JP5306680B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器に関するものである。
現在広く一般に使用されている電子時計等の計時機能を有する電子機器は、計時の基準となるクロック信号を生成する発振手段、この発振手段の出力信号を分周して計時単位となるクロック信号を生成する分周手段、この分周手段の出力信号に基づいて表示駆動信号を出力する表示駆動手段、およびこの表示駆動手段によって駆動され時刻を表示する表示手段から構成されている。
従来電子機器の構成を電子時計を例に説明する。図14は、従来例における電子時計の構成を示す図である。発振手段1403は水晶振動子1401と発振回路1402からなり、発振回路1402と分周手段1405および表示駆動手段1406は単一の集積回路1407化されている。表示駆動手段1406には分周手段1405から計時単位となるクロック信号が入力されるが、加えて針式の時刻表示手段1408では運針をスムーズにするため分周前の高周波数クロック信号が表示駆動手段1406に供給される場合も多い。またクロノグラフ機構をもつ電子時計においてはやはり高周波数のクロック信号が表示駆動手段1406に供給される。
限られた容量の電池で長期間連続して動作を行わなければならない電子時計においては、消費電力を低く抑えることが重要であるが、図14に示した従来の構成は低消費電力化に非常に有効である。発振回路1402から出力される周波数の高いクロック信号が集積回路1407外部に出力されずに、寄生容量が小さい集積回路1407内部で伝播されるため、寄生容量を充放電するための無駄な電力消費を最低限に抑えることができるためである。このような構成の電子機器としては例えば特許文献1に開示されている。
前記従来の構成では集積回路1407と水晶振動子1401との接続部分は集積回路1407外部に露出されており、周波数の高い発振信号が伝播されている。しかし水晶発振回路は共振回路として構成されているため、この接続部分に付加された寄生量容は発振負荷容量に繰り込まれ電力を消費することはない。
特開平6−259164号公報
しかし従来の構成には以下のような問題点がある。まず発振回路1402と水晶振動子1401との接続部分が集積回路1407の外部に露出しているため湿度による周波数変化が生じやすいことである。電子時計の筐体は防水構造になっているものが多いが、湿度までを完全にシャットアウトできる気密封止の構造にはなっていないため周囲の湿度によって発振回路1402の負荷容量に微妙な変化が生じ、時刻の進みや遅れにつながる。
また、水晶振動子1401の温度に対する発振周波数の変化を補償するための温度補償手段を電子時計に組み込もうとした場合、正確な温度補償のためには実際に高温、低温の状況下に発振手段1403を晒して、それぞれの温度における補償データを収集する必要があるが、従来の構成では発振手段1403を電子時計本体から切り分けられないため電子時計本体を調整装置に入れてデータを取らなければならなかった。
さらに発振回路1402は分周手段1405、表示駆動手段1406と共に一つの集積回路1407に形成されているため、発振回路1402に例えば温度補償手段等の何か新しい機構を付加させたい場合、集積回路1407を一から設計し直さなければならないという欠点もある。
前記課題に対して、発振回路を集積回路から独立させ、発振回路と水晶振動子を気密封止された同一のパッケージに収めた、いわゆる水晶発振器を発振手段として使用することで対策が可能である。しかしこの場合には、発振器から出力された高周波数のクロック信号が分周手段、表示駆動手段で形成される集積回路に入力されるまでの間、集積回路の外部を通過するため多くの寄生容量が付加され、この寄生容量を充放電する電流により消費電力が著しく増加してしまうという問題が新たに生じる。
そこで本発明は以上のような点に鑑みてなされたものであり、高精度であり低消費電力な電子機器を提供することを目的とするものである。
上記問題を解決するため本発明の電子機器は、少なくとも、クロック信号を出力する発振手段と、この発振手段とは独立した集積回路として形成され、前記発振手段から出力されたクロック信号を受信するクロック信号受信手段とを備え、前記発振手段に含まれ、前記発振手段から出力されたクロック信号の振幅を前記クロック信号受信手段で最低限必要とされる振幅よりも小さい振幅に低減させる振幅低減手段と、前記集積回路内に形成され、前記振幅低減手段により振幅が低減されたクロック信号の振幅を前記クロック信号受信手段で最低限必要とされる振幅に増幅して前記クロック信号受信手段に出力する振幅増幅手段とを備えることを特徴とする。
