JP4536952B2 - 車両重量推定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の変速段の決定などに利用される車両の重量(車重)を推定する車両重量推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用自動変速機の変速制御装置は、車速とエンジンのスロットルバルブ開度(アクセルペダル操作量)とに基づいて達成すべき変速段を決定するようになっている。また、搭乗者の人数や積載量等により変動する車両の重量を同車両の加速度及び同車両に加わる駆動力等を基にして推定するとともに、同推定された車両重量を前記変速段の決定等に使用し、降坂路走行時にエンジンブレーキを有効に発揮させたり、登坂路走行時の加速性能を向上する変速制御装置も知られている。
【0003】
このような車両の重量を推定する装置は、例えば、特開2000−213981号公報に開示されている。この公報に開示された装置は、道路勾配の影響が車両の加速度に低周波数成分として現れる点に基き、検出された加速度及び車両の駆動力をハイパスフィルタでフィルタ処理し、道路勾配の影響を除いたフィルタ後の加速度及びフィルタ後の駆動力に基いて車両重量を推定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術においては、車両の駆動系の捩りやサスペンションの撓み等によって加速度が大きく変動すること等に対する対策が十分になされていないため、車両重量の推定精度が良好でないという問題があった。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、車両重量をより精度良く推定することを目的としてなされたものであって、本発明に従う車両重量推定装置の一つは、車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、前記検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後加速度を取得するフィルタ後加速度取得手段と、前記推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後駆動力を取得するフィルタ後駆動力取得手段と、前記フィルタ後加速度の絶対値に応じた値を所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、前記フィルタ後駆動力の絶対値に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えてなる。
【0006】
道路勾配の影響は検出された加速度に低周波数成分として含まれているから、上記構成により同検出された加速度に含まれる低周波数成分が除去されることで、路面勾配の影響を受けないフィルタ後加速度が得られる。また、これに対応して、推定された駆動力に含まれる低周波数成分が除去され、フィルタ後駆動力が得られる。一方、フィルタ後加速度及びフィルタ後駆動力に含まれるノイズの割合を低減するため、これらの値を所定期間だけ積分することが車両重量推定精度を向上するために好適である。かかる積分により、これらの値の平均値に等価な値が得られ、ノイズの影響を低減できるからである。
【0007】
ところが、フィルタ後加速度、及びフィルタ後駆動力は、検出された加速度及び推定された駆動力から低周波数成分がそれぞれ除去された値であり、除去された低周波成分には直流成分(DC成分)が含まれている。従って、フィルタ後加速度、及びフィルタ後駆動力は、加速度及び駆動力の変化(交流成分)に応じた値となっていて、正の値のみだけでなく負の値となり得る。このため、そのまま積分を行うと、同積分において正の値と負の値とが相殺して積分値が小さくなり、同積分値が加速度及び駆動力の変化量を十分に表さなくなるので、車両重量の推定精度が悪化する。
【0008】
そこで、上記構成では、フィルタ後加速度、及びフィルタ後駆動力の絶対値をとり、同絶対値に応じた値を積分することとした。これにより、積分する値が常に正の値となるので、フィルタ後加速度に応じた値、及びフィルタ後駆動力に応じた値を積分する期間をこれらの値の符号(正負)に関わらず長く設定し、これらの値の積分値を大きくすることができる。この結果、積分値に含まれるノイズの割合が低減できるので、車両重量を精度良く推定することができる。なお、フィルタ後加速度の絶対値に応じた値、及びフィルタ後駆動力に応じた値は、それぞれフィルタ後加速度の絶対値に時間経過とともに小さくなる係数(忘却係数)を乗じた値、及びフィルタ後駆動力の絶対値に同時間経過とともに小さくなる係数(忘却係数)を乗じた値を含む。
【0009】
本発明に従う他の車両重量推定装置は、車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、前記検出された加速度に応じた値を積分開始からの経過時間とともに大きくなる係数を乗じながら所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、前記推定された駆動力に応じた値を前記係数を乗じながら前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えてなる。
【0010】
車両重量の推定は、例えば、車両が発進状態にあるときのように、駆動力及び加速度の大きさ及び変化量が大きいときに行うと、その推定精度が向上する。一方、発進初期時のように駆動力の大きさが急激に変化する場合には、車両の駆動系に捩りによる振動が生じ、或いは、車両のサスペンションが振動し、これらの振動に伴うノイズ成分が加速度に重畳する。このため、加速度積分値を大きくすることを目的として加速度の積分開始タイミングを早めると、このようなノイズ成分までが積分されるため、車両重量の推定精度が悪化する。また、このようなノイズ成分を除去するためのフィルタを設けた場合であっても、同フィルタによる効果が現われるまでにある程度の時間を要するので、同フィルタのみによって上記問題を解決することが困難である。
【0011】
従って、上記構成のように、積分開始からの経過時間とともに大きくなる係数を乗じながら加速度及び推定駆動力を積分すれば、積分開始直後の不正確なデータの重みを小さくした積分が行われ、得られる積分値におけるノイズ成分の割合を小さくできるので、車両重量の推定精度を向上することができる。
【0012】
本発明に従う他の車両重量推定装置は、原動機の出力トルクをトルクコンバータを介して駆動輪に伝達する車両に適用され、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、前記トルクコンバータの速度比を検出する速度比検出手段と、前記検出された速度比が所定値以上となったことを一条件として前記車両が発進状態にあると判定する発進状態判定手段と、前記車両が発進状態にあると判定されたとき前記検出された加速度に応じた値を積分開始タイミングから積分終了タイミングまでの所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、前記推定された駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えてなる。
【0013】
これによれば、トルクコンバータを備えた車両が発進状態にあると発進状態判定手段が判定したとき、検出された加速度に応じた値、及び推定された駆動力に応じた値がそれぞれ積分され、その積分結果に基いて車両重量が推定される。また、前記発進状態判定手段は、前記トルクコンバータの速度比を検出し、検出された速度比が所定値以上となったことを一条件として前記車両が発進状態にあると判定する。
【0014】
一般に、車両が発進状態にあるとき、駆動力及び加速度の大きさと変化量は大きくなる。従って、発進状態は車両重量を精度良く推定するために好適な運転状態である。一方、トルクコンバータの速度比(例えば、タービン回転速度/エンジン回転速度、またはトルクコンバータの出力軸回転速度/トルクコンバータの入力軸回転速度)はタービン回転速度とエンジン回転速度との比であって、時間微分を行って得る加速度に比較しノイズの影響を受け難い値である。従って、上記構成のように、トルクコンバータの速度比を発進状態の判定に使用すれば、同発進状態の判定を確実に行うことができるので、結果として車両重量推定精度を向上することができる。
