JP4463447B2 - 部品実装方法、並びにパーツカセット - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板などの回路形成体に部品を実装するための部品実装方法、部品実装装置、および部品テープに連続的に収納された部品を部品実装装置に供給する部品供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来の部品実装装置100の概要を示す。この部品実装装置100は、実装すべき電子部品などの部品を供給する部品供給部102と、部品供給部102から部品を取り出して回路形成体に実装する実装ヘッド104と、実装ヘッド104を所定位置に搬送するXYロボット105と、実装ヘッド104に保持された部品を撮像して認識する部品認識装置106と、部品実装装置100に回路形成体を搬入して保持する回路形成体保持装置107と、部品実装装置100全体の動作を制御する制御装置109とから主に構成されている。
【0003】
図15において、部品供給部102には部品供給装置(以下、「パーツカセット」という。)110が装着されており、パーツカセット110は、多数の部品を収納した部品テープを巻き取ったリールを搭載している。実装ヘッド104には、複数のノズル実装ヘッド111が取り付けられ、各ノズル実装ヘッド111には、部品を取り出して実装する実装ノズル112を備えている。図示の例では実装ヘッド104に4つのノズル実装ヘッド111が装着されている。
【0004】
XYロボット105は、実装ヘッド104を図のX方向に搬送するX軸駆動部115と、図のY方向に搬送するY軸駆動部116とを含む。これによりXYロボット105は、X方向とY方向で定まる平面内で実装ヘッド104を搬送する。回路形成体保持装置107は、電子回路基板などの回路形成体114を搬入して保持する。部品認識装置106は、各実装ノズル112に吸着された部品の保持状態を下から撮像して認識する。
【0005】
以上の構成に係る部品実装装置100の動作時には、パーツカセット110により部品供給部102に供給された部品の真上に移動した実装ヘッド104が、各実装ノズル112を下降させて部品に当接させ、負圧によって部品を吸着して部品供給部102から取り出す。次に、実装ヘッド104は、各実装ノズル112に部品を吸着保持したままXYロボット105によって部品認識装置106に対向する位置に搬送される。部品認識装置106は、実装ヘッド104が部品認識装置106に対向する位置を所定速度で通過する際に、実装ヘッド104の各実装ノズル112に吸着保持された部品を撮像して認識する。前記認識結果は制御装置109に送られ、部品の所定吸着状態に対する位置、および角度のずれが計測される。
【0006】
実装すべき回路形成体114へ向けて移動中の実装ヘッド104は、制御装置109からの指令に基づいて前記計測結果による必要な移動量と角度のずれを補正しつつ、まず1つの実装ノズル112に吸着された部品を回路形成体114の所定位置に位置合わせして停止し、当該実装ノズル112を下降させて吸着された部品20を回路形成体114に実装する。以下、同様に、他の各実装ノズル112に吸着された部品20についても回路形成体114上に順次実装する。
【0007】
なお、図15に示す部品実装装置100には、Y方向奥側に多数の部品を収納して供給するトレイ供給部103が設けられている。このトレイ供給部103からは、主として大型の部品が部品実装装置に供給され、同様にして各実装ノズル112により吸着して取り出された後、回路形成体114に実装される。また、トレイ供給部103の隣には実装すべき多種類の部品に応じて用意された各種実装ノズルを配置するノズル交換ステーション108が設けられている。実装ノズル112は、部品のサイズや形状に合わせた適切なものが使用され、このため異なるサイズや仕様の各種ノズルをこのノズル交換ステーション108に準備している。
【0008】
図16、図17は、部品供給部102へ部品20を供給するための部品テープ21を巻き取ったリール26と、そのリール26を搭載するパーツカセット110の概要を示す。図16において、多数の部品20が、部品テープ21に一定間隔Ppで連続的に収納されている。部品テープ21は、部品20を収納する多数の凹部を有するベーステープ23と、部品20の脱落を防ぎ、埃などから保護するトップテープ24とから構成されている。ベーステープ23に接着されたトップテープ24は搬送中の部品20を保護するもので、部品実装装置100へ部品20を供給する際にはベーステープ23から剥がされる。これによって部品20を保護するカバーは開放され、実装ノズル112(図15参照)による部品20の吸着を可能にする。ベーステープ23には、部品テープ21を間欠搬送する際の駆動用に使用される搬送穴25が等間隔に設けられている。部品テープ21は、リール26に巻き取られ、このリール26は、中心穴27の回りに回転可能な状態でパーツカセット110に搭載される。
【0009】
図17は、以上のように構成されたリール26が、パーツカセット110に搭載され、部品実装装置100へ部品20を供給し得る状態を示している。パーツカセット110は、部品取り出し口132に部品20が正確に位置決めされるように、部品テープ21を順次一定間隔で間欠的に送り出す。部品テープ21には同一部品が多数収納されており、部品実装装置100の部品供給部102には、図15に示すように実装すべき部品に応じて必要な部品テープ21を巻き取ったリール26を搭載した複数のパーツカセット110が装着可能である。
【0010】
図17において、部品テープ21は、リール26から繰り出され、走行面131にガイドされてパーツカセット110の中を図の左側から右側に進む。部品取り出し口132を通過した後、搬送ホイール133の外周部に設けられた歯が部品テープ21のベーステープ23に設けられた搬送穴25(図16参照)に順次噛み合う。部品テープ21のトップテープ24は、部品取り出し口132に至る直前でベーステープ23から剥がされ、トップテープ回収リール134に巻き取られる。トップテープ回収リール134の駆動は、部品取り出し動作にリンクした図示しない駆動レバー、あるいはモータを使用して行われる。トップテープ24が剥がされ、カバーを開放されたベーステープ23に収納された部品20は、順次部品取り出し口132に位置決めされ、対向する位置に移動してきた部品実装装置100の実装ノズル112(図15参照)によって吸着される。用済み後のベーステープ23は、パーツカセット110の下方から放出され、回収箱などに回収される。
【0011】
搬送ホイール133は、その外周の歯がモータ136の出力軸に固定されたウォームギア137と噛合っている。搬送ホイール133は、モータ136の駆動により間欠的に図の時計回りに回転し、これによって部品テープ21を一定間隙ずつ図の矢印138方向へ搬送する。部品20が部品取り出し口132に順次位置決めされるよう、入力情報に基づいてコントローラ139がモータ136の回転を制御する。
