JP4535973B2 - 可変動弁機構 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の運転状態に応じてバルブ特性を制御する可変動弁機構に関する。
従来、リンクを用いてバルブのリフト量、作用角および開閉タイミングを制御する可変動弁機構が知られている。例えば、図8に示す特許文献1の可変動弁機構100は、内燃機関のクランク軸によって回転されるカムシャフト101を備えている。カムシャフト101上には、駆動カム102が一体回転可能に固定されるとともに、バルブリフタ103を介してバルブ110を駆動する揺動カム104が相対回動可能に支持されている。
カムシャフト101と平行なコントロールシャフト105上には、揺動アーム106が可変カム107を介して支持されている。揺動アーム106の入力端はリング状リンク108を介して駆動カム102に接続され、揺動アーム106の出力端がロッド状リンク109を介して揺動カム104に接続されている。そして、コントロールシャフト105をアクチュエータで駆動し、可変カム107の偏心回転により揺動アーム106を変位させ、駆動カム102に対する揺動カム104の初期位置を変更するようになっている。
特開平11−324625号公報
ところが、従来の可変動弁機構100によると、揺動アーム106をコントロールシャフト105上に支持して、二本のリンク108,109で駆動カム102と揺動カム104とに接続しているので、駆動カム102から揺動カム104までの動力伝達経路が複雑化するという問題点があった。また、その動力伝達経路がリンク108,109によって閉じられているため、カムシャフト101の動力による可変カム107の保持力が大きくなり、コントロールシャフト105を駆動するアクチュエータが大型化するという問題点もあった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、駆動カムから動弁部材への動力伝達経路を簡単に構成できるとともに、コントロールシャフトを小型のアクチュエータで駆動できる可変動弁機構を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の可変動弁機構は、駆動カムが設けられたカムシャフトと、アクチュエータに連結されたコントロールシャフトと、カムシャフトの回転に伴ってバルブを駆動する動弁部材と、動弁部材に対向する案内部材と、案内部材と動弁部材との間に位置する支点の周りで揺動可能な揺動アームと、コントロールシャフトの動力を用いて揺動アームの揺動支点となる支点軸をカムシャフト側とコントロールシャフト側とに調整する可変部材とを備え、揺動アームに駆動カムと接触する入力部と、動弁部材に接触するカム面と、案内部材に当接する当接部とを設け、可変部材がコントロールシャフト上に設けられたアームと、アームを揺動アームの支点軸に接続するリンクとを備えており、揺動アームは、コントロールシャフト側においてロッカアームと案内部材との間に位置する基端部と、カムシャフト側に位置する先端部とを備え、揺動アームの基端部に支点軸が設けられ、揺動アームと該揺動アームから両側方に突出した支点軸の両端部に接続された一対のリンクとの間の支点軸上に、揺動アームの基端部より小径の当接部としての一対の当接リングが支持され、案内部材には一対のガイド部が下方へ突設され、各ガイド部に形成された下向きの案内面が各当接リングに当接していることを特徴とする。
ここで、揺動アームに関し、好ましくは、次の構成を採用できる。
(1)揺動アームをカムシャフトとコントロールシャフトと動弁部材と案内部材とで囲まれた領域内に配置すること。
(2)コントロールシャフト側に位置する揺動アームの基端に支点軸を設け、カムシャフト側に位置する揺動アームの先端に前記入力部を設けること。
(3)支点軸上に前記当接部を設けること。
(4)揺動アームのカム面が、支点軸の軸線を中心とする円筒面に含まれる等半径部と、該円筒面より動弁部材側に広がるリフト部とを備えること。
動弁部材に関し、好ましくは、次の構成を採用できる。
(5)動弁部材に揺動アームのカム面と接触するローラを設けること。
(6)動弁部材として、基端を支点に揺動するロッカアームを使用すること。
