JP4534460B2 - 銅めっき硬度維持剤及び銅めっき方法並びにそれを用いたグラビア版、レンズ金型 - Google Patents

銅めっき硬度維持剤及び銅めっき方法並びにそれを用いたグラビア版、レンズ金型 Download PDF

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Description

本発明は、銅めっき技術に関し、さらに詳細には、硬度、光沢性、レベリング性に優れるとともに、切削性に優れ加工安定性の良い銅めっき被膜層を形成することが可能な、めっき皮膜の硬度を長期間に渡り低下させることなく維持することができる銅めっき硬度維持剤及び銅めっきする方法並びにその銅めっき方法を用いて作製されるグラビア版及びレンズ金型に関する。
光沢のある銅めっき皮膜を得るため、銅めっき添加剤として、たとえば有機チオ化合物、酸素含有高分子化合物、有機酸アミド類などの有機化合物を組合わせて添加することが行なわれている。これらの添加剤は電解により消耗され、流した電気量に比例して補充することが一般に行われている。
下記に、特許文献1を示す。
特開平6−173097号公報 たとえば、スルホールを有するプリント基板の銅めっきを良好な均一電着性を実現し、めっき液の寿命を長期に安定させるために添加剤濃度の測定はCVS法(Cyclic Voltammetric Stripping)により行なわれている例がある。(特許文献1参照) グラビア版の作製においては、鉄製シリンダーの芯上にニッケルめっきまたはシアン化銅めっきを着けてその上層に硫酸銅めっきによるめっきを電着させている。その後、銅めっきを研磨して平面を出し、剥離処理して更に彫刻またはエッチングを行う加工する層を添加剤含有の硫酸銅めっき浴から電解により着けている。この加工面の銅めっきはダイヤモンド針による切削性を良好にするため種々の添加剤を加えるのが一般的である。
従来、この硫酸銅めっきの添加剤として硬度維持剤としてチオ尿素誘導体、染料などの有機化合物の添加が行なわれていた。
染料系有機化合物を長年使用しているとめっき槽内に分解物の蓄積が多く見られ、安定して維持管理するのが難しい。またこれを適正量添加させているにもかかわらず、硬度が保管により著しく低下するのが見られる。
銅めっきを行う場合、硬度維持剤の他に表面光沢を出すために光沢剤、焼けなどを防止するために抑制剤、レベリング性を良好にするためレベリング剤を添加してめっきしている。硬度維持剤としてチオ尿素系有機化合物誘導体を使用する場合、これを単独または光沢剤、抑制剤、レベリング剤と併用して使用する場合がある。しかしながら、単独で用いる場合、チオ尿素系有機化合物誘導体ではめっき液中の性状が明確に分かっておらず、分析による維持管理が困難であった。また、染料系有機化合物を長年添加して使用しているとめっき槽内に分解物の蓄積が見られ、安定して維持管理することが難しく、できるだけ分解物が発生しない添加剤が望まれていた。
グラビア版、これを利用したレンズ金型、または平型板を切削して作製するフレネル金型は切削性を良好にするため硬化剤を添加して、ビッカース硬度Hv190〜220範囲
に保っている。硬度を上げるために、硬化剤としてチオ尿素誘導体が単独で添加される場合もある。
しかしながら、硬化剤を光沢剤、抑制剤、レベリング剤と併用してめっき液中に添加する場合、CVS法では他の成分の影響を無くすことができず、これらの成分の分析管理ができない。ハルセルなどの目視試験でのみ可能であるが、数値管理によるきめ細かい管理ができなかった。
下記に、特許文献2を示す。
特開2000−146586号公報 そこで、たとえばめっき液中のイオウ化合物濃度をICP発光分析装置を用いて、20〜60mg/Lに維持管理してめっきすると、良好な銅めっき層が得られる例がある。(特許文献2) しかしながら、特に銅めっき方法を用いてグラビア版やレンズ金型を作製する場合、めっき液中のイオウ化合物濃度の管理だけでは不十分であって、グラビア版の硬度が経時変化を起こしたり、スタイラス針の欠損が発生したり、めっき後の加工が安定しなかった。レンズ金型を切削する場合、レンチキュラーレンズの形状が設計値と異なるなど良好に切削できない場合が生じた。