JP4538943B2 - 組成物、および樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、組成物および樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、紙、綿布、レーヨン、および糊のように糖質を含有する物質に抗菌性を与えることを目的として、該物質にε−ポリリジンを付着若しくは添加する試みがなされている。具体的には、紙や綿布にε−ポリリジンを付着した抗菌紙および抗菌布(特開平08−175901号公報)や、ε−ポリリジンと界面活性剤を添加した抗菌紙(特開平10−280299号公報)などが既に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙や綿布にε−ポリリジンを、若しくはε−ポリリジンと界面活性剤を添加する方法では、用途によっては十分な抗菌効果が得られない場合があった。更に、界面活性剤を併用したものにおいては、条件によっては界面活性剤により泡が生じる場合もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前述の従来技術の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、ε−ポリリジンおよび/またはその塩と電解質とセルロースを含有する組成物であれば、界面活性剤を用いることなく十分な抗菌効果を有することを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0005】
本発明は、下記構成(1)〜(25)を有する。
(1)糖質を含有する物質、ε−ポリリジンおよび/またはその塩、および電解質を含有する組成物。
【0006】
(2)ε−ポリリジンおよび/またはその塩の含有割合が、組成物に対して0.0001〜70重量%の範囲である前記第1項記載の組成物。
【0007】
(3)電解質の含有量が、糖質を含有する物質が有する陰イオンの1〜1000倍当量の陽イオンを有する量である前記第1項記載の糖質。
【0008】
(4)電解質が酸および塩から選ばれた1種以上である前記第1項または第3項記載の組成物。
【0009】
(5)酸が、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、プロピオン酸およびマレイン酸から選ばれた1種以上である前記第4項記載の組成物。
【0010】
(6)塩が、塩酸金属塩、リン酸金属塩、酢酸金属塩、乳酸金属塩、コハク酸金属塩、酒石酸金属塩、クエン酸金属塩、リンゴ酸金属塩、フマル酸金属塩、アジピン酸金属塩、グルコン酸金属塩、プロピオン酸金属塩およびマレイン酸金属塩から選ばれた1種以上である前記第4項記載の組成物。
【0011】
(7)電解質がpH緩衝能を有する物質である前記第1項または第3項記載の組成物。
【0012】
(8)pH緩衝能を有する物質が、少なくとも前記第5項記載の酸と前記第6項記載の塩とを含有する緩衝液である前記第1項または第3項記載の組成物。
【0013】
(9)粉末状である前記第1項〜第7項の何れか1項記載の組成物。
【0014】
(10)糖質がセルロースまたはその誘導体である前記第1項記載の組成物。
【0015】
(11)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物と樹脂とを含有する樹脂組成物。
【0016】
(12)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物または前記第11項記載の樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
【0017】
(13)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物または前記第12項記載の樹脂組成物を含有する繊維。
【0018】
(14)前記第13項記載の繊維を用いた衣類。
【0019】
(15)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物を含有する紙。
【0020】
(16)前記第15項記載の紙を用いた本。
【0021】
(17)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物を含有する塗料。
【0022】
(18)前記第17項記載の塗料が塗布された建物。
【0023】
(19)前記第17項記載の塗料が塗布された電化製品。
【0024】
(20)前記第19項記載の電化製品が搭載または設置されたされた車輛、船舶、航空機、または建物。
【0025】
(21)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物を含有する接着剤または粘着剤。
【0026】
(22)樹脂が吸水性高分子である前記第11項記載の樹脂組成物。
【0027】
(23)前記第22項記載の樹脂組成物を用いた生理用品。
【0028】
(24)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物を含有する化粧料。
【0029】
(25)前記第1項〜第10項の何れか1項記載の組成物を含有する食品。
【0030】
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明において糖質とは、ポリアルコール、アルドースおよびその酸化物、ケトースおよびその酸化物、更には、それらの誘導体およびそれらから選ばれた1種以上の縮合体のことである。また、本発明において糖質は、単糖、オリゴ糖、多糖の何れであってもよい。
