JP4546895B2 - 車両制御システム - Google Patents

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Description

本発明は車両制御システムに関し、特に、パワーステアリング装置のフェールセーフ機能として、制動系に対して制御可能な機能を有する車両制御システムに関する。
一般的に、パワーステアリング装置としては、加えられる操舵力をアシストする油圧式パワーステアリング装置、ステアリングモータによりアシスト力を発生させる電動パワーステアリング装置等が挙げられる。これらのパワーステアリング装置ではステアリングシャフトに取り付けられたステアリングセンサにより操舵情報(例えば、操舵トルク)が検出され、この操舵情報に基づいてアシスト力が演算され、操舵車輪(前輪および後輪の少なくとも一方)へ伝達される(例えば、特許文献1を参照)。
また、パワーステアリング装置のステアリングモータがロックした場合における車両制御に関する従来技術として、例えば、特許文献2に示すように、操舵トルクを検知してそのトルク値に応じた制動力が発生するように、ブレーキ制御して車両を停止させることが提案されている。
特開昭62−210167号等 特開平11−180331号公報
しかしながら、上記特許文献1に示すようなパワーステアリング装置において、例えばコーナリング走行中に異常が発生すると、アシスト力制御を行わないことから、ドライバが転舵輪の転舵を行うことが困難となり、またアシスト力が消失した際、タイヤ反力等によりステアリングトルクに変化が生じ、それによりドライバの意図しない操舵角変化が発生し、車両挙動が不安定になる等の課題があった。
また、上記の特許文献2では、パワーステアリング装置の異常発生時における対処法の一具体的手段が開示されているが、操舵トルクセンサで検出される異常時の操舵トルクを用いることに限定される技術であって(ドライバによるねじりトルクをリアルタイムに検知して当該ねじりトルクで制動制御するもの)、車両制御の汎用性、安定性に課題を残すものである。
本発明の目的は、操舵システムの駆動装置等の異常発生時において、ドライバの意図しない操舵角変化発生時においても、車両を安定に旋回させることが可能な車両制御システムを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の車両制御システムは主として次のような構成を採用する。ドライバの操舵力軽減を図るパワーステアリング装置と、車両挙動量を検出する車両挙動検出手段と、車両挙動検出手段が検出した車両挙動量を記憶する記憶装置と、各車輪の制動力を個別に制御する制動力制御装置と、パワーステアリング装置の異常を検知する異常検知装置と、異常検知装置が異常を検知した場合、記憶装置から得られる異常発生前の任意の車両挙動量に基づいて目標車両挙動量を作成する目標車両挙動量作成手段と、を備え、制動力制御手段により目標車両挙動量に基づいて各車輪の制動力を制御した後、異常発生後のドライバによる操舵角入力開始を判断する操舵角入力開始判断手段を備え、制動力制御手段は、操舵角入力開始判断手段が判断した操舵角入力開始の結果及びドライバによる実際の操舵角に基づいて各車輪の制動力を制御することを特徴とする。
また、上記車両制御システムの実施態様として、目標車両挙動量作成手段は、更に異常発生時点を含めて異常発生後の一時点までの任意の車両挙動量に基づいて目標車両挙動量を作成することや操舵角入力開始判断手段は、操舵角の変化、異常検知からの経過時間、ステアリングシャフトに掛かるトルク値の変化の少なくとも1つに基づいて前記操舵角入力開始を判断すること、はそれぞれ好ましい。更に、制動力制御手段は、左右車輪に制動力を与え、当該左右車輪への制動力の差によって車両を旋回させること、或いは各車輪の制動力の制御開始後にステアリングホイールがロック状態であるか否かを判断するロック状態判断手段を備え、制動力制御手段は、ロック状態判断手段がロック状態であると判断した場合、左右車輪への制動力差を与えずに車両停止制御を行うこと、についてもそれぞれ好ましい。
本発明によれば、パワーステアリング装置に異常が発生した際、ドライバの意図しない操舵角変化が生じた場合も、異常発生前の車両挙動量を基本とし、更に異常発生時を含めた異常発生後の一時点までの任意の車両挙動量に基づいて、制動力制御装置が制動力差を左右輪の制動装置に付与するため、車両を安定に旋回させることができる。
また、各輪の制動力を制御する旋回目標の作成基準を、上記異常発生前後の車両挙動量からドライバの実際の操舵角へと適切なタイミングで切り替えることにより、ドライバの操舵意思に基づいて車両を旋回させることができる。