【0012】
図18は、図15に示す従来技術によるXYロボット式の部品実装装置100の主要部をZ方向から見た模式図である。図において、XYロボット105のY軸駆動部116は、X軸駆動部115を図のY方向に往復搬送し、そしてX軸駆動部115は、実装ヘッド104を図のX方向に往復搬送する。したがって実装ヘッド104に搭載された各実装ノズル112は、XYロボット105により、回路形成体114、パーツカセット110に対向する位置を含め、X方向とY方向で定められる平面内で搬送される。
【0013】
各実装ノズル112がパーツカセット110から部品20を取り出す際には、XYロボット105の駆動により実装ヘッド104がパーツカセット110に対向する位置に移動し、各実装ノズル112が図面に垂直なZ方向に下降して部品を吸着して取り出す。この際、各実装ノズル112相互間のピッチPnと各パーツカセット110相互間のピッチPsとは一般には一致しておらず、したがって各実装ノズル112が間欠移動しながら順次部品20を吸着して取り出す。
【0014】
各実装ノズル112で部品を吸着して取り出した実装ヘッド104は、その後XYロボット105の搬送によって回路形成体114に対向する位置に移動し、前記取り出した部品20を回路形成体114の所定の実装位置に順次実装する。この際において、実装位置の間のピッチと実装ノズル112間のピッチPnとは一般には一致しておらず、実装ノズル112毎に順次部品実装を行っている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術による部品実装装置、および部品実装方法には、改善の余地がある。昨今の電子機器に対する多機能化の要請により、1枚の回路形成体には多数の部品が実装され、その中には同一部品、異なる部品が含まれている。例えば、1枚の回路形成体に総数400点もの部品が実装されることがあり、部品の種類からいえば数十種類になることがある。上述のように、1つのパーツカセット110には同一部品が収納されているため、これら多種類の部品を部品実装装置に供給するためには、異なる種類のリールを搭載した多数のパーツカセットが部品実装装置に装着される必要がある。
【0016】
一方、異なる種類のリールを搭載した多数のパーツカセットが部品実装装置に装着されている場合には、別の問題が生ずる。例えば上述の1枚の回路形成体に総数400点の部品が実装される例において、その400点の内の例えば80点が同一の部品で占められることがある。部品実装装置に装着できるパーツカセットの数は限られていることから、多種類の部品への対応を図るあまり、各部品を供給するパーツカセットが1つしか装着できない場合には、そこから多数の同一部品を取り出そうとする際にその部品取り出しが非効率となり得る。すなわち、従来技術においては、多種類の部品供給と多数の同一部品供給との双方を満足させるような部品供給には必ずしも対応できていなかった。
【0017】
図18に示す例においては、4つのパーツカセット110が装着されている。各パーツカセット110には異なる部品を収納したリールが搭載されているとすると、4つの実装ノズル112で同一部品(例えば一番右手のパーツカセット110に収納された部品)を取り出すには実装ノズル112の1つずつを一番右手のパーツカセット110に対向する位置にX方向に移動させながら順番に取り出す必要があり、吸着・取り出し動作が非効率となる。
【0018】
例えば、ある電子回路基板に4種類の部品A、B、C、Dをそれぞれ50個、40個、20個、10個実装すると想定する。また、実装ノズル112間のピッチPnとパーツカセット110間のピッチPsとが一致していると仮定する。この場合、4つの実装ノズルで各部品の同時取り出しが可能となり、最初の10回までは全部品の同時取り出しによる実装ができる。その後、部品Dは10個の実装が完了して取り出しは不要となるため、4つの実装ノズルによる同時取り出しはできず、部品Dを取り出していた実装ノズル112をX方向に移動させて他の部品を取り出すこととなり、部品取り出し動作が非効率となる。逆に4つのパーツカセット110の全てをA部品を収納したリールを搭載したものとし、A部品の同時取り出しにより50個を取り出して実装した後に、今度は全てのパーツカセット110でB部品を供給、さらにC部品、D部品を順次供給するとした場合には、パーツカセット110の取り替え作業が必要となってより一層非効率となる。また、このような部品供給をした場合には、部品テープの途中までを使った使い残しの部品を含むリールを多数抱えることとなって在庫管理の手間を増やすことにもなる。
【0019】
本発明は、上述した問題点を改善し、回路形成体に多種類の部品を実装する際に、その内に同一部品が多数含まれる場合であっても、全体として効率的な部品供給を可能とし、生産性を高める部品実装方法、部品実装装置、および部品供給装置(パーツカセット)を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実装ヘッドに装着された複数の実装ノズルをパーツカセットの部品搬送方向と同一方向に配列可能とし、またパーツカセットの部品取り出し口をこれら複数の実装ノズルの位置と対向する位置に複数設けることによって上述の課題を解決するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0024】
請求項1に係る発明は、多数の部品を収納したパーツカセットから複数の実装ノズルで部品を取り出すに際し、単一のパーツカセットから複数の部品を同時に取り出す部品実装方法であって、前記複数の実装ノズルが前記パーツカセットの部品搬送方向と平行に配列され、前記複数の実装ノズルが、当該各実装ノズルにそれぞれ対向する位置に配置された前記パーツカセットの複数の部品取り出し口から複数の部品を同時に取り出すよう構成され、前記複数の実装ノズルによる複数部品の取り出しから次の複数部品の取り出しの間の前記パーツカセットにおける部品搬送が、均等送り量の間欠送りとされ、前記実装ノズルの数をN、各実装ノズル間のピッチをPn、前記パーツカセットに収納された部品間のピッチをPp、前記部品搬送における送り量をFとしたとき、
Pn=Pp×M (M:整数)
であり、かつ
(1)MとNが同一でないこと、
(2)MとNとの間でいずれか一方が他方の倍数でないこと、
(3)MとNとの間で公約数が存在しないこと、
を条件として、
F=Pp×N
の関係が成立していることを特徴としている。部品搬送を均等送りとしつつ、部品テープに収納された部品を、部品テープの始めと終わりの部分を除いて全て使い切ることを可能にするものである。
【0025】
