JP4538230B2 - インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高湿条件下における画像安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物及び該インク組成物を用いるインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字するために広く利用されている。
【0003】
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インク組成物としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造、取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
【0004】
これらのインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相や堅牢性とを両立させることは難しい。これまで、良好な色相を有し、堅牢な染料について検討を進め、インクジェット用染料として優れたものの開発を進めてきた。
【0005】
しかしながら、水溶性染料として用いられる化合物には必ず水溶性基が置換しており、インクの安定性を向上させるためにこの水溶性基の数を増加させると、形成された画像が高湿条件下でにじみやすいという問題があることがわかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高湿条件下で画像のにじみが起こりにくいインクジェット記録用インク組成物ならびに記録方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、下記手段によって達成された。
1.
少なくとも1種の下記一般式(1a)で表される染料を、水性媒体中に溶解及び/または分散してなるインクジェット記録用インク組成物において、該インク組成物中に、ベタイン系界面活性剤が少なくとも1種含有されていることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
【化6】
Figure 0004538230
一般式(1a)において
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
およびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
およびR は各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
は炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基を表す。Z は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Qは下記部分構造を表す。R 14 〜R 17 は各々独立に、R およびR と同義である。
【化7】
Figure 0004538230
2.
該染料が該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有するアゾ染料であることを特徴とする上記1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
3.
前記アゾ染料が、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料であることを特徴とする上記1または2のいずれかにのいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
4.
前記アゾ染料が、立体構造を有するアゾ染料であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
5.
記録画像の対オゾン褪色速度定数が5.0×10−2[hr−1]以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
6.
少なくとも1種の下記一般式(II)で表されるフタロシアニン染料を、水性媒体中に溶解及び/または分散してなるインクジェット記録用インク組成物において、該インク組成物中に、ベタイン系界面活性剤が少なくとも1種含有されていることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
【化8】
Figure 0004538230
上記一般式(II)中;
11 〜X 14 は、それぞれ独立に、−SO −Zを表す。
上記Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表すなお、Zが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
11 〜Y 18 は、水素原子を表す。
11 〜a 14 は、それぞれ独立に、1または2の整数である。
11 〜X 14 が複数個存在するとき、それらは、同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。
7.
該染料が該染料の酸化電位が1.0Vより貴である水溶性フタロシアニン染料であることを特徴とする上記6に記載のインクジェット記録用インク組成物。
8.
該インク(シアン)単色を用いて、ステータスAフィルターにおけるシアン反射濃度が0.9〜1.1となるように印字した単色部位において、5ppmのオゾン環境に24時間保存した際の色素残存率(褪色後の濃度/初期濃度×100)が60%以上あることを特徴とする上記6または7のいずれかに記載の記載のインクジェット記録用インク組成物。
9.
該インク(シアン)単色を用いて、ステータスAフィルターにおけるシアン反射濃度が0.9〜1.1となるように印字した単色部位において、5ppmのオゾン環境に24時間保存してオゾン褪色させた後、水中に流出するCuイオン量は全染料の20%以下であることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
10.
該フタロシアニン染料が該フタロシアニンのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有する水溶性染料であることを特徴とする上記6〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
11.
該フタロシアニン染料が無置換のフタロシアニンのスルホン化を経由しない方法で製造された水溶性フタロシアニン染料であることを特徴とする上記6〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物
12.
該ベタイン系界面活性剤がその分子中のカチオン性の部位が第4級窒素原子であり、アニオン性の部位がカルボキシル基またはスルホ基であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
13.
該ベタイン系界面活性剤がイミダゾールのN位にカルボキシアルキル基が置換した化合物(化合物A)、またはカルボキシル基もしくはスルホ基が置換したアルキルを有するアルキルアミン塩化合物(化合物B)であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
14.
該化合物Aが一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする上記13に記載のインクジェット記録用インク組成物。
【化9】
Figure 0004538230
式中、RS1、RS2はそれぞれアルキル基を表し、RS3はカルボキシル基またはスルホ基含有のアルキル基を表す。
15.
該化合物Bが一般式(B)で表される化合物であることを特徴とする上記13に記載のインクジェット記録用インク組成物。
【化10】
Figure 0004538230
式中、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。RS7はカルボキシル基またはスルホ基含有のアルキル基を表す。
16.
一般式(B)で表される化合物において、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基を表し、RS7はで表される基が−L−COOで表されることを特徴とする上記15に記載のインクジェット記録用インク組成物。但し、Lは連結基を表す。
17.
一般式(B)で表される化合物において、LはCH(RS8)を表し、RS8は水素原子または炭素数8以上のアルキル基を表し、RS4、RS5、RS6、RS8のいずれかが炭素数8以上のアルキル基であることを特徴とする上記16に記載のインクジェット記録用インク組成物。
18.
インク組成物中にノニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする上記1〜17のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
19.
インク組成物中に沸点150℃以上の有機溶媒を含有することを特徴とする上記1〜18のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
20.
上記1〜19いずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を少なくとも1種含むことを特徴とするインクジェット記録インクセット。
21.
上記1〜19のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物または上記20に記載のインクセットを用いて、インクジェットプリンタにより画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
22.