【0031】
例えば、単糖としてはグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、リボース、キシロースおよびそれらの誘導体などを挙げることができるが、本発明においてはこれら以外の単糖も特に限定されることなく使用することができる。
【0032】
オリゴ糖としてはシュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオースなどの二糖、ラフィノース、ウンベリフェロース、シアリルラクトース、ガラクトシルラクトースなどの三糖と前述した単糖のオリゴマー、およびそれらの誘導体などを挙げることができるが、本発明においてはこれら以外のオリゴ糖も特に限定されることなく使用することができる。
【0033】
多糖としては、澱粉、キトサン、キチン、イヌリン、グリコーゲン、リケナン、ゾウゲヤシマンナン、フルクタン、ガラクトマンナン、リグニン、ペクチン、ヘミセルロース、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパリン、コロイドキチン、ペプチドグルカン、キシラン、セルロース、およびそれらの誘導体などを挙げることができるが本発明においてはこれら以外の多糖も特に限定されることなく使用することができる。
【0034】
単糖の誘導体としては、グルコサミン、デオキシ糖などを挙げることができ、多糖の誘導体としては、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ペクチン酸、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびセルロースプロピオネートなどを挙げることができるが、本発明においてはこれら以外の糖誘導体も特に限定されることなく使用することができる。
【0035】
本発明において糖質を含有する物質は特に限定されるものではないが、糖質の含有割合が該物質の0.001〜100重量%の範囲の物質であることが好ましい。糖質を含有する物質として具体的には、糖質それ自体のほか、綿や麻などの天然繊維、パルプ、紙、木、キュプラ、レーヨン、アセテート、ベンベルグ、セロファン、セルロイド、およびセルロースプロピオネートなどを挙げることができる。
【0036】
本発明において、糖質を含有する物質中の糖質がグルコースまたはその誘導体である場合には、電解質の添加によりEPLの抗菌効果が維持され本発明の効果が顕著である。また、糖質がセルロースまたはその誘導体である場合にも、同様の顕著な効果を得ることができる。
【0037】
ε−ポリリジンは何れの方法によって得られたものであっても本発明に使用することができるが、具体的には、特許第1245361号に記載のストレプトマイセス・アルプラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを、グルコース5%、酵母エキス0.5%、硫酸アンモニウム1%、リン酸水素二カリウム0.08%、リン酸二水素カリウム0.136%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05%、硫酸亜鉛・7水和物0.004%、硫酸鉄・7水和物0.03%、pH6.8に調整した培地にて培養し、得られた培養物からEPLを分離・採取することによって得られるε−ポリリジンを挙げることができる。
【0038】
本発明においてε−ポリリジンは遊離ものを用いてもよく、塩酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、アジピン酸、グルコン酸、および乳酸などの有機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの有機酸塩、
【0039】
カプロン酸、ラウリン酸、およびステアリン酸などの中鎖および長鎖の飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの飽和脂肪酸塩、オレイン酸、リノール酸、およびアラキドン酸などの中鎖および長鎖の不飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの不飽和脂肪酸塩などを用いてもよい。なおこれ以降、前述の各種酸とε−ポリリジンとの塩、および遊離のε−ポリリジンを併せて「EPL」と記述する。
【0040】
本発明に使用する電解質は特に限定されるものではないが、本発明においては酸および塩から選ばれた1種以上を使用すればよい。
酸としては、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、プロピオン酸、およびマレイン酸などの有機酸を挙げることができる。
【0041】
塩としては、塩酸金属塩、リン酸金属塩、酢酸金属塩、乳酸金属塩、コハク酸金属塩、酒石酸金属塩、クエン酸金属塩、リンゴ酸金属塩、フマル酸金属塩、アジピン酸金属塩、グルコン酸金属塩、プロピオン酸金属塩およびマレイン酸金属塩などを挙げることができる。
【0042】
さらに本発明に使用する電解質として、前述の酸および塩の水溶液を適当量ずつ混合して得たpH緩衝能を有する緩衝剤、例えばリン酸−リン酸塩金属塩緩衝液、酢酸−酢酸金属塩緩衝液、乳酸−乳酸金属塩緩衝液、コハク酸−コハク酸金属塩緩衝液、酒石酸−酒石酸金属塩緩衝液、クエン酸−クエン酸塩金属塩緩衝液、リンゴ酸−リンゴ酸金属塩緩衝液などの緩衝剤を挙げることができる。
前述の電解質のうち、乳酸−乳酸金属塩緩衝液、酒石酸−酒石酸金属塩緩衝液、、コハク酸−コハク金属塩緩衝液、リンゴ酸−リンゴ酸金属塩緩衝液はpH緩衝能が高く且つ不揮発性であることから本発明において最も好ましく使用することができる。
