JP2008239985A - ナイロン6製品のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品から、簡便な操作で、工業的に有利な方法でナイロン6製品をリサイクルする方法を提供することである。さらに、回収されたナイロン6製品を解重合して高品位のカプロラクタムを回収するナイロン6製品のリサイクル方法を提供することにある。
【解決手段】樹脂加工による樹脂成分や付属の樹脂成分から選択される一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱することで、上記不純物が分離し除去されたナイロン6製品を回収する方法。さらに、回収されたナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する方法。ここで原料の上記ナイロン6製品が染色されていても、同時に脱色することができる。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂加工による樹脂成分や付属の樹脂成分から選択される一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱することで、上記不純物が分離し除去されたナイロン6製品を回収する方法。さらに、回収されたナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する方法。ここで原料の上記ナイロン6製品が染色されていても、同時に脱色することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品から、これら樹脂成分の不純物を分離し除去してナイロン6製品をリサイクルする方法に関するものであり、さらに不純物の分離し除去されたナイロン6製品を解重合して高品位のカプロラクタムを回収するナイロン6製品のリサイクル方法に関するものである。
特に本発明は、雨衣や防寒着、エアバッグ等の樹脂加工したナイロン6繊維から樹脂を分離し除去する方法、ポリエステル糸で縫製されたナイロン6布帛からポリエステルを分離し除去する方法、あるいは防寒着、ジャケット、布団等の部材の一部として使用されるアクリル系樹脂を含むナイロン6繊維からこれらの樹脂を分離し除去する方法、また部材の一部として使用されるポリアセタール系樹脂をナイロン6衣料から分離し除去する方法である。さらに樹脂加工や付属の樹脂部材の不純物が分離し除去されたナイロン6繊維を解重合してカプロラクタムを回収するナイロン6製品のリサイクル方法に関するものである。
ナイロン6に代表されるナイロンは衣料や工業材料として広く使用されており、リサイクルが容易な素材として知られている。ナイロン6をリサイクルする方法としては、焼却して熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル法、溶融した後に再成型して再利用するマテリアルリサイクル法、および化学的に解重合してナイロンの原料にまで戻し、ナイロン製造等に再利用するケミカルリサイクル法がある。
これらのうち、ケミカルリサイクル法はナイロン6を原料のカプロラクタムにまで分解してから回収し、ナイロン6の原料として再利用できることから、産業上有用なリサイクル方法といえる。しかし、近年ではナイロン6の繊維の表面をポリウレタン系樹脂で加工して透湿防水性を付与した布帛が雨衣や防寒着、スキーウェアーとして使用される等、種々のポリウレタン系樹脂で表面加工されたナイロン繊維が種々の用途で使用されるようになり、その使用量は年々増加傾向にある。また、ナイロン6繊維の表面にシリコーン系樹脂をコーティングして気密性を付与した布帛はエアバック等に使用され、その使用量は年々増加している。これら樹脂加工したナイロン6繊維の多くは使用後に廃棄されて、殆どは焼却や地中に埋める等の方法で処理されている。また、防寒着、ジャケット、布団等には保温性を付与するために、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を素材とする中綿が部材の一部として付属している。また、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂の縫い糸は、優れた性質からナイロン繊維の縫製にも幅広く使用され、また、ナイロン6繊維だけでなくポリエステル系樹脂が部材の一部として含まれる衣類も一般的である。さらに衣料のボタンなどの副資材には、ポリアセタール等の樹脂素材も使用されるのが一般的である。これらも分別回収が難しいために廃棄されることが多く、これら樹脂加工や付属の樹脂部材を不純物として含むナイロン6の廃棄物をリサイクルすることが環境対策として重要になってきた。
ナイロン6以外の成分を含むナイロン6製品には、表面を樹脂加工したり、セルロース系繊維やガラス繊維を含むもの等、種々の成分が含まれることから、ケミカルリサイクルにおいて得られる原料の回収率を低下させたり、純度を低下させる等、効率よくケミカルリサイクルでカプロラクタムを回収することは難しく、数多くの方法が提案されている。
ナイロン6繊維をケミカルリサイクルする方法として、例えば特許文献1には、りん酸触媒の存在下、布帛および衣料付属品の素材が実質的にナイロン6で統一されているナイロン6製衣料製品を解重合し、カプロラクタムを回収する方法が提案されている。また、特許文献2にはナイロン6とセルロース系繊維により構成される複合物を濃度65質量%以上、77質量%以下のりん酸水溶液中で30〜70℃に加熱し、溶解したナイロン6と不溶のセルロース系繊維とを分離し、ナイロン6を回収する方法が提案されている。特許文献3にはガラス繊維等の非溶融物を含有するナイロン6廃棄物に酸性物質を添加し、220℃から400℃で加熱処理して溶液粘度を低下させることにより、非溶融物を分離したのち、解重合して高収率でカプロラクタムを得る方法が提案されている。特許文献4にはナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を直接解重合して得たカプロラクタムを晶析する方法が提案されている。特許文献5には、ナイロン6を解重合し、アルキルフェノール性化合物でカプロラクタムを抽出して回収する方法が提案されている。また、特許文献6には、ケミカルリサイクルすることを目的として、ナイロン6が90質量%以上の防塵衣が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法はナイロン6繊維衣料製品のケミカルリサイクルではあるが、実質的にナイロン6単一成分の解重合でカプロラクタムを回収する方法である。また、特許文献2,3はナイロン6を主成分とし、別成分を含む複合物をケミカルリサイクルする方法であるが、複合される別成分のセルロース系繊維やガラス繊維等の非溶融物が酸性物質と反応しない化合物であることから、直接りん酸や酸性水溶液と加熱処理してナイロン6を溶解し、非溶融物を除去してから、ナイロン6を解重合してカプロラクタムを回収する方法である。また、特許文献4はナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を直接解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収カプロラクタムに不純物が多く含有されるために炭化水素、塩素系炭化水素、アルコール等の有機溶媒で再結晶精製が必要となり、煩雑であるだけでなく、カプロラクタム回収率も低下し廃棄物となる残渣量が増加する。特許文献5もナイロン6を含む混合物を直接解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収カプロラクタムに不純物が多く含有されるためにフェノール性化合物でカプロラクタムを抽出して精製する必要がある等、煩雑である。また、ポリエステル系樹脂が含有されているとナイロン6を解重合してカプロラクタムを回収する際に、カプロラクタムの品質が悪化する他、ポリエチレンテレフタレートから副生するテレフタル酸が昇華し、解重合設備の配管が閉塞する等の問題が発生するため、特許文献6には縫い糸もナイロン6に変更するなど、縫製製品の強度を保つ機能を多少後退させ、ナイロン6のリサイクルを優先する商品設計も提案されている。
