JP5824766B2 - 繊維分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも2種の繊維を含む混紡繊維から特定の繊維を分離する繊維分離方法に関する。
我々の身の回りで大量に使用されている繊維製品は、単純に1種類の合成繊維あるいは天然繊維だけから作られているとは限らず、天然繊維や合成繊維、或いは種類の異なる合成繊維等が混ぜられた混紡繊維を用いて製造されていることが多い。これは、単独の天然繊維や合成繊維だけを用いて繊維製品を製造した場合、繊維製品の肌触りや保湿効果、撥水性や強度などに問題が発生することがあるためである。混紡繊維を用いた繊維製品は、その縫製過程における裁断屑や、古着などとして毎日大量に廃棄されており、有効なリサイクル技術の確立が望まれている。しかし、これら繊維製品は、異なる種類の繊維で製造されていることから、廃棄された繊維製品をリサイクルする際に、以下のような問題点が生じる。
繊維のリサイクルは、例えば、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、及びケミカルリサイクル等が行われている。マテリアルリサイクルとしては、繊維をほぐして綿状とし、マットや車両の内装材等に再利用されている。しかしながら、上記手法で作製した材料は、バージンガラス繊維やバージンポリエステル繊維で作製した材料と比べて物理的特性やリサイクル性に劣るという問題がある。また、マテリアルリサイクルの他の例として、繊維を加熱溶融し、樹脂として再利用している。この場合、繊維廃材が熱可塑性であり、単一素材であることが必要となるため、混紡繊維をマテリアルリサイクルとして再利用することは、困難となる。また、サーマルリサイクルは、混紡繊維を熱エネルギーとして回収することができるが、一回限りのリサイクルとなること、及び地球温暖化ガスを排出することから、他に有効なリサイクル手段がない場合に限って行うべきであると言える。そこで、混紡繊維のリサイクルとして、混紡繊維から特定の繊維あるいはその繊維の分解物を回収する様々なケミカルリサイクル方法が開発されている。
特許文献1では、酸触媒存在下で酸無水物またはカルボン酸、及び溶媒と加熱処理することにより混紡繊維から天然素材であるセルロース系高分子を選別除去し、混紡繊維から合成繊維を分離する技術が開示されている。
特許文献2では、ポリエステル廃棄物を破砕した見掛け比重の異なる破砕物を、運転負荷が一定範囲となるように制御しつつ造粒機へ供給して造粒物を形成した後、該造粒物をケミカルリサイクル工程へ供給することにより高純度の回収モノマーを効率よく得る分離回収技術が開示されている。
特許文献3では、2種以上の繊維を含む混紡繊維を、亜臨界状態の水と接触させることにより、混紡繊維中に含まれる繊維を、繊維の分解物あるいは繊維形態で分離・抽出する混紡繊維の繊維分離技術が開示されている。
特開2006−316191号公報 特開2004−300115号公報 特開2008−255554号公報
ところが、特許文献1に記載の混紡繊維の繊維分離技術では、セルロース系高分子を選択除去するために酸触媒等の薬剤を使用するため、その酸触媒の加水分解作用により、セルロース系高分子をグルコースや各種有機酸にまで分解し、未分解のセルロース繊維をリサイクルできないという問題とともに、酸触媒を廃棄処理する必要があるという問題があった。なお、特許文献1に記載の技術は、あくまでもセルロース系高分子の選択除去方法であって、セルロース系高分子を含む混紡繊維のみにしか適用することができない。
また、特許文献2に記載の分離回収技術では、ポリエステル廃棄物を造粒物に形成し、その後、ケミカルリサイクル工程において、造粒物を分解し、モノマーとして回収していることから、多量のエネルギーを使用する。さらに、回収したモノマーから再度繊維を合成する必要があるため、省エネルギーの観点から問題があった。
一方、特許文献3に記載の混紡繊維の繊維分離技術は、2種以上の繊維を含む混紡繊維を処理するのに分解作用の強い亜臨界水を用いている。従って、セルロース高分子である綿繊維等は、グルコースや各種有機酸等の低分子化物、さらには二酸化炭素にまで分解してしまうという問題があった。また、混紡繊維中の合成繊維に関しても、混紡繊維を高温の亜臨界水で処理することから、一部の合成繊維は、モノマーにまで分解し、未分解の繊維としてそのまま再利用することは困難であった。さらに、高温・高圧の亜臨界水を生成するには多量のエネルギーを使用することから、省エネルギーの観点からも問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、酸及びアルカリ等の薬剤や、多量のエネルギーを使用することなく、混紡繊維から未分解である高分子の天然繊維や、合成繊維を簡易な方法で分離することができる繊維分離方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る繊維分離方法の特徴構成は、
少なくとも2種の繊維を含む混紡繊維から特定の繊維を分離する繊維分離方法であって、
前記特定の繊維を溶解させるイオン液体に前記混紡繊維を投入し、当該混紡繊維に含まれる前記特定の繊維を前記イオン液体に抽出する抽出工程を実行することにある。
