JP3476896B2 - 抗菌性樹脂成形品およびその製造法 - Google Patents

抗菌性樹脂成形品およびその製造法

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JP3476896B2 JP5488594A JP5488594A JP3476896B2 JP 3476896 B2 JP3476896 B2 JP 3476896B2 JP 5488594 A JP5488594 A JP 5488594A JP 5488594 A JP5488594 A JP 5488594A JP 3476896 B2 JP3476896 B2 JP 3476896B2
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勝博 城野
田中  敦
勲 安尾
靖和 浅野
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触媒化成工業株式会社
株式会社メイセイ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非繊維系の樹脂成形品
に抗菌性を付与した抗菌性樹脂成形品に関するものであ
る。また、そのような抗菌性樹脂成形品を製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不特定多数の人が触れる使い方をする樹
脂成形品に抗菌性を付与することができれば、衛生性の
点で好ましいものとなる。樹脂成形品に抗菌性を付与す
る方法として、抗菌剤を樹脂中に配合して成形する方
法、抗菌剤を配合した樹脂組成物を樹脂成形品の表面に
コーティングする方法などが知られている。この場合の
抗菌剤としては、有機系抗菌剤よりも無機系抗菌剤の方
が、安全性、持続性、抗菌スペクトル巾などの点で有利
である。
【0003】特開平2−255844号公報には、抗菌
性金属イオンを保持しているゼオライトおよび塩基性金
属化合物を含有してなる樹脂組成物について開示があ
る。実施例には、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの
樹脂に上記の抗菌剤を配合して射出成形した例が示され
ている。
【0004】特開平3−84066号公報には、抗菌性
金属またはその酸化物を担持した無機系または有機系複
合粒子を樹脂中に含有させた樹脂組成物につき開示があ
り、成形品の用途についても言及がある。
【0005】特開平1−313531号公報には、一価
の銀を含む水溶解性ガラスの粉粒状物を混合担持させた
合成樹脂成形体(風呂場用カーテン、浴槽等)が示され
ている。
【0006】実開平1−178876号公報には、抗菌
性ゼオライトを配合した熱可塑性樹脂よりなるシートに
熱可塑性樹脂シートを融着または接着したシートからな
る抗菌性素材で、食用ナイフの表面を構成した無菌性食
用ナイフが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】樹脂成形品に抗菌性を
付与する方法のうち、無機系抗菌剤を樹脂中に配合して
成形する方法は、樹脂内部に入った抗菌剤は全く効果が
出ないので多量に無機系抗菌剤を配合しなければなら
ず、コスト的にも成形品の機械的強度の点でも不利とな
る上、樹脂表面近傍の無機系抗菌剤も多くは樹脂被膜に
包まれるため充分な効果が期待できない。
【0008】樹脂成形品に抗菌性を付与する方法のう
ち、抗菌剤を配合した樹脂組成物を樹脂成形品の表面に
コーティングする方法は、表面近傍の無機系抗菌剤も多
くは樹脂被膜に包まれるため充分な効果が期待できない
上、樹脂成形品の表面状態が変化することを免かれな
い。またコーティング層が剥離するおそれもある。
【0009】そこで本発明者らは、樹脂成形品を樹脂成
分を含まない無機系抗菌剤の水性分散液と接触処理させ
ることにより、樹脂成形品本来の性質を変えることなく
その表面内部にまで無機系抗菌剤を浸透定着させること
につき検討を行ったが、一般の無機系抗菌剤は粒子径が
大きいため、それを微粉砕したものを用いても浸透定着
の程度が必ずしも充分ではなく、抗菌力の持続性に限界
があった。
【0010】本発明は、このような背景下において、特
定の無機系抗菌剤を非繊維系の樹脂成形品の表面から浸
透担持させることにより、表面の性質を変えることな
く、最小量の担持量でその成形品に耐久性ある優れた抗