これら文献に記載された技術をポリウレタン系樹脂等で樹脂加工したナイロン6繊維(例えば撥水、防水、透湿等の機能を付与するためポリウレタン系樹脂等を含浸、塗布したナイロン6繊維)のケミカルリサイクルに適用すると、種々の問題を起こす可能性があることが本発明者らの検討により判明した。例えばポリウレタン系樹脂やポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂は、酸性水溶液の加熱状態で化学的に不安定であるため、これら樹脂が付着、付属したままとなっているナイロン6繊維を解重合条件下で分解されると、回収されるカプロラクタムの純度を低下させると共に、解重合原料の粘度上昇や触媒失活の原因となりカプロラクタム回収率を低下させるといった問題を起こす可能性がある。また、ポリエステル系樹脂の代表であるポリエチレンテレフタレートが混入すると、解重合したときに副生するテレフタル酸が昇華して解重合設備の配管が閉塞する等、リサイクルプラントの運転操作に問題がある。
そのため上記文献の技術はいずれも実用的なケミカルリサイクルという観点では満足できるものではなかった。
特開平07−310204号公報
特開平09−241416号公報
特開2001−294571号公報
特開平08−048666号公報
特表平11−508913号公報
特開平07−331514号公報
そこで本発明は、樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分等の一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維などのナイロン6製品をケミカルリサイクルするに際し、簡単な操作で、樹脂成分の分解によるカプロラクタムの純度低下や回収率低下を抑制すると共に、設備トラブルを回避して高純度、高収率でカプロラクタムを回収することを課題とする。
本発明者は、課題を解決するために鋭意検討した結果、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維を、エタノールアミン洗浄液と加熱処理してナイロン6繊維を取り出し、ついで解重合してカプロラクタムを回収することにより、効率的にケミカルリサイクルができることを見出した。更に、本発明者らは繊維だけでなく、成形品などのナイロン6製品に対しても本発明を同様に適用可能であることを見いだし本発明を完成した。
すなわち本発明は、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱して、ナイロン6製品から上記不純物を分離し、不純物の除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法である。
上記構成により、樹脂成分(典型的には付着した樹脂成分や付属の樹脂成分等)を不純物として含むナイロン6製品をエタノールアミン洗浄液中で加熱処理し、前記樹脂成分や分解生成物をエタノールアミン洗浄液相に分離させることにより、ナイロン6製品から前記樹脂成分を除去することが可能となり、実用的に再利用が可能である。
また、本発明は、ナイロン6が繊維、または繊維で構成される布帛であることを特徴とする上記ナイロン6のリサイクル方法である。
上記構成により、樹脂成分(典型的には樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分等)を不純物として含むナイロン6繊維をエタノールアミン洗浄液中で加熱処理し、前記樹脂成分や分解生成物をエタノールアミン洗浄液相に分離させることにより、ナイロン6繊維から前記樹脂成分を除去することが可能となり、実用的に再利用が可能である。
また、本発明は、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱して、ナイロン6製品から上記不純物を分離する工程(a工程)、前記エタノールアミン洗浄液中から上記不純物が除去されたナイロン6製品を取り出す工程(b工程)、b工程で得られるナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する工程(c工程)を含むことを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法である。
上記構成により、樹脂成分(典型的には樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分等)を不純物として含むナイロン6製品をエタノールアミン洗浄液中で加熱処理し、前記樹脂成分やその分解生成物をナイロン6製品から分離し、前記エタノールアミン洗浄液中のナイロン6製品を取り出し、解重合に供することにより不純物量の少ない、高純度のカプロラクタムが回収できる。
本発明によれば、樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維などのナイロン6製品から、樹脂成分を簡便な方法で分離することができる。ここで、これらのナイロン6製品が染色されている場合には、染料も同時にエタノールアミン洗浄液に分離させることができる。また、これらの不純物が分離し除去されたナイロン6製品を解重合することで、残渣量を大幅に低減させ、高収率でカプロラクタムを回収することができる。このようにして不純物量の少ない、高純度のカプロラクタムが回収できることから、煩雑な精製を行わずに工業的に有利に高純度の、例えばナイロン6の重合原料として必要な品質を有するカプロラクタムを得ることができる。
本発明は、樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維、またはナイロン6繊維を主成分とし、かつ前記不純物を含む布帛(以下これらを総称して「ナイロン6繊維」という場合もある)などのナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から上記不純物やその分解生成物を分離し、前記エタノールアミン洗浄液中のナイロン6比率の高められたナイロン6製品を取り出す方法であり、さらにその不純物が除去されたナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収することを特徴とする、樹脂成分(典型的には樹脂加工により付着した樹脂成分や付属の樹脂成分等)を不純物として含むナイロン6製品のケミカルリサイクル方法である。上記のようにエタノールアミン洗浄液中で加熱することによりナイロン6製品に含まれる前記樹脂成分やその分解生成物成分をエタノールアミン洗浄液に分離させることができる。
<樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品>
本発明でいうナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分としては、後述するエタノールアミン洗浄液により分離されれば特に制限はなく、樹脂加工により付着した樹脂成分や、ナイロン6製品に付属の樹脂成分である。上記の樹脂成分は単一の成分として含まれていても良いし、複数の成分が組み合わせて含まれていても良い。
本発明でいうナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分としては、後述するエタノールアミン洗浄液により分離されれば特に制限はなく、樹脂加工により付着した樹脂成分や、ナイロン6製品に付属の樹脂成分である。上記の樹脂成分は単一の成分として含まれていても良いし、複数の成分が組み合わせて含まれていても良い。