支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
該インク滴が、上記1〜19のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物からなることを特徴とする上記21に記載のインクジェット記録方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施形態について詳細に説明する。
尚、本発明は特許請求の範囲に記載の構成を有するが、その他についても参考のため記載した。
【0009】
以下、マゼンタ染料であるアゾ染料についてさらに詳細に説明する。
マゼンタ染料である前記のアゾ染料としては下記の特性を有することが好ましい。
【0010】
本発明のインクジェット記録用インクに用いるマゼンタインクは、水性媒体中にアゾ染料から選択されるマゼンタ染料を溶解または分散されており、該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有する染料であることを基本的特徴としている。
【0011】
このアゾ染料の好ましい染料の構造上の特徴の第一は、一般式(複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有する染料であることである。この場合、複素環Aと複素環Bは同一の構造であってもよい。複素環A及び複素環Bは、具体的には5員環、または6員環の複素環で、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピリドン、ピラジン、ピリミジン、ピリジンから選ばれた複素環である。具体的には特願2000−15853、特願2001−15614、特開平2002−309116号公報,特願2001−195014などに記載されている。
【0012】
さらに、前記アゾ染料の好ましい構造上の特徴の第2は、アゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料であることで、その具体例は2001−110457に記載されている。
【0013】
構造上の好ましい特徴の第三は、助色団が芳香族環アミノ基または複素環アミノ基の構造を有することであり、具体的にはアニリノ基、ヘテリルアミノ基である。
【0014】
好ましい構造上の特徴の第四は立体構造を有することである。具体的には特願2002−12015に記載されている。
【0015】
上記したアゾ染料の好ましい構造上の特徴の中でも、本発明のもくてきを達する上で最も好ましいのは、下記一般式(1)で表される染料である。
【0016】
【化11】
Figure 0004538230
【0017】
一般式(1)において、Aは5員複素環基を表す。
【0018】
およびBは各々=CR−、−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表す。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0019】
G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0020】
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
【0021】
一般式(1)の染料について更に詳細に説明する。
【0022】
一般式(1)において、Aは5員複素環基を表すが、複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0023】
上記一般式(a)から(f)において、RからR20は一般式(1)におけるG、R、Rと同じ置換基を表す。
【0024】
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
【0025】
【化12】
Figure 0004538230
【0026】
一般式(1)において、BおよびBは各々=CR−および−CR=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR−または−CR=を表すが、各々=CR−、−CR=を表すものがより好ましい。
【0027】
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0028】
、Rは好ましくは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げる事ができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。ただし、RおよびRが同時に水素原子であることはない。
【0029】
G、RおよびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0030】
Gとしては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アミノ基(好ましくは、アニリノ基)、アシルアミノ基が最も好ましい。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0031】
、Rとして好ましいものは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げる事ができる。該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
【0032】
とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
【0033】
Aが置換基を有する場合、またはR、R、R、RまたはGの置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R、Rで挙げた置換基を挙げる事ができる。
【0034】
本発明の染料が水溶性染料である場合には、A、R、R、R、R、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
【0035】
本明細書において使用される用語(置換基)について説明する。これら用語は一般式(1)及び後述の一般式(1a)における異なる符号間であっても共通である。
【0036】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0037】
脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。本明細書で、「置換アルキル基」等に用いる「置換」とは、「アルキル基」等に存在する水素原子が上記G、R、Rで挙げた置換基等で置換されていることを示す。
【0038】
脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0039】
芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
【0040】
芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
【0041】
複素環基には、置換複素環基が含まれる。複素環基は、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0042】
カルバモイル基には、置換カルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0043】
アルコキシカルボニル基には、置換アルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0044】
アリールオキシカルボニル基には、置換アリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0045】
複素環オキシカルボニル基には、置換複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
【0046】
アシル基には、置換アシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0047】
アルコキシ基には、置換アルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0048】
アリールオキシ基には、置換アリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0049】
複素環オキシ基には、置換複素環オキシ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0050】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0051】
アシルオキシ基には、置換アシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0052】
カルバモイルオキシ基には、置換カルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0053】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換アルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0054】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換アリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0055】
アミノ基には、置換アミノ基が含まれる。該置換基としてはアルキル基、アリール基または複素環基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基には、置換アルキルアミノ基が含まれる。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
【0056】
アリールアミノ基には、置換アリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
【0057】
複素環アミノ基には、置換複素環アミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
【0058】
アシルアミノ基には、置換アシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0059】
ウレイド基には、置換ウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0060】
スルファモイルアミノ基には、置換スルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0061】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換アルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0062】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換アリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0063】
アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換アルキルスルホニルアミノ基及び置換アリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0064】
複素環スルホニルアミノ基には、置換複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チエニルスルホニルアミノ基、3−ピリジルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0065】
アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基には、置換アルキルチオ基、置換アリールチオ基及び置換複素環チオ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0066】
アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基には、置換アルキルスルホニル基および置換アリールスルホニル基が含まれる。アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
【0067】
複素環スルホニル基には、置換複素環スルホニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニル基の例には、2−チエニルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基が含まれる。
【0068】
アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基には、置換アルキルスルフィニル基および置換アリールスルフィニル基が含まれる。アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
【0069】
複素環スルフィニル基には、置換複素環スルフィニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジルスルフィニル基が含まれる。
【0070】
スルファモイル基には、置換スルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0071】
一般式(1)の中でも、特に好ましい構造は、下記一般式(1a)で表されるものである。
【0072】
【化13】
Figure 0004538230
【0073】
式中、R、R、RおよびRは一般式(1)と同義である。
【0074】
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
【0075】
はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Zは σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0076】
は水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Zは好ましくは脂肪族基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0077】
Qは水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
【0078】
一般式(1a)で説明した各置換基の水素原子は置換されていても良い。該置換基としては、一般式(1)で説明した置換基、G、R、Rで例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0079】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’sHandbookof Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1a)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0080】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基)を例として挙げることができる。
【0081】
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