菌性を付与する技術を提供することを目的とするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌性樹脂成形
品は、非繊維系の樹脂成形品の表面に、抗菌性金属成分
とそれ以外の無機酸化物とから構成された平均粒子径5
00nm以下の微粒子からなる抗菌性無機酸化物が、塗
膜を形成することなく担持されているものである。
【0012】 本発明の抗菌性樹脂成形品の製造法は、
非繊維系の樹脂成形品を、抗菌性金属成分とそれ以外の
無機酸化物とから構成された平均粒子径500nm以下
の微粒子が分散している抗菌性無機酸化物コロイド溶液
と接触処理した後、水洗および乾燥を行い、樹脂成形品
の表面に前記コロイド溶液の浸透により抗菌性無機酸化
物微粒子を塗膜を形成することなく担持させることを特
徴とするものである。この場合、樹脂成形品と抗菌性無
機酸化物コロイド溶液との接触処理を加温条件下、殊に
加温減圧条件下または加温加圧条件下に行うことが望ま
しい。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】非繊維系の樹脂成形品を構成する樹脂の種
類としては、たとえば、フェノール系樹脂、ユリア系樹
脂、メラミン系樹脂、アルキッド系樹脂、ジアリルフタ
レート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ケイ素系樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフ
ッ化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリ
酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ
ビニルホルマール系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポ
リエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリアセタール系樹脂、塩化ポリエーテル系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、
エチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース等
の熱可塑性樹脂;天然ゴム、イソプレン系ゴム、アクリ
ロニトリル系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴ
ム、ブチル系ゴム、スチレン系ゴム、クロロプレン系ゴ
ム、クロルヒドリン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、ウ
レタン系ゴム、多硫化ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素
系ゴム、フロロシリコーン系ゴム等のエラストマーない
しゴム;などがあげられる。
【0015】非繊維系の樹脂成形品としては、板、ロッ
ド、パイプ、チューブ、フィルム、シート、容器、発泡
体、その他各種の成形品または複合成形品があげられ
る。樹脂成形品の具体例としては、床材、壁材、便座、
浴槽、洗面台、流し台、テーブル、冷蔵庫、クーラー等
の室内装備品;まないた、樹脂製食器類、飲料品容器、
冷蔵庫内容器等の台所用品;櫛、ひげ剃り具、ブラシ、
イヤホーン等の身回品;玩具、ほ乳瓶、おしゃぶり等の
育児用品;バケツ、ホース、ごみ箱、塵取り器、一般容
器等の日用雑貨;ごみ袋、包装用フィルム等の包材;ハ
ンドル、シート等の自動車内装品;乗物の吊り革やその
把持部、待合室の椅子やベンチ、手擦り、各種押しボタ
ン、蛇口のコック、電話受話器等不特定多数の人が手に
触れるもの;病院内食器類、注射器、聴診器、手術用手
袋、点滴瓶、カテーテル、医療機器樹脂部品等の医療関
係用品;などがあげられる。
【0016】抗菌性無機酸化物としては、抗菌性金属成
分とそれ以外の無機酸化物とから構成された平均粒子径
500nm以下の微粒子が用いられる。この微粒子は、抗
菌性金属成分と無機酸化物との混合物または化合物の形
で形成されているか、抗菌性金属成分が無機酸化物微粒
子の表面に結合した状態にあるものである。特に、該微
粒子が抗菌性金属成分と無機酸化物との混合物または化