本発明の効果はナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分をエタノールアミン洗浄液と十分接触させることができれば、ナイロン6製品の形状・形態は特に限定されることは無い。ナイロン6製品は、ナイロン6を含む、好ましくはそれを50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含めば特に制限は無く、ナイロン6製品、ナイロン6製品製造過程で発生する産業廃棄物、あるいはナイロン6製品使用済み廃棄物などを含む。たとえば、ナイロン6を含む工業用、衣料用、屋内外用の構造物、自動車部品、あるいはこれらの屑などを挙げることができる。中でもナイロン6繊維は、含まれる樹脂成分と洗浄に用いるエタノールアミン洗浄液を十分に接触させることができ、好適に用いることができる。また、自動車部品等の成形品に本発明を適用する場合、エタノールアミン洗浄液が接触可能なナイロン6表面に、コーティング等の加工により接着・付着された不純物は、エタノールアミン洗浄液を接触させることにより分離し除去できる。さらにナイロンフィルム上にラミネート、コーティング等により積層された不純物等に対しても適用することができる。これらのナイロン6は単独で解重合の原料としても良いし、これらを組み合わせて原料としても良い。
<樹脂加工>
樹脂加工の加工方法としては実質的にナイロン6製品に付着・浸透・一体化されていれば、いかなる加工方法により加工された樹脂でも良い。使用される樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。また、加工方法としては、コーティング、フィルム加工、ラミネート加工等が挙げられ、溶融樹脂もしくは樹脂溶液等を浸透させ、繊維などのナイロン6製品表面に接着、付着もしくは浸透させたものやシート、フィルムを積層したものなどを含む。このような加工は一般的に、撥水、防水、透湿等の機能付与や気密性を向上させるために、種々の樹脂を用いて布帛などのナイロン6製品に行われるものである。なお、ナイロン6製品は布帛、衣料、産業資材、衣料以外の布帛、工業用構造物、自動車部品などの形態であってよい。
樹脂加工の加工方法としては実質的にナイロン6製品に付着・浸透・一体化されていれば、いかなる加工方法により加工された樹脂でも良い。使用される樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。また、加工方法としては、コーティング、フィルム加工、ラミネート加工等が挙げられ、溶融樹脂もしくは樹脂溶液等を浸透させ、繊維などのナイロン6製品表面に接着、付着もしくは浸透させたものやシート、フィルムを積層したものなどを含む。このような加工は一般的に、撥水、防水、透湿等の機能付与や気密性を向上させるために、種々の樹脂を用いて布帛などのナイロン6製品に行われるものである。なお、ナイロン6製品は布帛、衣料、産業資材、衣料以外の布帛、工業用構造物、自動車部品などの形態であってよい。
また、本発明で用いる樹脂加工したナイロン6繊維製品としては、ポリウレタン系樹脂あるいはシリコーン系樹脂等の樹脂加工により透湿防水性、気密性向上等の機能を付与された繊維を使用した繊維製品、例えば雨衣や防寒着、スキーウェアー、水着、ユニホーム、インナーウエアー、ストッキング、ニットウエアーなどの衣料品、カーテン、カーペットなどの屋内用品、漁網、船舶用ロープなどの工業用品、ロープ、網、タイヤコード、ベルト、シートなどの屋外用品、エアバッグなどの機能資材、また樹脂加工したナイロン6繊維屑としては、製造過程で生じるポリマー糸屑、布帛の破砕屑、不良品屑、使用済み製品などを挙げることができる。
上記の樹脂加工したナイロン6繊維製品及び繊維屑などのナイロン6製品は上記形態のものを単独で使用しても良いし、これらを組み合わせて原料としても良い。
また、これらのナイロン6製品は染色されていても良い。
<付属の樹脂成分>
また、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に付属の樹脂成分としては、付属の形態に特に制限は無く、特に、リサイクル処理の前にあらかじめ解体や切り取りの作業により、取り除くことが困難な部材である。付属の形態としては、布帛の内袋に詰め込まれたり、布帛に縫い着ける等いかなる形態でも良い。使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で付属していても良いし、これらが組み合わされていても良い。本発明で用いる付属の樹脂成分を含むナイロン6製品としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の中綿を有する防寒着、ジャケット、布団などを挙げることができる。また、ポリエステル系樹脂を付属の不純物として含むナイロン6製品としては、ナイロン6繊維で構成される布帛をポリエステル糸で縫製された雨衣や防寒着、スキーウェアー、ジャケット、水着、ユニホーム、インナーウエアー、ストッキング、ニットウエアー、などの衣料品、カーテン、カーペット、布団などの屋内用品、漁網、船舶用ロープなどの工業用品、ロープ、網、タイヤコード、ベルト、シートなどの屋外用品、エアバッグなどの機能資材などを挙げることができる。また、ポリエステル繊維で装飾された各種衣料、その他の布帛であってもよい。更に、ポリアセタールの部材としては各種衣料に使用されるボタン、ファスナー等が挙げられる。また、これらのナイロン6製品は染色されていても良い。
また、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に付属の樹脂成分としては、付属の形態に特に制限は無く、特に、リサイクル処理の前にあらかじめ解体や切り取りの作業により、取り除くことが困難な部材である。付属の形態としては、布帛の内袋に詰め込まれたり、布帛に縫い着ける等いかなる形態でも良い。使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で付属していても良いし、これらが組み合わされていても良い。本発明で用いる付属の樹脂成分を含むナイロン6製品としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の中綿を有する防寒着、ジャケット、布団などを挙げることができる。また、ポリエステル系樹脂を付属の不純物として含むナイロン6製品としては、ナイロン6繊維で構成される布帛をポリエステル糸で縫製された雨衣や防寒着、スキーウェアー、ジャケット、水着、ユニホーム、インナーウエアー、ストッキング、ニットウエアー、などの衣料品、カーテン、カーペット、布団などの屋内用品、漁網、船舶用ロープなどの工業用品、ロープ、網、タイヤコード、ベルト、シートなどの屋外用品、エアバッグなどの機能資材などを挙げることができる。また、ポリエステル繊維で装飾された各種衣料、その他の布帛であってもよい。更に、ポリアセタールの部材としては各種衣料に使用されるボタン、ファスナー等が挙げられる。また、これらのナイロン6製品は染色されていても良い。
<ナイロン6製品に不純物として含まれるポリウレタン系樹脂>
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリウレタン系樹脂としては、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はない。ポリウレタン系樹脂成分としては、ウレタン結合を有する樹脂であれば特に制限はなく、ポリイソシアネート化合物とポリエーテル、またはポリエステルなどのポリオールと助剤および触媒等を用いて製造されるものが挙げられる。
