JP4533564B2 - 成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性に優れた積層体の成形品に関し、詳しくは、基材層の片面又は両面に導電層と非導電層とを順次積層してなる、導電性に優れ、カーボン脱落、埃付着等による梱包品の汚染が解消された積層体の熱成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話端末の大幅な普及など、IT関連に関する機器等に使用する電子部品の需要増大に伴い、電子部品搬送用包材の需要も増加しており、さらに、近年の電子部品の高性能化により搬送用樹脂包材に対する品質も厳しい要求がでてきている。
【0003】
従来、ICやLCDなどの電子部品等の搬送用樹脂包材の包装形態としては、インジェクショントレー、真空成形トレー、マガジン、エンボスキャリアテープなどが使用されており(特開平3−88213号公報参照)、これらの樹脂包装容器には、静電気によるIC等の破壊を防止する方法として、(1)包装容器の表面に帯電防止剤を塗布する方法、(2)導電性塗料を塗布する方法(特開平7−164601号公報参照)、(3)樹脂に帯電防止剤を配合させる方法(特開2000−318080号公報参照)、(4)導電性フィラーを配合させる方法(特開平9−76422号公報)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記(1)の方法は、塗装直後は十分な帯電防止効果を示すが、長時間の使用により、帯電防止剤の水分による流出、磨耗による脱離が生じ易く安定した性能が得られない。また表面固有抵抗値も10〜1012Ω程度であり、厳しい帯電防止効果を要求される電子部品の包装には不適当である。上記(2)の方法は、製造時において導電性塗料の塗布が不均一となり易く、また磨耗による剥がれ落ちのため帯電防止効果を失い、ICを破壊すると共にICのリード部を汚染するという欠点がある。上記(3)の方法は、帯電防止剤を多量に添加する必要があるため樹脂の物性を低下させ、また表面固有抵抗値が湿度により大きく影響され安定した性能が得られない。
【0005】
上記(4)の方法の導電性フィラーとしては、(a)金属粉末(特開昭61−236841号公報参照)、(b)カーボンファイバー(特開昭64−26435号公報参照)、(c)カーボンブラックなどが挙げられている。このうち(a)金属微粉末及び(b)カーボンファイバーは、少量の配合量で十分な導電性が得られるが成形性は、著しく低下し、また均一に分散させることが難しく、かつ成形品の表面に樹脂成分のみのスキン層ができ易く、安定した表面固有抵抗値が得られにくい。これに対して、(c)カーボンブラックは、混練条件等の検討により均一に分散させることが可能であり、安定した表面固有抵抗値が得られ易いことから一般的に使用されている。
【0006】
しかしながら、カーボンブラックは、樹脂に対して比較的多量に配合する必要があり、このようなカーボンブラックを多量に配合した組成物の成形品は、包装部品などとの接触などによる磨耗、もしくは自然条件による成形品の表面からカーボンブラックが脱離し易いという欠点があり、電子部品等を汚染する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる欠点を解決するものであり、包装部品との接触時の磨耗などによるカーボンブラック等の脱離が原因となる部品の汚染を無くした、導電性積層体の成形品を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、基材層に特定の表面固有抵抗値を有する導電層と特定の表面固有抵抗値と厚さを有する非導電層とを順次積層した積層体が、カーボンブラック等の脱離がなく、電子部品等の包材として、優れた性能を有することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、基材層の片面又は両面に、熱可塑性樹脂40〜95重量%と導電性フィラー5〜60重量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物(I)からなり、かつ、表面固有抵抗値が10Ω/cm未満である導電層と、表面固有抵抗値が10〜1017Ω/cmである熱可塑性樹脂組成物(II)からなる厚さ0.1〜20μmの非導電層とが順次積層された、表面固有抵抗値が1013Ω/cm以下である導電性積層体を熱成形してなる成形品が提供される。
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、導電性フィラーが、導電性カーボンであることを特徴とする第1の発明に記載の成形品が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする第1又は2の発明に記載の成形品が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
1.基材層
本発明の導電性積層体の基材層は、シート状に加工できる熱可塑性樹脂であれば、何ら制限なく使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル、ポリアミドイミド等が挙げられる。これらの樹脂には各種添加剤、改質剤、無機フィラー等が配合されていても良い。さらに、コスト面から考えると、熱可塑性樹脂のリサイクル材、スクラップ材、廃材等が成形性を損なわない程度に配合されていても構わない。上記樹脂の中では、リサイクル性の観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。また、基材層は、一層でも二層以上であってもよい。
【0015】
2.導電層
本発明の積層体における導電層を構成する熱可塑性樹脂組成物(I)は、熱可塑性樹脂と導電性フィラーとからなる組成物である。熱可塑性樹脂は、基材層と同様に何ら制限されることなく使用することができ、上記と同様の熱可塑性樹脂が挙げられ、リサイクル性の観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0016】