【0043】
本発明の組成物における糖質を含有する物質の含有割合は特に限定されるものではないが、該組成物に対して0.001〜99.9998重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜99.9998重量%の範囲である。
【0044】
本発明の組成物におけるEPLの含有割合は特に限定されるものではないが、該組成物に対して0.0001〜70重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.001〜50重量%の範囲である。
【0045】
本発明の組成物における電解質の含有量は特に限定されるものではないが、糖質を含有する物質が有する陰イオンの1〜1000の陽イオンを有する量であることが好ましい。
【0046】
糖質を含有する物質の形状が粉状ないし比較的小さな粒状である場合には、該糖質を含有する物質とEPLと電解質とを任意の組成で単に混合するだけでも本発明の組成物を得ることができるが、該糖質を含有する物質を適当な溶媒に溶解もしくは懸濁させた液に、EPLおよび電解質を分散させた後、該液中の、該糖質を含有する物質、EPL、および電解質からなる複合体を固化させる方法(以下「添加法」と記述する。)によっても本発明の組成物を得ることができる。
【0047】
糖質を含有する物質が糸状、シート状、板状、および比較的大きな粒状である場合には、該糖質を含有する物質に、EPLと電解質とを適当な溶媒に溶解若しくは懸濁させた液を、スプレーコーターによる噴霧、グラビアコーター、ロールコーター、またはナイフコーター等による転着、もしくは浸漬槽を用いた浸漬含浸等の方法により付着させる方法(以下「付着法」と記述する。)によっても本発明の組成物を得ることが好ましい。
【0048】
添加法において使用する溶媒は特に限定されるものではないが、本発明においては、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコールや水、更にはメチルアルコールと水との混合液、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を含む水溶液などを好ましく使用することができる。
【0049】
付着法において使用する溶媒は特に限定されるものではないが、本発明においては、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコールや水、更にはメチルアルコールと水との混合液などを好ましく使用することができる。
【0050】
本発明組成物の形状は、糖質を含有する物質の形状によってほぼ決定される。一方、本発明組成物の形状が粉状であれば、樹脂、繊維、紙、塗料、化粧品、食品などへの添加および微分散が容易となり、優れたハンドリングを実現できる。本発明において粉状とは粒径1mm以下の粉末状物を云う。
【0051】
本発明組成物を粉状にする方法は特に限定されるものではないが、該組成物を粉砕方法により粉状にする方法や、該組成物を適当な溶媒に溶解させることによって得られるプレポリマーを懸濁造粒法により造粒する方法や、糖質を含有する物質を含む粉に対して付着法によりEPLと電解質を付着させる方法などを挙げることができる。
【0052】
粉状の本発明組成物の用途は特に限定されないが、樹脂組成物、成形品、フィルム、シート、繊維および繊維製品、紙および紙製品、接着剤、粘着剤、塗料、化粧料、食品などに好適に使用できる。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、本発明の組成物と樹脂とを含有するものであり、該樹脂組成物は本発明組成物と樹脂とが一体となったものであっても良く、樹脂の表面に本発明組成物が付着したものであっても良く、シート状の本発明組成物に樹脂をラミネートしたものであっても良く、また、本発明組成物と樹脂とが単に混合された状態のものであってもよい。
該樹脂組成物は本発明組成物と樹脂とが一体となったものである場合には、所望の形状に整形することが容易となる。
【0054】
該組成物に使用する樹脂としては、ポリプロピレンおよびプロピレンと他のα−オレフィンとの二元もしくは三元共重合体、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、および共重合ポリエステルなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂、ナイロン6、およびナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、およびアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのポリスチレン系樹脂、
【0055】
ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ゴム共重合体、およびスチレン−ブタジエン−ゴム共重合体などの熱可塑性エラストマー、さらにこれら熱可塑性樹脂から選ばれた1種以上の混合物や、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0056】
本発明の樹脂組成物に使用する本発明組成物の形状並びに組成は特に限定されるものではないが、形状は粉状または繊維状であることが好ましい。
【0057】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、フィラー、帯電防止剤、安定剤、スリップ剤、耐候剤、耐光剤、機能性付加剤、充填剤、油脂、顔料、染料、天然樹脂、合成樹脂、金属、ガラス、および界面活性剤などのその他の添加材を含有するものであっても良い。
