JP2010095820A - ゼオライト付着繊維構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂バインダーを用いなくとも、繊維構造体の表面に効率よくゼオライトを固定化し得るゼオライト付着繊維構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理し、当該繊維構造体表面にゼオライトを固定化させるゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理し、当該繊維構造体表面にゼオライトを固定化させるゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゼオライト付着繊維構造体の製造方法に関する。
従来、繊維構造物に多孔性無機粒子等を担持させ、消臭性能や抗菌性能など各種の機能を付与することが行われている。
例えば、特許文献1(特開平8−337964号公報)には、モダクリル繊維を含む編織物に、樹脂バインダーを用いて所定のアルミノ珪酸塩を付着させてなる、消臭機能を有する防炎性編織物が開示されている。
特許文献2(特開2001−254263号公報)には、樹脂バインダーを用いて光触媒半導体を付着させてなる、消臭や抗菌機能などを有するセルロース繊維含有布帛が開示されている。
特許文献3(特開2007−523265号公報)には、樹脂バインダーを用いて活性炭やゼオライト等を付着させてなる、消臭機能を有する不織布が開示されている。
例えば、特許文献1(特開平8−337964号公報)には、モダクリル繊維を含む編織物に、樹脂バインダーを用いて所定のアルミノ珪酸塩を付着させてなる、消臭機能を有する防炎性編織物が開示されている。
特許文献2(特開2001−254263号公報)には、樹脂バインダーを用いて光触媒半導体を付着させてなる、消臭や抗菌機能などを有するセルロース繊維含有布帛が開示されている。
特許文献3(特開2007−523265号公報)には、樹脂バインダーを用いて活性炭やゼオライト等を付着させてなる、消臭機能を有する不織布が開示されている。
これら特許文献1〜3で得られた繊維構造体は、その表面に有する機能性無機粒子等の作用によって、消臭機能や抗菌機能などを発揮し得るものである。
しかし、いずれの技術においても、樹脂バインダーを用いて機能性無機粒子を付着させているため、無機粒子が有する細孔の一部が樹脂バインダーで塞がれて有効細孔量が減少し、担持量に見合った効果は発揮されない。
しかし、いずれの技術においても、樹脂バインダーを用いて機能性無機粒子を付着させているため、無機粒子が有する細孔の一部が樹脂バインダーで塞がれて有効細孔量が減少し、担持量に見合った効果は発揮されない。
このような問題点に鑑み、樹脂バインダーを用いずに多孔性無機粒子を担持させる手法も開発されている。
例えば、特許文献4(特開平10−120923号公報)には、セルロース等の親水性高分子基材の実体内でゼオライトを析出させてなる、無機多孔結晶−親水性高分子複合体が開示されている。
特許文献5(特開2000−117116号公報)には、N−メチルモルホリン−N−オキシド(以下、NMOという)を含む媒体中でセルロース基材を溶解し、これに酸化チタンを分散させた後、セルロースを再生させて得られた、酸化チタン担持セルロース成型体が開示されている。
例えば、特許文献4(特開平10−120923号公報)には、セルロース等の親水性高分子基材の実体内でゼオライトを析出させてなる、無機多孔結晶−親水性高分子複合体が開示されている。
特許文献5(特開2000−117116号公報)には、N−メチルモルホリン−N−オキシド(以下、NMOという)を含む媒体中でセルロース基材を溶解し、これに酸化チタンを分散させた後、セルロースを再生させて得られた、酸化チタン担持セルロース成型体が開示されている。
しかし、親水性高分子の実体内でゼオライトを析出させる特許文献4の技術は、製造方法が複雑であるのみならず、繊維の内部においてもゼオライトが析出するため、繊維表面近傍に効率よくゼオライトを担持することができない。また、担持し得るゼオライトの種類が制限されるという問題もある。
特許文献5の技術は、セルロースを一旦完全に溶解させた後、これを再生させるものであるため、セルロースが低分子化して繊維構造体の物性が大きく変わってしまう。しかも、NMOが危険な試薬であるため、安全面を考慮すると工業的製法としては適していない。
特許文献5の技術は、セルロースを一旦完全に溶解させた後、これを再生させるものであるため、セルロースが低分子化して繊維構造体の物性が大きく変わってしまう。しかも、NMOが危険な試薬であるため、安全面を考慮すると工業的製法としては適していない。
近年、イオン液体を繊維構造体の改質剤として用い得ることが示唆されている。
例えば、特許文献6(特表2005−530910号公報)には、セルロース系布地をイオン液体で処理することで、しわ防止効果、静電気防止効果等の各種効果を付与し得ることが示唆されている。
特許文献7(特表2008−516106号公報)には、繊維材料をイオン液体で処理して改質し、さらに有益剤を含む組成物と接触させて当該有益剤を繊維表面に固定することで、繊維材料に、防しわ性、滑らかさ、柔軟性等の機能を付与し得ることが示唆されている。
しかし、特許文献6,7では、定性的な記載のみで具体的な実施例の記載がなく、その効果が実証されていないのみならず、ゼオライトを担持することについては記載されていない。
例えば、特許文献6(特表2005−530910号公報)には、セルロース系布地をイオン液体で処理することで、しわ防止効果、静電気防止効果等の各種効果を付与し得ることが示唆されている。
特許文献7(特表2008−516106号公報)には、繊維材料をイオン液体で処理して改質し、さらに有益剤を含む組成物と接触させて当該有益剤を繊維表面に固定することで、繊維材料に、防しわ性、滑らかさ、柔軟性等の機能を付与し得ることが示唆されている。
しかし、特許文献6,7では、定性的な記載のみで具体的な実施例の記載がなく、その効果が実証されていないのみならず、ゼオライトを担持することについては記載されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂バインダーを用いなくとも、繊維構造体の表面に効率よくゼオライトを固定化し得るゼオライト付着繊維構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イオン液体を含む媒体中にゼオライトを分散させた処理剤を用いて繊維構造体を表面処理することで、樹脂バインダーを用いなくとも、繊維構造体表面にゼオライトを効率的に固定化し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、前記イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理し、当該繊維構造体表面に前記ゼオライトを固定化させることを特徴とするゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