【0082】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−ベンゾイミダゾリル)を挙げることができる。
【0083】
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0084】
前記一般式(1)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、RおよびRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。たたし、RおよびRが共に水素原子であることは無い。
【0085】
Gとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
【0086】
Aのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
【0087】
およびBがそれぞれ=CR−、−CR=であり、R、Rは各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
【0088】
尚、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0089】
前記一般式(1)で表されるアゾ染料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0090】
【化14】
Figure 0004538230
【0091】
【化15】
Figure 0004538230
【0092】
【化16】
Figure 0004538230
【0093】
【化17】
Figure 0004538230
【0094】
【化18】
Figure 0004538230
【0095】
【化19】
Figure 0004538230
【0096】
【化20】
Figure 0004538230
【0097】
【化21】
Figure 0004538230
【0098】
【化22】
Figure 0004538230
【0099】
【化23】
Figure 0004538230
【0100】
【化24】
Figure 0004538230
【0101】
【化25】
Figure 0004538230
【0102】
【化26】
Figure 0004538230
【0103】
本発明のインクジェット記録用インク(本発明のインクともいう)は、前記アゾ染料の少なくとも1種を、水性媒体中に溶解または分散してなり、アゾ染料を好ましくは、0.2〜20質量%含有し、より好ましくは、0.5〜15質量%含有する。また、その20℃における水への溶解度(又は安定状態での分散度)は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。
【0104】
本発明に用いられる上記アゾ基を有するマゼンタ染料は、染料の酸化電位がインクの水性媒体において1.0VvsSCEより貴、好ましくは1.1VvsSCEより貴、特に好ましくは1.2Vより貴である。電位を高める手段としては、前記した好ましい項zお芋要件カラの選択、すなわち、複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有する型の染料構造の選択、アゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料の選択、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料の選択、さらにはアゾ染料のα水素除去することである。とくに上記一般式(1)の染料が貴の電位を発現する。具体的には特願2001−254878に記載されている。
【0105】
アゾ染料の酸化電位は後記のフタロシアニン染料と同様に測定する。
【0106】
〔ここでいう酸化電位の測定法としては、染料を溶解した水溶液もしくは水混合溶媒系において参照電極としてSCE(標準飽和カロメル電極)を基準とする測定法で、作用極としてグラファイト電極又は白金電極を使用した直流ポーラログラフィー、滴下水銀電極によるポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリー法(CV)、回転リングディスク電極法、櫛形電極法等、種々の測定法が利用可能である。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6mol・dm−3溶解し、上記測定法を用いてSCE(標準飽和カロメル電極)に対する値として測定する。また用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
【0107】
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができ、かつ上記いずれの電位測定手段でも同じ測定値を得ることができる。〕
【0108】
酸化電位が1.0VvsSCEより貴のアゾ染料は、別の耐酸化性基準は、オゾンガスに対する強制褪色速度定数であり、好ましいアゾ染料は、強制褪色速度定数が5.0×10−2[hr−1]以下、好ましくは3.0×10−2[hr−1]、より好ましくは1.5×10−2[hr−1]以下であることがよい。
【0109】
オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該インクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[hour−1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。したがって、求められる褪色速度定数は当該インクによって印画された着色領域の褪色速度定数であるが、本明細書では、この値をインクの褪色速度定数として用いる。
【0110】
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印字したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
【0111】
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
【0112】
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
【0113】
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
【0114】
次にマゼンタインクの色相について述べる。マゼンタ用インクとしては、λmaxが500〜580nmであることが色相の点で優れており、さらに最大吸収波長の長波側と短波側の半値幅が小さい、すなわちシャープな吸収であることが好ましい。具体的には特開平2002−309133号公報に記載されている。またα位にメチル基を導入することにより吸収のシャープ化を具現できる。
【0115】
以下、本発明のシアン染料であるフタロシアニン染料についてさらに詳細に説明する。
【0116】
本件出願人はインクジェット記録用インクについて鋭意、検討を行ない、その結果シアン染料に関して要求される特性としては1)色相が良好で色相変化(ソルバト)がない、2)耐性(光、オゾン、NOx、溶剤、油、水)に優れている、3)安全である(エームズ、発ガン性が無い、皮膚刺激が無い、易分解性)、4)低コストである,5)高εである、6)高溶解性である、7)メディアに対し強固着性を有することである。
【0117】
次にインク物性、コンクインク物性に要求されるのは1)温度、経時に係わらず均一である、2)汚れにくい、3)メディアへの浸透が良い、4)打滴サイズが均一である、5)紙を選ばない、6)調液しやすい、7)吐出ミスが無く、泡が立ちにくい、泡が消えやすい、8)安定吐出ができる。
【0118】
画像に関して要求されるのは1)滲み、変色、ピーデイングがなく綺麗である、2)耐傷性を有している、3)光沢が高く、均一である、4)画像保存性が良く、褪色バランスに優れている、5)乾きが速い、6)高速でプリントされる、7)褪色率に画像濃度依存性が無いことである。
【0119】
インクジェット記録用インクとして要求される物性は耐光性、オゾン耐性がともに優れ、色相・表面状態の変化が小さい(ブロンズが生じにくく、染料が析出しにくい)ことである。耐光性(OD1.0)についてはエプソンPM写真用受像紙上でのXe1.1W/m(間欠条件)でTACフィルターありの耐光性が3日間で残色率90%以上あることが好ましい。また14日間で色素残存率85%以上あることが好ましい。オゾン耐性についてはオゾン5ppm以下の条件でオゾン耐性(OD1.0)が1日間で色素残存率60%以上あることが好ましい。オゾン耐性が1日間で色素残存率70%以上あることがさらに好ましく、色素残存率80%以上あることが特に好ましい。また5日間で色素残存率25%以上あることが好ましく、色素残存率40%以上あることがさらに好ましく、色素残存率50%以上あることが特に好ましい。染料の塗布量を変えたサンプルをGTCで作成,染料中に含まれるCu元素量を蛍光X線で測定する。
【0120】
フタロシアニン染料の分解によってCuイオンはフタル酸塩として存在する。実際のプリントに存在するCuイオン換算量は10mg/m以下にすることが好ましい。プリントから流出するCu量はCuイオン換算量が20mg/m以下の一面シアンベタの画像を形成させ、この画像をオゾン褪色させた後、水中に流出するイオン量を分析した。なお褪色以前は全てのCu化合物は受像材料にトラップされている。水中に流出するイオン量は全染料の20%以下にすることが好ましい。
【0121】
上記のような物性を有するフタロシアニン染料は1)酸化電位を上げる。2)会合性を上げる。3)会合促進基を導入する。π−πスタッキング時の水素結合を強くする。4)α位へ置換機を入れない。即ちスタッキングしやすくすること等によって達成されることが本発明により見出された。
【0122】
本発明のインクジェット記録用インクにおいて使用する染料の特徴は従来のインクジェットインクに用いていたフタロシアニン染料が無置換のフタロシアニンのスルホン化から誘導されたものであるため、置換基の数と位置を特定できない混合物であるのに対して、置換基の数と位置を特定できるフタロシアニン染料を用いることである。構造上の特徴の第一は無置換のフタロシアニンのスルホン化を経由しない水溶性フタロシアニン染料であることである。構造上の特徴の第二はフタロシアニンのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有することであり、特に好ましくは全てのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有することである。具体的にはスルホニル基が置換したもの(特願2001−47013、特願2001−190214)、スルファモイル基全般が置換したもの(特願2001−24352、特願2001−189982)、ヘテロ環スルファモイル基が置換したもの(特願2001−96610、特願2001−190216)、ヘテロ環スルホニル基が置換したもの(特願2001−76689、特願2001−190215)、特定スルファモイル基が置換したもの(特願2001−57063)、カルボニル基が置換したもの(特願2002−012869)、溶解性、インク安定性向上、ブロンズ対策のため特定置換基を有するものが好ましく、具体的には不斉炭素を有する(特願2002−012868)、Li塩にしたもの(特願2002−012864)、が有用である。
【0123】
本発明のインクジェット記録用インクに使用する染料の物性上の特徴の第一は高い酸化電位を有することである。酸化電位は1.00Vより貴であることが好ましく、1.1Vより貴であることが更に好ましく、1.2Vより貴であることが最も好ましい。物性上の特徴の第二は強い会合性を有することである。具体的には油溶性染料の会合を規定したもの(特願2001−64413)、水溶性染料の会合を規定したもの(特願2001−117350)が挙げられる。
【0124】
会合性基の数と性能(インクの吸光度)との関係は会合性基の導入で希薄溶液中でも吸光度の低下やλmaxの短波化が起きやすくなる。また会合性基の数と性能(エプソンPM920受像紙における反射OD)との関係は会合性基の数が増えるほど、同じイオン強度での反射ODが低下する。即ち受像紙上で会合が進むと思われる。会合性基の数と性能(オゾン耐性・耐光性)との関係は会合性基の数が増えるほど、オゾン耐性が良化する。会合性基の数が多い染料は耐光性も良化する傾向がある。オゾン耐性を付与するためには前記の置換基X(X〜X等を表す)を付与することが必要である。反射ODと堅牢性の間はトレードオフの関係にあるので、会合を弱めずに耐光性を上げることが必要である。
【0125】
本発明の好ましいインク(組成物)の態様としては
1)エプソンPM写真用受像紙上でのXe 1.1W/m(間欠条件)でTACフィルターありの耐光性が3日間で残色率90%以上あるシアンインク。
【0126】
2)該インク(シアン)単色を用いて、ステータスAフィルターにおけるシアン反射濃度が0.9〜1.1となるように印字した単色部位において、5ppmのオゾン環境に24時間保存した際の色素残存率(褪色後の濃度/初期濃度×100)が60%(好ましくは80%)以上あるシアンインク。
【0127】
3)2の条件でオゾン褪色させた後、水中に流出するCuイオン量は全染料の20%以下であるシアンインク。
【0128】
4)特定受像紙に対するインク染み込み量が受像層の上部30%以上まで浸透可能なシアンインク。
【0129】
本発明のインクジェット記録用インク組成物に含有される染料は、フタロシアニン染料であり、その酸化電位が1.0より貴である水溶性染料が好ましく、さらにオゾンガスに対する堅牢性が上記の条件を満足するものがより好ましく、その中でも上記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料であることがさらに好ましい。
【0130】
フタロシアニン染料は堅牢な染料として知られていたが、インクジェット用記録色素として使用した場合、オゾンガスに対する堅牢性に劣ることが知られている。
【0131】
本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位を1.0V(vsSCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)よりも貴であるものがより好ましく、1.2V(vsSCE)より貴であるものが最も好ましい。
【0132】
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New Instrumental Methods inElectrochemistry”(1954年IntersciencePublishers社刊)、A.J.Bard他著“ElectrochemicalMethods”(1980年 JohnWiley &Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年技報堂出版社刊)などに記載されている。
【0133】
具体的には、酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムなどの支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルなどの溶媒中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6モル/リットルの濃度に溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
【0134】
