JP4547583B2 - スズ合金メッキを施した表面被覆材料、並びに当該被覆材料を利用した電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスズ合金メッキによる表面被覆材料、並びにこの被覆材料を利用した電子部品に関し、スズ合金メッキ皮膜中のβ−スズの結晶の配向性を制御することにより、メッキ皮膜の摩擦係数を低減できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、IC、抵抗、コンデンサ、コネクタ等の電子部品は、ハンダ付け性の向上などを主目的に、スズ又はスズ合金の電着皮膜で表面被覆されるが、これらのメッキ部品は、振動方式のパーツフィーダに載せて生産ラインに供給されることが多いが、メッキ皮膜の潤滑性が充分でないために、供給に支障を来して生産効率を低くするという弊害が少なくなかった。
また、メッキを施した線材の伸線作業においても、メッキ皮膜の潤滑性などのために、作業効率が向上しない場合が多かった。
【0003】
一方、これらの電子部品の製造過程においては(具体的には、半導体基板に実装する目的などで)、電気メッキしたリード、電極などを金型を用いて曲げ加工したり、切削、或は切断などの各種の機械加工を施す場合が多い。
しかしながら、切削、切断などの後加工を施すと、加工部分から皮膜の切断屑やクラックが発生してしまい、従来では、これを防止する有効な手段がないというのが実情であった。
【0004】
本出願人は、特開平10−72694号公報で、素地金属表面上にスズ或はスズ−鉛合金メッキ皮膜を施した表面被覆材料において、当該メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が、表面被覆材料に加える外力方向に対して90〜35度の高角度をなすように、β−スズの結晶を優先配向させることを開示した。
皮膜中のβ−スズの結晶を外力方向に対して特定方向に優先配向するため、メッキ皮膜はこの外力に沿う方向には塑性変形し難くなり、加工時の削れ屑の発生量を抑制できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を出発点として、スズ皮膜、或はスズ合金皮膜中のスズ結晶の配向性を制御して、鉛を含まないスズ合金皮膜の潤滑性を改善することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メッキ皮膜中のスズの配向性を制御すると皮膜物性が変化することに着目して、上記従来技術を鉛を含まないスズ合金に拡張することを鋭意研究し、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金などのスズ合金皮膜にあっても、皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が素地表面に対して特定条件を満たすと、皮膜の摩擦係数が低減することを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明1は、スズと、ビスマス、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、アンチモンよりなる群から選ばれた金属の少なくとも一種とのスズ合金メッキ皮膜を素地上に形成した表面被覆材料において、
メッキ皮膜中のβ−スズの結晶面のX線回折パターンに基づいて次式(A)により算出した各結晶面の配向性指数Xhklの最大値が2以上であり、
Xhkl={(ΣASTMのI/I1)×(測定された(hkl)面のI/I1)}÷
{(Σ測定されたI/I1)×(ASTM(hkl)面のI/I1)}…(A) (式(A)において、
Xhkl:特定の(hkl)面の配向性指数。
測定された(hkl)面のI/I1:配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の測定された回折強度を、その測定されたX線回折パターンのβ−スズの回折ピークの中で最も強いピークの回折強度で除した数値。
ΣASTMのI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中で最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値の総和。
Σ測定されたI/I1:測定されたX線回折パターンにおけるβ−スズの{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中のβ−スズの回折ピークのうち、最も強い回折ピークの回折強度で除した数値の総和。
ASTM(hkl)面のI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の回折強度を、その回折パターン中の最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値。)
メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が素地表面の法線方向に対して50.7〜90度の角度を成すように配向させたことを特徴とするスズ合金メッキを施した表面被覆材料である。
【0008】
本発明2は、上記本発明1において、スズと合金を形成する金属の当該合金中の含有率が0.005〜50重量%であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明3は、上記本発明1又は2において、スズ合金メッキ皮膜の膜厚が0.1〜100μmであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかの表面被覆材料が半導体デバイス、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線よりなる群から選ばれる電子部品であることを特徴とするスズ合金メッキを施した電子部品である。
【0011】
【発明の実施の態様】
上記表面被覆の対象となる素地は42合金、銅合金、コバールを初め、任意の材質を選択でき、特定の材質に限定されない。素地の表面には、ニッケル又は銅等の下地メッキ層が存在しても良い。
上記素地表面のスズ合金は、基本的に電気メッキ、無電解メッキにより施される。
本発明1は皮膜の潤滑性の改善を目的とした鉛を含まないスズ合金メッキ皮膜であり、スズと合金を形成するAg、Bi、In、Zn、Ni、Co、Cu、Sbの当該合金中の組成比は、β−Sn本来の特性を保持する見地から、スズ含有量が減少しすぎない範囲である0.005〜50重量%が好ましい。
上記スズ合金皮膜の膜厚は0.1〜100μmである。メッキ膜厚としては、30〜50μm程度が通常の厚みの上限の目安であるが、本発明ではこれ以上の膜厚であっても差し支えない。