合物の形、すなわち、複合酸化物を形成していること
が、長期間にわたり抗菌効果を持続していく上で好まし
い。
【0017】ここで抗菌性金属としては、銀、銅、亜
鉛、スズ、鉛など通常知られている抗菌性金属成分を用
いることができ、特に、銀、銅および亜鉛から選ばれる
1種以上の抗菌性金属成分が、抗菌作用および人体に対
する安全性などの観点から好ましい。
【0018】抗菌性金属成分としての銅イオンは青色を
呈するが、銀イオンは本来無色である。しかしながら銀
イオンは、光化学反応および酸化反応により金属銀の凝
集体または酸化物となり、褐色または黒色に変色する。
これを防止するには、チタン、セリウム、亜鉛などを銀
成分と組み合わせて用いることが好ましい。
【0019】抗菌性金属成分以外の無機酸化物として
は、一般に知られているコロイド溶液を構成する無機酸
化物が用いられる。無機酸化物コロイド粒子としては、
単一または複合酸化物コロイド粒子やそれらの混合物が
用いられる。このうち単一の酸化物コロイド粒子として
は、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Fe23 、Sb2
5 、WO3 などがあげられ、複合酸化物コロイド粒子と
しては、SiO2 ・Al23 、SiO2 ・B23 、S
iO2 ・P25 、TiO2 ・CeO2 、TiO2 ・Z
rO2 、SiO2 ・ZrO2 、SnO2 ・Sb23 、S
iO2 ・TiO2・Al23 、SiO2 ・Al23 ・M
gO、SiO2 ・Al23 ・CaO、SiO2 ・TiO
2 ・Fe23 などがあげられる。
【0020】微粒子中における抗菌性金属成分の割合
は、酸化物換算で0.01〜15重量%、好ましくは 0.1〜
10重量%の範囲内にあることが望ましい。抗菌性金属
成分の割合が余りに少ないときは多量の微粒子を用いな
いと抗菌作用が充分には発現せず、一方その割合を余り
に多くしても抗菌作用は一定限度以上には上がらない
上、コスト的にも不利になり、また銀成分の場合にはそ
の付着量が過度に多いと変色しやすくなる。
【0021】抗菌性無機酸化物コロイド溶液における抗
菌性金属成分とそれ以外の無機酸化物とから構成された
微粒子は、コロイド粒子の次元の大きさのもので、その
平均粒子径は500nm以下、好ましくは300nm以下、
殊に250nm以下、なかんずく100nm以下であり、下
限は3nm程度である。平均粒子径が500nmを越える場
合は、粒子の透明性が悪くなって樹脂成形品の透明性に
悪影響を与えるおそれがあり、また樹脂成形品との結合
力が低下して脱落を起こしやすくなる傾向がある。
【0022】上述の抗菌性無機酸化物コロイド溶液とし
ては、本出願人の一人が先に提案している特願平5−1
98894号の記載のものが好適である。すなわち、コ
ロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量をA、該コロイド
溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌性金属成分の重
量をBとするとき、B/Aで表わされる抗菌性金属成分
の結合力指数(I)の値が 1.0×10-3以下、好ましく
は 5.0×10-4以下、さらに好ましくは 1.0×10-4
下であるようにする。抗菌性金属成分が2種以上である
場合には、それぞれの抗菌性金属成分の結合力指数
(I)が 1.0×10 -3以下であることを要する。
【0023】ここで結合力指数(I)は次の方法により
求める。すなわち、抗菌性無機酸化物コロイド溶液中の
抗菌性金属成分の重量をプラズマ発光分光分析装置によ
り金属原子を定量して求め、ついで所定量の抗菌性無機
酸化物コロイド溶液を回転数45000rpm の超遠心分
離機にて1時間処理して固形分と溶液とに分離し、この
分離された溶液中に含まれる抗菌性金属成分の金属原子
をプラズマ発光分光分析装置で定量して、遊離した抗菌
性金属成分の重量とする。
【0024】結合力指数(I)の値が 1.0×10-3より
も大きい場合には、抗菌性金属成分の無機酸化物コロイ
ド粒子への結合力が弱いため、抗菌性無機酸化物コロイ
ド溶液の溶液中に抗菌性金属成分が溶出しやすく、該微
粒子を樹脂成形品に付着ないし浸透定着させたときに抗
菌効果の持続性に劣り、また抗菌性金属成分として銀を
用いた場合には変色の原因となるおそれがある。
【0025】抗菌性無機酸化物コロイド溶液の中でも、