なお、電位を一義的に規定するために、本発明では、0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中(染料の濃度は0.001moldm−3)で直流ポーラログラフィーにより測定した値(vsSCE)を染料の酸化電位とする。
【0135】
Eox(酸化電位)の値は試料から電極への電子の移りやすさを表わし、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより貴とすることができると言える。
【0136】
このような電位調節をする理由からも、上記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料を用いることは好ましい。
【0137】
前記の酸化電位を有するフタロシアニン染料は耐光性、オゾン耐性がともに優れたシアン染料であることは前記の耐光性、オゾン耐性の条件を満足することから、明らかである。
【0138】
以下、本発明で用いられるフタロシアニン染料(好ましくは一般式(I)で表されるフタロシアニン染料)について詳細に説明する。
【0139】
一般式(I)において、X、X、XおよびXは、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR1R2、スルホ基、−CONR1R2、または−COR1を表す。これらの置換基の中でも、−SO−Z、−SO−Z、−SONR1R2および−CONR1R2が好ましく、特に−SO−Zおよび−SONR1R2が好ましく、−SO−Zが最も好ましい。ここで、その置換基数を表すa1〜a4のいずれかが2以上の数を表す場合、X〜Xの内、複数存在するものは同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に上記のいずれかの基を表す。また、X、X、XおよびXは、それぞれ全く同じ置換基であってもよく、あるいは例えばX、X、XおよびXが全て−SO−Zであり、かつ各Zは異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基を、例えば−SO−Zと−SONR1R2を含んでいてもよい。
【0140】
上記Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基であり、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。
【0141】
上記R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。なかでも、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、および置換複素環基がさらに好ましい。但し、R1、R2がいずれも水素原子であることは好ましくない。
【0142】
R1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。なお、アルキル基の炭素原子数は置換基の炭素原子を含まず、他の基についても同様である。
【0143】
R1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、およびスルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。
【0144】
R1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルケニル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
【0145】
R1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアラルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
【0146】
R1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、染料の酸化電位を貴とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が特に好ましい。電子吸引性基としては、ハメットの置換基定数σp値が正のものが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
【0147】
R1、R2およびZが表す複素環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても良い。以下にR1、R2およびZで表される複素環基を、置換位置を省略して複素環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。なかでも、芳香族複素環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。それらは置換基を有していても良く、置換基の例としては、後述のZ、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。好ましい置換基は前記アリール基の置換基と、更に好ましい置換基は、前記アリール基の更に好ましい置換基とそれぞれ同じである。
【0148】
、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、またはスルホ基を挙げる事ができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
【0149】
なかでも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0150】
Z、R1、R2、Y、Y、YおよびYが更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げる置換基を更に有してもよい。
【0151】
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性およびインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。以上の各基の具体例:例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、複素環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、複素環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基および4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0152】
前記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
【0153】
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中少なくとも2個有することが好ましく、スルホ基および/またはカルボキシル基を少なくとも2個有することが特に好ましい。
【0154】
a1〜a4およびb1〜b4は、それぞれX〜XおよびY〜Yの置換基数を表す。a1〜a4は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表すが、全てが同時に0になることはない。b1〜b4は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。なお、a1〜a4およびb1〜b4のいずれかが2以上の整数であるときは、X〜XおよびY〜Yのいずれかは複数個存在することになり、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0155】
a1とb1は、a1+b1=4の関係を満たす。特に好ましいのは、a1が1または2を表し、b1が3または2を表す組み合わせであり、そのなかでも、a1が1を表し、b1が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0156】
a1とb1、a1とb1、a1とb1の各組み合わせにおいても、a1とb1の組み合わせと同様の関係であり、好ましい組み合わせも同様である。
【0157】
Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
【0158】
Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
【0159】
また、水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)等が好ましく挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。なかでも、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0160】
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時のMはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
【0161】
Lで表される2価の連結基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH−、およびこれらを組み合わせて形成される基が好ましい。
【0162】
前記一般式(I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0163】
前記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料のなかでも、前記一般式(II)で表される構造のフタロシアニン染料が更に好ましい。以下に本発明の一般式(II)で表されるフタロシアニン染料について詳しく述べる。
【0164】
前記一般式(II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は一般式(I)の中のX〜X、Y〜Yとそれぞれ同義であり、好ましい例も同じである。また、Mは一般式(I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0165】
一般式(II)中、a11〜a14は、それぞれ独立に、1または2の整数であり、好ましくは4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たし、特に好ましくはa11=a12=a13=a14=1のときである。
【0166】
11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であってもよく、あるいは例えばX、X、XおよびXが全て−SO−Zであり、かつ各Zは異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基を、例えば−SO−Zと−SONR1R2を含んでいてもよい。
【0167】
一般式(II)で表されるフタロシアニン染料のなかでも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
【0168】
11〜X14としては、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR1R2または−CONR1R2が好ましく、特に−SO−Zまたは−SONR1R2が好ましく、−SO−Zが最も好ましい。
【0169】
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、そのなかでも、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
【0170】
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、そのなかでも、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基がより好ましい。ただしR1、R2が共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
【0171】
11〜Y18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基であることが好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0172】
a11〜a14は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、全てが1であることが特に好ましい。
【0173】
は、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
【0174】
前記一般式(II)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
【0175】
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中に少なくとも2個有することが好ましく、スルホ基および/またはカルボキシル基を少なくとも2個有することが特に好ましい。
【0176】
前記一般式(II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0177】
本発明のフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
【0178】
ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook ofChemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
【0179】
前記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=1〜4)およびYm(m=1〜4)の導入位置および導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、従って一般式はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明では、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。すなわち前記一般式(I)および(II)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。一般式(II)中におけるY11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18を各々1、4、5、8、9、12、13、16位とする。
【0180】
(1)β−位置換型:2およびまたは3位、6およびまたは7位、10およびまたは11位、14およびまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
【0181】
(2)α−位置換型:1およびまたは4位、5およびまたは8位、9およびまたは12位、13およびまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
【0182】
(3)α,β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料
【0183】
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置が異なる)フタロシアニン染料の誘導体を説明する場合、上記β−位置換型、α−位置換型、α,β−位混合置換型を使用する。
【0184】
