JP4537939B2 - トラクタの操作装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走行用変速装置を操作する変速レバーを、回転操作自在な操縦ハンドルの横側方位置で揺動操作可能に設けたトラクタの操作装置に関する。
上記したトラクタとして、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、操向用のハンドル9(操縦ハンドルに相当)、主変速レバー13(変速レバーに相当)を設けてある。主変速レバー13は基部に二又部32を有し、二又部32は、変速用の操作軸33及び支持部材34の上端にピン35,36により枢支されている。操作軸33は、ハンドルポスト11に固定のボス部37により上下並びに回動自在に支持され、その上下動で選択動作、軸芯廻りの回動で変速動作を夫々行うように構成されており、この動作の組み合わせで主変速装置を操作できるようになっているものである。
また、トラクタにおいて、従来たとえば特許文献2に示されるものがあった。
特許文献2に示されるものは、パワーステアリング機構11の上部に支持ブラケット12が固定され、支持ブラケット12の横軸芯P1周りに二股状の支持部材13が揺動自在に支持され、支持部材13に円筒状のステアリングポスト14が固定され、ステアリングポスト14にステアリングホルダ15、ステアリング軸18を介して操縦ハンドル6が支持されている。固定レバー29がバネ35により固定位置に保持されると、天秤アーム32の係合部32aが係止部材33の係止部33aの一つに係合して、操縦ハンドル6及びステアリング軸18の上下角度が固定される。固定レバー29をバネ35に抗して解除位置に操作すると、天秤アーム32の係合部32aが係止部材33の係止部33aから離れ、操縦ハンドル6及びステアリング軸18の上下角度を変更することができるものである。
実開昭60−103026号公報(第3−5頁、第3図)
特開2000−247240号公報(段落〔0027〕、〔0028〕、図2−4)
上記したトラクタにおいて、操縦ハンドルや変速レバーを運転の際に操作しやすいように運転座席に寄せて配置すると、トラクタに対する乗り降りを行う際、操縦ハンドルや変速レバーが障害になりやすくなる。
特許文献2に示された技術を採用すると、運転の際、操縦ハンドルを後方側に角度調節することによって運転座席側に寄せて位置させることができ、乗り降りの際、操縦ハンドルを前方側に角度調節することによって運転座席から離して位置させることができる。この場合でも、変速レバーの操作位置によっては、変速レバーが乗り降り時の障害になりやすくなる。
本発明の目的は、運転の際、操縦ハンドルも変速レバーも極力操作しやすいものでありながら、乗り降りの際、操縦ハンドルも変速レバーも障害になりにくくすることができるトラクタの操作装置を提供することにある。
本第1発明にあっては、走行用変速装置を操作する変速レバーを、車体外壁体の上部に位置する運転パネルの上側で回転操作自在に装備されている操縦ハンドルの横側方位置で揺動操作可能に設けたトラクタの操作装置であって、
前記操縦ハンドルを、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内の上部箇所で、この空間内に固定配備されているハンドルポストのベース側部材に対して車体前後方向に取付け角調節自在に支持させ、
前記変速レバーの基部を、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内の上部箇所で、前記ハンドルポストのベース側部材に対する相対位置が固定された支持体に揺動自在に支持するとともに、この変速レバーの把持部を前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間の外側に延出し、
前記変速レバーの操作を前記走行用変速装置に伝える連動部材のうち、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内に配備される連動部材を、前記ハンドルポストの横側部に位置させて上下方向に配設し、
前記操縦ハンドルが最も車体前方側に移動した取付け角に調節され、かつ、前記変速レバーが中立位置に操作された状態において、前記操縦ハンドルのハンドル支軸の軸芯に沿う方向視で変速レバーがハンドル支軸と車体横方向に並んだ状態又はハンドル支軸よりも車体前方側に位置した状態で位置するように、前記中立位置を設定してある。