また、本発明1の皮膜の潤滑性の改善とは異なるが、スズ又は鉛を含んでも良いスズ合金皮膜における物性の改善に関して、当該スズ又はスズ合金皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向をランダムに方位付けると(即ち、配向性のない状態にすると)、物性の異方性の少ない皮膜が得られ、偏った性質を改善できる。この鉛を含んでも良いスズ合金において、スズと合金を形成する相手方はPb、Ag、Bi、In、Zn、Ni、Co、Cu、Sbであり、当該合金中の組成比は、基本的に上記本発明1と同様で差し支えない。
【0012】
通常、スズ合金メッキ皮膜は多結晶体であるが、本発明1では、スズ合金メッキ皮膜中のβ−スズの結晶組織を特定条件で制御し、具体的には、X線回折法によるβ−スズの結晶面の回折パターンから特定方式で算出した配向性指数の最大値が2以上であり、上記β−スズの結晶格子の〈001〉方向を素地表面の法線方向に対して50.7〜90度の高角度に配向したものである。β−スズの結晶を特定条件で配向するとは、β−スズの結晶の全てが特定の方位に揃っているのではなく、ランダムな方位の結晶が部分的に含まれるのを許容しながら、大多数の結晶が統計的に特定の方位に揃うように配向していることを意味する。
【0013】
上記X線回折法では、X線回折パターンによりβ−スズの各結晶面の回折ピーク高さを求め、各結晶面の回折ピークIをその最大ピークI1で除して、各(hkl)面のI/I1、或はΣ測定されたI/I1を求めるとともに、標準の回折パターンであるASTMカードにおける夫々の対応値を求め、次式(A)に基づいて夫々の結晶面の配向性指数Xhklを算出するのである(当該算出式は金属表面技術協会 第76回講演大会 要旨集第200〜201頁(1987年)を参照)。
Xhkl={(ΣASTMのI/I1)×(測定された(hkl)面のI/I1)}÷
{(Σ測定されたI/I1)×(ASTM(hkl)面のI/I1)}…(A) (式(A)において、
Xhkl:特定の(hkl)面の配向性指数。
測定された(hkl)面のI/I1:配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の測定された回折強度を、その測定されたX線回折パターンのβ−スズの回折ピークの中で最も強いピークの回折強度で除した数値。
ΣASTMのI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中で最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値の総和。
Σ測定されたI/I1:測定されたX線回折パターンにおけるβ−スズの{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中のβ−スズの回折ピークのうち、最も強い回折ピークの回折強度で除した数値の総和。
ASTM(hkl)面のI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の回折強度を、その回折パターン中の最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値。)
上記標準となる粉末法によるX線回折パターン、即ち、ASTMカード(又はJCPDSカード)では、スズは皮膜を形成せずに粉末状であるため、β−スズの結晶は、当然ながらランダムに方位付けられて配向性がない状態にある。
このASTMカード(粉末法)では、{200}面の回折強度が最も強い強度を示す。また、測定されたX線回折パターンには、β−スズの回折ピークだけではなく、合金化した他の金属の回折ピークも含まれるが、上式(A)に関係するのはあくまでも、β−スズの回折ピークだけである。
但し、ΣASTMのI/I1でのI1と、Σ測定されたI/I1でのI1は同じものを意味せず、上述の式(A)の説明でも示したように、前者のI1は、ASTMカードの回折パターン中で最も強い回折ピークの回折強度であるのに対して、後者のI1は、測定された回折パターン中のβ−スズの回折ピークのうち、最も強い回折ピークの回折強度である。
【0014】
β−スズの各結晶面と上記〈001〉方向との面間角は空間上一義的に決まるため、当該〈001〉方向が素地表面の法線方向に対して高角度をなす本発明1の配向条件(逆言すると、〈001〉方向が素地表面に対して低角度になる条件)では、β−スズの{200}面、{220}面、{411}面、{211}面の少なくともいずれかの結晶面が素地表面に平行或はそれに近い状態に沿う。
ちなみに、配向性指数が最大(Xhkl(max))になる結晶面が統計的に素地に対して平行になるように配向するため、上記配向条件では、粉末法による回折パターンにおいて、{200}面、{220}面などの特定の結晶面に相対的に強いピークが現れる。
この場合、配向性指数の最大値Xhkl(max)が2以上であると、スズ合金中のβ−スズの結晶は配向性を有して統計的に特定の方位に揃った状態にあるが、後述するように、Xhkl(max)が2〜1であるとβ−スズの結晶はランダムに方位付けられて配向性がない状態にある。
本発明1のメッキ皮膜は鉛を含まないスズ合金であり、スズ−ビスマス合金、スズ−インジウム合金、スズ−亜鉛合金、スズ−ニッケル合金、スズ−コバルト合金、スズ−銅合金、スズ−アンチモン合金などの2成分系のスズ合金皮膜を初め、3成分系のスズ合金皮膜などが挙げられる。
【0015】
一方、前述したように、スズ又はスズ合金皮膜中のβ−スズの〈001〉方向をランダムに方位付けると(配向性のない状態にすると)、物性の異方性の少ない皮膜が得られるが、このランダムな方向付けを詳述すると、スズ、或は鉛を含んでも良いスズ合金メッキ皮膜のβ−スズの結晶組織を特定条件で制御し、具体的には、X線回折法によるβ−スズの結晶面の回折パターンから上記(A)式で算出した配向性指数の最大値が1〜2の範囲内になるようにして、スズ又はスズ合金中のβ−スズの結晶の〈001〉方向をランダムに方位付けたものである。従って、この配向性がない状態にする制御は、β−スズ結晶を特定条件で配向させた本発明1とは対照的である。
ちなみに、配向性がないメッキ皮膜をX線回折法で調べると、各結晶面の配向性指数の中に突出して大きな数値は現れずに全体が平準化されるため、上述のように、配向性指数の最大値(Xhkl(max))は2〜1の範囲内に収まるのである。
配向性のない状態にする場合のメッキ皮膜はスズ、並びに鉛を含んでも良いスズ合金であり、スズ合金皮膜としては、スズ−鉛合金、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−インジウム合金、スズ−亜鉛合金、スズ−ニッケル合金、スズ−コバルト合金、スズ−銅合金、スズ−アンチモン合金などが挙げられる。従って、この場合のメッキ皮膜は、スズ皮膜及びスズ−鉛合金皮膜を含む点で、本発明1のメッキ皮膜より適用範囲が広い。