更に、パワーステアリング装置に異常発生後、操舵角によるドライバの操舵意思検出が困難な状況においても、ロック状態判断手段によるステアリングホイールのロック状態の判断に応じて制動力制御手段が左右車輪への制動力差を与えずに車両停止制御を行うため、車両を安定に旋回、停止させることができる。その結果、パワーステアリング装置に異常発生した場合も、ドライバの意図した車両制御が可能となり、衝突、脱輪等を回避することができる。
本発明の実施形態に係る車両制御システムについて、図1〜図7を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る車両制御システムの全体構成を示す概略図である。
図1において、ステアリングホイール1はステアリングシャフト2およびステアリングギヤボックス3を介してラックバー4と結合され、最終的に転舵輪5を操舵する。モータを含んで構成されるアクチュエータ6は、ラックバー4と同軸上に設けられており、モータの回転により図示しないボールナットを回転させ、この回転を図示しないリサーキュレートボール及びボールスクリューによりラックバー4の推進力に変化する。ここで、アシスト力を付加する手段としては、上述のアクチュエータ6を用いた方法以外の手段(例えば油圧式)でもよく、本発明では、このアシスト力付加手段は限定されない。
また、アクチュエータ6には、その作動状態を検出するアクチュエータ作動検出センサ12が設けられており、本実施形態ではアクチュエータ作動検出センサ12はモータの回転角を検出する回転角センサである。ここで、アクチュエータ作動検出センサ12としては、アクチュエータの作動状態を検出する手段であればよく、本発明ではこの作動状態検出手段は限定されない。
ステアリングシャフト2には,ドライバにより与えられた操舵角を検出する舵角センサ7と操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ8とが設けられており、舵角センサ7および操舵トルクセンサ8のセンサ出力はパワーステアリング制御装置9へ供給される。また、車両制御装置10には記憶装置15が備えられており、舵角センサ7、操舵トルクセンサ8および車両挙動センサ17のセンサ出力は記憶装置15に供給され、一定時間記憶される(記憶された操舵角が、後述する図6の(2)に示す目標操舵角となる)。ここで、車両挙動センサ17としては車両のヨーレイト、横加速度等、車両挙動量を検出する手段であればよく、本発明ではこの車両挙動検出手段は限定されない。但し、本実施形態ではこの車両挙動センサ17は車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサである。
さらに、パワーステアリング制御装置9および車両制御装置10には、車速センサ11により検出された車速が入力される。ここで、車速センサ10としては、車輪速から推定することで車速を検出する手段であっても、外界センサ等を用いて絶対車速を測定する手段であってもよく、本発明では、この車速の検出手段は限定されない。また、上述の車両制御装置10に備えられた記憶装置15へ供給されるドライバの操舵情報として、必ずしも操舵トルクセンサ8を含む必要はなく、舵角センサ7のセンサ出力だけであってもよい。
上述のアクチュエータ6に設けられたアクチュエータ作動検出センサ12(回転角センサ)により検出されたモータの回転角は、パワーステアリング制御装置9に入力される。パワーステアリング制御装置9は、アクチュエータ作動検出センサ12により検出されたモータの回転角、操舵トルクセンサ8により検出された操舵トルク等に基づいてアクチュエータ6に駆動信号を出力し転舵輪5の転舵をアシストする。車両制御装置10は、制動力制御装置13に対して前後左右の輪に制動力を付与するための制御信号の出力を行い、制動力制御装置13はその信号に応じて各輪の制動装置(例えば、制動装置14)を作動させる。
また、パワーステアリング制御装置9には、上述のアクチュエータ6を含むパワーステアリング装置において発生した異常を検知する異常検知装置16が備えられている。異常検知装置16によりパワーステアリング装置の異常が検知された場合(異常検知の具体例は後述する)、異常検知装置16から車両制御装置10へ異常検知信号が送られる。ここで、送られた異常検知信号は車両制御装置10において、図2に示す制御フローチャートのように処理される。