【0058】
フィラーとしては、不定形シリカ、真球状シリカ、タルク、マイカ、クレイ、珪藻土、炭酸カルシウム、およびガラス繊維などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0059】
帯電防止剤としては、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、およびポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステルなどを挙げることができが、特に限定されるものではない。
【0060】
安定剤としては、2,6ジブチルパラクレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドリキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−リン酸、およびステアリン酸カルシウムなどを挙げることができる、特に限定されるものではない。
【0061】
本発明の樹脂組成物における本発明組成物の含有割合は特に限定されるものではないが、樹脂組成物に対して0.01〜70重量%の範囲であることが好ましい。
【0062】
本発明の樹脂組成物における樹脂の含有割合は特に限定されるものではないが、樹脂組成物に対して10〜99.99重量%の範囲であることが好ましい。
【0063】
本発明の樹脂組成物における前述のその他の成分の含有割合は、使用するものによって異なり特に限定されるものではないが、樹脂組成物に対して0.01〜70重量%の範囲であることが好ましい。
【0064】
本発明の樹脂組成物の製造方法について以下に説明する。
前述した合成樹脂に対して、本発明組成物および前述したその他の添加材を適当量ずつ均一に撹拌混合して得ることができる。熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物にあっては該撹拌混合した混合物を加熱混練装置例えば押出機、ロール等で加熱混練したのちペレット化することによってペレット状で得ることもできる。また、熱硬化製樹脂を用いた樹脂組成物にあっては、硬化前のプレポリマーに本発明組成物および前述したその他の添加材を適当量ずつ均一に撹拌混合したのち所望の形状の型に入れて成形品とすることもできる。
【0065】
本発明の樹脂組成物に使用する樹脂が、吸水性を有するいわゆる吸水性高分子であれば、吸水した樹脂への細菌やカビ等の微生物の繁殖、および該微生物繁殖に伴う異臭発生を抑制するため好ましい。該吸水性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリグルタミン酸、およびヒアルロン酸などを挙げることができる。
【0066】
樹脂が前述の吸水性高分子である本発明の樹脂組成物の用途は特に限定されるものではないが、樹脂が前述の吸水性高分子である本発明の樹脂組成物を用いた生理用品は、細菌やカビ等の微生物の繁殖、および該微生物繁殖に伴う異臭発生を抑制する効果を有する。該生理用品としては、紙おむつ、および生理用ナプキンなどを挙げることができる。
【0067】
本発明のフィルムまたはシートの種類、形態、製造方法は特に限定されるものではない。
該フィルムまたはシートは、本発明組成物または本発明樹脂組成物をフィルム状またはシート状に成形したものであってもよく、糖質を含有する物質を含むフィルムまたはシートに対して前述の付着法によりEPLと電解質とを付着若しくは含浸させたものであっても良い。
【0068】
本発明組成物または本発明樹脂組成物をフィルム状またはシート状に成形する方法として、例えば、本発明組成物を適当な溶媒に溶解することによって得られるプレポリマー、または適当な方法で本発明組成物を可塑化させたプレポリマー、あるいは本発明の樹脂組成物を、湿式製膜法、乾式製膜法などの方法により製造する方法を挙げることができる。
【0069】
糖質を含有する物質を含むフィルムまたはシートとは、糖質を含有する物質そのものをフィルムまたはシートに成形したものであっても良く、糖質を含有する物質と樹脂とを含有する樹脂組成物をフィルムまたはシートに成形したものであっても良い。
【0070】
該フィルムまたはシートの形態は、本発明の組成物単独で形成される単層構造、本発明の組成物と他の組成物で形成される多層構造、または発泡状態であってもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、該フィルムまたはシートは、用途、目的に応じてコロナ処理や金属蒸着処理、印刷、塗装等の後加工を施してもよい。
【0071】
本発明のフィルムまたはシートにおいては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、フィラー、帯電防止剤、安定剤、スリップ剤、耐候剤、耐光剤、機能性付加剤、充填剤、油脂、顔料、染料、天然樹脂、合成樹脂、金属、ガラス、および界面活性剤などのその他の添加材を添加してもよい。
【0072】
該フィルムまたはシートの用途は特に限定されないが、土木資材、建築資材、農業資材、自動車資材、電気機器、医療用品、サニタリー用品、トイレタリー用品、衛生材料、内装材、家具、一般包装材、食品包装材、容器、玩具、文房具、およびラベルなどに好適に使用できる。
【0073】
本発明の繊維は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の繊維における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該繊維に対して0.01〜100重量%の範囲であることが好ましい。また、該繊維に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質は、セルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0074】
