〜2時間が望ましい。反応後は、特に精製を必要としないが、溶媒を真空もしくは常圧で除去することにより目的とする前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物を得ることができる。
【0024】
本発明の前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物は、エポキシ樹脂用添加剤として好適に使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるホスホニウム化合物を添加剤として含有するものであり、本発明において、該添加剤とは、加熱によってエポキシ樹脂を硬化させ、またエポキシ樹脂成分中に反応性希釈剤を配合する場合は、エポキシ樹脂と反応性希釈剤とを硬化させる触媒として機能する潜在性触媒を意味するものである。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂含有硬化性液状混合物、(B)無機質充填剤、(C)前記エポキシ樹脂用添加剤を含有するものであることが好ましい。
本発明で用いることができるエポキシ樹脂は、硬化性エポキシ樹脂組成物におけるポリマー成分であり、常温で液状であるか、又は常温で液状または固体のものが希釈剤によって希釈されて常温で液状を示す硬化性液状混合物である。ここでエポキシ樹脂とは、1分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般あり、触媒ないし硬化剤の存在下に硬化して樹脂状ポリマーを形成するものであれば、どのような分子構造のものでも差支えない。エポキシ樹脂は、1種を単独に用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ここで常温で液状とは、25〜40℃で流動性を有することをいい、いわゆる半固状のものを包含するものである。また、常温で液体のエポキシ樹脂と固体エポキシ樹脂との実質的に均一な混合物で、混合後に常温で液状のものも、本発明の液状エポキシ樹脂に包含されものである。
【0026】
常温で液状であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約500以下のもの;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;1,2−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)のような脂環式エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ならびに1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂等を例示することができる。
【0027】
希釈剤によって希釈された硬化性液状組成物の主成分としては、前記の液状エポキシ樹脂のほかに、固体エポキシ樹脂を用いることもできる。用いることができる固体エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂等を例示することができる。
【0028】
希釈剤としては、エポキシ樹脂を溶解ないしは分散させて、系が流動性を保ち得るものであれば特に限定はなく、前記した本発明のエポキシ樹脂用添加剤成分による硬化反応にあずかる反応性希釈剤でも、非反応性希釈剤でもよい。
反応性希釈剤は、1分子中に1個または2個以上のエポキシ基を有する常温で比較的低粘度のエポキシ化合物であり、目的に応じて、エポキシ基以外に、他の重合性官能基、たとえばビニル、アリルなどのアルケニル基;またはアクリロイル、メタクリロイルなどの不飽和カルボン酸残基を有していてもよい。このような反応性希釈剤としては、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec −ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシドのようなモノエポキシド化合物;アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのような他の官能基を有するモノエポキシド化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物等を例示することができる。
【0029】
非反応性希釈剤としては、p−シメン、テトラリンのような高沸点芳香族炭化水素;グリセリン;2−メチルシクロヘキサノールのような高沸点アルコール;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、リン酸ジブチルベンジル等の可塑剤を例示することができる。
【0030】
前記した希釈剤は硬化性液状組成物全体の40重量%以下の量を用いることが好ましい。また硬化性液状組成物全体の10重量%以下、好ましくは2重量%以下の範囲であれば、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのような、より低沸点の有機溶媒を用いてもよく、このような有機溶媒の使用は、硬化の際の発泡や肉やせを生じやすいので、できるだけ少ない添加量にすることが好ましい。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、用いられる無機充填剤は、組成物が硬化する際に収縮を小さくするとともに、硬化後の封止材に適した機械的性質や熱伝導性を与え、膨張係数を小さくするもので、粉砕シリカ、球状シリカを包含する溶融シリカ、煙霧質シリカ、沈殿シリカ、結晶性シリカのようなシリカ粉末のほか;アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒炭化ケイ素、炭化チタン、窒化チタンなどの粉末が用いられ、成形された封止層の膨張係数を小さくする効果があり、比較的高純度のものを比較的容易に入手でき、未硬化の系の見掛粘度の上昇が少ないことから、溶融シリカが好ましい。これらの無機充填剤の形状は、特に制限はなく、球状、繊維状、角状の何れであってもよく、平均粒径が1〜50μmのものが特に好ましく用いられる。
無機充填剤の使用量は、エポキシ樹脂、またはエポキシ樹脂と反応性希釈剤の合計量100重量部に対して、通常50〜1,000重量部、好ましくは200〜500重量部が好ましい。50重量部未満では十分な効果が得られず、1,000重量部を越えて配合すると、組成物の流動性が乏しくなり、成形しにくくなるので好ましくない。
【0032】
前記した本発明のエポキシ樹脂用添加剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部である。この理由は、0.01重量部より添加量が少なくなると硬化速度が遅くなり、実用的な硬化速度が得られなくなり、一方、10重量部より大きくなると未硬化状態でのエポキシ樹脂組成物の安定性及び硬化体の物性が低下するので好ましくない。
【0033】
また、本発明のエポキシ樹脂用添加剤に加えて、配合後の液状エポキシ樹脂組成物の液体としての取り扱いや硬化物性等に差し支えない程度であれば、必要に応じて、硬化剤、マイクロカプセル化潜在性硬化剤、硬化触媒と併用することができる。併用することができる硬化剤としては、特に制限はなく、広く公知のものを使用することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々のフェノール類や、種々フェノール類と、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂などの各種のフェノール樹脂類、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ジクロルコハク酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリック酸、無水クロレンディク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物類、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアンジアミド類等を例示することができ、これらは1種又は2種以上で用いられる。