請求項2に記載の本発明に係る部品実装方法は、前記パーツカセットの部品搬送方向を正逆反転することにより、前記パーツカセットに搭載された部品テープの最初の部分、又は最後の部分に収納された部品を前記複数の実装ノズルにより取り出して使い切ることを特徴としている。部品搬送方向に柔軟性を持たせて、部品の無駄を排除するものである。
【0045】
請求項3に記載の発明は、多数の部品を一定間隔で収納した部品テープと、前記部品テープを搬送する駆動手段と、部品実装装置と同期して前記駆動手段を制御し、前記部品を順次部品取り出し位置に位置決めする制御装置とを備えたパーツカセットであって、前記パーツカセットから前記部品を取り出すための部品取り出し口を、前記部品テープの搬送方向に沿って複数備え、前記部品テープが、当該部品テープの最初の部分又は最後の部分において、当該部品テープを均等送りで間欠搬送する際には部品取り出しがされない位置に該当する箇所の部品を予め取り除いて構成されていることを特徴としている。部品の無駄を排除するものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第1の実施の形態の部品実装装置、及び部品実装方法について図面を参照して説明する。以下、これまでに説明したものと同一の機能を果たす構成要素に対しては同一の符号を付するものとする。図1は、本実施の形態に係る部品実装装置1の主要構成要素を模式的に示す平面図である。
【0047】
図1において、部品実装装置1には、XYロボット2と、実装ヘッド5と、部品供給部9と、回路形成体保持装置40と、ノズル交換ステーション48とが主に配置されている。部品実装装置1には、この他にも図15に示す部品認識装置106や制御装置109、その他の構成要素も含まれ得るが、図1においてはこれらを省略している。XYロボット2は、X軸駆動部3とY軸駆動部4とから構成されている。X軸駆動部3は、搭載したY軸駆動部4を図のX方向に往復搬送し、Y軸駆動部4は、搭載した実装ヘッド5を図のY方向に往復搬送する。動力源としてX軸駆動部3はモータ6、Y軸駆動部4はモータ7をそれぞれ備えている。実装ヘッド5は、前記X方向とY方向で定まる図1の紙面に平行な面内で搬送され得る。実装ヘッド5には、図示の例では4つの実装ノズル8a〜8dがY方向に1列に配列されて装着されている。以下、固有の実装ノズルを指す場合には各個の符号8a〜8dを用い、実装ノズル全般を指す場合には実装ノズル8と一般表示するものとする。この表示方法は、以下に記す2つ以上の数を含む他の構成要素に対しても同様に用いるものとする。
【0048】
部品供給部9には、部品供給装置であるパーツカセット10が、図示の例では4つ(10a〜10d)装着されている。各パーツカセット10には、それぞれ異なる部品を収納した部品テープを巻き取ったリールが搭載されているものとする。本実施の形態に係るパーツカセット10には、部品取り出し口11が4つ設けられている(代表してパーツカセット10dに符号11a〜11dで表示)。各部品取り出し口11間のピッチPcは、実装ノズル8間のピッチPnに一致している(Pc=Pn)。それぞれのパーツカセット10の部品取り出し口11はY方向に1列に配列されており、この方向はパーツカセット10から部品を供給する部品テープ21(図16参照)の搬送方向と一致している。
【0049】
回路形成体保持装置40は、回路形成体41を図のX方向右側から搬入してこれを実装位置に規正して保持し、部品実装完了後は回路形成体41を図のX方向左側へ搬出する。また、ノズル交換ステーション48には、各種部品の大きさや形状に対応して吸着・取り出しするための各種実装ノズル8が配列されており、取り出すべき部品に応じて実装ヘッド5がノズル交換ステーション48に対向する位置まで移動してノズルの付け替えをする。
【0050】
以上の構成に係る部品実装装置1の動作時には、実装ヘッド5がXYロボット2に搬送されて所定のパーツカセット10に対向する位置まで移動し、4つの実装ノズル8がそれぞれ対応するパーツカセット10に向けて下降して4つの部品取り出し口11に位置決めされた4つの部品を同時に吸着して取り出す。その後、実装ヘッド5は再度XYロボット2に搬送されて回路形成体保持装置40に規正保持された回路形成体41に対向する位置まで移動し、各実装ノズル8がそれぞれ吸着保持した部品を回路形成体41の所定の実装位置に実装する。この際、所定の実装位置の間のピッチが実装ノズル8のピッチPnと一致するよう設計されていれば、各実装ノズル8で同時に部品実装ができて効率的ではある。前記ピッチが一致していない通常の場合には、実装ノズル8毎に順番に各実装位置に移動し、部品実装が行われる。
【0051】
図2は、図1に示す実装ヘッド5とパーツカセット10との関係を、図1のX方向から見た一部断面の模式図を示している。図2において、本実施の形態に係る実装ヘッド5には、Y方向に配列された4つの実装ノズル8a〜8dが、相互間のピッチPnで装着されている。実装ノズル8は、各個に設けられたモータ32により図のZ方向に昇降可能である。一方、本実施の形態に係るパーツカセット10には、上述のように各実装ノズル8a〜8dに対向する位置、すなわち実装ノズル8のピッチPnと同一のピッチPcで4つの部品取り出し口11a〜11dが設けられている。各部品取り出し口11には、シャッタ12a〜12dがそれぞれ取り付けられ、各シャッタ12の開閉駆動用にエアシリンダ13a〜13dが配置されている。
【0052】
パーツカセット10には、部品実装装置1に部品20を供給するため、部品テープ21を巻き取ったリール26(図16参照)が搭載されている。このリール26から繰り出された部品テープ21は、第1の駆動輪14aを介して図の矢印15に示す右方に順次搬送される。この部品テープ21は、実装ノズル8a〜8dによる部品吸着の後には第2の駆動輪14bを介して部品テープ回収箱(図示せず)に向けて矢印19の方向に搬送される。両駆動輪14a、14bを駆動するため、両駆動輪14a、14bと駆動用のモータ16との間には、駆動ベルト17a、17bがそれぞれ張設されている。コントローラ18は、モータ16、及び各エアシリンダ13a〜13dと結ばれ、部品実装装置1側の実装ヘッド5の動きと同期してこれらの動作を制御する。コントローラ18は部品実装装置1の制御装置109(図15参照)と連携されている。あるいは、部品実装装置1の制御装置109がこのコントローラ18の機能を備えていてもよい。
【0053】
