JP4542168B2 - 綜絖及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は請求項1に記載の綜絖及び請求項10に記載の綜絖を製作する方法に関する。
織機の綜絖は、杼口を形成するために綜絖の中心の目を通って走る経糸を上下させる役目を持っている。例えば、原糸、金属及びプラスチックで構成される綜絖が知られている。金属製の綜絖の場合、糸案内穴は相互にはんだ付けされた二重線ワイヤに突き刺し穴明けするか、又は平たく圧延された丸ワイヤ又は幅広帯に型押し穴を明けるかのどちらかによって形成される。突き刺し又は型押しによって形成された穴、即ちループは経糸が通って案内される糸案内を構成する。糸案内は、そこを通って走る経糸による高い機械的応力に曝される。それはできるだけ摩耗が少なくなっており、且つそこを通って走る経糸を擦耗させるものであってはならない。これらの要求を満たすために、付加的な糸案内がループの中にはんだ付けされることがしばしばあり、マイロン(maillon)とも呼ばれている。大きい機械的負荷支承能力に係る要求は、少なくとも糸案内の領域が金属から製作された綜絖によって最も良く満たされる。
錫メッキされた平行な2本の鋼線からなる丸形ワイヤの綜絖を液体錫又は錫/鉛浴の中で連続流れ法によりはんだ付けすることが知られている。このようにして製作された二重ワイヤは、糸案内を形成するためにはんだ付け継手に沿って再び分離され、そして拡大されてループになり、もし適当であればその中に付加的な糸案内がはんだ付けされる。そのような丸形ワイヤの綜絖を製作する方法はコストが高く、その上、鉛浴及び/又は錫浴を使用するために環境保護上問題がある。加えて、この綜絖は耐摩耗性でない比較的柔らかい表面を持っている。従って、それらは望ましい耐摩耗性を備え且つ原糸の汚損を防止するために引き続いて銅メッキ及びニッケルメッキされなければならない。
平たいスチールバンドから綜絖を製作する代替的な方法が、DE−A1950903に記載されている。この場合、第1の作業ステーションにおいて、プレスにより平たいスチールバンドにノッチが形成され、スチールバンドの長手方向に平たいスチールバンドの平側面の中心部に延入する。次の作業ステーションにおいて、そのノッチが設けられた部分で、平たいスチールバンドはノッチが平たいスチールバンドの全幅を貫通するスロットを形成するように、拡大工具を使用して処理される。このスロットは拡げられ、同時に帯材は変形される。次の作業工程において、糸案内は拡げられたループの中に圧入されることができる。これの不利な点は、一方において、一様な厚さの平らなスチールバンドを切り開き、そして拡大するために大きな力を必要とすることである。更に、このようにして得られたスリットは付加的な糸案内穴を省けないが、後者を挿入を困難にする鋭い角部を持つ。更には、矩形輪郭を持つ帯状スチールバンド内のスリットをループに拡大することは、特にスリットの端部領域において、材料の過大応力を発生させることになる。
従って、本発明の目的は、従来技術の前述の問題が回避された綜絖を提供することである。綜絖は特に低コストで且つ環境的と共存できる方法で生産されることが可能とされるべきである。
本発明の目的は請求項1の特徴を持つ綜絖によって達成される。本発明は更に、請求項10の特徴を有する綜絖製造方法によって達成される。
本発明によれば、綜絖の製造は、少なくとも2個の厚さ増大部及びそれらの間に配置された狭隘点を持つ輪郭を有する一体型ブランク(中間材料)から始まる。ブランクの輪郭は、狭隘点の領域において、丸められた又は平たくされた頂角を持ち、且つ20°乃至120°の間の開口角度を備えた三角形の形をしているか、又は略そのような形を持つことが出来る。
狭隘点の領域におけるブランクの厚さd2は、好ましくは0.02mmと0.2mmの間である。厚さ増大部領域における厚さd1は好ましくは、厚さd2の2倍乃至8倍であり、好ましくは0.3mmと1.2mmの間である。ブランクの幅b1は好ましくは、0.5mmと3.0mmの間である。