【0015】
本発明による他の車両重量推定装置は、原動機の出力トルクをトルクコンバータを介して駆動輪に伝達する車両の重量を推定する車両重量推定装置であって、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、前記検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後加速度を取得するフィルタ後加速度取得手段と、前記推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後駆動力を取得するフィルタ後駆動力取得手段と、前記車両が発進状態にあるか否かを判定するとともに前記フィルタ後加速度が前記フィルタ後駆動力を所定の基準車重で除した値と略等しくなったか否かを判定し、同車両が発進状態にあると判定され、且つ同フィルタ後加速度が同フィルタ後駆動力を同所定の基準車重で除した値と略等しくなった時点を基準として積分開始タイミングを定める積分開始タイミング決定手段と、前記フィルタ後加速度に応じた値を前記積分開始タイミングから所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、前記フィルタ後駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えてなる。
【0016】
これによれば、フィルタ後加速度に応じた値が積分開始タイミングから所定期間だけ積分されて加速度積分値が求められ、フィルタ後駆動力に応じた値が前記所定期間だけ積分されて駆動力積分値が求められる。そして、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量が推定される。この場合、車両が発進状態にあると判定された時点を前記積分開始タイミングとすると、検出された加速度に車両駆動系の捩り等による振動が大きく重畳していることがあり、車両重量の推定精度を悪化させる要因となる。一方、検出された加速度に車両駆動系の捩り等による振動が重畳していなければ、フィルタ後加速度は、フィルタ後駆動力を所定の基準車重で除した値に沿って変化するはずである。
【0017】
そこで、上記のように、フィルタ後加速度がフィルタ後駆動力を所定の基準車重で除した値と略等しくなった時点を基準として積分開始タイミングを定めれば(例えば、同時点を積分開始タイミングとしたり、同時点から所定時間後を積分開始タイミングとすれば)、車両駆動系の振動等によりノイズ成分を多く含むフィルタ後加速度を積分することが回避できるので、車両重量の推定精度を向上することができる。
【0018】
本発明に従う他の車両重量推定装置は、原動機の出力トルクをトルクコンバータと自動変速機とを介して駆動輪に伝達する車両に適用され、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、前記トルクコンバータの速度比を検出する速度比検出手段と、前記検出された速度比に基いて車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、前記車両が発進状態にあるか否かを判定する発進状態判定手段と、前記車両が発進状態にあると判定されたことを条件として積分開始タイミングを決定する積分開始タイミング決定手段と、前記検出された速度比が前記車両の発進状態においてピーク値を示したか否かを判定する速度比ピーク判定手段と、前記検出された速度比がピーク値を示した時点を基準として積分終了タイミングを決定する積分終了タイミング決定手段と、前記検出された加速度に応じた値を前記積分開始タイミングから前記積分終了タイミングまでの所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、前記推定された駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えてなる。
【0019】
これによれば、検出された加速度に応じた値が積分開始タイミングから積分終了タイミングまでの所定期間だけ積分されて加速度積分値が求められるとともに、検出された速度比に基いて推定される駆動力に応じた値が前記所定期間だけ積分されて駆動力積分値が求められ、前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから車両重量が推定される。このとき、積分開始タイミングは前記車両が発進状態にあると判定されたことを条件として決定される。また、積分終了タイミングは、検出された速度比がピーク値を示した時点を基準として決定される。
【0020】
車両重量の推定精度を向上するためには積分区間を長くとって加速度及び駆動力に応じた値の各積分値を大きくし、含まれるノイズの影響を小さくすることが望ましい。ところが、上記のように発進状態で積分を行っていると、自動変速機が1速から2速への変速を開始するため、速度比が不安定となって推定駆動力自体が不正確となる。一方、かかる変速により速度比が不安定となる前に、同速度比はピーク値を示す。
【0021】
そこで、上記構成のように、車両の発進状態において速度比がピーク値を示した時点を積分終了タイミングとすることで、車両重量の推定精度を向上することができる。
【0022】
以上の場合において、前記加速度積分手段が積分する前記検出された加速度に応じた値は、同検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去したフィルタ後加速度の絶対値に応じた値であり、前記駆動力積分手段が積分する前記推定された駆動力に応じた値は、同推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去したフィルタ後駆動力の絶対値に応じた値であることが好適である。なお、フィルタ後加速度の絶対値に応じた値、及びフィルタ後駆動力に応じた値は、それぞれフィルタ後加速度の絶対値に時間経過とともに小さくなる係数(忘却係数)を乗じた値、及びフィルタ後駆動力の絶対値に同時間経過とともに小さくなる係数(忘却係数)を乗じた値を含む。
【0023】
前述したように、低周波数成分を除去することで路面勾配の影響を除いた加速度及び駆動力が得られるので車両重量の推定が容易に行えるとともに、絶対値をとることで積分期間を長く設定して積分値を大きくすることができるので、同車両重量の推定精度を向上することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による車両重量推定装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、この車両重量推定装置を含む変速制御装置を車両に搭載した例を概略的に示している。この車両は、原動機としてのエンジン10と、ロックアップクラッチ付流体式トルクコンバータ20と、2乃至3組の遊星歯車ユニットなどから構成された有段(ここでは、前進4段、後進1段)の自動変速機30と、トルクコンバータ20及び自動変速機30に供給される油圧を制御するための油圧制御回路40と、油圧制御回路40に制御指示信号を与える電気制御装置50とを含んでいて、図示しないアクセルペダルの操作により増減されるエンジン10の発生トルクを、ロックアップ付トルクコンバータ20、自動変速機30、及び図示しない差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)などを介して図示しない駆動輪へ伝達するようになっている。
【0025】
ロックアップ付トルクコンバータ20は、エンジン10が発生する動力を流体(作動油)を介して自動変速機30に伝達する流体式伝達機構21と、この流体式伝達機構21に対して並列に連結されたロックアップクラッチ機構22とからなっている。流体式伝達機構21は、図示を省略したエンジン10のクランク軸と一体的に回転するトルクコンバータ入力軸12に連結されたポンプ羽根車21aと、同ポンプ羽根車21aが発生する作動油の流れにより回転されるとともに自動変速機30の入力軸31に連結されたタービン羽根車21bと、図示を省略したステータ羽根車とを含んでいる。ロックアップクラッチ機構22は、ロックアップクラッチを含んで構成されていて、接続された油圧制御回路40による作動油の給排により、トルクコンバータ入力軸12と自動変速機30の入力軸31とを同ロックアップクラッチにより機械的に結合してこれらを一体的に回転させる係合状態と、前記ロックアップクラッチによる機械的な結合を解除してエンジン10の発生トルクを自動変速機30に伝達しない非係合状態とを達成し得るようになっている。
