JP2002058922A - 濾 材 - Google Patents
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Abstract
で硬く丈夫な繊維製の濾材を提供する。 【解決手段】 熱融着性バインダー繊維(A)と(A)
とは溶解挙動が異なる繊維(B)とを含む混紡糸(C)
よりなる繊維糸条物又は織編物を、巻き取りもしくは積
層して賦形し、さらに(A)を熱融着させた後、(B)
を溶解除去することにより製造され、(C)の内部に空
隙が形成されていることを特徴とする濾材。
Description
物からなり、支持体を用いずとも硬く丈夫で、濾過性能
に優れた濾材に関するものである。
糸条や織編物、不織布を積層したり、多重に捲いたもの
や、それらに高圧プレス処理や樹脂含浸を行って固めた
ものが知られている。しかし、それら従来の濾材では、
繊維密度を均一にして微細な空隙を均一に分布させるこ
とが困難であり、濾過効率や目詰まりといった濾過性能
の点で思わしいものではなかった。また、使用中の変形
や繊維の脱落による性能低下の問題もあり、特にカート
リッジ濾材では、通常プラスチック成形体等の支持体が
必要となり、製造工程が煩雑で、また廃棄にも問題があ
った。
状に鑑みて行われたもので、濾過性能に優れ、支持体を
必要としない軽量で硬く丈夫な繊維製の濾材を提供する
ことを課題とするものである。
成するもので、次の構成よりなるものである。 (1)熱融着性バインダー繊維(A)と(A)とは溶解
挙動が異なる繊維(B)とを含む混紡糸(C)よりなる
繊維糸条物又は織編物を、巻き取りもしくは積層して賦
形し、さらに(A)を熱融着させた後、(B)を溶解除
去することにより製造され、(C)の内部に空隙が形成
されていることを特徴とする濾材。 (2)熱融着性バインダー繊維(A)のバインダー成分
がε−カプロラクトン共重合ポリエステルであることを
特徴とする(1)の濾材。 (3)(A)とは溶解挙動が異なる繊維(B)が、カチ
オン染料可染ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アク
リル繊維、セルロース系繊維、セルロース誘導体系繊
維、タンパク質繊維、又は生分解性プラスチック繊維か
ら選ばれることを特徴とする(1)又は(2)の濾材。
まず、本発明の濾材を製造するのに用いる原材料につい
て説明する。
における熱融着性バインダー繊維としては、加熱により
融着する樹脂成分(本発明において、バインダー成分と
称する)を含む繊維であれば特に限定されるものではな
く、バインダー成分のみからなる単成分繊維、あるいは
バインダー成分が単繊維の表面の全部または一部を形成
している芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、海島型
繊維、割繊型繊維等の複合繊維等を使用することができ
る。中でも、芯鞘型複合繊維、特に芯部がポリエチレン
テレフタレート、鞘部がポリエステル系バインダー成分
で構成されている芯鞘型複合繊維が、接着強力の高さす
なわち濾材の成形に用いたときのヒートセット性の良
さ、ならびに経済性の点で好ましい。なお、熱融着性バ
インダー繊維(A)の繊度としては、特に限定されるも
のではないが、2〜20デシテックスが適当である。
用される環境温度により要求される融点が異なるが、温
水での使用を考慮すれば100℃以上が好ましく、13
0℃以上がより好ましく、使用時の耐熱性と製造時の加
熱条件を考慮すれば130℃〜180℃が特に好まし
い。
(A)のバインダー成分がε−カプロラクトン共重合ポ
リエステルであることは好ましい態様である。ε−カプ
ロラクトン共重合ポリエステルとしては、エチレンテレ
フタレート単位および/またはブチレンテレフタレート
にε−カプロラクトン単位を共重合したものが挙げら
れ、このときのε−カプロラクトン単位の比率として
は、3〜80モル%であることが好ましい。ε−カプロ
ラクトン単位の比率が3モル%未満では、熱融着による
接着強度が不足する場合があり、一方、ε−カプロラク
トン単位の比率が80モル%を超える場合、ポリエステ
ルの融点が低くなり過ぎて加工工程での不具合が生じた
り、本発明の濾材の耐熱性が不足する場合があるので好
ましくない。なお、共重合ポリエステル中のε−カプロ
ラクトン単位は他の構成単位とランダム共重合であって
もよく、ブロック共重合であってよい。
リエステルには、さらに共重合される酸成分又はアルコ