図2は本実施形態に係る車両制御システムの制御ロジックを示すフローチャートである。図2に示されるように、スタート後のS00で操舵量、車両挙動の検出・記憶を行い、その後S10でパワーステアリング装置の異常信号が検知されたか否かを判断する。ここで、異常検知は、例えば、操舵情報の中の操舵トルクの微分値に基づいて、この微分値がある所定値を超えたときに異常発生と判定されてもよいし、あるいは、操舵情報のなかの操舵角の変化量に対する操舵トルクの変化量がある所定値を超えたときに異常発生と判定されてもよい。本発明では、パワーステアリング装置の異常判定手法は限定されず、任意の手法を適用可能である。パワーステアリング装置の異常信号が検知されない場合、車両制御装置10はS00,S10の処理を繰り返す。
上述のS10において異常信号が検知された場合、S20へと進む。S20では、異常発生時点を含めてその発生前または発生後の任意の舵角センサ7の値(図2では異常発生前後の任意の操舵角と略記している)、または異常発生の前および/または後に亘る所定範囲の任意の舵角センサ7の値(この所定範囲の平均値であってもよく、変化傾向を表す値であってもよい)を基に目標操舵角を作成し、この目標操舵角と車速センサ11との値から目標とする車両のヨーレイト、およびこの目標ヨーレイト値を実現するための左右車輪の制動力値を計算する。または、異常発生前の車両挙動センサ17により得られた車両のヨーレイトの値を基に目標とする車両のヨーレイト、およびこの目標ヨーレイト値を実現するための左右車輪の制動力値を計算する。なお、S20ではパワーステアリング装置が正常に動作しないことが前提となっているので、ブレーキ制御で適宜の操舵角を確保することとなるのである。
ここで、算出された制動力値は制動力制御装置13に送られ、この制動力値に基づいて各輪の制動装置を作動させることで、車両に必要なヨーモーメントを発生させる。例えば、転舵輪が前輪であり、右回り方向の操舵角が入力されている際にパワーステアリング装置に異常が発生した場合、車両右側の車輪に制動力を付加することで、左右輪に制動力差を発生させ、それにより車両に右回り方向のヨーモーメントを発生させる。また、パワーステアリング装置のアシスト力消失の際、ドライバの意図しない操舵角変化が発生した場合においても、異常発生時点を含めた発生前または発生後、もしくは発生前・後に亘る所定範囲のある任意の操舵角に基づいて左右制動力を制御することで、車両は安定した旋回を続けることができる。
S30ではステアリングホイール1がロック状態か否かを判断する。異常信号検知後、舵角センサ7から出力された値が異常発生時の操舵角で一定となった場合、ステアリングホイール1がロック状態にあると判断し、S60へと進む。ステアリングホイール1がロック状態ではない場合、S40へと進む。
S40においては、異常発生後の操舵角変化、もしくは経過時間によってドライバの操舵角入力診断を行う(パワーステアリングが異常ではあるが、ステアリングホイールがロックまではしていないと状況の下で、異常発生時点からの或る時間経過でドライバがどのような操舵角を入力したかを診断する)。ドライバによる操舵角入力診断の具体的手法として、第1の手法として、例えば、異常検知後、舵角センサ7により検出された操舵角の変化率を算出し、目標方向の舵角変化率が正とすれば、操舵角変化率が負から正に反転したときを、ドライバによる操舵角入力開始と判断してもよい。また、第2の手法として、異常発生時における操舵角、車両速度等からドライバ入力操舵角開始までの時間を予め推測しておき、その時間を閾値として、異常発生からの経過時間によりドライバによる操舵角入力開始と判断してもよい。
また、第3の手法として、異常発生時点を含めたその発生前または発生後、もしくは異常発生前・後に亘る所定範囲の或る任意の操舵角と車両速度等に基づき、異常発生後の操舵角の変化量または変化率の閾値を決定し、その閾値と異常発生後の操舵角の変化量または変化率、またはその両方から、ドライバによる操舵角入力開始と判断してもよい(例えば、決定した閾値に操舵角変化量が達して行き過ぎた後にその操舵角変化量が減少傾向となって再度閾値を横切ったときにドライバによる操舵角入力開始と判断する)。
また、第4の手法として、異常発生後の操舵角変化にフィルタ処理を行い、時定数を経過時間もしくは実際の操舵角との偏差等に基づいて変化させ、制御目標操舵角をドライバの操舵角へと移行してもよい(操舵角が急激に変化したときに時定数を大とし、操舵角変化が少ないときに時定数を小とする)。また、第5の手法として、操舵トルクセンサ8により検出された操舵トルク値を使用することが可能な場合、その検出されたトルク値の変化からドライバの操舵入力開始を判断してもよい。また、検出されたトルク値に基づいて上述した異常発生後の経過時間、操舵角の変化量、変化率に関する閾値を決定してもよい(上述した第3の手法における検出対象の操舵角に代えて、検出対象をトルク値としてもよい)。
