JP4545769B2 - 温度補償型発振器 - Google Patents
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Description
そして、その温度補償回路の構成により、アナログ温度補償型発振器とデジタル温度補償型発振器とに大別される。
超小型の表面実装用温度補償型発振器のパッケージ構成例を図8に示す。
この温度補償型発振器は、パッケージ本体11と溶接リング12とカバー13とによってパッケージ(容器)10を構成しており、その内部に水晶片15と、後述する発振回路および温度補償回路を構成するMOS型のIC(集積回路)チップ16と、チップ容量等の回路素子17を取り付けて密封している。
さらに、この発振回路20における水晶片15の近傍の温度状態をサーミスタ等によって検出する温度検出回路18と、その温度検出回路18からの出力信号に基いて発振回路20の出力線25に出力される信号の周波数を一定に保つための温度補償回路30とを設けている。
ステップ1:パッケージ(図8のパッケージ本体11)内に水晶片15等の圧電素子だけを実装する。
ステップ2:パッケージを基準温度(一般に室温:25℃)に保ち、ネットワークアナライザなどでその圧電素子の共振周波数をモニタしながら、イオンビーム等で圧電素子表面の電極膜を除去して所望の周波数になるように調整する。
ステップ3:パッケージに発振回路および温度補償回路を構成するICチップを実装する。
ステップ4:パッケージを複数の温度状態にさらし、その各温度状態で発振周波数を測定して、所望の発振周波数f0との差を測定する。
ステップ5:その測定値に基いて温度補償データを作成し、それをICチップの補償データ記憶回路(不揮発性メモリ)に書き込む。
そのため、パッケージにICチップも実装して圧電素子とともに発振回路を構成して発振動作をさせた時の発振周波数と、予め調整した共振周波数との間にずれが生じてしまうという問題があった。しかも、調整ステップも多くなり、調整コストが余分にかかっていた。
その選択手段は、上記選択情報記憶回路からの制御情報に応じて、上記温度補償回路の温度補償機能を有効状態にする場合には、上記温度補償回路に上記発振回路の発振容量の値を上記温度検出回路によって検出される温度に依存して変化させるようにし、上記温度補償機能を無効状態にする場合には、上記発振回路の発振容量を所定の容量値に固定させるようにする。
そして、上記選択情報記憶回路は、上記制御情報として複数ビットの選択情報を記憶する不揮発性メモリからなり、その選択情報の複数ビットが初期状態とは異なる予め決められた組み合わせにおいてのみ上記温度補償回路の温度補償機能を有効状態にし、その組み合わせ以外においては上記温度補償機能を無効状態にする。
図1はこの発明による温度補償型発振器の第1の実施形態の構成を示すブロック回路図であり、図8及び図9と同様な部分には同じ符合を付してあり、それらの説明は省略する。
この図1に示す温度補償型発振器は、図9に示した従来例と同様な出力線25および出力端子26を有する発振回路20と、温度検出回路18及び温度補償回路30を備えている。さらに、この実施形態に特有のものとして、選択手段である選択回路40と、その選択状態を制御するための制御情報を記憶する選択情報記憶回路(不揮発性メモリ)50と、一定電圧Vkを出力する定電圧発生回路51とを備えている。
選択回路40は、一対のトランスミッションゲート41,42と、3入力のNAND回路43と、2個のインバータ(NOT回路)44,45によって構成されている。そして、温度補償回路30の出力である制御電圧Vcは、一方のトランスミッションゲート41を介して発振回路20の図9に示した抵抗R1,R2の共通接続点に印可される。定電圧発生回路51の出力である一定電圧Vkは、他方のトランスミッションゲート42を介して、同じく発振回路20の抵抗R1,R2の共通接続点に印加される。
このNAND回路43の出力は、トランスミッションゲート41の負論理側のゲートとトランスミッションゲート42の正論理側のゲートに直接印加され、また、トランスミッションゲート41の正論理側のゲートと、トランスミッションゲート42の負論理側のゲートにインバータ45で反転されて印加される。