【0026】
自動変速機30は、前記入力軸31と、図示を省略した車両の駆動輪に差動歯車装置などを介して連結された出力軸32とを備えていて、接続された油圧制御回路40による作動油の給排により作動される複数の油圧式摩擦係合装置の組合わせに応じ、複数の前進変速段(前進ギヤ段)および後進ギヤ段のうちの1つを選択的に成立させ、選択されたギヤ段を介して入力軸31と出力軸32とを一体的に回転させる周知の有段式遊星歯車装置として構成されている。この自動変速機30は、1速及び2速を除く変速段(3速,4速)において駆動輪側からエンジン10を駆動する逆駆動状態(エンジンブレーキ状態)が達成されるようになっている。一方、1速及び2速においては、図示しないワンウエイクラッチの作動により前記逆駆動状態が達成されない状態と、図示しない摩擦係合部材を係合させて前記ワンウエイクラッチの機能を非作動とすることで前記逆駆動状態が達成される状態とに制御され得るようになっている。
【0027】
油圧制御回路40は、電気制御装置50からの信号によりON−OFF駆動される複数の電磁弁(図示省略)を含んでいて、前記電磁弁の作動の組み合わせに基づいてロックアップクラッチ機構22及び自動変速機30に対する作動油の給排を行うようになっている。
【0028】
電気制御装置50は、何れも図示を省略したCPU、メモリ(ROM,RAM)、及びインタフェースなどから成るマイクロコンピュータであって、スロットル開度センサ61、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ63、出力軸回転速度センサ64、及びブレーキスイッチ65と接続されていて、これらのセンサ及びスイッチが発生する信号を入力するようになっている。
【0029】
スロットル開度センサ61は、エンジン10の吸気通路に設けられ図示しないアクセルペダルの操作に応じて開閉されるスロットルバルブ11の開度を検出し、スロットルバルブ開度thrmを表す信号を発生するようになっている。エンジン回転速度センサ62は、エンジン10の回転速度を検出し、エンジン回転速度neを表す信号を発生するようになっている。タービン回転速度センサ63は、自動変速機の入力軸31(即ちタービン)の回転速度を検出し、タービン回転速度ntを表す信号を発生するようになっている。出力軸回転速度センサ64は、自動変速機の出力軸32の回転速度を検出し、出力軸回転速度(即ち、車速に比例する値)noutを表す信号を発生するようになっている。ブレーキスイッチ65は、サービスブレーキ用のブレーキペダル70の操作・非操作に応じて、ハイレベル(「1」)信号及びローレベル信号(「0」)にそれぞれ変化するブレーキ作動信号wstpを出力するようになっている。
【0030】
次に、上記ロックアップクラッチと自動変速機30の変速制御について説明する。電気制御装置50は、出力軸回転速度(車速)noutとスロットルバルブ開度thrmとで構成される図2(A)に示した変速マップをメモリ内に記憶しており、検出された出力軸回転速度(車速)noutと検出されたスロットルバルブ開度thrmにより定まる点が同変速マップに示された変速線を横切るとき、同変速線に従う変速を行うように油圧制御回路40の電磁バルブを制御する。
【0031】
同様に、電気制御装置50は、出力軸回転速度noutとスロットルバルブ開度thrmとで構成される図3に示したロックアップクラッチ作動マップをメモリ内に記憶しており、検出された出力軸回転速度noutと検出されたスロットルバルブ開度thrmとが前記ロックアップクラッチ作動マップのロックアップ領域にあるとき、油圧制御回路40の電磁バルブを制御してロックアップクラッチ機構22を係合状態とする。
【0032】
更に、電気制御装置50は、搭乗人数や荷物の実積載量に応じて変化する車両重量mを推定していて、同車両重量mが所定値mth以上のとき、上記変速マップを図2(A)に示したものから図2(B)に示したものに切換えて達成される低速段領域を拡大するとともに、1速及び2速におけるワンウエイクラッチを非作動としてエンジンブレーキ効果を発揮させる。なお、この変速制御は、電気制御装置50のマイクロコンピュータが変速制御プログラムを実行することにより達成される。
【0033】
(車両重量推定の基本原理)
次に、電気制御装置50が実行する車両重量の推定方法について説明する。車両の運動方程式は、車両重量をm、加速度をdv、車両の原動機による駆動力をF、道路勾配をθ、重力加速度をg、走行抵抗をRとすれば、数1に示した通りとなる。
【0034】
【数1】
m・dv=F−m・g・sinθ−R
【0035】
上記数1の左辺における車両の加速度dvは、車速の微分値であるから、車速に対応する出力軸回転速度noutを微分(時間微分)することで算出され得る。なお、車両の加速度dvは、車両に搭載された加速度センサの出力から求めることもできる。
【0036】
上記数1の右辺における駆動力Fは、エンジン10の発生するトルクに基いてトルクコンバータ20、及び自動変速機30等を介して得られる駆動力である。この駆動力Fは、ロックアップクラッチが係合状態にある場合、エンジン10のスロットルバルブ開度thrm等のエンジン負荷とエンジン回転速度neとからエンジン10の出力トルクT0を推定し、この出力トルクT0に自動変速機30が達成している変速段のギヤ比k1、同変速段のギヤ効率k2、及び差動歯車機構のギヤ効率k3などの定数を乗じることで求めることができる。
【0037】
この場合、エンジン10が静的状態(定常状態)で運転されていれば、スロットルバルブ開度thrmとエンジン回転速度neとから同エンジン10の出力トルクT0をある程度の精度をもって求めることができる。しかしながら、車両の発進時等におけるようにエンジン10は過渡的状態で運転されることが殆どであるから、エンジン10の出力トルクT0を精度良く求めることは一般に困難である。
【0038】
一方、ロックアップクラッチが非係合状態にある場合、即ち、流体式伝達機構21にてトルク伝達を行っている場合、エンジン10の出力トルクT0に応じたトルクコンバータの出力トルクTは下記数2に基づき求めることができる。下記数2は過渡的な運転状態にあっても成立するので、同数2を用いることによりエンジン10の運転状態に関わらずトルクコンバータ20の出力トルクTを精度良く求めることができる。
【0039】
なお、下記数2において、λはトルクコンバータ20における流体式伝達機構21のトルク増幅率であり、Cpは同流体式伝達機構21の容量係数である。このトルク増幅率λと容量係数Cpは、ともに速度比e(e=nt/ne)の関数であるので、本例においては、後述するように速度比eに対するこれらの積λ・Cpを予め求めてマップ化し(このマップをλ・Cpマップと称呼する。)、実際の速度比eとλ・Cpマップとから積λ・Cpを直ちに求める。これにより、トルク増幅率λと、容量係数Cpを実際の速度比eから別々に求め、その積λ・Cpを求めるよりも、より高い精度で積λ・Cpを求めることができる。
【0040】
【数2】
T=λ・Cp・ne2
【0041】
上記数2によりトルクコンバータ20の出力トルクTが求められるので、上記駆動力Fは、下記数3により求めることができる。この数3において、定数kは、自動変速機30が達成している変速段のギヤ比k1、同変速段のギヤ効率k2、及び差動歯車機構のギヤ効率k3、及び補正係数k4の積である。
【0042】
【数3】
F=k・λ・Cp・ne2
【0043】
以上により、数1における左辺のdvと右辺におけるFは求められるが、数1を用いて車両重量mを求めるには道路勾配の影響であるsinθを求めなければならない。
【0044】
ところで、車両が道路勾配一定の道路を走行していればθは一定であるから、上記数1におけるm・g・sinθは一定であり、加速度dvにおいて直流成分となって現れる。実際には、道路勾配θは比較的緩やかに変化するため、同道路勾配θの影響は加速度dvにおいて2Hz以下の低周波成分として現れる。一方、加速度dv中には駆動力Fによる直流成分も含まれている。従って、加速度dv及び駆動力Fを表す信号から所定周波数(2Hz以下のうちの適当な周波数)以下の信号を除去すれば、道路勾配の影響を除去した下記数4により表される運動方程式を得ることができる。なお、下記数4において、hfは駆動力Fを表す信号から前記所定周波数以下の信号を除去したフィルタ後駆動力hfを表し、hdvは加速度dvを表す信号から同所定周波数以下の信号を除去したフィルタ後加速度hdvを表している。また、上記数1には走行抵抗Rが存在しているが、走行抵抗Rは低周波数成分のみを有していること、及び下記数4におけるフィルタ後加速度hdvとフィルタ後駆動力hfはそのような低周波数成分が除去された値であることから、同数4には走行抵抗Rは現われない。