微粒子が抗菌性金属成分とそれ以外の無機酸化物との複
合酸化物から構成されるものは、上記結合力指数(I)
の値が小さいので特に好適である。
【0026】抗菌性金属成分とそれ以外の無機酸化物と
から構成された微粒子が分散している抗菌性無機酸化物
コロイド溶液は、たとえば、特開平5−132309号
公報に記載された複合酸化物コロイド溶液の製造方法に
準じて調製することができる。すなわち、アルカリ金
属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩と、アルカ
リ可溶の無機化合物と、抗菌性金属成分の水溶液とを、
pH10以上のアルカリ水溶液中に同時に添加し、抗菌
性金属成分と複合酸化物を形成した無機酸化物コロイド
粒子を生成させる。
【0027】また、特開昭63−270620号公報に
記載された製造方法に準じて調製することもできる。す
なわち、含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を
加えて得られるチタン酸水溶液と抗菌性金属成分の水溶
液とを、必要に応じてケイ素化合物またはジルコニウム
化合物等の存在下で加熱処理して、抗菌性金属成分とそ
れ以外の無機酸化物とから構成される複合無機酸化物微
粒子が分散したコロイド溶液を調製する。
【0028】微粒子の懸濁安定性を高めるため、非イオ
ン系、カチオン系、アニオン系、など各種の界面活性剤
を添加したり、分散安定剤として各種保護コロイドや分
散助剤を添加したりすることも可能であるが、これらの
添加剤を使用しなくても安定なコロイドを得ることがで
きるので、できるだけこれらの添加剤を使用しない方が
望ましい。
【0029】上記方法で得られた抗菌性無機酸化物コロ
イド溶液の分散媒である水を公知の方法により有機溶媒
と置換して、有機溶媒を分散媒とする抗菌性無機酸化物
コロイド溶液とすることもできる。
【0030】抗菌性無機酸化物コロイド溶液の濃度は、
通常使用に適したコロイド溶液の濃度に調節可能である
が、コロイド溶液の安定性から言えば、酸化物として1
〜10重量%の範囲あるいはその範囲の前後とすること
が好ましい。そのようなコロイド溶液は、限外ろ過膜な
どを用いる公知の方法により所望の濃度に調整される。
【0031】非繊維系の樹脂成形品を抗菌性無機酸化物
コロイド溶液と接触させるには含浸法が好適に採用さ
れ、その際には上記のコロイド溶液を加温しておくこと
が望ましい。ただし、過度の加温は樹脂成形品を劣化さ
せるおそれがあるので、通常は50〜100℃の範囲で
かつ対象とする樹脂成形品を劣化させない温度条件を採
用する。処理時間は5分〜60分程度で充分であるが、
それ以上の時間であってもよい。
【0032】このときの含浸処理操作は常圧で行っても
よいが、樹脂成形品の表面内部への浸透定着効果をより
確実なものとするため、含浸処理を減圧条件下あるいは
加圧条件下に行って、無機系抗菌剤を樹脂成形品の表面
および表面内部深くまで浸透させるようにすることが特
に望ましい。減圧条件としては、630Torr以下、好ま
しくは530Torr以下が適当であり、減圧度を余りに高
くすると水の飽和蒸気圧との関係で系の温度を高くする
ことができなくなる。減圧度の上限は20Torr程度ま
で、通常は100Torr程度までとなる。一方加圧条件と
しては、大気圧より 0.1気圧以上、好ましくは 0.2気圧
以上高い加圧条件とすることが好ましい。上限について
は、装置上や安全上の観点から、大気圧より2気圧程度
高い圧力にとどめるのが通常である。
【0033】 含浸操作完了後は、樹脂成形品を無機系
抗菌剤水性分散液より取り出し、水洗、乾燥を行う。こ
れにより、樹脂成形品の表面に抗菌性無機酸化物が担持
されると共に、過剰の微粒子が除去される。
【0034】
【作用】非繊維系の樹脂成形品は、圧縮成形品、射出成
形品、押出成形品のいずれにあっても、表面に数10nm
程度の微細孔あるいは非晶質部分が無数に存在してお
り、加温することにより隙間がさらに拡大する。従っ
て、抗菌性無機酸化物コロイド溶液と接触させれば、抗
菌性金属成分とそれ以外の無機酸化物とから構成された
コロイド次元の大きさの微粒子の一部がその隙間に浸透
すると共に、その隙間以外の表面にも付着する。加温減
圧条件下または加温加圧条件下に接触処理を行うとき
は、その隙間に対する深部までの浸透が加速される。そ
して一旦隙間に入った微粒子あるいは表面に付着した微