【0016】
上記メッキ浴を用いて電気メッキを行う場合、メッキ浴の組成やメッキ条件などの多くの因子によりスズ皮膜、或はスズ合金皮膜中のβ−スズの結晶の配向性が変化する。
しかしながら、これらのメッキ浴の組成やメッキ条件と、得られるスズ又はスズ合金メッキ皮膜のβ−スズの配向性との間には、多くの因子が介在することから一般的な(或は明解な)法則性を導き出すには至らないが、経験則によってβ−スズの結晶の配向性を概ね制御できる。
【0017】
当該メッキ浴の組成の因子としては、スズ及びスズと合金を生成する他の金属の可溶性塩の種類と組成比、酸の濃度と種類、pHの調整、界面活性剤、光沢剤、光沢助剤、半光沢剤、平滑剤、錯化剤、緩衝剤などの各種添加剤の濃度と種類などが挙げられる。
スズ又はスズ合金メッキ浴の基本組成としては、有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などの有機酸、及びホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、硫酸、塩酸などの無機酸のメッキ浴が挙げられるが、金属の溶解性や排水処理の容易性の見地から、有機スルホン酸浴が好ましい。
上記界面活性剤は、ノニオン系、両性、カチオン系、アニオン系などの各種の活性剤が使用できる。
上記光沢剤としては、p−クロロベンズアルデヒド、o−クロルアニリンなどのアニリン誘導体、1−ナフトアルデヒド、ベンザルアセトン、アセチルアセトン、アニスアルデヒド、o−トルイジンとアセトアルデヒドの反応生成物、o−インドール、バニリン、ゼラチン、ピリジン誘導体などが挙げられる。
上記光沢助剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、或はこれらのメチル、エチルなどのエステル、ケイ皮酸、ホルマリンなどが挙げられる。
上記半光沢剤としては、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール類、スルファニル酸類、トリアジン類、フェノール誘導体などが挙げられる。
上記錯化剤は、例えば、スズ−銀合金メッキ浴などに関し、銀イオンなどを浴中に安定化させるためのものであり、チオ尿素などのチオアミド化合物、チオグリコール酸などのメルカプタン類、2,2′−ジチオジアニリン、チオビス(ドデカエチレングリコール)などが挙げられる。
【0018】
前記メッキ条件の因子としては、陰極電流密度、メッキ浴温、メッキ浴の撹拌速度、メッキ時間、メッキ膜厚、印加する電圧波形、通電する電流波形などが挙げられる。
【0019】
そこで、本発明1の各皮膜の制御手段を述べると、本発明1は鉛を含まないスズ合金メッキ皮膜のβ−スズの結晶構造を制御して特定の配向性を付与することを特徴とするが、主に、上記メッキ浴の組成、例えば、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミドなどのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加物であるノニオン系界面活性剤を初めとする上記界面活性剤、或は平滑剤を選択することなどにより、β−スズの結晶格子の〈001〉方向を素地表面の法線方向に対して高角度に配向できる。
一方、スズメッキ皮膜、或は鉛を含んでも良いスズ合金メッキ皮膜を配向性のない状態で形成する場合には、主に、上記メッキ浴の組成、例えば、界面活性剤と半光沢剤の組み合わせ(例えば、ノニオン系界面活性剤と2−メルカプトベンゾチアゾールなど)、或は、光沢助剤の不存在下での界面活性剤と光沢剤の組み合わせ(例えば、ノニオン系界面活性剤とo−ナフトアルデヒド、o−クロルアニリン、又はo−トルイジンなど)を特定化することにより、皮膜を無配向の状態に制御できる。
【0020】
上記表面被覆材料は、具体的には、半導体デバイス、抵抗、可変抵抗、コネクタ、スイッチ、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子などのチップ部品、或はフープ材、線材(例えば、リード材)などの電子部品が挙げられる。
また、上記電子部品には、ベアリングなどの機構部品を含み、これらの機構部品には、潤滑性改善の見地から、特に、本発明1の適用が有効である。
【0021】
【発明の効果】
(1)β−スズは体心正方晶の結晶形態をとり、単位結晶格子におけるa軸は5.8317Åであるのに対し、c軸は3.1815Åであるため、機械的性質の異方性が強いと推定できる。即ち、このβ−スズの結晶の塑性変形は結晶中の特定の結晶面がずれることにより起こり、中でも、主にミラー指数の{110}面、{100}面、{101}面、{121}面などの結晶面が〈001〉方向に沿って滑ることにより生じる。
そこで、本発明1のように、メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子の〈001〉方向を素地表面の法線方向に対して50.7〜90度の高角度をなすように配向すると、当該〈001〉方向はβ−スズの結晶の滑り方向でもあるため、素地表面に沿う変形力が働いた場合、上記所定の結晶面はこの変形力の向きに滑り易くなると推定できる。このため、後述の試験例に示すように、スズ−ビスマス合金、スズ−インジウム合金などの鉛を含まないスズ合金のメッキ皮膜は摩擦係数が低減し、潤滑性が改善される。
通常、例えば、コネクタ、抵抗、コンデンサ、インダクタなどのチップ部品は、前述したように、振動方式のパーツフィーダで供給されるが、本発明1を適用したメッキ部品をこのパーツフィーダに載せると、潤滑性の改善に伴って供給がより円滑化し、生産効率が高まる。また、本発明1の技術は、ベアリングなどの機構部材にも好適である。
一方、素地表面に沿ってβ−スズの所定の結晶面が滑り易くなる結晶構造では、素地表面に沿って変形力が働くと、その向きに塑性変形し易くなることを意味するため、本発明1の鉛を含まないスズ合金皮膜では、加工容易性、或は快削性が改善される。
この結果、本発明1を各種の電子部品、例えば、半導体チップのリード、その他の線材の伸線作業に適用すると、上述の皮膜潤滑性の改善と相俟って、摩擦抵抗が低減して伸線作業の効率が向上し、加工面を美しく仕上げることができるうえ、加工機械にかかる負荷を軽減できる。
尚、本発明1のスズ合金皮膜は鉛を含まないため、人体や環境への影響が少ない。
【0022】
(2)メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子の〈001〉方向をランダムに方位付けて、いわば無配向にすると、スズ皮膜、或はスズ−鉛合金、スズ−ビスマス合金、スズ−インジウム合金などの鉛を含んでも良いスズ合金皮膜には異方性がなく、偏った性質が改善されると推定できる。