すなわち、操縦ハンドルは、車体後方側に角度調節されることにより、調節前よりも車体後方側に移動して運転座席に寄っていき、車体前方側に角度調節されることにより、調節前よりも車体前方側に移動して運転座席から離れていく。これにより、運転の際、操縦ハンドルを運転座席に寄せて位置させることができる。乗り降りの際、操縦ハンドルを運転座席から前方に離して位置させることができるのであり、最も車体前方側に角度調節することにより、運転座席から最も離して位置させることができる。
変速レバーの中立位置は、変速レバーを最も車体前方側に角度調節された操縦ハンドルのハンドル支軸と車体横方向に並んだ状態、又はハンドル支軸よりも車体前方側に位置した状態に位置させるものであり、かつ、走行用変速装置を中立状態に操作するものである。走行用変速装置は、乗り降り時に中立状態に操作しておくものであることにより、運転の際、走行用変速装置を伝動状態に操作するように変速レバーを中立位置よりも車体後方側に操作することがあるように変速操作位置を設定しても、乗り降りの際、変速レバーは、最も車体前方側に角度調節された操縦ハンドルと同様に運転座席から前方に極力離れて位置させることができる。
従って、本第1発明によると、運転の際、操縦ハンドルも変速レバーも運転座席側に寄った取付け位置や操作位置に位置させて操作しやすくし、ハンドル操作や変速操作の面から運転しやすいようにすることができるものでありながら、乗り降りの際、操縦ハンドルを最も前方側に角度調節するとともに変速レバーを中立位置に操作し、操縦ハンドルも変速レバーも障害物になりにくくて乗り降りしやすくなる。
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内に配備される連動部材が、前記ハンドルポストのベース側部材に対して支持された回転伝動可能な連動軸によって構成されている。
第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記変速レバーの操作を前記走行用変速装置に伝える連動部材のうち、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間の外側で運転ステップ上に配置される部分の連動部材を、運転ステップの段差部の隅を通るように配置して運転ステップ上に設けるとともに、この連動部材を覆うカバーを、前記段差部で高配置レベル側に位置するステップ部と、低配置レベル側に位置するステップ部とにわたって傾斜状態に配置してある。
すなわち、泥や水が跳ね上がっても連動部材に付着しないように、かつ、運転部に対する乗り降りや運転をする作業者が連動部材を踏むなど連動部材に触れないように、連動部材が運転ステップ及びカバーによって保護された状態にして連動部材を設置することができる。
カバーが高配置レベル側のステップ部と、低配置レベル側のステップ部とを傾斜状態で接続しているものだから、運転部の足元をつまずきにくいなど動きやすい環境のものにカバーによって整えることができる。
従って、本第3発明によると、連動部材に泥や水あるいは踏み付けによる作動不良が発生しにくく、変速レバーと走行用変速装置の連動系を故障しにくい状態に得ることができる。しかも、運転ステップを保護手段に利用して構造面や経済面で有利に得ることができ、かつ、カバーを運転部の調整手段に利用して構造簡単に良好な足元環境を備えさせることができる。
第4発明にあっては、本第1、第2、又は第3発明の構成において、前記走行用変速装置にシフトギヤ選択を行わせる前記変速レバーの操作力を走行用変速装置に伝達するように変速レバーと走行用変速装置とを連動させている操作ケーブルを設け、前記走行用変速装置にシフトギヤ係脱を行わせる前記変速レバーの操作力を走行用変速装置に伝達するように変速レバーと走行用変速装置とを連動させている連動ロッド及び揺動リンクを設けてある。
走行用変速装置と変速レバーを連動ロッド及び揺動リンクを利用して連動させると、変速レバーの比較的強い操作力を走行用変速装置に伝達することができる一方、連動ロッドや揺動リンクの動き代を考慮し、比較的大きな設置スペースを設ける必要がある。操作ケーブルを利用して連動させると、比較的小さな設置スペースを設けるだけで済む一方、変速レバーの強い操作力を走行用変速装置に伝達しにくくなる。これにより、本第3発明は、走行用変速装置にシフトギヤ係脱を行わせる操作力を伝達するのに連動ロッド及び揺動リンクを利用し、走行用変速装置にシフトギヤ選択を行わせる操作力を伝達するのに操作ケーブルを利用したものであるから、シフトギヤ選択のための連動に操作ケーブルを利用している分だけ小さい設置スペースに連動機構を設置しながら、走行用変速装置にシフトギヤ係脱を行わせる際も、シフトギヤ選択を行わせる際も、シフトギヤの係脱や選択に必要な操作力を伝達させて、走行用変速装置の変速動作をスムーズに行わせることができる。
