JPH06134949A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH06134949A
JPH06134949A JP26756592A JP26756592A JPH06134949A JP H06134949 A JPH06134949 A JP H06134949A JP 26756592 A JP26756592 A JP 26756592A JP 26756592 A JP26756592 A JP 26756592A JP H06134949 A JPH06134949 A JP H06134949A
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film
polyester
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outermost layer
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JP26756592A
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Shigehiro Masuda
成裕 増田
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンデンサー用、感熱転写材用として好適な
二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【構成】 各層のすべてが270℃以上の融点を持つポ
リ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート
で構成されており、かつ、少なくとも1つの表面を構成
する最表層積層部(A)のフィルム状態での固有粘度が
0.70〜1.00であることを特徴とする二軸配向積
層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二軸配向積層ポリエステ
ルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート
(以下PCTと略す)は、ポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略す)と比べて融点およびガラス転移点
温度が高いこと、含水率が低く、また耐加水分解性に優
れることなど、コンデンサー用フィルムに代表される絶
縁材として優れた特徴を有していることが知られている
(例えば、Soc.Plastics Engrs.
J.Vol.17 1083(1961),Insul
ation.April 36(1961)など)。
【0003】ところで、PCTはPETと比べて溶融製
膜時の熱安定性に劣り、熱劣化によりフィルム中に絶縁
欠陥を生じやすいことが指摘されており、その対応策が
示されている(例えば、特開平4−164627号公
報)。一方、近年省資源や環境汚染防止の観点から、フ
ィルムの製膜工程で出されるスクラップをリサイクル使
用することが常識であると考えられている。しかしなが
らPCTは前述したように溶融時の熱安定性が悪いた
め、一度溶融成形されたフィルムスクラップをリサイク
ル使用しようとして再度溶融製膜するとポリマーの熱劣
化による絶縁欠陥やフィッシュ・アイ(粗大突起)が著
しく増加し、フィルムの絶縁性や平面性を損う問題が生
じていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、各層のすべて
が270℃以上の融点を持つポリ−1,4−シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレートで構成されており、か
つ、少なくとも1つの表面を構成する最表層積層部
(A)のフィルム状態での固有粘度が0.70〜1.0
0であることを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフ
ィルムに関するものである。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上の積層構
造である必要があるが、特に両表面に最表層積層部
(A)を有し、その間に中間層を有する、例えばA/B
/Aの3層構造である場合に本発明の効果が最も良く発
揮されるため特に好ましい。この場合、中間層がそれ自
体積層構造であってもよい(以下、2層構造である場合
にも、最表層積層部(A)と異なる層を中間層と称す
る)。
【0006】本発明の積層フィルムの各層を構成するポ
