JP4544792B2 - 印刷用シート及び化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用シート及び化粧シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの片面に印刷を施し、ロール巻にして放置しても、印刷面と非印刷面の間にブロッキングを生じない印刷用シート及び該シートに印刷が施されてなる化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、家具、ドア、ドア枠、腰板、幅木、窓枠などの表面材などに使用される化粧シートには、塩化ビニル系樹脂フィルムが多量に使用されてきた。塩化ビニル系樹脂化粧シートは、ダブリング装置の加熱ドラム上で、透明な塩化ビニル系樹脂フィルムと印刷が施された着色塩化ビニル系樹脂フィルムを重ねて熱圧着し、さらに必要に応じて、エンボスロールでフィルム表面にエンボスの型押しを行うことにより製造されている。しかし、塩化ビニル系樹脂は、燃焼時に塩化水素の発生が危惧されることから、市場の要求は塩化ビニル系樹脂に代わる化粧シートが求められている。
本発明者らは、先に塩化ビニル系樹脂フィルムに代わる化粧シート用材料として、非晶質ポリエステル樹脂フィルムが適していることを見いだし、非晶質ポリエステル樹脂フィルムを原材料とする化粧シートの開発を進めてきた。非晶質ポリエステル樹脂フィルムは、基本的にはダブリング用印刷シートとして使用されるが、1枚のフィルムの片面に印刷を施すことにより、直接化粧シートとすることも可能である。しかし、非晶質ポリエステル樹脂フィルムにグラビヤ印刷を施して、ロール巻にしたまま放置すると、印刷面と非印刷面の間でブロッキングが生じ、化粧シートをロール巻から繰り出すことが困難になる。このために、印刷速度を落として、グラビヤインキの溶剤であるトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどを十分に揮散させたり、あるいは、印刷後直ちに巻き返すことにより残留溶剤を少なくして、ブロッキングを防止していた。
このために、通常の速度で印刷を施し、ロール巻のまま長期間放置しても、ブロッキングを生じない非晶質ポリエステル樹脂の印刷用シート及び化粧シートが求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの片面に印刷を施し、ロール巻にして放置しても、印刷面と非印刷面の間にブロッキングを生じない印刷用シート及び該シートに印刷が施されてなる化粧シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来よりポリオレフィン系フィルムなどにおいては、ブロッキングの原因になるとされていたコロナ放電処理を、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面に施すことにより、印刷面と非印刷面のブロッキングを効果的に防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面が、放電量10〜200W/m2/min、放電度0.5〜10W/cm2でコロナ放電処理されてなることを特徴とする印刷用シート、
(2)コロナ放電処理されたフィルムの非印刷面が、濡れ指数30〜60mN/mである第1項記載の印刷用シート、及び、
(3)第1項又は第2項記載の印刷用シートのコロナ放電処理された表面を非印刷面とし、他の表面に印刷が施されてなることを特徴とする化粧シート、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用シートは、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面が、放電量10〜200W/m2/min、放電度0.5〜10W/cm2でコロナ放電処理されてなる印刷用シートである。
本発明に用いる非晶質ポリエステル樹脂は、加熱処理を行っても結晶化による物性の変化を起こすことがなく、結晶性を有しないポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂が結晶性を有しないことは、示差走査熱量計を用いる熱分析において、結晶化にもとづく発熱ピークを示さないこと、及び、加熱しても外観的に白濁ないし白化を生じないことによって確認することができる。このような非晶質ポリエステル樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などをジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどをグリコール成分とする共重合ポリエステル樹脂を挙げることができる。これらの中で、テレフタル酸をジカルボン酸成分とし、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをグリコール成分とする共重合ポリエステル樹脂を好適に用いることができる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸を用いてグリコール成分とエステル化反応することができ、あるいは、テレフタル酸ジメチルを用いてグリコール成分とエステル交換反応することもできる。