該繊維の製造方法としては、例えば本発明の組成物を適当な溶媒に溶解または適当な方法で可塑化させたプレポリマー、あるいは本発明の樹脂組成物を、湿式紡糸、乾式紡糸、またはゲル紡糸などの方法により製造する方法や、セルロースを含む繊維に対して付着法により後加工でEPLと電解質を適当量ずつ付着させて製造する方法等が挙げられる。
【0075】
該繊維の形態は、本発明の組成物若しくは樹脂組成物単独で形成されるレギュラー繊維、本発明の組成物若しくは樹脂組成物とそれ以外の素材との複合繊維、およびこれらの中空繊維、発泡繊維等が挙げられる。該繊維は連続糸のまま使用してもよいし、適当な長さにカットして使用してもよく、用途目的に応じて捲縮加工や染色処理等の後加工を施してもよい。
【0076】
該繊維を用いた繊維製品としては、例えば、該繊維または該繊維とその他の繊維を組合せた紡績糸、ひもなわ、織布、不織布、およびそれらの加工製品等があげられる。
該紡績糸および該ひもなわの製造方法としては、該繊維または該繊維とその他の繊維を用い公知の方法で製造する方法や、糖質を含む紡績糸またはひもなわに対して付着法により後加工でEPLと電解質を適当量ずつ付着させて製造する方法などが挙げられる。
【0077】
該織布の製造方法としては、該繊維または該繊維とその他の繊維を用い公知の一重織、二重織、多重織等の方法で製造する方法や、セルロースを含む織布に対して付着法により後加工でEPLと電解質を適当量ずつ付着させて製造する方法などが挙げられる。
【0078】
該不織布の製造方法としては、該繊維または該繊維とその他の繊維を用い公知の乾式法、湿式法、ニードルパンチ法、フェルト法等の方法により製造する方法や、前述の本発明の樹脂組成物を用い公知のスパンボンド法により製造する方法や、糖質を含む不織布に対して付着法により後加工でEPLと電解質を適当量ずつ付着させて製造する方法などを挙げることができる。なお、該ひもなわ、該織布、該不織布は、用途、目的に応じて染色加工、印刷等の後加工を施してもよい。
【0079】
該繊維の使用目的、用途は特に限定されないが、土木資材、建築資材、農業資材、自動車資材、電気機器、医療用品、サニタリー用品、トイレタリー用品、衛生材料、内装材、家具、衣類、寝装具、一般包装材、食品包装材、容器、玩具、文房具、装飾品、結束用具、および食品などに好適に使用できる。その中でも衣類のように人の肌に直接接触する頻度の高い用途に特に好ましく使用することができる。
【0080】
本発明の紙は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の紙における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該紙に対して0.01〜100重量%の範囲であることが好ましい。また、該紙に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質はセルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0081】
該紙の製造方法としては、公知の機械パルプ、半化学パルプ、化学パルプに付着法によりEPLと電解質とを適当量ずつ付着または含浸させることによって得られたパルプを漉網式抄紙法等の方法で製造する方法や、紙を抄紙する段階でEPLと電解質とを適当量ずつ付着または含浸させて製造する方法や、紙を抄紙する段階で本発明組成物の粉末状物および/または本発明繊維を添加または充填して製造する方法や、既に抄紙された紙に対して付着法により後加工でEPLと電解質とを適当量ずつ付着または含浸させて製造する方法などを挙げることができる。
また、該紙は一般的に添加、充填されているサイズ剤や充填剤等を添加してもよく、用途、目的に応じて印刷等の後加工を施してもよい。
【0082】
該紙およびそれらの製品の用途は特に限定されないが、土木資材、建築資材、農業資材、自動車資材、電気機器、医療用品、サニタリー用品、トイレタリー用品、衛生材料、内装材、家具、衣料品、寝装具、一般包装材、食品包装材、容器、玩具、文房具、ラベル、装飾品、結束用品、紙幣等に好適に使用することができる。その中でも本のように人の肌に直接接触する頻度の高い用途に特に好ましく使用することができる。
【0083】
本発明の塗料は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の塗料における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該塗料に対して0.01〜70重量%の範囲であることが好ましい。また、該塗料に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質はセルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0084】
該塗料の製造方法としては、例えば、本発明の組成物を適当な溶媒に溶解または懸濁させた組成物液を公知の塗料に添加する方法や、公知の塗料に対して本発明組成物の粉末状物および/または繊維を添加する方法などを挙げることができる。
【0085】
該塗料の用途は特に限定されないが、土木資材、建築資材、農業資材、自動車資材、電気機器、医療用品、サニタリー用品、トイレタリー用品、衛生材料、内装材、家具、一般包装材、食品包装材、容器、玩具、文房具、ラベル、結束用品、建物、および電化製品などに好適に使用することができる。