リエステルは、すべて融点が270℃以上であるポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであ
る必要がある。融点を270℃以上とするためには、例
えば、酸成分の90モル%以上、好ましくは95モル%
以上がテレフタル酸であり、かつグリコール成分の97
モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールとす
ればよい。さらに1,4−シクロヘキサンジメタノール
のシス/トランス分率は4/6〜0/10であることが
好ましい。また、10モル%未満であれば、酸成分とし
て例えばイソフタル酸、2,6−または2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸
などを、3モル%未満であるならばグリコール成分とし
てエチレングリコールなどを共重合成分として含有させ
ることも可能である。
【0007】本発明の二軸配向積層ポリエステルフィル
ムの最表層積層部(A)を構成するPCTの固有粘度
は、0.70〜1.00、好ましくは0.75〜0.9
0である。固有粘度が0.70未満ではフィルム全体の
絶縁性やフィルム表面の平面性が損われてしまい好まし
くない。また固有粘度が1.00を超える場合には、溶
融製膜時の粘度が高すぎるためダイス口金でいわゆるダ
イラインが発生し、フィルムの平面性が悪化するため好
ましくない。
【0008】また、中間層を構成するPCTの固有粘度
は特に限定しないが、0.40までの低粘度のものでも
使用することができる。さらに最表層積層部(A)に使
用する原料は、重合工程後に一度も溶融成形をされてい
ない、いわゆるバージンレジンの割合が半分以上あるこ
とが好ましい。特に、固有粘度が0.75〜1.10
で、クロロホルムによる24時間の抽出で、抽出される
低分子量物が1.0重量%以下となるようにバージンレ
ジンの割合を決めることが好ましい。中間層には、横延
伸時にテンタークリップで把持されていた部分、あるい
は製膜中破断等で規定長さに達しなかったフィルムなど
を再ペレット化したリサイクル品を全量あるいは一部混
入させることが好ましい。この場合、中間層用原料とし
ては、クロロホルムによる24時間の抽出で、抽出され
る低分子量物が5.0重量%以下となるようにバージン
レジンに添加するリサイクル品の混入率を決定するとよ
い。
【0009】本発明の二軸配向積層ポリエステルフィル
ムは、最表層積層部(A)の厚みT A (両表面にこの最
表層積層部(A)がある場合にはそれらの層厚みの合計
と、フィルム全体の厚みTO が下式を満足することが
好ましく、下式を満足することがさらに好ましい。 0.1≦ TA /TO ≦0.9 ・・・ 0.2≦ TA /TO ≦0.8 ・・・ TA /TO が0.1未満である場合には、中間層のリサ
イクル品の影響がフィルム表面に及んで、フィッシュ・
アイが増加したり、絶縁破壊電圧が低下することがあ
る。TA /TO が0.9を超える場合には、リサイクル
品の混入率が低くなる。
【0010】さらに本発明の二軸配向積層ポリエステル
フィルムがA/B/Aの3層構造の場合、一方の最表層
積層部(A)の厚みTA1と、他方の最表層積層部(A)
の厚みTA2が下式を満すことが、絶縁破壊電圧を低下
させない上で有利であり、好ましい。 0.5≦ TA1/TA2 ≦1.5 ・・・ 本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの中でも特
に好ましいフィルムは、最表層積層部(A)に、平均粒
径0.1〜3.0μm、好ましくは0.2〜2.0μm
のポリエステルに対して不活性な粒子を、0.05〜
1.0wt%、好ましくは0.1〜0.5wt%含有す
るものである。ポリエステルに不活性な粒子の種類とし
ては、カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、炭
酸カルシウム、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることが
できるが、特に平均粒径0.2〜1.5μmの非晶質シ
リカを0.1〜0.5wt%添加した場合にフィルム全
体の絶縁破壊電圧が高くなり、コンデンサー用フィルム
として使用する場合に好ましいものとなる。
【0011】またA/B/Aの3層構造の場合、一方の
最表層積層部(A)に添加された粒子は、他方の最表層
積層部(A)に添加された粒子と粒子種・粒子径・添加
量が異なっていてもよいが、特に前述した非晶質シリカ
を用いる場合には、粒子径・添加量を表裏同一とした方