ブランクは特に、バンド全長に亘って既述の輪郭を持つ無端バンドである。それは又、以下では分割可能な輪郭のワイヤとして呼ばれる。この発明による綜絖において、ブランクは所定の長さの領域において狭隘点に沿って2個の個別のストランドに分割され、そしてループを形成するように拡げられる。ブランクの全長に亘って存在し、そしてノッチ作用に繋がりやすい狭隘点のおかげで、高度の可撓性を備える異なった長さで異なったループサイズを有する綜絖が製造出来る。ループを作るためのスリットの突き刺し乃至分割は、少ない力で行なうことが出来る。予め製作された狭隘部のために、個々のストランドは、スリットの領域において基本的に丸められた角部を持っている。従って、このようにして得られたループは、経糸を受け入れるために簡単な方法で準備することが出来る。スリットを形成するための分割及びスリットの拡大は、共通の処理ステーションにおいて、1操作で行われることが出来る。
ブランクは好ましくは、一体型の成形された分割可能なワイヤである。これは好ましくは、圧延、引き抜き又は切削によって製作される。それは好ましくは、不銹性のばね材又は冷間引き抜きばね鋼からなっている。その強度は、900〜2500N/mm2であり、好ましくは1100乃至1500N/mm2である。この高い引張強度が、この発明による綜絖に必要な安定性と寿命とを与えている。強度は、綜絖の全長に渡って引き裂かれて開かれることなく、輪郭が割られて拡げられるように材料の関数として選択される。破断伸びは、端部ループが一体的に形成されることが可能なように選択される。
綜絖は好ましくは、ハーネス状に纏めるために、ホース締結のための真直な端部又は一体的に形成された端部ループを持っている。これらは、対応する材料の変形、端部の切り割り又は付加的な糸案内の取り付けによって作られる。
もしこの綜絖が低応力のみに曝されるのであれば、拡げられたループは糸案内として直接的に使用することが出来る。
この場合において、耐摩耗性はブランクの材料の硬さによって決定される。はんだ付けされた二重ワイヤからなる綜絖とは対照的に、銅メッキとニッケルメッキを行わないですまされることが大きな利点である。
高応力の場合、付加的な糸案内がループの中に挿入されるのが好ましい。この糸案内は好ましくはブランクそれ自身よりも大きい耐久性を有し、そして好ましくは又対応して準備された表面が、例えば磨かれる。好ましくは、この付加的な糸案内は、個々のストランドの形状にマッチしたノッチをその外側輪郭線に沿って持っている。付加的な糸案内は、当然に形状嵌合を以てループ内に挿入されることができるから、原則として別の締結手段を必要としない。これにより、糸案内がはんだ付けされる既知の方法と比べて、製造方法が簡単化される。しかしながら、付加的な糸案内は、接着結合、硬はんだ付け、軟はんだ付け、膜はんだ付け、レーザ溶接、圧接、超音波溶接、又はプレスによってループの中に締結されることもある。現時点で主として使用される軟はんだ付け以外の方法は、当然のことながら使用可能であり、そして環境保護的に問題のある鉛/錫浴の適用なしに済ますことが出来る。これの利点は、部分的に表面変化を導き、そして今日の最終的なニッケルメッキの間に好ましくないニッケルの先端形成を促進するはんだ付け流体を使用する必要がないことである。前述の締結手段は、糸案内の固定のような役目を果たし、分かれた個々のストランドと糸案内の間の充填手段は、スリット端部の安定化と糸を損傷する全ての角部を丸くする役目を果たす。
付加的な糸案内を持たない綜絖において、分割された点、即ちループは機械的に又は化学的に磨かれる。このように形成される糸案内の繊維な表面がかくして製作される。付加的に挿入された糸案内(マイロン)も又、好ましくは対応する磨き面を持っている。
ブランクの輪郭は好ましくは基本的に、亜鈴形であり、2重丸屋根形であり、又は8の字形である。これにより、容易な分割性が実現される。
部分的に分かれた分割可能輪郭のワイヤは、好ましくは割り開かれた小孔即ちループを持つ他の構成部品を製造するために使用される。
本発明による綜絖の例が図面に描かれており、以下に例示の綜絖により本発明を詳述する。
図1乃至図5は、この発明による綜絖の製造に使用することが出来るブランクの種々の輪郭形状を示している。同一の機能を有する領域は、同一の参照記号によって示されている。