2. 前記処理剤中に前記繊維構造体を浸漬した後、前記イオン液体含有媒体および余剰のゼオライトを洗浄除去する1のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
3. 前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、またはリン酸誘導体アニオンを有するものを含む1または2のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
4. 前記繊維構造体が、セルロースを含む1〜3のいずれかのゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
5. 前記繊維構造体が、セルロース不織布である4のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
6. 1〜5のいずれかの製造方法により得られたゼオライト付着繊維構造体、
7. 6のゼオライト付着繊維構造体からなる脱臭剤、
8. イオン液体含有媒体を用いた表面処理によりゼオライトが繊維構造体の表面に固定化されているゼオライト付着繊維構造体、
9. 前記繊維構造体が、セルロース不織布である8のゼオライト付着繊維構造体
を提供する。
1. ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、前記イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理し、当該繊維構造体表面に前記ゼオライトを固定化させることを特徴とするゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
2. 前記処理剤中に前記繊維構造体を浸漬した後、前記イオン液体含有媒体および余剰のゼオライトを洗浄除去する1のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
3. 前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、またはリン酸誘導体アニオンを有するものを含む1または2のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
4. 前記繊維構造体が、セルロースを含む1〜3のいずれかのゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
5. 前記繊維構造体が、セルロース不織布である4のゼオライト付着繊維構造体の製造方法、
6. 1〜5のいずれかの製造方法により得られたゼオライト付着繊維構造体、
7. 6のゼオライト付着繊維構造体からなる脱臭剤、
8. イオン液体含有媒体を用いた表面処理によりゼオライトが繊維構造体の表面に固定化されているゼオライト付着繊維構造体、
9. 前記繊維構造体が、セルロース不織布である8のゼオライト付着繊維構造体
を提供する。
本発明のゼオライト付着繊維構造体の製造方法は、ゼオライトが分散したイオン液体含有溶液で繊維構造体を処理するという非常に簡便かつ安全な方法であり、バインダーを用いることなくゼオライトを繊維構造体に固定化させることができる。このため、ゼオライトの細孔をバインダーで塞ぐことが殆んど無く、ゼオライトがその高い吸着能を保ったまま繊維構造体に固定化される。
また、ゼオライトが、繊維構造体の表面に固定されるため効率良く機能し、付着量に比べて吸着能に優れた繊維構造体が得られる。
また、ゼオライトが、繊維構造体の表面に固定されるため効率良く機能し、付着量に比べて吸着能に優れた繊維構造体が得られる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るゼオライト付着繊維構造体の製造方法は、ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理してゼオライトを繊維構造体表面に固定化させるものである。
ここで、ゼオライトは、三次元骨格構造を有するアルミノシリケートの総称であり、一般式xM2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(式中、Mはイオン交換可能なn価のイオンを表し、通常は1または2価の金属のイオンであり、xは金属酸化物のモル数、yはシリカのモル数、zは結晶水のモル数を意味する)で表されることもある化合物である。
本発明で使用可能なゼオライトしては特に限定されるものではなく、天然ゼオライトおよび人工ゼオライトのいずれも用いることができる。その具体例としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト等が挙げられ、市販品の全てを用いることができる。
本発明に係るゼオライト付着繊維構造体の製造方法は、ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理してゼオライトを繊維構造体表面に固定化させるものである。
ここで、ゼオライトは、三次元骨格構造を有するアルミノシリケートの総称であり、一般式xM2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(式中、Mはイオン交換可能なn価のイオンを表し、通常は1または2価の金属のイオンであり、xは金属酸化物のモル数、yはシリカのモル数、zは結晶水のモル数を意味する)で表されることもある化合物である。
本発明で使用可能なゼオライトしては特に限定されるものではなく、天然ゼオライトおよび人工ゼオライトのいずれも用いることができる。その具体例としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト等が挙げられ、市販品の全てを用いることができる。
市販品としては、例えば、HISIV6000、HISIV1000、モレキュラーシーブ4A(以上、ユニオン昭和(株)製)、ゼオライム、HSZ−300、HSZ−500、HSZ−600、HSZ−700、HSZ−900(以上、東ソー(株)製)、シルトロンB、ミズカナイト(以上、水澤化学工業(株)製)等が挙げられる。
イオン液体含有媒体としては、イオン液体を含有する液体媒体であればよく、イオン液体のみからなる媒体でも、イオン液体と分子性媒体との混合媒体でもよい。
