JP4540863B2 - 電子部品実装方法及び電子部品実装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板上の所定の位置に所定の電子部品を実装して電子回路を形成する電子部品実装方法及び電子部品実装装置並びに電子部品実装システムに関し、さらに詳しくは、実装する電子部品の部品特性に応じて、他の電子部品の特性を変更して実装する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子部品実装装置は、被実装基板(基板)上に形成された回路に対し、所定の実装位置には予め所定の特性の電子部品を実装し、これを基板ロット毎、基板毎、若しくは形成された回路毎に繰返し行うものであった。これには、例えば図15に示すように、制御部1、電子部品供給部3、部品移載部5を備えた電子部品実装装置7が用いられる。この電子部品実装装置7では、基板9上に所定の電子部品を実装する図16に示す実装位置データ、及び各実装位置に対応した部品供給位置データ11を予め制御部1に記憶しておき、この実装位置データ、部品供給位置データ11に基づき、制御部1が基板位置決め部15、電子部品供給部3、部品移載部5を動作制御し、基板9上の所定の位置に電子部品を実装する。ここで供給される電子部品は、各部品供給位置毎に同一特性のもので供給されるのが一般的であった。その理由は、従来より、電子部品実装装置7には、同一品種回路を多量に作成したいといった基本的な要請があったためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の移動体通信等の電子回路においては、特定電子部品の個体間の特性ばらつきを、付加部品の特性を変えることで回路全体の特性を同一化させる必要性が発生している。これは図17に示すように、実装する特定電子部品CXの個体特性A、B別に他の位置に実装する付加部品(C100,C103,R2,R3)を変更して実装し、特性の異なる電子部品CXでありながら同一の回路特性AAの回路17,19を形成するものである。
また逆に、個々の実装回路において特性を変える必要性が要求される場合も発生している。これは、図18に示すように実装する基板21,23毎、或いは基板21,23内の1回路毎に実装する電子部品(C100,C103,R2,R3)を変更し、基板21,23或いは回路毎に異なる回路特性AA,ABの形成を実現するものである。
これら2つの課題は、回路設計上は異なる課題であるが電子部品実装方法の観点から考えると、1基板毎、或いは1回路毎に異なる電子部品を実装するという点で同一の課題といえる。
また、個体特性の異なる電子部品は、図19に示すように部品供給テープ25に通常の電子部品と同様に収納されるのが一般的である。部品供給途中において、部品供給テープ25の何個目まで使用されたかを判断するには、電子部品実装装置の制御部における部品使用数のデータのみが判断要素となる。そのため、個体特性の異なる特定電子部品を部品使用数のデータのみに依存して供給すれば、電子部品実装装置に動作不具合などが発生した場合、供給順番が予め与えられた順序と異なってしまい、誤実装を発生させることがあった。
【0004】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、実装する特定電子部品の個体特性別に、他の位置に実装する電子部品を変更して実装することが可能な電子部品実装方法及び電子部品実装装置並びに電子部品実装システムを提供し、電子部品の個体特性によって回路の全体特性が拘束されない電子部品実装を可能にすることを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の電子部品実装方法は、電子部品の実装位置、及び複数の電子部品を収容する電子部品供給部における前記電子部品の部品供給位置が実装順に記録された実装データと、前記部品供給位置に対応する電子部品の種類が記録された部品割付けデータとに基づいて、前記電子部品供給部から所望の電子部品を取り出して基板上の所定の位置に実装する電子部品実装方法において、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品以外の他の電子部品の部品供給位置を他の部品供給位置に変更する変換情報が予め記録された組合せデータを設け、前記異種特性電子部品に対する前記実装データに組合せフラグを付加し、前記異種特性電子部品を前記部品供給位置に順次供給し、この供給された前記異種特性電子部品の個体特性に応じて、前記組合せフラグが付加された実装データを有する回路に対して、この回路に実装される前記他の電子部品の部品供給位置を前記組合せデータを用いて変更し、前記他の電子部品の実装位置に異なる電子部品を実装することを特徴とする。
【0006】