上述したように種々の手法を用いて、ドライバからの操舵角入力開始と判断された場合、S50に進む。S50では各輪の制動力を制御する旋回目標の作成基準を、異常発生時点を含めたその発生前または発生後、もしくは異常発生前・後に亘る所定範囲の或る任意の操舵角、もしくは異常発生前のヨーレイトから(S20における操舵角もしくは車両挙動から)、ドライバの操舵角へと切りかえ(異常発生後、ドライバによる操舵角入力があったことを診断してからはドライバによる当該操舵角に切り替える、すなわち、ドライバによる操舵意志を優先する。後述する図6を参照)、車両の旋回を行う。また上述のS40において、パワーステアリング装置異常発生後、一定時間ドライバからの入力がなく、更に操舵角が一定となった場合、ドライバからの操舵入力なしと判断し(例えば、ドライバがパワーステアリング異常発生で気絶したり、非力のために操舵不能の状況)、S30でステアリングホイール1がロック状態にある場合と同様S60へと進む。
S60では左右両輪に制動力を与え、両輪の制動力差を、異常発生時点を含めたその発生前または発生後、もしくは異常発生前・後に亘る所定範囲の或る任意の操舵角、もしくは異常発生前のヨーレイトに基づいたヨーモーメントを発生させるように制御することで、車両の旋回を行いながら車両を減速させ、車両停止制御を行う。ここで、ステアリングホイール1がロック状態にある場合、両輪の制動力差は与えず車両停止制御を行う。S70では車両停止判定を行い、車速センサ11から入力された車両の速度が、ある所定しきい速度値以下であるかどうかの判定が行われる。検出された速度が所定速度しきい値以上であればS60に戻り、S60の制御が繰りされる。速度が所定しきい速度値未満の場合には、車両が停止したとみなされ、制御が終了する。
次に、まず、本発明の実施形態に係る車両制御システムを適用しない場合の車両挙動について、図3〜図5を参照しながら説明する。図示例では、前輪を転舵輪とする車両に右回り方向の操舵角が入力されている際、パワーステアリング装置に異常が発生し、アシスト力が消失した場合の車両軌跡と操舵角変化の例を示す。
図3は、アシスト力が消失後、制動力差による旋回制御ならびにドライバからの操舵入力を共に行わない場合の車両軌跡と操舵角変化を示している。アシスト力消失後、前輪に発生していた横滑り角(車輪の進行方向と回転面の為す角)はタイヤ反力により減少する方向に進み、それに伴い操舵角も減少する。そのため、前輪に発生していたコーナリングフォースが減少し、それに伴い車両にかかる右回りのヨーモーメントが減少するため、車両はドライバ目標値にそった旋回をすることができず、進行方向に対して左方向に逸脱することになる(図3において実線で示す車両軌跡)。
図4は、アシスト力が消失後、ドライバからの操舵入力のみにより旋回を行った場合の車両軌跡と操舵角変化を示している。アシスト力消失後、ドライバの操舵負荷が急増し、操舵角は一時減少する方向に変化する(タイヤからの反力によって)。また、アシスト力が消失しているため、ドライバによる迅速な操舵作業は困難であり、そのために車両の旋回挙動は不安定なものとなる。
図5は、アシスト力が消失後、変化する操舵角(以下、実操舵角と称する)に基づいた制動力差による旋回制御(実操舵角を目標操舵角として左右輪の制動力差による旋回制御)を行った場合の車両軌跡と操舵角変化を示している。アシスト力消失後、ドライバの操舵負荷が急増し、実操舵角は一時減少する方向に変化する。そのため、制動力差を制御する際の目標となる操舵角(以下、目標操舵角と称する)も減少するため、制動力による制御量も実操舵角の減少と共に減少し、旋回に十分なヨーモーメントを発生させることができない。
さらに、図示例で具体的に説明すると、図5の(2)は、異常発生時を含む時間経過に伴う操舵角の変化を表しているが、異常発生時点から操舵角が減少方向にある期間は、ドライバの意志にそった望ましい操舵角ではなくタイヤからの反力でこのように減少傾向となっている。そして、操舵角が上昇する傾向の期間は、ドライバが目標に合致させるように重いハンドル操作(アシスト力消失のため)で操舵を行っている状況である。すなわち、異常発生以後において、タイヤ反力や重いハンドル操作等によって目標操舵角(制動力制御の目標)が、ドライバの本来の目標に一致していないことを表している。また、何らかの要因により実操舵角がドライバの意図する方向とは逆の方向に変化した場合、制動力制御装置13はドライバの意図とは逆の旋回方向のヨーモーメントを発生させるような制動力制御を行い、車両挙動をより不安定にさせる可能性がある。