ール成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、エチレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール等の酸成分又はアルコ
ール成分が共重合されていてもよい。このとき、上記の
さらに共重合される酸成分又はアルコール成分の量とし
ては、それぞれの合計が共重合ポリエステルの全酸成分
又は全アルコール成分に対して20モル%以下であるこ
とが好ましい。
テルは明確な結晶融点を有しており、これをバインダー
成分とする熱融着性繊維を用いた場合には、ガラス転移
点以上かつ融点以下の温度で熱処理(例えば染色)して
も軟化、融着することはなく、後述する本発明の濾材の
製造過程における結晶融点以上の熱処理により融着する
ので、本発明の濾材を硬く丈夫なものにすることができ
る。
(B)]本発明における(A)とは溶解挙動が異なる繊
維(B)(以下、繊維(B)と略記することがある)と
は、特定の溶媒もしくは溶液に対する溶解度あるいは溶
解速度が熱融着性バインダー繊維(A)のそれとは異な
る繊維をいう。そのような繊維(B)としては、カチオ
ン染料可染ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル
繊維等の合成繊維、アセテート繊維等のセルロース誘動
体系繊維、レーヨン繊維、木綿、麻等のセルロース系繊
維、ウール、絹等のタンパク質繊維、ポリ乳酸繊維等の
生分解性プラスチック繊維を使用することができる。中
でも、カチオン染料可染ポリエステル繊維が好ましく、
上記のように熱融着性バインダー繊維(A)のバインダ
ー成分がε−カプロラクトン共重合ポリエステルである
とき、繊維(B)がカチオン染料可染ポリエステル繊維
であることは特に好ましい。
としては、例えば、エチレンテレフタレート単位やブチ
レンテレフタレート単位、又はエチレン−2,6−ナフ
タレート等のエチレンナフタレート単位を主たる構成成
分とするポリエステルに、5−スルホイソフタル酸が共
重合された、5−スルホイソフタル酸共重合ポリエステ
ルからなる繊維が好ましく用いられる。このときの5−
スルホイソフタル酸成分の共重合比率としては、5−ス
ルホイソフタル酸共重合ポリエステルを構成する酸成分
のうち、1.5〜10モル%、さらには3〜10モル%
であることが好ましく、この共重合比率によって溶解挙
動と耐熱性とを調整することができる。
断面であっても異型断面であってもよいし、中空断面で
あっても中実断面であってもよい。また、繊維(B)の
繊度としては、特に限定されるものではなく、本発明の
濾材の要求特性により決めればよいが、一般的には2〜
20デシテックスのものが用いられる。
の熱融着性バインダー繊維(A)と(A)とは溶解挙動
が異なる繊維(B)とを含む混紡糸(C)が用いられ
る。そのような混紡糸(C)における熱融着性バインダ
ー繊維(A)の含有率としては、紡績糸(C)全体の1
0〜90質量%が好ましい。熱融着繊維(A)の含有率
を大きくすることにより、本発明の濾材を硬質なものと
することができる。また、混紡糸(C)における繊維
(B)の含有率としては、本発明の濾材に要求される濾
過性能に応じて適宜変えればよいが、混紡糸(C)全体
の10〜90質量%が好ましい。繊維(B)の含有率を
大きくすることにより、後述する本発明の濾材の製造過
程において混紡糸(C)の内部に形成される空隙の割合
を大きくすることができる。
て説明する。本発明の濾材を製造する際には、まず、上
記の混紡糸(C)を用いて、公知の方法により糸条物と
するか、あるいは織編物とする。次いで、それらの糸条
物、あるいは織編物を濾材に適した形状、例えば筒状や
板状に賦形する。筒状や板状に賦形するには、パイプ状
の金型等を利用して筒状に巻きとったり、板状に積層し
たりすればよい。なお、繊維糸条物又は織編物を積層あ
るいは巻き取ることにより得られる賦形物における繊維
の存在密度としては、要求特性に応じて適宜調整すれば
よく、濾材の使用目的にもよるが、最終的に得られる濾
材について後述する実施例における測定方法で測定した
場合の3μm以上の粒子の濾過捕集率が80%以上とな
るよう調整することが望ましい。
巻き取りもしくは積層して賦形したものに対し、さら
に、熱処理を行うことにより熱融着性バインダー繊維
(A)を熱融着させる。このときの熱処理の条件として
は、熱融着性バインダー繊維(A)のバインダー成分が
溶融する温度以上で、かつ、バインダー成分以外の成分
が溶融する温度未満の温度範囲で、かつ、濾材を構成す
る熱融着性バインダー繊維(A)及び他の繊維が顕著に
