JP4539243B2 - トルクコンバータの結合構造 - Google Patents
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Description
特許文献1には、トルクコンバータケースのボス上にピンを設け、このピンをドライブプレートの結合用の孔に緩挿することにより、前記スラスト力を吸収する構造が開示されている。
特許文献3には、ドライブプレートとトルクコンバータケースとを、スプライン結合部で結合することで、前記スラスト力を吸収する構造が開示されている。
前記ガタ打ちは、音や振動の増加を招くと共に、ドライブプレートやトルクコンバータケースのピンの耐久性を低下させることになる。
一方、特許文献2に開示される薄肉の取付部の撓みによってスラスト力を吸収する構造では、ドライブプレートに作用するスラスト力がエンジン出力軸に作用し、また、取付部が繰り返し撓むことで、疲労破壊する惧れがあった。
に対向する嵌挿孔をそれぞれ設け、中折れ機構付スライドピンの一方端を前記ドライブプレート側の嵌挿孔に嵌挿し、他方端を前記トルクコンバータケース側の嵌挿孔に嵌挿し、前記中折れ機構付スライドピンが嵌挿される嵌挿孔が凹陥形成されるスライドピン支持部材を、前記ドライブプレートに取り付ける構成とした。
また、トルクコンバータケースの膨張によって、ドライブプレート側の嵌挿孔の軸とトルクコンバータケース側の嵌挿孔とがある角度を持って交差するようになると、該角度に対応するように、中折れ機構付スライドピンが回転及び/又はスライドしつつ中折れして、嵌挿孔が角度をもって対向する状態で嵌挿状態を保持する。
図1は、本発明に係るトルクコンバータの結合構造を示す。
図1において、エンジン1の出力軸2の端部には、円板状のドライブプレート3が結合される。
前記ドライブプレート3の中心側には、同一円周上に等間隔で、軸結合用の貫通孔3aが複数開口されており(図2参照)、各貫通孔3aに挿通させたボルト4を、出力軸2の端面に形成された雌ネジ2aに締め付けることで、出力軸2端部にドライブプレート3が結合される。
前記ドライブプレート3の反エンジン側には、トルクコンバータ6が同軸上に配設される。
前記トルクコンバータ6は、トルクコンバータケース7と一体のポンプ(駆動側インペラ)と、該ポンプに対向して配置されるタービン(被駆動側インペラ)と、一方向クラッチを介して固定されるステータとを含み、前記各インペラが作動油に浸かって、前記作動油を媒体としてトルクを伝達する流体式のトルクコンバータである。
そして、トルクコンバータケース7に伝達されたエンジン出力トルクは、作動油を介してトルクコンバータ6の出力軸に伝達され、更に、トルクコンバータ6の出力軸に連結される変速機を介して車両の駆動輪に伝達される。
前記結合部9は、トルクコンバータケース7のドライブプレート3との対向面に突出形成されるボス10と、前記ドライブプレート3側に取り付けられるスライドピン支持部材11と、中折れ機構付スライドピン12とから構成される。
ここで、中折れ機構付スライドピン12が、その外周壁が前記嵌挿孔10aの内周壁に案内されつつ、小さい力で同軸上にスライド移動できるように、前記嵌挿孔10aの内径が設定されている。
尚、前記嵌挿孔10aの内周壁を滑らかに仕上げ、また、グリースなどの液体潤滑剤を塗布しても良い。
そして、前記ドライブプレート3の前記挿通孔3bが設けられる部分の反トルクコンバータケース7側の端面に、スライドピン支持部材11が取り付けられる。
前記挿通孔3bの周囲には、前記スライドピン支持部材11をボルトでドライブプレート3に取り付けるためのネジ孔3cが同一円周上に等間隔で複数形成されている(図2参照)。
前記嵌挿孔11aは、中折れ機構付スライドピン12の抜け防止のために、貫通孔としてではなく、有底筒状に凹陥形成される。
また、前記嵌挿孔11aは、嵌挿孔10aと同様に、内周壁を滑らかに仕上げ、また、グリースなどの液体潤滑剤を塗布しても良い。
前記嵌挿孔11aの周囲には、ネジ孔3cに合わせて、前記スライドピン支持部材11の取り付けに用いる内六角ボルト13用の挿通孔11bが貫通形成される。
そして、前記大径部11cから小径部11dに変化する段差部分がボルト座面となり、前記内六角ボルト13をネジ孔3cに締め付けることで、前記内六角ボルト13の頭部によって前記ボルト座面がドライブプレート3側に押し付けられて、スライドピン支持部材11がドライブプレート3にガタなく固定される。