選択情報記憶回路50から出力される選択情報が“101”以外のときには、トランスミッションゲート42がオンになり、トランスミッションゲート41はオフになるので、定電圧発生回路51から出力する一定電圧Vkがトランスミッションゲート42を通過して発振回路20へ印加され、図9に示した抵抗R1,R2を介して電圧制御型可変容量23,24に印加されるため、その発振容量の値はその一定電圧に応じた所定の容量値に固定され、発振回路20の発振周波数の温度補償はなされない。
ステップ1:パッケージ(例えば図8に示したパッケージ本体11)内に、発振回路20及び図1に示した各回路を構成するICチップを実装し、次いで水晶片を実装する。
ステップ2:パッケージを基準温度(一般に室温:25℃)に保ち、その温度補償型発振器の温度補償機能を無効にして単純な発振器として動作させ、その発振周波数をネットワークアナライザなどでモニタしながら、イオンビーム等で水晶片表面の電極膜を除去して所望の発振周波数f0になるように調整する。
ステップ3:パッケージにカバーを取付け、水晶片を気密封止する。
ステップ4:パッケージを複数の温度にさらし、その各温度状態で発振周波数を測定して、所望の発振周波数f0との差を測定する。
ステップ5:その測定値に基いて温度補償データを作成し、それをICチップの補償データ記憶回路(不揮発性メモリ)に書き込む。
したがって、発振回路を実際の使用状態と同様に発振させながら、水晶片の温度特性を温度補償回路の影響を受けずに正確に調整でき、且つその後の補償データの作成とそれを補償データ記憶回路に記憶させる作業も、続けて適切に行なうことができる。そのため、温度補償型発振器の調整工程の簡素化と高精度化を図ることができる。
ステップ4で、パッケージを複数の温度状態にさらすのも、恒温槽の設定温度を順次変化させるか、異なる温度に設定した複数の恒温槽に順次パッケージを収納すればよい。その測定温度範囲は、この発振器の動作保証温度範囲であり、例えばマイナス40℃〜プラス100℃の間の適宜のポイント(例えば11ポイント程度)とする。
水晶片の基準周波数の調整は、予め水晶片の表面に銀等の金属膜を蒸着して、共振周波数を基準周波数より低めにする膜厚(厚め)に形成しておき、その水晶片表面の電極膜にイオンガンを用いてイオンビームを照射したり、スパッタエッチングを行ったりして、電極膜の質量を僅かずつ減少させることによって行う。
なお、発振回路の振動子として、水晶片に代えて他の圧電素子を使用する場合も同様である。
そして、その差を0にするための制御電圧Vcを温度補償回路30で発生させるのに必要な温度補償データを算出して、図9に示した補償データ記憶回路(不揮発性メモリ)31に温度データに対応させて書き込む。
なお、測定ポイントは多い方が精度の高い温度補償データを作成できるが、測定時間が長くなってしまうので、適当数(例えば11ポイント程度)の温度状態での測定結果からその発振回路の温度特性の3次曲線を推定して、各測定ポイント間の温度に対する温度補償データも補間して作成し、それを補償データ記憶回路に書き込むようにするとよい。
図2に示す発振回路は、図9に示した発振回路20と同様に、水晶片15とインバータ21と帰還抵抗22とを並列に接続し、その両接続点をそれぞれ発振容量を介して接地して、インバータ発振回路を構成している。しかし、その発振容量として、電圧制御型可変容量に代えて、複数の固定容量の並列回路を用いている。
すなわち、コンデンサC1〜C5をそれぞれスイッチS1〜S5を介して並列に接続した第1の容量アレイ27をインバータ21の入力側とアースとの間に設け、コンデンサC6〜C10をそれぞれスイッチS7〜S10を介して並列に接続した第2の容量アレイ28とし、インバータ21の出力側とアースとの間に設けている。各スイッチS1〜S10には、MOS−FET等のスイッチング素子を使用するとよい。
また、図1に示した定電圧発生回路51に変えて、発振回路のスイッチS1〜S10のうちの所定のスイッチ(例えば、スイッチS1〜S3とS6〜S8)をONにし、他のスイッチはOFFにする固定のスイッチ制御信号を発生する回路を設け、その固定のスイッチ制御信号と上述した温度補償回路が発生する可変のスイッチ制御信号のいずれかを選択手段によって選択して、発振回路のスイッチS1〜S10の各制御電極に印加して、そのON/OFFを制御するようにする。
初期調整後、温度補償機能を有効にするときには、選択手段によって温度補償回路からの可変のスイッチ制御信号を選択して発振回路に入力させ、第1の容量アレイ27のスイッチS1〜S5及び第2の容量アレイ28のスイッチS6〜S10のそれぞれ1個以上を選択的にONにする。それによって、第1の容量アレイ27及び第2の容量アレイ28の有効なコンデンサの組み合わせ(接続状態)を変え、各容量アレイ27,28の容量値(発振容量)を温度変化に依存して変化させる。