本発明に係る繊維分離方法は、特定の繊維を溶解させるイオン液体に混紡繊維を投入し、次いで、当該混紡繊維に含まれる特定の繊維をイオン液体に抽出する抽出工程を実行することで、混紡繊維中に含まれる特定の繊維をイオン液体に確実に抽出することができる。また、イオン液体は、材料設計の自由度が高く、対象となる繊維に応じた溶解性の設定が可能であること、及び抽出条件の設定により、特定の繊維の高分子構造が大きく毀損されることなく、さらに、特定の繊維の抽出後の残存繊維が繊維構造を維持したまま回収することが可能である。このため、特定の繊維が溶解した抽出液又は残存繊維を、繊維製品などに容易に再利用することができる。このように、イオン液体を使用すれば、酸やアルカリ等の後処理が必要な薬剤や、多量のエネルギーを必要とする亜臨界水を用いることなく、混紡繊維を容易且つ確実に処理することができる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記抽出工程を終えたイオン液体から固形分を分離した後、前記特定の繊維が溶解しない溶媒を添加することにより、前記特定の繊維の成分を析出させる析出工程をさらに実行することが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、抽出工程を終えたイオン液体から固形分を分離した後、特定の繊維が溶解しない溶媒を添加することにより、特定の繊維の成分を析出させる析出工程をさらに実行することから、特定の繊維成分を容易に析出させることができる。また、析出した特定の繊維は、容易に固液分離することが可能であることから、作業工程を減らすことができる。さらに、得られる繊維成分は、略単一の成分であることから様々な繊維製品等の原材料に再利用することができる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記析出工程を終えたイオン液体から析出物を分離した後、成分調整を行って再生し、イオン液体として再利用することが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、析出工程を終えたイオン液体から析出物を分離した後、成分調整を行ってイオン液体を再生し、本発明に係る繊維分離方法に再利用することができる。イオン液体を再利用することができることから、イオン液体の廃棄処理を減らすことができるとともに、製造コストも下げることができる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記混紡繊維は、天然繊維及び合成繊維を含むことが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、天然繊維及び合成繊維を含む混紡繊維について処理を行うものであるため、混紡繊維を天然繊維と合成繊維とに略完全に分離することができる。また、得られた天然繊維は、その高分子構造が大きく毀損されることがないので、元の繊維製品の原材料のみならず、増粘剤や、医療用基材等の様々な原材料として再利用することができる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記特定の繊維は、セルロース繊維であり、
前記イオン液体は、3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム クロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、特定の繊維がセルロース繊維であり、且つそれを溶解させるイオン液体が3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム クロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることから、セルロース繊維間の水素結合を容易に切断することができる。その結果、セルロース繊維を速やかに溶解させることができる。また、得られたセルロースは、その高分子構造が大きく毀損されることがないため、様々な繊維製品に再利用することができるとともに、増粘剤や、医療用基材等の様々な原材料、あるいは、バイオエタノール等の発酵生産の糖源として用いることもできる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記特定の繊維は、ポリエステル繊維であり、
前記イオン液体は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、特定の繊維がポリエステル繊維であり、且つそれを溶解させるイオン液体が1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることから、混紡繊維からポリエステル繊維を選択的且つ容易に抽出することができる。また、得られたポリエステル繊維は、その高分子構造が大きく毀損されることがないため、様々な繊維製品に再利用することができる。
本発明に係る繊維分離方法において、
前記特定の繊維は、ナイロン繊維であり、
前記イオン液体は、N−メチル−N−プロピルピロリジウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、及びN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明に係る繊維分離方法は、特定の繊維がナイロン繊維であり、且つそれを溶解させるイオン液体がN−メチル−N−プロピルピロリジウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、及びN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドからなる群から選択される少なくとも一つであることから、混紡繊維からナイロン繊維を選択的かつ容易に抽出することができる。また、得られたナイロン繊維は、その高分子構造が大きく毀損されることがないため、様々な繊維製品に再利用することができる。
