JP2017155346A - 粒子状物質保持紙の製造方法 - Google Patents

粒子状物質保持紙の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017155346A
JP2017155346A JP2016036806A JP2016036806A JP2017155346A JP 2017155346 A JP2017155346 A JP 2017155346A JP 2016036806 A JP2016036806 A JP 2016036806A JP 2016036806 A JP2016036806 A JP 2016036806A JP 2017155346 A JP2017155346 A JP 2017155346A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
particulate matter
ionic liquid
cellulose
poor solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016036806A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6757931B2 (ja
Inventor
英明 市浦
Hideaki Ichiura
英明 市浦
友香 廣瀬
Yuka Hirose
友香 廣瀬
健二 谷口
Kenji Taniguchi
健二 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Kawano Paper Co Ltd
Kochi University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Kawano Paper Co Ltd
Kochi University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC, Kawano Paper Co Ltd, Kochi University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Priority to JP2016036806A priority Critical patent/JP6757931B2/ja
Publication of JP2017155346A publication Critical patent/JP2017155346A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6757931B2 publication Critical patent/JP6757931B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】イオン液体及び貧溶媒を用いて粒子状物質を紙にバインダーレスで定着させ、乾燥強度及び湿潤強度を向上させた粒子状物質保持紙の製造方法を提供する。【解決手段】粒子状物質を予め含有させた紙にイオン液体を含浸させ、または、粒子状物質を分散させたイオン液体に紙を浸漬する工程、もしくは、粒子状物質を分散させたイオン液体を紙に塗布する工程の何れかを行って、セルロースを部分的に溶解させる。この工程に続けて、紙をエタノール等の貧溶媒に浸漬してセルロースを析出させ、粒子状物質を定着させる。更に、この粒子状物質保持紙を水により洗浄してプレス乾燥等により乾燥させる。【選択図】図2

Description

本発明は、バインダーを用いずに粒子状物質を保持させると共に、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度を向上させた紙の製造方法に関するものである。
紙は、活性炭等の粒子状物質の担体として利活用されている。しかしながら、粒子状物質を保持させた紙は、繊維間結合の阻害により乾燥紙力強度が低下することが知られている。
粒子状物質を保持した紙を、何ら処理せずに水中で使用した場合、紙は水に対する抵抗性がないため、粒子状物質が水中に漏出する。粒子状物質の漏出を防止するためには、例えば、湿潤紙力増強剤及びバインダーを併用し、または、粒子状物質を保持した紙に疎水性の物質をコーティングする方法等が知られている。
ここで、湿潤紙力増強剤は、紙を水に浸漬した後の湿潤強度を維持するために使用されるもので、例えば、ポリアミド−ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド系樹脂等が知られている。これらの湿潤紙力増強剤の製造方法や性能は、例えば特許文献1〜3に開示されている。
一方、近年では、環境配慮の観点から、天然素材を用いて紙の湿潤紙力を増強させる方法が試みられている。例えば、特許文献4には、天然素材であるバルカナイズドファイバーの湿潤寸法安定性を向上させる方法が開示されており、絶縁材料や各種容器等への応用が期待されている。
また、紙に粒子状物質を保持させるバインダーとして熱可塑性樹脂を利用する技術が、例えば特許文献5に開示されている。
特開2014−55223号公報 特開2006−97218号公報 特開平10−245794号公報 特開2005−240253号公報 特開2009−174114号公報
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題がある。
まず、バルカナイズドファイバーにより湿潤紙力を増強させる方法では、バルカナイズドファイバーの製造時に腐食性を有する塩化亜鉛溶液を使用するため、製造工程で耐腐食性のある高価な設備を要することになり、コストが著しく増大する。