このような構成にすれば、発振手段から出力されるクロック信号の振幅を低減していることにより発振手段出力からクロック信号受信手段間での寄生容量による消費電力を最小限に抑えることができ、電子機器の低消費電力化を達成することが可能となる。
本発明の電子機器は、前記クロック信号受信手段は、前記発振手段から出力されたクロック信号を計時単位となる信号に分周して出力する分周回路で構成されると共に、この分周回路の出力信号に基づいて時刻情報を表示する時刻表示手段を備えることができる。
さらに本発明の電子機器は、前記発振手段に定電圧を供給する定電圧供給手段を備えることができる。
さらに本発明の電子機器は、前記発振手段から出力されたクロック信号の温度による出力周波数変動を補償する補償手段を備えることができる。
このような構成にすれば、温度を変化させて補償用データを取得する場合、発振手段単体のみでデータ取得が可能なため、電子機器本体で調整する場合に比べて、装置も小型で済み、効率よく調整を行うことが可能となる。
さらに本発明の電子機器は、前記発振手段と前記振幅低減手段は、気密封止された同一空間内に収めることができる。
このような構成にすれば、発振手段が気密封止されたパッケージに収められていることにより湿度による周波数変化を完全に防止することが可能となる。
本発明によれば、発振手段から出力されるクロック信号の振幅を低減していることにより発振手段出力からクロック信号受信手段間での寄生容量による消費電力を最小限に抑えることができ、高精度で低消費電力な電子機器を提供することが可能となる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本実施例における電子機器を示す構成図である。クロック信号を出力するための発振手段103は、水晶振動子101と発振回路102からなり、気密封止された同一パッケージ内に収納されている。発振手段103の後段には、発振手段103から出力されたクロック信号の振幅を増幅しするための振幅増幅手段104が備えられており、さらにその後段には発振手段103より出力されたクロック信号の受信手段となる分周手段105、表示駆動手段106とにより構成され、時刻表示手段108と接続されている。振幅増幅手段104および分周手段105、表示駆動手段106は一体の集積回路107として形成されている。
次に本実施例の電子機器の動作について説明する。発振手段103からは後段の分周手段105や表示駆動手段106が正常に動作するのに最低限必要とされる信号振幅と比べて小さな振幅のクロック信号が出力される。発振手段103より出力されたクロック信号は、振幅増幅手段104に入力され、入力された微小振幅のクロック信号はこの振幅増幅手段104により必要な振幅に増幅されて後段回路に供給される。発振手段103より出力されたクロック信号は配線パターン等に生じる寄生容量に対する充放電電流によって大きな電力を消費するが、この充放電電流はクロック信号の振幅の実効値に比例するため、発振手段103から出力されるクロック信号の出力振幅を微小なものにすることにより、充放電電流による電力消費をわずかなものに抑えることが可能である。
以下に本実施例の電子機器の各要素について具体的に説明する。
〔発振手段〕
図2は、本実施例の発振手段の構成を示す図である。発振手段103は、定電圧供給手段201を備えており、この定電圧供給手段201が供給する電圧により発振回路102を駆動する構成である。供給する電圧を非常に小さなものにすることにより発振回路102から出力されるクロック信号の振幅も小さく抑えることができる。
定電圧供給手段201は図2に示すように独立して設けることも可能だが、スペース効率の観点から言えば発振回路102と合せて集積回路化することが望ましい。また集積回路107に組み込むことも可能である。
定電圧供給手段201の供給電圧を極端に小さくした場合、水晶振動子101の発振が困難になるという問題があるが、その際には図3に示すようなゲート分離構成のインバータ回路を用いるのが有効である。発振用インバータ回路のゲートをコンデンサ301および302で分離して、PNそれぞれのトランジスタ303および304にそれぞれのトランジスタのゲート・ソース間電圧ができるだけ大きくなるようなバイアス電圧を別個に印加することにより、通常のインバータを用いた発振回路に比べてより低い電圧での駆動が可能になる。
図4は、本実施例の発振手段の別の構成を示す図である。振幅低減手段401を備え、発振回路102から出力されたクロック信号の振幅をこの振幅低減手段401によって低減して外部に出力する。発振回路102から振幅低減手段401間に大きな寄生容量が付加しないよう、発振回路と振幅低減手段は同一の集積回路内に作りこまれることが望ましい。