本発明で使用可能なイオン液体は、150℃以下で流動性があり、完全にイオンから成る液体であればよいが、好ましくは100℃以下で流動性のあるもの、より好ましくは40℃以下で流動性のあるものである。イオン液体は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合、用いる繊維構造体の溶解能を有しないイオン液体を併用してもよいが、その使用量を、用いるイオン液体全体の中で50質量%未満とすることが好ましい。
本発明で使用可能なイオン液体は、150℃以下で流動性があり、完全にイオンから成る液体であればよいが、好ましくは100℃以下で流動性のあるもの、より好ましくは40℃以下で流動性のあるものである。イオン液体は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合、用いる繊維構造体の溶解能を有しないイオン液体を併用してもよいが、その使用量を、用いるイオン液体全体の中で50質量%未満とすることが好ましい。
本発明のイオン液体を構成するカチオンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、式(1)で示される4級窒素原子を有するカチオンが挙げられる。
R1R2R3R4N+ ・・・(1)
〔式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または−(CH2)n−OR5で示されるアルコキシアルキル基(R5は、メチル基またはエチル基を示し、nは、1または2である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が窒素原子とともに環(当該環中にその他のヘテロ原子を含んでいてもよい。)を形成していてもよい。〕
R1R2R3R4N+ ・・・(1)
〔式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または−(CH2)n−OR5で示されるアルコキシアルキル基(R5は、メチル基またはエチル基を示し、nは、1または2である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が窒素原子とともに環(当該環中にその他のヘテロ原子を含んでいてもよい。)を形成していてもよい。〕
式(1)において、炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
これらの中でも、各種繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えるという点から、炭素数1〜8の直鎖アルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖アルキル基が好適である。
これらの中でも、各種繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えるという点から、炭素数1〜8の直鎖アルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖アルキル基が好適である。
R5O−(CH2)n−で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシまたはエトキシメチル基、メトキシまたはエトキシエチル基が挙げられる。
特に、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが、−(CH2)n−OR5で示されるアルコキシアルキル基(R5およびnは上記と同じ。)であることが好ましく、中でも合成が容易であることからメトキシメチル基が、化合物がより安定になることからメトキシエチル基がさらに好ましい。
好適なカチオンとしては、例えば、下記式(2)〜(4)で示されるものが挙げられる。
特に、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つが、−(CH2)n−OR5で示されるアルコキシアルキル基(R5およびnは上記と同じ。)であることが好ましく、中でも合成が容易であることからメトキシメチル基が、化合物がより安定になることからメトキシエチル基がさらに好ましい。
好適なカチオンとしては、例えば、下記式(2)〜(4)で示されるものが挙げられる。
式(2)で示されるカチオンの中でも、比較的低融点で、各種繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えることから、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−エトキシエチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチル−N−2−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチル−N−2−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチル−N−2−エトキシエチルアンモニウムカチオンなどが好適である。
式(3)で示されるカチオンの中でも、比較的低融点になること、各種繊維構造体の溶解能に優れていることから、N−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−エトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−エトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−メトキシメチルピロリジニウムカチオンなどが好適である。
式(4)で示されるカチオンの中でも、比較的低融点で、各種繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えることから、N−メチル−N−2−メトキシエチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−エトキシエチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−メトキシエチルモルホリニウムカチオン、N−メチル−N−2−エトキシエチルモルホリニウムカチオンなどが好適である。
また、本発明で使用可能なイオン液体を構成するカチオンとしては、下記式(5)で示されるものも挙げられる。
式(5)で示されるカチオンの中でも、比較的低融点で、各種繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えることから、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシメチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−(2−メトキシエチル)イミダゾリウムカチオン、1−(2−エトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メトキシメチルイミダゾリウムカチオンなどが好適である。