【0045】
【数4】
hf=m・hdv
【0046】
(面積法の導入)
上記数4から明らかなように、車両重量mはフィルタ後駆動力hfをフィルタ後加速度hdvで除すことにより求められる。このことは、フィルタ後加速度hdvの値が小さい場合、同フィルタ後加速度hdvの中に含まれるノイズが車両重量mの推定精度を大きく悪化させることを意味する。従って、フィルタ後加速度hdvに含まれるノイズの割合は極力小さいことが望ましく、そのためには、(1)車両発進時等のフィルタ後加速度hdvの大きさが大きくなる場合において車両重量mを推定するとともに、(2)フィルタ後加速度hdvのある期間(区間)における平均値と等価であるフィルタ後加速度hdvの積分値と、同期間におけるフィルタ後駆動力hfの積分値を使用して車両重量mを推定すればよい。即ち、上記数4は下記数5に書き換えられるので、この数5の積分区間を車両発進時の所定期間として車両重量mを推定することにより、同車両重量mの推定精度を向上することができる。
【0047】
【数5】
∫hf dt=m・∫hdv dt(積分区間はt=t1〜t2)
【0048】
図4は、車両駆動系の捩り等に伴う加速度dvの変動が殆ど生じない車両の発進時におけるフィルタ後駆動力hfを既知の車両重量mで除した値(hf/m)、及びフィルタ後加速度hdvを、実線、及び破線にてそれぞれ示したグラフである。フィルタ後駆動力hfを車両重量mで除した値の積分値Sf(=∫(hf /m)dt)は、同フィルタ後駆動力hfを車両重量mで除した値と図4のx軸とで囲まれた部分の面積となり、フィルタ後加速度hdvの積分値Sdv(=∫hdv dt)は、同フィルタ後加速度hdvと図4のx軸とで囲まれた部分の面積となるので、以下、上記数5を基礎として車両重量を求める方法を面積法と呼ぶ。
【0049】
ところで、図4から明らかなように、フィルタ後駆動力hfを車両重量mで除した値(hf/m)とフィルタ後加速度hdvとの間には位相差が存在し、時刻ta〜時刻tbではフィルタ後加速度hdvがフィルタ後駆動力hfを車両重量mで除した値(hf/m)よりも大きく、時刻tb〜時刻tcではフィルタ後加速度hdvがフィルタ後駆動力hfを車両重量mで除した値(hf/m)よりも小さい。しかしながら、面積法によれば、図4に示した面積S1と面積S2が略等しいことから、上記位相差を吸収して車両重量mの推定精度を向上することができる。
【0050】
(絶対値の積分)
また、上記数5から明らかなように、車両重量mはフィルタ後駆動力hfの積分値Sf(=∫hf dt)をフィルタ後加速度hdvの積分値Sdv(=∫hdv dt)で除すことにより求められる。従って、フィルタ後加速度hdvの積分値Sdvの値が大きく同積分値Sdvに含まれるノイズが小さいほど、車両重量mを精度良く推定することができる。一方、フィルタ後加速度hdvの積分値Sdvを大きくするには、同フィルタ後加速度hdvの積分区間を大きく(積分期間を長く)する必要がある。
【0051】
しかしながら、車両の発進時におけるフィルタ後加速度hdv、及びフィルタ後駆動力hf(フィルタ後駆動力hfを既知の車両重量mで除した値)は、図5(A)(図5においては、車両駆動系の捩り等により加速度に大きな変動が現れている)に示したように、時刻td〜teまでは正の値となり、時刻te以降は負の値となる。このため、積分区間を時刻td〜tfと長くとると、正の値と負の値とが相殺し、フィルタ後駆動力hfの積分値Sf及びフィルタ後加速度hdvの積分値Sdvの値が小さくなってしまう。このことは、上述した積分値Sdvを大きくとることに反していて、車両重量mの推定精度を悪化させるから、積分区間を単純に長くすることは好ましくない。
【0052】
そこで、本発明者は上記数4において両辺の絶対値をとることを考案した。即ち、上記数4から下記数6が成立するので、同数6から下記数7を得て、同数7を基本にして車両重量mを推定する。これによれば、図5(B)に示したように、フィルタ後加速度hdv、及びフィルタ後駆動力hfの符号(値の正負)にかかわらず、積分により得られる面積が常に正となるので、積分区間を長くした場合でも積分値が小さくならない。従って、数7によれば、積分区間を長くとってフィルタ後加速度hdvの積分値を大きくすることができるので、車両重量mの推定精度を向上することができる。
【0053】
【数6】
|hf|=m・|hdv|
【0054】
【数7】
∫|hf| dt=m・∫|hdv| dt(積分区間はt=t1〜t2)
【0055】
(忘却係数の導入)
ところで、図5に示したフィルタ後加速度hdvは、加速度信号dvから上記路面勾配θによる低周波成分をハイパスフィルタにより除去するとともに、車両の駆動系の捩り、及びサスペンションの撓み等に基く振動成分を後述するノッチフィルタで除去し、さらにセンサノイズをローパスフィルタで除去して得られた信号である。
【0056】
しかしながら、実際のフィルタ後加速度hdvは、図5に示したように、車両の発進直後において大きく変動する。これは、上記ノッチフィルタによるフィルタリングが過渡状態にあるためである。従って、この発進直後のフィルタ後加速度hdvをそのまま積分すると、車両駆動系の捩り等を要因とするノイズを多く含むフィルタ後加速度hdvが積分されることになって、車両重量mの推定精度が悪化する。
【0057】
そこで、本例においては、下記数8に示すように忘却係数λを導入して、フィルタ後加速度hdv、及びフィルタ後駆動力hfの各々を積分することとした。この忘却係数λは0〜1の係数(例えば、0.98)である。
【0058】
【数8】
∫λ t2-t)|hf|dt=m・∫λ(t2-t)|hdv|dt(積分区間は、t1〜t2)
【0059】
上記数8によれば、フィルタ後駆動力の絶対値(推定された駆動力に応じた値)と積分開始からの経過時間とともに大きくなる忘却係数との積値が積分されて駆動力積分値が得られるとともに、フィルタ後加速度の絶対値(検出された加速度に応じた値)と同積分開始からの経過時間とともに大きくなる忘却係数との積値が積分された加速度積分値が得られる。そして、車両重量mは、前記駆動力積分値を前記加速度積分値で除すことで求められる(推定される)。
【0060】
図6は、上記数8の右辺における積分値∫λ(t2-t)|hdv|dtを面積S11,S12で表したものである。面積S11は、忘却係数λの値が「1」(つまり、忘却係数を導入しない場合)の場合の同積分値∫λ(t2-t)|hdv|dtを示し、面積S12は忘却係数λの値が「0.98」の場合の同積分値∫λ(t2-t)|hdv|dtを示している。面積S11,S12から明らかなように、忘却係数を導入した数8により車両重量mを求めれば、誤差を多く含む発進直後のフィルタ後加速度hdv(及びフィルタ後駆動力hf)のデータの重みが小さくされて積分が実行されるので、同車両重量mの推定精度を一層向上することができる。なお、以下においては、上記数8の左辺である∫λ t2-t)|hf|dtを駆動力積分値SFと称呼し、同数8の右辺の∫λ(t2-t)|hdv|dtを加速度積分値Saと称呼する。
【0061】
(速度比による積分開始タイミングの適正化)
上述したように、車両重量mを精度良く推定するためには、フィルタ後加速度hdvが大きくなる発進時において同車両重量mを推定することが好ましい。一方、トルクコンバータの速度比eはタービン回転速度ntをエンジン回転速度neで除した値であってノイズの影響を受け難い値である。従って、速度比eを発進状態の判定に使用すれば、同発進状態の判定を確実に行うことができるので、結果として車両重量推定精度を向上することができる。
【0062】
具体的に述べると、本例では、スロットルバルブ開度が「0」より大きく(tthrm>0)、ブレーキ作動中でなく(wstp=0)、車速が0より大きく、且つ速度比eが所定値より大きい(例えば、e>0.1)となったとき、発進時とみなして積分の実行を許容する。
【0063】
(積分開始の遅延による推定精度の向上)