(7)動弁部材として、中間部を支点に揺動するスイングアームを使用すること。
(8)動弁部材として、バルブの軸線方向へ直線移動可能なカップ型リフタを使用すること。
案内部材に関し、好ましくは、次の構成を採用できる。
(8)案内部材を可変動弁機構のハウジングに固定すること。
(9)案内部材が揺動アームの当接部に当接する案内面を備え、該案内面が動弁部材のローラの軸心を中心とする円筒面に含まれていること。
可変部材に関し、好ましくは、次の構成を採用できる。
(10)可変部材として、中心がコントロールシャフトの軸心から偏倚した偏心カムを用いること。
駆動カムに関し、好ましくは、次の構成を採用できる。
(12)駆動カムに、カムシャフトの所定の角度範囲でバルブリフト量をゼロに保つベース部と、残りの角度範囲でバルブリフト量を増大させるノーズ部とを設けること。
(13)駆動カムとして、中心がカムシャフトの軸心から偏倚した偏心カムを用いること。
本発明の可変動弁機構によれば、次のような効果が得られる。
(a)揺動アームをコントロールシャフトから切り離し、揺動アームの入力部およびカム面をそれぞれ駆動カムと動弁部材とに接触させているので、駆動カムから動弁部材への動力伝達経路をごく少数の部品で簡単に構成できる。
(b)揺動アーム上の当接部が案内部材に当接しているので、カムシャフトの動力が揺動アームを介して案内部材側と可変部材側とに分散する。このため、カムシャフトの動力による可変部材の保持力を小さくし、コントロールシャフトを駆動するアクチュエータに小型・低出力機器を使用できる。
(c)揺動アームのカム面が動弁部材に接触し、揺動アームの入力部が駆動カムに接触するので、カム面と動弁部材との接点位置を変えると、同時に入力部と駆動カムとの接点位置も変化する。従って、一つの揺動アームにより、バルブリフト量ごとにピーク位相が変化する自律位相タイプのバルブ特性が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この可変動弁機構1は、駆動カム11を備えたカムシャフト5と、アクチュエータ12に連結されたコントロールシャフト6と、カムシャフト5の回転に伴ってバルブ4を駆動するロッカアーム(動弁部材)7と、ロッカアーム7に上方から対向する案内部材8と、ロッカアーム7と案内部材8との間に位置する支点軸25の周りで揺動可能な揺動アーム9と、コントロールシャフト6の動力を用いて支点軸25の位置をカムシャフト5側とコントロールシャフト6側とに調整する可変部材10とを備えている。そして、揺動アーム9に、駆動カム11に接触する入力ローラ27と、ロッカアーム7のベースローラ16に接触するカム面24と、案内部材8の案内面19に当接するリング26とが設けられている。
次に、本発明の実施例1を図1〜図6に基づいて説明する。この実施例の可変動弁機構1は自動車用ガソリンエンジンの吸気系に用いられている。ただし、同じ機構をガソリンエンジンの排気系に適用することも可能である。図1〜図3に示すように、可変動弁機構1のハウジング2はシリンダヘッド3の上方に設置されている。バルブ(吸気バルブ)4は、周知のように、シリンダヘッド3に昇降可能に支持され、スプリング(図示略)で上方へ付勢され、上端がハウジング2の内側に挿入されている。
ハウジング2の高所には、カムシャフト5とコントロールシャフト6とが平行に支持されている。ハウジング2の低所には、バルブ4を駆動する動弁部材としてのロッカアーム7がカムシャフト5とコントロールシャフト6との間に位置するように配置されている。ハウジング2の上部には、案内部材8がロッカアーム7との間に所定の間隔をおいて上方から対向するように固定されている。そして、揺動アーム9がカムシャフト5、コントロールシャフト6、ロッカアーム7および案内部材8とで囲まれた領域内に配置され、揺動アーム9とコントロールシャフト6との間に可変部材10が介装されている。