従って、本第4発明によると、走行用変速装置にシフトギヤの係脱や選択に必要な操作力を確実に伝達して変速操作をスムーズに行うことができるものでありながら、変速レバーと走行用変速装置の連動機構の全体を比較的小設置スペースに設置することができるように設計面や構造面で有利に得ることができるとともにコンパクトに得ることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する
図1に示すように、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1、左右一対の駆動自在な後車輪2、車体前端部に設けたエンジン3が装備された原動部4、車体後端部に設けた運転座席5が装備された運転部6、運転座席5の後側近くに設けた転倒保護枠7を備えた自走車体の車体フレームの後部を構成しているミッションケース8の上部に、左右一対のリフトアーム9をミッションケース内に位置する油圧シリンダ(図示せず)によって上下揺動操作自在に設け、前記ミッションケース8の後壁部に動力取り出し軸10を設けて、トラクタを構成してある。
このトラクタは、車体フレームの後部にロータリ耕耘装置を前記リフトアーム9によって昇降操作するように連結するとともに、エンジン3の駆動力を動力取り出し軸10からロータリ耕耘装置に伝達するように構成して、乗用型の耕耘機を構成するなど、各種の作業装置を昇降操作及び駆動自在に連結して各種の乗用型作業機を構成するものである。
図1に示すように、運転部6には、前記運転座席5の前方で、かつ、原動部4の後側近くに設けた操縦ハンドル11、この操縦ハンドル11の下方近くに配置した運転パネル20などを備えてある。
図2に示すように、操縦ハンドル11は、この操縦ハンドル11に上端部が一体回転自在に連結しているハンドル支軸12を介し、ハンドルポスト13の筒部13aに回転自在に支持されている。前記ハンドル支軸12は、前記ハンドルポスト13が連結されてハンドルポスト13の支持台になっているパワーステアリング装置14の入力軸14aに連結されている。
図2,3に示すように、前記ハンドル支軸12と、パワーステアリング装置14の入力軸14aとを自在継ぎ手12aを介して連結し、ハンドルポスト13の前記筒部13aを備えたハンドル側部材13bを、パワーステアリング装置14に固定されたベース側部材13cに車体横向きの連結ピン15を介して回動自在に連結してある。ベース側部材13cに固定されたブラケット31に連結ピン32を介して揺動自在に支持させたチルトロック軸33、ハンドルポスト13のハンドル側部材13bに設けた複数のロック凹部34などを備えさせてチルトロック機構30を構成してある。
チルトロック軸33から一体揺動自在に延出しているロック解除レバー35がロックばね36によって揺動付勢されることにより、チルトロック軸33が連結ピン32の軸芯まわりでロック解除レバー35と共に揺動付勢されて、チルトロック軸33の先端側が前記複数のロック凹部34のいずれか一つに入り込むことにより、チルトロック機構30は、ハンドル側部材13bをベース側部材13cに対して揺動しないようにロックして、操縦ハンドル11をチルト不能に固定するようにロック作用状態になる。ロック解除レバー35がロックばね36に抗して揺動されることにより、チルトロック軸33が連結ピン32の軸芯まわりでロック解除レバー35と共に揺動操作されて、チルトロック軸33の先端側がロック凹部34から抜け出て長孔37の内部に位置することにより、チルトロック機構30は、ハンドル側部材13bが連結ピン15の車体横向きの軸芯まわりでベース側部材13cに対して揺動操作されることを許容して、操縦ハンドル11のチルト操作を許容するようにロック解除状態になる。
すなわち、操縦ハンドル11は、ハンドル支軸12の軸芯まわりで回転操作されることにより、パワーステアリング装置14を作動操作し、このパワーステアリング装置14を介して左右前輪1を操縦ハンドル11の操作位置に対応した操向状態に操向操作するようになっている。また、操縦ハンドル11は、ロック解除レバー35によってチルトロック機構30をロック解除状態に操作しながら操縦ハンドル11に揺動操作力を加えることにより、前記連結ピン15の軸芯まわりでハンドル側部材13bと共に揺動して運転座席5に対して近づく側や離れる側にチルト操作できるようになっている。つまり、操縦ハンドル11は、連結ピン15の軸芯まわりで車体前後方向に取付け角調節自在に支持され、運転座席5に寄った取り付け位置と、運転座席5から前方に離れた取り付け位置とに位置変更できるようにチルトハンドルになっている。