図7は、車両発進時におけるフィルタ後加速度hdv、フィルタ後駆動力hfを基準車両重量(基準車重)m0で除した値(hf/m0)、及び速度比eをそれぞれ破線、実線、及び一点鎖線にて示したグラフである。なお、前記基準車重m0は、本装置を搭載した車両が規定最大積載荷重の半分に相当する荷物を積載した状態(半積状態)で得られる車両重量値である。
【0064】
いま、フィルタ後加速度hdvに振動が重畳していなければ、同フィルタ後加速度hdvはフィルタ後駆動力hfを基準車重m0で除した値(hf/m0)に沿って変化するはずである。また、上述したように、速度比eを用いて発進状態であることを判定して積分を開始すれば、信頼性の高い加速度dvのデータを用いた車両重量mの推定を行うことができるはずである。
【0065】
ところが、図7に示したように、車両駆動系の捩り等の影響が加速度dvに大きく現れ易い車両及び運転条件下においては、フィルタ後加速度hdvが上記速度比eを用いた発進判定直後(時刻t0〜t1以降)において大きく変動する。このため、このようなフィルタ後加速度hdvを用いて車両重量mを推定すると、その推定精度が悪化する。
【0066】
そこで、本例においては、フィルタ後加速度hdvがフィルタ後駆動力hfを基準車重m0で除した値(hf/m0)と一致する時点(時刻t1)まで積分の開始を遅延することとした。これにより、精度の良好でない時刻t1以前のフィルタ後加速度hdvが車両重量mの推定に用いられないので、同車両重量mを精度良く推定することができる。
【0067】
なお、前記基準車重m0は、同車両の積載荷重が「0」のときの車両重量以上であって同車両の積載荷重が規定された最大積載荷重であるときの車両重量以下であれば、如何なる値でも良い。また、積分終了時刻t2との関係上、加速度積分値Saを十分大きな値とすることができる場合には、積分開始時刻を更に遅延させてもよい。この場合、例えば、フィルタ後加速度hdvがフィルタ後駆動力hfを基準車重m0で除した値(hf/m)を時刻t1にて下から上へ横切った後、上から下へ横切る時刻(時刻t1´)を積分開始時刻とすることもできる。換言すれば、少なくとも時刻t1以前のフィルタ後加速度hdvのデータを車両重量mの推定に使用しないようにすることで、同車両重量mの推定精度を向上することができる。
【0068】
(速度比による積分終了タイミングの適正化)
上述したように、積分区間を長くするほど、加速度積分値Saを大きくすることができるので、車両重量mの推定精度は向上する。一方、車両の発進後に自動変速機が1速から2速への変速を開始すると、自動変速機30のトルクの伝達を精度良く推定できないため、速度比eによる同駆動力Fの推定精度が悪化する。従って、このような変速期間のデータを用いて車両重量mを推定すると、その推定精度が悪化する。換言すると、かかる変速期間の開始を適切に判定してフィルタ後加速度hdv及びフィルタ後駆動力hfの積分を終了することが重要である。
【0069】
そこで、本例においては、速度比eが発進後に単調増加し、且つ1速から2速の変速が開始されて速度比eが大きく変動する前にピーク値(最大値)をとることに鑑み、同速度比eのピーク値が検出された時点を積分(推定)終了タイミングt2とするように構成した。具体的には、速度比eが所定値(例えば、0.88)以上であり、且つ、同速度比eがサンプリングタイミングにおいて2回連続して減少傾向を示したとき、同速度比eがピーク値となったと判定し、同時点で積分を終了するように構成した。
【0070】
図8(A)は、発進時における加速度dvと駆動力Fの時間変化を示し、図8(B)は同一の時間軸に対する速度比eの変化を示すグラフである。図8(B)に示した速度比eがピーク値をとる時刻tpにて、フィルタ後加速度hdv、及びフィルタ後駆動力hfの積分を終了すれば、同時刻tp以降の推定精度が良好でないフィルタ後駆動力hfを積分しないので、車両重量mの推定精度を向上することができる。
【0071】
(実際の作動)
次に、電気制御装置50が上記原理に基づいて車両重量mを推定する際の作動について、図9〜図17を参照しながら説明する。なお、図9〜図17は、電気制御装置50のマイクロコンピュータが実行するプログラムを機能ブロック図で表したものであり、これらのプログラムはROM内に記憶されている。また、これらの図に示した、thrm,wstp,nt,ne及びnoutは、上述の各センサ及びスイッチ61〜65により得られる信号であり、siftは上述の変速制御プログラムの実行によりマイクロコンピュータが認識している自動変速機30の実際の変速段(以下、変速段信号siftと称呼する。)である。
【0072】
(プログラムの全体構成)
マイクロコンピュータは、図9に示したように、タービン回転速度ntとエンジン回転速度neとから推定駆動力信号Fhatを求める推定駆動力計算部100、推定推定駆動力信号Fhatにフィルタ処理を施してフィルタ後駆動力hfを得る駆動力信号のフィルタ処理部200、出力軸回転速度noutから加速度信号dvを求める加速度計算部300、加速度信号dvにフィルタ処理を施してフィルタ後加速度hdvを得る加速度信号のフィルタ処理部400、積分区間(積分開始タイミングt1と積分終了タイミングt2)を決定する積分許可部500、及び上記数8に従って車両重量mを推定する面積比較部600からなるプログラムを実行するようになっている。以下、各プログラムについて順に説明する。
【0073】
(推定駆動力計算部)
マイクロコンピュータは図10に詳細に示した上記推定駆動力計算部100のプログラムを所定時間ts(ここでは、20msec)の経過毎に実行し、推定駆動力信号Fhatを求めるようになっている。具体的に述べると、マイクロコンピュータは除算部110にてタービン回転速度ntとエンジン回転速度neを入力し、同タービン回転速度ntをエンジン回転速度neで除することにより速度比e(=nt/ne)を求める。
【0074】
次いで、マイクロコンピュータはブロック120にて、速度比eと積値λ・Cpとの関係を示すマップ(ルックアップテーブル、以下「λ・Cpマップ」と称呼する。)と上記除算部110にて求めた実際の速度比eとから実際の積値λ・Cp(e)を算出する。上記ブロック120にて用いるλ・Cpマップは、予め実験に基づいて作成され、電気制御装置50のROMに記憶されている。このλ・Cpマップは、自動変速機30の変速段を1速に固定しておき、積載量を変更することにより車両重量を種々の値に変化させた車両を走行させ、実際の速度比eに対する実際の積値λ・Cpを測定により求めることで作成する。実際の積値λ・Cpは、エンジン10の実際の出力トルクT0(トルクセンサにより計測)及び実際のエンジン回転速度ne(エンジン回転速度センサから計測)と、上記数2とに基づいて求める。
【0075】
次に、マイクロコンピュータは乗算部130にて上記ブロック120にて求めた積値λ・Cpに上記数3に示した定数kを乗じて値k・λ・Cpを求める。前記定数kは、1速のギヤ比k1と、同1速のギヤ効率k2と、上記差動歯車装置のギヤ効率k3の積に、所定の定数k4を乗じた値である。次いで、マイクロコンピュータは、駆動力算出部140にて同値k・λ・Cpにエンジン回転速度neの2乗値ne2を乗じて駆動力F(=k・λ・Cp・ne2)を計算し、これを推定駆動力信号Fhatとして出力する。
【0076】
(駆動力信号のフィルタ処理部)
駆動力信号のフィルタ処理部200は、推定駆動力信号Fhatを入力し、これに対して種々のフィルタ処理を施してフィルタ後駆動力hfを求める。具体的に述べると、フィルタ処理部200は、先ず推定駆動力信号Fhatをローパスフィルタ210に入力し、推定駆動力信号Fhatに含まれる第1カットオフ周波数f1以上の高周波ノイズを除去する。この高周波ノイズの主要因は、推定駆動力信号Fhatを求めるために使用したエンジン回転速度ne、及びタービン回転速度ntに含まれるセンサノイズである。
【0077】
次いで、マイクロコンピュータは、前記ローパスフィルタ210の出力をノッチフィルタ220に入力する。ノッチフィルタ220は前記第1カットオフ周波数f1より小さい第2カットオフ周波数f2と、同第2カットオフ周波数f2より小さい第3カットオフ周波数f3との間の周波数成分を除去するフィルタである。ノッチフィルタ220を採用するのは、後述する加速度信号のフィルタ処理部400に同一のノッチフィルタを使用する必要があるためである。
【0078】