が絶縁破壊電圧を高くすることができる。一方、中間層
に用いる粒子は特に限定しないが、リサイクル品を原料
として使用する場合には、最表層積層部(A)と同一の
粒子種・粒子径であることが一般的である。ただし粒子
量は、リサイクル品の粒子濃度およびリサイクル品の混
入率により決定される。
【0012】本発明の二軸配向積層ポリエステルフィル
ムは、最表層積層部(A)および/あるいは中間層に公
知の熱安定剤・酸化防止剤等を含有させることができ
る。特にヒンダードフェノール系および亜リン酸エステ
ル系の熱安定剤・酸化防止剤を0.05〜0.5wt%
含有させた場合、リサイクル品を再溶融製膜したときに
熱劣化を抑えることができ、好ましい。
【0013】粒子あるいは熱安定剤・酸化防止剤をポリ
エステルに添加する方法は、PCTポリマーの溶融重合
の初期あるいは途中で、粒子や安定剤を添加した後、重
合反応を完結する方法でもよいが、重合が完了したPC
Tレジンに対して、溶融混練により添加・分散させる方
法が好ましい。また、粒子を添加する際には、水スラリ
ーとしてPCTレジンと混合し、ベント方式の二軸混練
押出機に供給して添加・分散させる方法も用いることが
できる。
【0014】さらに、粒子や安定剤の含有量を調節する
方法としては、上記方法で高濃度マスターバッチを作っ
ておき、それを製膜時に希釈することによって含有量を
調節する方法が有効である。次に本発明の二軸配向積層
ポリエステルフィルムの製膜方法について説明する。最
表層積層部(A)用原料と中間層用原料とを各々別々に
所定の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層押出
機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、
キャスティングロール上で冷却固化させて未延伸フィル
ムを作る。すなわち、2または3台以上の押出機、2ま
たは3層以上のマルチマニホールドまたは合流ブロック
を用いて積層し、口金から2層以上のシートを押出して
キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作
る。この際に各層の溶融粘度の差が大きい場合には、合
流ブロックよりもマルチマニホールドを用いて合流・積
層させた方が、積層部界面の均一性(すなわち各層の厚
み比の幅方向の均一性)が保たれるので特に好ましい。
また、ポリマー流路にスタティクミキサー、ギヤポン
プ、1000メッシュ相当以上の細かさでろ過できるフ
ィルターを設置することが有効である。さらに、シート
化の際には、いわゆる静電密着法を用い、キャスティン
グドラム上へ密着しながら冷却固化させる方法が好まし
い。特に1,4−シクロヘキサンジメタノール成分およ
びテレフタル酸成分が100%に近い組成のポリエステ
ルの場合には、結晶化が速くなるため、この静電密着法
が必要となることが多い。
【0015】かくして得られた未延伸フィルムは、次の
延伸工程に供される。延伸方法としては、ロール方式に
よる縦延伸を行い、次いでテンター方式による横延伸を
行う逐次延伸方法が一般的である。延伸温度として好適
な範囲は85〜130℃であり、これより低温の場合
は、白化したり、延伸ムラを生じやすくなり、これより
高温では、配向が進まず、また厚みムラを生じやすくな
る。より好ましい延伸温度範囲は95〜120℃であ
り、これにより、1〜15μm程度の薄いフィルムでも
安定して得ることができる。延伸倍率は縦方向に2.5
〜5.0倍、好ましくは3.0〜4.3倍、横方向に
3.0〜5.0倍、好ましくは3.3〜4.5倍に設定
するのが良い。また、これらの倍率は、一段で設定した
延伸倍率まで延伸するだけでなく、2段階以上に延伸倍
率を振り分けて多段延伸することにより達成することも
可能である。また、縦延伸でのひずみ速度は5000〜
100000%/分、好ましくは10000〜6000
0%/分とすることにより、フィルムの厚さムラを小さ
くでき好ましい。
【0016】このようにして二軸延伸されたフィルム
は、熱固定ゾーンに送り込まれ、熱固定される。熱固定
は、通常テンター方式で行い、通常、150〜260
℃、好ましくは180〜240℃の熱風をフィルムに1
秒ないし3分間当てて行えば良い。また熱固定の際に、
フィルムの幅方向に弛緩あるいは幅出し処理を行うこと
も可能である。
【0017】延伸、巻き取り等で用いるロールの表面に
キズ、異物等が存在すると、これが接触するフィルム上
に周期的な絶縁欠陥を生じさせる原因となるため、ロー
ル表面にはキズ、異物等が極力、存在しないようにする