【0034】
併用することができるマイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、所定の温度以上の加温によって硬化促進剤としての機能を発揮するものであり、その構成は反応性の高い硬化剤をコアとし、少なくともそのコアである硬化剤が反応するまではエポキシ樹脂と反応しない材料をシェルとしたものである。このようなマイクロカプセル型潜在性硬化剤のコア成分として使用できる硬化剤としては、アミン類、ポリアミド類、イミダゾール類、尿素類、ヒドラジド類等、あるいはこれらの化合物のエポキシアダクト等があり、特にイミダゾール類は硬化樹脂の耐熱性に優れるため好ましい。また、シェル成分としては高分子量のエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等があげられ、これらのマイクロカプセル型潜在性硬化剤は1種又は2種以上で用いられる。
【0035】
併用することができる硬化触媒としては、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2、4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2、4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジメチルアミノ−1−ピロリンなどのアミノ類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンなどのジアザビシクロ化合物、それらジアザビシクロ化合物テトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩等が挙げられ、これらの硬化触媒は1種または2種以上で用いられる。なお、これらの硬化触媒はマイクロカプセルで被覆処理したものを用いてもよい。
【0036】
また、本発明において、上記以外の添加剤として、内部離型剤を配合させることができる。
用いることができる内部離型剤としては、シリコーン油、フッ素系界面活性剤、ワックス類、流動パラフィン、ステアリン酸金属塩等を例示することができる。離剥剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常は0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。この理由は、使用量が0.05より小さくなると硬化後に十分な離剥性が得られず、また、10重量部より大きくなると、例えば、半導体封止用として使用した場合に、表面が滑りやすくなったり、マーキング性が悪くなったりすることから好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、その他、カップリング剤、湿潤剤、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、消泡剤、難燃剤、着色剤等が添加されいても差し支えない。
【0037】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、液状であるため、常温〜40℃の温度で、ニーダ等の攪拌装置を用いて、各成分を均一に混合することによって容易に調製することができ、該調製したエポキシ樹脂組成物を、電気部品を挿入した型に、射出成形またはトランスファー成形により封入し、通常100〜200℃、好ましくは120〜180℃で封止層を成形、硬化させることができる。硬化時間は特に限定させず、樹脂組成、封止体の寸法、形状、成形温度に応じて任意に設計することができ、ゲルタイムとしては100℃で1500秒以内、好ましくは、900秒以内であり、130℃で500秒以内、好ましくは200秒以内、150℃で300秒以内、好ましくは100秒以内である。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体素子の樹脂封止用の組成物として使用することができる他、精密電子部品、精密電気部品、摺動材料、自動車部品、航空宇宙材料、耐熱積層板、マウント剤、注型材料分野、耐熱接着剤、耐熱塗料等の分野においても使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
テトラ-n-ブチルホスホニウム ベンゾトリアゾレート37.8 g (0.1 mol)と4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸16.8 g (0.1 mol)をアセトン150mlに溶解させ、室温で混合攪拌した。わずかに発熱が認められ、エバポレーターで濃縮することにより、微黄色粘凋液体54.6 gを得た。FT-IRなどの分析より、酸無水物が解裂しカルボン酸アニオンになり、生成物はテトラ-n-ブチルホスホニウム 2-(ベンゾトリアゾール-1-イルカルボニル)-4-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレートであった(試料A)。
【0040】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.85-1.21 (m, 17H), 1.25-1.70 (m, 19H), 1.84-3.28 (m, 12H), 7.19-7.22 (m, 2H), 7.88-7.91 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.42 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2958, 2931, 2872, 1786, 1621, 1464, 1381, 1227, 1203, 1098, 1001, 945, 919, 805, 747
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0041】
実施例2
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物を用いて、実施例1と同様にして合成した(試料B)。
【0042】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.879 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.11-1.90 (m, 22H), 2.03-2.37 (m, 12H), 7.23-7.38 (m, 2H), 7.90-7.95 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 30.56 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2959, 2933, 2872, 1741, 1566, 1464, 1410, 1205, 1099, 1006, 1006, 1006, 1006, 968, 906, 776, 749