また、熱可塑性樹脂等からなるバインダーを用いて粒子状物質を保持させる方法や、紙に疎水性物質をコーティングして粒子状物質の漏出を防ぐ方法では、例えば活性炭等の粒子状物質が持つ汚染物質吸着機能が、バインダーまたは疎水性物質によって阻害され、低下する等の問題があった。
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、粒子状物質をバインダーレスにて紙に定着させ、粒子状物質本来の機能を発揮させると共に、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度を向上させた粒子状物質含有紙の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、粒子状物質を予め含有する紙にイオン液体を含浸させ、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
また、請求項2に係る発明は、粒子状物質を分散させたイオン液体に紙を浸漬し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
更に、請求項3に係る発明は、粒子状物質を分散させたイオン液体を紙に塗布し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、を有するものである。
なお、本発明は、請求項4に記載するように、前記貧溶媒浸漬工程を経た紙を乾燥させる乾燥工程を更に有していても良い。
この場合、乾燥工程としては、請求項5に記載するように、温度が100〜120[℃]、加圧圧力が1.1〜2.0[Mpa]、及び、乾燥時間が1〜5分間の条件にて行うプレス乾燥工程を含むことが望ましい。
また、請求項6に記載するように、前記部分溶解工程では、イオン液体を含浸させた紙を、5[sec]〜48[hour]の間で選択された時間により加熱しても良い。
請求項7に記載するように、紙のセルロースは、木材パルプを含む植物繊維であることが望ましく、請求項8に記載するように、前記貧溶媒は、セルロースの貧溶媒であることが望ましい。
本発明によれば、粒子状物質をバインダーレスにて紙に定着させ、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度に優れた粒子状物質保持紙を製造することができる。また、粒子状物質が有する機能をバインダーによって阻害するおそれがないので、粒子状物質保持紙の機能性を高めることができる。
更に、天然素材であるセルロースを主成分として粒子状物質保持紙が構成されるため、環境に配慮した製造方法を実現することができ、製造設備も比較的安価である。
加えて、イオン液体も従来の有機溶媒と比較して環境への負荷が少ないことから、環境保護に資することができる。
実施例及び比較例のほぐれやすさ試験結果を示す図面代用写真である。 実施例6における粒子状物質の定着状態を示す図面代用写真であり、図2(a)は表面写真、図2(b)は顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の第1〜第3実施形態に係る粒子状物質含有紙の製造方法は、(1)部分溶解工程、(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程の順に紙を製造するものである。ここで、各実施形態では、(1)部分溶解工程の内容がそれぞれ異なり、(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程は何れも共通している。
始めに、第1実施形態に係る製造方法について、各工程を説明する。
(1)部分溶解工程
この部分溶解工程では、粒子状物質を予め含有させた紙にイオン液体を含浸させ、紙のセルロースを部分的に溶解させる。なお、紙にイオン液体を含浸させる方法としては、紙をイオン液体に浸漬する、紙にイオン液体をスプレー等により噴射する、紙にイオン液体を転写ロール等により転写する、等の方法があるが、ここでは、紙をイオン液体に浸漬する方法を採った。
本実施形態が適用される紙は、木材パルプやリンターパルプを用いて抄紙したものであり、セルロースの種類は特に限定されず、例えば、木材パルプ等の植物繊維、または、植物繊維にセラミック繊維等の無機繊維を混合させたものを使用することができる。
この紙に予め含有させる粒子状物質としては、ゼオライト、活性炭、酸化チタン等が挙げられる。なお、粒子状物質を調製する際には、歩留まり向上剤等を使用することが望ましい。
粒子状物質を含有させた紙に含浸させるイオン液体の成分は、特に限定されないが、後述する「貧溶媒浸漬工程」における貧溶媒として水やエタノールを使用する場合を考慮すると、イオン液体は、水溶性またはエタノール溶解性であることが望ましい。
これらの条件を満たすイオン液体としては、例えば、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−アリル−3−アルキルイミダゾリウム塩、1−アルキル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−アルキルピリジウム塩、メチル−N−ブチルピリジニウム塩等が挙げられる。
これらのイオン液体の代表的なものとしては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、N−エチルピリジウムクロライド、3−メチル−N−ブチルピリジニウムクロライド等が挙げられる。
本実施形態におけるイオン液体としては、特に、低融点で水溶性、エタノール溶解性を共に有する1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いることが好ましい。