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリウレタン系樹脂としては、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はない。ポリウレタン系樹脂成分としては、ウレタン結合を有する樹脂であれば特に制限はなく、ポリイソシアネート化合物とポリエーテル、またはポリエステルなどのポリオールと助剤および触媒等を用いて製造されるものが挙げられる。
ポリウレタン系樹脂加工されたナイロン6製品としては、例えば「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製)をコーティングしたナイロン6繊維製品が挙げられる。
<ナイロン6製品に不純物として含まれるポリエステル系樹脂>
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリエステル系樹脂としては、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。このような樹脂成分が使用される部材としては、ボタンや、ファスナー、面ファスナー、芯地、及び、防寒着やジャケット、布団に使用される中綿などが挙げられる。
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリエステル系樹脂としては、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。このような樹脂成分が使用される部材としては、ボタンや、ファスナー、面ファスナー、芯地、及び、防寒着やジャケット、布団に使用される中綿などが挙げられる。
<ナイロン6製品に不純物として含まれるポリアセタール系樹脂>
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリアセタールとしては、オキシメチレン構造を有し、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はなく、ホモポリマーでもコポリマーでも良い。以下、ポリアセタールをPOMと略すことがある。
本発明において、ナイロン6繊維などのナイロン6製品に不純物として含まれるポリアセタールとしては、オキシメチレン構造を有し、エタノールアミン洗浄液によりナイロン6製品から分離されれば特に制限はなく、ホモポリマーでもコポリマーでも良い。以下、ポリアセタールをPOMと略すことがある。
<不純物分離工程前の前処理>
本工程に供するナイロン6繊維はいかなる形態でも使用することはできるが、回収衣料をリサイクルする場合には、事前に金具やナイロン6と異なる種類の樹脂からなるボタンやファスナー(チャック)、その他の付属部品、セルロース繊維等の他素材を取り除いてあることが作業性向上の観点から好ましい。
本工程に供するナイロン6繊維はいかなる形態でも使用することはできるが、回収衣料をリサイクルする場合には、事前に金具やナイロン6と異なる種類の樹脂からなるボタンやファスナー(チャック)、その他の付属部品、セルロース繊維等の他素材を取り除いてあることが作業性向上の観点から好ましい。
エタノールアミン洗浄液に投入するナイロン6繊維のサイズは特に規定しないが、効率的に実施するためには大き過ぎると撹拌が難しくてエタノールアミン洗浄液との接触効率が悪くなり、また、小さ過ぎても後工程においてナイロン6繊維を取り出す分離操作が煩雑となるので、設備に応じた適度なサイズにカットしてあることが好ましい。
ナイロン6繊維製品以外の場合においても付属の部品、部材等はあらかじめ取り除いてあることが作業性向上の観点から好ましい。また、製品のサイズも不純物の分離が可能であれば制限はないが、分離効率を考慮し、あるいは部品、部材等がナイロン6製品中にはめ込まれている場合等を考慮すると、粉砕をした方が好ましい場合もある。
また、ナイロン6製品に含有される不純物の種類によって分離効率が異なるため、含有される不純物の種類に応じて適度にカット・粉砕することが好ましい。
<エタノールアミン洗浄液で加熱する工程 (a工程)>
本発明において、まず、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維あるいはナイロン6繊維で構成される布帛などのナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6繊維、またはナイロン6繊維で構成される布帛等のナイロン6製品から上記不純物やその分解生成物を分離する工程(a工程)が行われる。a工程では、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品とエタノールアミン洗浄液を混合し、加熱しながら撹拌する。これによりナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分、およびそれらが分解して生成した成分をエタノールアミン洗浄液中に分離させ、ナイロン6製品中のナイロン6比率を高めることができる。以下ナイロン繊維あるいはナイロン6繊維で構成される布帛を中心に説明をする場合もあるが、他のナイロン6製品に対しても応用することが可能である。
本発明において、まず、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維あるいはナイロン6繊維で構成される布帛などのナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6繊維、またはナイロン6繊維で構成される布帛等のナイロン6製品から上記不純物やその分解生成物を分離する工程(a工程)が行われる。a工程では、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品とエタノールアミン洗浄液を混合し、加熱しながら撹拌する。これによりナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分、およびそれらが分解して生成した成分をエタノールアミン洗浄液中に分離させ、ナイロン6製品中のナイロン6比率を高めることができる。以下ナイロン繊維あるいはナイロン6繊維で構成される布帛を中心に説明をする場合もあるが、他のナイロン6製品に対しても応用することが可能である。
ここで使用するエタノールアミン洗浄液とは、実質的にエタノールアミンであることを意味し、ナイロン6製品から目的の不純物を分離し、ナイロン6の質量比率が増加したナイロン6製品を固形分として得ることができれば、少量の水分やジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、その他不純物が含有されていても問題なく使用することができる。エタノールアミン洗浄液中のエタノールアミン量は、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。また、使用するエタノールアミン洗浄液は、樹脂成分の分離操作後に回収されたものでも良く、ナイロン6製品から分離された不純物が残留していても良い。
エタノールアミン洗浄液の使用量は、樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維とエタノールアミン洗浄液が十分に接触し、攪拌できる量が必要である。具体的にはこれらの不純物を含むナイロン6繊維の嵩高さや不純物の含有量によっても異なるが、通常はこれらの不純物を含むナイロン6繊維に対して2から50質量倍、好ましくは5から15質量倍、特に好ましくは7から10質量倍のエタノールアミン洗浄液中である。この範囲であれば、ナイロン6繊維の加熱時間も長くならず、エタノールアミン洗浄液の省資源化や回収コスト削減にもつながり、廃液処理量も削減される。
