JP4543419B2 - ガス滅菌器の運転制御方法およびガス滅菌器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、滅菌ガスを用いて医療用具等を滅菌するガス滅菌器の運転制御方法およびガス滅菌器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス滅菌器の一つに、酸化エチレンガスを滅菌ガスとして用いるガス滅菌器がある。このガス滅菌器の運転は、高圧容器に滅菌ガスを予め加圧充填しておき、滅菌処理ごとに、この高圧容器から前記ガス滅菌器の滅菌槽へ滅菌ガスを供給し、医療用具等の被滅菌物を滅菌するものである。この場合、使用する滅菌ガスは人体にも有害であるため、その取り扱いには注意を要する。すなわち、滅菌ガスが作業する室内へ漏れないようにするとともに、不用意に前記滅菌槽を密閉する扉が開放されたとき、滅菌ガスによる被曝(滅菌ガスを吸い込んだりすること。
)を防止することができるガス滅菌器が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、滅菌作業の安全性を確保することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、滅菌槽の開口部を取り巻くように前記開口部外側の周縁部に設けた排気フードと、滅菌槽内の減圧と滅菌ガスの排出を行う減圧手段と、前記滅菌槽の扉が開いたとき前記扉の開放を感知する検出器と、前記検出器の信号によって、前記減圧手段を作動させる制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽の前記扉が開いたとき前記減圧手段を作動させ、前記滅菌槽内および前記排気フードから吸引するよう前記排気フードの複数箇所と前記減圧手段を接続する接続手段を設けたことを特徴としている。
【0006】
さらに、請求項2に記載の発明は、滅菌槽内の減圧と滅菌ガスの排出を行う減圧手段と、前記滅菌槽の扉が開いたとき前記扉の開放を感知する検出器と、前記検出器の信号によって、前記減圧手段を作動させる制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽の前記扉が開いたとき前記減圧手段を作動させ、前記滅菌槽内および排気フードから滅菌ガスを排出することを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明は、滅菌ガスを用いて医療用具等を滅菌するガス滅菌器において実施することができる。すなわち、医療用具用等の被滅菌物を前記滅菌槽内に収容し、前記滅菌槽内の空気を排除する工程後、滅菌ガス導入管から滅菌ガスを導入し滅菌する工程を行う。
【0008】
滅菌ガスは、人体にも有害であるため、第一の実施の形態として、前記滅菌槽を密閉する扉が開いたとき、前記滅菌槽内の空気や滅菌ガスあるいはそれらの混合されたものを吸引することにより、室内への漏洩を防止する運転制御方法である。ここにおいて、前記扉が開くことを検出するタイミングは、滅菌処理作業のいずれの工程のときでもよいし、あるいは滅菌処理作業の開始前や終了後のタイミングを含めて検出することもできる。また、前記吸引は、前記滅菌槽内を減圧する減圧手段を作動させることにより行われる。そして、吸引されたガスは、無害化処理装置へ移送され、無害化される。
【0009】
つぎに、第二の実施の形態として、より一層室内への滅菌ガスの漏れを防止する手段として、前記滅菌槽の開口部の周縁部に排気フードを設ける。前記排気フードは、前記開口部から漏洩する滅菌ガスを受けとめ、室内への拡散を防止することができる形状としている。そして、前記排気フードと前記減圧手段を接続する接続手段とを備えるガス滅菌器である。前記接続手段としては、たとえばダクトや配管構造により構成することができる。
【0010】
さらに、第三の実施の形態として、前記扉が開いたとき、前記滅菌槽内の滅菌ガスを前記減圧手段で吸引するとともに、前記滅菌槽から漏れ出た滅菌ガスも前記排気フードから前記減圧手段で吸引し、室内から排除する運転制御方法である。
【0011】
【実施例】
以下、この発明における具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、請求項1に記載の発明を実施するに好適なガス滅菌器の概略説明図である。
【0012】