図1,2などに示すように、運転パネル20は、原動部4のエンジンボンネット16の後側に前記パワーステアリング装置14などを収容する車体内空間を形成するように設けた板金製の車体外壁体17の上部に連結してある。図4,5などに示すように、運転パネル20は、前記ハンドルポスト13が挿通するポスト貫通孔21の両横側に分かれて位置する左右一対のスイッチ盤面22を有したスイッチ盤部23と、このスイッチ盤部23の車体前方側に位置する計器盤面24を有した計器盤部25とを備えて構成してある。スイッチ盤部23の一方のスイッチ盤面22には、ホーン(図示せず)、方向指示器100(図1参照)、前照灯101(図1参照)を操作するコンビネーションスイッチ26を設けてある。計器盤部25の計器盤面24は、スイッチ盤面22よりも急傾斜の傾斜角度で、車体前方側ほど車体上方側に位置する状態で傾斜した前後傾斜面になっており、この計器盤面24には、エンジン回転計27、エンジン用の燃料計28、エンジン冷却水の水温計29を設けてある。
前記ミッションケース8の内部に、シフトギヤ(図示せず)の係脱によって変速可能なギヤ式の走行用変速装置40を設けてある。この走行用変速装置40は、図6,7に示す如くミッションケース8の上端部8aに回動及び摺動自在に支持された車体横向きの操作軸で成る変速操作部41が回動及び摺動操作されることにより、前進3段と後進1段の計4段階の速度状態に切り換わるようになっている。この走行用変速装置40は、後進状態に変速されることによって自走車体を後進させる走行速度値と、前進第2速状態に変速されることによって自走車体を前進させる走行速度値とが等しい又はそれに近い走行速度値になるように構成されている。
走行用変速装置40は、図5などに示す如く前記操縦ハンドル11の付近に位置する変速レバー42を備えた変速操作装置Sによって変速操作するように構成してある。
図2,5などに示すように、変速操作装置Sは、前記変速レバー42の他に、前記運転パネル20の横側に設けたレバーガイド50、前記運転パネル20の下方の前記車体外壁体17よりも車体内側に設けたレバー位置決め機構60を備えて構成してある。
図2に示すように、変速レバー42は、変速レバー42の基部42aが前記車体外壁体17よりも車体内側に位置し、変速レバー42の把持部42bを有する先端側が前記車体外壁体17よりも車体外側に位置するように車体外壁体17の貫通孔17aを挿通した状態に、かつ、変速レバー42の把持部42bが操縦ハンドル11の外周端11aの付近(操縦ハンドル11の外周端11aから車体横外側に約10mm離れた箇所)に位置した状態に配置してある。
変速レバー42の基部42aに固設された連結部材43を、ハンドルポスト13の前記ベース側部材13cに固定された支持体44に回転自在に支持されている車体上下向きの連動軸70の前記支持体44から車体上方側に突出している上端部に連結軸71を介して相対回転自在に連結してあり、変速レバー42は、連動軸70の車体上下向きの軸芯Xまわりでも、連結軸71の軸芯Y(前記軸芯Xに直交した軸芯)まわりでも揺動操作することができるようにハンドル支軸12の横側方位置で、かつ、前記車体外壁体17よりも車体内側で揺動自在に支持されている。
図2,6,7などに示すように、前記連結部材43、前記連動軸70、この連動軸70の下端部を回動自在に支持しているブラケット45の付近で連動軸70に一体回動自在に連結された連動アーム72、この連動アーム72に前端側が連結された車体前後向きの連動ロッド73、この連動ロッド73の後端側が連結された揺動リンク74、この揺動リンク74のボス部74aから一体回動自在に延出された揺動リンク75、この揺動リンク75を変速操作部41の一端側に連結している変速アーム41aに連動させている連動ロッド76のそれぞれを介して、変速レバー42の基部42aと前記変速アーム41aとを連動させることにより、変速レバー42は、軸芯Xまわりで揺動操作されることによって変速操作部41を回動操作するように変速操作部41に連動されている。
つまり、変速レバー42の基部42aと前記変速アーム41aとを連動させる部材によって、前記変速レバー42の前記軸芯Xまわりでの揺動操作を変速操作部41に伝達するための連動部材が構成されている。
前記連動ロッド76は、揺動リンク75及び変速アーム41aに球面利用の継ぎ手77を介して連結されており、変速操作部41が摺動操作された際、変速アーム41aが揺動リンク75に対して車体横方向に相対移動することを各継ぎ手77の屈折作用によって吸収されるようになっている。