粒子は、アンカー効果でそこに閉じ込められると共に、
付着力が強いのでそこに定着し、容易には脱落しない。
樹脂成形品を水と接触するような用途に用いても、微粒
子の脱落速度は極めて遅いので、長期間にわたり抗菌効
果は失われない。
【0035】 そして抗菌性無機酸化物が担持された
脂成形品は、無処理の樹脂成形品に比し、その外観、感
触、寸法、機械的強度、色や透明性などが何ら変更され
るものではない。
【0036】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「%」とあるのは重量%である。
【0037】〈抗菌性無機酸化物コロイド溶液または無
機抗菌剤の製造〉 製造例1(実施例で用いる抗菌性無機酸化物コロイド溶
液の調製) 硫酸チタンを純水に溶解し、TiO2 として 1.0%を含
む水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら15%濃度
のアンモニア水を徐々に添加して白色のスラリーを得、
ついでこのスラリーをろ過および洗浄して含水チタン酸
のケーキを得た。このケーキ31.4gに水溶液濃度 1.0%
になるように純水を加えて稀釈し、さらに33%濃度の
過酸化水素水 219.8gを加えた後、80℃で14時間加
熱して過酸化水素を加熱分解させ、TiO2 として 1.0
%の溶液3136gを得た。このチタン酸溶液は黄褐色
透明で、pHは 8.2であった。
【0038】ついで、15%濃度のアンモニア水21.3g
を純水 618.1gで稀釈したアンモニア水中で酸化銀0.68
gを溶解して、銀のアンミン錯塩水溶液とし、この水溶
液に炭酸ジルコニウムアンモニウム15.4gを純水 169.9
gに溶解したものを添加した。この混合水溶液を上記の
チタン酸水溶液に加え、次に20%シリカゾル38.7gを
加えた後、150℃で48時間加熱した。この溶液はは
じめは黄褐色液であったが、48時間後に淡乳白色透明
なコロイド溶液となった。
【0039】この複合酸化物コロイド溶液は、酸化物換
算で 1.5%の銀成分を含み、pHは7.5で、固形分濃度
は 1.0%であり、コロイド粒子の平均粒子径は 5.0nmで
あった。またこのコロイド溶液の抗菌性金属成分の結合
力指数(I)の値は 0.6×10-4であった。
【0040】製造例2(比較例で用いるゼオライト系抗
菌剤の調製〉 Na−Y型ゼオライトを水に懸濁して、濃度5%の懸濁
スラリー400gを調製した。ついでこの懸濁スラリー
を70℃に加温し、濃度5%のAgNO3 水溶液 9.2g
を添加し、90℃に加温して1時間放置することにより
銀のイオン交換を行った。このスラリーをろ過し、60
℃の温水で充分に水洗後、120℃で乾燥し、さらに5
50℃で1時間焼成して粉末状の抗菌剤を調製した。こ
の抗菌剤は、酸化物換算で 1.5%の銀成分を含み、平均
粒子径は 1.0μm であった。
【0041】〈抗菌性樹脂成形品の製造〉 実施例1 製造例1で得た濃度1%のコロイド溶液1000gを加
熱および減圧可能なステンレススチール製容器に入れた
後、100mm×100mm×3mmの大きさのポリプロピレ
ン成形片、ポリエチレン成形片、ABS樹脂成形片、ポ
リカーボネート成形片、ポリ塩化ビニル成形片、アクリ
ル樹脂(ポリメチルメタクリレート)成形片およびエポ
キシ樹脂成形片を投入し、系を60℃に加温してから、
約350Torrの減圧条件下に20分間処理を行った。処
理終了後は系を常圧に戻して成形片を取り出し、水洗、
乾燥した。
【0042】実施例2 製造例1で得た濃度1%のコロイド溶液1000gを加
熱および加圧可能なステンレススチール製耐圧容器に入
れた後、実施例1の場合と同じ成形片を投入し、系を6
0℃に加温してから、大気圧より約1気圧高い加圧条件
下に20分間処理を行った。処理終了後は系を常圧に戻
して成形片を取り出し、水洗、乾燥した。
【0043】実施例3 製造例1で得た濃度1%のコロイド溶液1000gを加
熱可能なステンレススチール製容器に入れた後、実施例
1の場合と同じ成形片を投入し、系を60℃に加温して
から、常圧で30分間処理を行った。処理終了後に成形
片を取り出し、水洗、乾燥した。
【0044】比較例1 製造例2で得たゼオライト系抗菌剤10gを純水100
0gに添加して濃度1%のスラリーを調製した。このス
ラリーを実施例1の濃度1%のコロイド溶液に代えて用