図1において、ガス滅菌器1は、滅菌ガスとして酸化エチレンガスを用いるガス滅菌器である。無害化処理装置2は、酸化エチレンガスを無害化する装置である。なお、図1において、以下に説明する各機器の制御を行なう制御器とその接続回線は、ともに図示を省略している。
【0013】
さて、前記ガス滅菌器1は、医療用具等の被滅菌物(図示省略)を収容する滅菌槽3と、この滅菌槽3を気密に密閉する扉4と、滅菌ガスを導入する滅菌ガス導入管5と、前記滅菌槽3内へ空気を導入する空気導入管6を備えている。この空気導入管6は、空気の導入を制御する空気導入弁7と空気中のゴミ等を除くフィルター8を備えている。さらに、前記ガス滅菌器1は、前記扉4の開閉状態を検出する扉検出器9と、前記滅菌槽3内の圧力を検出する圧力検出器10を備えている。
【0014】
そして、前記ガス滅菌器1は、前記滅菌槽3側から順番に前記滅菌槽3の背面(図1の右側)下部付近に接続された排出管11と、滅菌ガスの逆流を防ぐ逆止弁12と、前記滅菌槽3内の減圧と滅菌ガスの排出を行う減圧手段13,たとえば真空ポンプ(以下、「真空ポンプ13」と云う)および前記無害化処理装置2への移送管14とを備えている。すなわち、前記滅菌槽3内の滅菌ガスが前記無害化処理装置2へ移送されるように構成されている。
【0015】
つぎに、前記構成における前記ガス滅菌器1の運転制御方法を説明する。この運転制御方法は、基本的に、別途配置された高圧容器(図示省略)内に滅菌ガス(酸化エチレンガス)を予め加圧充填しておき、滅菌処理ごとに、この高圧容器から前記滅菌槽3内へ滅菌ガスを供給するようになっている。そして、その滅菌処理は、従来と同様、前記滅菌槽3内の空気排除工程,前記滅菌槽3内への滅菌ガス供給工程,前記滅菌槽3内の滅菌工程,前記滅菌槽3内の滅菌ガスの排除工程および前記滅菌槽3内の空気清浄工程等からなっている。
【0016】
ここにおいて、滅菌ガスは人体にも有害であるため、この具体的実施例においては、前記扉4が開いたとき、前記扉検出器9が扉の開放を感知し、前記制御器(図示省略)へ信号を出力し、前記制御器により、前記滅菌槽3内の空気や滅菌ガスあるいはそれらの混合されたものを前記真空ポンプ13を作動させ、吸引することにより、室内への滅菌ガスの漏洩を防止する運転制御方法である。前記真空ポンプ13の作動により吸引されたガスは、前記無害化処理装置2へ移送され、無害化処理される。
【0017】
以上のように、この実施例によれば、前記扉4が開いたとき、直ちに前記真空ポンプ13で吸引するため、滅菌ガスの室内への漏洩を防止することができる。
【0018】
つぎに、この発明におけるガス滅菌器の具体的実施例について、図2に基づいて詳細に説明する。図2は、ガス滅菌器の概略説明図である。この具体的実施例は、前記請求項1に関連する具体的実施例で説明したガス滅菌器1へより一層、室内への滅菌ガスの漏れを防止する手段を追加して備えたものである。よって、図1で説明したものと同一の機器には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図2においても、以下に説明する各機器の制御を行なう制御器とその接続回線は、ともに図示を省略している。
【0019】
さて、前記ガス滅菌器1は、図1で説明したガス滅菌器に追加して、排気フード15と、この排気フード15と前記真空ポンプ13を接続する接続手段16,たとえば排気ダクト(以下、「排気ダクト16」と云う)と前記排気ダクト16の開放と閉鎖を制御する第一制御弁17を備えた構成としている。
【0020】
前記排気フード15は、前記扉4を開放することにより形成される前記滅菌槽3の開口部(図示省略)の周縁部(符号省略)に設ける。ここにおいて、前記開口部は、前記扉4の開度に対応して生じる小さな隙間から大きな隙間も含むものであり、前記扉4における前記滅菌槽3側の当接面と、前記滅菌槽3における前記扉4側の当接面との間に形成される開口部,いわゆる隙間である。そして、前記排気フード15は、前記開口部を取り巻くように、この開口部の外側に設けられ、板材等により構成されている。前記排気フード15の断面形状は、漏れ出た滅菌ガスを受け止められる形状としており、図2においては、角型の樋状としているが、半円形状等としてもよい。そして、前記排気フード15は、前記扉4を全開するときに支障をきたさないように、前記扉4の前面側(符号省略)を除いて設けられている。
【0021】