部分溶解工程は、常温下または加熱環境下で行うことができる。一例として、イオン液体に1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いた場合には、加熱環境下で行うことが好ましい。この場合、粒子状物質を含有させた紙を、好ましくは80〜100[℃]の温度を有するイオン液体に浸漬して紙全体にイオン液体を含浸させ、その後に、加熱したガラス板等の加熱体に紙を挟んで加熱する。この加熱体はイオン液体の不透過材である。加熱体による紙の加熱温度は、好ましくは80〜100[℃]の範囲である。
イオン液体の温度及び加熱体による加熱温度が80[℃]を下回るとセルロースの溶解が進まず、100[℃]を上回るとエネルギーコストが嵩むため、好ましくない。
また、加熱体による紙の加熱時間は、5[sec]以上であることが望ましい。セルロースは、加熱時間が長くなるほど溶解が進行するものであり、5[sec]未満でセルロースを溶解させることは難しい。本実施形態では、5[sec]〜48[hour]の間で加熱時間を選択可能としているが、エネルギーコストを考慮すると、好ましくは60[sec]以内、より好ましくは30[sec]以内である。
この部分溶解工程によれば、粒子状物質を保持し、かつ、イオン液体が含浸された紙を所定の条件のもとで常温下におき、または加熱することにより、セルロースの一部が部分的に溶解する。
(2)貧溶媒浸漬工程
上述した(1)の部分溶解工程に続き、紙を貧溶媒に浸漬し、部分溶解工程により生じたセルロース溶液からセルロースを紙の表面上または紙中に析出させ、粒子状物質を定着させる。
貧溶媒は、例えば、水及びメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類であり、更には、これらの混合溶媒を使用することができる。
貧溶媒は、使用後にイオン液体との混合溶媒となる。従って、イオン液体及び貧溶媒の再利用を考慮した場合、減圧蒸留の可能性、再利用の容易さ及びコスト等の観点から、貧溶媒にはエタノールを使用することが最も望ましい。
(3)乾燥工程
この乾燥工程は、(2)の貧溶媒浸漬工程を経た紙を乾燥させる工程であり、例えば、水を用いて紙を洗浄することにより過剰のイオン液体を除去し、その後に紙を乾燥させる。
乾燥手段としては、プレス乾燥を用いることができる。プレス乾燥は、例えば、温度が100〜120[℃]、より好ましくは105[℃]、加圧圧力が1.1[MPa]、乾燥時間が1〜5分間の条件で行うことが望ましく、これによって紙が保有する水分を簡便に除去することができる。
なお、乾燥手段はプレス乾燥に限定されず、例えば熱風を吹き付ける送風乾燥や、これらの乾燥装置を用いない自然乾燥を行っても良い。
上述した製造方法によれば、(1)の部分溶解工程でイオン液体により紙のセルロースが部分的に溶解し、その後の(2)の貧溶媒浸漬工程で析出したセルロース内に粒子状物質が取り込まれ、更に(3)の乾燥工程により、粒子状物質を確実に紙に定着させることができる。このため、いわゆるバインダーレスにより粒子状物質保持紙を製造することができる。
また、(1)の部分溶解工程においてイオン液体により部分的に溶解したセルロースがフィルム化する結果、セルロースフィルムの繊維結合維持機能により、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度を高めることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る製造方法について説明する。
この第2実施形態では、(1)の部分溶解工程において、粒子状物質が分散しているイオン液体に紙を浸漬することにより、紙のセルロースを部分的に溶解させる。
この部分溶解工程で用いる紙は、第1実施形態とは異なり、粒子状物質が保持されていない紙である。紙のセルロースの種類は、第1実施形態と同様である。
粒子状物質が保持されていない紙を、ゼオライト、活性炭、酸化チタン等の粒子状物質を分散させたイオン液体に浸漬することにより、イオン液体が紙全体に含浸してセルロースを部分的に溶解し、溶解したセルロースに粒子状物質が定着する。イオン液体には、第1実施形態と同様のものを用いれば良い。
なお、この第2実施形態では、粒子状物質を分散させたイオン液体を加熱しておき、そのイオン液体に紙を浸漬することができる。この場合のイオン液体として、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いた場合の温度や紙の浸漬時間(加熱時間)は、第1実施形態に例として挙げた紙の加熱温度、加熱時間とそれぞれ同様で良い。
上記の部分溶解工程の後に、前述の(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程を順に実行することにより、粒子状物質保持紙を製造することができる。
この第2実施形態によれば、(1)の部分溶解工程により、紙に対するイオン液体の含浸と粒子状物質の保持とを同時進行的に実現することができる。
続いて、本発明の第3実施形態に係る製造方法について説明する。
この第3実施形態では、(1)の部分溶解工程において、粒子状物質が分散しているイオン液体を紙に塗布することにより、紙のセルロースを部分的に溶解させる。
本実施形態と第2実施形態とは、粒子状物質が分散しているイオン液体を紙に含浸させる具体的な方法が相違するだけである。本実施形態においてイオン液体を塗布する方法としては、紙にイオン液体をスプレー等により噴射する、紙にイオン液体を転写ロール等により転写する等の方法がある。
イオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを用いた場合における、イオン液体を塗布した紙を加熱体に挟んで加熱する際の加熱温度、加熱時間は、第1実施形態に例として挙げた条件と同様にすることができる。
本実施形態においても、(1)の部分溶解工程の後に、(2)貧溶媒浸漬工程、(3)乾燥工程を順に実行して粒子状物質保持紙を製造可能であり、部分溶解工程により、紙に対するイオン液体の含浸と粒子状物質の保持とを同時進行的に実現することができる。