いたほかは実施例1と同じ条件で加温減圧下の処理を行
った。
【0045】比較例2 製造例2で得たゼオライト系抗菌剤10gを純水100
0gに添加して濃度1%のスラリーを調製した。このス
ラリーを実施例2の濃度1%のコロイド溶液に代えて用
いたほかは実施例2と同様じ条件で加温加圧下の処理を
行った。
【0046】比較例3 製造例2で得たゼオライト系抗菌剤10gを純水100
0gに添加して濃度1%のスラリーを調製した。このス
ラリーを実施例3の濃度1%のコロイド溶液に代えて用
いたほかは実施例3と同じ条件で加温常圧下の処理を行
った。
【0047】〈抗菌力試験〉実施例1〜3および比較例
1〜3で得た抗菌性樹脂成形品の抗菌性を評価するた
め、処理後の成形片を切断して30mm×30mm×3mmの
試料片を作製し、その試料片につき、流水下に20分間
浸漬してから取り出し、水を拭って30分間自然乾燥す
る操作を0回、100回または300回繰り返してか
ら、下記の条件で抗菌力試験を行った。結果を表1〜3
に示す。なお、コントロールとして抗菌処理を行わない
場合についても試験したが、その場合は全て菌が増殖し
た。
【0048】液体培養で28℃、24時間培養した大腸
菌(菌A)および黄色ブドウ球菌(菌B)を生理食塩水
中に懸濁させ、その菌懸濁液30μl を上記の試料片面
に滴下し、28℃で24時間放置後、生菌数を測定し
て、次式により死滅率を求めた。初期生菌数は 3.7×10
3 個/ml である。 死滅率(%) = 100×(初期生菌数−24時間後の生菌数)
/初期生菌数
【0049】
【表1】 菌死滅率 (%) 試料片 流水0回 流水 100回 流水 300回 菌A 菌B 菌A 菌B 菌A 菌B 実施例1 ポリプロピレン 100 100 100 100 100 100 ポリエチレン 100 100 100 100 100 100 ABS樹脂 100 100 100 100 100 100 ポリカーボネート 100 100 100 100 100 100 ポリ塩化ビニル 96.1 98.3 95.8 97.7 95.4 97.6 アクリル樹脂 99.8 99.9 98.4 99.2 98.0 98.5 エポキシ樹脂 100 100 100 100 100 100 比較例1 ポリプロピレン 79.5 80.2 50.3 57.4 31.1 33.8 ポリエチレン 80.4 84.1 55.3 56.5 33.7 35.2 ABS樹脂 88.7 89.0 65.4 68.3 44.6 46.9 ポリカーボネート 85.0 87.2 64.5 66.7 45.2 47.1 ポリ塩化ビニル 66.8 69.4 44.7 46.3 24.4 27.5 アクリル樹脂 75.2 78.3 53.1 55.2 25.3 28.6 エポキシ樹脂 81.3 85.7 60.2 63.1 42.8 45.3
【0050】
【表2】 菌死滅率 (%) 試料片 流水0回 流水 100回 流水 300回 菌A 菌B 菌A 菌B 菌A 菌B 実施例2 ポリプロピレン 100 100 100 100 100 100 ポリエチレン 100 100 100 100 100 100 ABS樹脂 100 100 100 100 100 100 ポリカーボネート 100 100 100 100 100 100 ポリ塩化ビニル 97.4 98.8 96.5 97.3 96.1 98.2 アクリル樹脂 99.5 99.7 99.1 99.6 98.7 98.9 エポキシ樹脂 100 100 100 100 100 100 比較例2 ポリプロピレン 78.4 81.5 52.1 56.7 32.6 37.4 ポリエチレン 80.0 85.7 54.3 57.4 34.5 36.6 ABS樹脂 89.1 88.5 66.2 67.8 45.9 47.2 ポリカーボネート 85.3 88.2 65.5 67.2 46.1 48.7 ポリ塩化ビニル 66.3 70.7 45.4 47.3 26.7 28.2 アクリル樹脂 73.6 77.1 54.7 53.6 24.4 25.3 エポキシ樹脂 84.7 86.4 63.8 64.9 44.7 46.5
【0051】