一方、イオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、リン酸誘導体イオン、過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン、ジシアナミドイオンなどが挙げられるが、特に、糖鎖やたんぱく質等の天然高分子化合物からなる繊維構造体の溶解能に優れたイオン液体を与えるハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、リン酸誘導体アニオンが好適である。
ハロゲン化物イオンとしては、Cl-、Br-、I-等が挙げられ、総炭素数1〜3のカルボン酸イオンとしては、C2H5CO2 -、CH3CO2 -、HCO2 -等が挙げられ、擬ハロゲン化物イオンとしては、一価でありハロゲン化物に類似した特性を有するCN-、SCN-、OCN-、ONC-、N3 -等が挙げられ、リン酸誘導体イオンとしては、(CH3O)(R6)PO2 -(R6は、水素原子、メチル基、またはメトキシ基を示す。)が挙げられるが、繊維構造体の溶解性を高めるという点から、特に、Cl-、HCO2 -、CH3CO2 -、(CH3O)(R6)PO2 -(R6は、水素原子、メチル基、またはメトキシ基を示す。)が好ましい。
好適なイオン液体としては、N−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−2−エトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−2−エトキシエチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、または1−(2−エトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムカチオンと、Cl-、HCO2 -、CH3CO2 -、または(CH3O)(R6)PO2 -(R6は、水素原子、メチル基、またはメトキシ基を示す。)とから構成されるイオン液体である。
分子性媒体としては、イオン液体と相溶するものであればよく、例えば、水、メタノール,エタノール等のアルコール類、酢酸エチル,酢酸n−ブチル等の酢酸エステル類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性有機溶媒、トリエチルアミン,ピリジン等のアミン類などが挙げられる。
これら分子性媒体は、イオン液体と混合して用いる場合、繊維構造体表面へのゼオライトの固定化に影響を与えない範囲で混合することができ、処理剤の粘度を低下させて取り扱い性を高めることができる。
ゼオライトをイオン液体含有媒体に分散させて処理剤を調製する手法としては特に限定されるものではなく、イオン液体含有媒体とゼオライトとを混合した後、撹拌、超音波処理等の公知の分散処理を行えばよい。
この場合、ゼオライトの分散濃度は、特に限定されるものではないが、繊維構造体処理時の作業性などを考慮すると、0.1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
この場合、ゼオライトの分散濃度は、特に限定されるものではないが、繊維構造体処理時の作業性などを考慮すると、0.1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
処理剤の粘度は、低い程好ましいが、液体としての取扱いの容易さなどを考慮すると、30℃で100Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましく、1Pa・s以下であることが好適である。
なお、本発明の処理剤には、香料、染料、撥水剤、撥油剤、抗菌剤、防カビ剤などのその他の成分を添加してもよい。
なお、本発明の処理剤には、香料、染料、撥水剤、撥油剤、抗菌剤、防カビ剤などのその他の成分を添加してもよい。
繊維構造体としては、使用するイオン液体に溶解し得るものであればよく、例えば、糖鎖もしくはタンパク質等の天然高分子化合物、またはこれらの混合物からなる繊維構造体が挙げられる。
糖鎖としては、セルロース、キチン、キトサンなどが挙げられる。
セルロースとしては、植物由来セルロース、動物由来セルロース、バクテリア由来セルロース、再生セルロースが挙げられる。具体的には、綿、麻、竹、バナナ、月桃、ハイビスカスローゼル、ケナフ、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、ホヤセルロース、バクテリアセルロース、レーヨン、キュプラ、テンセル、イオン液体による再生セルロースなどが挙げられ、イオン液体に溶解、膨潤し得る限り、それらの誘導体でもよい。誘導体としては、例えばセルロースの水酸基をエーテル化またはエステル化した誘導体や、シアノエチル化した誘導体などが挙げられる。
なお、セルロースの結晶構造は任意であり、I型、II型、III型、IV型、非晶のいずれか1つの構造またはそれらの組合せからなる構造を有するセルロースを採用できる。また、セルロースの結晶化度に関わらず用いることができる。
タンパク質としては、絹、羊毛、コラーゲン、ケラチン、セリシン、フィブロイン、カゼイン等が挙げられる。
上記繊維構造物の形態は任意であり、糸、織物,編物,不織布,紙等を採用できるが、不織布が好適である。
糖鎖としては、セルロース、キチン、キトサンなどが挙げられる。
セルロースとしては、植物由来セルロース、動物由来セルロース、バクテリア由来セルロース、再生セルロースが挙げられる。具体的には、綿、麻、竹、バナナ、月桃、ハイビスカスローゼル、ケナフ、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、ホヤセルロース、バクテリアセルロース、レーヨン、キュプラ、テンセル、イオン液体による再生セルロースなどが挙げられ、イオン液体に溶解、膨潤し得る限り、それらの誘導体でもよい。誘導体としては、例えばセルロースの水酸基をエーテル化またはエステル化した誘導体や、シアノエチル化した誘導体などが挙げられる。
なお、セルロースの結晶構造は任意であり、I型、II型、III型、IV型、非晶のいずれか1つの構造またはそれらの組合せからなる構造を有するセルロースを採用できる。また、セルロースの結晶化度に関わらず用いることができる。
タンパク質としては、絹、羊毛、コラーゲン、ケラチン、セリシン、フィブロイン、カゼイン等が挙げられる。
上記繊維構造物の形態は任意であり、糸、織物,編物,不織布,紙等を採用できるが、不織布が好適である。
また、上記繊維構造体は、上述した処理剤に溶解しない繊維を含んでいてもよい。