前記中折れ機構付スライドピン12は、図4に示すように、同径で円筒部分が滑らかな表面に形成される一対のスライドピン12a,12bを、ジョイント用シャフト12cで連結することで、スライドピン12a,12bの軸に直交するジョイント用シャフト12cの軸周りに屈曲可能に構成されている。
前記トルクコンバータケース7は、エンジン1の運転に伴って作動油が供給されることで膨張するが、該膨張時であっても前記トルクコンバータケース7のボス10がドライブプレート3に当たらないように、前記トルクコンバータケース7のボス10とドライブプレート3との間にクリアランスを設けてある。
前記トルクコンバータケース7が膨張変形していないときには、図5に実線で示すように、トルクコンバータケース7上のボス10(嵌挿孔10a)の軸線と、スライドピン支持部材11の嵌挿孔11aの軸線とが一致するので、前記中折れ機構付スライドピン12は中折れすることなく、直線状態で両端がトルクコンバータケース7側及びドライブプレート3側の嵌挿孔に対して最小のクリアランスで嵌挿される。
一方、前記トルクコンバータケース7が内部の油圧により膨張し、例えば、図5に点線で示すように、トルクコンバータケース7の端面が中心軸を支点にドライブプレート3側に倒れ込むように変形すると、トルクコンバータケース7上のボス10(嵌挿孔10a)の軸線と、スライドピン支持部材11の嵌挿孔11aの軸線とが一致しなくなると同時に、ボス10の先端からドライブプレート3までの距離が変化する。
また、ボス10の先端からドライブプレート3までの距離の変化に対応して、前記嵌挿孔10a及び嵌挿孔11a内で中折れ機構付スライドピン12がスライドして長手軸方向の位置を変えるので、トルクコンバータケース7の膨張変形が、スラスト力やエンジン1の出力軸2に作用することがない。
従って、エンジン1の出力軸2に生じるスラスト荷重を低減でき、これにより、エンジンの正味熱効率が向上し、車両燃費を向上する。
尚、上記実施形態における中折れ機構付スライドピン12は、2分割される同径のスライドピン12a,12bをジョイント用シャフト12cで連結する構成としたが、例えば、一方のスライドピンに玉受け溝を設け、他方のスライドピンに球体を設け、前記玉受け溝に前記球体を嵌めて自在継ぎ手を構成し、両スライドピンがなす角度を自由に変えられるようにすることができ、中折れを実現する継ぎ手は、ジョイント用シャフト12cによる連結に限定されるものではない。
更に、トルクコンバータケース7側及びドライブプレート3側に対して、中折れ機構付スライドピン12用の嵌挿孔を設ける構造は、上記実施形態に限定されるものでなく、種々の設計変更が可能であることは明らかである。
Claims (4)
- エンジンの出力軸に結合されるドライブプレートとトルクコンバータケースとを結合するトルクコンバータの結合構造であって、
前記ドライブプレートと前記トルクコンバータケースとに、相互に対向する嵌挿孔をそれぞれ設け、中折れ機構付スライドピンの一方端を前記ドライブプレート側の嵌挿孔に嵌挿し、他方端を前記トルクコンバータケース側の嵌挿孔に嵌挿し、
前記中折れ機構付スライドピンが嵌挿される嵌挿孔が凹陥形成されるスライドピン支持部材を、前記ドライブプレートに取り付けることを特徴とするトルクコンバータの結合構造。 - 前記トルクコンバータケースの嵌挿孔が、前記トルクコンバータケースの端面から突出形成させたボスに、凹陥形成されることを特徴とする請求項1記載のトルクコンバータの結合構造。
- 前記スライドピン支持部材の嵌挿孔よりも径の大きい挿通孔を前記ドライブプレートに貫通形成し、前記スライドピン支持部材を、前記ドライブプレートの反トルクコンバータケース側の端面に取り付け、前記挿通孔に挿通させた前記中折れ機構付スライドピンを前記スライドピン支持部材の嵌挿孔に嵌挿させることを特徴とする請求項1又は2記載のトルクコンバータの結合構造。
- 前記中折れ機構付スライドピンが、スライドピンの軸に直交する方向の軸周りに屈曲可能に構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトルクコンバータの結合構造。
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