本発明に係る繊維分離方法で処理される混紡繊維の概略図であり、(a)は処理対象の平織の生地、(b)は処理前の糸条部分の拡大断面図、(c)は処理後の糸条部分の拡大断面図である。 本発明に係るイオン液体を用いた繊維分離方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る繊維分離方法を用いて分離した繊維のフーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)の結果を示すグラフである。 本発明に係る繊維分離方法を用いて分離した繊維の熱重量分析(TGA)の結果を示すグラフである。 本発明で使用したイオン液体を繰り返し再生し、これを用いてポリエステル繊維を回収した回収率の変化を示すグラフである。
以下、本発明に係る繊維分離方法に関する実施形態を図1乃至図5に基づいて詳述する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
図1は、本発明に係る繊維分離方法で処理される混紡繊維の概略図であり、(a)は処理対象の平織の生地、(b)は処理前の糸条部分の拡大断面図、(c)は処理後の糸条部分の拡大断面図である。本発明の対象となる混紡繊維とは、少なくとも2種の繊維を含む繊維混合物であり、例えば、数種類の天然繊維及び合成繊維を含む繊維混合物が挙げられる。図1(a)に示される平織の生地1は、2種類の異なる繊維が撚糸された糸条2が、経方向及び緯方向に織り上げられている。混紡繊維は、例えば、肌触りや保湿効果の高い天然繊維と、強度及び撥水性の高い合成繊維とを組み合わされて構成される。図1(b)の拡大断面図に示されるように、天然繊維3と合成繊維4とを撚糸させて形成されている糸条2(混紡繊維)に対し、本発明に係る繊維分離方法を実行すると、図1(c)の拡大断面図に示されるように、例えば、糸条2から天然繊維3が溶出し、合成繊維4のみが残った状態となる。
図2は、本発明に係るイオン液体を用いた繊維分離方法の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートでは、イオン液体を用いて、混紡繊維から異なる繊維を分離するための分離方法が示されている。ここで、イオン液体とは、室温下で、液体として存在可能な塩であり、有機カチオンとアニオンとの組み合わせから構成されている。イオン液体は、有機カチオンが同じであってもアニオンが異なるとその溶解特性が大きく異なる。このため、イオン液体は設計の自由度が高く、有機カチオンとアニオンとの組み合わせを変更するだけで、対象となる繊維に合わせて溶解性を設定することができる。本実施形態に係る繊維分離方法は、以下の工程1から工程8により実行される。なお、図2では、各工程を、ステップを表す記号「S」として示している。
本実施形態に係る繊維分離方法では、先ず、混紡繊維から特定の繊維を溶解させることができるイオン液体に、混紡繊維を投入し(S1)、次いで、混紡繊維に含まれる特定の繊維のみをイオン液体に抽出する(S2)。特定の繊維を抽出後、イオン液体から固形分の繊維を、遠心分離機等を用いて分離する(S3)。分離された繊維固形分からは、特定の繊維が完全に除去されている。次に、本実施形態に係る繊維分離方法では、特定の繊維が溶解しているイオン液体に、特定の繊維が溶解することができない溶媒(貧溶媒)、例えば、水や有機溶媒などを添加し(S4)、特定の繊維の成分を析出させる(S5)。混紡繊維にさらに多くの種類の繊維が含まれている場合、繊維の種類に対応する溶解可能なイオン液体を数種類選択して、混紡繊維を其々単一の繊維になるまで固液分離を複数回行ってもよい。
図2に示される混紡繊維の分離方法の実施形態は、2種類の繊維により構成された混紡繊維を単一の繊維となるように固液分離を実行しているが、比重の異なる溶媒に其々の繊維を溶解させた後、液液分離を行って、単一の繊維として連続的に分離・回収してもよい。
本実施形態に係る繊維分離方法は、析出工程を終えたイオン液体から析出物を分離した後(S6)、成分調整を行ってイオン液体を再生し(S7)、イオン液体を再利用することができる(S8)。成分調整は、例えば、イオン液体から析出物を分離した後、添加溶媒を含むイオン液体を加熱処理等行うことにより、添加溶媒を気化させることにより行う。その結果、使用済みのイオン液体は使用前のイオン液体と遜色のない状態にまで再生され、再利用することができる。
混紡繊維としては、肌触りや保湿効果の高い天然繊維と、強度及び撥水性の高い合成繊維とが組み合わされるのが一般的である。特にセルロース繊維は、多くの繊維製品に用いられており、本発明に係る繊維分離方法では、セルロース繊維を完全に溶解させることができるイオン液体を用いることが重要となる。従って、特定の繊維がセルロース繊維である場合、セルロース繊維を溶解させるイオン液体は、限定されるものではないが、3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム クロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。セルロース繊維は、上記イオン液体の融点より上の温度条件で加熱処理を行う必要があること、及びセルロース繊維の熱安定性を考慮して、40〜200℃、好ましくは80〜160℃で加熱処理される。このような温度条件であれば、イオン液体中にセルロース繊維を速やかに溶解させることができる。