以上のように構成されたパーツカセット10の動作時には、実装ヘッド5がパーツカセット10に対向する位置まで移動し、モータ32の駆動によって実装ノズル8が下降する。この下降動作と同期して、コントローラ18が各シャッタ12を開くようエアシリンダ13を動作させ、各部品取り出し口11にある4つの部品20を各実装ノズル8により取り出し可能な状態とする。各部品20の同時吸着・取り出しが可能となるよう、各部品間のピッチPpと実装ノズル8間のピッチPnとが一致しているか、あるいは実装ノズル8間のピッチPnが部品20間のピッチPpの整数倍となるようにセットされている(Pn=Pp×M、 M:整数)。実装ノズル8が部品20を取り出した後に退避して実装動作に移ると、シャッタ12は一旦閉じられ、コントローラ18の制御でモータ16が駆動して駆動輪14a、14bを時計回りに回転させ、部品テープ21を矢印15の方向に搬送する。この過程で、部品テープ21のトップテープ24が、図の一番左端に位置する部品取り出し口11dに至る直前で剥がされ、部品20を取り出し可能な状態にする。各部品20は閉じたシャッタ12が覆い、部品20の飛散を防ぎ、異物落下から部品20を保護する。部品テープ21は後述する所定量Fだけ図の左側から右側へ搬送された後、再度停止し、その後実装を終えた実装ヘッド5が再度パーツカセット10に対向する位置まで移動することによって上述の動作が繰り返される。
【0054】
図3は、このような取り出し動作を継続的に行わせる場合の部品テープ21の搬送状態を示す模式図である。実装ノズル8間のピッチPnと、部品テープ21に収納された部品20間のピッチPpとの間には、上述のように、
Pn=Pp×M (但し、Mは整数)
の関係がなければならない。図示の例では、実装ノズル8間のピッチPnを30mm、部品20間のピッチPpを10mm(あるいは、一般にPn:Pp=3:1)としており、したがって上式は、
Pn=Pp×3
の関係にある。このとき、1回目の取り出し動作を示す図3のS1(ステップ1。以下同。)において、部品テープ21に収納された各部品に付された図示の番号の内、1番、4番、7番、10番の4つの部品が各実装ノズル8a〜8dにより取り出される。図面上では、部品が取り出された後の空白となる部分を白丸(○)で示し、黒丸(●)の部分は未だ部品テープ21内に部品20が残されている状態を示している。
【0055】
S1の動作が完了すると、部品テープ21はモータ16(図2参照)の駆動で矢印15の方向に搬送され、S2に移動して停止する。この間、部品テープ21は、部品20間のピッチPpの4倍の距離だけ、図示の例では40mmだけ搬送されている。すなわち、部品テープ21の送り量をFとすると、
F=Pp×4
の関係にある。この位置で再度各実装ノズル8はS2に示すように部品の同時取り出しを行うと、これによって5番、8番、11番、14番の各位置に示す部品がさらに取り出される。この結果、S1とS2で取り出された部品は、S2の白丸で示す状態に変化する。
【0056】
同様にして、次の部品テープ21の間欠搬送により、さらにS3、S4の段階で部品取り出しが順次繰り返される。図示のように、S3で部品が取り出された以降、各実装ノズル8に対向する位置の部品が空になる状態はすべてS3に示す状態と同じとなり、この状態が繰り返されるものとなる。したがって、実装ノズル8に対向する領域を通過した部品テープ21は、全ての部品が空の状態となって回収のために搬送されることとなる。
【0057】
図4は、実装ノズル8間と部品20間のピッチがそれぞれPn=50mm、Pp=10mmとなった場合(あるいは、一般にPn:Pp=5:1となった場合)、すなわち、
Pn=Pp×5
の場合において、同様に全ての部品が取り出しできる搬送状態を示している。この時の送り量Fは40mmであり、すなわち、
F=Pp×4
となっている。
図示の場合には、S4以降は部品が空になる状態が同じとなり、この状態が以降繰り返されることから、実装ノズル8に対向する領域を通過した部品テープ21は、全て部品が空の状態となって回収のために搬送される。
【0058】
以上の2つの例は、実装ノズル8の数が4つの場合を示したものであるが、実装ノズル8の数が異なっていても、同様に全ての部品を使い切るような搬送状態の設定が可能である。図5は、実装ノズルが3つの例を示しており、このときの搬送条件は
Pn=Pp×5
F=Pp×3
である。この場合にはS4以降で部品が空になる状態が同じとなる。さらに図6は、実装ノズルが5つの例を示しており、このときの搬送条件は
Pn=Pp×3
F=Pp×5
であり、S3以降で部品が空になる状態が同じとなる。
【0059】
これを一般化すると、実装ノズル8間のピッチPnと部品20間のピッチPpとの間に上述の
Pn=Pp×M (M:整数)
の関係があるとき、実装ノズルの数をNとすると、MとNとの間に
(1)MとNが同一でないこと、
(2)MとNとの間でいずれか一方が他方の倍数でないこと、
(3)MとNとの間で公約数が存在しないこと、
を条件として、送りFが
F=Pp×N
と設定されていれば、部品テープ21を毎回均等送り量で連続的に間欠搬送する間に、全ての部品の取り出しができる搬送状態となる。
【0060】
以上に示すような条件設定をすることによって、吸着・取り出し時に実装ノズル8の一部で吸着・取り出しができない空き状態を生じさせることなく、部品テープ21に収納された部品の全てを使い切ることができる。また、部品テープ21の送り量Fを部品20間のピッチPpよりも大きく取ることが出来るので、実装ノズル8間のピッチPnを無理に部品20間のピッチPpに一致させる必要がなく、物理的に製作可能な程度のピッチPnとすることが出来るメリットも得られる。あるいは、部品20間のピッチPpを実装ノズル8間のピッチPnに合わせて広くとる必要がなく、部品テープ21への部品20の収納効率を高めることができる。
【0061】
ここで、例えば図3(実装ノズル4つ、Pn=30mm、Pp=10mmの例)に示す部品テープ21の搬送を行った場合において、部品テープ21の最初の部分から部品取り出しを開始した直後、図のS1からS4までに至る間に部品の番号に示す2番、3番、6番の各部品が取り出されないままでノズル領域を通過することになる。これらの部品をも無駄なく使い切るには、部品テープ21の最初の部分においては、S1の同時取り出しを開始する前に、この2番、3番、6番の部品を実装ノズル8a〜8dのいずれかでそれぞれ予め吸着して取り出しできるように特別な搬送と取り出し動作を実施し、これらの部品を実装した後にS1の動作に入るようにすればよい。あるいは、部品テープ21の最初の部分には、上述の2番、3番、6番の位置には部品を予め収納しないようにしてもよい。このような装置や対策は、部品テープ21の最終部分に余りとなって残る部品がある場合にも必要であれば同様に適用することができる。
【0062】
図2に示すパーツカセット10では、一対の駆動輪14a、14bを配し、モータ16を正逆反転させることによって部品テープ21を正逆双方に搬送可能な構成としている。これは、各種実装ノズル8の数や各種の部品ピッチPpの部品テープ21に対応し、部品テープ21の最初や最後の部分でも全ての部品を効率よく使い切ることができるように、部品テープ21の正逆搬送を可能とし、部品取り出しの柔軟性を高めることを意図している。
【0063】