ことが望ましい。以上のように製膜した二軸配向積層ポ
リエステルフィルムは、後述する方法で観察した表面の
フィッシュ・アイが500個/25cm2 以下が好まし
く、さらに好ましくは200個/25cm2 以下であ
る。
【0018】また、特にコンデンサー用フィルムとして
用いる場合には、後述する方法で測定した絶縁破壊電圧
が380V/μm以上であることが好ましく、さらに好
ましくは400V/μm以上である。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
例に限定されるものではない。なお、本発明のフィルム
の特性評価方法は以下のとおりである。 (1)フィルムの融点 パーキンエルマー社製DSC−1型で、16℃/min
の昇温速度で得られた結晶融解による吸熱ピーク温度を
フィルムの結晶融点とした。最表層積層部(A)および
中間層の融点は、各積層部を物理的に削り取り、各々の
融点を測点することで区別することができる。 (2)固有粘度〔η〕 ポリマーまたはフィルムをフェノール/テトラクロルエ
タン=50/50(重量比)の混合溶媒に0.1g/l
の濃度となるように溶解し、30℃において測定した。
このとき、Huggins定数は、ポリマー組成によら
ず、すべて一律に0.33として固有粘度を算出した。
最表層積層部(A)および中間層の融点は、各積層部を
物理的に削り取り、各々の融点を測定することで区別す
ることができる。
【0020】(3)各積層部の厚み構成 フィルムの厚み方向の断面を観察できるように厚さ10
0nmの切片をミクロトームを用いて切り出し、樹脂に
包埋して固定し、日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡
H−9000で写真観察して各積層部の厚み構成を測定
した(倍率:100000倍、加速電圧:300k
V)。 (4)クロロホルムにより抽出される低分子量物の割合 約100gのフィルムあるいはポリマーチップを粉砕
し、100℃で24時間真空乾燥後、その量を精秤し
た。(Agとする)。この粉末をクロロホルム中で24
時間還留下で抽出を行い、乾燥した後再び精秤し(Bg
とする)、下式により低分子量物の割合を算出した。
【0021】
【数1】 (5)絶縁破壊電圧(B.D.V) JIS C2318の6・3・8に示された方法に準じ
て、有効面積約10000mm2 での絶縁破壊電圧を測
定しこれをフィルム厚みで除して、フィルム1μm当た
りの換算値を示した。 (6)フィルム表面のフィッシュ・アイ フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、二光束干渉顕微
鏡を用いて測定した。25cm2 の面積中で、測定波長
0.54μmで4次以上の干渉縞を示す突起(高さ1.
08μm以上の突起)の個数をカウントした。 (7)感熱転写記録印字性ランク フィルムの片面に昇華性色素としてソルベントブルー9
3(C.I,社製)を含む厚さ約3μmの色材層を形成
した。次に、フィルムの反対面に市販の紫外線硬化樹脂
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)を主成
分としてUV硬化させた厚さ1μmの耐熱層を付与し
た。
【0022】この熱転写記録用フィルムを用いて、耐熱
層側から8dot/mmのサーマルヘッドで0.4W/
dotの電力を10ミリ秒間印加して昇華型熱転写記録
を行い、印字した文字の状態および転写後のフィルムの
顕微鏡観察の結果を次の基準で判断した。 ランクA:印字濃度が高い部分もムラなく印字され、光
沢も十分である。転写後のフィルムにも微細なシワはな
い。
【0023】ランクB:印字濃度が高い部分で、サーマ
ルヘッドピッチのエンボス状跡が見られ、光沢が低下す
る。転写後のフィルムにも微細なシワが見られる。 ランクC:印字部分でサーマルヘッドピッチのエンボス
状跡が著しく、全体的に光沢がなくなりマット調とな
る。転写後のフィルムにも微細なシワが非常に多く見ら
れる。
【0024】実施例1 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を95モル%、イ
ソフタル酸を5モル%、グリコール成分としてcis/
trans比7:3の1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを100モル%用い、触媒としてテトラブチルチタ
ネートを酸成分に対し0.06モル%添加して、常法に
従いエステル化・溶融重合を行い、重合体をチップ化し
た後、窒素気流下で固相重合を行って最終的に〔η〕=
