JP4550242B2 - 濾材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸条あるいは織編物からなり、支持体を用いずとも硬く丈夫で、濾過性能に優れた濾材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維素材からなる濾材としては、糸条や織編物、不織布を積層したり、多重に捲いたものや、それらに高圧プレス処理や樹脂含浸を行って固めたものが知られている。しかし、それら従来の濾材では、繊維密度を均一にして微細な空隙を均一に分布させることが困難であり、濾過効率や目詰まりといった濾過性能の点で思わしいものではなかった。また、使用中の変形や繊維の脱落による性能低下の問題もあり、特にカートリッジ濾材では、通常プラスチック成形体等の支持体が必要となり、製造工程が煩雑で、また廃棄にも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような現状に鑑みて行われたもので、濾過性能に優れ、支持体を必要としない軽量で硬く丈夫な繊維製の濾材を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するもので、次の構成よりなるものである。
(1)芯部にポリエチレンテレフタレートが配され、鞘部にバインダー成分としてε−カプロラクトン共重合ポリエステルが配されたポリエステル系芯鞘型熱融着性バインダー繊維(A)と、カチオン染料可染ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、セルロース系繊維、セルロース誘導体系繊維、タンパク質繊維及び生分解性プラスチック繊維からなる群より選ばれた繊維(B)とを含む混紡糸(C)よりなる繊維糸条物又は織編物を、巻き取りもしくは積層して賦形し、さらに(A)を熱融着させた後、(B)を溶解除去することにより製造され、(C)の内部に空隙が形成されていることを特徴とする濾材。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の濾材を製造するのに用いる原材料について説明する。
【0006】
[熱融着性バインダー繊維(A)]
本発明における熱融着性バインダー繊維としては、加熱により融着する樹脂成分(本発明において、バインダー成分と称する)を含む繊維であれば特に限定されるものではなく、バインダー成分のみからなる単成分繊維、あるいはバインダー成分が単繊維の表面の全部または一部を形成している芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、海島型繊維、割繊型繊維等の複合繊維等を使用することができる。中でも、芯鞘型複合繊維、特に芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がポリエステル系バインダー成分で構成されている芯鞘型複合繊維が、接着強力の高さすなわち濾材の成形に用いたときのヒートセット性の良さ、ならびに経済性の点で好ましい。
なお、熱融着性バインダー繊維(A)の繊度としては、特に限定されるものではないが、2〜20デシテックスが適当である。
【0007】
バインダー成分の融点としては、濾材が使用される環境温度により要求される融点が異なるが、温水での使用を考慮すれば100℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、使用時の耐熱性と製造時の加熱条件を考慮すれば130℃〜180℃が特に好ましい。
【0008】
本発明において、熱融着性バインダー繊維(A)のバインダー成分がε−カプロラクトン共重合ポリエステルであることは好ましい態様である。ε−カプロラクトン共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレートにε−カプロラクトン単位を共重合したものが挙げられ、このときのε−カプロラクトン単位の比率としては、3〜80モル%であることが好ましい。ε−カプロラクトン単位の比率が3モル%未満では、熱融着による接着強度が不足する場合があり、一方、ε−カプロラクトン単位の比率が80モル%を超える場合、ポリエステルの融点が低くなり過ぎて加工工程での不具合が生じたり、本発明の濾材の耐熱性が不足する場合があるので好ましくない。
なお、共重合ポリエステル中のε−カプロラクトン単位は他の構成単位とランダム共重合であってもよく、ブロック共重合であってよい。
【0009】
また、上記のε−カプロラクトン共重合ポリエステルには、さらに共重合される酸成分又はアルコール成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の酸成分又はアルコール成分が共重合されていてもよい。このとき、上記のさらに共重合される酸成分又はアルコール成分の量としては、それぞれの合計が共重合ポリエステルの全酸成分又は全アルコール成分に対して20モル%以下であることが好ましい。