着色したり分解したりすることのない温度範囲で行うこ
とが望ましい。このようにして濾材に含まれる熱融着性
バインダー繊維(A)を熱融着させることにより、濾材
は硬く丈夫なものとなり、また、使用時における濾材か
らの繊維の脱落を防止することができる。なお、熱融着
性バインダー繊維(A)を熱融着させた後の適当な時期
を見計らって、濾材の賦形時に使用した金型等と濾材と
を分離すればよい。
溶融接着させた後、混紡糸(C)に含まれている繊維
(B)を溶解除去する。混紡糸(C)に含まれている繊
維(B)を溶解除去する方法としては、繊維(B)を溶
解できる公知の溶媒もしくは溶液を用いた公知の方法で
行えばよい。例えば、繊維(B)が5−スルホイソフタ
ル酸共重合ポリエステルの場合には、アルカリに浸漬さ
せる方法、もしくは第4級アンモニウム塩、オレイル−
ビス(2−ヒドロキシエチル)セチルアンモニウムブロ
マイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベ
ンジルジメチルドデシルアンモニウムクロライド等にア
ルカリを加えたものに浸漬させる方法が採用できる。ま
た、繊維(B)がセルロース系繊維の場合には硫酸の6
0%もしくは70%溶液に浸漬させる方法、繊維(B)
がタンパク質繊維の場合には次亜塩素酸ナトリウムに浸
漬させる方法、繊維(B)がアセテート繊維の場合には
アセトンに浸漬させる方法、繊維(B)がポリアミド繊
維の場合には20%塩酸もしくは60%硫酸に浸漬させ
る方法、繊維(B)がビニロン繊維の場合には40%蟻
酸に浸漬させる方法、繊維(B)が水溶性ビニロンの場
合には水に浸漬させる方法等がそれぞれ採用できる。
ル酸共重合ポリエステル繊維の場合、熱融着性バインダ
ー繊維(A)(例えばポリエステル系バインダー繊維)
とのアルカリによる減量反応速度差を利用して溶解させ
る。その際第四級アンモニウム塩を触媒として加えると
一層顕著に反応速度差が生じ、5−スルホイソフタル酸
共重合ポリエステル繊維の溶解が進む。
繊維(B)のうち必ずしも全量を除去しなくてもよい
が、混紡糸(C)に含まれていた繊維(B)のうちの5
0質量%以上を溶解除去することが好ましく、繊維
(B)の全量を除去することが特に好ましい。なお、繊
維(B)を溶解除去する際には、繊維(B)以外の繊維
も若干溶解されたり軟化したりする場合も考えられが、
濾材の性能を大きく低下させない範囲においては差し支
えない。
ることにより、本発明の濾材を構成する混紡糸(C)の
内部には、繊維(B)が除去された部分に微細な空隙が
均一に分布して形成され、これにより濾材としての性能
が向上する。なお、混紡糸(C)に用いる繊維の径を種
々調整することにより、空隙の大きさや量を調整した
り、種々の大きさの空隙を併存させたり、傾斜分布させ
ることも可能である。本発明は、以上の構成よりなるも
のである。
バインダー繊維(A)を熱処理によって熱融着させるこ
とにより、支持体を必要としない硬く丈夫な成形体とな
り、繊維の脱落も防止される。また、濾材を形づくるの
に用いた混紡糸(C)に含まれていた繊維(B)の全部
もしくは一部を溶解除去することにより、濾材内部に空
隙が形成され、その空隙は均一に混紡された繊維が除去
された跡であるため、均一かつ微細な空隙となり、高精
度の濾過が可能となる。
する。 参考例1 エチレンテレフタレート単位/ブチレンテレフタレート
単位/ε−カプロラクトン単位を物質量比で2/2/1
に配合して得られた相対粘度(0.5gのポリマーを1
00mlのフェノール:テトラクロルエタン(質量比
1:1)溶媒に溶解し、ウベローデ型粘度管により測定
されて得られる値)が1.34、融点が144℃のラン
ダム共重合ポリエステルのチップと、相対粘度が1.3
8のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記
する)のチップとを、それぞれ減圧乾燥させた後に用
い、複合溶融紡糸装置を使用して、熱融着樹脂成分であ
るランダム共重合ポリエステルを鞘部に、PETを芯部
に配し、複合比(質量比)を1:1として、紡糸孔数2
65の紡糸口金を用いて紡糸温度280℃、総吐出量2
30g/分の条件で複合溶融紡糸し、紡出糸条を冷却し
た後引取速度1000m/分で引き取って未延伸の複合
繊維糸条を得た。この糸条を集束して11万デシテック
スのトウにしたものを、延伸倍率3.4、延伸温度60
℃で延伸し、さらに135℃のヒートドラムで熱セット
してから、押し込み式クリンパーを使用して捲縮を付与
した後、長さ51mmに切断することにより、強度5.