このような繊維としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレンなどの高分子化合物からなる繊維や、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、ロックウールなどが挙げられる。
なお、これらの物質の含有量は任意であるが、イオン液体に溶解する繊維構造体全体に対して、5〜95質量%程度が好適である。
このような繊維としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレンなどの高分子化合物からなる繊維や、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、ロックウールなどが挙げられる。
なお、これらの物質の含有量は任意であるが、イオン液体に溶解する繊維構造体全体に対して、5〜95質量%程度が好適である。
上記処理剤を、繊維構造体と接触させる方法としては特に制限はなく、処理剤中へ繊維構造体を浸漬させたり、処理剤を含む槽内に繊維構造体を通過させたりする方法や、繊維構造体へ処理剤を噴霧したり塗布したりする方法などが挙げられる。
接触時間は、0.01秒から180分間程度の範囲で適宜調節すればよいが、好ましくは、0.1〜30分間程度、より好ましくは0.2〜10分間程度である。
接触温度は、処理剤が液状を保つ温度領域であればよいが、0〜150℃程度が好ましく、15〜60℃程度がより好ましい。
接触時間は、0.01秒から180分間程度の範囲で適宜調節すればよいが、好ましくは、0.1〜30分間程度、より好ましくは0.2〜10分間程度である。
接触温度は、処理剤が液状を保つ温度領域であればよいが、0〜150℃程度が好ましく、15〜60℃程度がより好ましい。
処理後の繊維構造物に残存した処理剤(ゼオライトおよびイオン液体含有媒体)は、処理剤と相溶でかつ処理後のポリマーを溶解・膨潤させない溶液で洗浄することで容易に除去することができる。
このような溶媒としては、例えば、水、メタノール,エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられるが、水またはメタノール,エタノール等のアルコール類が好適である。
接触処理および必要に応じて行われる洗浄処理後、繊維構造体を適宜乾燥させる。乾燥手法は任意であり、公知の各種方法を用いることができる。具体例としては、ヒートドラム、熱風、赤外線、天日による方法などが挙げられる。
このような溶媒としては、例えば、水、メタノール,エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられるが、水またはメタノール,エタノール等のアルコール類が好適である。
接触処理および必要に応じて行われる洗浄処理後、繊維構造体を適宜乾燥させる。乾燥手法は任意であり、公知の各種方法を用いることができる。具体例としては、ヒートドラム、熱風、赤外線、天日による方法などが挙げられる。
以上の手法によって得られる本発明のゼオライト付着繊維構造体は、バインダーを用いずにゼオライトを繊維構造体に固定化しているため、バインダーによってゼオライトが有する細孔が塞がれることがない。このため、バインダーを用いて得られたゼオライト付着繊維構造体と比べ、少ないゼオライト付着量で同等程度の効果を発揮する。
本発明のゼオライト付着繊維構造体におけるゼオライト付着量としては、特に限定されるものではないが、繊維構造体に対して1〜30質量%程度が好ましい。
本発明のゼオライト付着繊維構造体におけるゼオライト付着量としては、特に限定されるものではないが、繊維構造体に対して1〜30質量%程度が好ましい。
以上説明した本発明のゼオライト付着繊維構造体は、脱臭剤や脱水剤等として好適に用いることができる。さらには、銀、銅や亜鉛を配位させたゼオライトを用いることにより抗菌作用を供することも可能である。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の合成例および実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例におけるイオン液体の構造確認は、1H−NMR(日本電子(株)製、AL−400)を用いて行った。また、ゼオライト付着量は各々の実施例で得られたゼオライト付着コットン不織布をるつぼ中で燃焼し尽くした残渣の重量を測定することにより求めた。
なお、以下の実施例におけるイオン液体の構造確認は、1H−NMR(日本電子(株)製、AL−400)を用いて行った。また、ゼオライト付着量は各々の実施例で得られたゼオライト付着コットン不織布をるつぼ中で燃焼し尽くした残渣の重量を測定することにより求めた。
[1]イオン液体の合成
[合成例1]N−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムクロライドの合成
[合成例1]N−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムクロライドの合成
ピロリジン(関東化学(株)品)540mlと2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)品)300mlとを混合し、100℃で2−メトキシエチルクロライドが還流しなくなるまで反応させた。反応後、析出した結晶をテトラヒドロフラン(以下、THFという、和光純薬工業(株)品)で洗浄して濾別した。濾液を減圧蒸留し、40mmHgで沸点75℃付近の留分を193g得た。この化合物が2−メトキシエチルピロリジンであることを核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRという)により確認した。
続いて、オートクレーブ中にてトルエン(和光純薬工業(株)品)390質量部に2−メトキシエチルピロリジン193質量部を溶解し、攪拌を行いつつ、窒素中15%塩化メチルガス(日本特殊化学工業(株)品)150質量部を導入した。この時、内圧は0.28MPaであった。塩化メチルガスを加えた後、40℃まで昇温した。23時間攪拌した後、放冷し、析出した結晶を濾別した。この結晶を減圧下乾燥し、目的物であるN−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムクロライド(以下、MEMPClという)を230質量部得た(含水率400ppm)
続いて、オートクレーブ中にてトルエン(和光純薬工業(株)品)390質量部に2−メトキシエチルピロリジン193質量部を溶解し、攪拌を行いつつ、窒素中15%塩化メチルガス(日本特殊化学工業(株)品)150質量部を導入した。この時、内圧は0.28MPaであった。塩化メチルガスを加えた後、40℃まで昇温した。23時間攪拌した後、放冷し、析出した結晶を濾別した。この結晶を減圧下乾燥し、目的物であるN−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムクロライド(以下、MEMPClという)を230質量部得た(含水率400ppm)