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−PropertiesandApplications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0185】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、国際公開00/17275号、同00/08103号、同00/08101号、同98/41853号、特開平10−36471号などに記載されているように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明の化合物を合成する時には、複素環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明の化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β−位混合置換型混合物として得られる。
【0186】
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
【0187】
本発明の一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)および/またはジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(III)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは下記式で表される4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と一般式(III)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
【0188】
【化27】
Figure 0004538230
【0189】
上記各式中、Xpは上記一般式(II)におけるX11、X12、X13またはX14に相当する。また、Yq、Yq’は、それぞれ上記一般式(II)におけるY11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17またはY18に相当する。化合物Rにおいて、M’はカチオンを表す。
【0190】
M’が表わすカチオンとしては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属イオン、またはトリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなどの有機カチオンなどが挙げられる。
【0191】
【化28】
Figure 0004538230
【0192】
一般式(III)中、Mは前記一般式(I)および(II)のMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価または2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
【0193】
即ち、上記の合成法に従えば、望みの置換基を特定の数だけ導入することができる。特に本発明のように酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は、一般式(I)のフタロシアニン化合物を合成するための既に述べた方法と比較して極めて優れたものである。
【0194】
かくして得られる前記一般式(II)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
【0195】
【化29】
Figure 0004538230
【0196】
【化30】
Figure 0004538230
【0197】
【化31】
Figure 0004538230
【0198】
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13およびX14が全く同じ置換基であるβ−位置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(II)の染料のなかでも、互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できるので、特に好ましい。
【0199】
本発明では、いずれの置換型においても酸化電位が1.0V(vsSCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出され、その効果の大きさは前記先行技術から全く予想することができないものであった。また、原因は詳細には不明であるが、なかでも、α,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が色相、光堅牢性、オゾンガス耐性等において明らかに優れている傾向にあった。
【0200】
前記一般式(I)および(II)で表されるフタロシアニン染料の具体例(例示化合物I−1〜I−12および101〜190)を下記に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0201】
【化32】
Figure 0004538230
【0202】
【化33】
Figure 0004538230
【0203】
【化34】
Figure 0004538230
【0204】
【化35】
Figure 0004538230
【0205】
【化36】
Figure 0004538230
【0206】
【化37】
Figure 0004538230
【0207】
【化38】
Figure 0004538230
【0208】
【化39】
Figure 0004538230
【0209】
【化40】
Figure 0004538230
【0210】
【化41】
Figure 0004538230
【0211】
【化42】
Figure 0004538230
【0212】
【化43】
Figure 0004538230
【0213】
【化44】
Figure 0004538230
【0214】
【化45】
Figure 0004538230
【0215】
【化46】
Figure 0004538230
【0216】
【化47】
Figure 0004538230
【0217】
【化48】
Figure 0004538230
【0218】
なお、化合物No.146〜190のM−Pc(Xp1)m(Xp2)nで示されるフタロシアニン化合物の構造は下記の通りである
【0219】
【化49】
Figure 0004538230
【0220】
前記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料は、前述した特許に従って合成することが可能である。また、一般式(II)で表されるフタロシアニン染料は、前記した合成方法の他に、特開2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号の各公報に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体および合成ルートについてはこれらに限定されるものでない。
【0221】
本発明のインクジェット記録用インク組成物(本発明では単に「インク」ともいう)は、前記フタロシアニン染料の少なくとも1種を、水性媒体中に溶解および/または分散してなり、染料を好ましくは、0.2〜20質量%含有し、より好ましくは、0.5〜15質量%含有する。
【0222】
本発明のインクには、前記アゾ染料、前記フタロシアニン染料とともにフルカラーの画像を得るインクセット用のため、また色調を整えるために、他の染料及び顔料を併用してもよい。併用することが出来る染料の例としては以下を挙げることが出来る。
【0223】
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0224】
マゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0225】
シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0226】
また、ポリアゾ染料などのブッラク染料も使用することが出来る。
【0227】
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等が挙げられる。好ましいものとしては、
【0228】
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
【0229】
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
【0230】
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
【0231】
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
【0232】
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
【0233】
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
【0234】
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
【0235】
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
【0236】
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
【0237】
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
【0238】
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
【0239】
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
【0240】
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
【0241】
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
【0242】
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
【0243】
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
【0244】
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
【0245】
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
【0246】
C.I.ベーシックブラック8、等が挙げられる。
【0247】
本発明に用いられる顔料(染料と言われるものも含まれる)としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(TheSociety of DyersandColourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments(VCHVerlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性または塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.PigmentYellow34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.PigmentRed 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue27,29,17:1など、黒系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I.PigmentWhite4,6,18,21などを挙げることができる。
【0248】
画像形成用に好ましい色調を持つ顔料としては、青ないしシアン顔料ではフタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料(たとえばC.I.PigmentBlue60など)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料が好ましく、特にフタロシアニン顔料(好ましい例としては、C.I.PigmentBlue15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6などの銅フタロシアニン、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、アルニウムフタロシアニンでは欧州特許860475号に記載の顔料、C.I.PigmentBlue16である無金属フタロシアニン、中心金属がZn、Ni、Tiであるフタロシアニンなど、中でも好ましいものはC.I.PigmentBlue15:3、同15:4、アルミニウムフタロシアニン)が最も好ましい。
【0249】
赤ないし紫色の顔料では、アゾ顔料(好ましい例としては、C.I.PigmentRed3、同5、同11、同22、同38、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49:1、同52:1、同53:1、同57:1、同63:2、同144、同146、同184)など、中でも好ましいものはC.I.PigmentRed57:1、同146、同184)、キナクリドン系顔料(好ましい例としてはC.I.PigmentRed122、同192、同202、同207、同209、C.I.PigmentViolet19、同42、なかでも好ましいものはC.I.PigmentRed122)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料(好ましい例としてはキサンテン系のC.I.PigmentRed81:1、C.I.Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39)、ジオキサジン系顔料(例えばC.I.PigmentViolet 23、同37)、ジケトピロロピロール系顔料(例えばC.I.PigmentRed254)、ペリレン顔料(例えばC.I.Pigment Violet 29)、アントラキノン系顔料(例えばC.I.Pigment Violet5:1、同31、同33)、チオインジゴ系(例えばC.I.Pigment Red 38、同88)が好ましく用いられる。
【0250】
黄色顔料としては、アゾ顔料(好ましい例としてはモノアゾ顔料系のC.I.PigmentYellow 1,3,74,98、ジスアゾ顔料系のC.I.PigmentYellow 12,13,14,16,17,83、総合アゾ系のC.I.Pigment Yellow93,94,95,128,155、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow120,151,154,156,180など、なかでも好ましいものはベンジジン系化合物を原料に使用しなもの)、イソインドリン・イソインドリノン系顔料(好ましい例としてはC.I.PigmentYellow109,110,137,139など)、キノフタロン顔料(好ましい例としてはC.I.PigmentYellow138など)、フラパントロン顔料(例えばC.I.PigmentYellow 24など)が好ましく用いられる。
【0251】
黒顔料としては、無機顔料(好ましくは例としてはカーボンブラック、マグネタイト)やアニリンブラックを好ましいものとして挙げることができる。