この電子部品実装方法では、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品を部品供給位置に順次供給し、この供給された異種特性電子部品の個体特性に応じて、異種特性電子部品以外の他の電子部品に対する実装データを変更することで、他の電子部品の実装位置に異なる種類の電子部品が実装され、回路全体としての特性を変更することができる。これにより、異種特性電子部品の特性により回路の全体特性が拘束されない電子部品実装が行え、例えば異種特性電子部品の個体特性によらずに回路毎の特性を同一にして生産することが可能になる。
【0008】
この電子部品実装方法では、異種特性電子部品に対する実装データに組合せフラグを付加することにより、この組合せフラグを有する実装データが存在する回路に対して、この回路に対する実装データの部品供給位置が組合せデータに基づいて変更される。これにより、回路毎に異なる特性の異種特性電子部品が実装されても、異種特性電子部品の個体特性別に、他の位置に実装する電子部品を自動的に変更して実装することができる。
【0010】
この電子部品実装方法では、部品供給テープに収容された異種特性電子部品が部品供給テープ端部より順次取り出す際に、異種特性電子部品の有無を検出して、設定された連続数及び空白数との一致を確認し、実際の連続数及び空白数とが一致することを条件に電子部品の実装が行われる。これにより、電子部品実装装置が所定の供給順序で電子部品を実装していることが確認可能になり、電子部品の供給順序に一致した正しい電子部品実装が行われていることを電子部品実装中に確認でき、不良生産の未然防止が可能になる。
【0012】
この電子部品実装方法では、実装データと部品割付けデータを外部制御装置に入力し、この外部制御装置によって、実装データと部品供給データに基づいて電子部品を実装動作させるための実装プログラムを生成する。この実装プログラムを外部制御装置から電子部品実装装置に送出して、電子部品実装装置により実装プログラムを実行する。このため、電子部品実装装置側は外部制御装置から送られる実装プログラムに従って実装動作を行う機能を持つだけでよく、電子部品実装装置の構成を変更することなく、異種特性電子部品の個体特性に応じて他の位置に実装される電子部品の変更が可能となる。
【0013】
請求項2記載の電子部品実装装置は、電子部品の実装位置、及び複数の電子部品を収容する電子部品供給部における前記電子部品の部品供給位置が実装順に記録された実装データと、前記部品供給位置に対応する電子部品の種類が記録された部品割付けデータとに基づいて、前記電子部品供給部から所望の電子部品を取り出して基板上の所定の位置に実装する電子部品実装装置において、前記実装データと、前記部品割付けデータと、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品以外の他の電子部品の部品供給位置を他の部品供給位置に変更する変換情報が記録された組合せデータとを記憶すると共に、前記異種特性電子部品に対する前記実装データに組合せフラグを付加し、前記異種特性電子部品を前記部品供給位置に順次供給し、この供給された前記異種特性電子部品の個体特性に応じて、前記組合せフラグが付加された実装データを有する回路に対して、この回路に実装される前記他の電子部品の部品供給位置を前記組合せデータを用いて変更し、前記他の電子部品の実装位置に異なる電子部品を実装する制御部とを具備したことを特徴とする。
【0014】
この電子部品実装装置では、実装データと、部品割付けデータと、組合せデータとを記憶すると共に、異種特性電子部品が存在する回路に対して、この回路に対する実装データの部品供給位置を組合せデータに基づいて変更する。これにより、他の実装位置に異なる種類の電子部品が実装され、回路全体としての特性を変更することができる。以て、異種特性電子部品の特性により回路の全体特性が拘束されない電子部品実装が行え、例えば異種特性電子部品の個体特性によらずに回路毎の特性を同一にすることが可能になる。
【0016】
この電子部品実装装置では、電子部品供給部に備えられた部品供給テープから異種特性電子部品を取り出す際、制御部の照合手段によって異種特性電子部品の有無を検出して、設定された連続数及び空白数との一致を確認し、実際の連続数及び空白数とが一致することを条件に電子部品の実装を行う。これにより、電子部品実装装置が所定の供給順序で電子部品を実装していることが確認可能になり、電子部品の供給順序に一致した正しい電子部品実装が行われていることを電子部品実装中に確認でき、不良生産の未然防止が可能になる。
【0018】