さらに、第1の容量アレイ27及び第2の容量アレイ28を構成するコンデンサの数及びその各コンデンサの容量値を適宜選定し、その接続状態を変化させることによって、発振容量をかなり細かく制御して発振周波数の温度補償を行うことができる。
そして、初期調整時に温度補償機能を無効にする際には、選択回路によってスイッチS11,S12をOFFにして、スイッチS13,S14をONにすることにより発振容量はコンデンサCa,Cbの容量値に固定される。このとき電圧制御型可変容量23,24は、発振容量に含まれないように切り離された状態になる。
なお、これらの発振回路においても、振動子として水晶片に代えて他の圧電素子を使用することもできる。
この図4に示す温度補償型発振器は、発振回路20と出力線25との間に可変分周回路60を設け、選択手段として、第1の選択回路40Aと第2の選択回路40Bとを設けている。この第1,第2の選択回路40A,40Bは同じ回路構成であり、第2の選択回路40Bに示すように、デジタルゲート回路47,48
と、3入力のAND回路46と、2個のインバータ(NOT回路)44,49によって構成されている。
このAND回路46の出力は、デジタルゲート回路47の制御端子Cに直接印加され、また、デジタルゲート回路48の制御端子Cへはインバータ49で反転されて印加される。
第1の選択回路40Aもこれと全く同じ構成であり、選択するのがスイッチ制御データSc,Skで、選択したスイッチ制御データの出力先が発振回路20である点が異なるだけである。
一方、読み出し専用メモリであるROM52には、固定のスイッチ制御信号(デジタルデータ)Skと分周数データDkとが予め記憶されており、図示を省略している読み出し回路によってその各データを読み出して、それぞれ、第1,第2の選択回路40A,40Bのデジタルゲート回路48へ入力させる。
発振回路20は、例えば図2に示したように、発振容量として多数のコンデンサをスイッチを介して並列に設けた第1,第2の容量アレイ27,28を用いた回路であり、その各スイッチS1〜S10のON/OFFを第1の選択回路40Aから出力されるスイッチ制御信号(デジタルデータ)Sc又はSkによって制御することにより、その発振容量を制御して発振周波数を可変することができる。図2に示したスイッチS1〜S10としてはMOS型アナログスイッチ等の1ビットのデジタル信号でON/OFFを制御できる電子スイッチを用いる。
そして、発振回路20からの発振出力信号をリファレンスデバイダ61によって分周して、位相比較器62に基準信号として入力する。一方、VCO64の発振信号がフィードバックデバイダ65によって分周されて、位相比較器62に比較信号して入力する。位相比較器62はその二つの入力信号の位相差に応じた電圧を出力し、それがLPF63を介してVCO64に供給され、VCO64の発振周波数を制御する。そのVCOの発振信号が出力バッファ66を介して出力線25に出力される。
リファレンスデバイダ61とフィードバックデバイダ65は、いずれも可変の整数値で分周できるプログラマブルデバイダである。
fo=fc×N/M
リファレンスデバイダ61は入力信号の周波数を1/Mに分周して出力し、フィードバックデバイダ65は入力信号の周波数を1/Nに分周して出力する。
N/Mが分周比(この場合は逓倍数)であり、分周数MとNの値によって任意に設定できる。例えば、M=N=100を基準値として、分周数MとNの値を図6に示すように変化させることにより、分周比(逓倍数)を1.000から0.005刻みで増加させたり減少させたりすることができる。
したがって、発振回路20からの発振出力信号の周波数fcが20MHzであった場合、出力信号の周波数foを、20MHzを基準にして0.1MHz刻みで増減させることができる。
図4における第2の選択回路40Bが補償データ出力回路33から出力する可変の分周数データDcを選択して可変分周回路60に入力させたときには、分周数データDcを構成する分周数MとNの値によって、分周比を種々に変化させることができ、図6に示した例では、分周比(逓倍数)を1.000から0.005刻みで増加させたり減少させたりして、出力信号の周波数foを20MHzを基準にして0.1MHz刻みで増減させることができる。