テレフタル酸をジカルボン酸成分とし、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをグリコール成分とする共重合ポリエステル樹脂は、グリコール成分がエチレングリコール50〜90モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜50モル%であることが好ましく、エチレングリコール60〜80モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%であることがより好ましい。このような非晶質ポリエステル樹脂は、イーストマン・ケミカル社よりKODAR PETG(商品名)として市販されている。
【0006】
本発明において、非晶質ポリエステル樹脂フィルムへのコロナ放電処理方法に特に制限はなく、例えば、非印刷面となるフィルムの片面のみにコロナ放電処理することができ、あるいは、非印刷面と印刷面のフィルムの両面にコロナ放電処理することもできる。また、非晶質ポリエステル樹脂をTダイなどから押し出して製膜し、ロールに巻き取るまでの工程の間にコロナ放電処理することができ、いったんロールに巻き取ったフィルムを巻き返してコロナ放電処理することもでき、あるいは、印刷工程の前工程としてコロナ放電処理を施すこともできる。これらの中で、製膜に引き続いて巻き取るまでの工程の間にコロナ放電処理する方法が、工程が簡単で経済的に実施することができるので好ましい。
本発明において、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面にコロナ放電処理を施す方法に特に制限はなく、例えば、放電電極と接地された誘電体被覆ロールをエアーギャップ(1〜3mm)をおいて組み合わせ、電極に高電圧を加えてコロナ放電を発生させ、誘電体被覆ロールを通過するフィルムにコロナ放電処理を施すことができる。電極の材質に特に制限はないが、ステンレス鋼、耐食性アルミニウムなどを好適に用いることができる。誘電体の材質にも特に制限はなく、例えば、シリコーン、クロロスルホン化ポリエチレン、セラミックスなどを挙げることができる。誘電体被覆ロールの芯材にも特に制限はないが、鉄、アルミニウムなどを好適に用いることができる。非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面にコロナ放電処理を施すことにより、非印刷面の耐ブロッキング性が向上し、印刷用シートにグラビヤ印刷などを施して化粧シートを製造し、直ちにロールに巻き取っても、非印刷面と印刷面の間でブロッキングを生ずることがない。非印刷面にコロナ放電処理を施さないと、非印刷面と印刷面の間のブロッキングを生じやすいので、印刷速度を遅くして、印刷インキに含まれる溶剤を十分に揮散させるか、あるいは、印刷後24時間以内にロールを巻き返して、溶剤を揮散させることにより、ブロッキングを防止する必要があった。
【0007】
多くのプラスチックフィルムにおいて、コロナ放電処理はブロッキングを助長すると考えられており、例えば、特開平4−8736号公報には、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムにコロナ放電処理を施してロール巻にしておくと、室温での収縮性によって巻締まりを生じ、その結果フィルム同士がブロッキングすることが述べられ、ブロッキングを生じない熱収縮性フィルムとして、ポリプロピレン系樹脂に耐ブロッキング剤として球状シリコーン樹脂微粉末を添加して熱収縮性フィルムを作製し、濡れ指数が36〜42mN/mになるようにコロナ放電処理された印刷用ポリプロピレン系熱収縮性フィルムが提案されている。したがって、非晶質ポリエステル樹脂フィルムが、非印刷面にコロナ放電処理を施すことにより、耐ブロッキング性が向上することは全く予期し得ぬことであった。非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面にコロナ放電処理を施すことにより、耐ブロッキング性が向上する理由は明らかではないが、非晶質ポリエステル樹脂フィルムは、コロナ放電処理により表面に物理的変化が生じ、印刷面に密着しがたくなるものと推定される。