例えば図3において、S1に示す状態に一旦部品テープ21をセットした後、部品テープ21を10mm逆搬送して3番の部品を実装ノズル8bで、6番の部品を実装ノズル8cでそれぞれ吸着して取り出し、その後20mm前進させて2番の部品を実装ノズル8aで吸着して取り出す。これらの3部品を先に実装した後、再度部品テープ21を逆搬送し、S1の状態に戻して使用することで全ての部品を使い切ることができる。
【0064】
但し、図17に示す従来技術による一方向送りのみのパーツカセット110を使用することであっても、部品テープ21の最初の部分を搬送する間に、上記の例でいえば、2番、3番、6番の各部品をいずれかの実装ノズル8a〜8dで吸着して取り出し、これらの部品を先に実装しておくことによって全部品の使い切りは可能である。
【0065】
以上の搬送条件の設定は、部品テープ21を連続的に等しい送り量(テープの最初と最後の部分を除く)で搬送できることから好ましい条件ではあるが、その他の搬送条件を設定することも勿論可能である。例えば、実装ノズルの数Nが4つ、実装ノズル8のピッチPnが部品20のピッチPpの4倍(すなわち、M=Nのとき)であっても、通常送りを部品のピッチPpと同じ送り量とし、4回に一回は特別送りPp×16とする非均等送りにすることで部品の使い切りは可能である。
【0066】
なお、以上の説明では、全ての実装ノズル8で部品を同時吸着して取り出す場合を想定しているが、本実施の形態に係るパーツカセット10の使用はこれに限定されるものではない。計4つある実装ノズル8a〜8d(図2参照)の内、3つの実装ノズル(例えば8a〜8c)のみで取り出したり、あるいは1つおきの計2つの実装ノズル(同、8aと8c)のみで取り出すことであってもよい。このような動作を可能にするため、部品取り出し口11に設けられたシャッタ12は、その駆動源であるエアシリンダ13をそれぞれ個別に設けるものとし、部品が取り出される箇所のシャッタ12のみを開くことを可能にしている。したがって本パーツカセット10は、従来技術のものと同様に、1つの部品のみを取り出して使用することも勿論可能となる。また、図2に示す例では部品取り出し口11を4つ設けているが、実装ヘッド5に装着された実装ノズル8の数に対応して例えば、3つ(図5の例)、5つ(図6の例)などの数にすることができる。
【0067】
なお、図1において、部品実装装置1はノズル交換ステーション48を備えている。回路形成体41に実装する部品20の大きさや表面形状はそれぞれ異なっており、これらの各種部品20を適切に実装するには、吸着しようとする部品20の大きさや形状に合わせて実装ノズル8を交換する必要がある。そのため、予定される吸着動作で必要な実装ノズル8と、現在実装ヘッド5に装着されている実装ノズル8とが一致していない場合には、吸着・取り出し動作の前に一旦ノズル交換ステーション48に実装ヘッド5を移動させてノズルを交換する動作を行うものとしている。
【0068】
次に、図7に示す態様では、部品実装装置30が、回路形成体41をY方向に搬送可能なYテーブル45を有する。すなわち、図1に示す部品実装装置1のXYロボット2に代わり、本実施の形態の実装ヘッド5はXロボット46によりX方向にのみ駆動される。一方、回路形成体41を規正保持する回路形成体保持装置40は、回路形成体41を実装ヘッド5に対向する位置までYテーブル45を使用してY方向に搬送可能である。Yテーブル45の搬送駆動用にモータ47が設けられている。また、各実装ノズル8とパーツカセット10の各部品取り出し口11とは、Y方向に対向可能な位置となるよう調整され、実装ノズル8間のピッチPnと取り出し口11間のピッチPcとは一致している。
【0069】
この部品実装装置30の動作において、実装ヘッド5に装着された実装ノズル8がパーツカセット10から部品を取り出した後、Xロボット46によりX方向に移動される。一方回路形成体保持装置40に搬入された回路形成体41は、Yテーブル45に規正保持され、さらに実装の際の位置決めには、Yテーブル45がY方向に移動、一方、前記Xロボット46がX方向に移動し、その結果実装ノズル8と回路形成体41とをX方向とY方向で定まる面内で相対的に位置決めする。部品実装装置30を以上のように構成することにより、実装ヘッド5の搬送はXロボット46によるX方向のみとすることができ、Xロボット46が駆動すべき可動部分の重量が軽減されるメリットがある。
【0070】
以上、複数の実装ノズル8を部品テープ21の搬送方向と同じY方向に配列し、複数の取り出し口11を備えたパーツカセット10を使用する本実施の形態に係る部品実装装置1、30によれば、1つのパーツカセット10から同一部品20を複数個同時に取り出すことが可能となり、部品実装の効率をより高めることができる。一例として、従来技術の項で説明した4つの実装ノズル8で4種類の部品を各50個、40個、20個、10個ずつ実装する場合を想定すると、実装ヘッド5の移動を伴う実装ノズル8による取り出し動作を1動作としてカウントするものとすれば、従来技術による部品実装では50動作を必要とするのに対して、本実施の形態に係る部品実装では31動作で前記部品の実装を完了させることができる。
【0071】
次に、本発明に係る第2の実施の形態の部品実装装置、及び部品実装方法について図面を参照して説明する。図8は、本実施の形態に係る部品実装装置50を示している。本実施の形態に係る部品実装装置50では、第1の実施の形態で説明した部品実装装置1に対して実装ヘッド51を旋回可能とし、実装ノズル8がY方向にもX方向にも配列可能としている。その他の構成は図1に示す部品実装装置1と同様である。
【0072】
図8において、実装ヘッド51は、部品供給部9において各パーツカセット10から部品を取り出す際には第1の実施の形態におけると同様、各実装ノズル8a〜8dが部品テープの搬送方向と平行となる向き(図のY方向に沿った向き)でY軸駆動部4に保持される(実線で示す実装ヘッド51)。一方、実装ヘッド51は部品を取り出した後、部品実装のため回路形成体41に対向する位置に移動する際には、実装ヘッド51は各実装ノズル8a〜8dが回路形成体41の搬送方向と平行となる向き(図のX方向に沿った向き)に保持されるように構成されている(破線で示す実装ヘッド51)。
【0073】
これは、実装ノズル8の配列方向を、第1の実施の形態で示したように部品吸着の際には同一部品を同時取り出しできる効率的なX方向に沿った向きとし(但し、Pn=Pcとする)、部品実装の際には実装ノズル8の配列全体を一括して90°旋回させて従来の部品実装装置と同様にY方向に沿った向きとすることにより、実装すべき部品の配置がX方向への分散であった場合に、実装時の実装ヘッドの移動距離を少なくすることができ、生産性を向上させる効果を生む。すなわち、実装ヘッド51を旋回可能とすることで、部品取り出し時と部品実装時のそれぞれにおいて実装ノズル8を最も効率的な方向に配列することができる。