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0043】
実施例3
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水cis-Δ4-テトラヒドロフタル酸を用いて、実施例1と同様にして合成した(試料C)。
【0044】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.890 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.31-1.33 (m, 18H), 1.95-3.24 (m, 12H), 5.53-5.71 (m, 2H), 7.11-7.15 (m, 2H), 7.79-7.84 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 30.49 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 3023, 2960, 2932, 2873, 1746, 1567, 1464, 1402, 1205, 1098, 1005, 970, 808, 776, 749
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0045】
実施例4
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水マレイン酸を用いて、実施例1と同様にして合成した(試料D)。
【0046】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.82-0.87 (m, 12H), 1.23-1.25 (m, 18H), 1.87-1.92 (m, 8H), 7.06-7.11 (m, 2H), 7.78-7.83 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 30.27 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2960, 2933, 2872, 1579, 1464, 1383, 1308, 1204, 1097, 1004, 968, 919, 776, 749
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0047】
実施例5
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水フタル酸を用いて、実施例1と同様にして合成した(試料E)。
【0048】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.875 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.37-1.44 (m, 16H), 2.11-2.21 (m, 8H), 7.27-7.34 (m, 2H), 7.48-7.52 (m, 2H), 7.91-7.95 (m, 2H), 8.40-8.44 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.78 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 3065, 2961, 2933, 2873, 1850, 1788, 1774, 1588, 1560, 1466, 1404, 1381,1257, 1205, 1098, 1005, 938, 899, 776, 750, 715
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0049】
実施例6
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水コハク酸を用いて、実施例1と同様にして合成した(試料F)。
【0050】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.898 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.42-1.45 (m, 18H), 2.10-2.21 (m, 10H), 7.27-7.31 (m, 2H), 7.89-7.93 (m, 2H),
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.71 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2961, 2935, 2872, 1642, 1464, 1410, 1204, 1098, 1005, 968, 920, 809, 749, 641, 547
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0051】
実施例7
テトラ-n-ブチルホスホニウム ベンゾトリアゾレート37.8 g (0.1 mol)と4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸33.6 g (0.2 mol)をアセトン150mlに溶解させ、室温で混合攪拌した。わずかに発熱が認められ、エバポレーターで濃縮することにより、微黄色粘凋液体75.2 gを得た(試料G)。
【0052】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.77-0.93 (m, 22H), 1.40-1.47 (m, 22H), 2.17-2.28 (m, 16H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.92-7.96 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.78 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2957, 2871, 1788, 1747, 1605, 1458, 1377, 1206, 1098, 1005, 945, 913, 749, 624
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0053】
実施例8
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いて、実施例7と同様にして合成した(試料H)。
【0054】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.906 (t, J = 9.6 Hz, 12H), 1.00-2.11 (m, 28H), 2.17-3.26 (m, 16H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.92-7.95 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.76 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2958, 2933, 2871, 1788, 1743, 1604, 1452, 1380, 1203, 1104, 1005, 930, 908, 822, 749
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0055】