異方性の少ない物性とは、例えば、メッキ皮膜を切断した場合、配向性のある皮膜ではバリッと割れてクズが出易いが、無配向の皮膜では靭性的な性質を帯びて、ネバリがある。
このため、無配向のメッキ皮膜では外力負荷時の損耗度合を低減でき、例えば、電子部品などを後加工しても、メッキ部品から切断屑やクラックが発生することを抑制できる。
【0023】
(3)鉛を含まないスズ合金皮膜におけるβ−スズの結晶の〈001〉方向を特定条件で配向し、或は、スズ皮膜、或は鉛を含んでも良いスズ合金皮膜におけるβ−スズの結晶を配向性のない状態にして、いわばスズ、或はスズ合金皮膜の結晶レベルでの物性を制御することにより、各種用途に合致したスズ又はスズ合金皮膜、例えば、本発明1では潤滑性に優れた皮膜、また、配向性をなくす制御では異方性のない物性に改善して加工時に切断屑やクラックの発生量が少ない皮膜などを高い実効性で作り分けることができる。
【0024】
【実施例】
以下、各種のスズ、或はスズ合金メッキ浴及び当該浴を用いた電気メッキの実施例を述べるとともに、得られた各種のスズ合金の電着皮膜の潤滑性、外力負荷時の損耗度合などの各種試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0025】
以下の実施例及び比較例、或は参考例及び比較参考例においては、皮膜配向性の制御用のメッキ浴をAグループとし、無配向皮膜形成用の浴をBグループとして区別した。
この場合、潤滑性や外力負荷時の損耗度合などの比較試験は同じ種類の合金の間での対比においてその意義が明らかになるため、Aグループの同種類の合金の実施例と比較例の間では、同様の組成比の合金メッキ皮膜が得られるようにメッキ浴の可溶性金属塩の組成比を調整した。また、上記Bグループも同様に調整した。
【0026】
(1)Aグループ:皮膜の配向性制御用の鉛を含まないスズ合金メッキ浴の実施例及び比較例
《実施例1A》
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)60g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 4.8g/L
2−プロパノールスルホン酸 140g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
【0027】
《実施例2A》
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
塩化インジウム(In3+として) 0.56g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
クエン酸ナトリウム 150g/L
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド 3g/L
pH=2.0 (アンモニアで調整)
【0028】
《実施例3A》
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 1.25g/L
スルホコハク酸 80g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 15g/L
【0029】
《実施例4A》
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.75g/L
グルコン酸ナトリウム 200g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
pH=4.0 (NaOHで調整)
【0030】
《実施例5A》
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.82g/L
グルコン酸ナトリウム 300g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
pH=4.0 (NaOHで調整)
【0031】
《実施例6A》
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.76g/L
硫酸 150g/L
β−ナフトール 1g/L
【0032】
《実施例7A》
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
ホウフッ化第一スズ(Sn2+として) 40g/L
塩化アンチモン(Sb3+として) 1.1g/L
ホウフッ酸 100g/L
ラウリルアミンポリエトキシレート(EO10) 5g/L
【0033】
《比較例1A》
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 1.3g/L
メタンスルホン酸 100g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO30) 10g/L
1−ナフトアルデヒド 0.1g/L
メタクリル酸 2g/L
カテコール 1g/L
【0034】
《比較例2A》
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸インジウム(In3+として) 7.8g/L
クエン酸ナトリウム 140g/L
スルファミン酸 40g/L
セチルジメチルベンジルアンモニウム
−メタンスルホネート 1g/L
pH=3 (NaOHで調整)
【0035】
《比較例3A》
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 3g/L
スルホコハク酸 80g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 15g/L
【0036】
《比較例4A》
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 1.2g/L
グルコン酸ナトリウム 200g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
pH=4 (NaOHで調整)
【0037】
《比較例5A》
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 1.5g/L
グルコン酸ナトリウム 300g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
pH=4 (NaOHで調整)
【0038】
《比較例6A》
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸第二銅(Cu2+として) 0.5g/L
硫酸 150g/L
ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド 2g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO10) 10g/L