[合成例2]N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−メトキシエチルアンモニウムクロライドの合成
ジエチルアミン(関東化学(株)品)71質量部と2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)品)88質量部とを混合し、オートクレーブ中、120℃で24時間反応させた。この時、最高到達内圧は4.5kgf/cm2(0.44MPa)であった。24時間後、析出した結晶をTHF(和光純薬工業(株)品)で洗浄して濾別した。濾液を常圧蒸留し、沸点135℃付近の留分を81質量部得た。この化合物が2−メトキシエチルジエチルアミンであることをNMRにより確認した。
続いて、オートクレーブ中にてTHF(和光純薬工業(株)品)80質量部に2−メトキシエチルジエチルアミン9.0質量部を溶解し、攪拌を行いつつ、窒素中15%塩化メチルガス(日本特殊化学工業(株)品)を導入した。内圧が4kgf/cm2(0.39MPa)になるまで塩化メチルガスを加えた後、3時間かけて徐々に60℃まで昇温した。この時、最高到達内圧は5.4kgf/cm2(0.53MPa)であった。この後、攪拌を続けながら放冷し、析出した結晶を濾別した。この結晶を減圧下乾燥し、目的物であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−2−メトキシエチルアンモニウムクロライド(以下、DEMEClという)を12質量部得た(含水率200ppm)。
続いて、オートクレーブ中にてTHF(和光純薬工業(株)品)80質量部に2−メトキシエチルジエチルアミン9.0質量部を溶解し、攪拌を行いつつ、窒素中15%塩化メチルガス(日本特殊化学工業(株)品)を導入した。内圧が4kgf/cm2(0.39MPa)になるまで塩化メチルガスを加えた後、3時間かけて徐々に60℃まで昇温した。この時、最高到達内圧は5.4kgf/cm2(0.53MPa)であった。この後、攪拌を続けながら放冷し、析出した結晶を濾別した。この結晶を減圧下乾燥し、目的物であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−2−メトキシエチルアンモニウムクロライド(以下、DEMEClという)を12質量部得た(含水率200ppm)。
[合成例3]N−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムメチル亜リン酸塩の合成
合成例1と同様にして得られた2−メトキシエチルピロリジン10.0質量部と亜リン酸ジメチル(シグマ−アルドリッチジャパン(株)品)8.3質量部とを室温下で混合し、100℃で4時間反応させた。
反応液を大量のTHF(和光純薬工業(株)品)50質量部中へ投入し、5分間程度激しく攪拌した後、静置した。2層に分離した上層をデカンテーションにより除去した。この操作をさらに2回繰り返した後、残留した下層について攪拌下100℃で1時間の加熱真空乾燥を行い、室温(25℃、以下同様)でワイン色を呈した液体状のN−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムホスホン酸メチル塩(以下MEMP MeOP(H)O2という)を14.5質量部得た。
反応液を大量のTHF(和光純薬工業(株)品)50質量部中へ投入し、5分間程度激しく攪拌した後、静置した。2層に分離した上層をデカンテーションにより除去した。この操作をさらに2回繰り返した後、残留した下層について攪拌下100℃で1時間の加熱真空乾燥を行い、室温(25℃、以下同様)でワイン色を呈した液体状のN−メチル−N−2−メトキシエチルピロリジニウムホスホン酸メチル塩(以下MEMP MeOP(H)O2という)を14.5質量部得た。
[実施例1]
ガラスシャーレ(直径9.5cm、深さ1.5cm)に、合成例1で得られたMEMPCl(融点65〜73℃)45gを入れ、乾燥機(CONVECTION OVEN MOV−212F(U)、三洋電機(株)製)内に投入し、100℃で加熱して融解させた。以下、水中への浸漬までの作業は全て100℃の乾燥機内で行った。
次に、ゼオライト(HISIV6000)(ユニオン昭和(株)製)を溶解したMEMPClに対して3質量%加え、よくかき混ぜて分散させ、ゼオライト分散MEMPClを得た。この分散液に5×5cmのコットン不織布A(目付け100g/m2、日清紡績(株)製)を1分間浸漬した。
その後、浸漬処理したコットン不織布Aを取り出し、室温下、水の入ったビーカー中に完全に沈めた状態で水を攪拌し、30分間放置し、デカンテーションにより水を廃棄する操作を2回行って洗浄した。ついでメタノールをビーカーに入れコットン不織布Aになじませた後、コットン不織布Aを取り出し、100℃の乾燥機中で2時間乾燥して、ゼオライト付着コットン不織布を得た(ゼオライト付着量0.064g)。
得られたゼオライト付着コットン不織布をSEM(S−4800、(株)日立製作所製)にて撮影した電子顕微鏡写真を、図1に示す。
ガラスシャーレ(直径9.5cm、深さ1.5cm)に、合成例1で得られたMEMPCl(融点65〜73℃)45gを入れ、乾燥機(CONVECTION OVEN MOV−212F(U)、三洋電機(株)製)内に投入し、100℃で加熱して融解させた。以下、水中への浸漬までの作業は全て100℃の乾燥機内で行った。
次に、ゼオライト(HISIV6000)(ユニオン昭和(株)製)を溶解したMEMPClに対して3質量%加え、よくかき混ぜて分散させ、ゼオライト分散MEMPClを得た。この分散液に5×5cmのコットン不織布A(目付け100g/m2、日清紡績(株)製)を1分間浸漬した。
その後、浸漬処理したコットン不織布Aを取り出し、室温下、水の入ったビーカー中に完全に沈めた状態で水を攪拌し、30分間放置し、デカンテーションにより水を廃棄する操作を2回行って洗浄した。ついでメタノールをビーカーに入れコットン不織布Aになじませた後、コットン不織布Aを取り出し、100℃の乾燥機中で2時間乾燥して、ゼオライト付着コットン不織布を得た(ゼオライト付着量0.064g)。
得られたゼオライト付着コットン不織布をSEM(S−4800、(株)日立製作所製)にて撮影した電子顕微鏡写真を、図1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0534g)を得た。
実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0534g)を得た。
[実施例3]