この電子部品実装システムでは、実装データと部品割付けデータを外部制御装置に入力し、この外部制御装置によって、実装データと部品供給データに基づいて電子部品を実装させるための実装プログラムを生成する。この実装プログラムを外部制御装置から電子部品実装装置に送出して、電子部品実装装置により実装プログラムを実行する。このため、電子部品実装装置側は外部制御装置から送られる実装プログラムに従って実装動作を行う機能を持つだけでよく、電子部品実装装置の構成を変更することなく、異種特性電子部品の個体特性に応じて他の位置に実装される電子部品の変更が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子部品実装方法及び電子部品実装装置並びに電子部品実装システムの好適な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る電子部品実装装置の第1の実施の形態の外観斜視図、図2は図1の電子部品実装装置における部品実装機構の概略構成を示す平面図、図3は図1の電子部品実装装置における部品実装機構の概略構成を一部断面で示す側面図、図4は部品実装機構の動作を説明するロータリーヘッドの概略平面図である。
【0020】
電子部品実装装置31は、図1、図2に示すように、主に、電子部品を連続的に供給する電子部品供給部33と、電子部品供給部33の所定の部品供給位置33a(図3参照)で電子部品35を保持してこの電子部品35を基板37に実装するロータリーヘッド36と、基板37を位置決めするXYテーブル39とを有し、基板搬入部38から供給された基板37をXYテーブル39上に載置して、ロータリーヘッド36により電子部品供給部33から電子部品35を保持した後、適切な補正処理を行って基板37上に実装し、部品実装を完了した基板37をXYテーブル39から基板搬出部41に搬出するものである。
また、電子部品実装装置31は、各種データや制御条件等を入力する入力部43と、装置の状態やデータの内容等並びに画像データ等を表示する表示部45と、これらの各部の動作を制御する制御部47(図2参照)を備えている。
【0021】
電子部品供給部33は、図3に示すように多数の電子部品35を収容した複数の部品供給ユニット49が紙面垂直方向に並列して配置され、その並列方向に部品供給ユニット49が移動することで所望の電子部品35を部品供給位置33aに供給する。XYテーブル39は、基板搬入部38と基板搬出部41との間に移動可能に設けられ、基板搬入部38の基板搬送路に接続される位置に移動して部品装着前の基板37を受け取り、基板37を固定してロータリーヘッド36の部品実装位置に移動する。そして、各電子部品35の実装位置に応じた基板37の移動を繰り返し行い、部品装着を完了するとXYテーブル39は基板搬出部41に接続される位置まで移動し、基板37を基板搬出部41へ送り出す。
【0022】
ロータリーヘッド36は、電子部品35を保持する複数の装着ヘッド51と、装着ヘッド51を上下動可能に周面で支持して回転駆動される回転枠体53と、回転枠体53をインデックス回転駆動するインデックス回転駆動装置55を備えている。
【0023】
装着ヘッド51は、回転枠体53の回転により電子部品供給部33の部品供給位置33aからその反対側の部品装着位置を経て、元の部品供給位置33aまでを回転移動する。この動作の詳細について図4を用いて以下に説明する。
ロータリーヘッド36は、図4に示すように回転枠体53の外周に複数(本実施形態では合計12個)の装着ヘッド51が上下動可能に且つ自転可能に支持されており、各装着ヘッド51には複数(本実施形態では合計5個)の異なるサイズの電子部品を吸着保持可能とする吸着ノズル57がそれぞれ収容されている。そして、装着ヘッド51の自転により電子部品に応じた吸着ノズル57を最外径位置59に配置させ、この最外径位置の吸着ノズル57により電子部品の保持、実装動作が行われる。このロータリーヘッド36は、装着ヘッド51を時計回りにインデックス回転させることで、各ステーションで所定の処理を連続して行うことができる。
【0024】
次に、各ステーションにおける処理を説明すると、まず、ステーションl(以降、ST1と略記する)は部品吸着位置であり、電子部品供給部33の部品供給位置33aに一致して、電子部品供給部33から電子部品35を吸着ノズル57に保持する。ST3は部品吸着確認位置であり、2次元のラインセンサにより吸着ノズル57に保持されている電子部品35を計測し、電子部品実装装置31側に通知する。このとき電子部品実装装置31は、電子部品35の厚みが所定の一定値以下の場合、部品が保持されていない或いは適切でない部品が保持されていると判断して後段で所定の動作を行う。ST4は部品認識位置であり、2次元のCCDカメラ(ずれ量計測手段)によって吸着ノズル57に保持された電子部品35を下方から撮像し、電子部品35の寸法中心、傾き角度を計測して電子部品実装装置31に通知する。ST6は吸着ノズル57の自転位置であり、予め定義された電子部品35の実装角度、部品認識位置で計測した傾き角度により、吸着ノズル57自体を水平面内で回転させる。
【0025】