ベンザルアセトン 0.5g/L
メタクリル酸 3g/L
ヒドロキノン 0.5g/L
【0039】
《比較例7A》
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
塩化アンチモン(Sb3+として) 0.87g/L
硫酸 100g/L
フッ化アンモニウム 5g/L
にかわ(ゼラチン) 0.5g/L
フェノール 5g/L
【0040】
(2)Bグループ:無配向皮膜形成用のスズ、或は鉛を含んでも良いスズ合金メッキ浴の参考例及び比較参考例
《参考例1B》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸 100g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 11g/L
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド 2g/L
【0041】
《参考例2B》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸 100g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 10g/L
1−ナフトアルデヒド 0.1g/L
【0042】
《参考例3B》
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 3.8g/L
メタンスルホン酸 100g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO20) 20g/L
1−ナフトアルデヒド 0.1g/L
カテコール 0.8g/L
【0043】
《参考例4B》
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 4.2g/L
メタンスルホン酸 100g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 7g/L
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.3g/L
ハイドロキノン 0.5g/L
【0044】
《参考例5B》
下記の組成でスズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1.1g/L
メタンスルホン酸 125g/L
チオ尿素 50g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO15)10g/L
ベンゾチアゾール 0.1g/L
カテコール 5g/L
【0045】
《参考例6B》
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 2.1g/L
メタンスルホン酸 100g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
o−トルイジンとアセトアルデヒドの反応生成物 3g/L
【0046】
《参考例7B》
下記の組成でスズ−インジウム合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
塩化インジウム(In3+として) 0.43g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
クエン酸ナトリウム 200g/L
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド 4g/L
アニスアルデヒド 0.2g/L
カテコール 1g/L
pH=2.0 (NaOHで調整)
【0047】
《参考例8B》
下記の組成でスズ−亜鉛合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸亜鉛(Zn2+として) 0.95g/L
スルホコハク酸 80g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 10g/L
アニスアルデヒド 0.3g/L
カテコール 1.2g/L
【0048】
《参考例9B》
下記の組成でスズ−ニッケル合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.60g/L
グルコン酸ナトリウム 250g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
o−クロルアニリン 0.5g/L
カテコール 1g/L
pH=4.0 (NaOHで調整)
【0049】
《参考例10B》
下記の組成でスズ−コバルト合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.55g/L
グルコン酸ナトリウム 300g/L
チオビス(ドデカエチレングリコール) 20g/L
硫酸ナトリウム 50g/L
o−クロルアニリン 0.5g/L
カテコール 1g/L
pH=4.0 (NaOHで調整)
【0050】
《参考例11B》
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸銅(Cu2+として) 0.23g/L
硫酸 150g/L
ラウリル硫酸ナトリウム 5g/L
o−トルイジン 1g/L
【0051】
《参考例12B》
下記の組成でスズ−アンチモン合金メッキ浴を建浴した。
ホウフッ化第一スズ(Sn2+として) 40g/L
塩化アンチモン(Sb3+として) 1.1g/L
ホウフッ酸 100g/L
ラウリルアミンポリエトキシレート(EO10) 5g/L
o−トルイジン 1g/L
【0052】
《比較参考例1B》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
硫酸 100g/L
クレゾールスルホン酸 20g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 10g/L
o−トルイジンとアセトアルデヒドの反応生成物 5g/L
ホルマリン(37%) 5ml/L
【0053】
《比較参考例2B》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸 150g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 15g/L
ベンザルアセトン 0.5g/L
メタクリル酸 2g/L
【0054】
《比較参考例3B》
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 1.8g/L
メタンスルホン酸 150g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 5g/L