次に、本発明の実施例について、以下に説明する。
実施例1〜5は、第1実施形態の製造方法によるものであり、部分溶解工程における調製後の活性炭含有シートの加熱時間がそれぞれ異なる例である。なお、いわゆる当業者の技術常識に照らして、本発明が以下の各実施例における実験条件に限定されないのは言うまでもない。
[実施例1]
まず、実施例1について説明する。
0.15[%]の針葉樹パルプサスペンション807[ml]をとり、600[rpm]で1分間撹拌を行った。そこに1[%]活性炭懸濁液(対パルプ固形分6[%])を加え、1分間撹拌した。0.1[%]ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(対パルプ固形分0.1[%])と0.1[%]アニオン性ポリアクリルアミド(対パルプ固形分0.5[%])を入れ、それぞれ1分間撹拌した。手漉き抄紙器を用いて抄紙し、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、20[min])を行って、坪量60[g/m]の活性炭含有シートを作成した。調製した活性炭含有シートを70[mm]×60[mm]に切り取り、オーブンで乾燥させた。
次に、80[℃]に加熱したシャーレにイオン液体である1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド(BMIMCl)を1[g]入れた。このイオン液体に活性炭含有シートを入れ、片面にBMIMClを含浸させた。これをPTFEろ紙に挟み、80[℃]に熱したガラス板に挟んで5秒間加熱した。その後、試料を取り出して、貧溶媒として50[ml]のエタノールで1分間、50[ml]の蒸留水を取り替えながら30分間、100[rpm]で振とうさせながら、洗浄した。乾燥には、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、5分間)を用いた。こうして得られたシートを、後述するほぐれやすさ試験、乾燥紙力試験及び湿潤紙力試験に供した。
[実施例2]
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、5分間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、1時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例4]
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、16時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例5]
調製した活性炭含有シートをBMIMClに浸漬した後、80[℃]に熱したガラス板に挟み、48時間加熱する以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
サンプルとなる紙は、活性炭粉末を添加せずに針葉樹パルプのみを用いて、実施例1と同様に調製した。その紙を貧溶媒としてのエタノール50[ml]に1分間浸漬後、過剰のエタノールをろ紙(φ90[mm]、NO.2、ADVANTEC製)を用いて除去した。そして、蒸留水50[ml]に1分間浸漬した後、過剰の蒸留水をろ紙(φ90[mm]、NO.2、ADVANTEC製)を用いて除去した。その後、110[℃]、1.1[MPa]の条件で5分間、プレス乾燥を行ってサンプルを調製した。
なお、この比較例1では、活性炭粉末の添加及びサンプルへのイオン液体の含浸処理を行っていない。
[比較例2]
サンプルとなる紙として、実施例1と同様に調製した活性炭含有シートを用いた。その紙を50[ml]のエタノールで1分間、50[ml]の蒸留水を取り替えながら30分間、100[rpm]で振とうさせながら、洗浄した。乾燥にはプレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、5分間)を用いた。
次に、本発明の実施例1〜5及び比較例1,2の評価について説明する。
各実施例及び比較例により調製したサンプル(ろ紙)に対する機能評価として、以下のように、(a)ほぐれやすさ試験、(b)乾燥紙力試験、及び、(c)湿潤紙力試験を行い、更に、湿潤引張強さ残留率を算出した。
(a)ほぐれやすさ試験
調製したサンプルを、100[ml]の蒸留水が入ったサンプル管瓶(110[ml])に入れ、瓶を手で持って往復で50回、一定速度で振とうさせた後、サンプルの状態を観察した。
(b)乾燥紙力試験
50[mm]×20[mm]のサンプルを用いて、引張試験を行った。引張試験は、A&D社製のSTB−1225Sを用いて、試験速度10[mm/min]、チャンク間距離25[mm]にて行い、以下の数式1により乾燥紙力強度を算出した。
[数式1]
乾燥紙力強度[kN/m]= 最大荷重[N]/ サンプル幅[mm]
(c)湿潤紙力試験
50[mm]×20[mm]のサンプルを、蒸留水に1時間浸漬させた。浸漬後、サンプルを水中から取り出して吸水紙の上に置き、更に別の吸水紙を上に載せ、軽く押さえて余分な水分を除いた。この後、直ちに引張試験を行った。引張試験条件は、乾燥紙力試験と同様であり、以下の数式2により湿潤紙力強度を算出した。
[数式2]
湿潤紙力強度[kN/m]=最大荷重[N]/ サンプル幅[mm]
(d)湿潤引張強さ残留率の算出
更に、湿潤紙力強度と乾燥紙力強度との比である湿潤引張強さ残留率を、以下の数式3により算出した。
[数式3]
湿潤引張強さ残留率[%]=湿潤紙力強度[kN/m]/ 乾燥紙力強度[kN/m]×100
続いて、評価結果について説明する。
(a)ほぐれやすさ試験の評価結果について
図1は、実施例1〜5,比較例1,2のほぐれやすさ試験の結果を示すものである。