MEMPClの代わりに、DEMECl(融点59〜60℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.057g)を得た。
MEMPClの代わりに、DEMECl(融点59〜60℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.057g)を得た。
[実施例4]
ガラスシャーレ(直径9.5cm、深さ1.5cm)に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(シグマアルドリッチジャパン(株)品、室温液体、以下EMI AcOという)45gを入れ、次に、ゼオライト(HISIV6000)(ユニオン昭和(株)製)をEMI AcOに対して3質量%加え、よくかき混ぜて分散させ、ゼオライト分散EMI AcOを得た。この分散液に5×5cmのコットン不織布Aを1分間浸漬した。
その後、浸漬処理したコットン不織布Aを取り出し、室温下、水の入ったビーカー中に完全に沈めた状態で水を攪拌し、30分間放置し、デカンテーションにより水を廃棄する操作を2回行い洗浄した。ついでメタノールをビーカーに入れコットン不織布Aになじませた後、コットン不織布を取り出し、100℃の乾燥機中で2時間乾燥して、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0149g)を得た。
ガラスシャーレ(直径9.5cm、深さ1.5cm)に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(シグマアルドリッチジャパン(株)品、室温液体、以下EMI AcOという)45gを入れ、次に、ゼオライト(HISIV6000)(ユニオン昭和(株)製)をEMI AcOに対して3質量%加え、よくかき混ぜて分散させ、ゼオライト分散EMI AcOを得た。この分散液に5×5cmのコットン不織布Aを1分間浸漬した。
その後、浸漬処理したコットン不織布Aを取り出し、室温下、水の入ったビーカー中に完全に沈めた状態で水を攪拌し、30分間放置し、デカンテーションにより水を廃棄する操作を2回行い洗浄した。ついでメタノールをビーカーに入れコットン不織布Aになじませた後、コットン不織布を取り出し、100℃の乾燥機中で2時間乾燥して、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0149g)を得た。
[実施例5]
EMI AcOの代わりに、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(東京化成工業(株)品、室温液体、以下BMIClという)を用いた以外は、実施例4と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0241g)を得た。
EMI AcOの代わりに、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(東京化成工業(株)品、室温液体、以下BMIClという)を用いた以外は、実施例4と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0241g)を得た。
[実施例6]
EMI AcOの代わりに、合成例3で得られたMEMP MeOP(H)O2を用いた以外は、実施例4と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0066g)を得た。
EMI AcOの代わりに、合成例3で得られたMEMP MeOP(H)O2を用いた以外は、実施例4と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0066g)を得た。
[実施例7]
ゼオライトの種類をHISIV6000からHISIV1000(ユニオン昭和(株)製)に変更し、コットン不織布Aの代わりに9.5×23cmのコットン不織布B(目付け40g/m2、日清紡績(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0249g)を得た。
ゼオライトの種類をHISIV6000からHISIV1000(ユニオン昭和(株)製)に変更し、コットン不織布Aの代わりに9.5×23cmのコットン不織布B(目付け40g/m2、日清紡績(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0249g)を得た。
[実施例8]
目付け40g/m2のコットン不織布Bの代わりに、目付け100g/m2のコットン不織布Aを用いた以外は、実施例7と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0413g)を得た。
目付け40g/m2のコットン不織布Bの代わりに、目付け100g/m2のコットン不織布Aを用いた以外は、実施例7と同様にして、ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.0413g)を得た。
[比較例1]
水性バインダーPVA R1130((株)クラレ品)5.16質量部を水道水80.9質量部に溶解させた後、分散機で攪拌しながらゼオライト(HISIV6000)13.9質量部を少しずつ添加した。全量添加後、さらに1000rpmで10分間攪拌を継続した。その後、ハンドコーターにて、混合液をコットン不織布A上に厚さ60μmになるようにコーティングし、100℃に設定した熱風乾燥機中で1分間乾燥させ、バインダー含有ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.055g)を得た。
得られたゼオライト付着コットン不織布をSEM(S−4800、(株)日立製作所製)にて撮影した電子顕微鏡写真を、図2に示す。
水性バインダーPVA R1130((株)クラレ品)5.16質量部を水道水80.9質量部に溶解させた後、分散機で攪拌しながらゼオライト(HISIV6000)13.9質量部を少しずつ添加した。全量添加後、さらに1000rpmで10分間攪拌を継続した。その後、ハンドコーターにて、混合液をコットン不織布A上に厚さ60μmになるようにコーティングし、100℃に設定した熱風乾燥機中で1分間乾燥させ、バインダー含有ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.055g)を得た。
得られたゼオライト付着コットン不織布をSEM(S−4800、(株)日立製作所製)にて撮影した電子顕微鏡写真を、図2に示す。
[比較例2]
ゼオライト(HISIV6000)0.0063gをそのまま試験に供した。
ゼオライト(HISIV6000)0.0063gをそのまま試験に供した。
[比較例3]