次に、マイクロコンピュータは、前記ノッチフィルタ220の出力をハイパスフィルタ230に入力する。ハイパスフィルタ230は前記第3カットオフ周波数f3より小さい1〜2Hz程度の第4カットオフ周波数f4以下の周波数成分を除去するフィルタである。ハイパスフィルタ230を採用するのは、前述した道路勾配θの影響を除去するためである。以上のようにして、駆動力信号のフィルタ処理部200は、フィルタ後駆動力hfを求める。
【0079】
(加速度計算部)
一方、マイクロコンピュータは図12に詳細に示した上記加速度計算部300のプログラムを所定時間ts(ここでは、20msec)の経過毎に実行し、加速度dvを求めるようになっている。具体的に述べると、マイクロコンピュータは出力軸回転速度noutをローパスフィルタ310に入力し、出力軸回転速度noutに含まれるセンサノイズを除去する。
【0080】
次いで、マイクロコンピュータは、ローパスフィルタ310の出力を微分処理部320に入力する。微分処理部320では、現時点の出力軸回転速度nout(フィルタ310の出力)と、所定時間ts前の同出力軸回転速度nout(フィルタ310の出力)の差分をとることで出力軸回転速度noutを実質的に時間微分し、車両加速度に応じた信号dnを求める。そして、マイクロコンピュータは、この信号dnを加速度算出部330に入力し、同信号dnに所定の定数を乗じることで回転速度を加速度に単位変換して加速度信号dvを求める。
【0081】
(加速度信号のフィルタ処理部)
加速度信号のフィルタ処理部400は、図13に示したように、加速度dvを入力し、これに対して上述した駆動力信号のフィルタ処理部200と同一のフィルタリング処理を施し、フィルタ後加速度hdvを求める。具体的に述べると、フィルタ処理部400は、加速度dvをローパスフィルタ410に入力して同加速度dvに含まれる第1カットオフ周波数f1以上の高周波ノイズを除去する。
【0082】
次いで、マイクロコンピュータは、前記ローパスフィルタ410の出力をノッチフィルタ420に入力する。ノッチフィルタ420は前記第2カットオフ周波数f2と前記第3カットオフ周波数f3との間の周波数成分を除去するフィルタである。ノッチフィルタ420を採用するのは、車両の駆動系に発生する捩り、及び同車両のサスペンションの振動等により加速度dvに含まれることとなる振動(変動)成分を除去するためである。
【0083】
次に、マイクロコンピュータは、前記ノッチフィルタ420の出力をハイパスフィルタ430に入力し、前記第4カットオフ周波数f4以下の周波数成分を除去することで、道路勾配θの影響を除去し、フィルタ後加速度hdvを求める。なお、車両によっては、前記第2カットオフ周波数f2は前記第1カットオフ周波数f1より大きい場合があり、又は、前記第3カットオフ周波数f3は前記第4カットオフ周波数f4よりも小さい場合がある。このような場合、ノッチフィルタ420は、ローパスフィルタ410又はハイパスフィルタ430で代用され得る。
【0084】
(積分許可部)
積分許可部500は、前述した車両重量の推定原理における積分区間(積分開始タイミングt1、及び積分終了タイミングt2)を決定するためのプログラムであり、図14に詳細に示したように、車両が発進時にあることを検出して積分開始信号stの値を「0」から「1」に変更する積分開始タイミング決定部520と、速度比eがピーク値をとったこと等を検出して積分終了信号endの値を「0」から「1」に変更する積分終了タイミング決定部540と、排他的論理和部560とから構成されている。以下、個別に説明する。
【0085】
図15に詳細に示した積分開始タイミング決定部520は、先ず、除算部522にて所定時間tsの経過毎にエンジン回転速度neとタービン回転速度ntを入力し、速度比e(e=nt/ne)を計算する。次いで、マイクロコンピュータは、論理判定部524にて、ブレーキ作動信号wstp、スロットルバルブ開度thrm、速度比e、及び出力軸回転速度noutを入力し、ブレーキ作動中でなく(wstp=0)、スロットルバルブ開度が「0」より大きく(thrm>0)、速度比eが所定値より大きく(例えば、e>0.1)、且つ車速が0より大きい(nout>0)条件が成立したか否かを判定するとともに、これら総ての条件が成立したとき、同条件が成立したこと(車両が発進状態となったこと)を示す信号(例えば、フラグ)を「0」(ローレベル)から「1」(ハイレベル)に変更する。これにより、車両が発進状態にあるか否かが判定されるので、論理判定部524は車両が発進状態にあるか否かを判定する発進状態判定手段を構成している。
【0086】
そして、マイクロコンピュータは、上記論理判定部524からの信号の「0」から「1」への立ち上がりを立ち上がりエッヂ検出部526により検出し、検出した立ち上がりエッヂを遅延部528にて所定遅延時間TD(ここでは、180msec)だけ遅延した後に論理積部530に出力する。この遅延部528により、速度比eが所定値(0.1)より大きくなった時点(論理判定部524の信号が「0」から「1」へ変化した時点)から遅延時間TDだけ積分開始のタイミング(積分開始許容タイミング)を遅らせるのは、前述の駆動信号のフィルタ処理部200及び加速度信号のフィルタ処理部400のフィルタ処理に同遅延時間TDに相当する時間が必要だからであり、遅延時間TDだけ遅延することなくフィルタ後加速度hdv等の積分を開始すると、路面勾配による影響分がフィルタ処理によって完全に除去される前に積分が開始されるため、車両重量mの推定精度が悪化するからである。
【0087】
また、マイクロコンピュータは変換部532にてフィルタ後駆動力hfを基準車重m0で除して値hf/m0を計算し、比較部534にて値hf/m0とフィルタ後加速度hdvを比較する。そして、同比較部534にてこれらの差の絶対値(|hf/m0−hdv|)が所定差(ここでは、0.6)より小さいか否かを判定し、小さい場合に同旨を示す信号(例えば、フラグ)を「0」から「1」に変更する。
【0088】
論理積部530は、前記遅延部528と前記比較部534からの信号を入力し、これらの信号の論理積を立ち上がりエッヂ保持部536に出力する。そして、立ち上がりエッヂ保持部536は論理積部530の出力信号の立ち上がりエッヂを検出し、同エッヂが検出された場合にその出力としての積分開始信号stを「1」に変更する。
【0089】
このように、積分開始タイミング決定部520は、論理判定部524にて速度比eが0.1より大きくなる等の発進条件が成立したか否かを判定し、同条件が成立したときに積分開始を許可し、比較部534にてフィルタ後加速度hdvがフィルタ後加速度hfを基準車重m0で除した値(hf/m0)と略等しくなったか否かを判定し、略等しくなったとき積分開始を許可するように積分開始信号stを「1」に変更する。
【0090】
一方、図16に詳細に示した積分終了タイミング決定部540は、先ず、除算部542にて所定時間tsの経過毎にエンジン回転速度neとタービン回転速度ntを入力し、速度比e(e=nt/ne)を計算するとともに、保持部544にて所定時間ts前に求められた前回演算時の速度比eを保持し、保持部546にて更に所定時間ts前に求められた前前回演算時の速度比eを保持する。また、推定時間決定部540は、除算部548にて所定時間tsの経過毎にタービン回転速度ntと出力軸回転速度noutを入力し、ギヤ比giyahi(giyahi=nt/nout)を計算する。
【0091】
次いで、積分終了タイミング決定部540は、論理判定部550にて上記積分開始信号st、今回演算された速度比e(n)、前回演算時の速度比e(n−1)、前前回演算時の速度比e(n−2)、及びギヤ比giyahiを入力し、積分が開始されていて(st=1)、今回の速度比e(n)が第1所定閾値(例えば、0.88)以上であり、今回の速度比が前回演算時の速度比より小さく(e(n)<e(n−1))、前回演算時の速度比が前前回演算時の速度比より小さく(e(n−1)<e(n−2))、且つギヤ比が変速段が1速にある場合のギヤ比に相当したギヤ比である(giyahi>3.5)であるか否かを判定し、これら総ての条件が成立したとき、同条件が成立したことを示す信号(例えば、フラグ)を「0」から「1」に変更する。そして、立ち上がりエッヂ保持部552は、論理判定部550の出力信号の立ち上がりエッヂを検出し、同エッヂが検出された時点で出力を「1」に維持する。
【0092】