図1の比較例1,2では、50回振とう後にシート形状を維持することが困難であった。また、比較例1,2では、粒子状物質保持機能の確認ができなかった。一方、実施例1〜5では、加熱時間の長短に関わらずサンプルの破れが確認されず、また、活性炭の脱離も確認されなかった。このことから、実施例1〜5によれば、粒子状物質保持機能を付与することが可能であった。
(b)乾燥紙力試験、(c)湿潤紙力試験、及び、(d)湿潤引張強さ残留率の評価結果について
表1は、各サンプルの乾燥紙力強度、湿潤紙力強度、湿潤引張強さ残留率をそれぞれ示している。
表1によれば、実施例1〜5の乾燥紙力強度は、加熱時間が長くなるにつれて高くなった。これは、イオン液体によるセルロースの溶解量が、加熱時間が長くなるほど増加する傾向と同じであった。同様に、実施例1〜5の湿潤紙力強度は、加熱時間が長くなるにつれて高くなった。
更に、湿潤引張強さ残留率は、実施例1〜5では比較例1よりも大幅に高くなり、実施例1〜4では比較例2よりも高くなった。
上記のように、イオン液体により紙が部分的に溶解すると、湿潤紙力強度及び乾燥紙力強度が増大する。これは、イオン液体により紙のセルロースが一部溶解してセルロースがフィルム化した結果、このセルロースフィルムが有する繊維結合維持機能により、乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度が増大したためと考えられる。
次に、実施例1〜5及び比較例1,2について、サンプルに保持された粉末状物質である活性炭の機能が維持されているか否かを確認するために、以下に述べる染料吸着能試験を行った。
[染料吸着能試験]
サンプル管に実施例1〜5及び比較例1,2のシートとメチレンブルー(MB)水溶液100[ml]を入れ、150[rpm]で回転させてサンプルにMBを浸透させることにより、染料吸着能実験を行った。染料吸着能は、紫外−可視分光光度計で668[nm]の吸光度を用いて、48時間後のMBの吸着率を測定することにより、評価した。
表2は、上記した実施例1〜5、比較例1,2の染料吸着能を示す。表2におけるMBの吸着率は、バインダーレスで紙に定着させた活性炭による物質吸着機能が維持されている程度と考えることができる。
表2において、サンプルに活性炭粉末の添加及びイオン液体の含浸処理を行っていない比較例1では、MBの吸着はほとんどなかった。これに対し、実施例1〜5と、活性炭含有シートである比較例2とでは、顕著なMB吸着能が確認された。
つまり、イオン液体を用いて紙のセルロースを一部溶解させ、更に貧溶媒によりセルロースを析出させて紙に定着させた活性炭の物質吸着機能は、十分に維持されていることが確認された。
続いて、第2実施形態による製造方法を用いた実施例6について説明する。
[実施例6]
0.25[%]の針葉樹パルプサスペンション807[ml]をとり、手漉き抄紙器を用いて抄紙し、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、20分間)を行い、坪量100[g/m]の手漉きシートを作成した。
シャーレに0.1[g]のタルクと3.0[g]のBMIMClとを混合して入れ、100[℃]に加熱した。調製した手漉きシートを70[mm]×60[mm]に切り取ってシャーレに入れ、上記のタルク含有BMIMClに20秒間浸漬した。その後にシートを取り出して熱水(90[℃])で洗浄し、プレス乾燥(110[℃]、1.1[MPa]、5分間)を行って乾燥させた。
調製されたサンプルのタルク含有率は、8.9[%]であった。このサンプルの表面の写真を図2(a)に示し、表面の顕微鏡写真を図2(b)に示す。
図2(b)によれば、サンプル表面のタルク粒子が確認されており、タルクの紙への保持が確認された。
以上説明した本発明によれば、少なくとも部分溶解工程、貧溶媒浸漬工程を有することで、バインダーレスにて粒子状物質をセルロースに定着させて粒子状物質を紙に固定化することができると共に、セルロースのフィルム化により乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度を高めた粒子状物質保持紙を製造することができる。
本発明は、粒子状物質が有する機能を維持しつつ乾燥紙力強度及び湿潤紙力強度の高い紙の製造に適用可能であり、本発明により製造された粒子状物質保持紙は、水環境浄化材、機能成分含有ティッシュペーパー等、各種の用途、産業分野に利用することができる。

Claims (8)

  1. 粒子状物質を予め含有する紙にイオン液体を含浸させ、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
    前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
    を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  2. 粒子状物質を分散させたイオン液体に紙を浸漬し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
    前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
    を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  3. 粒子状物質を分散させたイオン液体を紙に塗布し、セルロースを部分的に溶解させる部分溶解工程と、
    前記部分溶解工程を経た紙を貧溶媒に浸漬し、析出したセルロースに粒子状物質を定着させて紙に粒子状物質を固着させる貧溶媒浸漬工程と、
    を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