【0086】
特に、該塗料に使用される本発明の組成物に含まれている糖を含有する物質、若しくは本発明の樹脂組成物に含まれている樹脂が、吸水性ないし吸湿性を有するものである場合、該塗料を塗布したものはその塗布面において細菌やカビ等の微生物の繁殖、および該微生物繁殖に伴う異臭発生を抑制する効果を有する。
【0087】
吸水性ないし吸湿性を有する糖を含有する物質としては、例えば、セルロースおよびその誘導体、澱粉およびその誘導体、およびヒアルロン酸などのムコ多糖を挙げることができる。また、塗料としてはフェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン−アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアセタール樹脂、漆、ボイル油、油性ワニスおよび油性エナメルなどを挙げることができる。
【0088】
本発明の塗料のうち、吸水性ないし吸湿性を有する糖を含有する物質もしくは樹脂を含有する塗料の用途としては、病院、学校、科学研究所、獣畜舎、食品工場、デパート、ショッピングセンター、マンション、オフィスビル、ホール、および戸建て住宅などの建物、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、炊飯器、携帯電話、受話器、自動食器洗浄機、空調機、除湿器、加湿器、扇風機、電子レンジ、精米器、浄水器、ひげ剃り機、電気治療器、血圧計、
【0089】
体脂肪計、各種ミキサー、湯沸かし器、電動歯ブラシ、各種乾燥機、無線機、レーダー、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、ファックス、パーソナルコンピュータ、テレビ、ラジオ、CDプレーヤー、MDプレーヤー、LPプレーヤー、ビデオ、カメラ、DVD、およびイヤホーンなどの電化製品を挙げることができる。その中でも人の肌に直接接触する頻度の高いもの、水と接触するもの、若しくは水が発生するものの塗装に使用することが最も好ましい。
【0090】
人の肌に直接接触する頻度の高いもの、水と接触するもの、若しくは水が発生するものとしては、建物、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、炊飯器、携帯電話、受話器、自動食器洗浄機、空調機、除湿器、加湿器、電子レンジ、浄水器、ひげ剃り機、電気治療器、血圧計、体脂肪計、各種ミキサー、湯沸かし器、電動歯ブラシ、パーソナルコンピュータ、およびイヤホーンなどを挙げることができる。
【0091】
本発明の車輛、船舶、航空機、または建物は、吸水性ないし吸湿性を有する糖を含有する物質もしくは樹脂を含有する本発明の塗料が塗布された電化製品が搭載もしくは設置された車輛、船舶、および航空機であり、搭載する電化製品の種類や車輛、船舶、航空機、および建物の種類は特に限定されるものではない。
車輛としては、例えば、自動車、電車、客車、キャンピングカー、ディーゼルカー、モノレール、オートバイ、および自転車などを挙げることができる。
【0092】
船舶としては、例えば、客船、ヨット、クルーザー、タンカー、貨物船、サルベージ船、漁船、捕鯨船、砕氷船、および潜水艦を挙げることができる。航空機としては、例えば、旅客機、輸送機およびヘリコプターなどの航空機、飛行船、および気球などを挙げることができる。
【0093】
本発明の車輛、船舶、航空機、または建物は、細菌やカビなどの微生物が繁殖しにくい本発明の電化製品を搭載もしくは設置していることから、該微生物が原因となる異臭の発生が少なく、搭乗時の不快感を軽減することが可能である。さらに、本発明の車輛、船舶、または航空機のうち、壁やガラスなどで区切られ、気密性の比較的高い空間を有する車輛、船舶、航空機、または建物であれば、本発明の効果が顕著である。
【0094】
本発明の接着剤または粘着剤は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の接着剤または粘着剤における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該接着剤または粘着剤に対して0.01〜100重量%の範囲であることが好ましい。また、該接着剤または粘着剤に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質はセルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0095】
該接着剤および粘着剤の製造方法としては、例えば、本発明の組成物または樹脂組成物を適当な溶媒に溶解または懸濁させた組成物液を、公知の接着剤もしくは粘着剤に添加して製造する方法や、公知の接着剤または粘着剤に本発明の粉末状物および/または繊維を添加して製造する方法等を挙げることができる。
該接着剤、粘着剤の用途は特に限定されないが、土木資材、建築資材、農業資材、自動車資材、電気機器、医療用品、サニタリー用品、トイレタリー用品、衛生材料、内装材、家具、一般包装材、食品包装材、容器、玩具、文房具、ラベル、結束用品等に好適に使用できる。
【0096】
本発明の化粧料は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の化粧料における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該化粧料に対して0.01〜50重量%の範囲であることが好ましい。また、該化粧料に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質はセルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0097】