ST7は部品装着位置であり、部品認識位置で計測した結果を基に、XYテーブル39の位置決めを行った後、装着ヘッド51を下方に押し込み、最下点において電子部品35を基板37上の所定位置に実装する。ST9は部品廃棄位置であり、部品吸着確認位置及び部品認識位置において適切でない電子部品35が保持されていると判断された場合に、本位置に取り付けられた部品廃棄ボックスの中にその電子部品35を廃棄する。また、ST11はノズル選択位置であり、吸着保持する電子部品の種類に応じて装着ヘッド51を回転させ、適合する吸着ノズル57を最外径位置59に移動させる。
【0026】
なお、電子部品の傾き角度の補正手段としては、装着ヘッド51自体を回転させ、それにより生じた水平方向の変位をXYテーブル39の移動により吸収させる方式であってもよい。
【0027】
このような電子部品実装のための基本動作機能を備えた電子部品実装装置31は、さらに、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品に対して、その個体特性に応じて、この異種特性電子部品以外の他の位置に実装される電子部品の特性を適宜変更して実装する機能を有している。図5〜図7を参照してその変更機能を説明する。
【0028】
図5(a),(b)は、基板37a(基板番号1),37b(基板番号2)上の実装位置1(1−1,2−1)に実装される異種特性電子部品の個体特性が供給順番毎に異なり、この異種特性電子部品の個体特性によって実装位置2(1−2,2−2),5(1−5,2−5),6(1−6,2−6)の電子部品を変更する必要がある例を模式的に示したものである。また、基板37a,37b上の各電子部品の組合せは図5(c)に示される内容となっている。
【0029】
図6は電子部品実装装置31の制御部47に予め記憶される各種データを示したものであり、図6(a)は実装位置データ、部品供給位置データ、及び組合せデータ等の実装データを表形式で示した記憶テーブル61、図6(b)は基板の回路番号毎に変更先の実装位置データ及び部品供給位置データを設定した組合せデータを表形式で示した記憶テーブル63、図6(c)は記憶テーブル61,63で示されるデータに基づき基板37a,37bの実装を行う際の部品供給位置と電子部品名の部品割付けデータを表形式で示した記憶テーブル65である。
【0030】
次に、上記の電子部品実装装置31を用いて、異種特性電子部品以外の他の実装位置に実装される電子部品に対して、実装データ中の部品供給位置データを、異種特性電子部品の個体特性に応じて変更する電子部品実装方法の手順を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
まず、予め電子部品実装装置31の制御部47に、生産予定基板数と記憶テーブル61,63に示した実装データと組合せデータを記憶させ、生産を開始する(ステップ1、以降はS1と略記する)。基板37がXYテーブル39に到着すると(S2)、制御部47は生産基板数をカウントアップする(S3)。そして実装データを1ステップ読み込み(S4)、エンドステップでないことを確認する(S5)。
【0032】
エンドステップでない場合は、読み込んだ実装データに組合せフラグが指定されていないか判定する(S6)。組合せフラグがあるステップの場合は、指定された組合せデータを読み込み、このときの生産基板数を基板番号として設定する(S7)。読み込んだ組合せデータにより制御部47は、指定された実装データの部品供給位置データを組合せデータに指示された内容に書き換える(S8)。
【0033】
そして書き換えた実装データに従い、電子部品供給部33から電子部品をロータリーヘッド36により取り出すと共に、基板37をXYテーブル39によって移動させ、基板37上に電子部品の実装を行う(S9)。そして実装位置データの次のステップ(S4)に進む。読み込んだ実装位置データに組合せデータが指定されていない場合は、そのまま実装位置データ通りに電子部品の実装を行う(S9)。
【0034】
また、実装位置データがエンドステップまで進んだ場合は、生産基板数が生産予定基板数に達したかを判定し(S10)、生産予定基板数に達しない場合は基板を搬出し(S11)、次の基板の到着を待つ。生産予定基板数に達した場合は、生産終了となる(S12)。
【0035】
以上に示した動作を、図6に示した実装データと組合せデータに基づいて行うことで、図5(a),(b)に示したように、実装位置1における異種特性電子部品の供給順序(特性の順序)によって実装位置2,5,6の電子部品を変更して実装することができ、その結果、基板37a,37bの回路特性を同一にすることが可能となる。
【0036】
なお、この実施の形態では実装データを1ステップ読み込む毎に組合せフラグの有無を判定することとしたが、本発明に係る電子部品実装方法は、基板37が到着した際に、一括して組合せデータの読み込み、部品供給位置の書き換え処理を完了させ、以降エンドステップまでの電子部品実装動作を連続で行うものであってもよい。
【0037】