【0074】
図9は、このような構成に係る実装ヘッド51の旋回機構の概要を示している。図において、実装ヘッド51は、Y軸駆動部4に対して支持軸52を中心に図のX方向とY方向とを含む少なくとも90°旋回が可能に支持されている。支持軸52には、この旋回駆動のためのモータ53と減速機54とが設けられる。実装ヘッド51には複数(図示の例では4つ)の実装ノズル8が設けられ、複数の実装ノズル8は図のZ方向の昇降運動とともに、Z軸を中心として回転(θ回転)が可能であることは第1の実施の形態と同様である。実装ヘッド51の旋回駆動部分にはロータリエンコーダ55が備えられ、高精度の旋回角度制御を可能にしている。
【0075】
図8に戻って、以上のように構成された本実施の形態に係る部品実装装置50の動作時には、パーツカセット10から部品を取り出す際、同一部品の複数取り出しが可能となるよう実装ノズル8がY方向に沿って配列される。この状態でパーツカセット10から部品を同時に取り出した後、実装ヘッド51は実装位置に移動する際に、実装ノズル8をX方向に配列できるよう図の破線で示す角度αだけ旋回する。図示の例では、実装ノズル8の配列全体が一括してY方向からX方向へα=90°旋回している。実装ノズル8をX方向に配列させた実装ヘッド51は、回路形成体41に対向する位置まで移動し、各実装ノズル8を下降させ、吸着されていた部品20を回路形成体の所定の実装位置に実装する。
【0076】
但し、本発明は上述のような実装ノズル8の配列方向の形態に限定されるものではない。上述とは逆に、部品取り出し時には実装ノズル8を従来技術と同様にX方向に沿って配列し、異なる各パーツカセット10a〜10dから異なる部品を同時に取り出し(但し、Pn=Psの場合)、そして実装する場合には、もしそれが能率的であるならば、実装ノズル8をY方向に配列することであっても良い。実装ヘッド51の旋回による実装ノズル8の配列方向を変更させることなく、部品取り出し、部品実装のいずれもをY方向配列のまま、もしくはX方向配列のままで行うことであっても勿論よい。
【0077】
さらに、パーツカセット10の配列や、回路形成体41の設計条件によって、実装ノズル8がX方向とY方向の中間に当たるいずれかの角度に配列していることが有利な場合が想定されるのであれば、X方向とY方向との間の任意の位置(図8において、0≦α≦90°)に角度設定することであってもよい。この場合においても、前記ロータリエンコーダの使用により、高い精度での角度設定が可能である。必要であれば、旋回角度を90°以上に広げることであってもよい。
【0078】
なお、図8に示す例においては、Y軸駆動部に搭載されてY方向に配列された実装ノズル8a〜8dをX方向にも旋回する形式としているが、これを逆の関係にすることであってもよい。すなわち、図18の従来技術に示すようなX軸駆動部に搭載されてX方向に配列された実装ノズル112の配列をY方向にもなるよう、図9に示す旋回機構を実装ヘッド51に組み込むようにしてもよい。
【0079】
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態で示すように、回路形成体保持装置41にYテーブル45を設け、実装ヘッド51の搬送をX方向のみとする構成と組み合わせることが可能である。また、図8に示す例では実装ノズル8の数を4つとしているが、この数は任意に選択することが可能である。
【0080】
次に、本発明に係る第3の実施の形態の部品実装装置、並びに部品実装方法につき、図面を参照して説明する。図10において、部品実装装置60は、Y方向に実装ノズル8を配列した一対の実装ヘッド5A、5Bと、各実装ヘッド5A、5BをY方向に搬送可能な一対のY軸駆動部4A、4Bとを備えている。各Y軸駆動部4A、4Bは、X軸駆動部3に設けられたボールねじ61を介してX方向に往復移動可能に配置されている。各Y軸駆動部4A、4Bには、X軸駆動部3との係合部に破線で示す中空モータ62A、62Bがボールねじ61に螺合して配置され、中空モータ62A、62Bの正逆回転によって実装ヘッド5A、5B及び各実装ノズル8を図のX方向に搬送可能である。各実装ヘッド5A、5BのY方向への搬送は、第1の実施の形態と同様モータ7の回転により行われる。その他の構成も第1の実施の形態に示す部品実装装置1と同様である。
【0081】
以上のように構成された本実施の形態に係る部品実装装置60の動作時における各実装ヘッド5A、5Bの動きは、第1の実施の形態で示したものと同様である。すなわち、各部品供給部9A、9Bのパーツカセット10に対向する位置に移動した実装ヘッド5A、5Bは、各実装ノズル8を下降して部品を取り出し、その後X軸駆動部3(中空モータ62A、62B)、Y軸駆動部4A、4Bの動作によって回路形成体41に対向する位置まで移動し、前記取り出した部品の実装を行う。この場合に、一対の実装ヘッド5A、5Bの内、いずれか一方の実装ヘッド(例えば、実装ヘッド5A)が回路形成体41に部品を実装している間に、いずれか他方の実装ヘッド(同、実装ヘッド5B)はパーツカセット10から部品を取り出す。両実装ヘッド5A、5Bの間の動作は相互に干渉しないように制御装置109(図15参照)が制御する。
【0082】
以上の動作を一対の実装ヘッド5A、5Bで交互に行うことにより、部品の取り出しと部品の実装とを各実装ヘッド5A、5Bによって同時並行して行うことができ、これにより、従来技術による部品実装装置に対して約1.5倍〜2倍の部品実装効率を実現することができる。
【0083】
なお、図10に示す例においては、第1の実施の形態と同様に実装ヘッド5A、5Bが実装ノズル8をY方向に配列する向きに固定された態様を示しているが、第2の実施の形態に示す実装ヘッド51のように、Y方向とX方向との間を旋回可能としたものを配備することであってもよい。また、第1の実施の形態で示したように、回路形成体41がYテーブル45に保持され、Y方に移動可能となるように構成し、実装ヘッド5A、5BはX方向にのみ搬送される形式とすることであってもよい。実装ノズルの数4つは、単に1例を示したものである。
【0084】
また、図10に示す例においては、実装ヘッド5A、5Bが、一対のY軸駆動部4A、4Bの間に配置されているが、これをY軸駆動部4A、4Bのそれぞれ外側に配置するようにしても、あるいは各Y軸駆動部4A、4Bに対して同じ側(例えば、図において各Y軸駆動部4A、4Bのいずれも右側)に配置するようにしてもよい。
【0085】
次に、本発明に係る第4の実施の形態の部品実装装置、並びに部品実装方法について図面を参照して説明する。図11は、本実施の形態に係る部品実装装置70の主要構成要素を示す平面図である。本実施の形態に係る部品実装装置70は、第3の実施の形態で説明した一対の実装ヘッド5A、5Bを備える代わりに、1つの実装ヘッド71に装着される実装ノズル8の数を増加させることにより、部品実装効率を高めるものである。