コロナ放電処理において、放電電極の長さをL(m)、放電電極の放電面積をS(cm2)、フィルム送り速度をV(m/min)、放電電力をP(W)とすると、放電量と放電度は次式で表される。
放電量 = P/(LV) (W/m2/min)
放電度 = P/S (W/cm2)
本発明において、非印刷面のコロナ放電処理は、放電量が10〜200W/m2/min、より好ましくは50〜150W/m2/min、さらに好ましくは80〜100W/m2/minである。また、放電度は、0.5〜10W/cm2、より好ましくは2.5〜7W/cm2、さらに好ましくは4〜6W/cm2である。コロナ放電量が10W/m2/min未満、放電度が0.5W/cm2未満であると、コロナ放電処理した効果が乏しく、非印刷面と印刷面の間にブロッキングが生ずるおそれがある。
コロナ放電量が200W/m2/min、放電度が10W/cm2を超えると、電圧によりフィルムが溶融して穴があくおそれがある。
【0008】
本発明において、コロナ放電処理された非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面は、濡れ指数が30〜55mN/mであることが好ましく、45〜55mN/mであることがより好ましく、50〜55mN/mであることがさらに好ましい。コロナ放電処理した非印刷面の濡れ指数が30mN/m未満であると、非印刷面と印刷面の間にブロッキングが生ずるおそれがある。非印刷面の濡れ指数が60mN/mを超えるためには、通常はコロナ放電量が200W/m2/minを超える必要があり、コロナ放電によりフィルムに穴があくおそれがある。非印刷面の濡れ指数は、JIS K 6768に準じて測定することができる。
図1は、本発明の印刷用シートを製造する方法の一態様の工程図である。押出機(図示されていない。)で溶融された非晶質ポリエステル樹脂は、Tダイ1で平滑な薄膜状に一次賦形され、狭いスリットからゴムロール2と冷却ロール3の間に押し出され、冷却固化して二次賦形が行われる。冷却ロールをシボロールとして、印刷用シートの印刷面にシボ模様を賦形することができる。冷却ロールにおいて冷却されたフィルムは、第一ロール4、第二ロール5、第三ロール6及び第四ロール7を経由して、引取機(図示されていない。)により引き取られ、巻取機(図示されていない。)によりロール巻に巻き取られる。本態様においては、第三ロール6の下方にコロナ放電処理機8が設けられ、印刷用シートの非印刷面にコロナ放電処理が施される。
非晶質ポリエステル樹脂フィルムの表面を改質してブロッキングを防止する方法として、薬品処理によるエッチングや化学反応による表面層改質、グロー放電、コロナ放電などのプラズマ処理による物理変化や官能基の形成、プラズマ重合処理による重合膜の形成、火炎処理による表面酸化及び架橋、イオンビーム処理によるエッチング及び硬化、機械的処理による表面粗化などを挙げることができる。これらの中で、コロナ放電処理は、大気圧雰囲気中で、商用電源を使用し、コロナ放電処理機をライン中に組み込み、簡単な操作によりフィルムの生産速度に対応して処理することができる。
【0009】
本発明の化粧シートは、放電量10〜200W/m2/min、放電度0.5〜10W/cm2でコロナ放電処理され、好ましくは濡れ指数が30〜60mN/mとなった非晶質ポリエステル樹脂フィルムの表面を非印刷面とし、他の表面に印刷が施されてなる化粧シートである。本発明において、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの印刷面への印刷方式に特に制限はなく、凸版、平版、凹版、孔版のいずれの版式を用いることもできる。これらの中で、凹版印刷の一種であるグラビヤ印刷と、凸版印刷の一種であるフレキソ印刷を好適に用いることができ、グラビヤ印刷を特に好適に用いることができる。
グラビヤ印刷では、溶剤型のインキを使用することができるので、ビヒクルの樹脂の選択範囲が広く、不活性で非吸収性の非晶質ポリエステル樹脂フィルムに対し、接着の良好な印刷が可能である。インキの溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの混合溶剤を用いることができる。また、グラビヤ印刷では、インキが速乾性であるために、異なる色を刷り重ねる多色印刷が可能である。さらに、図柄の整数倍の円周を有する版胴を用いることにより、一定のピッチをもつ連続印刷や、継ぎ目のない連続模様の印刷も可能となる。