該化粧料の製造方法としては、例えば、公知の化粧料に本発明組成物もしくは樹脂組成物の粉末状物を添加して製造する方法などを挙げることができる。該化粧料は本発明の組成物または樹脂組成物の抗菌効果により長期に渡って微生物の増殖が抑制され、高い保存性を示す。
【0098】
本発明の食品は、本発明の組成物若しくは本発明の樹脂組成物を含有するものであれば、その組成、形態、および製造方法について特に限定されるものではない。
本発明の食品における本発明組成物若しくは本発明樹脂組成物の含有割合は、該食品に対して0.001〜100重量%の範囲であることが好ましい。また、該食品に使用される本発明組成物または本発明樹脂組成物に含まれる糖質はセルロースまたはその誘導体であることが好ましい。
【0099】
該食品の製造方法としては、例えば、公知の食品に対して本発明の組成物または本発明の樹脂組成物の粉末状物および/または繊維をブレンドして製造する方法などを挙げることができる。該食品は本発明の組成物の抗菌効果により長期に渡って微生物の増殖が抑制され、高い保存性を示す。
【0100】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の詳細を説明する。但し、本実施例は本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り「重量%」である。本実施例においてε−ポリリジン(EPL)はチッソ株式会社製ε−ポリリジン25%水溶液を用いた。
【0101】
1)組成物の作成(実施例1〜39、比較例1〜41)
実施例1〜26
セルロース濃度8%、アルカリ濃度6%のレーヨンビスコース液に、EPLをセルロースに対して0.1%、表1に示した電解質をセルロースに対してそれぞれ0.2%となるよう添加したのち、よく撹拌して均一化させた紡糸原液を、硫酸9.8%、硫酸ナトリウム0.04%、硫酸亜鉛0.002%からなる紡糸浴中に紡出して75dの繊維としたのち、該繊維を編み機にかけて織布に加工し、EPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物を作製した。
【0102】
【表1】
Figure 0004538943
【0103】
実施例27〜39
電解質を表2に示したものに代えた以外は、実施例1に準じて織布状組成物を作成した。なお、各実施例において用いた2種類の電解質は、セルロースに対してそれぞれ0.1%ずつ添加した。
【0104】
【表2】
Figure 0004538943
【0105】
比較例1〜26
EPLを添加せず、表3に示した電解質をそれぞれセルロースに対して0.2%となるように該レーヨンビスコース液に添加した以外は実施例1に準じて織布状組成物を作成した。
【0106】
【表3】
Figure 0004538943
【0107】
比較例27〜39
EPLを添加せず、電解質を表4に示したものに代えた以外は、実施例1に準じて織布状組成物を作成した。なお、各比較例において用いた2種類の電解質は、セルロースに対してそれぞれ0.1%ずつ添加した。
【0108】
【表4】
Figure 0004538943
【0109】
比較例40
電解質を添加せず、EPLをセルロースに対して0.1%となるように該レーヨンビスコース液に添加した以外は実施例1に準じて織布状組成物を作成した。
【0110】
比較例41
EPLも電解質も添加しなかった以外は実施例1に準じて織布状組成物を作製した。
【0111】
2)抗菌性試験−I
実施例1〜39および比較例1〜41の各組成物について、後述の2−2)に記載の方法にて抗菌効果を測定した。その結果を表5に示した。
【0112】
2−1)試験菌液の調整
滅菌された普通ブイヨン培地に、滅菌したピペットで大腸菌(Escherichia coli、IFO12734)を、培地中の生菌数が5.0×105個/mLの濃度となるように調整し試験菌液▲1▼を得た。また、該滅菌したピペットで黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、IFO12732)を、培地中の生菌数が5.0×105個/mLの濃度となるように調整し試験菌液▲2▼を得た。
【0113】
2−2)抗菌性試験1
各組成物を0.2gずつ切り出し、各々30mL容のネジ蓋つきバイアル瓶に入れ、これに前述の試験菌液▲1▼0.2mLを均一に接種し、36±1℃の条件で18時間培養を行った。培養終了後、滅菌生理食塩水(pH7.4)を20mL加えてよく振り、得られた試験菌抽出液1mL中の生菌数を標準寒天培地法により測定した。試験終了後、下記計算式により増減値差を算出した。
抗菌無加工試料
[A]:接種直後の生菌数
[B]:定時間培養操作後の生菌数
抗菌加工試料
[C]:定時間培養操作後の生菌数
増減値差 = Log10(B/A) − Log10(C/A)
【0114】
【表5】
Figure 0004538943
【0115】
2−3)抗菌性試験2
抗菌性試験2
試験菌液▲1▼を試験菌液▲2▼に代えた以外は、前述の2−2)抗菌性試験1の方法に準じて実施例1〜39および比較例1〜41の各組成物の抗菌効果を測定した。その結果を表6に示した。
【0116】
【表6】
Figure 0004538943
【0117】
表5および表6から明らかなように、本発明の実施例1〜39のEPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物は、比較例1〜39の電解質とセルロースを含む織布状組成物、比較例40のEPLとセルロースを含む織布状組成物、および比較例41のセルロースのみの織布状組成物と比較して、大腸菌および黄色ブドウ球菌に対して高い抗菌効果を示した。