ジブチルナフタレンスルホン酸 2g/L
カテコール 1g/L
【0055】
《比較参考例4B》
下記の組成でスズ−鉛合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)40g/L
2−プロパノールスルホン酸鉛(Pb2+として) 3.7g/L
2−プロパノールスルホン酸 180g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO15)10g/L
【0056】
《比較参考例5B》
下記の組成でスズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
酢酸銀(Ag+として) 1.6g/L
硫酸 100g/L
チオ尿素 50g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO10) 10g/L
【0057】
《比較参考例6B》
下記の組成でスズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.36g/L
メタンスルホン酸 150g/L
チオビス(ペンタデカグリセロール) 50g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 20g/L
ヒドロキノン 0.5g/L
【0058】
《比較参考例7B》
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 1.3g/L
メタンスルホン酸 100g/L
ビスフェノールAポリエトキシレート(EO30) 10g/L
1−ナフトアルデヒド 0.1g/L
メタクリル酸 2g/L
カテコール 1g/L
【0059】
《比較参考例8B》
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として)60g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 4.8g/L
2−プロパノールスルホン酸 140g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
【0060】
そこで、先ず、上記Aグループの実施例1A〜7A並びに比較例1A〜7Aの鉛を含まない各スズ合金メッキ浴を使用して、25×25×0.2mmの大きさで42合金を材質とする素地金属表面上に、陰極電流密度、浴温、撹拌速度及びメッキ時間を次の条件に設定して電気メッキを施した。
電流密度 浴温 撹拌速度 メッキ時間
実施例1A 5A/dm2 25℃ 750rpm 4分
実施例2A 0.5A/dm2 25℃ 350rpm 45分
実施例3A 0.1A/dm2 30℃ 1000rpm 215分
実施例4A 0.25A/dm2 25℃ 350rpm 85分
実施例5A 0.25A/dm2 25℃ 350rpm 85分
実施例6A 1A/dm2 20℃ 300rpm 20分30秒
実施例7A 3A/dm2 45℃ 350rpm 7分15秒
比較例1A 5A/dm2 20℃ 750rpm 4分15秒
比較例2A 7A/dm2 25℃ 1000rpm 3分25秒
比較例3A 2A/dm2 20℃ 500rpm 10分25秒
比較例4A 3A/dm2 30℃ 1000rpm 7分 5秒
比較例5A 3A/dm2 30℃ 1000rpm 7分10秒
比較例6A 10A/dm2 40℃ 1000rpm 2分10秒
比較例7A 3A/dm2 45℃ 350rpm 7分10秒
【0061】
得られた各スズ合金メッキ皮膜について、膜厚、スズと合金を形成する金属の皮膜組成比を測定するとともに、各スズ合金皮膜におけるβ−スズの結晶の配向性をX線回折法で調べた。但し、X線回折条件は次の通りである。
X線:Cu−Kα線(回転対陰極)
管電圧:50kV
管電流:200mA
2θ:20〜100度
発散スリット:1度
散乱スリット:1度
受光スリット:0.3mm
サンプリング角度:0.02度
スキャンスピード:2.0度/分
モノクロメータ:使用
【0062】
上記X線回折法によりβ−スズの各結晶面のX線回折パターンが得られると、その回折ピーク高さなどから前記(A)式に基づいて、夫々の結晶面の配向性指数Xhklが算出される。
この場合、最も大きな配向性指数(Xhkl(max))をとる結晶面が、素地表面に対して統計的に平行に沿う配向面となる。但し、スズ合金皮膜が配向性のない状態で形成された場合にも配向性指数は算出されるが、基本的に、本発明1の配向条件ではXhkl(max)≧2になり、無配向の状態ではXhkl(max)=1〜2になるため、両者は区別できる。
上記配向面が決定されると、〈001〉方向が素地表面の法線方向に対して成す角度θは、〈001〉方向と配向面の法線方向との成す角度に相当することになる。そして、β−スズの結晶格子内の空間関係から、〈001〉方向とこの配向面の法線方向のなす角度θは、配向面が{001}面に対してとる面間角に等しいのである。
ちなみに、所定の結晶面である{hkl}面が基準となる{h0k0l0}面に対してとる面間角φは次式(B)で与えられる。
cosφ={(h・h0+k・k0/a2)+(l・l0/c2)}÷〔{(h1 2+k1 2/a2)+(l1 2/c2)}×{(h0 2+k0 2/a2)+(l0 2/c2)}〕1/2 …(B)
式(B)中のa:β−スズの結晶のa軸長=5.8317Å
c:β−スズの結晶のc軸長=3.1815Å
そこで、配向面である{hkl}面が{001}面に対してとる面間角φは、上記(B)式に、具体的な{hkl}の数値と、{h0k0l0}={001}を代入することにより求めることができる。しかも、上述のように、この面間角φが、〈001〉方向と素地表面の法線方向との成す角度θに等しいため、β−スズ結晶の配向面が明らかになると、角度θも上記(B)式で直ちに算出できるのである。
【0063】
即ち、β−スズの結晶の塑性変形は結晶中の{110}面などの所定の結晶面が〈001〉方向に沿って滑ることによって生じると推定できるため、β−スズの結晶中の配向面が判明すると、この配向面の滑り方向である〈001〉方向と素地表面の法線方向との成す角度θも明らかになり、その角度の大小によって塑性変形の難易性、或は、逆に、潤滑性、加工容易性、快削性の度合を表現することができる。
【0064】
そこで、上記実施例1A〜7A及び比較例1A〜7Aから得られた各スズ合金皮膜について、測定した膜厚、スズと合金を形成する他の金属の皮膜組成比、或は、X線回折結果による配向性指数の最大値(Xhkl(max))、配向面、角度θを示すと、次の通りであった。
膜厚 組成比 Xhkl(max) 配向面 角度θ
実施例1A 10μm Bi 3.0% 11.4 {220} 90