図6,7,8などに示すように、変速レバー42の前記連結部材43から車体前方向きに延出された操作アーム80、この操作アーム80の延出端側の屈曲端部80aにインナーケーブルの前端側が連結され、アウターケーブルの前端部が前記連動軸70に一体回動自在に支持された支持部材81によって支持された押し引き伝動可能な操作ケーブル82、この操作ケーブル82のインナーブルの後端側が連結された揺動リンク83、この揺動リンク83に一端側が連結された車体横向きの連動ロッド84、この連動ロッド84の他端側に一端側が連結され、他端側の操作端部85aが前記変速操作部41の環状溝41bに係入された変速リンク85のそれぞれを介して、変速レバー42の基部42aと変速操作部41とを連動させることにより、変速レバー42は、軸芯Yまわりで揺動操作されることによって変速操作部41を摺動操作するように変速操作部41に連動されている。
つまり、変速レバー42の基部42aと前記変速操作部41の環状溝41bとを連動させる部材によって、前記変速レバー42の前記軸芯Yまわりでの揺動操作を変速操作部41に伝達するための連動部材が構成されている。
図2,6,10などに示すように、レバー位置決め機構60は、前記支持体44に固定された位置決め板61、前記連結部材43から延出させた位置決めバー62、変速レバー42を揺動付勢することによって位置決めバー62を揺動付勢して位置決めバー62の先端側のローラで成る作用部62aを位置決め板61の前後ガイド溝63,64の内壁に当て付け付勢するスプリング65を備えさせて構成してある。
すなわち、図9に明示するように、位置決め板61には、一対の車体前後方向に長い前記前後ガイド溝63,64、一対の前後ガイド溝63,64を連通させている連通溝66、一方の前後ガイド溝63に開口した切欠き67を備えてあり、レバー位置決め機構60は、位置決めバー62の作用部62aが一方の前後ガイド溝63や他方の前後ガイド溝64に沿って移動することによって変速レバー42を軸芯Xまわりで揺動するように案内し、位置決めバー62の作用部62aが連通溝66を移動することによって変速レバー42を軸芯Yまわりで揺動するように案内し、位置決めバー62の作用部62aが各ガイド溝63,64の所定位置や切欠き67に位置することによって変速レバー42を図4に示す各操作位置R,F1,F2、F3,Nに位置決めする。
すなわち、位置決めバー62の作用部62aが一方の前後ガイド溝63の後端側に位置することによって変速レバー42を後進位置Rに位置決めする。位置決めバー62の作用部62aが一方の前後ガイド溝63の前端側に位置することによって変速レバー42を前進2速位置F2に位置決めする。位置決めバー62の作用部62aが他方の前後ガイド溝64の後端側に位置することによって変速レバー42を前進1速位置F1に位置決めする。位置決めバー62の作用部62aが他方の前後ガイド溝64の前端側に位置することによって変速レバー42を前進3速位置F3に位置決めする。位置決めバー62の作用部62aが切欠き67に位置することによって変速レバー42を中立位置Nに位置決めする。
図2,4,5に示すように、レバーガイド50は、車体上方向き面51aを備えたガイド盤部51、このガイド盤部51aの周縁に連なった縦壁部52を備えさせて構成してある。このレバーガイド50は、ガイド盤部51の車体上方向き面51aが操縦ハンドル11のハンドル支軸12の軸芯に沿う方向視で操縦ハンドル11の外周端11aよりも車体横外側に突出する状態にして運転パネル20の横側に一体成形してある。レバーガイド50の底側の開口を底蓋53によって閉じてある。この底蓋53は、車体外壁体17に支持されている。
レバーガイド50は、さらに、次の如く形成してある。ガイド盤部51の車体上方向き面51aが、後進位置R、前進2速位置F2、中立位置Nが位置する部分において、運転パネル20の前記スイッチ盤面22と平行又はほぼ平行になり、かつ、スイッチ盤面22と同一又はほぼ同一の平面上に位置した状態に形成してある。
図4に明示するように、レバーガイド50のガイド盤部51に、車体前後向きの前後経路54,55の複数本を車体横方向に並べて、かつ、車体横向きの連通経路56で連通させて設けてある。これら前後経路54,55、連通経路56は、変速レバー42の基部42aと把持部42bとの間に備えてある車体上下向きの縦杆身部分42cが挿通する操作経路を形成している。