また、この実施の形態では、部品供給位置データを変更する必要のある実装データに、変更先の実装位置データ及び部品供給位置データを設定する組合せフラグが付加され、実装を行うに際し、組合せフラグが参照されて変更先の実装データにおける部品供給位置データが変更される。ここでは、組合せフラグを持った実装データが1個の場合を例に説明したが、他の実装データに組合せフラグがあっても良い。その場合、組合せフラグは複数種用意された組合せデータの番号で示される。
具体的には、フラグは、“なし”(変更不要)又は“1”(組合せデータのフラグ番号1による変更要)の他に、例えば“2”(組合せデータのフラグ番号2による変更要)のように基板毎に設定する基板番号としてもよい。これにより、基板に実装される異種特性電子部品の特性毎に異なる電子部品が実装できることとなり、基板(若しくは回路)毎に、特定電子部品の個体特性別に、他の位置に実装する電子部品の種類を変更して実装できる。また、逆に供給される電子部品の個体特性が同一であっても、基板(回路)毎に特性の異なる電子回路を形成する電子部品実装も可能になる。
【0038】
さらに、この実施の形態では生産基板毎に1つの回路(回路パターンの数)を有する例を示しているが、1つの基板上に複数の回路が形成される基板においても、回路単位で組合せデータを記憶することで同様に本発明を適用することができる。
【0039】
このように、本実施の形態による電子部品実装方法によれば、所定の実装位置に実装される異種特性電子部品が部品特性毎に予め把握され、既知の部品特性順序で供給される。そして、他の実装位置に実装される電子部品に対する実装データの部品供給位置データが、異種特性電子部品の部品特性に応じて変更され、異種特性電子部品の個体特性別に、他の位置に実装する電子部品の種類が変更されて実装される。これにより、個体特性の異なる異種特性電子部品が供給されても基板毎、回路毎に特性の同一な電子回路を形成することができる。
【0040】
次に、本発明に係る電子部品実装方法の第2の実施の形態を説明する。
図8は本発明の第2の実施の形態に用いられる部品供給テープの例とその部品供給データとを示した説明図、図9は第2の実施の形態の動作手順を説明するフローチャートである。なお、以下の各実施の形態において、図1〜図4に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0041】
この実施の形態では、部品特性の異なる異種特性電子部品35を所定の連続数毎に所定の空白数を空けて並べて収容する部品供給テープ71が用いられる。この部品供給テープ71は複数の部品収容ますが一列に形成されており、所定のますに異種特性電子部品35が収容される。また、制御部47は所定の連続数と所定の空白数とを予め記憶しており、部品供給テープ71に保持された異種特性電子部品35を部品供給テープ端部より順次供給するに際し、記憶された連続数及び空白数と、実際の連続数及び空白数とを照合する照合手段を有している。この照合手段としては、前述のロータリーヘッド36の部品吸着確認位置(ST3)における2次元ラインセンサを用いることができる。本実施の形態では、この電子部品35の供給順序を判定するため、電子部品35の連続数を例えば8、空白数を例えば1としている。
【0042】
本実施の形態の電子部品実装方法では、組合せデータ(即ち、実装データの組合せフラグ)を持つ実装データでないと判断された場合には、通常の実装データによる実装動作(S23)を行った後、次のステップの実装データの実装動作に移行する。一方、組合せデータをもつ実装データであると判断すると(異種特性電子部品の実装時)、実装データの示す部品供給位置から部品実装に使用された部品使用数(一般的に部品供給位置毎に部品使用数は計測されている)を読み出し、図8(b)の部品供給データ73で示されている部品の連続数で除算した余り(図9ではこの剰余計算をMODと表現している)を計算し、結果が0であるか判定する(S24)。
【0043】
余りが0である場合は、次の部品供給順序が空き数の位置であるとして空白数の確認・検査動作(S25〜S30)に移行する。余りが0でない場合は、連続数で示される電子部品の供給途中であるとして、部品使用数を1加算し(S31)、次の実装位置データの実装動作に移行する。
【0044】
空白数の確認・検査動作は、まず、予め部品供給データ73で示される空白数をダミー移載回数として設定する(S25)。次に本供給位置から移載動作を1回行う(S26)。ここでいう移載動作は空白数確認用であるため、電子部品を電子部品供給部から取り出す動作となる。移載動作の後、ロータリーヘッド36が電子部品を保持しているかを判定する(S27)。
【0045】