【0252】
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13,16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
【0253】
本発明に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート、ジアゾニウム塩から生じるラジカルなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献や特許に記載されている。
【0254】
▲1▼ 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
【0255】
▲2▼ 印刷インキ印刷(CMC出版1984)
【0256】
▲3▼ 最新顔料応用技術(CMC出版1986)
【0257】
▲4▼ 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
【0258】
▲5▼ 特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
【0259】
特に、上記▲4▼の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記▲5▼の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
【0260】
本発明においては、顔料はさらに分散剤を用いて分散されていてもよい。分散剤は、用いる顔料に合わせて公知の種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤を用いることが出来る。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許549486号等に記載のものを挙げることができる。また、分散剤を使用する際に分散剤の顔料への吸着を促進するためにシナジストと呼ばれる顔料誘導体を添加してもよい。
【0261】
本発明に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μの範囲であることが好ましく、0.05〜1μであることが更に好ましい。
【0262】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
【0263】
また、本発明で使用する染料は実質的に水溶性又は水分散性のものである。20℃における染料の水への溶解度が好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上である水溶性染料を用いることが好ましい。
【0264】
本発明のインクは、伝導度が0.01〜10S/mの範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は伝導度が0.05〜5S/mの範囲である。
【0265】
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
【0266】
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
【0267】
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
【0268】
また、後述される水性媒体の成分を選定することによっても伝導度を調整し得る。
【0269】
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、水性媒体中に前記の染料と本発明のベタイン系界面活性剤を溶解および/または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて界面活性剤、湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
【0270】
本発明のインク組成物は、インク組成物中にベタイン系界面活性剤を有するという特徴を有する。ここでは、ベタイン系界面活性剤は例えば油溶性染料の分散に用いたものをも含むこととする。
【0271】
ここで言うベタイン系界面活性剤とは、その分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有し、かつ界面活性を有する化合物を表す。カチオン性の部位としてはアミン性の窒素原子、ヘテロ芳香族環の窒素原子、炭素との結合を4つ有するホウ素原子、リン原子などを挙げることができる。この中で好ましくはアミン性の窒素原子もしくはヘテロ芳香族環(好ましくはイミダゾール)の窒素原子である。中でも特に第4級の窒素原子であることが好ましい。アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。界面活性剤分子全体としての荷電は、カチオン、アニオン、中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
【0272】
ベタイン系界面活性剤としては前記の化合物A及び化合物Bであり、さらに一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物が好ましい。
【0273】
一般式(B)において、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、ヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)。を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。環状構造の具体例としては、例えばピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。RS4、RS5、RS6として、特に好ましくはアルキル基である。
【0274】
S7はカルボキシル基またはスルホ基含有の置換基(好ましくは、カルボキシル基またはスルホ基含有の、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基)を表す。前記アルキル基、アリール基またはヘテロ環基はRS4、RS5、RS6で記載したものと同様なものが挙げられ、同様なものが好ましい。RS7は−L−COOで表される基であることが好ましい。Lは2価の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基を基本的な構成単位として含む2価の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。Lとしてはアルキレン基(メチレン、エチレンが好ましく、メチレンがより好ましい)が好ましい。
【0275】
S4、RS5、RS6もしくはLには種々の置換基が置換可能である。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、RS4、RS5、RS6もしくはLを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
【0276】
本発明の一般式(B)で表される化合物において、RS4、RS5、RS6およびLで表される基のいずれかに炭素数8以上の基を含有する場合が好ましい。中でもRS4、RS5、RS6に炭素数8以上の長鎖アルキル基が含有されるものが特に好ましい。LをCH(RS8)と表し、RS8は水素原子または炭素数8以上のアルキル基を表し、RS4、RS5、RS6、RS8のいずれかが炭素数8以上のアルキル基である場合がより好ましい。
【0277】
本発明の一般式(A)で表される化合物において、RS1、RS2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、RS3はカルボキシ基またはスルホ基含有のアルキル基を表す。
【0278】
S1、RS2で表されるアルキル基は上記のRS4、RS5、RS6で挙げられたと同様なものが適用される。
【0279】
S3は前記のRS7と同様なものが挙げられる。RS3はカルボキシアルキル基及びスルホアルキル基(該基のアルキル部分の炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。)である場合が好ましい。
【0280】
ベタイン系界面活性剤の好ましい添加量(染料の分散に用いた量をも含むこととする)は広い範囲を持つが、好ましくはインク組成物中の0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜15質量%であり、さらに好ましくは0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。
【0281】
以下にベタイン系界面活性剤の具体例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0282】
【化50】
Figure 0004538230
【0283】
【化51】
Figure 0004538230
【0284】
【化52】
Figure 0004538230
【0285】
【化53】
Figure 0004538230
【0286】
【化54】
Figure 0004538230
【0287】
【化55】
Figure 0004538230
また、本発明の界面活性剤以外にも別種の界面活性剤を併用することが可能である。この場合、特にノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0288】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0289】
ノニオン界面活性剤の含有量はインクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
【0290】
本発明において用いることができる水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0291】
本発明のインク組成物を調液する際には、水溶性インクの場合、まず水に溶解することが好ましい。そのあと、各種溶剤や添加物を添加し、溶解、混合して均一なインク液とする。
【0292】
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
【0293】
前記染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
【0294】
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
【0295】
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
【0296】
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
【0297】
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例及び/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
【0298】
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
【0299】
本発明では油溶性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0300】
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0301】
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、本発明に用いる染料が水溶性で、添加剤が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
【0302】
乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0303】
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO 、−COOを含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
【0304】
乳化分散により油溶性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒径で好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
【0305】
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
【0306】
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
【0307】
また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが分かった。これを防止するためには、インクにした時にインク1μl中で5μm以上の粒子を10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要である。
【0308】
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
【0309】
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
【0310】
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
【0311】
高圧ホモジナイザーは、米国特許4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.VGAULININC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEXINC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
【0312】
また、近年になって米国特許5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEEINTERNATIONALLTD.)があげられる。
【0313】
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に好ましくは180MPa以上である。
【0314】
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
【0315】
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
【0316】
本発明で得られたインクジェット記録用インク組成物には、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
【0317】
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0318】
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0319】
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0320】
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0321】
本発明に使用される防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
【0322】
尚、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