【0086】
すなわち、図11に示す部品実装装置70において、実装ヘッド71には図1に示すと同様の4つの実装ノズル8a〜8dが配列されることに加え、前記4つの実装ノズル8の配列方向と平行に別の4つの実装ノズル8e〜8hが装着されている。本図では破線で示すY軸駆動部4は、実装ノズル8a〜8dと8e〜8hの2つの配列を実装ヘッド71の両側に配置できるよう、モータ7ほかの駆動機構が図面の垂直方向に重なって設けられている。
【0087】
図1に示す部品実装装置1の実装ノズル8の数を増やすには、実装ヘッド5を図のY方向に延長し、従来からある実装ノズル8と同列に追加ノズルを配することも可能である。しかしながら、このように配列すると、図1に示す形式のパーツカセット10では、実装ノズル8の数に対応した数の部品取り出し口11を設けることからパーツカセット10のY方向の長さが長くなり、取扱いが難しくなる。また、実装ヘッド5も延長することで大型化されるほか、部品実装の際には実装ヘッド5の移動距離が長くなって必ずしも効率的ではなくなる。図11に示すような実装ヘッド71のノズル配列形式とすることにより、実装ノズル8a〜8dでの同時取り出し、続いて実装ノズル8e〜8hでの同時取り出しができ、一度により多くの部品を実装位置まで搬送することが可能となる。これにより、例えば第1の実施の形態の部品実装装置1に比べて部品実装効率を約1.5倍ほどに高めることができる。
【0088】
また、図18に示すような従来技術による部品実装装置100においては、実装ヘッド104のX方向に並ぶ実装ノズル112の配列を複数列にした場合、いずれか一方の配列が他方の配列に対して装置本体の奥側(図18のY方向奥側)になるため、実装ノズル112の脱着やメンテナンスの観点からこのような配置はほとんど不可能に近い。図11に示すような本実施の形態に係る部品実装装置70では実装ノズル8の配列がY方向であることから、いずれの側の実装ノズル8の配列に対してもアクセスができ、複数配列の実施が容易に可能である。
【0089】
なお、図11に示す実装ノズル8a〜8dの列と実装ノズル8e〜8hの列との間のX方向のピッチPdを、パーツカセット10間のピッチPsの整数倍に設定することにより(すなわち、Pd=Ps×R、R:整数)、実装ノズル8の両方の配列で異なるパーツカセット10から同時に8部品を吸着して取り出すことも可能となり、さらに効率的な実装が実現できる。
【0090】
また、本実施の形態においても同様、第2の実施の形態に示す各実装ノズルの列がY方向とX方向との間を旋回可能とした実装ヘッドを配備してもよい。また、第1の実施の形態で示すように、回路形成体がYテーブルに保持され、Y方向に移動可能となるように構成し、実装ヘッドはX方向にのみ搬送される形式とすることであってもよい。配列された実装ノズルの個数4つは、単に一例を示したものである。
【0091】
次に、本発明に係る第5の実施の形態の部品実装方法について、図面を参照して説明する。本実施の形態は、これまで述べた各実施の形態に示す部品実装装置を使用して部品実装する場合の部品実装順序を最適化し、部品実装の効率を高めるものである。図12は、従来技術による部品実装装置で実装動作を行う際の、NCプログラムを使った実装順序の例を示している。通常、NCプログラムの中の部品の実装順序は、部品実装装置の動作を最適化するようにはなっていないので運転前に並べ替える必要がある。図12は、従来技術における基準によって並べ替えられた後の実装順序を示している。図12の左側から右側への各欄において、実装順序Nは実装すべき部品の順番を、次の座標Xと座標Yとは、各部品の回路形成体上の実装位置のX座標とY座標とを示している。そして次のパーツカセット番号Zは、当該部品が収納されているパーツカセットの区別を、ノズル番号Nzは、当該部品を吸着して取り出す際に使用すべきノズルの種類をそれぞれ示している。
【0092】
本図から明らかなように、従来技術における部品の実装順序は、まず当該部品の実装位置X座標を基に順位づけし、次にY座標を基に順位付けされるのが基本であった。すなわち、実装順序の優先順位はまず実装位置を基準にして決められていた。このような順位付けは、実装時において実装ヘッドと回路形成体保持装置との相対的な動きをできるだけ少なくするという観点からは効果的である。しかしながら、この順位付けによれば、たとえ同一部品であっても実装位置が離れていれば取り出し順位が異なり、これに応じてノズルの付け替えが必要になるというケースも生じ得た。したがって、このノズル交換も含めた総合的な観点からは必ずしも効率的な順位付けとはいえなかった。従来技術においては、同一部品を同時に取り出すという概念を念頭においた手順設定はなされていなかったことによる。
【0093】
これに対し、図13は本実施の形態に係る部品実装方法における実装順位付けのフローチャートを示している。本実施の形態に係る部品実装方法では、同一の部品を複数同時取り出しできるという本発明に係る部品実装装置、並びに部品実装方法の特徴を効果的に利用することを主眼に、生産性の向上を図る順位付けを行うものとしている。図13に示すフローチャートにおいて、ステップ1ではまずNCプログラム中の項目の内でノズル番号Nzに注目し、同一の実装ノズルを使って実装するNCプログラム中のブロックを最優先にしてグループ化する。これは、図1に示すように、実装ノズル8が異なる場合には実装ヘッド5はノズル交換ステーション48まで一旦移動するという無駄が生ずることから、実装動作中のこのノズル交換動作を最小限に抑えることを意図するものである。
【0094】
次に、ステップ2において、ステップ1における区分の内でNCプログラム中のパーツカセット番号Zに注目し、すなわち同一の部品を実装するNCプログラム中のブロックをグループ化して集める。これは、実装ヘッドが繰り返して同じ部品、すなわち同じパーツカセットから取り出し続けるように運転させるためである。この同一部品の同時取り出しは、本発明に係る第1から第4の実施の形態に示すY方向に配列された実装ノズルを使用することにより可能となる。さらにステップ3では、第2の実施の形態に示すような実装ヘッドがX方向とY方向との間で旋回可能な形式の部品実装装置を使用する場合においては、NCプログラム中の項目で、部品実装の際に実装ヘッドの旋回をする方が良いブロックと、する必要がないブロックとにグループ分けする。実装ヘッドの旋回機構を利用して実装ヘッドの移動をできるだけ少なくし、能率的な実装を行うものである。その後、ステップ4で部品の実装位置におけるX座標、Y座標に応じてグループ分けする。
【0095】