電子部品を保持していると判定した場合は、電子部品の供給順序が所定の順序からズレているとして、電子部品実装装置はエラー停止し、電子部品の使用状況を確認する内容の表示を行う(S30)。電子部品を保持していないと判定した場合は、ダミー移載回数を1減算する(S28)。次いでダミー移載回数が0であるかを判定する(S29)。ダミー移載回数が0でない場合は、S26に戻り空白数の確認動作を継続する。ダミー移載回数が0である場合は、電子部品の供給順序が所定の順序であるとして、次の実装位置データの実装動作に進む。
【0046】
このように、本実施の形態による電子部品実装方法によれば、部品供給テープ71に保持された異種特性電子部品が部品供給テープ端部より順次供給するに際し、記憶された連続数及び空白数と、実際の連続数及び空白数とが一致することを条件に異種特性電子部品の実装が行われる。従って、電子部品実装装置が所定の供給順序で異種特性電子部品を実装していることが確認可能になる。これにより、供給される異種特性電子部品の供給順序に一致した正しい電子部品実装の行われていることが電子部品実装中に確認でき、誤った実装動作を早期に発見でき、不良品の生産・流出、及び電子部品の無駄な消費を抑えることができる。
【0047】
次に、本発明に係る電子部品実装システムの実施の形態を説明する。
図10は本発明に係る電子部品実装システムの概略構成を示す平面図である。図10において、81は電子部品実装装置の制御部、83は制御部81に実装データ、部品組合せデータ、部品割付けデータ等を送る外部制御装置、85は制御部81と外部制御装置83との間の各種データを送受信する通信手段である。
【0048】
図11は第3の実施の形態の動作手順を説明するフローチャート、図12は外部制御装置に予め記憶されるデータを示したものであり、図12(a)は供給順序が指定される異種特性電子部品に対する他の実装位置に実装される電子部品を示した供給順序毎部品組合せデータを表形式で示した記憶テーブル87、図12(b)は各電子部品の実装位置と部品供給位置の基本状態を示す実装データを表形式で示した記憶テーブル89、図12(c)は記憶テーブル89の実装データに含まれた部品供給位置と電子部品の割付けデータを表形式で示した記憶テーブル91を示す図である。ここでは理解し易いように上記各データを表形式で表現したが、データの関連性が同様に示されれば、表形式に限定されるものではない。
【0049】
この実施の形態による電子部品実装システム93は、電子部品実装装置94と、外部制御装置83とに大別される。電子部品実装装置94は、複数の電子部品を収容する電子部品供給部33と、電子部品を脱着自在に吸着保持する複数の装着ヘッドを備えたロータリーヘッド36と、基板37を水平面内で移動させるXYテーブル39と、これら装置各部の動作を制御する制御部81からなる。従って、本実施の形態による電子部品実装装置94の制御部81は、上述した制御部47の構成とは異なり、記憶テーブル61,63,65等が格納されていない。
【0050】
一方、この電子部品実装装置94には、通信手段85を介して外部制御装置83が接続されている。外部制御装置83は、所定の位置に実装される異種特性電子部品の部品供給順に応じて設定される基板上の各電子部品の供給順部品組合せデータと、実装位置データや部品割付けデータ等の実装データと、部品割付データとが入力されると共に、これら入力された各データに基づいて、基板毎、又は基板ロット毎、或いは回路毎に実装プログラムを作成可能にしている。また、外部制御装置83は、この実装プログラムを電子部品実装装置94の制御部81に送出して、電子部品実装装置94による電子部品の実装を行わせる。
【0051】
このように構成される電子部品実装システム93による電子部品実装方法の手順を図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、予め外部制御装置83に供給順部品組合せデータ、実装データ、部品割付けデータを入力しておく(S41)。さらに、外部制御装置83に実装する基板の生産予定枚数を入力し、生産基板番号の初期値として0を設定する(S42)。
【0052】
これら設定を行った後、外部制御装置83から生産スタートを実行する(S43)。生産スタートすると、外部制御装置83は生産基板番号を1加算する(S44)。そして生産基板番号により示される供給順部品組合せデータ、実装データ、部品割付けデータから、実装プログラムを作成し、電子部品実装装置94の制御部81へ送信する(S45)。
【0053】
次に、外部制御装置83は、電子部品実装装置94の制御部81へ基板1枚生産での実装開始を指令する(S46)。電子部品実装装置94は送信された実装プログラムにより基板への電子部品実装を行う。なお、電子部品供給部へは予め部品割付けデータ通りに電子部品が設置・供給されているものとする。電子部品実装装置94が指示通り電子部品実装を完了し、基板を搬出したことを外部制御装置83が受信すると(S47)、外部制御装置83は生産基板番号が生産予定枚数未満であるかを判定する(S48)。
【0054】
生産基板番号が生産予定枚数未満である場合はS44に戻る。生産基板番号が生産予定枚数未満でない場合は、予定の生産基板枚数を生産したとして生産完了となる(S49)。