実施例2A 10μm In 5.0% 8.7 {220} 90
実施例3A 10μm Zn10.0% 8.8 {200} 90
実施例4A 10μm Ni 1.0% 6.3 {200} 90
実施例5A 10μm Co 1.0% 2.6 {411} 66.0
実施例6A 10μm Cu 1.0% 7.3 {200} 90
実施例7A 10μm Sb 2.0% 2.8 {211} 50.7
比較例1A 10μm Bi 3.0% 10.4 {112} 21.1
比較例2A 10μm In 5.0% 8.65 {112} 21.1
比較例3A 10μm Zn10.0% 7.45 {101} 28.6
比較例4A 10μm Ni 1.0% 9.83 {101} 28.6
比較例5A 10μm Co 1.0% 12.01 {112} 21.1
比較例6A 10μm Cu 1.0% 6.15 {112} 21.1
比較例7A 10μm Sb 2.0% 3.02 {312} 40.8
【0065】
上記各スズ合金皮膜のX線回折結果を見ると、実施例1A〜7A及び比較例1A〜7Aのスズ合金皮膜は共にβ−スズ結晶の配向性が制御された皮膜であるが、当該実施例1A〜7Aと比較例1A〜7Aでは皮膜のβ−スズ結晶中の配向面が異なっていた。このことから、実施例の皮膜ではβ−スズ結晶の〈001〉方向と素地表面の法線方向のなす角度θが50.7〜90度の高角度であるのに対して、比較例の皮膜では0〜40.8度の低角度を示す点で明らかな差異が確認された。
【0066】
そこで、実施例1A〜7A及び比較例1A〜7Aの鉛を含まない各スズ合金メッキ皮膜について、このβ−スズ結晶の配向性の差異が皮膜物性に及ぼす影響を明らかにするために、各メッキ皮膜の潤滑性を試験した。
《スズ合金メッキ皮膜の潤滑性試験例》
実施例及び比較例の各スズ合金メッキ皮膜を表面性試験機(新東科学社製;トライボキア型14DR)にかけて次の条件で静・動摩擦係数を測定し、皮膜潤滑性の指標とした。
荷重:100gf
移動速度:10mm/秒
ストローク:20mm
相手材:10mm径の鋼球
【0067】
図1はその試験結果を示す。
前述したように、合金の種類、或は組成比が異なると、そのことに起因して皮膜物性が大きく変化するため、同種類及び同組成比の合金の間で、実施例と比較例のスズ合金皮膜の結果を比較したが、それによると、実施例の方が比較例より静・動摩擦係数ともに低かった。例えば、スズ−ビスマス合金メッキ皮膜に関して、実施例1Aでは静摩擦係数は0.59、動摩擦係数は0.16であるのに対して、比較例1Aでは静摩擦係数は0.71、動摩擦係数は0.28を示した。このことは、スズ−インジウム合金、スズ−ニッケル合金、スズ−銅合金などの他のスズ合金メッキ皮膜でも、同様の結果であった。
従って、β−スズ結晶の配向性を制御することが鉛を含まないスズ合金メッキ皮膜の物性、具体的には、皮膜の潤滑性に影響を及ぼし、β−スズの結晶格子の〈001〉方向を素地表面の法線方向に対して50.7〜90度の高角度に配向したスズ合金皮膜は、当該〈001〉方向を素地表面の法線方向に対して0〜40.8度の低角度に配向した皮膜に比べて、摩擦係数がより低減することから、皮膜潤滑性(ひいては、被メッキ物の加工容易性、或は快削性)の点で明らかな優位性が確認できた。
【0068】
次いで、前記Bグループの参考例1B〜12B並びに比較参考例1B〜8Bの各スズメッキ浴、或は鉛を含んでも良い各スズ合金メッキ浴を使用して、25×25×0.2mmの大きさで42合金を材質とする素地金属表面上に、陰極電流密度、浴温、撹拌速度及びメッキ時間を次の条件に設定して電気メッキを施した。
ちなみに、比較参考例5B〜8Bは前記Aグループの実施例、或は比較例に対応したものであり、具体的には、比較参考例7Bは比較例1A、比較参考例8Bは実施例1Aに各々対応する。
電流密度 浴温 撹拌速度 メッキ時間
参考例1B 2A/dm2 25℃ 300rpm 10分
参考例2B 2A/dm2 20℃ 300rpm 10分50秒
参考例3B 5A/dm2 20℃ 500rpm 4分15秒
参考例4B 10A/dm2 25℃ 1000rpm 2分10秒
参考例5B 10A/dm2 45℃ 1000rpm 2分10秒
参考例6B 2A/dm2 20℃ 300rpm 10分15秒
参考例7B 2A/dm2 20℃ 300rpm 10分30秒
参考例8B 2A/dm2 20℃ 300rpm 10分40秒
参考例9B 3A/dm2 20℃ 300rpm 7分
参考例10B 3A/dm2 20℃ 300rpm 7分
参考例11B 10A/dm2 35℃ 1000rpm 2分
参考例12B 3A/dm2 45℃ 350rpm 7分
比較参考例1B 2A/dm2 18℃ 300rpm 11分
比較参考例2B 2A/dm2 18℃ 300rpm 10分30秒
比較参考例3B 2A/dm2 25℃ 300rpm 10分
比較参考例4B 8A/dm2 40℃ 750rpm 2分30秒
比較参考例5B 15A/dm2 35℃ 1000rpm 1分25秒
比較参考例6B 1.5A/dm2 25℃ 500rpm 14分10秒
比較参考例7B 5A/dm2 20℃ 750rpm 4分15秒
比較参考例8B 5A/dm2 25℃ 750rpm 4分
【0069】
得られた各スズ、或はスズ合金メッキ皮膜について、膜厚、スズと合金を形成する金属の皮膜組成比を測定し、次の結果を得た。
膜厚 組成比
参考例1B 10μm −−−
参考例2B 10μm −−−
参考例3B 10μm Pb 10.0%
参考例4B 10μm Pb 10.0%
参考例5B 10μm Ag 3.5%
参考例6B 10μm Bi 3.0%
参考例7B 10μm In 5.0%
参考例8B 10μm Zn 10.0%
参考例9B 10μm Ni 1.0%
参考例10B 10μm Co 1.0%
参考例11B 10μm Cu 1.0%
参考例12B 10μm Sb 2.0%
比較参考例1B 10μm −−−
比較参考例2B 10μm −−−
比較参考例3B 10μm Pb 10.0%
比較参考例4B 10μm Pb 10.0%
比較参考例5B 10μm Ag 3.5%
比較参考例6B 10μm Ag 3.5%
比較参考例7B 10μm Bi 3.0%
比較参考例8B 10μm Bi 3.0%
【0070】
一方、参考例1B〜12B及び比較参考例1B〜8Bの各スズ、或はスズ合金皮膜における結晶構造をX線回折法で調べた。X線回折条件は前記Aグループのときと同様に設定した。
上記X線回折の結果によると、参考例1B〜12Bのスズ、或はスズ合金メッキ皮膜では、いずれも配向性指数の最大値Xhkl(max)は1〜2を示し、各結晶面のピークは全体として平準化されており、メッキ皮膜は概ねランダムに方位して配向性がない状態である(無配向性を呈している)ことが確認できた。これに対して、比較参考例1B〜8Bの各メッキ皮膜では、配向性指数の最大値Xhkl(max)が2以上を示して、配向性を有する通常の結晶構造を具備していることが確認できた。この場合の各比較例の配向面を示すと次の通りであった。