【0118】
3)組成物の作成(実施例40〜78、比較例42〜82)
実施例40〜65
精製水100重量部に対してEPLを0.1重量部、表7に示した酸または塩を0.2重量部の割合で溶解させた水溶液2gを、比較例41で作製したセルロース織布状組成物2gに均一に付着させたのち、内部温度100℃のオーブンを用いて15分間乾燥処理を行ない、EPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物を作製した。
【0119】
【表7】
Figure 0004538943
【0120】
実施例66〜78
電解質を表8に示した電解質に代えた以外は実施例40に準じてEPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物を作製した。なお、各実施例において用いた2種類の電解質は、精製水100重量部に対してそれぞれ0.1重量部の割合で溶解させた。
【0121】
【表8】
Figure 0004538943
【0122】
比較例42〜67
EPLを該精製水に添加せず、電解質を表9に示した電解質に代えた以外は実施例40に準じてEPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物を作製した。
【0123】
【表9】
Figure 0004538943
【0124】
比較例68〜80
EPLを該精製水に添加せず、電解質を表10に示した電解質に代えた以外は実施例40に準じてEPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物を作製した。なお、各実施例において用いた2種類の電解質は、精製水100重量部に対してそれぞれ0.1重量部の割合で溶解させた。
【0125】
【表10】
Figure 0004538943
【0126】
比較例81
電解水を該精製水に添加しなかった以外は実施例40に準じてEPLとセルロースを含む織布状組成物を作製した。
【0127】
比較例82
EPLと電解水とを該精製水に添加しなかった以外は実施例40に準じてセルロースのみの織布状組成物を作製した。
【0128】
4)抗菌性試験−II
4−1)抗菌性試験3
実施例40〜78および比較例42〜82の各組成物について、前述の2−2)抗菌試験1に準じて抗菌性試験を実施した。結果を表11に示した。
【0129】
【表11】
Figure 0004538943
【0130】
4−2)抗菌性試験4
実施例40〜78および比較例42〜82の各組成物について、前述の2−3)抗菌性試験2に準じて抗菌性試験を実施した。結果を表12に示した。
【0131】
【表12】
Figure 0004538943
【0132】
表11〜12から明らかなように、本発明の実施例40〜78のEPLと電解質とセルロースを含む織布状組成物は、比較例42〜80の電解質とセルロースを含む織布状組成物、比較例81のEPLとセルロースを含む織布状組成物、および比較例82のセルロースのみの組成物と比較して、大腸菌および黄色ブドウ球菌に対して高い抗菌効果を示した。
【0133】
【発明の効果】
本発明の組成物並びに本発明の樹脂組成物は、界面活性剤を用いることなく十分な抗菌効果を有する。さらに、該組成物並びに該樹脂組成物は、フィルム、シート、繊維、紙、塗料、接着剤、粘着剤、化粧料、または食品に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 綿、麻、パルプ、紙、木、キュプラ、レーヨン、アセテート、ベンベルグ、セロファン、セルロイド、セルロースプロピオネート、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース(物質A)、ε−ポリリジンおよび/またはその塩(物質B)、および電解質(物質C)を含有する組成物であって、物質Aの含有割合が当該組成物に対して0.001〜99.9998重量%の範囲であり、物質Bの含有割合が当該組成物に対して0.0001〜70重量%の範囲であり、物質Cの含有量が物質Aが有する陰イオンの1〜1000倍当量の陽イオンを有する量である組成物。
  2. 電解質が酸および塩から選ばれた1種以上である請求項1または3記載の組成物。
  3. 酸が、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、プロピオン酸およびマレイン酸から選ばれた1種以上である請求項2記載の組成物。
  4. 塩が、塩酸金属塩、リン酸金属塩、酢酸金属塩、乳酸金属塩、コハク酸金属塩、酒石酸金属塩、クエン酸金属塩、リンゴ酸金属塩、フマル酸金属塩、アジピン酸金属塩、グルコン酸金属塩、プロピオン酸金属塩およびマレイン酸金属塩から選ばれた1種以上である請求項2記載の組成物。
  5. 電解質がpH緩衝能を有する物質である請求項1記載の組成物。
  6. pH緩衝能を有する物質が、少なくとも請求項5記載の酸と請求項6記載の塩とを含有する緩衝液である請求項1または3記載の組成物。
  7. 粉末状である請求項1〜6の何れか1項記載の組成物。
  8. 物質Aがセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはセルロースプロピオネートである請求項1記載の組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか1項記載の組成物と樹脂とを含有する樹脂組成物。
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