図2は、本発明の化粧シートを製造する方法の一態様の工程図である。ロール巻された本発明の印刷用シート9が繰り出され、張力調整ロール10と予熱器11を経由して、第一の印刷ユニット12に送られる。第一の印刷ユニットにおいて、インキパン13から版胴14のセルに移行したインキが、版胴と圧胴15の間を通る印刷用シートに転移される。印刷された印刷用シートが、乾燥炉16を通過することにより、印刷インキの溶剤が揮散される。通常は、乾燥炉の長さは1.5m程度であることが好ましく、乾燥温度は40〜50℃であることが好ましく、印刷速度は40〜80m/minであることが好ましい。印刷用シートは、引き続いて第二の印刷ユニット17、第三の印刷ユニット18、第四の印刷ユニット19で同様に印刷され、多色印刷された化粧シート20となってロールに巻き取られる。
【0010】
従来は、有機溶剤を使用したグラビヤインキで印刷すると、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの耐溶剤性が低いために、インキ層の残留溶剤により非晶質ポリエステル樹脂フィルムが膨潤ないし溶解し、非印刷面と印刷面の間でブロッキングを起こしがちであった。そのために、通常の印刷速度である40〜80m/minより印刷速度を落としたり、あるいは、印刷後直ちに巻き返しを行うことにより、残留溶剤の量を十分に低下させてブロッキングを防止していた。本発明の印刷用シートは、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面にコロナ放電処理が施され、耐ブロッキング性が向上しているので、通常の印刷速度で印刷してロール巻に巻き取っても、ブロッキングを生ずることがない。このために、印刷速度を落とすことなく、また、巻き返し工程の必要もなく、非晶質ポリエステル樹脂フィルムをベースフィルムとする印刷用シートと化粧シートの製品の歩留りと品質を大幅に改善することが可能となった。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、JIS K 6768に準じて測定した。
また、化粧シートのブロッキングは、下記の基準により評価した。
○:印刷インキが非印刷面に転写することなく、簡単に剥離できる。
△:印刷インキが若干非印刷面に転写しているが、剥離可能で商品によっては使用可能である。
×:印刷インキが裏面に転写し、剥離すると化粧シートが切れてしまう。
実施例1
図1に示す製膜装置を用い、非晶質ポリエステル樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG 6763]を原料として、厚さ60μmの透明なフィルムを製膜した。用いたコロナ放電処理機の放電電極の長さは1.5mであり、放電面積は1,125cm2である。フィルムの送り速度を40m/minとし、放電電力を720Wとすることにより、非印刷面に放電量12W/m2/min、放電度0.6W/cm2のコロナ放電処理を施して巻き取り、印刷用シートのロールを得た。得られた印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、32.5mN/mであった。コロナ放電処理を施した非印刷面に、異常は認められなかった。
この印刷用シートをロール巻より繰り出し、図2に示す印刷ユニット4個を有するグラビヤ印刷機を用いて印刷面にグラビヤ印刷を施した。第一の印刷ユニットで黄色インキ[ザ・インテック(株)、VTP45黄C]のベタ印刷を施し、第二、第三及び第四の印刷ユニットで、赤色インキ[ザ・インテック(株)、VTP30赤]、藍色インキ[ザ・インテック(株)、VTP61]及び墨色インキ[ザ・インテック(株)、VTP91墨]の柄印刷を施した。用いたインキのビヒクルは、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂の混合物であり、溶剤は、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンの混合溶剤である。印刷インキは、同じ溶剤を用いて希釈し、岩田カップ15秒に粘度調整した。用いたグラビヤ印刷機は、各ユニットに長さ1.5mの乾燥炉があり、乾燥温度は45℃に設定した。印刷用シートを60m/minで送って印刷し、巻き取り張力196Nでロールに巻き取って、化粧シートを得た。化粧シートの印刷インキの厚さは、約3μmであった。
化粧シートのロール巻を常温で3か月放置したのち、ロールから繰り出した。
印刷インキが若干非印刷面に転写していたが、化粧シートの剥離は可能で、実用上は商品として問題はなかった。
実施例2
コロナ放電量を70W/m2/min、放電度を3.7W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、48.5mN/mであり、非印刷面に異常は認められなかった。
常温で3か月放置したのち、化粧シートはロールから支障なく繰り出すことができ、印刷インキの非印刷面への転写は認められなかった。
実施例3