【0323】
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
【0324】
本発明のインクは、pH調整剤を用いてもよい。インクの溶液pHが4〜12の範囲が好ましい。中でも好ましい範囲は溶液pHが5〜10の範囲であり、特に好ましくは溶液pHが6〜9の範囲である。
【0325】
pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
【0326】
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
【0327】
本発明では前記した界面活性剤とは別に表面張力調整剤として、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0328】
本発明のインクの表面張力は、20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。
【0329】
本発明に用いられるインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましいので、粘度を調整する目的で、粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調整技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
【0330】
また本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるれるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0331】
次に、本発明のインクセットについて説明する。本発明のインクセットは、2色以上のインクからなるものである。特にフルカラーを実現するために、減色法における3原色のインクを少なくとも含有するインクセットが好ましい。また、文字画像の品質を向上させるために、さらに黒色インクが含まれていることが好ましい。
【0332】
この中でも、特に好ましくは、カラー画像の階調再現性や粒状性を向上させるために、カラーインクとして濃淡2色以上を併用することが好ましい。また、イエローについては、シアンもしくは黒を少量混ぜたダークイエローインクも好ましく使用することができる。
【0333】
これらのインクセットは、カートリッジ携帯で使用されるのが好ましい。インクカートリッジとしては、黒インクとカラーのセット、または各色すべてが独立したインクセットとしても使用可能である。
【0334】
本発明に用いられる記録材料(好ましくは記録紙及び記録フィルム)について説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
【0335】
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて本発明のインクの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
【0336】
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0337】
支持体上に設けられる受像層には、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが好ましい。これらの顔料は2種以上を併用してもよい。
【0338】
受像層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
【0339】
受像層は、顔料及び水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。
【0340】
受像層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
【0341】
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0342】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0343】
〔耐光性向上剤、耐ガス性向上剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物、チオ尿素化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、TEMPO化合物、ヒドラジン化合物、ヒドラジド化合物、アミジン化合物、ビニル基含有化合物、エステル化合物、アミド化合物、エーテル化合物、アルコール化合物、スルフィン酸化合物、糖類、水溶性還元性化合物、有機酸、無機酸、ヒドロキシ基含有有機酸、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ヘテロ環化合物、水溶性金属塩、有機金属化合物、金属錯体等があげられる。
【0344】
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものがあげられる。〕
【0345】
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0346】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。これらの界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
【0347】
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
【0348】
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁、特開平9−263036号、特開平10−119423号、特開2001−310547号に記載されている材料などを用いることが出来る。
【0349】
その他の受像層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0350】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
【0351】
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0352】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0353】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止できる。
【0354】
本発明のインクに適用されるインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
【0355】
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0356】
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
【0357】
ディスプレイ画像用材料としては、ポスター、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、商業宣伝用チラシ、包装紙、ラッピング材料、紙袋、ビニール袋、パッケージ材料、看板、交通機関(自動車、バス、電車など)の側面に描画や添付した画像、ロゴ入りの洋服、等各種の物を指す。本発明の染料をディスプレイ画像の形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0358】
室内装飾材料としては、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、照明器具の部材、家具の部材、床や天井のデザイン部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0359】
屋外装飾材料としては、壁材、ルーフィング材、看板、ガーデニング材料屋外装飾小物(置物や人形など)、屋外照明器具の部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像ののみならず、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0360】
以上のような用途において、パターンが形成されるメディアとしては、紙、繊維、布(不織布も含む)、プラスチック、金属、セラミックス等種々の物を挙げることができる。染色形態としては、媒染、捺染、もしくは反応性基を導入した反応性染料の形で色素を固定化することもできる。この中で、好ましくは媒染形態で染色されることが好ましい。
【0361】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0362】
(実施例1)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトマゼンタ用インク液LM−101を調製した。
【0363】
〔ライトマゼンタインクLM−101処方〕
(固形分)
本発明のマゼンタ色素(a−36) 7.5g/l
プロキセル 3.5g/l
【0364】
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB)130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW:ノニオン系界面活性剤)10g/l
【0365】
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液M−101を調製した。
【0366】
〔マゼンタインクM−101処方〕
(固形分)
本発明のマゼンタ色素(a−36) 23g/l
プロキセル 3.5g/l
【0367】
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/l
グリセリン 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/l
トリエタノールアミン 6.9g/l
サーフィノールSTG 10g/l
【0368】
LM−101とM−101に対して、下記の表のように添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLM−102〜108、M−102〜108をそれぞれ作製した。
【0369】
【表1】
Figure 0004538230
【0370】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−950Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
【0371】
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、A420枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
【0372】
2)画像保存性については、マゼンタのベタ画像印字サンプルを作成し、以下の評価を行った。
【0373】
▲1▼ 光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
【0374】
▲2▼熱堅牢性については、80℃、15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
【0375】
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0376】
3)高湿条件下での画像のにじみについては、マゼンタの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃、90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加がステータスAのマゼンタフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を下表に示す。
【0377】
【表2】
Figure 0004538230
【0378】
表の結果から、本発明のインク組成物を使用した系ではマゼンタにじみ(Mにじみ)の面で比較例に対して勝っていることがわかった。また、色素の堅牢性の面でEPSON社のインク(PM−950C純正インク)に比べて勝っていることがわかった。
【0379】
[実施例2]
<ライトシアンインクLC−101(比較例)の調製>
下記の成分に脱イオン水を加え1リットルとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトシアン用インク液(LC−101)を調製した。
【0380】
〔ライトシアンインクLC−101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素(例示化合物154) 17.5g/l
プロキセル 3.5g/l
【0381】
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/l
グリセリン 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/l
トリエタノールアミン 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW:ノニオン系界面活性剤)10g/l
【0382】
さらに上記処方でシアン色素(154)を68gに増量したシアン用インク液C−101を調製した。
【0383】
〔シアンインクC−101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素(例示化合物154) 68g/l
プロキセル 3.5g/l
【0384】
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/l
グリセリン 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/l
トリエタノールアミン 6.9g/l
サーフィノールSTG 10g/l
【0385】
上記のシアンインクLC−101とC−101に対して、下記の表のように添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLC−102〜108、C−102〜108をそれぞれ作製した。
【0386】
【表3】
Figure 0004538230
【0387】
上記の各調製したインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−950Cのインクを用いて、シアンの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、次に述べる方法でインクの吐出性と画像堅牢性等の評価を行った。
【0388】
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、A420枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
【0389】
2)画像保存性については、シアンのベタ画像印字サンプルを作成し、以下の評価を行った。
【0390】
▲1▼ 光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
【0391】
▲2▼熱堅牢性については、80℃、15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
【0392】
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0393】