上記論理判定部550において、今回の速度比e(n)が前回演算時の速度比e(n−1)より小さく、且つ前回演算時の速度比e(n−1)が前前回演算時の速度比e(n−2)より小さいことを検出(即ち、速度比eが2回のサンプリングタイミングにて連続して低下したことを検出)しているのは、速度比eがピーク値をとったことを検出するためである。即ち、論理判定部550は速度比ピーク判定手段を構成している。また、論理判定部550において、速度比e(n)が第1所定閾値より大きいこと(e(n)>0.88)を条件の一つとしているのは、速度比eが第1所定閾値以下であるとき、仮にノイズ等により2回連続して低下しても、同速度比がピーク値をとったとみなさないようにするためである。また、ギヤ比giyahiが所定値以上であることを条件に加えているのは、同ピーク値の検出を変速段が1速にあるときにのみ有効とするためである。
【0093】
また、積分終了タイミング決定部540は、論理判定部554を含んでいる。この論理判定部554は、何らかの理由により論理判定部550にて速度比eのピーク値が検出できなかった場合に、積分を終了させるために設けられていて、積分開始信号st、今回の速度比e(n)、及びスロットルバルブ開度thrmを入力し、積分が開始されていて(st=1)、今回の速度比e(n)が前記第1所定閾値より大きい第2所定閾値(速度比eがほぼサチュレートした値で、例えば0.95)以上であり、且つスロットルバルブが全閉でない(thrm>0)という条件が成立したか否かを判定する。そして、論理判定部554は前記条件の総てが成立したとき、同条件が成立したことを示す信号(例えば、フラグ)を「0」から「1」に変更する。立ち上がりエッヂ保持部556は、論理判定部554の出力信号の立ち上がりエッヂを検出し、同エッヂが検出された時点で出力を「1」に維持する。
【0094】
更に、積分終了タイミング決定部540は、論理判定部558を含んでいる。この論理判定部558は、積分開始信号st、及び変速段信号siftを入力し、積分が開始されていて(st=1)且つ変速段信号siftが変速段の2速を示しているか否かを判定し、これら総ての条件が成立したとき、同条件が成立したことを示す信号(例えば、フラグ)を「0」から「1」(ハイレベル)に変更する。遅延部560は、前記論理判定部558のハイレベル信号を所定時間TH(ここでは、500msec)だけ遅延し、立ち上がりエッヂ保持部562は、遅延部560で遅延された出力信号の立ち上がりエッヂを検出するとともに、同エッヂが検出された時点で出力を「0」から「1」に変更する。
【0095】
そして、立ち上がりエッヂ保持部552、556、及び立ち上がりエッヂ検出部562の各出力は、論理和部564に入力される。従って、これらの入力信号の何れか一つが「1」になると、論理和部564は積分終了信号endを「0」から「1」に変更し、面積比較部600に対して積分終了を指示する。
【0096】
上記論理判定部558は、変速段が2速に変更されるときには、必ず積分を終了するために設けられている。また上記遅延部560にて遅延処理を施すのは、変速段信号sihtが1速から2速に変化した時点から実際の変速段が2速に変化するまでは相当の時間を要するので、この時間を見込んで積分があまりに早期に終了することがないようにするためである。
【0097】
上記積分開始タイミング決定部520が決定する積分開始信号stと、上記積分終了タイミング決定部540が決定する積分終了信号endは、図14に示したように排他的論理和部560に入力される。排他的論理和部560は、積分開始信号stと積分終了信endの何れか一方の値のみが「1」である場合にのみ、出力信号である積分許可信号wenの値を「1」に変更し、他の場合には同積分許可信号wenの値を「0」に維持する。
【0098】
図17に詳細に示した面積比較部600は、上記数8に基づいてフィルタ後駆動力hfとフィルタ後加速度hdvの積分を行い、車両重量mを推定するプログラムである。具体的に述べると、面積比較部600は絶対値計算部610にてフィルタ後駆動力hfの絶対値|hf|を求め、積分値計算部620に出力する。積分値計算部620は、フィルタ後駆動力hfの絶対値|hf|を上記数8に従って積分する。このとき、積分開始タイミングt1は、上記積分許可信号wenが「0」から「1」に変化したタイミングであり、積分終了タイミングt2は同積分許可信号wenが「1」から「0」に変化したタイミングである。なお、実際には、積分値計算部620は、サンプリングタイミング毎にそれまでに得られている積分値Sに忘却係数λを乗じ、その値に今回のサンプリングで得られたフィルタ後駆動力の絶対値を加えた値を新たな積分値Sとし、この積分値Sにサンプリング周期(T=ts)を乗ずる計算を行うことで上記駆動力積分値SFと等価な値を求める。
【0099】
面積比較部600は、フィルタ後加速度hdvに対し、フィルタ後駆動力hfと同様な処理を行う。即ち、面積比較部600は絶対値計算部630にて同フィルタ後加速度hdvの絶対値|hdv|を求め、これを上記数8の右辺に従って積分値計算部640にて積分することで加速度積分値Saを求める。この場合も、積分開始タイミングt1は、上記積分許可信号wenが「0」から「1」に変化したタイミングであり、積分終了タイミングt2は同積分許可信号wenが「1」から「0」に変化したタイミングである。なお、実際には、積分値計算部620は、サンプリングタイミング毎にそれまでに得られている積分値Sに忘却係数λを乗じ、その値に今回のサンプリングで得られたフィルタ後加速度の絶対値を加えた値を新たな積分値Sとし、この積分値Sにサンプリング周期(T=ts)を乗ずる計算を行うことで上記加速度積分値Saと等価な値を求める。
【0100】
そして、面積比較部600は、積分終了タイミングt2において(又は、積分終了タイミングt2以降の任意の時点において)、除算部650にて駆動力積分値SFを加速度積分値Saで除し、車両重量m(=SF/Sa)を求める(推定する)。
【0101】
以上説明したように、本発明による車両重量推定装置は、フィルタ後加速度hdv、及びフィルタ後駆動力hfを求め、これらの値の絶対値を所定区間だけ積分する。この積分区間は、車両の発進時であってフィルタ後加速度hdvに重畳するノイズが過大でない時点(フィルタ後加速度hdvがフィルタ後駆動力hfにより定まる値(hf/m0)と略等しくなった時点)から、変速が始まる速度比eがピーク値をとるまでの区間とされる。更に、フィルタ後加速度hdvの絶対値、及びフィルタ後駆動力hfの絶対値の積分に際して忘却係数を導入し、ノイズを多く含むデータの重みを小さくしながら積分を行う。この結果、車両重量を精度良く推定することができる。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、積値λ・Cpはひとつのマップにて速度比eから一時に求めているが、トルク増幅率λ及び容量係数Cpを別々に求めてこれらの積をとってもよい。また、積分開始タイミングt1は、比較部534を設けることなく、論理判定部524の出力が「0」から「1」に立ち上がったタイミングとしてもよい。更に、積分終了タイミングt2は、速度比eがピーク値をとた時点、又は変速段信号siftが1速から2速を示す信号に変化した時点から所定(一定)時間前、又は所定(一定)時間後のタイミングとすることもできる。更に、忘却係数は必ずしも必須ではなく、その値を「1」としておいても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車両重量推定装置を含む変速制御装置を車両に搭載したシステムの構成図である。
【図2】 (A)及び(B)は、図1に示した電気制御装置が変速制御に使用する変速線図である。
【図3】 図1に示した電気制御装置がロックアップ機構の制御に使用するマップである。
【図4】 車両発進時におけるフィルタ後駆動力を既知の車両重量で除した値とフィルタ後加速度を示したグラフである。
【図5】 図5(A)は車両駆動系の捩り等により加速度に大きな変動が現れる車両の発進時におけるフィルタ後駆動力を既知の車両重量で除した値とフィルタ後加速度を示したグラフであり、図5(B)は図5(A)に示した値の絶対値の変化を示したグラフである。
【図6】 忘却係数を異ならせてフィルタ後加速度を積分した場合の積分結果を斜線部の面積により表したグラフである。
【図7】 車両発進時におけるフィルタ後加速度、フィルタ後駆動力を基準車両重量(基準車重)で除した値、及び速度比を示したグラフである。