    前記貧溶媒浸漬工程を経た紙を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  5. 請求項4に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
    前記乾燥工程は、温度が100〜120[℃]、加圧圧力が1.1〜2.0[Mpa]、及び、乾燥時間が1〜5分間の条件にて行うプレス乾燥工程を含むことを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
    前記部分溶解工程では、イオン液体を含浸させた紙を、5[sec]〜48[hour]の間で選択された時間により加熱することを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
    前記セルロースは、木材パルプを含む植物繊維であることを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の粒子状物質保持紙の製造方法において、
    前記貧溶媒は、セルロースの貧溶媒であることを特徴とする粒子状物質保持紙の製造方法。
JP2016036806A 2016-02-29 2016-02-29 粒子状物質保持紙の製造方法 Active JP6757931B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036806A JP6757931B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粒子状物質保持紙の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036806A JP6757931B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粒子状物質保持紙の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017155346A true JP2017155346A (ja) 2017-09-07
JP6757931B2 JP6757931B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=59808236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016036806A Active JP6757931B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粒子状物質保持紙の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6757931B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112137946A (zh) * 2018-02-10 2020-12-29 王忠良 一种含有构皮浆的面膜纸及其面膜制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007303033A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Nisshinbo Ind Inc 繊維構造体の処理方法
JP2008545543A (ja) * 2005-05-31 2008-12-18 ザ ユニバーシティ オブ アラバマ イオン液体を使用して高配向のナノ粒子を含有するシートおよび膜を調製する方法、ならびにこの方法によって製造されたシートおよび膜
JP2010095820A (ja) * 2008-10-17 2010-04-30 Nisshinbo Holdings Inc ゼオライト付着繊維構造体の製造方法
JP2017514028A (ja) * 2014-04-16 2017-06-01 プロイオニック ゲーエムベーハー アラミド/アラミド繊維を融着するための方法
JP2017514032A (ja) * 2014-04-28 2017-06-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー フェノール樹脂及びイオン性補強材を含む不織布繊維構造体及び方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008545543A (ja) * 2005-05-31 2008-12-18 ザ ユニバーシティ オブ アラバマ イオン液体を使用して高配向のナノ粒子を含有するシートおよび膜を調製する方法、ならびにこの方法によって製造されたシートおよび膜
JP2007303033A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Nisshinbo Ind Inc 繊維構造体の処理方法
JP2010095820A (ja) * 2008-10-17 2010-04-30 Nisshinbo Holdings Inc ゼオライト付着繊維構造体の製造方法
JP2017514028A (ja) * 2014-04-16 2017-06-01 プロイオニック ゲーエムベーハー アラミド/アラミド繊維を融着するための方法