さらに、フレネルレンズ金型作製においては、添加剤管理が適正に添加されていないとバリ発生とか、バイトの切削途中での欠損等の不具合が発生するという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、硬度維持剤添加量により硬度が変化するが、これの分解物の蓄積ができるだけ少なく安定して使用でき、ある一定量添加すると銅めっき皮膜硬度が数年変化を起こさず、グラビア版用シリンダーを彫刻機で加工しグラビア版を作製する場合スタイラス針の欠損の起こり難い、またはフレネルレンズ金型においては金型山部のダレの起こらない銅物性皮膜にすることができる硬度維持剤及び硬度、光沢性、レベリング性に優れるとともに、切削性に優れ加工安定性の良い銅めっき被膜層を形成することが可能な銅めっき方法並びにその方法を用いて作製されるグラビア版及びレンズ金型を提供することを目的とする。
発明者等は、有機イオウ化合物濃度管理だけでは十分ではなく、硬化剤になりうる有機窒素含有高分子化合物からなる硬度維持剤の濃度に着目してこれを適正に管理し、硬度、光沢性、レベリング性を良好にして加工安定性の良い銅めっき皮膜を形成できることを発見し、本発明に至ったものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、めっき液中に添加することにより、電解銅めっきによる銅めっき皮膜の硬度を、長期間にわたり低下することがなく維持できる有機高分子化合物からなり、該有機高分子化合物は、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、又はポリ(オクタメチレンアミノトリアゾール)の構造式中に窒素原子を含んだ有機高分子化合物であって、該窒素含有ポリマーの添加量が40ppm以上では該電気銅めっきから40日後でも銅めっき被膜のビッカース硬度が180以上を維持すること、を特徴とする銅めっき硬度維持剤である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の銅めっき硬度維持剤を使用する銅めっき方法であって、前記有機高分子化合物の濃度が20〜80ppmであるめっき液を用いて、被めっき対象物に通電することにより表面に銅めっき層を形成することを特徴とする銅めっき方法である。
また、請求項3に係る発明は、前記有機高分子化合物の濃度が60〜80ppmであることを特徴とする請求項2に記載の銅めっき方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記窒素含有化合物の濃度を維持管理して、被めっき対象物表面にめっき層を形成すること、を特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の銅めっき方法である。
また、請求項5に係る発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の銅めっき方法を用いてなること、を特徴とするグラビア版である。
また、請求項6に係る発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の銅めっき方法を用いて、金属板上に銅切削層を設け、該切削層にレンズパターン形状と逆形状の型を切削形成してなること、を特徴とするレンズ金型である。
また、請求項7に係る発明は、前記レンズパターンが、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズ、もしくはプリズムレンズのいずれかのパターンであること、を特徴とする請求項6記載のレンズ金型である。
また、請求項8に係る発明は、請求項6又は7のいずれかに記載のレンズ金型の表面に、更に極薄のクロムめっき、無電解ニッケルめっき、もしくは電解ニッケルめっきのいずれかのめっきを施したこと、を特徴とするレンズ金型である。
本発明により、銅めっき硬度維持剤が非染料系化合物であるために長期間使用しても分解物の蓄積が少なく、所定量添加すれば長期間硬度低下することもなく所望硬度の銅皮膜が得られるようになり、安定して良好なグラビア版またはフレネルレンズ金型が作製できる。硬度維持剤としての窒素含有高分子化合物濃度が20〜80ppm、より好ましくは60〜80ppmの範囲のめっき液を用いてその濃度を管理することで、硬度、光沢性、レベリング性に優れるとともに、切削性に優れ加工安定性の良い銅めっき被膜層を形成することが可能な銅めっき方法を提供することが可能となった。