【0055】
以上の処理によって、電子部品実装システム93が図12の供給順部品組合せデータ、実装データ、部品割付けデータに基づき、実装プログラムを生成した結果を図13に示す。即ち、図12に示す位置1に実装される特定電子部品(CX−A,CX−B)の個体特性別に、他の位置(位置2、位置5、位置6)に実装する部品(C100,C103,R102,R103)が変更されている。
【0056】
この電子部品実装システム93による電子部品実装方法によれば、他の実装位置に実装される電子部品の種類を示した供給順組合せデータが外部制御装置83に入力され、この外部制御装置83から電子部品実装装置94に実装プログラムが送出されて、電子部品実装装置94によって電子部品の実装が行われる。即ち、電子部品実装装置94側は従来同様に生産基板ロット毎、生産基板毎、或いは生産基板の回路毎に外部制御装置83から送られる実装プログラムに従って実装動作を行う機能を持つだけでよい。これにより、電子部品実装装置94は、従来通りの電子部品実装を行う機能のままで、異種特性電子部品の個体特性別に他の位置に実装する部品を変更する電子部品実装が可能になる。
【0057】
なお、この電子部品実装システム93では、基板毎に実装される電子部品の組合せが変更される例を示したが、基板内に構成される回路毎に電子部品の組合せが変更される場合もある。その場合には、本実施の形態の説明における組合せデータでの「基板番号」は「回路番号」と読み替え、「生産基板番号」は「生産回路番号」と読み替え、「生産予定枚数」を「生産予定回路数」と読み替え、図11における実装完了基板の搬出(S47)を基板上の全回路実装完了後の基板搬出とすればよい。
【0058】
また、この場合は、一つの基板内に存在する各回路に対し、外部制御装置83がその回路に対する実装プログラムを作成し、これら回路の実装プログラムを基板全体の実装プログラムとして一つの基板実装プログラムに統合してから電子部品実装装置94の制御部81に送信する方法とすることができる。なお、通信手段85はデータを送受信できるものであれば、有線、無線、或いは光通信等のいずれの通信媒体を用いても良い。
【0059】
なお、上記した各実施の形態では、ロータリーヘッド36を備えた電子部品実装装置94を用いて電子部品を実装する例を示したが、本発明に係る電子部品実装方法はこれに限らず、例えば図14に示すように、複数の電子部品を収容するパーツフィーダ95aや95bからなる電子部品供給部95と、電子部品を脱着自在に吸着保持する装着ヘッド96と、装着ヘッド96を水平面内で移動させるXYロボット98と、これら各部を制御する制御部97とを有し、基板37上の所定の位置に装着ヘッド96がXY移動することで電子部品を実装する電子部品実装装置100においても同様に本発明を適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る電子部品実装方法によれば、電子部品の実装位置、及び複数の電子部品を収容する電子部品供給部における前記電子部品の部品供給位置が実装順に記録された実装データと、前記部品供給位置に対応する電子部品の種類が記録された部品割付けデータとに基づいて、前記電子部品供給部から所望の電子部品を取り出して基板上の所定の位置に実装する際に、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品を部品供給位置に順次供給し、この供給された異種特性電子部品の個体特性に応じて、異種特性電子部品以外の他の電子部品に対する実装データを変更することで、他の電子部品の実装位置に異なる種類の電子部品が実装され、回路全体としての特性を変更することができる。これにより、異種特性電子部品の特性により回路の全体特性が拘束されない電子部品実装が行え、例えば異種特性電子部品の個体特性によらずに回路毎の特性を同一にして生産することが可能になる。
【0061】
本発明に係る電子部品実装装置によれば、実装データ、部品割付けデータ、及び組合せデータを記憶すると共に、異種特性電子部品を実装する基板に対して、この基板に対する実装データの部品供給位置を組合せデータに基づいて変更する。これにより、他の実装位置に異なる種類の電子部品が実装され、回路全体としての特性を変更することができる。以て、異種特性電子部品の特性により回路の全体特性が拘束されない電子部品実装が行え、例えば異種特性電子部品の個体特性によらずに回路毎の特性を同一にすることが可能になる。
【0062】