振幅低減手段の具体的な回路構成の一例を図5に示す。低い電圧を供給する定電圧供給手段501を備え、出力用インバータ回路503をこの定電圧供給手段501の供給電圧で駆動することにより発振回路101から出力された波形の振幅が低減されて発振手段外部に出力される。また図5では発振回路が直接電池502を電源として駆動されているが、定電圧供給手段501よりは出力電圧の大きい別の定電圧供給手段によって駆動することも可能である。
図5の回路で定電圧供給手段501の供給電圧が著しく低い場合、出力用インバータ回路503のPチャンネルトランジスタのゲート・ソース間電位が低下して正常な波形が出力されないという問題がある。この場合には図6に示す回路のように、発振回路102の出力をコンデンサ601で遮断してインバータ回路503入出力間に帰還抵抗602を設けて帰還をかけることでバイアス電位を中点にもってくる回路や、図7に示す回路のように、Pチャンネルトランジスタ703の入力をコンデンサ701で遮断してゲート・ソース間に大きなバイアス電位をかける回路を用いると良い。
また図8に示す回路のようにPチャンネルトランジスタを抵抗801に置き換えた回路も、図5の回路に比べ低い電圧での駆動が可能である。
専用の定電圧供給手段を持たない振幅低減手段の具体的な回路構成を図9に示す。インバータ回路を構成するPチャンネル903、Nチャンネル904それぞれのトランジスタのドレインに1段あるいは多段のダイオード901および902を順方向に挿入することで出力振幅を低減する。ダイオードには通常0.6ボルト程度の順方向降下電圧が発生するので、例えばダイオードがない場合の出力電圧が0ボルト−2ボルトの振幅を持っていた場合、ダイオードを各1段設けることで0.6ボルト−1.4ボルトの振幅に低減することができる。
図9の回路では振幅低減手段の電源電圧の供給を発振回路と共通な定電圧供給手段905から行っているが、電池502から直接供給する構成ももちろん可能である。また振幅低減幅が小さくてよい場合はPNどちらかのトランジスタ片側のみのドレインにダイオードを入れても良い。
前記した種々の振幅低減手段の構成は単独で使用しても効果があるが、組み合わせて使うことでより大きな効果を得ることができる。
〔振幅増幅手段〕
次に集積回路107に入力された微小振幅のクロック信号の振幅を増幅して、分周手段105および表示駆動手段106に供給する振幅増幅手段の具体的な回路構成について説明する。
振幅増幅手段の具体的な回路構成の一例を図10に示す。時計用集積回路107に入力された小振幅のクロック信号をコンデンサ1001で直流カットしてインバータ回路1003に入力する。インバータ回路1003の入出力を高抵抗1002で接続することにより、インバータ回路1003入力バイアス電圧が最適化されるため、入力された小振幅のクロック信号の振幅が必要振幅まで増大されて、分周回路105および表示駆動回路106に供給される。
振幅増幅手段の別の回路構成を図11に示す。入力された低振幅のクロック信号でNチャンネルトランジスタ1101および1102を駆動し、その出力でPチャンネルトランジスタ1103および1104を駆動して電源電圧振幅のクロック信号を出力する構成で、小振幅のクロック信号でPチャンネルトランジスタを直接駆動することが難しいという問題を解決している。
図10、図11の振幅増幅手段1段のみでは十分な振幅のクロック信号が得られない場合には、それぞれを複数段設けたり、あるいは回路を組み合わせて使用したりすることで必要な振幅を得ることが可能である。
図10および図11に示した集積回路は定電圧駆動手段によって駆動される構成になっているが、電池電圧で直接駆動することも可能である。
水晶振動子の発振周波数は温度によって数ppmから数十ppm程度変化するため、これを源振とする電子機器は温度によって時刻の遅れや進みを生じる。高精度の電子機器ではこの温度による時刻の狂いを抑えるため、温度補償手段が組み込まれているものが多い。
従来の電子機器における温度補償には、水晶振動子の発振周波数自体を補償する方式と、出力されたクロック波形のクロック数を増減させることで等価的に周波数を補償する方式が存在する。いずれの方式においても精度の良い温度補償を行うためには、個々の製品毎に高低温環境下に実際に晒して周波数調整を行う必要があるが、従来製品はこの調整を電子機器完成体で行わなければならないため、調整装置の大型化や調整の手間の増大を招いていた。