3cN/デシテックス、伸度35%、繊度2.4デシテ
ックス、沸騰水収縮率0.6%のポリエステル系芯鞘型
熱融着性バインダー繊維を得た。
(B)としてのカチオン染料可染ポリエステル繊維(ユ
ニチカファイバー株式会社製、強度5.3cN/デシテ
ックス、伸度42%、繊度2.2デシテックス、切断長
51mm)とを30:70の質量割合で混綿し、梳綿機
に通した後、常法に従って紡績し、綿番手20’Sの混
紡糸を得た。得られた混紡糸を経糸103本/インチ、
緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。こ
の製織した生地を外径5cm×長さ30cmの筒状金型
に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒
状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バイ
ンダー繊維を熱融着させた。次に、上記の熱処理後の筒
状物から金型を抜き取った後、カチオン染料可染ポリエ
ステル繊維を溶解する為に、オレイン−ビス−(2−ヒ
ドロキシエチル)−セチルアンモニウムブロマイド1g
/リットルを含む3%水酸化ナトリウム溶液にこの筒状
物を浸漬させて沸騰水浴上で30分間攪拌することによ
り、カチオン染料可染ポリエステル繊維を溶解除去し
た。その後、0.2%の酢酸水溶液にて中和し、水洗
し、乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を
得た。
を行わない以外は実施例1と同様にして、比較用の濾材
を得た。
使用して実施例1と同様の設計で製織した生地を得た。
この生地を用いて実施例1と同様にして筒状金型に巻き
付けて賦形した後、下記処方1の処理液を含浸(ピック
アップ率100%)し、乾燥・キュア(180℃×30
分)を行い、その後、金型を抜き取ることにより、比較
用の濾材を得た。 [処方1] スミテックスレジン M−3(住友化学製) 20.0% スミテックスアクセラレーターACX( 〃 ) 2.0% 水 78.0%
てのレーヨン繊維(繊度1.7デシテックス、切断長5
1mm)とを、35:65の質量割合で混綿し、梳綿機
に通した後、常法に従って紡績することにより、20’
Sの混紡糸を得た。得られた紡績糸を経糸103本/イ
ンチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織し
た。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの筒
状金型に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。
この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着
性バインダー繊維を熱融着させた。次に、上記の熱処理
後の筒状物から金型を抜き取った後、レーヨン繊維を溶
解する為に、23〜25℃の60%硫酸に浸漬させて3
0分間攪拌することにより、レーヨン繊維を溶解除去し
た。その後、1%のアンモニア水にて中和し、よく水洗
してから乾燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾
材を形成した。
てのアセテート繊維(繊度4.4デシテックス、切断長
51mm)とを35:65の質量割合で混綿し、梳綿機
に通した後、常法に従って紡績することにより、20’
Sの混紡糸を得た。得られた混紡糸を経糸103本/イ
ンチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織し
た。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金
型の筒に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。
この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着
性バインダー繊維を熱融着させた。次に、上記の熱処理
後の筒状物から金型を抜き取った後、アセテート繊維を
溶解する為に、23〜25℃の80%アセトンにこの筒
状物を浸漬させて30分間攪拌することにより、アセテ
ート繊維を溶解除去した。その後、よく水洗してから乾
燥させることにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
ての水溶性ビニロン繊維(繊度2.8デシテックス、切
断長51mm)とを35:65の質量割合で混綿し、梳
綿機に通した後、常法に従って紡績することにより、2
0’Sの混紡糸を得た。この混紡糸を経糸103本/イ