本発明に係る電子部品実装システムによれば、実装データと部品割付けデータが入力され電子部品実装装置に接続される外部制御装置が、実装データと部品供給データに基づいて電子部品を実装させるための実装プログラムを生成し、この実装プログラムを電子部品実装装置に送出することで、電子部品実装装置が実装プログラムを実行する。このため、電子部品実装装置側は外部制御装置から送られる実装プログラムに従って実装動作を行う機能を持つだけでよく、電子部品実装装置の構成を変更することなく、異種特性電子部品の個体特性に応じて他の位置に実装される電子部品の変更が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子部品実装装置の第1の実施の形態の外観斜視図である。
【図2】図1の電子部品実装装置における部品実装機構の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1の電子部品実装装置における部品実装機構の概略構成を一部断面で示す側面図である。
【図4】部品実装機構の動作を説明するロータリーヘッドの概略平面図である。
【図5】電子部品変更の必要がある基板(a),(b)と、基板上の各電子部品の組合せ(c)を示した説明図である。
【図6】制御部に記憶される各種データ(a),(b),(c)を示した説明図である。
【図7】第1の実施の形態による電子部品実装方法の手順を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に用いられる部品供給テープの例とその部品供給データとを示した説明図である。
【図9】第2の実施の形態の動作手順を説明するフローチャートである。
【図10】本発明に係る電子部品実装システムの概略構成を示す平面図である。
【図11】第3の実施の形態の動作手順を説明するフローチャートである。
【図12】外部制御装置に予め記憶される各種データ(a),(b),(c)を示した説明図である。
【図13】外部制御装置によって生成された実装プログラムを示した説明図である。
【図14】装着ヘッドがXY移動する方式の電子部品実装装置の概略構成図である。
【図15】従来の電子部品実装装置の概略構成図である。
【図16】従来の電子部品実装装置における制御部に記憶される実装位置データの説明図である。
【図17】同一の回路特性の基板(a),(b)と、基板上の各電子部品の組合せ(c),(d)を示した説明図である。
【図18】異なる回路特性の基板(a),(b)と、基板上の各電子部品の組合せ(c),(d)を示した説明図である。
【図19】個体特性の異なる電子部品が保持される従来の部品供給テープの平面図である。
【符号の説明】
31,94,100 電子部品実装装置
33,95 電子部品供給部
35 電子部品
36 ロータリーヘッド
37 基板
39 XYテーブル
47,81,97 制御部
57 吸着ノズル
71 部品供給テープ
83 外部制御装置
93 電子部品実装システム
96 装着ヘッド
Claims (2)
- 電子部品の実装位置、及び複数の電子部品を収容する電子部品供給部における前記電子部品の部品供給位置が実装順に記録された実装データと、前記部品供給位置に対応する電子部品の種類が記録された部品割付けデータとに基づいて、前記電子部品供給部から所望の電子部品を取り出して基板上の所定の位置に実装する電子部品実装方法において、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品以外の他の電子部品の部品供給位置を他の部品供給位置に変更する変換情報が予め記録された組合せデータを設け、前記異種特性電子部品に対する前記実装データに組合せフラグを付加し、前記異種特性電子部品を前記部品供給位置に順次供給し、この供給された前記異種特性電子部品の個体特性に応じて、前記組合せフラグが付加された実装データを有する回路に対して、この回路に実装される前記他の電子部品の部品供給位置を前記組合せデータを用いて変更し、前記他の電子部品の実装位置に異なる電子部品を実装することを特徴とする電子部品実装方法。
- 電子部品の実装位置、及び複数の電子部品を収容する電子部品供給部における前記電子部品の部品供給位置が実装順に記録された実装データと、前記部品供給位置に対応する電子部品の種類が記録された部品割付けデータとに基づいて、前記電子部品供給部から所望の電子部品を取り出して基板上の所定の位置に実装する電子部品実装装置において、前記実装データと、前記部品割付けデータと、個体特性が複数種存在する異種特性電子部品以外の他の電子部品の部品供給位置を他の部品供給位置に変更する変換情報が記録された組合せデータとを記憶すると共に、前記異種特性電子部品に対する前記実装データに組合せフラグを付加し、前記異種特性電子部品を前記部品供給位置に順次供給し、この供給された前記異種特性電子部品の個体特性に応じて、前記組合せフラグが付加された実装データを有する回路に対して、この回路に実装される前記他の電子部品の部品供給位置を前記組合せデータを用いて変更し、前記他の電子部品の実装位置に異なる電子部品を実装する制御部とを具備したことを特徴とする電子部品実装装置。
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