以上のフローチャートに従い、図12に示す同じ部品群のNCプログラムの実装順序を入れ替えると、図14に示すような改訂されたNCプログラムの実装順序が得られる。図の一番左側の列は、改訂後の実装順序Mを示す。左から2番目の列の旧実装順序N(図12に示すもの)と比較すると、両実装順序の間に大きな違いがあることが分かる。また、図の一番右側の列は、実装ヘッド5の旋回角α(図8参照)で、部品取り出し動作時の実装ヘッドの位置と部品実装動作を行う際の位置との間で旋回すべき角度を示している。図示の例では、実装順位Mの1から4までは、実装ヘッド5は部品取り出し時に実装ノズルがY方向に配列された状態で部品4つを同時に取り出し、実装時においては実装ノズルがX方向に配列された状態となるよう実装ヘッド5が90°旋回することを示している。
【0096】
なお、図13及び図14においては、実装ヘッドが旋回式である部品実装装置を使用する場合の例を示しているが、このような旋回機構を備えていない部品実装装置においては、図9のフローチャートの内、ステップ3は実施されず、したがって図14に示す実装ヘッドの旋回角度の表示は含まれないものとなる。
【0097】
NCプログラムによる実装順序を以上の手順で並び替えることにより、まず、同一ノズルでブロック分けされることからノズルの付け替えを少なくすることができる。次に同一部品を同時取り出しすることで部品取り出し時の無駄な動きを排除することができる。さらに実装位置の分散に応じて実装ノズルの配列方向を最適化することができ、これら全体を含めて部品実装の能率を高めることが可能となる。
【0098】
【発明の効果】
本発明に係る部品実装装置及び部品実装方法によれば、単一のパーツカセットから複数の同一部品を同時に取り出すことが可能となる。これによって、ノズルの付け替えを少なくし、部品取り出しの効率を高める従来とは異なる部品実装順位の設定が可能となる。したがって、同一回路形成体に多数の同一部品を実装する場合においては特に効率的な部品実装を実現することができる。
【0099】
また、複数列の実装ノズルを配置し、あるいは実装ノズルの配列全体を一括して旋回可能とする本発明に係る部品実装装置及び部品実装方法によれば、部品取り出し時、及び/又は部品実装時のX、Y方向の実装ヘッドの無駄な動きを最小限にとどめることができ、設備の動きの中の無駄な部分を抑制することが出来るのでより優れた生産効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図2】 図1に示す部品実装装置の実装ノズルとパーツカセットとの関係を示す要部側面部分断面図である。
【図3】 パーツカセットからの部品取り出しの状況の例を示すフロー図である。
【図4】 パーツカセットからの部品取り出しの状況の他の例を示すフロー図である。
【図5】 パーツカセットからの部品取り出しの状況のさらに他の例を示すフロー図である。
【図6】 パーツカセットからの部品取り出しの状況のさらに他の例を示すフロー図である。
【図7】 図1に示す部品実装装置の構成の異なる態様を示す平面図である。
【図8】 本発明に係る他の実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図9】 図8に示す部品実装装置の実装ノズルの旋回機構を示す斜視図である。
【図10】 本発明に係るさらに他の実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図11】 本発明に係るさらに他の実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図12】 従来技術による部品実装順位のNCプログラムの例を示す図である。
【図13】 本発明に係る実施の形態の部品実装順位の最適化手順を示すフローチャートである。
【図14】 図13の最適化手順に基づく部品実装順位のNCプログラムの例を示す図である。
【図15】 従来技術による部品実装装置の概要を示す斜視図である。
【図16】 従来技術による部品テープの概要を示す斜視図である。
【図17】 従来技術によるパーツカセットの構成を示す側面断面図である。
【図18】 従来技術による部品実装装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1.部品実装装置、 2.XYロボット、 3.X軸駆動部、 4.Y軸駆動部、 5.実装ヘッド、 8.実装ノズル、 10.部品供給装置(パーツカセット)、 11.部品取り出し口、 20.部品、 21.部品テープ、 30.部品実装装置、 40.回路形成体保持装置、 41.回路形成体、 50.部品実装装置、 51.実装ヘッド、 60.部品実装装置、 70.部品実装装置。
Claims (3)
- 多数の部品を収納したパーツカセットから複数の実装ノズルで部品を取り出すに際し、単一のパーツカセットから複数の部品を同時に取り出す部品実装方法において、
前記複数の実装ノズルが前記パーツカセットの部品搬送方向と平行に配列され、前記複数の実装ノズルが、当該各実装ノズルにそれぞれ対向する位置に配置された前記パーツカセットの複数の部品取り出し口から複数の部品を同時に取り出すよう構成され、
前記複数の実装ノズルによる複数部品の取り出しから次の複数部品の取り出しの間の前記パーツカセットにおける部品搬送が、均等送り量の間欠送りとされ、
前記実装ノズルの数をN、各実装ノズル間のピッチをPn、前記パーツカセットに収納された部品間のピッチをPp、前記部品搬送における送り量をFとしたとき、
Pn=Pp×M (M:整数)
であり、かつ
(1)MとNが同一でないこと、
(2)MとNとの間でいずれか一方が他方の倍数でないこと、
(3)MとNとの間で公約数が存在しないこと、
を条件として、
F=Pp×N
の関係が成立していることを特徴とする部品実装方法。 - 前記パーツカセットの部品搬送方向を正逆反転することにより、前記パーツカセットに搭載された部品テープの最初の部分、又は最後の部分に収納された部品を前記複数の実装ノズルにより取り出して使い切ることを特徴とする、請求項1に記載の部品実装方法。
- 多数の部品を一定間隔で収納した部品テープと、
前記部品テープを搬送する駆動手段と、
部品実装装置と同期して前記駆動手段を制御し、前記部品を順次部品取り出し位置に位置決めする制御装置とを備えたパーツカセットにおいて、
前記パーツカセットから前記部品を取り出すための部品取り出し口を、前記部品テープの搬送方向に沿って複数備え、
前記部品テープが、当該部品テープの最初の部分又は最後の部分において、当該部品テープを均等送りで間欠搬送する際には部品吸着がされない位置に該当する箇所の部品を予め取り除いて構成されていることを特徴とするパーツカセット。
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JP2003078291A (ja) | 2003-03-14 |
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