導電性フィラーとしては、導電性カーボンが好ましい。導電性カーボンとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられ、単一成分であっても二種以上の混合物であっても良い。導電性カーボンは、特に制限は無いが、中でも平均粒径(一次粒径)が50μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1μm以下のものが樹脂への添加量が少量で良好な導電性が得られるので好ましい。好ましい導電性カーボンとしては、例えば、S.C.F.(Super Conductive Furnace)、E.C.F.(Electric Conductive Furnace)、ケッチェンブラック(ライオン−AKZO社製商品名)及びアセチレンブラックなどの市販品がある。
【0017】
熱可塑性樹脂と導電性フィラーとの配合割合は、熱可塑性樹脂が40〜95重量%、好ましくは55〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%であり、導電性フィラーが5〜60重量%、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%である。導電性フィラーの配合割合が、5重量%未満では満足な表面固有抵抗値が得られず、また配合量が60重量%を超えると分散が不均一となり機械強度等が低下し、また押出加工が困難になる。
【0018】
また、導電層は、その表面固有抵抗値が10Ω/cm未満であり、好ましくは10Ω/cm以下であり、より好ましくは10Ω/cm以下である。10Ω/cm以上であると全体としての表面抵抗が低下する。
【0019】
3・非導電層
本発明の積層体における非導電層を構成する熱可塑性樹脂組成物(II)は、熱可塑性樹脂を主成分とする。熱可塑性樹脂は、基材層と同様に何ら制限されることなく使用することができ、上記と同様の熱可塑性樹脂が挙げられ、リサイクル性の観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0020】
また、非導電層は、その表面固有抵抗値が10〜1017Ω/cmであり、好ましくは10〜1016Ω/cmであり、より好ましくは1010〜1016Ω/cmである。10Ω/cm未満であると性能的にはなんら問題はないが、導電層の存在が意味をなさない。一方、1017Ω/cmを超えると導電不良を起こす。
【0021】
4.熱可塑性樹脂組成物の製造
また、本発明のすべての層に対して、必要に応じて基本的性質を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂に各種の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、安定剤、染顔料、滑剤、核剤、紫外線吸収剤、充填剤、剛性を付与する無機フィラー、及び柔軟性を付与するエラストマー等も添加することができる。樹脂組成物は、各樹脂原料を、混合或いは、押出機、バンバリーミキサー、ニーダールーダー等を用いて溶融混練し、あるいは溶融混練物をさらに適当な大きさの粒状に固化形成して、製造される。すなわち、最終的に得られる成形物において、各成分の配合量、層構成が前記の範囲内であって、さらに実用上問題ない混合状態であれば、熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分の配合方法や工程はいかなるものであってもよい。
【0022】
5.積層体
本発明の積層体は、基材層の片面または両面に導電層と非導電層とが順次積層されてなる。層構成としては、基材層/導電層/非導電層、非導電層/導電層/基材層/導電層/非導電層が例示できる。各層に用いる樹脂は、層間の接着性を保持するために同系統の材料を用いることが好ましいが、成形品の必要性能に応じ、例えば、ヒートシール性とガスバリア性が必要な場合には、非導電層にポリエチレン樹脂、導電層にポリエチレンテレフタレート樹脂を配しても構わない。また層間接着のためにマレイン化ポリプロピレンなどの接着性樹脂層を配することもできる。
【0023】
基材層の厚さは、最終成形品の用途に応じて調整すれば良く、通常0.01〜10mm程度である。また、基材層は、用途によっては単層に限らず多層にすることも可能である。導電層の厚さは、特に制限的ではないが、薄いと成形品の安定した導電性が発現しない場合があり、また厚すぎるとコストアップの原因となり、成形不良を起こす場合もあるので、好ましくは5〜100μmの範囲から選択される。非導電層の厚さは、0.1μm〜20μmであり、好ましくは0.5μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μmである。非導電層の厚さが0.1μm未満であると厚みのコントロールが困難であり、安定した導電層が発現しない。また、20μmを超えると導電不良をおこす原因となる。
【0024】
本発明の積層体全体の表面固有抵抗値は、1013Ω/cm以下である。表面固有抵抗値が、1013Ω/cmを超えると十分な帯電防止効果が得られない。また、表面比抵抗値が小さすぎると通電により内容物を破壊す恐れがあるので、10〜10Ω/cmが好ましい。
【0025】
本発明の積層体においては、導電性フィラーを有する導電層を非導電層が覆うので、導電カーボンの脱離が起こらない。さらに驚くべきことに、最表面が非導電層であるにもかかわらず表面固有抵抗値は導電層の同等の値を有し、電子部品等の包材として充分な導電性を示すことがわかる。
【0026】
6.積層体の製造