エタノールアミン洗浄液の加熱温度は、エタノールアミン洗浄液の使用量、反応時間によって異なるが、通常は80℃からエタノールアミン洗浄液の沸点である。この範囲であれば、作業時間も長くならず、作業性が良い。ここで、エタノールアミン洗浄液と加熱する時の圧力は、減圧・常圧・加圧のいずれも採用できるが、作業性の観点からは常圧から微加圧が好ましい。なお、上記沸点は系内の圧力における沸点を意味する。
上記の方法で実施すれば、ナイロン6製品に不純物として含まれる樹脂成分やその分解生成物はエタノールアミン洗浄液相に分離される。また、染色されているナイロン6繊維も、染料の種類にもよるが、染料がエタノールアミン洗浄液相に分離されるので、後述するc工程で回収したカプロラクタムも高純度品が得られる。従って、樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維を、エタノールアミン洗浄液中で加熱処理して樹脂成分、およびそれらが分解して生成した成分を分離させることで、ナイロン6比率の高められたナイロン6製品が得られる。また、染色されているこれらのナイロン6繊維を原料として使用すれば、染料もエタノールアミン洗浄液相に分離されるので、ナイロン6比率の高められたナイロン6製品が得られる。
<エタノールアミン洗浄液中のナイロン6製品を回収する工程 (b工程)>
a工程で樹脂成分が分離されたナイロン6繊維などのナイロン6製品を、b工程においてエタノールアミン洗浄液より取り出し、樹脂成分の除去されたナイロン6製品を得ることができる。取り出す方法は、エタノールアミン洗浄液からナイロン6繊維を引き上げることにより取り出す方法、遠心脱液する方法、フィルター濾過する方法等、特に拘らないが、操作の簡便性から濾過操作や遠心脱液操作が採用できる。
a工程で樹脂成分が分離されたナイロン6繊維などのナイロン6製品を、b工程においてエタノールアミン洗浄液より取り出し、樹脂成分の除去されたナイロン6製品を得ることができる。取り出す方法は、エタノールアミン洗浄液からナイロン6繊維を引き上げることにより取り出す方法、遠心脱液する方法、フィルター濾過する方法等、特に拘らないが、操作の簡便性から濾過操作や遠心脱液操作が採用できる。
ここで、樹脂成分除去操作後のナイロン6繊維に残留する樹脂成分や樹脂成分が分解して生成した成分、およびエタノールアミン洗浄液成分等の付着量は少ない方が好ましいが、実質的にナイロン6繊維であれば問題ない。ナイロン6製品から分離された樹脂成分や樹脂成分が分解して生成した成分の付着量が多い場合は、再度水またはエタノールアミン洗浄液を使用してすすぎ落としても良い。また、エタノールアミン洗浄液の付着量が多い場合には、水ですすぎ落としてもよい。かくして樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維から樹脂成分や樹脂成分が分解して生成した成分が除去されたナイロン6繊維等の形態を有するナイロン6製品を回収する。ここで固液分離したエタノールアミン洗浄液は、含有される不純物量が少なければそのまま再使用する事が可能であり、含有されている不純物量が多い場合には蒸留回収することで再使用することができる。
<b工程で得られるナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する工程 (c工程)>
かくして取り出した、樹脂成分や樹脂成分が分解して生成した成分が除去されたナイロン6繊維などのナイロン6製品は再利用に供される。好ましくは取り出したナイロン6製品をc工程に供し、解重合してカプロラクタムを回収する。b工程で樹脂成分およびそれらが分解して生成した成分が除去されたこれらのナイロン6製品は、それのみで解重合してもよいし、他のナイロン6繊維屑等と一緒に解重合してもよい。また、例えばナイロン重合工程で生成する重合抽出水に含まれるカプロラクタムオリゴマー等と一緒に解重合することもできる。
かくして取り出した、樹脂成分や樹脂成分が分解して生成した成分が除去されたナイロン6繊維などのナイロン6製品は再利用に供される。好ましくは取り出したナイロン6製品をc工程に供し、解重合してカプロラクタムを回収する。b工程で樹脂成分およびそれらが分解して生成した成分が除去されたこれらのナイロン6製品は、それのみで解重合してもよいし、他のナイロン6繊維屑等と一緒に解重合してもよい。また、例えばナイロン重合工程で生成する重合抽出水に含まれるカプロラクタムオリゴマー等と一緒に解重合することもできる。
本発明で行う解重合法は、いかなる方法でも良い。通常、ナイロン6繊維などのナイロン6は加熱により解重合され、触媒を用いても良く、水の不存在下(乾式)でも、存在下(湿式)でも実施することができる。
解重合時の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。解重合温度は、通常、100から400℃であり、好ましくは、200から350℃、さらに好ましくは、220から300℃である。温度が低いと、ナイロン6が溶融しないうえ、解重合速度が遅くなる。温度が高いと、不必要なナイロン6のモノマー(すなわちカプロラクタム)の分解が起こり、回収カプロラクタムの純度低下をもたらす。
触媒を用いる場合は、通常、酸、あるいは塩基触媒などを用いる。酸触媒としては、リン酸、ホウ酸、硫酸、有機酸、有機スルホン酸、固体酸、およびこれらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ水酸化物、アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、有機塩基、固体塩基などが挙げられる。好ましくは、リン酸、ホウ酸、有機酸、アルカリ水酸化物、アルカリ塩などが挙げられる。さらに好ましくは、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
触媒の使用量は、通常、ナイロン6成分に対して、0.01から50質量%である。好ましくは、0.1から20質量%、さらに好ましくは、0.5から10質量%である。触媒使用量は少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、副反応が多くなるうえ、触媒コストがかさみ経済的に不利になる。
湿式解重合の水使用量は、ナイロン6繊維成分に対して、0.1から50質量倍である。好ましくは、0.5から20質量倍、さらに好ましくは、1から10質量倍である。水の使用量は、少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、回収カプロラクタム水溶液の濃度が低くなり、カプロラクタムの取得上、不利になる。
カプロラクタムの回収方法には特に制限はなく、何れの方法も採用できる。例えば、乾式解重合を行う場合、生成したカプロラクタムを反応装置から減圧蒸留により留出させ、回収カプロラクタムを得る。解重合反応が終了してから、減圧蒸留によりカプロラクタムを取り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出しても良い。また、湿式解重合を行う場合は、生成したカプロラクタムを反応装置から水とともに留出させ、回収カプロラクタム水溶液を得る。解重合反応が終了してから、蒸留によりカプロラクタム水溶液を取り出しても良いし、反応の進行とともに連続的に取り出しても良い。好ましくは、反応装置へ連続的に水を供給し、かつ、生成するカプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す。特に好ましくは、常圧で反応装置へ連続的に水蒸気を供給し、かつ生成するカプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す方法が採用できる。a工程により樹脂成分が分離され、b工程で樹脂成分が除去されたナイロン6製品は実質的にナイロン6純度が高いので、c工程で解重合すると高収率で、しかも高純度のカプロラクタムが回収できる。得られたカプロラクタム水溶液は蒸留で水と分離することで十分に高純度のカプロラクタムを回収することができる。