配向面
比較参考例1B {112}
比較参考例2B {220}
比較参考例3B {200}
比較参考例4B {101}
比較参考例5B {101}
比較参考例6B {220}
比較参考例7B {112}
比較参考例8B {220}
このことは、前述したように、概ねメッキ浴の組成やメッキ条件を特定化すると、所定のスズ皮膜、或はスズ合金皮膜の結晶構造における配向性に影響を及ぼすことを示している。
【0071】
そこで、参考例1B〜12B及び比較参考例1B〜8Bの各スズメッキ皮膜、或は鉛を含んでも良い各スズ合金メッキ皮膜について、このβ−スズの結晶構造における配向性の有無が皮膜物性に及ぼす影響を明らかにするために、各メッキ皮膜に外力を加えた場合の損耗度合を試験した。
《スズ、或はスズ合金メッキ皮膜の外力負荷時の損耗試験例》
本試験例にあっては、皮膜を折り曲げた際のクラックの発生状況、並びに皮膜を切断した際の屑の発生状況を観察して、各メッキ皮膜の外力負荷時の損耗度合の指標とした。
従って、先ず、参考例1B〜12B及び比較参考例1B〜8Bの各スズ、或はスズ合金メッキ皮膜に90度の折り曲げ操作を1回加えて、引っ張り力が集中負荷される折り曲げ部の外側表面について、クラック発生状況を走査型電子顕微鏡により微視観察した。
上記折り曲げ試験の評価基準は次の通りである。
○:クラックの幅の平均値が0.5μm未満であった。
×:クラックの幅の平均値が0.5μm以上であった。
【0072】
次いで、上記各メッキ皮膜を押し切りで垂直方向に切断し、切断部の屑の発生状況を目視観察した。
上記切断試験の評価基準は次の通りである。
○:切断屑は認められなかった。
×:切断屑が発生した。
【0073】
図2はその試験結果を示す。
前述したように、同種類及び同組成比の合金の間で、参考例1B〜12Bと比較参考例1B〜8Bのスズ、或はスズ合金皮膜の結果を比較すると、折り曲げ時のクラックの発生度合、並びに切断時の屑の発生度合ともに、実施例の評価は全て○であったが、比較例では全て×であって、実施例のメッ皮膜では、外力負荷時の皮膜の損耗度合を顕著に低減できることが判った。
【0074】
従って、所定のスズ、或は鉛を含んでも良いスズ合金皮膜では、β−スズの結晶構造の配向性の有無を制御することがメッキ皮膜の物性、具体的には、外力負荷時の損耗度合に影響を及ぼし、配向性がないメッキ皮膜は異方性が少なく、配向性のある皮膜に比べて、靭性的な性質を帯びてネバリがあり、外力負荷を受けたときの損耗度合が小さかった。即ち、折り曲げ時のクラックや切断時の屑を顕著に低減できることから、皮膜の加工容易性、或は快削性などの点で明らかな優位性が確認できた。
【0075】
尚、Aグループの各実施例の鉛を含まないスズ合金皮膜は、前述したように、摩擦係数が低くて潤滑性に富むものであり、このことは逆言すると、折り曲げや切断などの加工が容易で、快削性に優れることでもあり、外力負荷時における皮膜損耗の抑制には限界がある。
即ち、Aグループの鉛を含まないスズ合金皮膜とBグループのスズ、或は鉛を含んでも良いスズ合金皮膜では、結晶構造の相違によって物性に差異があるために、その物性に適合した用途に使用することが重要であり、本試験結果の意義もそのことに帰するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉛を含まないスズ合金メッキ皮膜の潤滑性試験の結果を示す図表である。
【図2】 スズ、並びに鉛を含んでも良いスズ合金メッキ皮膜における外力負荷時の損耗度合の試験結果を示す図表である。
Claims (4)
- スズと、ビスマス、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、アンチモンよりなる群から選ばれた金属の少なくとも一種とのスズ合金メッキ皮膜を素地上に形成した表面被覆材料において、
メッキ皮膜中のβ−スズの結晶面のX線回折パターンに基づいて次式(A)により算出した各結晶面の配向性指数Xhklの最大値が2以上であり、
Xhkl={(ΣASTMのI/I1)×(測定された(hkl)面のI/I1)}÷
{(Σ測定されたI/I1)×(ASTM(hkl)面のI/I1)}…(A) (式(A)において、
Xhkl:特定の(hkl)面の配向性指数。
測定された(hkl)面のI/I1:配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の測定された回折強度を、その測定されたX線回折パターンのβ−スズの回折ピークの中で最も強いピークの回折強度で除した数値。
ΣASTMのI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中で最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値の総和。
Σ測定されたI/I1:測定されたX線回折パターンにおけるβ−スズの{200}面、{101}面、{220}面、{211}面、{301}面、{112}面、{400}面、{321}面、{420}面、{411}面、{312}面、{501}面の各回折強度を、その回折パターン中のβ−スズの回折ピークのうち、最も強い回折ピークの回折強度で除した数値の総和。
ASTM(hkl)面のI/I1:粉末法によるβ−スズのX線回折パターン(例えば、ASTMカード等)における配向性指数を求めようとしているβ−スズの特定の(hkl)面の回折強度を、その回折パターン中の最も強い回折ピーク(即ち、{200}面)の回折強度で除した数値。)
メッキ皮膜中のβ−スズの結晶格子におけるミラー指数の〈001〉方向が素地表面の法線方向に対して50.7〜90度の角度を成すように配向させたことを特徴とするスズ合金メッキを施した表面被覆材料。 - スズと合金を形成する金属の当該合金中の含有率が0.005〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のスズ合金メッキを施した表面被覆材料。
- スズ合金メッキ皮膜の膜厚が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスズ合金メッキを施した表面被覆材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面被覆材料が半導体デバイス、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線よりなる群から選ばれる電子部品であることを特徴とするスズ合金メッキを施した電子部品。
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