1.05のポリエステルを得た(ポリエステル
(1))。
【0025】このポリエステル(1)に対して、平均粒
径1.30μmの非晶質シリカ(フジデビソン(株)サ
イロイド150)を1.2重量%添加し、二軸混練押出
機で溶融混練し、〔η〕=0.70の粒子マスターバッ
チを作成した(ポリエステル(2))。ポリエステル1
とポリエステル2とを7:1の重量比で混合してこれを
最表層積層部(A)用原料とした(ポリエステル
(3))。この原料は〔η〕=1.01で、クロロホル
ムによって押出される低分子量物は0.2重量%であっ
た。
【0026】また、中間層用原料として、横延伸時にテ
ンタークリップで把持されていた部分のフィルムを乾燥
した後再ペレット化した自己リサイクル品を用いた(ポ
リエステル(4))。この原料は〔η〕=0.71で、
クロロホルムによって抽出される低分子量物は3.2重
量%であった。次にポリエステル(3)およびポリエス
テル(4)を別々に乾燥した後、ポリエステル(3)を
半分に分けたものとポリエステル(4)を3台の押出機
に供給して300℃で溶融させ、各々高精度ろ過した後
三層マニホールドを有するダイに供して合流・積層させ
た。この際、ポリエステル(4)が中間層に、ポリエス
テル(3)が両面の最表層積層部(A)となるよう積層
し、口金よりシート状に押出た後、静電密着法を用いて
表面温度40℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷
却固化し、厚さ約55μmの未延伸フィルムを得た。
【0027】次いで未延伸フィルムを100℃に調節し
た金属ロール上に接触させ予熱した後、赤外線ヒーター
を照射しつつ周速差のあるロール間で3.1倍縦方向に
延伸した。この時のひずみ速度は50000%/分であ
った。次いでこのフィルムをテンターに導き、115℃
で3.6倍横方向に延伸した。さらに同一テンター内で
220℃で熱固定を行い、厚さ5μmの二軸配向積層フ
ィルムを得た。
【0028】このフィルムの最表層積層部(A)と中間
層の厚み構成は、1.5μm/2.0μm/1.5μm
であった。また、両面の最表層積層部(A)の固有粘度
〔η〕は0.80であり、各層のポリエステルの融点は
285℃であった。さらに、このフィルムの絶縁破壊電
圧は410V/μmと良好であり、フィルム表面のフィ
ッシュ・アイは180個と少ないものであった。また、
昇華型感熱転写記録用フィルムとして用いた場合には、
高エネルギー印字を行った際にもフィルムに微細なシワ
が入らず、印字した文字の光沢も満足できるものであっ
た。
【0029】実施例2 最表層積層部(A)用原料として実施例1で用いたポリ
エステル(3)をそのまま用い、中間層用原料として、
実施例1と同様に横延伸時にテンタークリップで把持さ
れていた部分のフィルムを再ペレット化した自己リサイ
クル品と、実施例1のポリエステル1を重量比50:5
0で混合したものを用いた(ポリエステル(5))。こ
の中間層用原料は〔η〕=0.89で、クロロホルムに
よって押出される低分子量物は1.7重量%であった。
【0030】この原料を用いて、各層の厚み構成を変更
する以外はすべて実施例1と同様に押出・延伸・熱固定
を行い、厚さ5μmの二軸配向積層フィルムを得た。得
られたフィルムの最表層積層部(A)と中間層の厚み構
成は、1.0μm/3.0μm/1.0μmであった。
また、両面の最表層積層部(A)の固有粘度〔η〕は
0.80であり、各層のポリエステルの融点は285℃
であった。
【0031】さらに、このフィルムの絶縁破壊電圧は4
20V/μmと良好であり、フィルム表面のフィッシュ
・アイは130個と少ないものであった。また、昇華型
感熱転写記録用フィルムとして用いた場合には、高エネ
ルギー印字を行った際にもフィルムに微細なシワが入ら
ず、印字した文字の光沢も満足できるものであった。
【0032】比較例1 実施例1で用いたポリエステル(3)とポリエステル
(4)を重量比60:40で混合したもの(ポリエステ
ル(6))を用いて、単層フィルムを作成した。このポ
リエステル(6)は〔η〕=0.89で、クロロホルム
によって抽出される低分子量物は1.4重量%であっ
た。
【0033】単層フィルムの製膜は、実施例1で3層マ
ニホールドを有するダイではなく、単層マニホールドを
有するダイを使用し、それ以外はすべて実施例1と同様
に押出・延伸・熱固定を行い、厚さ5μmの二軸配向単
層フィルムを得た。このフィルムの固有粘度〔η〕は
0.70であり、またフィルムの融点は285℃であっ
た。
【0034】さらに、このフィルムの絶縁破壊電圧は3
60V/μmであり、同じ原料を用いた実施例1の場合