また、切削性に優れ加工安定性の良い銅めっき被膜層が得られることから、切削工具の寿命も延ばすことができるようになり製版工程の原価低減に貢献することができる。
また、本発明の方法を用いることで、高精度のグラビア版及びレンズ金型を提供できる。
まず、硬度維持剤を光沢剤,抑制剤,レベリング剤と共存させて添加する場合の銅めっき方法について説明する。めっき液組成は硫酸銅を150〜270g/L望ましくは200〜240g/L、硫酸を40〜100g/L望ましくは40〜80g/L、塩素イオンを50〜150ppm望ましくは80〜120ppmを含まれる液にグラビア版用シリンダーをアルカリ脱脂、酸による活性化を行い、めっき槽でめっきを行う。塩素イオンの供給は塩酸,塩化ナトリウムなどの塩素含有化合物の何れでも良い。
本発明で用いられる硬度維持剤としては、たとえばポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(オクタメチレンアミノトリアゾール)、ポリ(アリルアミン)などの窒素を含む有機高分子化合物を用いることができる。
硬度維持剤以外の添加剤について、光沢剤として、たとえばビス(2−スルホプロピル)ジサルファイド(2ナトリウム塩)、ビス(3−スルホプロピル)ジサルファイド(2ナトリウム塩)、ビス(4−スルホブチル)ジサルファイド(2ナトリウム塩)、ビス(p−スルホフェニル)ジサルファイド(2ナトリウム塩)、チオ尿素、S―(2−エチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウム、S―(4−ブチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウム、S―(3−プロピルアミド)−チオプロパン酸ナトリウム、S―(3−プロピルアミド)−チオベンゼンー4−酸ナトリウム、3−(ベンゾチアゾリルー2−チオ)プロピルスルホン酸ナトリウム、等のチオ尿素およびこの有機チオ化合物誘導体を用いることができる。抑制剤として、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンーポリプロピレングリコールなどの酸化エチレン、酸化プロピレンとそれらの共重合体またはブロック共重合体、ポリビニールアルコール、カルボキスセルロース、ステアリン酸―ポリエチレングリコールエーテル、ステアリルアルコールーポリエチレングリコールエーテル、ノニルフェノールーポリエチレングリコールエーテル、オクチルフェノールーポリエチレングリコールエーテル、等の酸素含有有機高分子化合物を用いることができる。レベリング剤として、たとえばアセトアミド、プロピルアミド、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N―ジメチルアクリルアミド、N,N―ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N―ジフェニルアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド)、等の有機酸アミド類を用いることができる。
被めっき対象物はグラビア版シリンダー、レンチキュラー用金型、フレネルレンズ成形金型、マイクロレンズ成形金型の何れでもにも適応が可能である。めっき条件はグラビア版シリンダー、レンチキュラー用金型、マイクロレンズ成形金型は陰極電流密度Dk=20〜30A/dm2で行なわれ、フレネルレンズ金型用のめっきは陰極電流密度Dk=3〜8A/dm2で行なうのが良い。特に平板状の金属板にめっきする場合は電着応力により歪みが発生するため、このような低い電流密度でめっきを行なった方が良い。めっき温度は25〜45℃の範囲であればいずれでも良いが、高電流密度でめっきを行なう場合は温度を高くした方が表面の焼けの発生を押さえることができる。