次に、本発明の実施形態に係る車両制御システムを採用した場合の車両挙動について、図6を参照しながら説明する。図6は、パワーステアリング装置の故障発生時、異常発生時点を含めてその発生前または発生後の任意の操舵角、または異常発生の前および/または後に亘る所定範囲の任意の操舵角を目標操舵角として左右輪の制動力差による旋回制御を行った後、目標操舵角を実操舵角に切りかえて旋回制御を行った場合の車両軌跡と操舵角変化を示す図である。
目標操舵角の切り替えの前半において、アシスト力が消失後、異常発生時点を含めてその発生前または発生後の任意の操舵角、または異常発生の前および/または後に亘る所定範囲の任意の操舵角に基づいて制動力差による旋回制御を行った場合の、車両軌跡と操舵角変化を図6の(1)と(2)に示している。アシスト力消失後、ドライバの操舵負荷の増加により、実操舵角は一時減少する方向に変化するが、異常発生時点を含めてその発生前または発生後の任意の操舵角、または異常発生の前および/または後に亘る所定範囲の任意の操舵角に基づいて制動力差を制御することにより、実操舵角の変化に関わらず、旋回に十分なヨーモーメントを発生させ続け(図6の(2)において、異常発生時から目標操舵角切り替えまでの期間における目標操舵角(点線)によって)、車両を旋回させることができる。
その後(目標操舵角の切り替えの後半において)、例えば、実操舵角の変化率が負から正に反転した時点で(目標方向が正とすると)、制動力差を制御する基準となる目標操舵角を、実操舵角へと切り替えることで、ドライバの操舵意思に応じて旋回を続けることができる。
ここで、制動力の制御目標を実操舵角に切りかえる方法は、前述の通り、変化率が正負反転した時点で切り替える方法によらず、図7の(1)に示すように、異常発生後の実操舵角変化にフィルタ処理をした値を目標操舵角とし、異常発生後の経過時間、もしくは実操舵角と目標操舵角の偏差に基づいて時定数を0まで減少させることで目標操舵角を実操舵角にする方法でもよい。また、図7の(2)に示すように、異常発生後の経過時間、操舵角等の閾値により、目標操舵角を実操舵角に切りかえる方法であってもよい。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る車両制御システムは、次のような構成を有するとともに、機能ないし作用を奏することを特徴とするものである
すなわち、ドライバの操舵力軽減を図るパワーステアリング制御装置9と、車両挙動量(例えば、ヨーレートや横加速度)を検出する車両挙動検出手段である車両挙動センサ17と、車両挙動センサ17が検出した車両挙動量を記憶する記憶装置15を備えた車両制御装置10と、車輪の制動力を個別に制御する制動力制御装置13と、パワーステアリング制御装置9に発生した異常を検知する異常検知装置16と、を備え、異常検知装置16で異常を検知した場合、車両制御装置10が記憶装置15から得られる異常発生前の任意の車両挙動量を基本とし、更に異常発生時を含めた異常発生後の一時点までの任意の車両挙動量に基づいて目標車両挙動量を作成する目標車両挙動量作成手段として機能すると共に、制動力制御装置13がその目標車両挙動量に応じて車両を旋回させるように、各輪の制動力を制御することを特徴とする。
上述したような車両制御システムによれば、パワーステアリング制御装置9に異常が発生し、ドライバの意図しない操舵角変化が生じた場合も、車両制御装置10から得られる異常発生前後の車両挙動量に基づいて、制動力制御装置13が制動力差を左右輪の制動装置14に付与するため、車両を安定に旋回させることができる。
また、車両制御装置10が異常発生後のドライバによる操舵角入力開始を判断する操舵角入力開始判断手段として機能し、制動力制御装置13が異常発生前の車両挙動に基づいて車両を旋回させるように各輪の制動力を制御した後、異常発生後にドライバの実際の操舵角に基づいて各輪の制動力を制御することを特徴とする。この車両の制御システムによれば、異常発生後もドライバの操舵意思に基づいて車両を旋回させることができ、ドライバの意図する旋回量、旋回方向が異常発生時と異なる場合においても、車両はドライバの意図する旋回を行うことができる。
更に、上記操舵角入力開始の判断は、異常発生後の操舵角の変化、異常発生からの経過時間、ステアリングシャフトのトルク変化の何れ1つ以上に基づいて行われ、これを受けた制動力制御装置13が異常発生前の車両挙動量から異常発生後のドライバの実際の操舵角へと適切なタイミングで切り替えることを特徴とする。この車両制御システムによれば、異常発生前後にある任意の車両挙動量に基づいて車両を旋回させるように各輪の制動力を制御している車両に対して、適切なタイミングでドライバの操舵意思を介入させることができる。