【0010】
上記のε−カプロラクトン共重合ポリエステルは明確な結晶融点を有しており、これをバインダー成分とする熱融着性繊維を用いた場合には、ガラス転移点以上かつ融点以下の温度で熱処理(例えば染色)しても軟化、融着することはなく、後述する本発明の濾材の製造過程における結晶融点以上の熱処理により融着するので、本発明の濾材を硬く丈夫なものにすることができる。
【0011】
[(A)とは溶解挙動が異なる繊維(B)]
本発明における(A)とは溶解挙動が異なる繊維(B)(以下、繊維(B)と略記することがある)とは、特定の溶媒もしくは溶液に対する溶解度あるいは溶解速度が熱融着性バインダー繊維(A)のそれとは異なる繊維をいう。そのような繊維(B)としては、カチオン染料可染ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、アセテート繊維等のセルロース誘動体系繊維、レーヨン繊維、木綿、麻等のセルロース系繊維、ウール、絹等のタンパク質繊維、ポリ乳酸繊維等の生分解性プラスチック繊維を使用することができる。中でも、カチオン染料可染ポリエステル繊維が好ましく、上記のように熱融着性バインダー繊維(A)のバインダー成分がε−カプロラクトン共重合ポリエステルであるとき、繊維(B)がカチオン染料可染ポリエステル繊維であることは特に好ましい。
【0012】
上記のカチオン染料可染ポリエステル繊維としては、例えば、エチレンテレフタレート単位やブチレンテレフタレート単位、又はエチレン−2,6−ナフタレート等のエチレンナフタレート単位を主たる構成成分とするポリエステルに、5−スルホイソフタル酸が共重合された、5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステルからなる繊維が好ましく用いられる。このときの5−スルホイソフタル酸成分の共重合比率としては、5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステルを構成する酸成分のうち、1.5〜10モル%、さらには3〜10モル%であることが好ましく、この共重合比率によって溶解挙動と耐熱性とを調整することができる。
【0013】
また、繊維(B)の断面形態としては、丸断面であっても異型断面であってもよいし、中空断面であっても中実断面であってもよい。また、繊維(B)の繊度としては、特に限定されるものではなく、本発明の濾材の要求特性により決めればよいが、一般的には2〜20デシテックスのものが用いられる。
【0014】
[混紡糸(C)]
本発明においては、上記の熱融着性バインダー繊維(A)と(A)とは溶解挙動が異なる繊維(B)とを含む混紡糸(C)が用いられる。
そのような混紡糸(C)における熱融着性バインダー繊維(A)の含有率としては、紡績糸(C)全体の10〜90質量%が好ましい。熱融着繊維(A)の含有率を大きくすることにより、本発明の濾材を硬質なものとすることができる。
また、混紡糸(C)における繊維(B)の含有率としては、本発明の濾材に要求される濾過性能に応じて適宜変えればよいが、混紡糸(C)全体の10〜90質量%が好ましい。繊維(B)の含有率を大きくすることにより、後述する本発明の濾材の製造過程において混紡糸(C)の内部に形成される空隙の割合を大きくすることができる。
【0015】
次に、本発明の濾材を製造する工程について説明する。
本発明の濾材を製造する際には、まず、上記の混紡糸(C)を用いて、公知の方法により糸条物とするか、あるいは織編物とする。次いで、それらの糸条物、あるいは織編物を濾材に適した形状、例えば筒状や板状に賦形する。筒状や板状に賦形するには、パイプ状の金型等を利用して筒状に巻きとったり、板状に積層したりすればよい。
なお、繊維糸条物又は織編物を積層あるいは巻き取ることにより得られる賦形物における繊維の存在密度としては、要求特性に応じて適宜調整すればよく、濾材の使用目的にもよるが、最終的に得られる濾材について後述する実施例における測定方法で測定した場合の3μm以上の粒子の濾過捕集率が80%以上となるよう調整することが望ましい。
【0016】
上記のようにして繊維糸条物又は織編物を巻き取りもしくは積層して賦形したものに対し、さらに、熱処理を行うことにより熱融着性バインダー繊維(A)を熱融着させる。このときの熱処理の条件としては、熱融着性バインダー繊維(A)のバインダー成分が溶融する温度以上で、かつ、バインダー成分以外の成分が溶融する温度未満の温度範囲で、かつ、濾材を構成する熱融着性バインダー繊維(A)及び他の繊維が顕著に着色したり分解したりすることのない温度範囲で行うことが望ましい。このようにして濾材に含まれる熱融着性バインダー繊維(A)を熱融着させることにより、濾材は硬く丈夫なものとなり、また、使用時における濾材からの繊維の脱落を防止することができる。