何れの被めっき対象物に銅めっきを電着させた後、表面を砥石で研磨し最終的にはバフで研磨して下地を作製する。何れもダイヤモンド製の切削工具を用いて所望のパターンに切削を行なう。この切削を行なう場合、被切削物の硬度管理が重要であり、これを一定範囲に収めないとバリなどの発生があり、形状が設計値を異なることさえ発生する。グラビア用シリンダーではヘリオ彫刻機で作製する場合、硬度が低いとセルにバリが発生しやすく形状が所望のものが得られず、望むグラデーションカーブを描く版の作製が困難である。レンチキュラー金型またはフレネル用金型の作製においては、切削条件として周速、切込み深さなどが重要であり、また素材である銅めっきの硬度を所定の範囲で管理する必要がある。硬度としてビッカース硬度を測定し、硬度範囲はHv180〜240望ましくはHv190〜210程度の範囲に収めると良い。
これらの添加剤の管理方法とし、従来から有るCVS(Cyclic Voltammetric Stripping)法では切削に用いる硬化剤を含むめっき液中の添加剤は分析管理することが困難とされ、ハルセル試験により目視試験の結果で管理してきた。一方、プリント配線基板などに用いられている添加剤は光沢剤、抑制剤、レベリング剤から構成されており、硬化剤が含まれていないためCVS法で容易に分析管理が行なわれている。本発明の銅めっき方法はハルセル試験によらず、窒素含有高分子化合物、有機イオウ化合物を分析機器を用いて分析管理することができることを特徴とする。すなわち、窒素含有高分子化合物は高速液体クロマトグラフ分析装置(HPLC)を用いて、有機イオウ化合物はキャピラリー電気泳動/質量分析装置(CE/MS)を用いて分析管理することが可能になった。
グラビア版シリンダーは、彫刻後表面の酸化防止と硬度上昇のためクロムめっきを行なう。レンチキュラー金型、フレネル金型、マイクロレンズ金型は切削後、同様な目的のため無電解ニッケルめっきまたは電解ニッケルめっきを数μm以下のめっき厚でレンズパターン表面へ形成させる。
以下に本発明の実施例を更に詳しく説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
硫酸銅濃度210g/L、硫酸濃度60g/L、塩素イオン濃度90ppmの溶液に、S―(2−エチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウムを60ppm、ポリエチレングリコール50〜250ppm、ポリ(アクリルアミド)50〜150ppm、ポリ(ビニルアミン)50ppmを添加し、浴温度を35℃に保ちグラビア版シリンダーをめっきした。光沢剤はキヤピラリ電気泳動装置を用いて分析し、減少量の補充を行ない初期添加量±10ppmの範囲で補充管理するようにした。以上の方法によりめっきされた層のビッカース硬度はHv210であった。
次に得られたグラビア版シリンダーをヘリオ彫刻機で彫ると、良好なセル形状が形成され、切削途中でスタイラス針の欠損が起こることなく良好なグラビア版を作製することができた。添加剤を管理して数百本のグラビア版を作製すると、スタイラス針の欠損が
ほとんど起こらずにヘリオ切削工程での損版率が0.1〜0.3%と押さえることができた。
<実施例2>
硫酸銅濃度210g/L、硫酸濃度60g/L、塩素イオン濃度90ppmの溶液に、S―(2−エチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウムを60ppm、ポリエチレングリコール50〜250ppm、ポリ(アクリルアミド)50〜150ppm、ポリ(ビニルアミン)50ppmを添加し、浴温度を35℃に保ちフレネルレンズ金型用真鍮板にめっきした。光沢剤はCE/MS装置を用いて分析し、めっき時間が長いため途中において減少量の補充を行い初期添加量±10ppmの範囲で補充管理するようにした。以上の方法によりめっきされた層のビッカース硬度はHv210であった。
次に、得られたフレネルレンズ用めっき板を立型旋盤で切削すると、良好なフレネルレンズ形状が形成され、切削途中で専用バイトの欠損が起こることなく良好なフレネルレンズ金型を作製することができた。表面光沢も良好でフレネル金型山部分のダレが無く均一な切削ができるようになった。
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