ンチ、緯糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織し
た。この製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金
型の筒に巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。
この筒状物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着
性バインダー繊維を熱融着させた。次に、上記の熱処理
後の筒状物から金型を抜き取った後、水溶性ビニロン繊
維を溶解する為に、この筒状物を23〜25℃の水に浸
漬させて30分間攪拌することにより、水溶性ビニロン
繊維を溶解除去した。その後、水洗、乾燥させることに
より、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
てのポリ乳酸繊維(強度4.2CN/デシテックス、伸
度36%、繊度1.7デシテックス、切断長51mm)
とを30:70の質量割合で混綿し、梳綿機に通した
後、常法に従って紡績することにより、20’Sの混紡
糸を得た。得られた紡績糸を経糸103本/インチ、緯
糸87本/インチ、幅90cmの設計で製織した。この
製織した生地を外径5cm×長さ30cmの金型の筒に
巻き付け、外径7.5cmの筒状に賦形した。この筒状
物に160℃×30分の熱処理を行い、熱融着性バイン
ダー繊維を熱融着させた。次に、上記の熱処理後の筒状
物から金型を抜き取った後、ポリ乳酸繊維を溶解する為
に、濃度20g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液に
この筒状物を浸漬させて、90℃で30分間攪拌するこ
とにより、ポリ乳酸繊維を溶解除去した。その後、0.
2%の酢酸にて中和し、よく水洗してから乾燥させるこ
とにより、硬く丈夫な本発明の濾材を得た。
れた濾材について、濾過性能を調べた結果を下記表1に
示す。なお、濾過性能としては、下記の方法により濾過
捕集率と昇圧所要時間を測定した。 [濾過捕集率]粒径が3μm、5μm、10μm、50μ
m、100μmの微粒子をそれぞれ同量ずつ混合した混
合物を10質量%含む水を試験液として、流量20リッ
トル/分、で120分間濾過させ、10μm以上の粒子
及び3μm以上の粒子についての濾過捕集率を測定し
た。 [昇圧所要時間]上記の濾過を開始してから、目づまりし
て送液に要する圧力が400kpに昇圧するまでの時間
を測定した。
濾材は、繊維(B)が溶解除去されて生じた微細で均一
な空隙の作用により、濾過捕集率が高く、昇圧所要時間
が長く、濾過性能に優れた目詰まりしにくい濾材であっ
た。これに対して、比較例1の濾材は、実施例の濾材の
ように繊維(B)が溶解除去された空隙を有していない
ため、目詰まりしやすいものとなり、また、比較例2の
濾材は、濾材を硬いものとするための樹脂被覆処理によ
って糸条が収束し、糸状間に比較的大きな空隙が生じた
と思われ、微小粒子の捕集率が低いものであった。な
お、実施例1〜5及び比較例1〜2の濾材について、上
記の濾過試験を行った後の形状を観察したところ、いず
れの濾材にも型くずれ等の変形は見られなかった。
詰まりのしにくさという濾過性能に優れているととも
に、支持体がなくとも軽量かつ硬く丈夫で形状を長期に
わたって保持でき、繊維の脱落もなく、表面樹脂加工が
されないので生産性や廃棄性も良好であり、有害物質を
含まない。また、耐熱性も有しており、各種の水濾過、
廃液処理、食品工業用として、あるいは気体濾過用とし
て好適に利用できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 熱融着性バインダー繊維(A)と(A)
とは溶解挙動が異なる繊維(B)とを含む混紡糸(C)
よりなる繊維糸条物又は織編物を、巻き取りもしくは積
層して賦形し、さらに(A)を熱融着させた後、(B)
を溶解除去することにより製造され、(C)の内部に空
隙が形成されていることを特徴とする濾材。 - 【請求項2】 熱融着性バインダー繊維(A)のバイン
ダー成分がε−カプロラクトン共重合ポリエステルであ
ることを特徴とする請求項1に記載の濾材。 - 【請求項3】 (A)とは溶解挙動が異なる繊維(B)
が、カチオン染料可染ポリエステル繊維、ポリアミド繊
維、アクリル繊維、セルロース系繊維、セルロース誘導
体系繊維、タンパク質繊維、または生分解性プラスチッ
ク繊維から選ばれることを特徴とする請求項1又は請求
項2に記載の濾材。
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