【表3】 菌死滅率 (%) 試料片 流水0回 流水 100回 流水 300回 菌A 菌B 菌A 菌B 菌A 菌B 実施例3 ポリプロピレン 99.8 100 98.9 99.5 98.0 99.3 ポリエチレン 100 100 100 100 100 100 ABS樹脂 100 100 100 100 100 100 ポリカーボネート 100 100 100 100 99.2 99.7 ポリ塩化ビニル 98.3 98.5 97.4 98.0 96.5 97.8 アクリル樹脂 98.6 98.4 98.3 99.2 98.1 99.0 エポキシ樹脂 100 100 100 100 100 100 比較例3 ポリプロピレン 65.4 70.2 48.3 50.5 25.9 30.3 ポリエチレン 72.6 76.4 50.7 53.8 26.4 26.7 ABS樹脂 80.1 83.3 62.5 64.9 35.8 38.6 ポリカーボネート 76.5 75.1 57.5 60.3 32.6 36.9 ポリ塩化ビニル 55.4 61.5 36.8 41.2 19.5 23.4 アクリル樹脂 64.7 68.6 45.6 47.1 20.7 23.8 エポキシ樹脂 77.3 79.5 56.4 58.4 30.3 34.2
【0052】実施例1〜3においては、水流浸漬−乾燥
を繰り返しても依然として抗菌力が持続している。この
ことから、本発明にあっては抗菌力およびその耐久性が
優れており、時折または頻繁に水で洗浄するような用
途、水と接触するような使い方をする用途、屋外で使用
する用途の如き過酷な使い方をする用途でも、抗菌性能
が維持されることがわかる。
【0053】なお、比較例1〜3においては、処理終了
後の成形片を水洗しても成形片上にゼオライト粉末が白
く残る傾向があった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、抗菌性金属成分とそれ
以外の無機酸化物とから構成されるコロイド次元の大き
さの微粒子からなる抗菌性無機酸化物が、該コロイド溶
液の浸透により塗膜を形成することなく非繊維系樹脂成
形品の表面または表面内部にのみ強固に担持されるの
で、最小量の担持量でその成形品に耐久性ある優れた抗
菌性を付与することができ、しかもその際に樹脂成形品
表面の性質や該成形品の色または透明性、強度、外観、
感触などを変えることがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安尾 勲 兵庫県川西市萩原台西1丁目334番地 (72)発明者 浅野 靖和 愛知県春日井市林島町131番地 (56)参考文献 特開 平4−21615(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 C08L 1/00 - 101/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非繊維系の樹脂成形品の表面に、抗菌性金
    属成分とそれ以外の無機酸化物とから構成された平均粒
    子径500nm以下の微粒子からなる抗菌性無機酸化物
    、塗膜を形成することなく担持されている抗菌性樹脂
    成形品。
  2. 【請求項2】微粒子の平均粒子径が3〜250nmである
    請求項1記載の抗菌性樹脂成形品。
  3. 【請求項3】非繊維系の樹脂成形品を、抗菌性金属成分
    とそれ以外の無機酸化物とから構成された平均粒子径5
    00nm以下の微粒子が分散している抗菌性無機酸化物
    コロイド溶液と接触処理した後、水洗および乾燥を行
    い、樹脂成形品の表面に前記コロイド溶液の浸透により
    抗菌性無機酸化物微粒子を塗膜を形成することなく担持
    させることを特徴とする抗菌性樹脂成形品の製造法。
  4. 【請求項4】樹脂成形品と抗菌性無機酸化物コロイド溶
    液との接触処理を加温条件下に行うことを特徴とする請
    求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】樹脂成形品と抗菌性無機酸化物コロイド溶
    液との接触処理を減圧条件下に行うことを特徴とする請
    求項3または4記載の製造法。
  6. 【請求項6】樹脂成形品と抗菌性無機酸化物コロイド溶
    液との接触処理を加圧条件下に行うことを特徴とする請
    求項3または4記載の製造法。
  7. 【請求項7】微粒子の平均粒子径が3〜250nmである
    請求項3記載の製造法。
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