めっき液組成は実施例1と同様にして、S―(2−エチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウムを60ppm、ポリエチレングリコール50〜250ppm、ポリ(アクリルアミド)50〜150ppm、ポリ(ビニルアミン)10ppmを添加し、浴温度を35℃に保ちグラビア版シリンダーをめっきした。得られた銅めっき層は光沢良好でレベリング性も良好であったが、ビッカース硬度がHv170であった。得られたグラビア版シリンダーをヘリオ彫刻機で彫ると、セル形状の変形が見られバリが発生しやすく、グラビア版として使用できような品質ではなかった。
<比較例2>
めっき液組成は実施例1と同様にして、S―(2−エチルアミド)−チオプロパン酸ナトリウムを15ppm、ポリエチレングリコール50〜250ppm、ポリ(アクリルアミド)50〜150ppm、ポリ(ビニルアミン)200ppmを添加し、浴温度を35℃に保ちグラビア版シリンダーをめっきした。得られた銅めっき層の光沢は良好であったが、ビッカース硬度はHv250であった。得られたグラビア版シリンダーをヘリオ彫刻機で彫ると、セル形状は良好であったが、セル内にスジが目立ちスタイラス針が切削途中で欠損が起こる場合が見られた。
次に、以上の実施例とは別に、硬化剤となる窒素含有高分子化合物として、窒素含有水溶性ポリマー(以下窒素含有ポリマー)を単独に添加し、この添加量を変えた場合の銅めっき硬度の経時変化を起こす機構を考察した。
<実験1>
まず、めっき液組成として、次のように作成した。
・硫酸銅・5水塩 0.9M
・硫酸 0.6M
を基本浴として、この液に更に
・塩素イオン 120ppm
・SPS(Bis(3−sulfopropyl)disulfide disodium salt) 50ppm
・PEG(polyethylene glycohol) 200ppm
を添加し、これに窒素含有ポリマーを5,15,20,40,60,80,100ppmになるようにそれぞれ添加したものをめっき液として用いた。
次に、各めっき液でめっきを行い、室温で放置してビッカース硬度を測定した。
更に、銅めっき硬度の経時変化の機構を考察する為、銅めっき皮膜中の硫黄元素、炭素元素、水素元素の分析を行った。
図1に、硬度維持剤としての窒素含有ポリマー添加量の違いによる銅めっき硬度の経時変化を示す。図面上、ppmがmg/L表記になっているが、これは同じ意味である。これによると、窒素含有ポリマーの添加量が20ppmであると、めっき後約30日で急速な低下が見られ、ビッカース硬度も180より下がってしまった。これが40ppmでは、めっき後、徐々に硬度が低下していることが判り、40日後でもビッカース硬度が180以上を維持している。また、60ppm以上の添加量では、測定期間内での硬度低下がほとんど見られず、ビッカース硬度も220〜240を維持している。
また、銅めっき皮膜を燃焼法によって元素分析を行った。その結果を図2に示す。図面上、ppmがmg/L表記になっているが、これは同じ意味である。窒素含有ポリマー添加量が0〜60ppmの添加までは、窒素含有ポリマー添加量の増大に伴って、硫黄原子、炭素原子の皮膜中の含有率は増大するが、窒素含有ポリマー添加量が60ppmを越えた領域では、これらの元素の増加傾向が若干鈍っている。一方、水素原子はこの窒素含有ポリマーの添加量が0〜100ppmの添加までは、窒素含有ポリマー添加量の増大に伴って、含有率は増大するが、その後は増加が鈍っている。
<実験2>
次に、硬度維持剤としての窒素含有ポリマーの添加量を5,10,20ppmとした以外は、実験1と同一の組成のめっき液を用意した。そして、各めっき液でめっきを行い、室温で放置してビッカース硬度を測定した。
この測定に関連しては、それぞれの銅めっきに対して、FIB(Focuced Io
n Beam System,収束イオンビーム装置)によって結晶面をエッチングし、SIM(Scanning Ion Microscope,走査イオン顕微鏡)により結晶組織を観察した。
この時の銅めっき硬度の経時変化を図3に示す。図面上、ppmがmg/L表記になっているが、これは同じ意味である。また、図3に示した窒素含有ポリマーの添加量が20ppmの時の結晶組織のSIM像を図4に示した。図4の撮影条件は、いずれも倍率が7500倍で行った。