カムシャフト5上には駆動カム11が固定され、ガソリンエンジンのクランク軸によってカムシャフト5と一体に回転駆動される。駆動カム11には、カムシャフト5の所定の角度範囲でバルブ4のリフト量をゼロに保つベース部11aと、カムシャフト5の残りの角度範囲でバルブリフト量を増大させるノーズ部11bとが設けられている。コントロールシャフト6の一端は油圧又は電動のアクチュエータ12に連結され、アクチュエータ12がガソリンエンジンの制御装置(図示略)によりエンジンの運転状態に応じて制御される。
ロッカアーム7は基端側のピボット13により上下に揺動可能に支持され、ピボット13がハウジング2に固定のホルダ14に高さ調整可能に螺合されている。ロッカアーム7の先端にはバルブ4を押圧する押圧部15が設けられ、ロッカアーム7の中間にベースローラ16がローラ軸17により回転可能に支持されている。案内部材8には一対のガイド部18が下方へ突設され、ガイド部18に下向きの案内面19がローラ軸17の軸線を中心とする円筒面20に含まれるように形成されている。
揺動アーム9は、コントロールシャフト6側においてロッカアーム7と案内部材8との間に位置する基端部22と、カムシャフト5側に位置する先端部23と、ロッカアーム7のベースローラ16に接触する下向きのカム面24とを備えている。基端部22には揺動アーム9の揺動支点となる支点軸25が設けられ、支点軸25上に案内部材8の案内面19に当接する一対の当接リング26が支持されている。先端部23には駆動カム11に接触する入力ローラ27が軸28によって支持されている。カム面24には、支点軸25の軸線を中心とする円筒面29に含まれる等半径部24aと、その円筒面29より下側(ロッカアーム7側)に広がるリフト部24bとが形成されている。
可変部材10はアーム31と一対のリンク32とを備えている。アーム31はコントロールシャフト6上に固定され、アクチュエータ12によって左右に回動される。リンク32の一端はアーム31の先端軸33に接続され、リンク31の他端が揺動アーム9の支点軸25に接続されている。そして可変部材10は、コントロールシャフト6の動力を用いて支点軸25の位置をカムシャフト5側とコントロールシャフト6側とに調整し、カム面24とベースローラ16との初期接点位置を変更するように構成されている。
次に、可変動弁機構1の作用を図4、図5に従って説明する。図4は揺動アーム9を最小の角度で動作させるときの状態を示す。このとき、可変部材10は揺動アーム9の支点軸25をコントロールシャフト6側へ引き寄せ、カム面24とベースローラ16との初期接点位置Pを等半径部24aの始端側に調整している。この状態で、カムシャフト5が駆動されると、図4(a)に示すように、駆動カム11のベース部11aが入力ローラ27に接触している期間中は、揺動アーム9が揺動せず、ロッカアーム7が静止し、バルブ4が閉鎖位置に保持される。
図4(b)に示すように、ノーズ部11bの頂点が入力ローラ27に接触すると、揺動アーム9が支点軸25を中心に下方へ揺動し、カム面24のリフト部24bがベースローラ16を押し下げる。しかし、初期接点位置Pが等半径部24aの始端側に設定されているので、リフト部24bとベースローラ16との接触範囲が限られ、ロッカアーム7が最小の角度で揺動する。従って、図6の曲線(イ)に示すように、バルブリフト量および作用角が共に最小化される。なお、図6の曲線(ホ)は排気バルブのリフト量と作用角を示す。
図5は揺動アーム9を最大の角度で動作させるときの状態を示す。このとき、可変部材10は支点軸25をカムシャフト5側へ移動し、初期接点位置Pを等半径部24aの終端側に変更している。しかし、案内部材8が揺動アーム9の当接リング26をベースローラ16と同心の案内面19に沿わせて案内するので、初期接点位置Pが変化しても、ロッカアーム7の初期位相には変化が生じない。このため、図5(a)に示すように、ベース部11aが入力ローラ27に接触している期間中は、揺動アーム9とロッカアーム7が共に静止し、バルブ4が閉鎖位置に保持される。
図5(b)に示すように、ノーズ部11bの頂点が入力ローラ27に接触すると、揺動アーム9が支点軸25を中心に下方へ揺動し、リフト部24bの終端側がベースローラ16に接触し、ロッカアーム7が最大の角度で揺動する。これにより、図6の曲線(ロ)に示すように、バルブリフト量および作用角が共に最大化される。従って、可変部材10で初期接点位置Pを変えることにより、図6の曲線(ハ),(ニ)に示すように、バルブ特性を任意の中間値に的確に制御することができる。また、初期接点位置Pを変えると、同時に駆動カム11に対する入力ローラ27の接点位相α,β(図4a、図5b参照)も変化する。このため、バルブリフト量の変化に連動し、リフト量が最大となるときのピーク位相が変化し、図6の曲線(イ)〜(ニ)に示すような自律位相タイプのバルブ特性が得られる。