ここで、イオン液体のアニオンとしては、Clが特にセルロース繊維の溶解力を高める働きがある。これは、Clがセルロース繊維間の水素結合を切断する作用が強いためと考えられる。アニオンとしてClを用いた場合は、上記理由からセルロース繊維を選択的に溶解させることができる。従って、特定の繊維がセルロース繊維である場合、セルロース繊維を溶解させるイオン液体として、さらに好ましくは、3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム クロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライドからなる群から少なくとも一つ選択される。なお、アニオンとして、上述のように、アセテートを用いることも可能である。ただし、この場合、ポリエステル繊維もイオン液体に一部溶解する。従って、目的に応じて、適切なイオン液体を使い分けることが好ましい。
上記イオン液体で処理されたセルロース繊維は、セルロース繊維間の水素結合が切断され、繊維構造は分解された状態となる。従って、イオン液体の溶解液から水などの貧溶媒を用いてセルロースを析出させた場合、析出したセルロースは、セルロース間の水素結合が切断されているため、元の繊維状態を呈していないが、その高分子構造が大きく毀損されていない(すなわち、一定分子量以上の高分子構造を維持した状態の)粉末状のセルロースとして回収される。本発明に係る繊維分離方法を用いて回収されたセルロース粉末は、医療用基材の原料や、食品添加物、バイオマス変換(例えば、バイオエタノール)に用いられる糖として利用可能であり、なお、セルロースを粉末として析出させることなく、溶解液を貧溶媒に押し出す湿式紡糸を行うことにより、直接繊維形態に加工することも可能である。
混紡繊維中から抽出する特定の繊維がポリエステル繊維である場合、ポリエステル繊維を溶解させるイオン液体としては、限定されるものではないが、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム クロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。これにより、混紡繊維からポリエステル繊維を選択的且つ容易に分離することができる。また、得られたポリエステル繊維は、その高分子構造が大きく毀損されることがないため、様々な繊維製品に再利用することができる。
混紡繊維中から抽出する特定の繊維がナイロン繊維である場合、ナイロン繊維を溶解させるイオン液体としては、限定されるものではないが、N−メチル−N−プロピルピロリジウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、及びN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。これにより、混紡繊維からナイロン繊維を選択的且つ容易に分離することができる。また、得られたナイロン繊維は、その高分子構造が大きく毀損されることがないため、様々な繊維製品に再利用することができる。
本発明に係る繊維分離方法に関する実施例を以下に説明する。
常温以上の融点を有するイオン液体([C4mpy]Cl:3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライド、融点:95℃)30.34gをビーカーに秤量し、ポリエステル/綿=65/35の混紡糸からなる平織の白色布3.013gをイオン液体中に投入した。次いで、イオン液体をホットスターラーで120℃、1時間、加熱し、その加熱の間、6回程度ビーカーを振盪した。加熱処理終了後、白色布をピンセットで取り出し、水100mlで洗浄した。取り出した白色布を105℃に設定した乾燥機にて1時間乾燥後、白色布の重量を測定した。乾燥後の白色布の重量は、1.928gであり、投入前の白色布に対して、約64重量%となった。この結果は、白色布に使用されている混紡糸が、ポリエステル65重量%、綿35重量%で構成されていることから、セルロース繊維で構成されている綿が、イオン液体に抽出され、ポリエステルのみが固形分として分離されたことを示唆している。
上記イオン液体処理後の白色布に含まれる繊維の解析を行うために、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)及び熱重量分析(TGA)を行った。イオン液体処理後の白色布の洗浄に用いた水100mlを、セルロースが溶解しているイオン液体に投入し、セルロース粉末を析出させた。析出したセルロース粉末は、グラスフィルターを用いて濾過した。イオン液体を含む濾液は、ホットスターラーを用い3時間加熱撹拌後、再生イオン液体として再利用試験に供した。
<FT−IR分析>