すなわち、前記複数本の前後経路54,55のうちの車体内側に位置する前後経路54は、変速レバー42がレバー位置決め機構60の一方の前後向きガイド溝63に案内されて揺動操作される際、すなわち変速レバー42が前進2速位置F2と後進位置Rに切り換えるように軸芯Yまわりで揺動操作される際、変速レバー42の縦杆身部分42cが移動する操作経路を形成している。前記複数本の前後経路54,55のうちの車体外側に位置する前後経路55は、変速レバー41がレバー位置決め機構60の他方のガイド溝64に案内されて揺動操作される際、すなわち変速レバー42が前進1速位置F1と前進3速位置F3とに切り換えるように軸芯Xまわりで揺動操作される際、変速レバー42の前記縦杆身部分42cが移動する操作経路を形成している。前記連通経路56は、変速レバー42がレバー位置決め機構60の連通溝66に沿わせて揺動操作される際、すなわち変速レバー42が前記操作経路54と55の一方から他方に移動させるように軸芯Yまわりで揺動操作される際、変速レバー42の前記縦杆身部分42cが移動する操作経路を形成している。
つまり、変速レバー42をレバーガイド50の連通経路56に沿わせて軸芯Yまわりで車体横方向に揺動操作すると、この操作力が操作アーム80、操作ケーブル82、揺動リンク83、連動ロッド84、変速リンク85によって変速操作部41の一端側に伝達されてこの変速操作部41が摺動し、走行用変速装置40は、操作するべきシフトギヤ(図示せず)を選択する。変速レバー42を車体内側の操作経路54に位置させると、走行用変速装置40は、前進第2速度と後進を現出するシフトギヤに変速操作部41を係合させ、変速レバー42を車体外側の操作経路55に位置させると、走行用変速装置40は、前進1速と前進3速を現出するシフトギヤに変速操作部41を係合させる。
そして、変速レバー42を軸芯Xまわりで操作経路54や55に沿わせて車体前後方向に揺動操作すると、この操作力が連動軸70、連動アーム72、連動ロッド73、揺動リンク74、揺動リンク75、連動ロッド76、変速アーム41aによって変速操作部41の他端側に伝達されてこの変速操作部41が回転し、走行用変速装置40は、選択したシフトギヤを摺動操作して所定の伝動ギヤ(図示せず)に係脱させる。
これにより、変速レバー42を操作経路55の車体後方側端部に位置する前進1速位置F1に操作すれば、走行用変速装置40が前進第1速状態になり、変速レバー42を操作経路54の車体前方側端部に位置する前進2速位置F2に操作すれば、走行用変速装置40が前進第2速状態になり、変速レバー42を操作経路55の車体前方側端部に位置する前進3速位置F3に操作すれば、走行用変速装置40が前進第2速状態よりも高速の前進第3速状態になる。変速レバー42を操作経路54の車体後方側端部に位置する後進位置Rに操作すると、走行用変速装置40が後進状態になる。
変速レバー42を操作経路54の中央部に配置した中立位置Nに操作すると、走行用変速装置40が中立状態になる。このとき、変速レバー42がレバーガイド50のガイド盤面51aに位置する切欠き57に前記スプリング65によって係入されて中立位置Nに係止され、走行用変速装置40を中立状態に維持することができる。
図5,11などに示すように、エンジン3の出力軸からの出力をミッションケース8に伝達する伝動系を覆う伝動ケース90と、この伝動ケース90の両横側壁90aに連結されたスッテップ板91とによって運転ステップ93を構成してある。前記連動ロッド73及び操作ケーブル82を、運転ステップ93の車体横方向での中央部に前記伝動ケース90とステップ板91とによって形成された左右一対の段差部94の一方の段差部94の隅を伝動ケース90の横側壁90aに沿って車体前後方向に通るように配置して運転ステップ93のステップ板91上に設置し、前記各段差部94に、段差部94で高配置レベル側に位置するステップ部としての伝動ケース90の上壁部90bと、低配置レベル側に位置するステップ部としてのステップ板91とにわたって傾斜状態に配置した板金製のカバー92を設けるとともに、前記連動ロッド73及び操作ケーブル82を前記カバー92によって覆ってある。
図4に示すように、操縦ハンドル11が車体前後方向に角度調節され、最も車体前方側に移動した取付け角に調節され、かつ、変速レバー42が前記中立位置Nに操作されると、操縦ハンドル11の前記ハンドル支軸12の軸芯に沿う方向視で変速レバー42がハンドル支軸12と車体横方向に並んだ状態で位置するように前記中立位置Nを設定してある。