さらに高純度のカプロラクタムを得る方法としては、回収したカプロラクタムを精密蒸留する方法、微量の水酸化ナトリウムを添加して減圧蒸留する方法、活性炭処理する方法、イオン交換処理する方法、再結晶する方法等の精製方法と組み合わせることができる。
<カプロラクタム品質の確認方法>
本発明で行う解重合により得られたカプロラクタムの純度分析は、キャピラリーガスクロマトグラフィー及びHPLCで実施した。即ち、キャピラリーガスクロマトグラフィーカラムとして強極性カラム(TC−FFAP、60m、0.25mm、0.25μm)(ジーエルサイエンス株式会社製)を装着したキャピラリーガスクロマトグラフィー、及び、HPLCカラムとして逆相カラム(TSK−GEL、ODS―120T、4.6mm×25.0cm)(東ソー株式会社製)を装着したHPLCで分析し、カプロラクタム純度はピーク面積でGC純度、HPLC純度として表示した。また、カプロラクタムの着色程度の目安としては分光光度計を用いて、カプロラクタム50質量%水溶液とし、10mm長の石英セルにより波長390nmにおける水を基準にした透過率を測定し、色調として表示した。一般に色調の値(透過率)が高い程、着色の程度が低い。以下に本発明の実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明で行う解重合により得られたカプロラクタムの純度分析は、キャピラリーガスクロマトグラフィー及びHPLCで実施した。即ち、キャピラリーガスクロマトグラフィーカラムとして強極性カラム(TC−FFAP、60m、0.25mm、0.25μm)(ジーエルサイエンス株式会社製)を装着したキャピラリーガスクロマトグラフィー、及び、HPLCカラムとして逆相カラム(TSK−GEL、ODS―120T、4.6mm×25.0cm)(東ソー株式会社製)を装着したHPLCで分析し、カプロラクタム純度はピーク面積でGC純度、HPLC純度として表示した。また、カプロラクタムの着色程度の目安としては分光光度計を用いて、カプロラクタム50質量%水溶液とし、10mm長の石英セルにより波長390nmにおける水を基準にした透過率を測定し、色調として表示した。一般に色調の値(透過率)が高い程、着色の程度が低い。以下に本発明の実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
実施例1
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛100gを約10cm角に裁断した後、エタノールアミン洗浄液1kgと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからナイロン6繊維布帛を取り出し、300gの水で3回水洗したのち乾燥した。取り出したナイロン6繊維布帛は白色で、コーティングされた多孔質ポリウレタンがほぼ除去されたナイロン6繊維布地70gを回収した。
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛100gを約10cm角に裁断した後、エタノールアミン洗浄液1kgと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからナイロン6繊維布帛を取り出し、300gの水で3回水洗したのち乾燥した。取り出したナイロン6繊維布帛は白色で、コーティングされた多孔質ポリウレタンがほぼ除去されたナイロン6繊維布地70gを回収した。
実施例2
実施例1と同様の5Lセパラブルフラスコに、多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛300gを約10cm角に裁断した後、紺色のポリエチレンテレフタレート縫い糸15g、およびエタノールアミン洗浄液3.0kgを仕込み、ゆっくり攪拌しながら115℃のシリコーンオイルバス中で5時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからナイロン6繊維布帛を取り出し、水洗したのち乾燥した。取り出したナイロン6繊維布帛は白色で、コーティングされた多孔質ポリウレタンがほぼ除去されたナイロン6繊維布地210gを回収した。仕込んだポリエチレンテレフタレート縫い糸は原形をとどめておらず、エタノールアミン洗浄液中に溶出していた。
実施例1と同様の5Lセパラブルフラスコに、多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛300gを約10cm角に裁断した後、紺色のポリエチレンテレフタレート縫い糸15g、およびエタノールアミン洗浄液3.0kgを仕込み、ゆっくり攪拌しながら115℃のシリコーンオイルバス中で5時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからナイロン6繊維布帛を取り出し、水洗したのち乾燥した。取り出したナイロン6繊維布帛は白色で、コーティングされた多孔質ポリウレタンがほぼ除去されたナイロン6繊維布地210gを回収した。仕込んだポリエチレンテレフタレート縫い糸は原形をとどめておらず、エタノールアミン洗浄液中に溶出していた。
実施例3
(a工程)
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、約10cm角に裁断した多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛と白色ナイロン6繊維布帛を各155g、紺色のポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と称す)と白色PET糸を各7.8g、およびエタノールアミン洗浄液3,124gを仕込み、120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理した。
(a工程)
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、約10cm角に裁断した多孔質ポリウレタン(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))が30質量%コーティングされた紺色ナイロン6繊維布帛と白色ナイロン6繊維布帛を各155g、紺色のポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と称す)と白色PET糸を各7.8g、およびエタノールアミン洗浄液3,124gを仕込み、120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理した。
(b工程)
a工程の加熱処理を終了したのち、室温まで冷却してから遠心脱液装置で固液分離した。回収した布帛を500gの水で3回洗浄してから乾燥した。回収した布帛は215.4gであり、コーティングされていた多孔質ポリウレタンやPET糸は完全にエタノールアミン洗浄液に溶解していた。また、回収した紺色の布帛は白色に脱色されていた。
a工程の加熱処理を終了したのち、室温まで冷却してから遠心脱液装置で固液分離した。回収した布帛を500gの水で3回洗浄してから乾燥した。回収した布帛は215.4gであり、コーティングされていた多孔質ポリウレタンやPET糸は完全にエタノールアミン洗浄液に溶解していた。また、回収した紺色の布帛は白色に脱色されていた。
b工程で乾燥させたナイロン6繊維布帛215.4gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.6gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱した。窒素を止め、過熱水蒸気を導入速度250g/hrで解重合装置へ吹き込み反応を開始し、260℃で6時間、解重合装置から連続的に留出するカプロラクタムを含む水蒸気を冷却し、カプロラクタム水溶液1,826gを得た。