その結果、窒素含有ポリマー添加量20ppmにおいては、めっき後30日までは、ビッカース硬度が240近辺を維持しており、その時の結晶粒径は0.3〜0.5μmと小さいが、これが30日を越えると、ビッカース硬度が急激に落ち込んで180を割り込むようになった。そこで、36日時点のSIM像を見ると、急激に粒径の増大が見られ約4〜10μm以上に成長していることが判った。これらの結果から、硬度低下の原因は結晶粒径の粗大化にあることが示唆された。
以上の実験1及び実験2の結果を見ると、銅めっき皮膜の硬度は窒素含有ポリマー添加量が60ppmより少ない添加では経時により低下するが、60ppm以上では硬度の経時変化が見られず、また、硫黄元素と炭素元素のめっき膜中の含有率の増加が鈍るといった現象を示している。これらのことから、銅めっき硬度は、これらの硫黄元素と炭素原子が結晶粒界に偏析し、ピン止め効果により結晶成長を抑制しているものと推察される。従って、銅めっき硬度の経時による低下(時効軟化現象)機構は、水素元素と炭素原子の含有量が不十分なために、結晶成長が進んでしまうことによるものと推察される。このことより、窒素含有ポリマーが60ppm以上の添加では硬度の経時変化が見られない。
以上、ビッカース硬度の観点から、窒素含有ポリマーの分量を論じてきたが、この窒素含有ポリマーが60ppm以上であると経時変化が無くなることがわかったが、実験1での窒素含有ポリマーを100ppm入れためっき液での銅めっき皮膜は、脆くなる傾向が出ていた。従って、窒素含有ポリマーは60〜80ppmが好ましい値であることがわかった。また、30日程度の短期間であれば、20〜60ppmの濃度でも、必要な銅めっき硬度が保てることがわかった。
窒素含有ポリマー添加量の違いによる銅めっき硬度の経時変化を示すグラフである。 窒素含有ポリマー添加量の違いによる銅めっき皮膜中の硫黄元素、炭素元素、水素元素の含有率を示すグラフである。 窒素含有ポリマー添加量の違いによる銅めっき硬度の経時変化を示す別のグラフである。 図3の銅めっき組織のSIM像を示す図である。

Claims (8)

  1. めっき液中に添加することにより、電解銅めっきによる銅めっき皮膜の硬度を、長期間にわたり低下することがなく維持できる有機高分子化合物からなり、
    該有機高分子化合物は、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、又はポリ(オクタメチレンアミノトリアゾール)の構造式中に窒素原子を含んだ有機高分子化合物であって、該窒素含有ポリマーの添加量が40ppm以上では該電気銅めっきから40日後でも銅めっき被膜のビッカース硬度が180以上を維持すること、
    を特徴とする銅めっき硬度維持剤。
  2. 請求項1に記載の銅めっき硬度維持剤を使用する銅めっき方法であって、
    前記有機高分子化合物の濃度が20〜80ppmであるめっき液を用いて、被めっき対象物に通電することにより表面に銅めっき層を形成することを特徴とする銅めっき方法。
  3. 前記有機高分子化合物の濃度が60〜80ppmであることを特徴とする請求項2に記載の銅めっき方法。
  4. 前記窒素含有化合物の濃度を維持管理して、被めっき対象物表面にめっき層を形成すること、を特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の銅めっき方法。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載の銅めっき方法を用いてなること、を特徴とするグラビア版。
  6. 請求項2乃至4のいずれかに記載の銅めっき方法を用いて、金属板上に銅切削層を設け、該切削層にレンズパターン形状と逆形状の型を切削形成してなること、を特徴とするレンズ金型。
  7. 前記レンズパターンが、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズ、もしくはプリズムレンズのいずれかのパターンであること、を特徴とする請求項6記載のレンズ金型。
  8. 請求項6又は7のいずれかに記載のレンズ金型の表面に、更に極薄のクロムめっき、無電解ニッケルめっき、もしくは電解ニッケルめっきのいずれかのめっきを施したこと、を特徴とするレンズ金型。
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