ところで、この実施例の可変動弁機構1によれば、揺動アーム9をコントロールシャフト6から切り離し、入力ローラ27およびカム面24をそれぞれ駆動カム11とベースローラ16とに直接的に接触させているので、駆動カム11からロッカアーム7への動力伝達経路を揺動アーム9のみで簡単に構成することができる。また、揺動アーム9の当接リング26が案内部材31の案内面33に当接しているため、カムシャフト5の動力が揺動アーム9の基端部22でハウジング2側と可変部材10側とに分散する。従って、カムシャフト5の動力による可変部材10の保持力を小さくし、コントロールシャフト6を駆動するアクチュエータ12に小型・低出力の油圧又は電動機器を使用できる利点がある。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図7に示すように、可変動弁機構41の動弁部材にカップ型リフタ42を使用すること。カップ型リフタ42は、ハウジング2のガイド孔43にバルブ4の軸線方向へ摺動可能に嵌挿され、スプリング44で揺動アーム9側へ付勢されている。カップ型リフタ42の上面には、揺動アーム9のカム面24に接触するベースローラ45が支持され、ベースローラ45とカム面24との初期接点位置が可変部材10により前記実施例と同様に調整される。
(2)動弁部材にT字形のロッカアームを使用し、その両端に二つのバルブ押圧部を設け、一本のロッカアームで二本のバルブを駆動する二弁一体式の可変動弁機構を構成すること。
本発明の実施例を示す可変動弁機構の斜視図である。 図1の可変動弁機構の主要部を分解して示す斜視図である。 図1の可変動弁機構を左側から見た断面図である。 図1の可変動弁機構においてバルブリフト量を最小化するときの作用を示す機構図である。 図1の可変動弁機構においてバルブリフト量を最大化するときの作用を示す機構図である。 バルブリフト量と作用角の関係を示す特性図である。 本発明の変更例を示す可変動弁機構の断面図である。 従来の可変動弁機構を示す断面図である。
符号の説明
1 可変動弁機構
4 バルブ
5 カムシャフト
6 コントロールシャフト
7 ロッカアーム
8 案内部材
9 揺動アーム
10 可変部材
11 駆動カム
12 アクチュエータ
24 カム面
25 支点軸
26 当接リング
27 入力ローラ
41 可変動弁機構
42 カップ型リフタ

Claims (1)

  1. 駆動カムが設けられたカムシャフトと、アクチュエータに連結されたコントロールシャフトと、カムシャフトの回転に伴ってバルブを駆動する動弁部材と、動弁部材に対向する案内部材と、案内部材と動弁部材との間に位置する支点の周りで揺動可能な揺動アームと、コントロールシャフトの動力を用いて揺動アームの揺動支点となる支点軸をカムシャフト側とコントロールシャフト側とに調整する可変部材とを備え、揺動アームに駆動カムと接触する入力部と、動弁部材に接触するカム面と、案内部材に当接する当接部とを設け、可変部材がコントロールシャフト上に設けられたアームと、アームを揺動アームの支点軸に接続するリンクとを備えており、
    揺動アームは、コントロールシャフト側においてロッカアームと案内部材との間に位置する基端部と、カムシャフト側に位置する先端部とを備え、揺動アームの基端部に支点軸が設けられ、
    揺動アームと該揺動アームから両側方に突出した支点軸の両端部に接続された一対のリンクとの間の支点軸上に、揺動アームの基端部より小径の当接部としての一対の当接リングが支持され、
    案内部材には一対のガイド部が下方へ突設され、各ガイド部に形成された下向きの案内面が各当接リングに当接していることを特徴とする可変動弁機構。
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