すなわち、トラクタに対する乗り降りを行う際、操縦ハンドル11を最も前方側に位置した状態に角度調節することにより、操縦ハンドル11が運転座席5から前方側に最も離れて位置して障害物になりにくい状態で乗り降りすることができる。そして、乗り降りの際、走行用変速装置40を中立状態にするように変速レバー42を中立位置Nに操作されることから、変速レバー42も障害物になりにくい状態で乗り降りすることができるようになっている
〔別実施例〕
上記実施例の如く、操縦ハンドル11が最も前方側に移動した状態に角度調節されると、中立位置Nに操作された変速レバー42がハンドル支軸12と車体横方向に並ぶように中立位置Nを設定する他、操縦ハンドル11が最も前方側に移動した状態に角度調節されると、中立位置Nに操作された変速レバー42がハンドル支軸12よりも車体前方側に位置するように中立位置Nを設定して実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
トラクタ全体の側面図 変速レバー、操縦ハンドルの配設部の後面図 チルトロック機構の側面図 操縦ハンドル配設部の平面図 運転部の斜視図 変速レバーと走行変速装置の連動構造を示す側面図 走行変速装置の変速操作部での平面図 レバーガイドの縦断側面図 位置決め機構の側面図 変速レバー支持部の平面図 運転ステップの断面図
符号の説明
11 操縦ハンドル
12 ハンドル支軸
40 走行用変速装置
42 変速レバー
73 連動ロッド
74,75 揺動リンク
82 操作ケーブル
90b 高配置レベル側のステップ部
91 低配置レベル側のステップ部
92 カバー
93 運転ステップ
94 段差部
N 変速レバーの中立位置

Claims (4)

  1. 走行用変速装置を操作する変速レバーを、車体外壁体の上部に位置する運転パネルの上側で回転操作自在に装備されている操縦ハンドルの横側方位置で揺動操作可能に設けたトラクタの操作装置であって、
    前記操縦ハンドルを、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内の上部箇所で、この空間内に固定配備されているハンドルポストのベース側部材に対して車体前後方向に取付け角調節自在に支持させ、
    前記変速レバーの基部を、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内の上部箇所で、前記ハンドルポストのベース側部材に対する相対位置が固定された支持体に揺動自在に支持するとともに、この変速レバーの把持部を前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間の外側に延出し、
    前記変速レバーの操作を前記走行用変速装置に伝える連動部材のうち、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内に配備される連動部材を、前記ハンドルポストの横側部に位置させて上下方向に配設し、
    前記操縦ハンドルが最も車体前方側に移動した取付け角に調節され、かつ、前記変速レバーが中立位置に操作された状態において、前記操縦ハンドルのハンドル支軸の軸芯に沿う方向視で変速レバーがハンドル支軸と車体横方向に並んだ状態又はハンドル支軸よりも車体前方側に位置した状態で位置するように、前記中立位置を設定してあるトラクタの操作装置。
  2. 前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間内に配備される連動部材が、前記ハンドルポストのベース側部材に対して支持された回転伝動可能な連動軸によって構成されている請求項1記載のトラクタの操作装置。
  3. 前記変速レバーの操作を前記走行用変速装置に伝える連動部材のうち、前記車体外壁体及び運転パネルで囲繞される空間の外側で運転ステップ上に配置される部分の連動部材を、運転ステップの段差部の隅を通るように配置して運転ステップ上に設けるとともに、この連動部材を覆うカバーを、前記段差部で高配置レベル側に位置するステップ部と、低配置レベル側に位置するステップ部とにわたって傾斜状態に配置してある請求項1又は2記載のトラクタの操作装置。
  4. 前記走行用変速装置にシフトギヤ選択を行わせる前記変速レバーの操作力を走行用変速装置に伝達するように変速レバーと走行用変速装置とを連動させている操作ケーブルを設け、前記走行用変速装置にシフトギヤ係脱を行わせる前記変速レバーの操作力を走行用変速装置に伝達するように変速レバーと走行用変速装置とを連動させている連動ロッド及び揺動リンクを設けてある請求項1、2、又は3記載のトラクタの操作装置。
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