なお、熱融着性バインダー繊維(A)を熱融着させた後の適当な時期を見計らって、濾材の賦形時に使用した金型等と濾材とを分離すればよい。
【0017】
上記のようにしてバインダー繊維(A)を溶融接着させた後、混紡糸(C)に含まれている繊維(B)を溶解除去する。混紡糸(C)に含まれている繊維(B)を溶解除去する方法としては、繊維(B)を溶解できる公知の溶媒もしくは溶液を用いた公知の方法で行えばよい。例えば、繊維(B)が5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステルの場合には、アルカリに浸漬させる方法、もしくは第4級アンモニウム塩、オレイル−ビス(2−ヒドロキシエチル)セチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロライド等にアルカリを加えたものに浸漬させる方法が採用できる。また、繊維(B)がセルロース系繊維の場合には硫酸の60%もしくは70%溶液に浸漬させる方法、繊維(B)がタンパク質繊維の場合には次亜塩素酸ナトリウムに浸漬させる方法、繊維(B)がアセテート繊維の場合にはアセトンに浸漬させる方法、繊維(B)がポリアミド繊維の場合には20%塩酸もしくは60%硫酸に浸漬させる方法、繊維(B)がビニロン繊維の場合には40%蟻酸に浸漬させる方法、繊維(B)が水溶性ビニロンの場合には水に浸漬させる方法等がそれぞれ採用できる。
【0018】
例えば、繊維(B)が5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステル繊維の場合、熱融着性バインダー繊維(A)(例えばポリエステル系バインダー繊維)とのアルカリによる減量反応速度差を利用して溶解させる。その際第四級アンモニウム塩を触媒として加えると一層顕著に反応速度差が生じ、5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステル繊維の溶解が進む。
【0019】
また、繊維(B)を溶解除去する際には、繊維(B)のうち必ずしも全量を除去しなくてもよいが、混紡糸(C)に含まれていた繊維(B)のうちの50質量%以上を溶解除去することが好ましく、繊維(B)の全量を除去することが特に好ましい。
なお、繊維(B)を溶解除去する際には、繊維(B)以外の繊維も若干溶解されたり軟化したりする場合も考えられが、濾材の性能を大きく低下させない範囲においては差し支えない。
【0020】
上記のようにして繊維(B)を溶解除去することにより、本発明の濾材を構成する混紡糸(C)の内部には、繊維(B)が除去された部分に微細な空隙が均一に分布して形成され、これにより濾材としての性能が向上する。
なお、混紡糸(C)に用いる繊維の径を種々調整することにより、空隙の大きさや量を調整したり、種々の大きさの空隙を併存させたり、傾斜分布させることも可能である。
本発明は、以上の構成よりなるものである。
【0021】
【作用】
本発明の濾材は、その構成成分である熱融着性バインダー繊維(A)を熱処理によって熱融着させることにより、支持体を必要としない硬く丈夫な成形体となり、繊維の脱落も防止される。
また、濾材を形づくるのに用いた混紡糸(C)に含まれていた繊維(B)の全部もしくは一部を溶解除去することにより、濾材内部に空隙が形成され、その空隙は均一に混紡された繊維が除去された跡であるため、均一かつ微細な空隙となり、高精度の濾過が可能となる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
参考例1
エチレンテレフタレート単位/ブチレンテレフタレート単位/ε−カプロラクトン単位を物質量比で2/2/1に配合して得られた相対粘度(0.5gのポリマーを100mlのフェノール:テトラクロルエタン(質量比1:1)溶媒に溶解し、ウベローデ型粘度管により測定されて得られる値)が1.34、融点が144℃のランダム共重合ポリエステルのチップと、相対粘度が1.38のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)のチップとを、それぞれ減圧乾燥させた後に用い、複合溶融紡糸装置を使用して、熱融着樹脂成分であるランダム共重合ポリエステルを鞘部に、PETを芯部に配し、複合比(質量比)を1:1として、紡糸孔数265の紡糸口金を用いて紡糸温度280℃、総吐出量230g/分の条件で複合溶融紡糸し、紡出糸条を冷却した後引取速度1000m/分で引き取って未延伸の複合繊維糸条を得た。この糸条を集束して11万デシテックスのトウにしたものを、延伸倍率3.4、延伸温度60℃で延伸し、さらに135℃のヒートドラムで熱セットしてから、押し込み式クリンパーを使用して捲縮を付与した後、長さ51mmに切断することにより、強度5.3cN/デシテックス、伸度35%、繊度2.4デシテックス、沸騰水収縮率0.6%のポリエステル系芯鞘型熱融着性バインダー繊維を得た。