JP2017514032A (ja) * 2014-04-28 2017-06-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー フェノール樹脂及びイオン性補強材を含む不織布繊維構造体及び方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JIA, NING: "Green microwave-assisted synthesis of cellulose/calcium silicate nanocomposites in ionic liquids and", CARBOHYDRATE RESEARCH, vol. 346, no. 18, JPN6020006850, 2011, pages 29702974, ISSN: 0004220288 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112137946A (zh) * 2018-02-10 2020-12-29 王忠良 一种含有构皮浆的面膜纸及其面膜制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6757931B2 (ja) 2020-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zambare et al. Ultrafast dye removal using ionic liquid–graphene oxide sponge
Bonnett et al. PCN-222 metal–organic framework nanoparticles with tunable pore size for nanocomposite reverse osmosis membranes
Zhang et al. Construction of aerogels based on nanocrystalline cellulose and chitosan for high efficient oil/water separation and water disinfection
Melone et al. TEMPO‐oxidized cellulose cross‐linked with branched polyethyleneimine: nanostructured adsorbent sponges for water remediation
CN103534409B (zh) 处理纤维素的方法和根据所述方法处理的纤维素
JP5319806B2 (ja) ガスバリア用材料の製造方法
CA2923675C (en) Water, grease and heat resistant bio-based products and method of making same
Zhang et al. Encapsulating amidoximated nanofibrous aerogels within wood cell tracheids for efficient cascading adsorption of uranium ions
JP7186350B2 (ja) 金属ナノ粒子を含む基材、関連する物品、およびそれらを作製する連続工程
Samyn Polydopamine and cellulose: two biomaterials with excellent compatibility and applicability
KR102193503B1 (ko) 지방산 클로라이드로의 셀룰로스계 섬유상 기판 웹의 연속적 코팅 방법
CN109312539A (zh) 改性纳米结晶纤维素材料以及由其制成的制剂和产品
Henschen et al. Contact-active antibacterial aerogels from cellulose nanofibrils
JP2014535011A5 (ja)
CN111742018A (zh) 含有纤维状纤维素的覆膜的制造方法、树脂组合物、覆膜及积层体
CN107252637A (zh) 一种基于支撑电解质优化的层层自组装复合纳滤膜的制备方法
Li et al. Surface modification of cellulose fibers with layer-by-layer self-assembly of lignosulfonate and polyelectrolyte: effects on fibers wetting properties and paper strength
US20120006751A1 (en) Enhanced Clarification Media
Zhu et al. “Sandwich-like” electrospinning fiber-based molecularly imprinted membrane constructed with electrospun polyethyleneimine as the multifunction interlayer for the selective separation of shikimic acid
CN107754619A (zh) 一种天然聚电解质纳滤膜的制备方法
CN103890267B (zh) 包含官能化水溶性聚合物层的纤维基载体,及其生产方法和用途
Li et al. Novel nanocellulose/polymer composite aerogel as solid‐state fluorescence probe by Pickering emulsion route
JP2017155346A (ja) 粒子状物質保持紙の製造方法
JP2010095820A (ja) ゼオライト付着繊維構造体の製造方法
CN114641597A (zh) 交联的mfc

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200821

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6757931

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250