FT−IR装置を用いて、イオン液体処理前の白色布、及びイオン液体処理後の白色布中の綿成分の有無について分析を行った。図3は、本発明に係る繊維分離方法を用いて分離した繊維のフーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)の結果を示すグラフである。FT−IRは、パーキンエルマー社製Spectrum GX + Thermo(Spectra−Tech Foundationシリーズ)を用いて、1回反射式ATRの測定モードにより、積算回数16回で分析を行った。図3の表に示されているが、赤外吸収波長である1100cm−1付近のピーク(対称グリコールC−O伸縮)、1243cm−1付近のピーク(面内モード芳香族環エステル)及び1716cm−1付近のピーク(C=O伸縮)は、ポリエステル繊維の吸収スペクトルを示しており、3340cm−1付近のピーク(−OH伸縮)は、綿の吸収スペクトルを示している。その結果、図3のグラフ及び表に示されるように、イオン液体処理前の白色布(実線)は、ポリエステル繊維及び綿の何れの吸収ピークも有しているのに対して、イオン液体処理後の白色布(破線)は、ポリエステル繊維の吸収スペクトルのみしか有しておらず、綿の吸収スペクトルは確認されなかった。つまり、3−メチル−N−ブチルピリジウム クロライドを用いたイオン液体処理により、平織の白色布から、綿の成分であるセルロースが抽出され、ポリエステル繊維のみが固形分として分離されたことが確認された。
<TGA分析>
熱重量分析(TGA)装置を用い、昇温加熱過程におけるイオン液体処理前の白色布、及びイオン液体処理後の白色布の重量変化を窒素雰囲気下で測定した。図4は、本発明に係る繊維分離方法を用いて分離した繊維の熱重量分析(TGA)の結果を示すグラフである。TGA分析は、ティー・エイ・インスツルメント社製TGA2950を用いて、試料重量12mg、昇温速度20℃/minの条件で分析を行った。測定開始前の重量を1.0として、昇温過程での繊維の重量残存率を測定した。その結果、図4のグラフに示されるように、イオン液体処理前の白色布(実線)は、処理後(破線)の白色布よりも熱分解の進行が早く、約320℃以上(セルロース)及び450℃以上(ポリエステル)の2か所の温度域で熱分解が開始していることが明らかであり、このことは、2種類の繊維が含まれていることを示唆している。これに対して、イオン液体処理後の白色布は、約450℃以上の1か所の温度域から熱分解が開始していることから、1種類の繊維のみで構成されていることが示された。従って、TGA分析からも、イオン液体で処理した白色布は、ポリエステルのみにより構成されていることが確認された。
<イオン液体の再利用試験>
図5は、本発明で使用したイオン液体を繰り返し再生し、これを用いてポリエステル繊維を回収した回収率の変化を示すグラフである。白色布からポリエステル及び綿の分離回収試験に利用したイオン液体([C4mpy]+Cl-)を、150℃、3時間加熱撹拌処理を行って再生した。この再生イオン液体を用いて、平織の白色布からポリエステル及び綿の分離回収試験に再度供した。イオン液体の再生を1回から10回まで行い、其々の再生回数のイオン液体を用いて、上記繊維分離方法の試験を行い、回収されたポリエステルの繊維総重量に対する重量%をグラフに示した。その結果、再生回数にかかわらず、回収されたポリエステルは、処理前の白色布の重量に対して約64重量%となった。これは、イオン液体処理前の白色布に含まれているポリエステル量と略等しく、繰り返し再生させたイオン液体を用いても、綿の成分であるセルロースの抽出に何ら問題が起こらないことが確認された。これにより、イオン液体は、再生することにより繰り返し再利用することができることから、本発明に係る繊維分離方法は、リサイクルに掛るコストを抑えることができる。
本発明の繊維分離方法は、酸やアルカリ等の薬剤や、多量のエネルギーを使用することなく、混紡繊維から未分解である高分子の天然繊維や、合成繊維を簡易な方法で分離することができることから、衣料品、紙、強化プラスティック等において、容易に再利用することができる。また、回収されたセルロースは、最近注目されている、バイオ変換物(例えば、バイオエタノール)の発酵生産に用いられる糖としても利用可能である。
1 平織の生地
2 糸条
3 天然繊維
4 合成繊維

Claims (3)

  1. セルロース繊維とポリエステル繊維とを含む混紡繊維から特定の繊維を分離する繊維分離方法であって、
    前記セルロース繊維を溶解させる3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドに前記混紡繊維を投入し、前記3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドの融点より上〜200℃で加熱処理を行って、当該混紡繊維に含まれる前記セルロース繊維を前記3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドに抽出する抽出工程を実行する繊維分離方法。
  2. 前記抽出工程を終えた3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドから固形分を分離した後、前記セルロース繊維が溶解しない溶媒を添加することにより、前記セルロース繊維の成分を析出させる析出工程をさらに実行する請求項1に記載の繊維分離方法。
  3. 前記析出工程を終えた3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドから析出物を分離した後、成分調整を行って再生し、3−メチル−N−ブチルピリジニウム クロライドとして再利用する請求項2に記載の繊維分離方法。
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