よりもかなり低下しており、フィルム表面のフィッシュ
・アイも2300個と多いものであった。
【0035】比較例2 実施例1のポリエステル(1)の重合において、ジカル
ボン酸成分としてテレフタル酸を80モル%、イソフタ
ル酸を20モル%を用いる以外はすべてポリエステル
(1)と同様に重合を行い、最終的に〔η〕=1.00
のポリエステルを得た(ポリエステル(7))。
【0036】このポリエステル(7)に対して、平均粒
径1.30μmの非晶質シリカ(フジデビソン(株)サ
イロイド150)を1.2重量%添加し、二軸混練押出
機で溶融混練し〔η〕=0.70の粒子マスターバッチ
を作成した(ポリエステル(8))。ポリエステル
(7)とポリエステル(8)を7:1の重量比で混合し
てこれを最表層積層部(A)用原料とした(ポリエステ
ル(9))。この原料は〔η〕=0.96でクロロホル
ムによって押出される低分子量物は0.2重量%であっ
た。
【0037】また中間層用原料として、実施例1で用い
たリサイクル品ポリエステル(4)を用いた。これらの
原料を用いて実施例1とまったく同様に押出・延伸・熱
固定を行なって、厚さ5μmの二軸配向積層ポリエステ
ルフィルムを得た。このフィルムの最表層積層部(A)
と中間層の厚み構成は、1.5μm/2.0μm/1.
5μmであった。また両面の最表層積層部(A)の固有
粘度〔η〕は0.77であり、各層の融点は最表層積層
部(A)が265℃、中間層が285℃であった。
【0038】このフィルムの表面のフィッシュ・アイは
160個と少ないものであったが、このフィルムを昇華
型感熱転写記録用フィルムとして用い、高エネルギー印
字を行った際にフィルムに微細なシワが入り、印字した
文字もサーマルヘッドピッチのエンボス状跡が著しく、
光沢のないものとなった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の二軸配向積層ポリエステルフィ
ルムは、フィルム製膜工程で発生するスクラップを、フ
ィルム物性を低下させることなく再利用したものであ
り、省資源や環境汚染防止の観点のみならず生産性の向
上にも寄与するものである。本発明の二軸配向積層ポリ
エステルフィルムは、特にコンデンサー用途や感熱転写
用途に好適である。コンデンサー用途には、箔巻きコン
デンサー・蒸着コンデンサーいずれの場合も用いること
ができるが、特に絶縁破壊電圧が高く、しかも耐熱性に
優れることから、低温ハンダ浴に耐える表面実装用チッ
プコンデンサー用フィルムとして好適である。また感熱
転写用途には、溶融型・昇華型のいずれの方式のもので
も用いることができるが、特にフィルム融点が高いこと
から、昇華型転写で高エネルギー印字を行なう際にも、
印字した文字の光沢を低下させない特徴を有するもので
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各層のすべてが270℃以上の融点を持
    つポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ
    ートで構成されており、かつ、少なくとも1つの表面を
    構成する最表層積層部(A)のフィルム状態での固有粘
    度が0.70〜1.00であることを特徴とする二軸配
    向積層フィルム。
  2. 【請求項2】 最表層積層部(A)の厚みTA (最表層
    積層部(A)が両表面にある場合にはそれらの層厚みの
    合計)とフィルム全体の厚みTO が下式を満足するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の二軸配向積層ポリエス
    テルフィルム。 0.1≦TA /TO ≦0.9 ・・・
  3. 【請求項3】 最表層積層部(A)が両表面を構成し、
    かつ積層部(A)が平均粒径0.1〜3.0μmの不活
    性粒子を0.05〜1.0wt%含有することを特徴と
    する請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステ
    ルフィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19544525C2 (de) * 1994-11-30 1999-10-21 New Japan Radio Co Ltd Verfahren zur Wärmebehandlung eines Halbleiterkörpers

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