【0023】
実施例1
参考例1の芯鞘型熱融着性バインダー繊維と、繊維(B)としてのカチオン染料可染ポリエステル繊維(ユニチカファイバー株式会社製、強度5.3cN/デシテックス、伸度42%、繊度2.2デシテックス、切断長51mm)とを30:70の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、常法に従って紡績し、綿番手20’Sの混紡糸を得た。
得られた混紡糸を経糸103本/インチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの筒状金型に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バインダー繊維を熱融着させた。
次に、上記の熱処理後の筒状物から金型を抜き取った後、カチオン染料可染ポリエステル繊維を溶解する為に、オレイン−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−セチルアンモニウムブロマイド1g/リットルを含む3%水酸化ナトリウム溶液にこの筒状物を浸漬させて沸騰水浴上で30分間攪拌することにより、カチオン染料可染ポリエステル繊維を溶解除去した。その後、0.2%の酢酸水溶液にて中和し、水洗し、乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
【0024】
比較例1
カチオン染料可染ポリエステル繊維を溶解除去する処理を行わない以外は実施例1と同様にして、比較用の濾材を得た。
【0025】
比較例2
レギュラーのPET繊維100%の20’Sの紡績糸を使用して実施例1と同様の設計で製織した生地を得た。この生地を用いて実施例1と同様にして筒状金型に巻き付けて賦形した後、下記処方1の処理液を含浸(ピックアップ率100%)し、乾燥・キュア(180℃×30分)を行い、その後、金型を抜き取ることにより、比較用の濾材を得た。
[処方1]
スミテックスレジン M−3(住友化学製) 20.0%
スミテックスアクセラレーターACX( 〃 ) 2.0%
水 78.0%
【0026】
実施例2
参考例1の熱融着性バインダー繊維と、繊維(B)としてのレーヨン繊維(繊度1.7デシテックス、切断長51mm)とを、35:65の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、常法に従って紡績することにより、20’Sの混紡糸を得た。
得られた紡績糸を経糸103本/インチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの筒状金型に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バインダー繊維を熱融着させた。
次に、上記の熱処理後の筒状物から金型を抜き取った後、レーヨン繊維を溶解する為に、23〜25℃の60%硫酸に浸漬させて30分間攪拌することにより、レーヨン繊維を溶解除去した。その後、1%のアンモニア水にて中和し、よく水洗してから乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を形成した。
【0027】
実施例3
参考例1の熱融着性バインダー繊維と、繊維(B)としてのアセテート繊維(繊度4.4デシテックス、切断長51mm)とを35:65の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、常法に従って紡績することにより、20’Sの混紡糸を得た。
得られた混紡糸を経糸103本/インチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金型の筒に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バインダー繊維を熱融着させた。
次に、上記の熱処理後の筒状物から金型を抜き取った後、アセテート繊維を溶解する為に、23〜25℃の80%アセトンにこの筒状物を浸漬させて30分間攪拌することにより、アセテート繊維を溶解除去した。その後、よく水洗してから乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
【0028】
実施例4
参考例1の熱融着性バインダー繊維と、繊維(B)としての水溶性ビニロン繊維(繊度2.8デシテックス、切断長51mm)とを35:65の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、常法に従って紡績することにより、20’Sの混紡糸を得た。