加えて、異常発生後、操舵角によるドライバの操舵意思検出が困難な状況においても、車両制御装置10の持つロック状態判断手段の機能であるステアリングホイール1のロック状態の判断に応じて制動力制御装置13が左右車輪への制動力差を与えずに車両停止制御を行うため、車両を安定に旋回、停止させることができる。この車両制御システムによれば、パワーステアリング制御装置9に異常発生した場合も、ドライバの意図した車両制御が可能となり、衝突、脱輪等を回避することができる。
本発明の実施形態に係る車両制御システムの全体構成を示す概略図である。 本実施形態に係る車両制御システムの制御ロジックを示すフローチャートである。 パワーステアリング装置の故障発生時、制動力差による旋回制御およびドライバからの操舵入力を共に行わない場合の車両軌跡と操舵角変化を示す図である。 パワーステアリング装置の故障発生時、左右輪の制動力差による旋回制御を行わない場合の車両軌跡と操舵角変化を示す図である。 パワーステアリング装置の故障発生時、実操舵角を目標操舵角として左右輪の制動力差による旋回制御を行った場合の車両軌跡と操舵角変化を示す図である。 本発明の実施形態に係る車両制御システムを採用した場合の車両軌跡と操舵角変化を示す図である。 本実施形態に係る車両制御システムにおいて、パワーステアリング装置の異常発生時の操舵角を目標操舵角として左右輪の制動力差による旋回制御を行った後、目標操舵角を実操舵角に切り替える方法の例として、フィルタ処理を行う方法、閾値を用いた方法の操舵角変化を示す図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングギヤボックス
4 ラックバー
5 転舵輪
6 アクチュエータ
7 舵角センサ
8 操舵トルクセンサ
9 パワーステアリング制御装置
10 車両制御装置
11 車速センサ
12 アクチュエータ作動検出センサ
13 制動力制御装置
14 制動装置
15 記憶装置
16 異常検知装置
17 車両挙動センサ

Claims (5)

  1. ドライバの操舵力軽減を図るパワーステアリング装置と、車両挙動量を検出する車両挙動検出手段と、前記車両挙動検出手段が検出した車両挙動量を記憶する記憶装置と、各車輪の制動力を個別に制御する制動力制御装置と、前記パワーステアリング装置の異常を検知する異常検知装置と、前記異常検知装置が異常を検知した場合、前記記憶装置から得られる異常発生前の任意の車両挙動量に基づいて目標車両挙動量を作成する目標車両挙動量作成手段と、を備え、
    前記制動力制御手段により前記目標車両挙動量に基づいて各車輪の制動力を制御した後、前記異常発生後のドライバによる操舵角入力開始を判断する操舵角入力開始判断手段を備え、
    前記制動力制御手段は、前記操舵角入力開始判断手段が判断した前記操舵角入力開始の結果及びドライバによる実際の操舵角に基づいて前記各車輪の制動力を制御することを特徴とする車両制御システム。
  2. 請求項1記載の車両制御システムにおいて、前記目標車両挙動量作成手段は、更に異常発生時点を含めて異常発生後の一時点までの任意の車両挙動量に基づいて目標車両挙動量を作成することを特徴とする車両制御システム。
  3. 請求項1又は2記載の車両制御システムにおいて、前記操舵角入力開始判断手段は、操舵角の変化、異常検知からの経過時間、ステアリングシャフトに掛かるトルク値の変化の少なくとも1つに基づいて前記操舵角入力開始を判断することを特徴とする車両制御システム。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載の車両制御システムにおいて、前記制動力制御手段は、左右車輪に制動力を与え、当該左右車輪への制動力の差によって車両を旋回させることを特徴とする車両制御システム。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の車両制御システムにおいて、前記各車輪の制動力の制御開始後にステアリングホイールがロック状態であるか否かを判断するロック状態判断手段を備え、前記制動力制御手段は、前記ロック状態判断手段が前記ロック状態であると判断した場合、前記左右車輪への制動力差を与えずに車両停止制御を行うことを特徴とする車両制御システム。
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