3)高湿条件下での画像のにじみについては、シアンの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃、90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるシアン染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のシアン濃度増加がステータスAのシアンフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
【0394】
得られた結果を下表に示す。
【0395】
【表4】
Figure 0004538230
【0396】
表の結果から、本発明のインク組成物を使用した系ではシアンにじみ(Cにじみ)の面で比較例に対して勝っていることがわかった。また、色素の堅牢性の面でEPSON社のインク(PM−950C純正インク)に比べて勝っていることがわかった。
【0397】
(実施例3)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトマゼンタ用インク液LM−201を調製した。
【0398】
〔ライトマゼンタインクLM−201処方〕
(固形分)
マゼンタ色素(アゾ染料例示化合物a−36) 7.5g/liter
尿素 37g/liter
【0399】
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 140g/liter
グリセリン(GR) 120g/liter
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB)120g/liter
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/liter
サーフィノールSTG(SW) 10g/liter
【0400】
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液M−101を下記のように調製した。
【0401】
〔マゼンタインクM−201処方〕
(固形分)
マゼンタ色素(アゾ染料例示化合物a−36) 23g/liter
尿素 37g/liter
【0402】
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 140g/liter
グリセリン(GR) 120g/liter
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB)120g/liter
トリエタノールアミン 6.9g/liter
サーフィノールSTG 10g/liter
【0403】
LM−201とM−201に対して、下記の表の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLM−202〜208、M−202〜208をそれぞれ作製した。
【0404】
【表5】
Figure 0004538230
【0405】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−950Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、高湿条件下における画像堅牢性の評価を行った。
【0406】
(評価実験)
高湿条件下での画像のにじみ(マゼンタにじみ)については、マゼンタの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加がステータスAのマゼンタフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を下表に示す。
【0407】
【表6】
Figure 0004538230
【0408】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではマゼンタにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
【0409】
(実施例4)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトシアン用インク液(LC−201)を調製した。
【0410】
〔ライトシアンインクLC−201処方〕
(固形分)
シアン色素(フタロシアニン染料例示化合物154)17.5g/liter
プロキセル 3.5g/liter
【0411】
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/liter
グリセリン 130g/liter
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/liter
トリエタノールアミン 6.9g/liter
サーフィノールSTG(SW:ノニオン系界面活性剤)10g/liter さらに上記処方でシアン色素(フタロシアニン染料例示化合物154)を68gに増量したシアン用インク液C−201を下記のように調製した。
〔シアンインクC−201処方〕
【0412】
(固形分)
シアン色素(フタロシアニン染料例示化合物154)68g/liter
プロキセル 3.5g/liter
【0413】
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/liter
グリセリン 130g/liter
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/liter
トリエタノールアミン 6.9g/liter
サーフィノールSTG 10g/liter
【0414】
LC−201とC−201に対して、下記の表の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLC−202〜208、C−202〜208をそれぞれ作製した。
【0415】
【表7】
Figure 0004538230
【0416】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填し、実施例3と同様にしてシアンにじみについての評価を行った。
【0417】
得られた結果を下表に示す。
【0418】
【表8】
Figure 0004538230
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではシアンのにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
【0419】
【発明の効果】
一般式(1)の特定構造のアゾ染料とベタイン性界面活性剤とを含有する本発明のインク組成物は、吐出性、光、熱堅牢性及び酸化耐性に優れ、かつ高湿度条件下のマゼンタにじみの点で優れている。
【0420】
(産業上の利用可能性)
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれ、本発明のインクはこれらのいずれにも用いられる。

Claims (22)

  1. 少なくとも1種の下記一般式(1a)で表される染料を、水性媒体中に溶解及び/または分散してなるインクジェット記録用インク組成物において、該インク組成物中に、ベタイン系界面活性剤が少なくとも1種含有されていることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0004538230
    一般式(1a)において
    およびRは各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い
    およびRは各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていても良い。
    とR、あるいはRとRが結合して5〜6員環を形成しても良い。
    およびR は各々独立に水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
    は炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基を表す。Z は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Qは下記部分構造を表す。R 14 〜R 17 は各々独立に、R およびR と同義である。
    Figure 0004538230
  2. 該染料が該水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有するアゾ染料であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. 前記アゾ染料が、芳香族環アミノ基または複素環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 前記アゾ染料が、立体構造を有するアゾ染料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  5. 記録画像の対オゾン褪色速度定数が5.0×10−2[hr−1]以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  6. 少なくとも1種の下記一般式(II)で表されるフタロシアニン染料を、水性媒体中に溶解及び/または分散してなるインクジェット記録用インク組成物において、該インク組成物中に、ベタイン系界面活性剤が少なくとも1種含有されていることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0004538230
    上記一般式(II)中;
    11 〜X 14 は、それぞれ独立に、−SO −Zを表す。
    上記Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表すなお、Zが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
    11 〜Y 18 は、水素原子を表す。
    11 〜a 14 は、それぞれ独立に、1または2の整数である。
    11 〜X 14 が複数個存在するとき、それらは、同一でも異なっていてもよい。
    は、水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。
  7. 該染料が該染料の酸化電位が1.0Vより貴である水溶性フタロシアニン染料であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  8. 該インク(シアン)単色を用いて、ステータスAフィルターにおけるシアン反射濃度が0.9〜1.1となるように印字した単色部位において、5ppmのオゾン環境に24時間保存した際の色素残存率(褪色後の濃度/初期濃度×100)が60%以上あることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の記載のインクジェット記録用インク組成物。
  9. 該インク(シアン)単色を用いて、ステータスAフィルターにおけるシアン反射濃度が0.9〜1.1となるように印字した単色部位において、5ppmのオゾン環境に24時間保存してオゾン褪色させた後、水中に流出するCuイオン量は全染料の20%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  10. 該フタロシアニン染料が該フタロシアニンのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有する水溶性染料であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  11. 該フタロシアニン染料が無置換のフタロシアニンのスルホン化を経由しない方法で製造された水溶性フタロシアニン染料であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物
  12. 該ベタイン系界面活性剤がその分子中のカチオン性の部位が第4級窒素原子であり、アニオン性の部位がカルボキシル基またはスルホ基であることを特徴とする請求項1〜1のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  13. 該ベタイン系界面活性剤がイミダゾールのN位にカルボキシアルキル基が置換した化合物(化合物A)、またはカルボキシル基もしくはスルホ基が置換したアルキルを有するアルキルアミン塩化合物(化合物B)であることを特徴とする請求項1〜1のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  14. 該化合物Aが一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0004538230
    式中、RS1、RS2はそれぞれアルキル基を表し、RS3はカルボキシル基またはスルホ基含有のアルキル基を表す。
  15. 該化合物Bが一般式(B)で表される化合物であることを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0004538230
    式中、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。RS7はカルボキシル基またはスルホ基含有のアルキル基を表す。
  16. 一般式(B)で表される化合物において、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基を表し、RS7はで表される基が−L−COOで表されることを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録用インク組成物。但し、Lは連結基を表す。
  17. 一般式(B)で表される化合物において、LはCH(RS8)を表し、RS8は水素原子または炭素数8以上のアルキル基を表し、RS4、RS5、RS6、RS8のいずれかが炭素数8以上のアルキル基であることを特徴とする請求項16に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  18. インク組成物中にノニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜1のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  19. インク組成物中に沸点150℃以上の有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を少なくとも1種含むことを特徴とするインクジェット記録インクセット。
  21. 請求項1〜19のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物または請求項2に記載のインクセットを用いて、インクジェットプリンタにより画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  22. 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    該インク滴が、請求項1〜19のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物からなることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
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