図1による輪郭は基本的に、亜鈴形即ち8の字形である。これは、横軸11に関し、及びこれに垂直な中心軸12に関して共に対称である。輪郭1は、2個の丸屋根形横方向厚さ増大部4a、4bを持っており、これらの間に狭隘点2が形成されている。狭隘点2は、横軸11に関して互いに鏡面対称で反対側に位置するノッチ3a、3bをその全長に亘ってブランクが具備するブランク形成行程の間において形成される。ブランク1は、0.4mm乃至2.6mmの、好ましくは0.6mmの幅b1を有する。これと直角な方向において、それは幅b1の約2/3の、ここでは0.4mmの最大厚さd1を有している。狭隘点2の領域の最小厚さd2は、幅b1の約1/3、ここでは好ましくは0.2mmである。輪郭は厚さ増大部4a、4bの領域及びノッチ3a、3bの領域において、丸められた形状を有する。狭隘点2の領域における輪郭の曲率半径R1は、0.01mmと0.25mmの間であり、好ましくは0.05mmの値となる。ノッチは、30°乃至60°の開口半角α、ここではα=40°、を持つ丸められたコーンの形状である。
この発明に従って製造されるべき綜絖に対して、輪郭ワイヤは狭隘点2に沿って、即ち最小厚さd2に沿って部分的に分かれている。生ずるスリットは、それ自身が糸案内を形成するか別の糸案内(マイロン)を受け入れるかするループに拡げられる。
図2はブランク1の輪郭の別の例を示している。2個の厚さ増大部4a、4bの間の狭隘点2は、ここでは、図1の例と比較して、輪郭の幅b1の約1/6の削減された厚さd2を有している。ノッチ3a、3bの開口半角αは、約30°である。ノッチ3a、3bの曲率半径R1は、約0.05mmである。
図3は、三角形即ち屋根形の断面のノッチ3a、3bを持つ、この発明による輪郭ワイヤの別の例を示している。ブランクの輪郭の幅b1は、0.6mmと2.6mmの間であり、ここでは好ましくは0.8mmの値となっている。2個の厚さ増大部4a、4bの間のノッチ3a、3bによって形成される狭隘点2は、幅b2の材料の真直な片から本質的になっている。幅b2は、0.05mmと0.5mmの間であり、ここでは0.1mmの値となっている。それに垂直な方向に延びる狭隘点2の厚さd2は好ましくは、0.1mmと0.5mmの間であり、ここでは例えば、0.1mmの値となっている。最大範囲の点で測定されたブランク1の輪郭全体の厚さd1は、好ましくは0.25mmと1.3mmの間であり、ここでは0.45mmの値となっている。ノッチ3a、3bの開口角βは、60°と120°の間であり、ここでは約90°の値となっている。
図4は、図3に関して若干修正が施され、そして丸められたノッチ3a、3bを持つ輪郭を示している。ノッチの曲率半径R1は、ここでは約0.12mmの値となっており、原則的には0.05mmと0.5mmの間が好ましい。開口角βは基本的に90°である。
図5は、この発明によるブランクの別の亜鈴形即ち8の字形輪郭を示している。輪郭の幅b1は約0.6mmであり、輪郭の厚さd1はこの約2/3、ここでは0.4mmであり、そして狭隘点2の厚さd2はこの約1/6、ここでは0.1mmである。ノッチ3a、3bの開口角βは約90°の値となっている。狭隘点2の領域の曲率半径R1は、約0.05mmの値となっている。厚さ増大部4a、4bの領域の輪郭の曲率半径R2は、約0.1mmの値となっている。図5による輪郭は、約0.16mm2の断面積を持っている。
図1乃至図5に示された輪郭は、不銹性のばね材料又はばね鋼からなるワイヤの冷間引き抜き、圧延又は切削により製造することが出来る。このようにして製造された割り可能な輪郭ワイヤは、この発明による綜絖の製造のための出発材料としての無端バンドとして供される。更にループを有する他の構成部品がかかるワイヤから簡単な方法で製造することが出来る。
図6は、挿入された糸案内7を持つ、この発明による綜絖の例を示している。綜絖は、図1乃至図5の一つ又は図8による輪郭を持った分割可能な輪郭ワイヤであるブランク1からなっている。長手方向にストランド状であり、ブランク1の端部領域1a、1bにおいて互いに平行である2個の厚さ増大部4a、4bを輪郭ワイヤが有している。この端部領域1a、1bにおいて、それらは狭隘点2によって互いに連結されている。ループ6の領域において、狭隘点は特定の長さに亘って分かれている。ブランク1は、この領域において2個の別々のストランド5a、5bに割られている。これらは、ループ6を形成するために、お互いに離れて横方向に引っ張られる。糸案内7は、ループ6の中へ形状嵌合で挿入される。ループ6の端部8即ち糸案内7と個々のストランド5a、5bの間の中間領域は充填手段で満たされる。