この混紡糸を経糸103本/インチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金型の筒に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バインダー繊維を熱融着させた。
次に、上記の熱処理後の筒状物から金型を抜き取った後、水溶性ビニロン繊維を溶解する為に、この筒状物を23〜25℃の水に浸漬させて30分間攪拌することにより、水溶性ビニロン繊維を溶解除去した。その後、水洗、乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
【0029】
実施例5
参考例1の熱融着性バインダー繊維と、繊維(B)としてのポリ乳酸繊維(強度4.2CN/デシテックス、伸度36%、繊度1.7デシテックス、切断長51mm)とを30:70の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、常法に従って紡績することにより、20’Sの混紡糸を得た。
得られた紡績糸を経糸103本/インチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金型の筒に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バインダー繊維を熱融着させた。
次に、上記の熱処理後の筒状物から金型を抜き取った後、ポリ乳酸繊維を溶解する為に、濃度20g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液にこの筒状物を浸漬させて、90℃で30分間攪拌することにより、ポリ乳酸繊維を溶解除去した。
その後、0.2%の酢酸にて中和し、よく水洗してから乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
【0030】
上記の実施例1〜5と比較例1〜2で得られた濾材について、濾過性能を調べた結果を下記表1に示す。
なお、濾過性能としては、下記の方法により濾過捕集率と昇圧所要時間を測定した。
[濾過捕集率]
粒径が3μm、5μm、10μm、50μm、100μmの微粒子をそれぞれ同量ずつ混合した混合物を10質量%含む水を試験液として、流量20リットル/分、で120分間濾過させ、10μm以上の粒子及び3μm以上の粒子についての濾過捕集率を測定した。
[昇圧所要時間]
上記の濾過を開始してから、目づまりして送液に要する圧力が400kpに昇圧するまでの時間を測定した。
【0031】
【表1】
Figure 0004550242
【0032】
表1の結果から明らかなように、本発明の濾材は、繊維(B)が溶解除去されて生じた微細で均一な空隙の作用により、濾過捕集率が高く、昇圧所要時間が長く、濾過性能に優れた目詰まりしにくい濾材であった。これに対して、比較例1の濾材は、実施例の濾材のように繊維(B)が溶解除去された空隙を有していないため、目詰まりしやすいものとなり、また、比較例2の濾材は、濾材を硬いものとするための樹脂被覆処理によって糸条が収束し、糸状間に比較的大きな空隙が生じたと思われ、微小粒子の捕集率が低いものであった。
なお、実施例1〜5及び比較例1〜2の濾材について、上記の濾過試験を行った後の形状を観察したところ、いずれの濾材にも型くずれ等の変形は見られなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の濾材は、濾過捕集率の高さ、目詰まりのしにくさという濾過性能に優れているとともに、支持体がなくとも軽量かつ硬く丈夫で形状を長期にわたって保持でき、繊維の脱落もなく、表面樹脂加工がされないので生産性や廃棄性も良好であり、有害物質を含まない。また、耐熱性も有しており、各種の水濾過、廃液処理、食品工業用として、あるいは気体濾過用として好適に利用できる。

Claims (1)

  1. 芯部にポリエチレンテレフタレートが配され、鞘部にバインダー成分としてε−カプロラクトン共重合ポリエステルが配されたポリエステル系芯鞘型熱融着性バインダー繊維(A)と、カチオン染料可染ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、セルロース系繊維、セルロース誘導体系繊維、タンパク質繊維及び生分解性プラスチック繊維からなる群より選ばれた繊維(B)とを含む混紡糸(C)よりなる繊維糸条物又は織編物を、巻き取りもしくは積層して賦形し、さらに(A)を熱融着させた後、(B)を溶解除去することにより製造され、(C)の内部に空隙が形成されていることを特徴とする濾材。
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