【図8】 図8(A)は車両発進後から変速開始時までの加速度、及び駆動力を示したグラフであり、図8(B)は車両発進後から変速開始時までの速度比を示したグラフである。
【図9】 図1に示した電気制御装置のマイクロコンピュータが車両重量推定のために実行するプログラムの全体構成を機能ブロックで示した図である。
【図10】 図9に示した推定駆動力計算部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図11】 図9に示した駆動力信号のフィルタ処理部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図12】 図9に示した加速度計算部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図13】 図9に示した加速度信号のフィルタ処理部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図14】 図9に示した積分許可部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図15】 図14に示した積分開始タイミング決定部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図16】 図14に示した積分終了タイミング決定部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【図17】 図9に示した面積比較部のプログラムの詳細を機能ブロックで示した図である。
【符号の説明】
10…エンジン、11…スロットルバルブ、12…トルクコンバータ入力軸、20…トルクコンバータ、21…流体式伝達機構、21a…ポンプ羽根車、21b…タービン羽根車、22…ロックアップクラッチ機構、30…自動変速機、31…入力軸、32…出力軸、40…油圧制御回路、50…電気制御装置、61…スロットル開度センサ、62…エンジン回転速度センサ、63…タービン回転速度センサ、64…出力軸回転速度センサ、65…ブレーキスイッチ。

Claims (6)

  1. 車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
    前記検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後加速度を取得するフィルタ後加速度取得手段と、
    前記推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後駆動力を取得するフィルタ後駆動力取得手段と、
    前記フィルタ後加速度の絶対値に応じた値を所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、
    前記フィルタ後駆動力の絶対値に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、
    前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えた車両重量推定装置。
  2. 車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
    前記検出された加速度に応じた値を積分開始からの経過時間とともに大きくなる係数を乗じながら所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、
    前記推定された駆動力に応じた値を前記係数を乗じながら前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、
    前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えた車両重量推定装置。
  3. 原動機の出力トルクをトルクコンバータを介して駆動輪に伝達する車両の重量を推定する車両重量推定装置であって、
    前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
    前記トルクコンバータの速度比を検出する速度比検出手段と、
    前記検出された速度比が所定値以上となったことを一条件として前記車両が発進状態にあると判定する発進状態判定手段と、
    前記車両が発進状態にあると判定されたとき前記検出された加速度に応じた値を積分開始タイミングから積分終了タイミングまでの所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、
    前記推定された駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、
    前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えた車両重量推定装置。
  4. 原動機の出力トルクをトルクコンバータを介して駆動輪に伝達する車両の重量を推定する車両重量推定装置であって、
    前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
    前記検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後加速度を取得するフィルタ後加速度取得手段と、
    前記推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去してフィルタ後駆動力を取得するフィルタ後駆動力取得手段と、
    前記車両が発進状態にあるか否かを判定するとともに前記フィルタ後加速度が前記フィルタ後駆動力を所定の基準車重で除した値と略等しくなったか否かを判定し、同車両が発進状態にあると判定され、且つ同フィルタ後加速度が同フィルタ後駆動力を同所定の基準車重で除した値と略等しくなった時点を基準として積分開始タイミングを定める積分開始タイミング決定手段と、
    前記フィルタ後加速度に応じた値を前記積分開始タイミングから所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、
    前記フィルタ後駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、
    前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えた車両重量推定装置。
  5. 原動機の出力トルクをトルクコンバータと自動変速機とを介して駆動輪に伝達する車両の重量を推定する車両重量推定装置であって、
    前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記トルクコンバータの速度比を検出する速度比検出手段と、
    前記検出された速度比に基いて車両の駆動力を推定する駆動力推定手段と、
    前記車両が発進状態にあるか否かを判定する発進状態判定手段と、
    前記車両が発進状態にあると判定されたことを条件として積分開始タイミングを決定する積分開始タイミング決定手段と、
    前記検出された速度比が前記車両の発進状態においてピーク値を示したか否かを判定する速度比ピーク判定手段と、
    前記検出された速度比がピーク値を示した時点を基準として積分終了タイミングを決定する積分終了タイミング決定手段と、
    前記検出された加速度に応じた値を前記積分開始タイミングから前記積分終了タイミングまでの所定期間だけ積分して加速度積分値を得る加速度積分手段と、
    前記推定された駆動力に応じた値を前記所定期間だけ積分して駆動力積分値を得る駆動力積分手段と、
    前記加速度積分値と前記駆動力積分値とから前記車両の重量を推定する車両重量推定手段とを備えた車両重量推定装置。
  6. 請求項2乃至請求項5の何れか一項に記載の車両重量推定装置であって、
    前記加速度積分手段が積分する加速度に応じた値は、前記検出された加速度に含まれる低周波数成分を除去したフィルタ後加速度の絶対値に応じた値であり、
    前記駆動力積分手段が積分する駆動力に応じた値は、前記推定された駆動力に含まれる低周波数成分を除去したフィルタ後駆動力の絶対値に応じた値である車両重量推定装置。
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