GC分析した結果、カプロラクタム含有率は11.0%であり、仕込みのナイロン6繊維布帛からのカプロラクタム回収率は93%であった。
実施例4
実施例3で得たカプロラクタム水溶液1,826gを約70℃のシリコーンオイルバス中、約3.3kPaの減圧下で濃縮、更にバス温を100℃まで昇温して濃縮を強化した。濃縮液に40%水酸化ナトリウム2.5gを添加し、バス温を約160℃に昇温してから、約0.7kPaで減圧蒸留し、カプロラクタム留分192.7gを得た。この工程でのカプロラクタム回収率は96%であり、カプロラクタム純度はGC分析で99.99%、HPLC分析で90.52%であった。また、色調は92%であった。
実施例3で得たカプロラクタム水溶液1,826gを約70℃のシリコーンオイルバス中、約3.3kPaの減圧下で濃縮、更にバス温を100℃まで昇温して濃縮を強化した。濃縮液に40%水酸化ナトリウム2.5gを添加し、バス温を約160℃に昇温してから、約0.7kPaで減圧蒸留し、カプロラクタム留分192.7gを得た。この工程でのカプロラクタム回収率は96%であり、カプロラクタム純度はGC分析で99.99%、HPLC分析で90.52%であった。また、色調は92%であった。
実施例5
実施例4で得られたカプロラクタム20gをイオン交換精製水20gに溶解し、粉末活性炭太閤Kタイプ(二村化学製)1.0gを添加し、室温中で60分攪拌した後、5Cの濾紙を用いて濾過して精カプロラクタム水溶液を得た。カプロラクタム純度はGC分析で99.99%、HPLC分析で96.73%に向上した。
実施例4で得られたカプロラクタム20gをイオン交換精製水20gに溶解し、粉末活性炭太閤Kタイプ(二村化学製)1.0gを添加し、室温中で60分攪拌した後、5Cの濾紙を用いて濾過して精カプロラクタム水溶液を得た。カプロラクタム純度はGC分析で99.99%、HPLC分析で96.73%に向上した。
実施例6
実施例4で得られたカプロラクタム95gを約100℃で溶解した後、40wt%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを添加し、約100℃のシリコーンオイルバス中で加温しながら、3.3kPa減圧条件下で脱水した。ついで、Helipac、NO.1を充填した精留塔(15mmφ×140mmL、約10段)を装着し、約180℃のシリコーンオイルバス中で加熱しながら0.7kPa減圧条件下で精留した。初留分として約12%、後留分として約4%をカットし、得られた約83%のカプロラクタムの品質は、HPLC分析で99.08%、GC分析で100%に向上した。
実施例4で得られたカプロラクタム95gを約100℃で溶解した後、40wt%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを添加し、約100℃のシリコーンオイルバス中で加温しながら、3.3kPa減圧条件下で脱水した。ついで、Helipac、NO.1を充填した精留塔(15mmφ×140mmL、約10段)を装着し、約180℃のシリコーンオイルバス中で加熱しながら0.7kPa減圧条件下で精留した。初留分として約12%、後留分として約4%をカットし、得られた約83%のカプロラクタムの品質は、HPLC分析で99.08%、GC分析で100%に向上した。
実施例7
実施例4で得られたカプロラクタム40gをイオン交換精製水26.7gで溶解した後、約10mmφのガラスカラムにカチオン交換樹脂(バイエル製レバチットSP112)2mlとアニオン交換樹脂(三菱製ダイヤイオンPA308)2mlを混合して充填したイオン交換樹脂カラムに室温下、SV約2で通液した。回収されたカプロラクタム水溶液の品質は、HPLC純度99.56%、GC純度100%、色調95%であった。
実施例4で得られたカプロラクタム40gをイオン交換精製水26.7gで溶解した後、約10mmφのガラスカラムにカチオン交換樹脂(バイエル製レバチットSP112)2mlとアニオン交換樹脂(三菱製ダイヤイオンPA308)2mlを混合して充填したイオン交換樹脂カラムに室温下、SV約2で通液した。回収されたカプロラクタム水溶液の品質は、HPLC純度99.56%、GC純度100%、色調95%であった。
実施例8
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、紺色のナイロン6繊維布地に多孔質ポリウレタンを30質量%コーティングしたナイロン6繊維布地(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))300gをポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と省略)3gでミシンによる縫製を行ったナイロン6繊維加工布地303gを約10cm角に裁断した後、エタノールアミン洗浄液3kgと共に仕込み、約110℃のシリコーンオイルバス中で4時間加熱処理を実施した(a工程)。ついで、室温まで冷却してから遠心脱液装置で固液分離し、回収した布帛を1kgの水で2回洗浄してから乾燥した。回収した布帛は209.5gであり、コーティングされていた多孔質ポリウレタンやPET糸は完全にエタノールアミン洗浄液に溶解しており、布帛は白色に脱色されていた(b工程)。乾燥ナイロン6繊維布帛209.5gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.6gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱した。窒素を止め、過熱水蒸気を導入速度250g/hrで解重合装置へ吹き込み反応を開始し、260℃で6時間、解重合装置から連続的に留出するカプロラクタムを含む水蒸気を冷却し、カプロラクタム水溶液1,842gを得た(c工程)。
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、紺色のナイロン6繊維布地に多孔質ポリウレタンを30質量%コーティングしたナイロン6繊維布地(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))300gをポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と省略)3gでミシンによる縫製を行ったナイロン6繊維加工布地303gを約10cm角に裁断した後、エタノールアミン洗浄液3kgと共に仕込み、約110℃のシリコーンオイルバス中で4時間加熱処理を実施した(a工程)。ついで、室温まで冷却してから遠心脱液装置で固液分離し、回収した布帛を1kgの水で2回洗浄してから乾燥した。回収した布帛は209.5gであり、コーティングされていた多孔質ポリウレタンやPET糸は完全にエタノールアミン洗浄液に溶解しており、布帛は白色に脱色されていた(b工程)。乾燥ナイロン6繊維布帛209.5gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.6gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱した。窒素を止め、過熱水蒸気を導入速度250g/hrで解重合装置へ吹き込み反応を開始し、260℃で6時間、解重合装置から連続的に留出するカプロラクタムを含む水蒸気を冷却し、カプロラクタム水溶液1,842gを得た(c工程)。
GC分析した結果、カプロラクタム含有率は10.6%であり、仕込みのナイロン6繊維布帛からのカプロラクタム回収率は93%であった。
実施例9