この実施形態によっても、発振回路20の水晶片の共振周波数を調整し、補償データを作成して補償データ記憶回路31に記憶させるまでの初期調整時には、選択情報記憶回路50の3ビットの選択情報が“101”以外の状態になっている。
したがって、第1の選択回路40AはROM52から入力する固定のスイッチ制御信号Skを選択して発振回路20へ出力する。また、第2の選択回路40BもROM52から入力する固定の分周数データDkを選択して可変分周回路60へ出力する。
一方、可変分周回路60は、固定の分周数データDkのM=N=100によって、分周比が1.000に固定され、出力線に出力する信号の周波数foは発振回路20の発振出力信号の周波数fcと同じになり、ここでも温度補償はなされない。すなわち、この時は温度補償機能は無効になり、図4に示した温度補償型発振器は単なる発振器として動作する。
それによって、選択情報記憶回路50が出力する選択情報が“101”になり、第1の選択回路40Aは温度補償回路30′の補償データ出力回路33からの可変のスイッチ制御信号Scを選択して発振回路20へ出力する。また、第2の選択回路40Bも補償データ出力回路33からの可変の分周数データDcを選択して可変分周回路60へ出力する。
このように、温度補償機能を有効にしたときには、発振回路20における発振容量の値の調整と、可変分周回路60における分周比(逓倍数)の調整の組み合わせによって、水晶片の温度特性に基く発振周波数の変動を補償して、常に一定周波数の出力信号を出力端子26に出力させることができる。
この実施形態においても、発振回路20の振動子として、水晶片に代えて他の圧電素子を使用することもできる。
この図7に示す温度補償型発振器は、その選択回路40′が図1に示した選択回路40からNAND回路43とインバータ44を除いた回路であり、図1に示した温度補償型発振器における不揮発性メモリによる選択情報記憶回路50に代えて、所定の導電パターン56を用いた選択情報記憶回路55を設けている。なお、図1における外部端子52は設けていない。
12:溶接リング 13:カバー 15:水晶片(振動子)
16:IC(集積回路) 17:チップ容量等の回路素子
18:温度検出回路 19:不揮発性メモリ 20:発振回路
21:インバータ 22:帰還抵抗 23,24:電圧制御型可変容量
25:出力線 26:出力端子 27:第1の容量アレイ
28:第2の容量アレイ 30,30′:温度補償回路
31:補償データ記憶回路 32:D/A変換回路
33:補償データ出力回路 40,40′:選択回路(選択手段)
40A:第1の選択回路 40B:第2の選択回路
41,42:トランスミッションゲート 47,48:デジタルゲート回路
50:選択情報記憶回路 51:定電圧発生回路
52:外部端子(制御情報入力端子) 55:選択情報記憶回路
56:導電パターン 57:正の電源ライン 58:抵抗
60:可変分周回路
Claims (2)
- 水晶片等の圧電素子を備えた温度変化に伴って発振周波数が変化する発振回路と、該発振回路の発振出力に基いて信号を出力する出力線と、前記発振回路近傍の温度状態を検出する温度検出回路と、該温度検出回路からの出力に基づいて前記出力線に出力される信号の周波数を略一定値に保つための温度補償回路とを有する温度補償型発振器において、
前記温度補償回路の温度補償機能を有効状態にするか無効状態にするかを選択する選択手段と、該選択手段の選択状態を制御するための制御情報を記憶する選択情報記憶回路とを設け、
該選択手段は、前記選択情報記憶回路からの制御情報に応じて、前記温度補償回路の温度補償機能を有効状態にする場合には、前記温度補償回路に前記発振回路の発振容量の値を前記温度検出回路によって検出される温度に依存して変化させるようにし、前記温度補償機能を無効状態にする場合には、前記発振回路の発振容量を所定の容量値に固定させるようにし、
前記選択情報記憶回路は、前記制御情報として複数ビットの選択情報を記憶する不揮発性メモリからなり、該選択情報の複数ビットが初期状態とは異なる予め決められた組み合わせにおいてのみ前記温度補償回路の温度補償機能を有効状態にし、該組み合わせ以外においては前記温度補償機能を無効状態にすることを特徴とする温度補償型発振器。 - 請求項1に記載の温度補償型発振器において、
前記温度補償回路の温度補償データを記憶する補償データ記憶回路を設け、
前記選択情報記憶回路と前記補償データ記憶回路とが一体の記憶回路であることを特徴とする温度補償型発振器。
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