前記排気ダクト16は、前記排気フード15からまんべんなく滅菌ガスを吸引するため、前記排気フード15の複数の箇所と接続されている。その接続箇所は、前記ガス滅菌器1の規模や前記扉4の形状に対応して決定される。図2では、前記排気フード15の上下2箇所(符号省略)に接続されている状態を図示している。そして、2箇所に接続された前記両排気ダクト16は、下流位置において合流し、合流地点以降の排気ダクト16に設けられた前記第一制御弁17を介して、前記真空ポンプ13の入口側と接続されている。ここにおいて、前記排気ダクト16は、例えばプラスチック等のホースや配管等により構成されている。
【0022】
前記構成により、前記滅菌器1は、前記扉4が開放されると、前記真空ポンプ13を作動させるとともに、前記第一制御弁17を開く。すると、前記真空ポンプ13の作動により、前記滅菌槽3内の滅菌ガスが前記無害化処理装置2へ移送されるとともに、前記開口部から漏れ出た滅菌ガスも前記無害化処理装置2へ移送される。これにより、さらに被曝(滅菌ガスを吸い込んだりすること。)を防止できるガス滅菌器とすることができる。
【0023】
さらに、この発明における実施例として、ガス滅菌器の運転制御方法の具体的実施例を図面に基づいて説明する。この実施例は、図2に基づいて説明する。通常の滅菌工程における運転においては、前記第一制御弁17は、閉じた状態で運転されている。ここにおいて、前記ガス滅菌器1の通常の滅菌工程の運転は、前記請求項1に関連する実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0024】
前記扉4を開けたとき、前記滅菌槽3内の滅菌ガスおよび前記滅菌槽3から漏れ出た滅菌ガスの処理を行う運転制御方法について説明する。前記扉4が不用意に,すなわち前記滅菌槽3内に滅菌ガスが存在している可能性があるときに開放されたとき、前記扉検出器9により信号が出力されると、前記第一制御弁17を開けるとともに、前記真空ポンプ13の作動も行う制御である。ここにおいて、前記扉4が開くことを検出するタイミングは、滅菌処理作業のいずれの工程のときでもよいし、あるいは滅菌処理作業の開始前や終了後等のタイミングを含めて検出することもできる。
【0025】
すなわち、前記扉4が開いたとき、前記滅菌槽3内の滅菌ガスを前記真空ポンプ13で吸引するとともに、前記滅菌槽3から漏れ出た滅菌ガスも前記排気フード15から前記排気ダクト16を介して、前記真空ポンプ13で吸引し、室内から排除する運転制御方法である。これにより、前記扉4が開いたとき、滅菌ガスの室内への漏洩をより確実に防止することができる。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、滅菌作業の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するに好適なガス滅菌器の概略説明図である。
【図2】この発明におけるガス滅菌器の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ガス滅菌器
3 滅菌槽
4 扉
13 真空ポンプ(減圧手段)
15 排気フード
16 排気ダクト(接続手段)
Claims (2)
- 滅菌槽の開口部を取り巻くように前記開口部外側の周縁部に設けた排気フードと、滅菌槽内の減圧と滅菌ガスの排出を行う減圧手段と、前記滅菌槽の扉が開いたとき前記扉の開放を感知する検出器と、前記検出器の信号によって、前記減圧手段を作動させる制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽の前記扉が開いたとき前記減圧手段を作動させ、前記滅菌槽内および前記排気フードから吸引するよう前記排気フードの複数箇所と前記減圧手段を接続する接続手段を設けたことを特徴とする酸化エチレンガス滅菌器。
- 請求項1に記載の酸化エチレンガス滅菌器の運転制御方法であって、滅菌槽内の減圧と滅菌ガスの排出を行う減圧手段と、前記滅菌槽の扉が開いたとき前記扉の開放を感知する検出器と、前記検出器の信号によって、前記減圧手段を作動させる制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽の前記扉が開いたとき前記減圧手段を作動させ、前記滅菌槽内および排気フードから滅菌ガスを排出することを特徴とする酸化エチレンガス滅菌器の運転制御方法。
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