JP4539452B2 - ペリクル枠製造用アルミニウム合金板材の製造方法 - Google Patents
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Description
ペリクルは、表面に陽極酸化処理が施され、フォトマスクの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度のアルミニウム合金製の枠体で構成されている。そして、この枠体の一方の縁面に厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体やフッ素ポリマー等の透明な高分子膜からなるペリクル膜が貼り付けられ、かつ他方の縁面に粘着剤が付着され、当該粘着剤が付着された縁面をフォトマスクの表面に貼着させて用いられている。
このような、ペリクルの大型化に伴って、ペリクル膜を貼着するアルミニウム合金製ペリクル枠の大型化の要請が高まっている。ペリクル枠にはペリクル膜が貼着されるので、この貼着状態を保持するためにも、ペリクル枠の大型化に伴って、基材としてのアルミニウム合金の高強度化が要求される。
そして、特許文献1には、熱処理により高強度を発現する7000系アルミニウム合金の押出形材をペリクル枠に用いることが提案されている。
熱処理により高強度を発現する7000系アルミニウム合金の板材を用いてペリクル枠を製造することも想定されるが、熱処理型合金である当該合金を用いた場合には熱処理による反りの発生等の問題があり、容易にペリクル枠に適した平坦な板材を得ることができない。このため、熱処理を施さなくても所要の強度を発現してペリクル枠に適用できるアルミニウム合金が必要になる。
したがって、ペリクル枠の大型化に資するとともに、大面積化し、かつ微細化した回路パターン転写作業の効率化にも資することになる。
その結果、基材アルミニウム合金としてJIS規格の5000系合金を用い、その合金組織を晶出物が所定の大きさ及び密度で分散したものに調整することにより、上記課題が解決できることを見出した。
以下にその詳細を説明する。
Ti,又はTiとBを含有させると、溶湯中にAl−Ti系、又はTi−B系等の金属間化合物を形成し、これらが凝固結晶粒の核となって鋳塊組織を微細化し、スラブの鋳造割れを防ぐことができる。
次いで、前記合金中における晶出物の大きさと分布状態をコントロールするために、当該合金中に含まれる特定不純物、すなわちFe及びSi等の含有量の影響を検討した。
陽極酸化処理後の染色処理で白点欠陥を生じる原因となる金属間化合物は、上記したAl−Fe系,Al−Fe−Si系等の化合物ばかりでなく、主要合金元素との化合物も原因となる。すなわちAlCuMg,Al7Cu2Fe,Al2CuMg,MgZn2等の化合物である。これらの化合物はX線回折で同定できる。これらの化合物の大きさが円相当径の平均値で5μm以上となると、近時の厳しい基準に対応できない。ここで円相当径は、ペリクル枠表面に存在する晶出物の各個の面積を円相当に置き換えた時の直径を指すものである。
また、塵と確認される確率も非常に少なくなる。したがって、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満でしかもそれらの占める面積比が5%未満とする。
本実施形態のペリクル枠は、TFT−LCD(薄膜トランジスター液晶ディスプレイ)等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクに異物が付着することを防止するために用いられるペリクル装置に使用される。ペリクル枠は、陽極酸化処理後の皮膜欠陥の発生が防止され、自然光ないし光源からの光を極力反射させない表面に染色され、表面処理性に優れたアルミニウム合金組織を有する。
この処理は鋳造時に晶出した上記の晶出物を固溶させるものであり、アルミニウム合金に含まれる不純物の含有量を低減したことと相俟って、鋳造時に晶出した晶出物をより小径にかつ少なくして、ペリクル枠に陽極酸化処理後の染色処理で生じる白点欠陥を解消する作用効果を発揮するものである。460℃以上の温度で行う保持は、必ずしも一定の温度である必要はなく、400〜500℃の温度で1時間以上、好ましくは1〜2時間保持の後、530℃の温度で1〜24時間処理しても良い。
得られたペリクル枠は、その後陽極酸化処理が施されて表面が硬化されるとともに染色剤が保持され易くする。この陽極酸化処理は特に限定するものではないが、染色剤保持能力の高い皮膜が安定して得られる硫酸液処理が好ましい。処理条件は限定されるものではないが、以下の処理条件の範囲から適宜選定することが好ましい。
硫酸液濃度 10〜20vol%水溶液
電流密度 1.0〜2.0A/dm2
液温度 10〜20℃
通電時間 10〜30分
ペリクル枠は陽極酸化処理前に皮膜の密着性の向上及び微細なキズの消去を目的として必要に応じてショットブラストをかける表面処理をしても良い。
染色液温度 55〜65℃
処理時間 5〜20分
染色処理に際しては、治具とペリクル枠が処理時間中に接触していると接触箇所に染料が染色されないおそれがあるので、治具又はペリクル枠、又は両者を揺動させながら処理すると上述のおそれが無く、全面が黒色に染色できる。染色後のペリクル枠は、封孔処理して耐食性と染料の保持効果を向上させる。封孔処理の条件は限定されるものではないが、以下の処理条件の範囲から適宜選定することが好ましい。
処理液 70〜95℃熱水
処理時間 10〜30分
(1) 陽極酸化条件
硫酸液濃度 16vol%
水溶液電流密度 1.2A/dm2
液温度 17〜19℃
通電時間 25分
染色剤 サンド社製 商品名Sanodal Deep Black MLW New
染色剤液濃度 10g/L
液温度 60℃
処理時間 10分
封孔助剤 花見化学社製 商品名 シーリングX
封孔助剤濃度 9g/L液
温度 90.5℃
処理時間 25分
前記した実施例1、2及び比較例1〜7と同一処理された同一ロット内の押出材について、当該板材の組織中の晶出物の内、円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径の平均値、組織中に占める晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の面積比を測定した。
以上、表1,2及びSEM観察の結果から、本発明の実施例がペリクル枠における白点の発生抑制に優れた効果を奏していることが明らかである。
Claims (2)
- Mg:2.40〜2.57質量%,Ti:0.005〜0.04質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物としてのFeが0.28質量%以下,Siが0.08質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造スラブを、400℃以上の温度で均熱化処理した後に圧延加工することにより、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1マイクロm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織とすることを特徴とするペリクル枠用アルミニウム合金板材の製造方法。
- Mg:2.40〜2.57質量%,Ti:0.005〜0.04質量%,B:0.0005〜0.001質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物としてのFeが0.28質量%以下,Siが0.08質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造スラブを、400℃以上の温度で均熱化処理した後に圧延加工することにより、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1マイクロm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織とすることを特徴とするペリクル枠用アルミニウム合金板材の製造方法。
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