コットン不織布A(5×5cm、目付け100g/m2、ゼオライト付着量0g、日清紡績(株)製)をそのまま試験に供した。
コットン不織布A(5×5cm、目付け100g/m2、ゼオライト付着量0g、日清紡績(株)製)をそのまま試験に供した。
[比較例4]
ゼオライト(HISIV1000)0.0063gをそのまま試験に供した。
ゼオライト(HISIV1000)0.0063gをそのまま試験に供した。
[比較例5]
ゼオライトの種類をHISIV6000からHISIV1000に変更した以外は、比較例1と同様にして、バインダー含有ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.055g)を得た。
ゼオライトの種類をHISIV6000からHISIV1000に変更した以外は、比較例1と同様にして、バインダー含有ゼオライト付着コットン不織布(ゼオライト付着量0.055g)を得た。
上記各実施例および比較例で得られたゼオライト付着コットン不織布、コットン不織布、ゼオライトについて、アンモニアとトルエンの除去効果を下記手法により測定した。アンモニア除去効果試験結果を表1に、トルエン除去効果試験結果を表2に示す。
[1]アンモニア除去効果試験
〔ガスの調整〕
(1)特級アンモニア水(28%、キシダ化学(株)製)容器上層のアンモニアガスを任意の量採取し、30Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に移す。
(2)30Lテドラーバッグにエアー(大気)を加え、全体量を30Lにする。
(3)(2)で調整したガスを、気体検知管(3M、(株)ガステック製)を用いてガス濃度を測定する。
(4)(1)〜(3)を繰り返し行い、ガス濃度が500ppmまたは1000ppmになるようにアンモニアガスを調整する。
〔試料の調整〕
5Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に試料(5×5cm2)を封入する。
〔消臭試験〕
(1)先に調整した500ppm、または1000ppmのアンモニアガスを、3Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に移す。
(2)このアンモニアガス3Lを、試料を封入した5Lテドラーバッグに全量移す。
(3)1時間後、気体検知管(3La,3L)を用いて残留ガス濃度を測定する。ブランク材として、試料を封入していないアンモニアガス濃度も測定する。
〔ガスの調整〕
(1)特級アンモニア水(28%、キシダ化学(株)製)容器上層のアンモニアガスを任意の量採取し、30Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に移す。
(2)30Lテドラーバッグにエアー(大気)を加え、全体量を30Lにする。
(3)(2)で調整したガスを、気体検知管(3M、(株)ガステック製)を用いてガス濃度を測定する。
(4)(1)〜(3)を繰り返し行い、ガス濃度が500ppmまたは1000ppmになるようにアンモニアガスを調整する。
〔試料の調整〕
5Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に試料(5×5cm2)を封入する。
〔消臭試験〕
(1)先に調整した500ppm、または1000ppmのアンモニアガスを、3Lテドラーバッグ(近江オドエアーサービス(株)製)に移す。
(2)このアンモニアガス3Lを、試料を封入した5Lテドラーバッグに全量移す。
(3)1時間後、気体検知管(3La,3L)を用いて残留ガス濃度を測定する。ブランク材として、試料を封入していないアンモニアガス濃度も測定する。
[2]トルエン除去効果試験
特級アンモニア水(28%)をトルエン(関東化学(株)品)に代え、調整濃度を100ppmに変更した以外は、[1]アンモニア除去効果試験と同様にして除去効果試験を行った。その結果を表2に示す。
特級アンモニア水(28%)をトルエン(関東化学(株)品)に代え、調整濃度を100ppmに変更した以外は、[1]アンモニア除去効果試験と同様にして除去効果試験を行った。その結果を表2に示す。
表1に示されるように、実施例1〜6で得られたゼオライト付着コットン不織布は、比較例1の従来のバインダーを用いてゼオライトを固定する方法と比べて同等以上の優れたアンモニア除去性能を有しており、また実施例1のゼオライト付着コットン不織布は、比較例2との比較から、ゼオライトそのものと同等の消臭性能を有していることがわかる。
また、表2に示されるように、実施例7,8で得られたゼオライト付着コットン不織布は、比較例5の従来のバインダーを用いてゼオライトを固定する方法と比べ、ゼオライト付着量が少ないにもかかわらず、顕著に優れたトルエン除去性能を有していることが分かる。
また、表2に示されるように、実施例7,8で得られたゼオライト付着コットン不織布は、比較例5の従来のバインダーを用いてゼオライトを固定する方法と比べ、ゼオライト付着量が少ないにもかかわらず、顕著に優れたトルエン除去性能を有していることが分かる。
Claims (9)
- ゼオライトを分散させたイオン液体含有媒体からなる処理剤で、前記イオン液体に溶解し得る繊維構造体を処理し、当該繊維構造体表面に前記ゼオライトを固定化させることを特徴とするゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
- 前記処理剤中に前記繊維構造体を浸漬した後、前記イオン液体含有媒体および余剰のゼオライトを洗浄除去する請求項1記載のゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
- 前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、またはリン酸誘導体アニオンを有するものを含む請求項1または2記載のゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
- 前記繊維構造体が、セルロースを含む請求項1〜3のいずれか1項記載のゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
- 前記繊維構造体が、セルロース不織布である請求項4記載のゼオライト付着繊維構造体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法により得られたゼオライト付着繊維構造体。
- 請求項6記載のゼオライト付着繊維構造体からなる脱臭剤。
- イオン液体含有媒体を用いた表面処理によりゼオライトが繊維構造体の表面に固定化されているゼオライト付着繊維構造体。
- 前記繊維構造体が、セルロース不織布である請求項8記載のゼオライト付着繊維構造体。
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