図12は、本実施例の電子機器の構成を示す図である。実施例1との相違点は、発振回路に温度補償手段を設けた点にある。発振手段が集積回路107から独立しているため、図12に示すように温度補償手段1201を発振手段1203に組み込む構成にすることで、上記温度を振っての周波数調整を発振手段1203のみで行うことが可能である。発振手段は単一パッケージに収められていて小型化が容易であり、形状も通常単純な直方体であるため、電子機器本体で調整する場合に比べて、はるかに調整装置も小型で済み、効率よく調整を行うことが可能である。
上記温度補償手段1201は発振回路1202とともに単一の集積回路化することで、発振手段の小型化および低価格化に貢献する。
温度補償手段の基本的な構成例を図13に示す。周囲温度を測定するための温度センサー1302、外部から書き込まれた補償データを保存するためのメモリー回路1301、温度信号と補償データに基づいて補償信号を試生成する補償信号生成手段1303からなり、書き込まれた情報と周辺温度によって最適な補償信号が発振回路1202に送られる。
本体では発振手段単体に対して温度補償データの取得と書き込みを行って、その後発振手段を電子機器に実装する製造工程が可能であり、従来に比べはるかに簡単に高精度の電子機器を製造することができる。
本発明の一実施例における電子機器を示す構成図。 本発明の一実施例における電子機器の発振手段の構成図。 本発明の一実施例における電子機器の発振回路の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の発振手段の構成図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅低減手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅低減手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅低減手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅低減手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅低減手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅増幅手段の回路図。 本発明の一実施例における電子機器の振幅増幅手段の回路図。 本発明の一実施例の電子機器において温度補償手段を組み込んだ構成図。 本発明の一実施例における電子機器の温度補償手段の構成図。 従来例における電子時計の構成図。
符号の説明
101、1401:水晶振動子
102、1202、1402:発振回路
103、403、1203、1403:発振手段
104:振幅増幅手段
105、1405:分周手段
106、1406:表示駆動手段
107、1407:集積回路
108、1408:時刻表示手段
201、501、905、1005:定電圧供給手段
202、502:電池
401:振幅低減手段
1201:温度補償手段
1301:メモリー回路
1302:温度センサー
1303:補償信号生成手段

Claims (5)

  1. 少なくとも、クロック信号を出力する発振手段と、この発振手段とは独立した集積回路として形成され、前記発振手段から出力されたクロック信号を受信するクロック信号受信手段とを備える電子機器であって、
    前記発振手段に含まれ、前記発振手段から出力されたクロック信号の振幅を前記クロック信号受信手段で最低限必要とされる振幅よりも小さい振幅に低減させる振幅低減手段と、前記集積回路内に形成され、前記振幅低減手段により振幅が低減されたクロック信号の振幅を前記クロック信号受信手段で最低限必要とされる振幅に増幅して前記クロック信号受信手段に出力する振幅増幅手段とを備えることを特徴とする電子機器。
  2. 前記クロック信号受信手段は、前記発振手段から出力されたクロック信号を計時単位となる信号に分周して出力する分周回路で構成されると共に、この分周回路の出力信号に基づいて時刻情報を表示する時刻表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記発振手段に定電圧を供給する定電圧供給手段を備えることを特徴とする請求項1、または2に記載の電子機器。
  4. 前記発振手段から出力されたクロック信号の温度による出力周波数変動を補償する補償手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子機器。
  5. 前記発振手段と前記振幅低減手段は、気密封止された同一空間内に収められていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子機器。
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