実施例9
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水テトラヒドロフタル酸を用いて、実施例7と同様にして合成した(試料I)。
【0056】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.39-1.45 (m, 20H), 2.17-3.10 (m, 16H), 5.53-5.70 (m, 4H), 7.28-7.33 (m, 2H), 7.89-7.93 (m, 2H),
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.78 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 3026, 2960, 2932, 2873, 1793, 1748, 1569, 1465, 1406, 1319, 1205, 1096,1005, 957, 901, 750, 664
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0057】
実施例10
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水マレイン酸を用いて、実施例7と同様にして合成した(試料J)。
【0058】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.849 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.378 (t, J = 5.3 Hz, 16H), 2.05-2.18 (m, 12H), 7.24-7.28 (m, 2H), 7.87-7.91 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.58 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2960, 2933, 2872, 1775, 1711, 1589, 1464, 1381, 1205, 1097, 1003, 968, 919, 750,
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0059】
実施例11
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水フタル酸を用いて、実施例7と同様にして合成した(試料K)。
【0060】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.878 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.38-1.45 (m, 16H), 2.14-2.24 (m, 8H), 7.27-7.57 (m, 4H), 7.91-8.02 (m, 6H), 8.41-8.46 (m, 2H)31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.75 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 3070, 2961, 2934, 2873, 1850, 1789, 1774, 1691, 1588, 1559, 1466, 1354, 1258, 1207, 1099, 1004, 901, 778, 737
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0061】
実施例12
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の代わりに、無水コハク酸を用いて、実施例7と同様にして合成した(試料L)。
【0062】
<同定データ>
1H-NMR (CDCl3, ppm); 0.927 (t, J = 6.9 Hz, 12H), 1.45-1.50 (m, 20H), 2.14-2.25 (m, 12H), 7.27-7.39 (m, 2H), 7.88-7.93 (m, 2H)
31P-NMR (CDCl3, ppm); 33.75 (s)
FT-IR (neat, cm-1); 2961, 2934, 2873, 1783, 1717, 1562, 1465, 1410, 1383, 1206, 1048, 1004, 906, 751
FAB-MS (Pos., m/z); 259
【0063】
実施例13〜24
<ゲルタイムの測定>
エピコート828(油化シェルエポキシ社製)100部に対し、前記で調製した添加剤試料を各々5部添加し、ポットライフ及び100、130、150℃の温度におけるゲルタイムを測定した。ゲルタイム測定装置は、PS−962(東洋精機社製)を用いた。
なお、ポットライフは、組成物500gを40℃に保ち、25℃における粘度が1000cpsになるまでの日数を測定した。
【0064】
【表1】
Figure 0004550247
【0065】
表2に示した配合割合でエピコート828(油化シェルエポキシ社製)、平均粒子径30μm、最大粒径130μmの溶融シリカとを混合し、次いで上記で調製したエポキシ樹脂用添加剤試料A、B、Cとカルナウバックバックスを添加して、均一になるまで常温で混合することにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。次いで、半導体用の低圧トランスファー成形機により、半導体の封止を試みた。なお、半導体の封止条件は以下のとおりである。
温度を150℃に設定した金型のキャビティの所定部位に半導体素子を配設し、表2に示した配合割合に調製したエポキシ樹脂組成物を、圧力42kg/cm2、成形サイクル40秒の条件でキャビティに移送し、該サイクルタイム内で硬化させて半導体の封止層を形成させた。
その結果、エポキシ樹脂組成物は完全に硬化して優れた封止層を形成しバリの発生はなかった。
【0066】
【表2】
Figure 0004550247
【0067】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明のホスホニウム化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化促進剤の両方の作用を有する新規なホスホニウム化合物であり、該ホスホニウム化合物をエポキシ樹脂用添加剤として液状エポキシ樹脂に添加したものは、常温における安定性(ポットライフ)が十分に長く、また、酸無水物、イミダゾールやアミンアダクト等の硬化剤を実質的に使用しなくても加熱時に速やかに硬化することができ、特に半導体封止用エポキシ樹脂組成物として有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0004550247
    (式中、R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ベンジル基、水酸基またはアミノ基置換のアルキル基、またはフェニル基を示し、R、R、R、Rはそれぞれが同一の基であっても異なる基であってもよい。Rは水素原子またはメチル基を示し、Aはメチル基、ニトロ基、クロロ基、フルオロ基、カルボキシル基、フェニル基、ノネニル基、ドデセニル基、ドデセン−1−イル基、メチレン基、エチル基またはオキソ基で置換されまたは無置換のベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、炭素数2〜3の飽和炭化水素鎖、炭素数2〜3の不飽和炭化水素鎖、ピリジン環またはノルボルネン環を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されることを特徴とするホスホニウム化合物。