コロナ放電量を90W/m2/min、放電度を4.8W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、51.5mN/mであり、非印刷面に異常は認められなかった。
常温で3か月間放置したのち、化粧シートはロールから支障なく繰り出すことができ、印刷インキの非印刷面への転写は認められなかった。
実施例4
コロナ放電量を130W/m2/min、放電度を6.9W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、52.0mN/mであり、非印刷面に異常は認められなかった。
常温で3か月間放置したのち、化粧シートはロールから支障なく繰り出すことができ、印刷インキの非印刷面への転写は認められなかった。
実施例5
コロナ放電量を180W/m2/min、放電度を9.6W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、54.5mN/mであり、非印刷面に異常は認められなかった。
常温で3か月間放置したのち、化粧シートはロールから支障なく繰り出すことができ、印刷インキの非印刷面への転写は認められなかった。
【0012】
比較例1
コロナ放電量を8W/m2/min、放電度を0.4W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、30.0mN/mであり、非印刷面に異常は認められなかった。
常温で3か月放置したのち、化粧シートをロールから繰り出そうとすると、ブロッキングが強く、円滑に繰り出すことができず、化粧シートが部分的に切れた。印刷インキが、全面的に非印刷面へ転写していた。
比較例2
コロナ放電量を220W/m2/min、放電度を11.7W/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用シートと化粧シートを製造した。
印刷用シートの非印刷面の濡れ指数は、56.0mN/mであったが、非印刷面が荒れて部分的にフィルムに穴があいていた。
化粧シートとしては不良品であるが、常温で3か月間放置したのち、化粧シートはロールから支障なく繰り出すことができ、印刷インキの非印刷面への転写は認められなかった。
実施例1〜5の結果を第1表に、比較例1〜2の結果を第2表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
第1表に見られるように、実施例1〜5の印刷用シートの非印刷面は適度な濡れ指数を有し、これらの印刷用シートから製造された化粧シートは、ロール巻の状態で常温で30日放置してもブロッキングを生ずることがなく、容易に繰り出すことができる。これに対して、第2表の比較例1の印刷用シートは、コロナ放電量が少なく、この印刷用シートから製造された化粧シートはブロッキングを生じている。また、比較例2の印刷用シートは、コロナ放電量が多いために穴があき、化粧シートの原材料として不適当な状態となっている。
【0016】
【発明の効果】
本発明の印刷用シートは、非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面がコロナ放電処理されているために、印刷速度を落とすことなく、また、巻き返し工程の必要もなく、ロール巻の状態でブロッキングを生じない化粧シートを製造することができ、非晶質ポリエステル樹脂フィルムをベースフィルムとする化粧シートの製品の歩留りと品質を大幅に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の印刷用シートを製造する方法の一態様の工程図である。
【図2】図2は、本発明の化粧シートを製造する方法の一態様の工程図である。
【符号の説明】
1 Tダイ
2 ゴムロール
3 冷却ロール
4 第一ロール
5 第二ロール
6 第三ロール
7 第四ロール
8 コロナ放電処理機
9 印刷用シート
10 張力調整ロール
11 予熱器
12 第一の印刷ユニット
13 インキパン
14 版胴
15 圧胴
16 乾燥炉
17 第二の印刷ユニット
18 第三の印刷ユニット
19 第四の印刷ユニット
20 化粧シート
Claims (3)
- 非晶質ポリエステル樹脂フィルムの非印刷面が、放電量10〜200W/m2/min、放電度0.5〜10W/cm2でコロナ放電処理されてなることを特徴とする印刷用シート。
- コロナ放電処理されたフィルムの非印刷面が、濡れ指数30〜60mN/mである請求項1記載の印刷用シート。
- 請求項1又は請求項2記載の印刷用シートのコロナ放電処理された表面を非印刷面とし、他の表面に印刷が施されてなることを特徴とする化粧シート。
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