図7及び図8は、図6の1−1線に沿う綜絖の断面を示している。図7は、ブランク1が従来技術によるはんだ付けされた二重ワイヤである状況を示している。これは2本の丸ワイヤ9a、9bからなり、これらは互いに平行に指向されて錫はんだ付け10により全長に亘って連結されている。このような二重ワイヤは、当初に概説した不具合を持っている。図8は対照的に、一体の分割可能な輪郭ワイヤがブランク1として使用されるこの発明による別の実施を示している。
この発明による綜絖を製造するためのブランクの輪郭を純図式的に示している。 この発明による綜絖を製造するためのブランクの輪郭を純図式的に示している。 この発明による綜絖を製造するためのブランクの輪郭を純図式的に示している。 この発明による綜絖を製造するためのブランクの輪郭を純図式的に示している。 この発明による綜絖を製造するためのブランクの輪郭を純図式的に示している。 付加的に挿入された糸案内を備えた、この発明による綜絖の上面図を純図式的に示している。 従来技術の二重ワイヤ型綜絖の断面図を純図式的に示している。 この発明による綜絖の断面図を純図式的に示している。
符号の説明
1 ブランク
2 狭隘点
3a ノッチ
3b ノッチ
4a 横方向厚さ増大部
4b 横方向厚さ増大部
α ノッチの開口半角
β ノッチの開口角
1 ノッチの曲率半径
6 ループ
7 糸案内
8 ループの端部
9a 丸ワイヤ
9b 丸ワイヤ
10 はんだ付け

Claims (10)

  1. 綜絖において、
    バンド状部材の対向する二面に沿って長手方向に延びるノッチ(3a、3b)を前記バンド状部材の全長に亘って形成して成る、少なくとも2個の厚さ増大部(4a、4b)と、それらの間に配置された狭隘点(2)とを持つ一体ブランク(1)を具備し、
    前記2個の厚さ増大部(4a、4b)は前記狭隘点(2)によって互いに一体的に連結されており、
    前記一体ブランク(1)は、前記狭隘点(2)の領域において丸くされ又は平たくされた頂角を有した三角形となるようにした輪郭を有し、
    前記一体ブランク(1)は、前記狭隘点(2)に沿って2個の個別のストランド(5a、5b)に分離され拡大されてループ(6)を形成している綜絖。
  2. ループ(6)が磨かれた表面を持ち、糸案内(7)を形成する請求項1に記載の綜絖。
  3. ループ(6)の中に配設された付加的な糸案内(マイロン)(7)がある請求項1に記載の綜絖。
  4. 糸案内(7)が、ループ(6)内に形状嵌合で挿入されるために、個別のストランド(5a、5b)の形状と填り合うノッチをその外側輪郭線に沿って有する請求項3に記載の綜絖。
  5. 糸案内(7)が磨かれた表面を持つ請求項3又は4に記載の綜絖。
  6. ブランク(1)が、成形された分割可能なワイヤである請求項1〜5の何れか1項に記載の綜絖。
  7. ブランク(1)は、不銹性のばね材又は冷間引き抜きばね鋼から構成された、冷間引き抜きされ、又は圧延され、又は切削されたワイヤである請求項1〜6の何れか1項に記載の綜絖。
  8. ブランク(1)は、900N/mm2乃至2500N/mm2の引張強さを有する請求項1〜7の何れか1項に記載の綜絖。
  9. ホース締結端部ループ又は一体成形端部ループのための真直端部(1a、1b)がある請求項1〜8の何れか1項に記載の綜絖。
  10. a)バンド状部材の対向する二面に沿って長手方向に延びるノッチ(3a、3b)を前記バンド状部材の全長に亘って形成して成る、少なくとも2個の厚さ増大部(4a、4b)と、それらの間に配置された狭隘点(2)とを持つ一体ブランク(1)であって、前記2個の厚さ増大部(4a、4b)は前記狭隘点(2)によって互いに一体的に連結され、前記狭隘点(2)の領域において丸くされ又は平たくされた頂角を有した三角形となるようにした輪郭を有する一体ブランク(1)を準備する工程、
    b)狭隘点(2)に沿って所定の長さに亘って長手方向に該ブランク(1)を分離して2本の独立のストランドとする工程、及び
    c)分離領域において該ブランク(1)の幅を拡げてループ(6)にする工程を有する綜絖を製造する方法。
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