  2. 下記一般式(2):
    Figure 0004550247
    (式中、R、R、R、R、Rは前記と同義。)で表されるホスホニウムベンゾトリアゾレート誘導体と、下記一般式(3):
    Figure 0004550247
    (式中、Aは前記と同義。)で表されるカルボン酸無水物とを反応させることを特徴とする請求項1記載のホスホニウム化合物の製造方法。
  3. 請求項1記載のホスホニウム化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂用添加剤。
  4. 請求項3記載のエポキシ樹脂用添加剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  5. (A)液状エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂含有硬化性液状混合物、(B)無機質充填剤、(C)請求項3記載のエポキシ樹脂用添加剤を含有する請求項4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項4又は5記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
JP2000285813A 2000-09-20 2000-09-20 ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物 Expired - Fee Related JP4550247B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000285813A JP4550247B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000285813A JP4550247B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002097182A JP2002097182A (ja) 2002-04-02
JP4550247B2 true JP4550247B2 (ja) 2010-09-22

Family

ID=18769821

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000285813A Expired - Fee Related JP4550247B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4550247B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3948620B2 (ja) * 2003-06-20 2007-07-25 三洋化成工業株式会社 ポリエステル系合成繊維用難燃剤
CN104177343A (zh) * 2013-05-27 2014-12-03 海洋王照明科技股份有限公司 含苯并三唑单元的有机半导体材料及其制备方法和太阳能电池器件
WO2020036023A1 (ja) 2018-08-13 2020-02-20 昭和電工株式会社 ポリイソシアヌレート原料組成物、及びポリイソシアヌレートの製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6287595A (ja) * 1985-10-11 1987-04-22 Masako Matsumoto ホスホニウム化合物の合成方法
JPS6287596A (ja) * 1985-10-11 1987-04-22 Masako Matsumoto ホスホニウム化合物の合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002097182A (ja) 2002-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8053546B2 (en) Catalyst for curing epoxides
TW201610120A (zh) 密封用樹脂組成物及半導體裝置
JP5527600B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた電子部品装置
JP2001055425A (ja) レゾルシンノボラック樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP4550247B2 (ja) ホスホニウム化合物およびその製造方法、並びにその組成物
JP3924875B2 (ja) 液状エポキシ樹脂組成物
US3620983A (en) {11 -methylglycidyl-isocyanurates
JPS6136852B2 (ja)
JP3992181B2 (ja) エポキシ樹脂の製造方法
JP4023594B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物
JP2011017018A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JPH1149846A (ja) トリフェニルメタン型フェノール樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP4565489B2 (ja) エポキシ樹脂用の硬化剤、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物
JPH05287172A (ja) エポキシ樹脂組成物
JP3685669B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP5579300B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP7408591B2 (ja) カルボキシル基を有するイソシアヌレート化合物および該化合物を用いたエポキシ樹脂組成物
JP2002338656A (ja) 結晶性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP3791711B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
TW202328262A (zh) 晶籠化合物、環氧樹脂硬化劑及硬化性樹脂組合物
JPH03221516A (ja) エポキシ樹脂の製造方法とエポキシ樹脂組成物
TW202313758A (zh) 環氧樹脂及環氧樹脂之製造方法
JP5132036B2 (ja) 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP2004307686A (ja) エポキシ樹脂、その製法、エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2000001525A (ja) 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060529

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100706

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees