以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に示す各実施形態では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(ガスセンサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサ(以下、空燃比センサともいう)について説明する。
[第1実施形態]
(1)空燃比センサ全体の構成
図1は、本発明を適用した実施形態の空燃比センサ2の全体構成を示す断面図である。
空燃比センサ2は、排気管に固定するためのネジ部39が外表面に形成された筒状の主体金具38と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす検出素子4と、検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔68の内壁面が検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材66と、検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に配置される5個の接続端子10(本発明の金属端子部材に相当)と、を備えている。
検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に保護層に覆われた検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,31,32,34,36が形成されている。接続端子10は、検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に配置されることで、検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。また、接続端子10は、外部からセンサの内部に配設されるリード線46にも電気的に接続されており、リード線46が接続される外部機器と電極端子部30,31,32,34,36との間に流れる電流の電流経路を形成する。
主体金具38は、軸線方向に貫通する貫通孔54を有し、貫通孔54の径方向内側に突出する棚部52を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具38は、検出部8を貫通孔54の先端側外部に配置し、電極端子部30,31,32,34,36を貫通孔54の後端側外部に配置する状態で貫通孔54に挿通された検出素子4を保持するよう構成されている。さらに、棚部52は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
なお、主体金具38の貫通孔54の内部には、検出素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、有底筒状の金属ホルダ58、環状形状のセラミックホルダ51、第1粉末充填層53(以下、滑石リング53ともいう)、第2粉末層56および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ6と主体金具38の後端部40との間には、加締リング57が配置されている。なお、主体金具38の後端部40は、加締リング57を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
ここで、検出素子4の概略構造を表す斜視図を、図2に示す。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略して検出素子4を表している。
検出素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された素子部20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられる検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
まず、素子部20は、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、同じく固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプ素子と、これらの両素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサとから構成される。この固体電解質基板は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の測定ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と、酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。なお、測定ガス室は、素子部20の先端側に位置するように形成されており、この測定ガス室が形成される部分が検出部8に相当する。
ついで、ヒータ22は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。また、検出素子4のうち検出部8が形成される先端側の表面には、被毒防止用の保護層(図示省略)が形成される。
このような検出素子4では、図2に示すように、第1板面21の後端側(図2における右側)に3個の電極端子部30,31,32が形成され、第2板面23の後端側に2個の電極端子部34,36が形成されている。電極端子部30,31,32は、素子部20に形成されるものであり、1つの電極端子部は、測定ガス室の内側に露出する酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極と共用する形で電気的に接続される。また、電極端子部30,31,32のうち残りの2つの電極端子部は、酸素濃淡電池素子の他方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の他方の多孔質電極と各々電気的に接続されている。また、電極端子部34,36は、ヒータ22に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切るビア(図示せず)を介して発熱抵抗体パターンの両端に各々接続されている。
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部8が排気管に固定される主体金具38の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,31,32,34,36が主体金具38の後端より突出した状態で、主体金具38の内部に固定される。
一方、図1に示すように、主体金具38の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)の二重の外部プロテクタ42および内部プロテクタ43が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具38の後端側外周には、外筒44が固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される5本のリード線46が挿通されるリード線挿通孔61が形成されたグロメット50が配置されている。
また、主体金具38の後端部40より突出された検出素子4の後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材66が配置される。尚、この絶縁コンタクト部材66は、検出素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,34,36の周囲に配置されている。
(2)絶縁コンタクト部材66の構成
次に、絶縁コンタクト部材66について、図1、図3、図4および図7に基づいて説明する。図3は、先端側から見たときの絶縁コンタクト部材66の外観を表す斜視図であり、図4は、後端側から見たときの絶縁コンタクト部材66の外観を表す底面図であり、図7は、接続端子10が配置された状態の絶縁コンタクト部材66の外観を表す底面図である。図4において破線で示している検出素子4は、5つの接続端子10が所定の位置にそれぞれ配置された絶縁コンタクト部材66に対して検出素子4を挿通し組み付けたときの、検出素子の配置状態を仮想的に示したものである。
図3に示すように、絶縁コンタクト部材66は、アルミナからなり、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔68を有する筒状形状に形成されると共に、外表面から径方向外向きに突出する鍔部67が備えられている。絶縁コンタクト部材66は、鍔部67が外筒44の外筒側支持部64に当接することで、外筒44の内部に配置される。なお、外筒側支持部64は、外筒44において内向きに突出する形態で形成されている(図1参照)。
そして、コンタクト挿通孔68のうち検出素子4の第2板面23(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第1リブ部76が形成されている。第1リブ部76は、2個の接続端子10(詳細には第1接続端子11および第2接続端子111)をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための2つの溝状の端子配置溝(第1端子配置溝71、第2端子配置溝72)の境界を形成する挿通孔内接続端子境界部として備えられている。そして、各端子配置溝71,72は、それぞれ、検出素子4の第2板面23における電極端子部34,36に対応する位置に形成されている。
また、コンタクト挿通孔68のうち検出素子4の第1板面21(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第2リブ部77および第3リブ部78がそれぞれ形成されている。図1では第2リブ部77のみ示されている。
これら第2リブ部77および第3リブ部78は、3個の接続端子10(詳細には第3接続端子251、第4接続端子271、第5接続端子211;後述の図7参照)をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための3つの溝状の端子配置溝(第3端子配置溝73、第4端子配置溝74、第5端子配置溝75)の境界を形成する挿通孔内接続端子境界部として備えられている。図1では第5端子配置溝75のみ示されている。具体的には、第2リブ部77が第4端子配置溝74と第5端子配置溝75の境界を形成し、第3リブ部78が第5端子配置溝75と第3端子配置溝73の境界を形成している。そして、各端子配置溝73,74,75は、それぞれ、検出素子4の第1板面21における電極端子部32,30,31に対応する位置に形成されている。
各リブ部76,77,78は、隣接する端子配置溝に配置される接続端子10どうしが接触するのを阻止する機能を有しており、隣接して配置される接続端子10どうしが電気的に導通するのを阻止することにより、電流経路が不良となるのを防止できる。
また、絶縁コンタクト部材66の先端面(図3における下側の面)には、図4に示すように、コンタクト挿通孔68の先端側開口部に繋がる形態で形成される5つの係止用溝部、即ち、第1係止用溝部86、第2係止用溝部87、第3係止用溝部88、第4係止用溝部89および第5係止用溝部90を備えている。
絶縁コンタクト部材66の先端面には、図4および図7に示すように、3つの凸起部、即ち、第1凸起部81、第2凸起部82および第3凸起部83と、2つの凸条部、即ち、第1凸条部84および第2凸条部85が形成されている。
そして、第1係止用溝部86は、第1凸起部81と第2凸起部82との間で第1端子配置溝71に繋がるように形成されている。この第1係止用溝部86は、5つの接続端子10のうち後述する第1接続端子11(図5参照)の第1端子係止部18の一部(第1端子本体部12から径方向外側に向けて延設されている部分)を配置可能に形成されている。
第2係止用溝部87は、第2凸起部82と第3凸起部83との間で第2端子配置溝72に繋がるように形成されている。この第2係止用溝部87は、5つの接続端子10のうち後述する第2接続端子111(図7参照)の第2端子係止部118の一部(図示しない第2端子本体部から径方向外側に向けて延設されている部分)を配置可能に形成されている。なお、第2接続端子111は、その形状の一部が第1接続端子11(図5参照)と異なるのみである。これについては後述する。
第3係止用溝部88は、第3凸起部83と第1凸条部84との間で第3端子配置溝73に繋がるように形成されている。この第3係止用溝部88は、5つの接続端子10のうち後述する第3接続端子251(図7参照)の第3端子係止部258の一部(図示しない第3端子本体部から径方向外側に向けて延設されている部分)を配置可能に形成されている。なお、第3接続端子251は、その形状自体は第1接続端子11(図5参照)と同じであり、第1接続端子11と異なるのは部分的な寸法のみである。これについては後述する。
第4係止用溝部89は、第2凸条部85と第1凸起部81との間で第4端子配置溝74に繋がるように形成されている。この第4係止用溝部89は、5つの接続端子10のうち後述する第4接続端子271(図7参照)の第4端子係止部278の一部(図示しない第4端子本体部から径方向外側に向けて延設されている部分)を配置可能に形成されている。なお、第4接続端子271は、その形状自体は第2接続端子111と同じであり、第2接続端子111と異なるのは部分的な寸法のみである。これについては後述する。
第5係止用溝部90は、第1凸条部84と第2凸条部85との間で第5端子配置溝75に繋がるように形成されている。この第5係止用溝部90は、5つの接続端子10のうち後述する第5接続端子211(図6参照)の第5端子係止部218の一部(第5端子本体部212から径方向外側に向けて延設されている部分)を配置可能に形成されている。
なお、図4に示すように、第2凸起部82の一部(第1端子配置溝71と第2端子配置溝72の間に位置する部分)は、第1リブ部76の先端部分から連続する形状に形成されており、第1凸条部84の一部(第3端子配置溝73と第5端子配置溝75の間に位置する部分)は、第3リブ部78の先端部分から連続する形状に形成されており、第2凸条部85の一部(第5端子配置溝75と第4端子配置溝74の間に位置する部分)は、第2リブ部77の先端部分から連続する形状に形成されている。
そして、5つの端子配置溝のうち、第5端子配置溝75を除く4つの端子配置溝71、72,73,74は、より詳細には、次のような形状となっている。即ち、図4に示すように、第1接続端子11が配置される第1端子配置溝71は、検出素子4の電極端子部34が面するように形成されている。そして、検出素子4の第2板面23と平行になるように(つまり電極端子部34における端子接触面と平行になるように)形成された第1背壁91と、この第1背壁91に繋がるように形成されると共にこの第1背壁91に対して垂直となるように形成された第1側壁92と、この第1側壁92に繋がるように形成されると共にこの第1側壁92から一定の角度(鋭角)だけ屈曲するように形成された第1傾斜壁93とを有する。第1リブ部76は、第1背壁91における第1側壁92側とは反対側から検出素子4に向けて垂直に立設された構成となっている。
第1側壁92と第1傾斜壁93とのなす角は、第1端子配置溝71の内部からみれば、鈍角である。この角度は、より詳細には、第1端子配置溝71に第1接続端子11が配置されたとき以後(図7参照)、検出素子4の挿入時の外力やセンサ2の実際の使用環境下における何らかの外力を受けても、この第1接続端子11が従来のように(図16参照)傾いてしまわない程度の角度にされている。
なお、第1端子配置溝71の内部からみた第1側壁92と第1傾斜壁93とのなす角(鈍角)を、以下の説明では「壁部屈曲角」ともいう。後述する第2端子配置溝72、第3端子配置溝73、第4端子配置溝74のそれぞれにおける側壁と傾斜壁とのなす角(鈍角)についても同様である。
第2接続端子111が配置される第2端子配置溝72は、検出素子4の電極端子部36が面するように形成されている。そして、検出素子4の第2板面23と平行になるように(つまり電極端子部36における端子接触面と平行になるように)形成された第2背壁94と、この第2背壁94に繋がるように形成されると共にこの第2背壁94に対して垂直となるように形成された第2側壁95と、この第2側壁95に繋がるように形成されると共にこの第2側壁95から一定の角度だけ屈曲するように形成された第2傾斜壁96とを有する。第1リブ部76は、第2背壁94における第2側壁95側とは反対側から検出素子4に向けて垂直に立設された構成となっている。
第2側壁95と第2傾斜壁96とのなす角(壁部屈曲角)も、第2端子配置溝72の内部からみれば鈍角であり、この角度は、第1端子配置溝71における壁部屈曲角と同じである。
第3接続端子251が配置される第3端子配置溝73は、検出素子4の電極端子部32が面するように形成されている。そして、検出素子4の第1板面21と平行になるように(つまり電極端子部32における端子接触面と平行になるように)形成された第3背壁131と、この第3背壁131に繋がるように形成されると共にこの第3背壁131に対して垂直となるように形成された第3側壁132と、この第3側壁132に繋がるように形成されると共にこの第3側壁132から一定の角度だけ屈曲するように形成された第3傾斜壁133とを有する。第3リブ部78は、第3背壁131における第3側壁132側とは反対側から検出素子4に向けて垂直に立設された構成となっている。
第3側壁132と第3傾斜壁133とのなす角(壁部屈曲角)も、上述した第1端子配置溝71における壁部屈曲角と同じ角度である。
第4接続端子271が配置される第4端子配置溝74は、検出素子4の電極端子部30が面するように形成されている。そして、検出素子4の第1板面21と平行になるように(つまり電極端子部30における端子接触面と平行になるように)形成された第4背壁134と、この第4背壁134に繋がるように形成されると共にこの第4背壁134に対して垂直となるように形成された第4側壁135と、この第4側壁135に繋がるように形成されると共にこの第4側壁135から一定の角度だけ屈曲するように形成された第4傾斜壁136とを有する。第2リブ部77は、第4背壁134における第4側壁135側とは反対側から検出素子4に向けて垂直に立設された構成となっている。
第4側壁135と第4傾斜壁136とのなす角(壁部屈曲角)も、上述した第1端子配置溝71における壁部屈曲角と同じ角度である。
このように、検出素子4の板面に形成された5つの電極端子部30,31,32,34,36のうち、検出素子4の幅方向における端部に形成された4つの電極端子部30,32,34,36に対応するように第1端子配置溝71、第2端子配置溝72、第3端子配置溝73および第4端子配置溝74が形成されている。そして、これら4つの端子配置溝71,72,73,74にはいずれも、上述の通り、背壁、側壁および傾斜壁が形成されている。なお、検出素子4の幅方向とは、軸線方向に垂直で、かつ検出素子4における第1板面21(又は第2板面23)に平行となるような方向である。
(3)接続端子10の構成
次に、接続端子10について説明する。本実施形態の空燃比センサ2が備える5つの接続端子10は、端子係止部の形状および後述する固定ガイド部の形状・有無の違いで大きく分類すれば、端子係止部を有するものの固定ガイド部を有しない接続端子(第5接続端子211;図6参照)と、端子本体部側から検出素子4側をみたときに端子係止部および固定ガイド部がいずれも左側に延設されている接続端子10(第1接続端子11(図5参照)および第3接続端子251(詳細は図示略。図7参照。))と、端子本体部側から検出素子4側をみたときに端子係止部および固定ガイド部がいずれも右側に延設されている接続端子10(第2接続端子111および第4接続端子271(いずれも詳細は図示略。図7参照。))との3種類に分類される。
ただし、端子係止部および固定ガイド部がいずれも左側に延設されている接続端子10である第1接続端子11および第3接続端子251についても、その形状は同じであるが、端子本体部などの寸法が若干異なっている。また、端子係止部および固定ガイド部がいずれも右側に延設されている接続端子10である第2接続端子111および第4接続端子271についても、その形状は同じであるが、やはり端子本体部などの寸法が若干異なっている。
つまり、5つの接続端子10は、厳密にいえば、それぞれ異なる5種類の接続端子として形成されている。以下、これらの各接続端子10について、図5及び図6に基づいて説明する。なお、上述したように、第3接続端子251は第1接続端子11と、第4接続端子271は第2接続端子111と同形状であり、且つ第2接続端子111は、第1接続端子11とは端子係止部および固定ガイド部の端子本体部からの突出方向が左右で異なる以外は同形状である。そのため、第1接続端子11と第5接続端子211のみを説明し、第2接続端子111、第3接続端子251及び第4接続端子271の説明は一部省略する。
図5は、第1端子配置溝71に配置される第1接続端子11の外観を表す図であり、左側は斜視図、右側は側面図である。図6は、第5端子配置溝75に配置される第5接続端子211の外観を表す図であり、左側は斜視図、右側は側面図である。なお、本実施形態の接続端子10は、高温に繰り返し晒されても弾性(バネ弾性)を維持可能な周知の材料(例えば、インコネルやステンレス鋼等)にて形成されている。
まず、第1接続端子11について、図5に基づいて説明する。第1接続端子11は、軸線方向に延びる長尺状の板状部材からなる第1端子本体部12と、第1端子本体部12の先端から延びると共に、自身の一部が第1端子本体部12と検出素子4との間に配置されるように軸線方向に延びる第1素子当接部15と、を備えている。第1素子当接部15には、その軸線方向における略中間部において、検出素子4の電極端子部34側に突出するように屈曲された第1当接突起部16が形成されている。
なお、第1接続端子11は、第1端子本体部12の先端側に、絶縁コンタクト部材66の第1係止用溝部86(図4参照)に配置可能に形成された第1端子係止部18を備えている。第1端子係止部18は、第1端子本体部12の先端側面から板面に対する垂直方向に向けて延設されると共に、一定長延設された所で、第1端子本体部12から離れる方向へ直角に屈曲されることにより、当該第1端子本体部12の板面に平行となる部分を有するよう構成されている。
この第1端子係止部18は、より詳細には、その延設部分が第1係止用溝部86に配置される。そして、延設部分の先端側から屈曲した、第1端子本体部12の板面に平行な部分は、第1凸起部81と第2凸起部82との間に形成される凹部空間(第1係止用溝部86を含む)において第1凸起部81の側面に沿うように配置される(後述する図7参照)。
第1素子当接部15は、第1端子本体部12の先端に連結されると共に径方向内側に屈曲して方向転換する第1連結側端部13を有する一方、第1接続端子11自身の自由状態において、軸線方向後端部となる第1開放側端部14が第1端子本体部12から離れた状態となるように形成されている。この第1開放側端部14は、第1接続端子11が検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に挟持されることにより第1連結側端部13が弾性変形した場合に、第1端子本体部12に当接する。
また、第1素子当接部15は、第1当接突起部16が形成された軸線方向中間部から、第1端子本体部12までの間隙寸法が、第1開放側端部14から第1端子本体部12までの間隙寸法に比べて長くなるように湾曲した円弧状形状に形成されている。そして、円弧状形状のうち、凸側表面における第1当接突起部16が、検出素子4に当接するように形成されている。
なお、図5では図示を省略したものの、第1接続端子11は、第1端子本体部12の後端部(図5における上端部)に、第1端子本体部12よりも幅広に形成されたリード線接続部を一体に備えている。このリード線接続部は、曲げ加工により略筒状形状に形成された後、リード線46(図1参照)の芯線が内部に挿通された状態で径方向内向きに加締められることで、リード線46と接続される。
さらに、本実施形態の第1接続端子11は、第1端子本体部12の軸線方向略中間部における、第1端子係止部18が延設される側と同じ側に、第1端子固定ガイド部17が形成されている。なお、固定ガイド部(具体的には、第1端子固定ガイド部17、第2端子固定ガイド部117、第3端子固定ガイド部257、第4端子固定ガイド部277;図7参照)が本発明の固定部に相当する。
この第1端子固定ガイド部17は、図5に示すように、第1端子本体部12の軸線方向略中間部の側面の一方から板面と同一平面となるように側方へ向けて延設されると共に、一定長延設されたところで、第1端子本体部12の板面に対して垂直方向であって検出素子4に近づく方向(即ち、第1素子当接部15側)へ屈曲されて形成された第1張り出し部26と、この第1張り出し部26のうち検出素子4側へ直角に屈曲した後の部分(以下この部分を「屈曲側延設部」ともいう)における軸線方向先端側から延設された、第1固定接触部27とにより構成される。
第1端子固定ガイド部17を構成する第1固定接触部27は、本発明の移動抑制手段に相当するものであり、第1張り出し部26における屈曲された後の部分(屈曲側延設部)の軸線方向先端側から、この屈曲側延設部の板面に対して所定の角度(例えば、約30°)で第1端子本体部12から離れるように屈曲し、且つ、先端側にかけて徐々に幅が狭くなるようなテーパ状の形状にて延設されている。テーパ状に延設されたこの第1固定接触部27の先端部は円弧状に形成されている。
この第1固定接触部27は、後述するように、その先端側に対して第1端子本体部12の幅方向のうち第1端子本体部12へ向かう方向の外力が加わったときに、第1端子本体部12側へ弾性変形できるように形成されている。なお、第1端子本体部12の幅方向とは、軸線方向に垂直で、かつ第1素子当接部15と第1端子本体部12との隙間間隔方向に垂直となる方向である。
次に、第2接続端子111について簡単に説明する。第2接続端子111が上述した第1接続端子11と比べて異なる部分は、基本的には、端子本体部から延設される端子固定ガイド部および端子係止部の形成位置のみである。
即ち、第1接続端子11は、背面側(第1端子配置溝71の第1背壁91と対向・接触する面側)からみたとき、第1端子固定ガイド部17および第1端子係止部18がいずれも、第1端子本体部12の左側面側から延設されているのに対し、第2接続端子111は、図7に示すように、背面側からみたとき、第2端子固定ガイド部117および第2端子係止部118がいずれも、第2端子本体部(図示略。第1接続端子11の第1端子本体部12に対応する部分。)の右側面側から延設されている。このように、端子固定ガイド部および端子係止部の延設位置が異なることを除けば、第2接続端子111は第1接続端子11と形状・寸法ともに同じである。
次に、第3接続端子251について簡単に説明する。第3接続端子251は、後述する図7にその一部が示されているように、絶縁コンタクト部材66の第3端子配置溝73に配置されるものであり、その形状・寸法は、一部を除いて第1接続端子11(図5)と全く同じである。
第3接続端子251が第1接続端子11(図5)と異なるのは、端子本体部および素子当接部の幅寸法である。即ち、図7からも明らかなように、第3接続端子251の第3端子本体部の幅寸法、および第3素子当接部の幅寸法は、いずれも、第1接続端子11においてそれぞれ対応する第1端子本体部12の幅寸法および第1素子当接部15の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。
次に、第4接続端子271について簡単に説明する。第4接続端子271は、後述する図7にその一部が示されているように、絶縁コンタクト部材66の第4端子配置溝74に配置されるものであり、その形状・寸法は、一部を除いて第2接続端子111と全く同じである。
第4接続端子271が第2接続端子111と異なるのは、端子本体部および素子当接部の幅寸法である。即ち、図7からも明らかなように、第4接続端子271の第4端子本体部の幅寸法、および第4素子当接部の幅寸法は、いずれも、第2接続端子111においてそれぞれ対応する第2端子本体部の幅寸法および第2素子当接部の幅寸法よりも小さくなるように、且つ、第3端子配置溝73に配置される第3接続端子251における対応する各幅寸法と同じになるように形成されている。
次に、第5接続端子211について、図6に基づいて説明する。第5接続端子211も、他の各接続端子と同様、第5端子本体部212と、第5素子当接部215とを備えて構成されている。
第5端子本体部212は、軸線方向に平行かつ板面に垂直な平面における断面形状は、第1端子本体部12(図5参照)と略同様の形状に形成されている。また、軸線方向における略中間位置に湾曲部219を有している。
第5素子当接部216は、軸線方向に平行かつ板面に垂直な平面における断面形状は、第1素子当接部15(図5参照)と略同様の円弧状形状に形成されており、第1連結側端部13に対応する第5連結側端部213と、第1開放側端部14に対応する第5開放側端部214とを備えている。
また、第5接続端子211は、第5端子本体部212の先端側に、絶縁コンタクト部材66の第5係止用溝部90に配置可能に形成された2個の第5端子係止部218を備えている。第5端子係止部218は、第5端子本体部212から板面に対する垂直方向に向けて延設されると共に、第5端子本体部212の板面に平行となる部分を有するよう外向きに折り曲げられて、断面形状が略L字形となるように構成されている。
さらに、第5接続端子211は、第5端子本体部212の後端部に、第5端子本体部212よりも幅広に形成されたリード線接続部217(図1参照)を一体に備えている。このリード線接続部217は、曲げ加工により略筒状形状に形成された後、リード線46の芯線が内部に挿通された状態で径方向内向きに加締められることで、図1に示すようにリード線46と接続される。
このように構成された5つ接続端子10のうち、第1接続端子11および第2接続端子111が、第1リブ部76により互いに絶縁された状態で、絶縁コンタクト部材66のコンタクト挿通孔68に配置される。このとき、第1接続端子11は検出素子4の電極端子部34に対応する第1端子配置溝71に配置され、第2接続端子111は検出素子4の電極端子部36に対応する第2端子配置溝72に配置される。
また、第3接続端子251、第4接続端子271および第5接続端子211が、第2リブ部77および第3リブ部78により互いに絶縁された状態で、絶縁コンタクト部材66のコンタクト挿通孔68に配置される。このとき、第3接続端子251は検出素子4の電極端子部32に対応する第3端子配置溝73に配置され、第4接続端子271は検出素子4の電極端子部30に対応する第4端子配置溝74に配置され、第5接続端子211は検出素子4の電極端子部31に対応する第5端子配置溝75に配置される。
(4)絶縁コンタクト部材66に接続端子10が配置された状態の説明
次に、コンタクト挿通孔68に5つの接続端子10が配置された状態の絶縁コンタクト部材66について、図7に基づいて説明する。図7は、絶縁コンタクト部材66の底面図であり、より詳細には、接続端子10が配置された状態の絶縁コンタクト部材66を後端側から見たときの図である。
図7に示すように、第1接続端子11が絶縁コンタクト部材66の第1端子配置溝71に配置された状態では、検出素子4の第1板面21あるいは第2板面23(図4参照)に垂直な面に対して、第1接続端子11における第1端子本体部12および第1素子当接部15の板面はいずれも垂直となる。
即ち、第1接続端子11の第1端子本体部12が第1背壁91に当接すると共に、第1端子固定ガイド部17の第1張り出し部26のうち、第1端子本体部12からその板面と同一平面上に延設されている部分も第1背壁91に当接している。第1張り出し部26のうち屈曲された以後の部分(屈曲側延設部)における第1側壁92と対向する面は、第1側壁92の壁面とほぼ平行となっている。
そして、第1張り出し部26の屈曲側延設部における軸線方向先端側から延設された第1固定接触部27の先端部分が、第1側壁92に当接した状態となる。つまり、第1張り出し部26の屈曲側延設部は第1端子配置溝71の内壁と当接しておらず、その先端部分から先端側に向かって第1側壁92へ近接していくように第1固定接触部27が延設されている。さらにこの状態では、第1固定接触部27の先端側のうち検出素子4に対向する側面(即ち、第1端子係止部18が延設される方向とは反対側の方向に面する側面)が、第1傾斜壁93と第1側壁92との境界部近傍に当接した状態となる。
このように、第1接続端子11が第1端子配置溝71に配置された場合に、第1端子本体部12および第1端子固定ガイド部17の一部が第1端子配置溝71の第1背壁91に当接し、さらに、第1固定接触部27の先端部が第1端子配置溝71の第1側壁92に当接すると共にその側面(第1端子本体部12からの距離が長い方の側面)が第1傾斜壁93近傍に当接していることで、第1接続端子11が軸線方向と垂直な方向に移動するのが規制されるのである。
また、第1端子本体部12における第1端子固定ガイド部17が延設されている側面とは反対側の側面から第1固定接触部27の先端までの幅方向寸法(以下「端子最大横幅寸法」ともいう)は、第1接続端子11自身の自由状態においては、絶縁コンタクト部材66の第1接続端子11が配置される第1端子配置溝71における、第1リブ部76の壁面から第1側壁92までの寸法(以下「溝幅寸法」ともいう)よりも大きくなるように設定されている。
そして、絶縁コンタクト部材66の先端側から第1接続端子11を第1端子配置溝71に挿入する際は、第1固定接触部27が第1端子配置溝71の第1側壁92の先端側角部(第1凸起部81の先端面に繋がる角部)に当接すると共にこの第1側壁92の先端側角部からの荷重を受けて第1端子本体部12側へ弾性変形する。つまり、第1端子配置溝71内に収まるように(端子最大横幅寸法が小さくなるように)、第1端子本体部12の方向へ弾性変形するのである。
第1接続端子11の第1端子配置溝71への挿入が進むに従い、この弾性変形の程度も大きくなる。そして、第1接続端子11の端子最大横幅寸法が第1端子配置溝71の溝幅寸法と同じ寸法になるまで弾性変形が進むことで、ついには第1固定接触部27の先端部が第1端子配置溝71に入り込むことになる。
そのため、第1接続端子11が第1端子配置溝71に完全に配置された状態では、第1固定接触部27が第1側壁92を付勢している状態となる。しかも、第1固定接触部27は、第1張り出し部26における軸線方向先端側から先端方向に向けて外側へ傾斜(屈曲)するように形成されている。
これにより、第1端子配置溝71内において第1接続端子11が先端側へ移動しようとしても、その動きは第1固定接触部27の先端が第1側壁92へ食い込んでいく方向の動きとなるため、第1固定接触部27の先端と第1側壁92との摩擦力により、第1接続端子11の先端側への移動が規制(抑制)されることとなる。
第2接続端子111についても、第1接続端子11と同様、第2端子本体部が第2背壁94に当接すると共に、第2端子固定ガイド部117の第2張り出し部126のうち、第2端子本体部からその板面と同一平面上に延設されている部分も第2背壁94に当接している。第2張り出し部126のうち屈曲された以後の部分(屈曲側延設部)における第2側壁95と対向する面は、第2側壁95の壁面とほぼ平行となっている。
そして、第2張り出し部126の屈曲側延設部における軸線方向先端側から延設された第2固定接触部127の先端部分が、第2側壁95に当接した状態となる。つまり、第2張り出し部126の屈曲側延設部は第2端子配置溝72の内壁と当接しておらず、その先端部分から先端側に向かって第2側壁95へ近接していくように第2固定接触部127が延設されている。さらにこの状態では、第2固定接触部127の先端側のうち検出素子4に対向する側面(即ち、第2端子係止部118が延設される方向とは反対側の方向に面する側面)が、第2傾斜壁96と第2側壁95との境界部近傍に当接した状態となる。
さらに、第2接続端子111の端子最大横幅寸法は、第2接続端子111自身の自由状態においては、第2端子配置溝72の溝幅寸法よりも大きくなるように設定されている。そして、絶縁コンタクト部材66の先端側から第2接続端子111を第2端子配置溝72に挿入する際に、第2側壁95の先端側角部からの荷重を受けて、第2端子配置溝72内に収まるように弾性変形する。
このように構成されていることにより、上述した第1接続端子11の場合と全く同様に、第2接続端子111が軸線方向と垂直な方向あるいは軸線方向に移動するのが規制される。
第3接続端子251についても、第1接続端子11と同様、第3端子本体部が第3背壁131に当接すると共に、第3端子固定ガイド部257の第3張り出し部266のうち、第3端子本体部からその板面と同一平面上に延設されている部分も第3背壁131に当接している。第3張り出し部266のうち屈曲された以後の部分(屈曲側延設部)における第3側壁132と対向する面は、第3側壁132の壁面とほぼ平行となっている。
そして、第3張り出し部266の屈曲側延設部における軸線方向先端側から延設された第3固定接触部267の先端部分が、第3側壁132に当接した状態となる。つまり、第3張り出し部266の屈曲側延設部は第3端子配置溝73の内壁と当接しておらず、その先端部分から先端側に向かって第3側壁132へ近接していくように第3固定接触部267が延設されている。さらにこの状態では、第3固定接触部267の先端側のうち検出素子4に対向する側面(即ち、第3端子係止部258が延設される方向とは反対側の方向に面する側面)が、第3傾斜壁133と第3側壁132との境界部近傍に当接した状態となる。
さらに、第3接続端子251の端子最大横幅寸法は、第3接続端子251自身の自由状態においては、第3端子配置溝73の溝幅寸法よりも大きくなるように設定されている。そして、絶縁コンタクト部材66の先端側から第3接続端子251を第3端子配置溝73に挿入する際に、第3側壁132の先端側角部からの荷重を受けて、第3端子配置溝73内に収まるように弾性変形する。
このように構成されていることにより、上述した第1接続端子11の場合と全く同様に、第3接続端子251が軸線方向と垂直な方向あるいは軸線方向に移動するのが規制される。
第4接続端子271についても、第1接続端子11と同様、第4端子本体部が第4背壁134に当接すると共に、第4端子固定ガイド部277の第4張り出し部286のうち、第4端子本体部からその板面と同一平面上に延設されている部分も第4背壁134に当接している。第4張り出し部286のうち屈曲された以後の部分(屈曲側延設部)における第4側壁135と対向する面は、第4側壁135の壁面とほぼ平行となっている。
そして、第4張り出し部286の屈曲側延設部における軸線方向先端側から延設された第4固定接触部287の先端部分が、第4側壁135に当接した状態となる。つまり、第4張り出し部286の屈曲側延設部は第4端子配置溝74の内壁と当接しておらず、その先端部分から先端側に向かって第4側壁135へ近接していくように第4固定接触部287が延設されている。さらにこの状態では、第4固定接触部287の先端側のうち検出素子4に対向する側面(即ち、第4端子係止部278が延設される方向とは反対側の方向に面する側面)が、第4傾斜壁136と第4側壁135との境界部近傍に当接した状態となる。
さらに、第4接続端子271の端子最大横幅寸法は、第4接続端子271自身の自由状態においては、第4端子配置溝74の溝幅寸法よりも大きくなるように設定されている。そして、絶縁コンタクト部材66の先端側から第4接続端子271を第4端子配置溝74に挿入する際に、第4側壁135の先端側角部からの荷重を受けて、第4端子配置溝74内に収まるように弾性変形する。
このように構成されていることにより、上述した第1接続端子11の場合と全く同様に、第4接続端子271が軸線方向と垂直な方向あるいは軸線方向に移動するのが規制される。
このように5つの接続端子10がそれぞれ配置された状態の絶縁コンタクト部材66のコンタクト挿通孔68に対して、検出素子4を挿通することで、各接続端子10の各当接突起部と検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とを当接させつつ、電気的に接続することができる。
(5)組み付け作業の説明
次に、検出素子4を、5つの接続端子10が配置された状態のコンタクト挿通孔68に挿通して、検出素子4、各接続端子10および絶縁コンタクト部材66を一体に組み付ける組み付け作業について説明する。
まず、組み付け作業の開始直後の第1ステップでは、検出素子4を絶縁コンタクト部材66の先端側に配置したあと、コンタクト挿通孔68の先端側開口部に検出素子4を挿通すると共に、検出素子4を接続端子10の各素子当接部(第1素子当接部15、第5素子当接部215、図示しない第2素子当接部、第3素子当接部および第4素子当接部)に当接させる。そして、検出素子4を上記各素子当接部に押し付けて外力を印加することで、各素子当接部における各連結側端部(第1連結側端部13、第5連結側端部213、図示しない第2連結側端部、第3連結側端部および第4連結側端部)を弾性変形させると共に、各素子当接部の開放側端部を各端子本体部に近接させる作業を行う。
次の第2ステップでは、各素子当接部に対して検出素子4を更に押し付けて各連結側端部を弾性変形させると共に、各素子当接部の開放側端部を端子本体部に当接させる作業を行う。これにより、各素子当接部は、連結側端部および開放側端部の2カ所で端子本体部に支持される状態となる。第1接続端子11でいえば、第1素子当接部15の第1開放側端部14が第1端子本体部12に当接することで、第1素子当接部15が、第1連結側端部13および第1開放側端部14の2カ所で第1端子本体部12に支持される状態となる。
続く第3ステップでは、コンタクト挿通孔68の内部後端側に検出素子4を更に挿入することで、絶縁コンタクト部材66のコンタクト挿通孔68の内壁面が検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36に対向するように、検出素子4と絶縁コンタクト部材66との相対位置を移動させる作業を行う。このとき、第1接続端子11の第1素子当接部15は、軸線方向中間部が弾性変形しており、第1当接突起部16が検出素子4の電極端子部34に対して当接する状態となる。他の各接続端子111,251,271,211についても同様である。
このようにして組み付け作業を行うことで、検出素子4、接続端子10および絶縁コンタクト部材66を一体に組み付けることができる。なお、検出素子4、接続端子10および絶縁コンタクト部材66を一体に組み付ける組み付け作業は、空燃比センサ2の製造工程の途中段階で実行される。そして、空燃比センサ2の製造工程では、この組み付け作業の前段階で、検出素子4、セラミックスリーブ6、滑石リング53、セラミックホルダ51および主体金具38などからなる中間組立部品の組み立て作業を実行している。
空燃比センサ2の製造工程では、中間組立部品を構成する状態の検出素子4に対して、上述のような組み付け作業を行うことで、接続端子10および絶縁コンタクト部材66を検出素子4に組み付けることができる。
接続端子10、絶縁コンタクト部材66および検出素子4を一体に組み付けたあと、外筒44などを主体金具38に対してレーザー溶接などにより接合すると共に、グロメット50を加締め加工により外筒44に固定する固定作業などを実行することで、空燃比センサ2が完成すると共に、空燃比センサ2の製造工程が完了する。
(6)第1実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態の空燃比センサ2では、第1接続端子11の軸線方向中間部において、第1端子本体部12から延設するように形成された第1端子固定ガイド部17を備えている。この第1端子固定ガイド部17は、第1端子本体部12から延設される第1張り出し部26と、この第1張り出し部26の先端側から絶縁コンタクト部材66の先端側に延設された第1固定接触部27とにより構成され、第1端子本体部12が第1背壁91に当接すると共に、第1固定接触部27の先端が第1側壁92に当接している。これにより、第1接続端子11が第1端子配置溝71内において軸線方向と垂直な方向に移動するのが規制される。
他の第2接続端子111、第3接続端子251および第4接続端子271についても、上述した第1接続端子11と同様、それぞれ配置される第2端子配置溝72、第3端子配置溝73および第4端子配置溝74内において、軸線方向の移動あるいは軸線方向と垂直な方向への移動が規制される。
従って、本実施形態によれば、検出素子4の挿入時や実際のセンサの使用環境下などにおいて接続端子10に不適切な外力(接続端子10が検出素子4の端部側に傾くような外力;図16参照)が印加されたとしても、その移動は、各端子固定ガイド部17,117,257,287の先端側に形成された各固定接触部27,127,267,287がそれぞれ各側壁92,95,132,135に当接することによって規制される。そのため、各金属端子部材10と各電極端子部30,32,34,36との相対位置関係が適切な状態に維持され、両者の電気的接続を良好な状態に維持することができる。
また、第1端子固定ガイド部17における第1固定接触部27は、第1端子配置溝71において第1側壁92における第1傾斜壁93との境界部近傍(第1側壁92から第1傾斜壁93へ屈曲する屈曲部分近傍)に当接することで、この境界部分(屈曲部分)に第1固定接触部27の先端側が収まることになる。そのため、第1接続端子11は不適切な方向に傾斜し難い状態となり、第1接続端子11と電極端子部34との接触不良をより確実に抑制することができる。
更に、第1接続端子11の第1端子固定ガイド部17を構成する第1張り出し部26の一部分が、第1端子本体部12から第1背壁91に沿って延設され、第1背壁91に当接している。そのため、第1接続端子11において第1背壁91に当接する部分の面積が増加することになり、第1接続端子11をより安定して挟持させることができる。他の第2接続端子111、第3接続端子251および第4接続端子271についても同様である。
更にまた、第1固定接触部27は、第1端子配置溝71の内壁(第1側壁92)に当接しており、その当接による摩擦力により、第1接続端子11が軸線方向先端側へ移動するのが抑制される。そのため、例えばリード線46を絶縁コンタクト部材66の後端側から挿入して先端側で第1接続端子11と接続し、接続後に再びリード線46を後端側に引っ張って第1接続端子11を絶縁コンタクト部材66の先端側からその内部の第1端子配置溝71内へ引き込んだ場合、その引き込み後は、第1接続端子11が再び先端側に移動してしまうのが抑制される。
また、この第1固定接触部27は、第1端子配置溝71の内壁を付勢しつつその内壁に当接する弾性体として構成されている。このように第1固定接触部27を弾性体にて構成することにより、第1接続端子11を第1端子配置溝71に挿入し易くなり、且つ、挿入後は、その弾性体による付勢力によって第1接続端子11を挟持させることができる。
第1接続端子11について上述した各作用・効果は、他の第2接続端子111、第3接続端子251および第4接続端子271についても同様に得られるものである。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の空燃比センサについて説明する。本実施形態の空燃比センサは、第1実施形態の空燃比センサ2と比較して、接続端子が備える端子固定ガイド部の寸法が一部異なること、および、絶縁コンタクト部材に形成される5つの端子配置溝の形状が異なることを除けば、第1実施形態の空燃比センサ2と同じものである。そのため、以下の説明では、第1実施形態の空燃比センサ2と異なる部分である絶縁コンタクト部材および接続端子を中心に説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
(1)絶縁コンタクト部材の構成
まず、本実施形態の絶縁コンタクト部材について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、先端側から見たときの絶縁コンタクト部材301の外観を表す斜視図であり、図9は、後端側から見たときの絶縁コンタクト部材301の外観を表す底面図である。
図8に示すように、本実施形態の絶縁コンタクト部材301は、第1実施形態の絶縁コンタクト部材66と同じように軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔303と鍔部302が備えられている。そして、コンタクト挿通孔303の内壁面には、内向きに突出する第1リブ部336、第2リブ部337および第3リブ部338が形成されている。これらのリブ部336,337,338が挿通孔内接続端子境界部となって、5つの接続端子がそれぞれ配置される5つの端子配置溝331,332,333,334,335が形成されている。
また、絶縁コンタクト部材301の先端面(図8における下側の面)には、図9に示すように、3つの凸起部、即ち、第1凸起部361、第2凸起部362および第3凸起部363と、2つの凸条部、即ち、第1凸条部364および第2凸条部365が形成されている。
そして、5つの端子配置溝のうち、第5端子配置溝335を除く4つの端子配置溝331,332,333,334は、より詳細には、次のような形状となっている。即ち、第1実施形態の各端子配置溝71,72,73,74と比較すると明らかなように、各端子配置溝を構成する壁のうち接続端子の端子本体部が当接する背壁が、検出素子4の板面と平行ではなく、角度αだけオフセットした状態となっている。
即ち、図9に示すように、絶縁コンタクト部材301を先端側からみたとき、第1端子配置溝331の第1背壁341は、検出素子4の幅方向における端部側(図9の右側)へ向かうに従って検出素子4から離れていくように形成されている。具体的には、検出素子4における電極端子部が形成される板面(この板面と平行な平面L1,L2)に対して、第1端子配置溝331の第1背壁341(この第1背壁を含む平面L41)は一定角度αだけ傾斜して形成されているのである。
なお、この第1背壁341から繋がるように形成される第1側壁342は、第1背壁341に対して垂直ではなく、検出素子4の板面に対して垂直となるように形成されている。また、第1側壁342と第1傾斜壁とのなす角(壁部屈曲角)は、第1実施形態の第1端子配置溝71における壁部屈曲角と同じである。
第2端子配置溝332についても同様であり、絶縁コンタクト部材301を先端側からみたとき、第2背壁344は、検出素子4の幅方向における端部側(図9の左側)へ向かうに従って検出素子4から離れていくように形成されている。具体的には、検出素子4における電極端子部が形成される板面(この板面と平行な平面L1,L2)に対して、第2端子配置溝332の第2背壁344(この第2背壁を含む平面L42)は一定角度αだけ傾斜して形成されている。そして、第2側壁345は検出素子4の板面に対して垂直となるように形成されており、この第2側壁345と第2傾斜壁346とのなす壁部屈曲角は、第1実施形態の第2端子配置溝72における壁部屈曲角と同じである。
第3端子配置溝333についても同様であり、絶縁コンタクト部材301を先端側からみたとき、第3背壁347は、検出素子4の幅方向における端部側(図9の左側)へ向かうに従って検出素子4から離れていくように形成されている。具体的には、検出素子4における電極端子部が形成される板面(この板面と平行な平面L1,L2)に対して、第3端子配置溝333の第3背壁347(この第3背壁を含む平面L43)は一定角度αだけ傾斜して形成されている。そして、第3側壁348は検出素子4の板面に対して垂直となるように形成されており、この第3側壁348と第3傾斜壁349とのなす壁部屈曲角は、第1実施形態の第3端子配置溝73における壁部屈曲角と同じである。
第4端子配置溝334についても同様であり、絶縁コンタクト部材301を先端側からみたとき、第4背壁350は、検出素子4の幅方向における端部側(図9の右側)へ向かうに従って検出素子4から離れていくように形成されている。具体的には、検出素子4における電極端子部が形成される板面(この板面と平行な平面L1,L2)に対して、第4端子配置溝334の第4背壁350(この第4背壁を含む平面L44)は一定角度αだけ傾斜して形成されている。そして、第4側壁351は検出素子4の板面に対して垂直となるように形成されており、この第4側壁351と第4傾斜壁352とのなす壁部屈曲角は、第1実施形態の第4端子配置溝74における壁部屈曲角と同じである。
このように、本実施形態の絶縁コンタクト部材301は、4つの端子配置溝331,332,333,334を構成する各背壁が検出素子4の板面に対して角度αだけ端部側へオフセットして形成されている点が、第1実施形態の絶縁コンタクト部材66と異なっているのである。
(2)接続端子の構成
次に、接続端子について説明する。本実施形態の空燃比センサが備える5つの接続端子311,411,451,471,211(図11参照)のうち、第5端子配置溝335に配置される第5接続端子211は、第1実施形態の第5接続端子211と同じものであるため、ここでは説明を省略する。また第3接続端子451は第1接続端子311と、第4接続端子471は第2接続端子411と同形状であって寸法のみが異なるものであり、且つ第2接続端子411は、第1接続端子311とは端子係止部および固定ガイド部の端子本体部からの突出方向が左右で異なる以外は同形状であるため、第1接続端子311のみを説明し、第2接続端子411、第3接続端子451及び第4接続端子471の説明は省略する。
図10に、第1端子配置溝331に配置される第1接続端子311を示す。本図と図5(第1実施形態の第1接続端子11)と比較して明らかなように、本実施形態の第1接続端子311は、第1端子固定ガイド部317の形状が若干異なるだけで、その他の形状・寸法は第1実施形態の第1接続端子11と同じである。
即ち、第1接続端子311は、第1端子本体部312と第1素子当接部315と、を備えており、第1素子当接部315には、その軸線方向における略中間部において、検出素子4の電極端子部34側に突出するように屈曲された第1当接突起部316が形成されている。また、第1接続端子311は、第1端子本体部312の先端側に第1端子係止部318を備える。さらに、第1端子本体部312の先端に連結されると共に径方向内側に屈曲して方向転換する第1連結側端部313を有する一方、第1接続端子311自身の自由状態において、軸線方向後端部となる第1開放側端部314が第1端子本体部312から離れた状態となるように形成されている。
また、本実施形態の第1接続端子311は、第1端子本体部312の軸線方向略中間部における、第1端子係止部318が延設される側と同じ側に、第1張り出し部326と第1固定接触部327とからなる第1端子固定ガイド部317が形成されている。
この第1端子固定ガイド部317は、第1実施形態の第1端子固定ガイド部17と比較して、第1張り出し部326における屈曲した後の部分(屈曲側延設部)の延設長と、この屈曲側延設部から軸線方向先端側に向けて延設される第1固定接触部327の幅寸法が異なるものの、他の構成は同じである。
(3)絶縁コンタクト部材301に接続端子が配置された状態の説明
次に、コンタクト挿通孔303に5つの接続端子が配置された状態の絶縁コンタクト部材301について、第1実施形態と異なる部分に着目しつつ図11に基づいて説明する。図11は、絶縁コンタクト部材301の底面図である。
既述の通り、本実施形態の絶縁コンタクト部材301は、4つの端子配置溝331,332,333,334を構成する各背壁が検出素子4の板面に対して角度αだけ端部側へオフセットして形成されている。そのため、このように形成された背壁を有する端子配置溝に接続端子を配置すると、背壁の傾斜によって、接続端子材も検出素子4の板面に対して傾斜した状態となる。
即ち、第1端子配置溝331においては、第1背壁341が検出素子4の板面に対して角度αだけオフセットされている。そのため、第1接続端子311が第1端子配置溝331に配置された状態では、図11に示すように、検出素子4の第1板面21あるいは第2板面23(図4参照)に対して、第1接続端子311における第1端子本体部312および第1素子当接部315の板面はいずれも角度αだけオフセットされた状態となる。つまり、第1実施形態の状態(図7参照)に対し、第1接続端子311が検出素子4の中心部側へ角度αだけ傾斜した状態になっているともいえる。
ただしこの傾斜は、第1接続端子311とこれに当接する電極端子部36との相対位置関係が不適切となるような傾斜(図16の状態)とは反対側への傾斜となる。つまり、図16のように第1接続端子311が検出素子4の端部側に傾いて接触するのとは逆に、第1接続端子311が検出素子4の中心側に傾く方向の傾斜(換言すれば、第1固定接触部327が第1傾斜壁343から離間する方向の傾斜)となるのである。
つまり本実施形態では、第1接続端子311が不適切な方向に傾くのを抑制するために、その方向とは反対側の方向に予め傾斜させておくのである。このようにすることで、仮に第1接続端子311に外力が加わって不適切な方向に移動(検出素子4の端部側へ傾斜)していっても、初期の段階では何ら問題とならない。なぜなら、傾斜のない元の状態に復帰していくことになるからである。
また、第1張り出し部326の屈曲側延設部における軸線方向先端側から延設された第1固定接触部327の先端部分は、第1側壁342に当接した状態となる。さらにこの状態では、第1固定接触部327の先端側のうち検出素子4に対向する側面(即ち、第1端子係止部318が延設される方向とは反対側の方向に面する側面)が、第1傾斜壁343における第1側壁342との境界部近傍に当接した状態となる。
このように、第1端子本体部312の背面および第1張り出し部326の一部が第1端子配置溝331の第1背壁341に当接し、さらに、第1固定接触部327の先端部が第1端子配置溝331の第1側壁342に当接すると共にその側面(第1端子本体部312からの距離が長い方の側面)が第1傾斜壁343に当接していることで、第1接続端子311が第1端子配置溝331内において軸線方向と垂直な方向に移動するのが規制されるのである。
検出素子4の端部側に配置される他の各接続端子411,451,471についても、詳細説明は省略するものの、上述した第1接続端子311と同様である。
(4)第2実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態の空燃比センサでは、第1端子配置溝331を構成する第1背壁341が、検出素子4の板面に対して角度αだけオフセットされた構成となっている。そのため、図11に示したように、この第1端子配置溝331に第1接続端子311が配置されると、その第1端子本体部312の板面および第1素子当接部15の板面は、検出素子4の板面に対して(即ち電極端子部36の板面に対して)角度αだけ、検出素子の中心側へ傾斜した状態で配置されることとなる。
従って、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用・効果が得られるのに加えて、第1接続端子311が不適切な方向に傾斜する可能性が軽減し、第1接続端子311と電極端子部36との接触不良の発生をより抑制することができる。検出素子4の端部側に配置される他の各接続端子411,451,471についても同様である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の空燃比センサについて説明する。本実施形態の空燃比センサは、上述した各実施形態の空燃比センサと比較して、絶縁コンタクト部材に形成される5つの端子配置溝の形状が異なるだけであり、それを除けば、第2実施形態の空燃比センサと同じものである。ただし、接続端子については第2実施形態の各接続端子311,411,451,471,211と全く同じものである。そのため、以下の説明では、上記各実施形態の空燃比センサと異なる部分である絶縁コンタクト部材を中心に説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
(1)絶縁コンタクト部材の構成
まず、本実施形態の絶縁コンタクト部材について、図12および図13に基づいて説明する。図12は、先端側から見たときの絶縁コンタクト部材501の外観を表す斜視図であり、図13は、後端側から見たときの絶縁コンタクト部材501の外観を表す底面図である。
図12に示すように、本実施形態の絶縁コンタクト部材501は、第1実施形態の絶縁コンタクト部材66と同じように、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔503と鍔部502が備えられている。そして、コンタクト挿通孔503の内壁面には、内向きに突出する第1リブ部76、第2リブ部77および第3リブ部78が形成されている。これらのリブ部76,77,78はいずれも第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同じ符号を付している。そして、これら各リブ部76,77,78が挿通孔内接続端子境界部となって、5つの接続端子がそれぞれ配置される5つの端子配置溝531,532,533,534,535が形成されている。
また、絶縁コンタクト部材501の先端面(図12における下側の面)には、図13に示すように、3つの凸起部、即ち、第1凸起部561、第2凸起部562および第3凸起部563と、2つの凸条部、即ち、第1凸条部84および第2凸条部85が形成されている。
そして、5つの端子配置溝のうち、第5端子配置溝535を除く4つの端子配置溝531,532,533,534は、より詳細には、次のような形状となっている。即ち、第1実施形態の各端子配置溝71,72,73,74と比較すると明らかなように、各端子配置溝を構成する壁のうち接続端子の固定接触部が当接する傾斜壁が、側壁に対して直角に傾斜(屈曲)した状態で形成されている。
即ち、図13に示すように、第1接続端子311が配置される第1端子配置溝531は、検出素子4の板面と平行な第1背壁541を備えると共に、この第1背壁541から検出素子4の方向へ垂直に繋がるように形成された第1側壁542と、この第1側壁542から当該第1端子配置溝531の内部に向けて垂直に(第1背壁541と平行状態で対向するように)形成された第1傾斜壁543とを備えている。
第2接続端子411が配置される第2端子配置溝532についても同様であり、検出素子4の板面と平行な第2背壁544を備えると共に、この第2背壁544から検出素子4の方向へ垂直に繋がるように形成された第2側壁545と、この第2側壁545から当該第2端子配置溝532の内部に向けて垂直に(第2背壁544と平行状態で対向するように)形成された第2傾斜壁546とを備えている。
第3接続端子451が配置される第3端子配置溝533についても同様であり、検出素子4の板面と平行な第3背壁547を備えると共に、この第3背壁547から検出素子4の方向へ垂直に繋がるように形成された第3側壁548と、この第3側壁548から当該第3端子配置溝533の内部に向けて垂直に(第3背壁547と平行状態で対向するように)形成された第3傾斜壁549とを備えている。
第4接続端子471が配置される第4端子配置溝534についても同様であり、検出素子4の板面と平行な第4背壁550を備えると共に、この第4背壁550から検出素子4の方向へ垂直に繋がるように形成された第4側壁551と、この第4側壁551から当該第4端子配置溝534の内部に向けて垂直に(第4背壁550と平行状態で対向するように)形成された第4傾斜壁552とを備えている。
(2)絶縁コンタクト部材501に接続端子が配置された状態の説明
次に、コンタクト挿通孔503に5つの接続端子が配置された状態の絶縁コンタクト部材501について、第1実施形態と異なる部分に着目しつつ図14に基づいて説明する。図14は、絶縁コンタクト部材501の底面図である。
図示の如く、第1端子配置溝531には第1接続端子311が配置されている。この第1接続端子311は、その第1端子本体部312(図10参照)の背面および第1張り出し部326の一部が第1背壁541に当接した状態となっている。さらに、第1端子固定ガイド部317において第1張り出し部326の屈曲側延設部から延設された第1固定接触部327の先端部が、第1側壁542に当接している。
これにより、この絶縁コンタクト部材501に検出素子4が挿入されたとき、検出素子4と第1背壁541との間で第1接続端子311が挟持される。また、第1固定接触部327が第1側壁542に当接しているため、第1接続端子311が不適切な方向に傾斜し難くなる。さらに、第1側壁542に対して第1傾斜壁543が直角に屈曲して形成されているため、第1接続端子311が不適切な方向に傾斜しようとしても、第1固定接触部327が第1傾斜壁543に当接することで、その傾斜が規制される。
なお、第1固定接触部327と第1傾斜壁543との間には隙間が存在しているが、この隙間は、第1接続端子311を絶縁コンタクト部材501の先端側から挿入する際の作業性を良くするために設けているものである。第1接続端子311の傾き抑制の観点からいえばこの隙間はない方がよいのだが、仮にそのように隙間が全く存在しないように形成すると、第1接続端子311を絶縁コンタクト部材501に挿入(第1端子配置溝531に挿入)する際に第1固定接触部327と第1傾斜壁543との摩擦が大きくなり、挿入が困難となるばかりでなく、第1傾斜壁543を傷つけるおそれがあるからである。
ただし、本実施形態では、上記のように第1傾斜壁543が第1側壁542に対して直角に(第1背壁541と平行に)形成されているため、仮に第1接続端子311が不適切な方向に傾いて第1固定接触部327が第1傾斜壁543側へ移動しても、第1傾斜壁543への当接後は確実にその移動が抑制される。
検出素子4の端部側に配置される他の各接続端子411,451,471についても、詳細説明は省略するものの、上述した第1接続端子311と同様の作用により、不適切な方向への傾きが抑制される。
(3)第3実施形態の効果等
以上説明したように、本実施形態の空燃比センサでは、第1端子配置溝531が、第1背壁541に対して垂直に形成された第1側壁542に対し、さらに第1傾斜壁543が垂直となるように(第1背壁541と平行となるように)形成されている。
このため、第1接続端子311が備える第1固定接触部327は、第1傾斜壁543を越えて検出素子4側へ移動するのは極めて困難となり、第1接続端子311の不適切な方向への移動(傾斜)がより確実に規制される。上述した、第1固定接触部327と第1傾斜壁543との間の隙間を小さくするほど、その効果は増大する。
従って、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用・効果が得られるのに加えて、上記隙間の存在に起因する不適切な方向への傾斜が生じる可能性はあるもののそれ以上の傾斜の発生を確実に抑制することができ、全体として、第1接続端子311と電極端子部36との接触不良の発生をより抑制することができる。検出素子4の端部側に配置される他の各接続端子411,451,471についても同様の作用・効果が得られる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも一例であって、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、検出素子との間で金属端子部材(接続端子)を挟持するための絶縁コンタクト部材は、上述した絶縁コンタクト部材66などのように1つの部材で形成される一体構造型のものに限られず、複数の部材で構成される分割構成型のものでも良い。一例としては、検出素子の表側板面に対向する第1絶縁部材と、検出素子の裏側板面に対向する第2絶縁部材と、検出素子を挟み込むように配置された第1絶縁部材および第2絶縁部材を保持する保持固定部材と、を備える構成の分割型絶縁コンタクト部材を挙げることができる。
また、本発明の適用対象となるセンサは、電極端子部の形成個数が5個の検出素子を備えるセンサに限られることはなく、4個以下または6個以上の電極端子部を有する検出素子を備えて構成されるセンサに適用することもできる。なおその場合も、基本的には、検出素子の幅方向における両端部に形成された電極端子部について、その電極端子部と接続される接続端子およびそれが配置される端子配置溝に対して本発明が適用されることとなる。ただし、必ずしも検出素子の幅方向両端部に形成された電極端子部に限定されるわけではなく、必要ならば(不適切な移動、傾きを抑制する必要があれば)、他の電極端子部に対応した接続端子およびそれが配置される端子配置溝に対しても本発明を適用可能である。
2…空燃比センサ、4…検出素子、10…接続端子、11…第1接続端子、12…第1端子本体部、15…第1素子当接部、16…第1当接突起部、17…第1端子固定ガイド部、21…第1板面、23…第2板面、26…第1張り出し部、27…第1固定接触部、30,31,32,34,36…電極端子部、46…リード線、61…リード線挿通孔、66,301,501…絶縁コンタクト部材、68,303,503…コンタクト挿通孔、71,331,531…第1端子配置溝、72,332,532…第2端子配置溝、73,333,533…第3端子配置溝、74,334,534…第4端子配置溝、75,335,535…第5端子配置溝、76…第1リブ部、77…第2リブ部、78…第3リブ部、91…第1背壁、92…第1側壁、93…第1傾斜壁、94…第2背壁、95…第2側壁、96…第2傾斜壁、111…第2接続端子、117…第2端子固定ガイド部、126…第2張り出し部、127…第2固定接触部、131…第3背壁、132…第3側壁、133…第3傾斜壁、134…第4背壁、135…第4側壁、136…第4傾斜壁、217…リード線接続部、251…第3接続端子、257…第3端子固定ガイド部、266…第3張り出し部、267…第3固定接触部、271…第4接続端子、277…第4端子固定ガイド部、286…第4張り出し部、287…第4固定接触部