コンデンサー、攪拌機を装着した500mLのフラスコに、POM製ボタン(バネ・ゲンコ)(「ST−5」(カジテック社製))3.00gを、エタノールアミン洗浄液300gと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンの大部分が固形分として残らず、残存固形分として2質量%の固形分が濾取された。
コンデンサー、攪拌機を装着した500mLのフラスコに、POM製ボタン(バネ・ゲンコ)(「ST−5」(カジテック社製))3.00gを、エタノールアミン洗浄液300gと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンの大部分が固形分として残らず、残存固形分として2質量%の固形分が濾取された。
このことから、例えばナイロン6繊維布帛にボタン等のPOM製付属品が事前除去されずに付着したままであってもエタノールアミン洗浄液で処理すれば、ボタンのPOM成分が溶解するか、固形分が残ったとしてもナイロン6繊維布帛から分離し、除去することが可能であることは明らかである。
比較例1
実施例8で使用した紺色のナイロン6繊維布地に多孔質ポリウレタンを30質量%コーティングしたナイロン6繊維布地(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))300gをポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と省略)3gでミシンによる縫製を行ったナイロン6繊維加工布地303gを約10cm角に裁断した後、a工程、b工程を経ることなく、直接、c工程の解重合を実施した結果、GC純度98.28%、HPLC純度31.2%、色調6%のカプロラクタム89gを得た。回収率は、ナイロン6繊維加工布地中のナイロン6に対して63.6%と低く、カプロラクタムの品質も低水準であった。また、解重合装置のカブロラクタム水溶液が留出する配管に、PETの解重合で副生したテレフタル酸が付着し、閉塞寸前であった。
実施例8で使用した紺色のナイロン6繊維布地に多孔質ポリウレタンを30質量%コーティングしたナイロン6繊維布地(「エントラント」(登録商標)(東レ株式会社製))300gをポリエチレンテレフタレート糸(以後、PET糸と省略)3gでミシンによる縫製を行ったナイロン6繊維加工布地303gを約10cm角に裁断した後、a工程、b工程を経ることなく、直接、c工程の解重合を実施した結果、GC純度98.28%、HPLC純度31.2%、色調6%のカプロラクタム89gを得た。回収率は、ナイロン6繊維加工布地中のナイロン6に対して63.6%と低く、カプロラクタムの品質も低水準であった。また、解重合装置のカブロラクタム水溶液が留出する配管に、PETの解重合で副生したテレフタル酸が付着し、閉塞寸前であった。
比較例2
実施例9と同様に、コンデンサー、攪拌機を装着した500mLのフラスコに、POM製ボタン(バネ・ゲンコ)(「ST−5」(カジテック社製))3.00gを、10%水酸化ナトリウム300gと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンは大部分が固形分として残り、88質量%の固形分が濾取された。
実施例9と同様に、コンデンサー、攪拌機を装着した500mLのフラスコに、POM製ボタン(バネ・ゲンコ)(「ST−5」(カジテック社製))3.00gを、10%水酸化ナトリウム300gと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンは大部分が固形分として残り、88質量%の固形分が濾取された。
比較例3
比較例2を水酸化ナトリウム水溶液の濃度だけを40質量%として実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンは大部分が固形分として残り、86質量%の固形分が濾取された。
比較例2を水酸化ナトリウム水溶液の濃度だけを40質量%として実施した。室温まで冷却してからフラスコの内容物を濾取し、100gの水で2回水洗したのち乾燥した。POM製ボタンは大部分が固形分として残り、86質量%の固形分が濾取された。
本発明によれば、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6繊維、またはこれらが組み合わされたナイロン6繊維を主成分とする布帛などのナイロン6製品から、簡便な操作で、工業的に有利な方法でナイロン6製品がリサイクルできる。
Claims (14)
- 一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱して、ナイロン6製品から上記不純物を分離し、上記不純物が除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
- ナイロン6製品が繊維、または繊維で構成される布帛であることを特徴とする請求項1に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物が、樹脂加工により付着した樹脂成分であることを特徴とする請求項1または2に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物が、付属の樹脂成分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物としてポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂から選択される一種以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物としてポリウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物としてポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物としてポリアセタール系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のナイロン6繊維のリサイクル方法。
- エタノールアミン洗浄液中で加熱する温度が80℃からエタノールアミン洗浄液の沸点であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- エタノールアミン洗浄液の使用量が、一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品に対して、2から50質量倍であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のナイロン6繊維のリサイクル方法。
- 不純物として含まれるポリエステル系樹脂がナイロン6繊維を主成分とするナイロン6製品を縫製したポリエステル糸であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 不純物として含まれるポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
- 一種以上の樹脂成分を不純物として含むナイロン6製品を、エタノールアミン洗浄液中で加熱して、ナイロン6製品から上記不純物を分離する工程(a工程)、前記エタノールアミン洗浄液中から上記不純物が除去されたナイロン6製品を取り出す工程(b工程)、b工程で得られるナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する工程(c工程)を含むことを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
- ナイロン6製品が繊維、または繊維で構成される布帛であることを特徴とする請求項13に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
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