本発明における積層体の製造は、公知の製造方法に従うことができる。樹脂原料をフィードブロック、マルチマニホールドダイ等を使用し溶融状態でシート状に押出すと同時に積層し、その後に冷却固化して積層体とする共押出法、フィルム又はシート状に成形したもの同士を溶融樹脂や接着剤等によって張り合わせるラミネーション法、一方のシートに他方を溶融状態で積層した後に直ちに冷却固化し積層シートを得る熱ラミネーション法、もしくは押出コーティング法等が挙げられる。これらのうち薄い表面層を積層しやすいという観点で、共押出法が好ましい。
【0027】
また、積層体の表面平滑性を向上するために、冷却固化過程においては、フィルム又はシート状に押し出された溶融樹脂を表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法が採用でき、一旦表面の平滑性にかまわず平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が採用できる。また、非連続的に製造する方法としては、一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でないシートを、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に供給し、板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙げられる。以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベルトで連続的に成形する方法が好ましい。
【0028】
7.熱成形品
本発明の導電性積層体は、各種の熱成形法により、シートから所望形状の成形品に加工される。熱成形法としては、通常の差圧を利用した、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形法、片板熱成形法等を用いることができる。具体的には、所定温度に加熱した熱成形用シートを成形金型を用いて、目的とする製品形状に加工される。シートの加熱温度(成形温度)としては、材料によって異なるが、主にポリプロピレンを用いた場合、100〜190℃、好ましくは110〜140℃が選択される。金型温度は、通常20〜100℃の範囲で、シート温度より50〜150℃低い温度に保持される。シートの加熱温度が上記未満では成形性に劣り、高温過ぎては過剰流動を起こし、いずれも成形品に対して厚み変動の原因となり好ましくない。その他、真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種成形条件は、プラグの形状や余型形状乃至原料シートの材料、性質等により適当に設定される。
【0029】
8.熱成形品の用途
本発明の積層体を熱成形して得られる熱成形品は、導電性に優れ、埃付着の少ない、また導電カーボン等の脱落のない内容物の汚染防止性が優れているので、従来使用することが不可能であった電子部品搬送用トレー等の用途に好適に用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における評価方法、使用原料、積層体製造方法は以下の方法によって行った。
【0031】
1.評価方法
(1)表面固有抵抗の測定:ADVANTEC社のUltra High Voltage Resistance Meter R8340を用いた。測定は12センチのリング電極を用い、測定電圧500Vにおいて測定し、その際の補正に関し電極係数18.84を用いた。
【0032】
(2)カーボン脱離試験:A4版中性紙をシート表面に圧力約10kg/cmで圧着し、圧力を保持したまま30cm横に滑らせた後、中性紙表面のカーボン付着具合を評価した。評価基準として、○全くカーボンの付着が見られない、×微量でもカーボン付着がみられる、という基準で評価を行った。
【0033】
2.使用原料
(1)ブロックポリプロピレン:B−PP(日本ポリケム製 ノバテックPP BC4,MFR=6.5)
(2)ホモポリプロピレン:H−PP(日本ポリケム製 ノバテックPP MA3、MFR=11)
(3)直鎖状低密度ポリエチレン:LLDPE(日本ポリケム製 ノバテックLL UJ960 MFR=5.0)
(4)ポリエチレンテレフタレート:PET(三菱化学社製ポリエチレンテレフタレート ノバペックス)
(5)ポリ塩化ビニル:PVC(ヴイテック社製ポリ塩化ビニル MT1100重合度1100)
(6)タルクマスターバッチ:(日本ポリケム製 TX1778MB)
(7)カーボンブラックマスターバッチ:CB1(三菱化学社製ECX−A304NW MFR=0.03g/10分、表面固有抵抗1.0×10Ω/cm、カーボン一次粒径40nm、カーボン含有量40重量%、希釈剤ノバテックPP BC4)
(8)カーボンブラックマスターバッチ:CB2(三菱化学社製ECX−2501 MFR=1.5g/10分、表面固有抵抗1.0×10Ω/cm、カーボン一次粒径35nm、カーボン含有量35重量%、希釈剤ノバテックPP BC4)
【0034】
3.積層体の成形
(1)成形装置:ポリッシング3本ロール式シート成形機を用いた。装置の基本構成は、単軸押出機(40mmφ、L/D=28、2台使用)/フィードブロック/コートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り機/巻き取り機である。
(2)成形条件:
a.原料調整:基材層、導電層及び非導電層の原料となる各樹脂チップをドライブレンドによって混合し、これをシート成形磯の各押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶融混練しながら共押出成形し、5層構造の積層体シートを製造した。
b.押出機:押出機は、各層ともスクリュー径40mm、L/D=25.5の押出機を使用した。
c.押出温度の設定:押出機は、最上流を180℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230℃とした。
d.ダイリップの開度:0.7mmとした。
e.エアギャップ:ダイリップ先端からロールまでの距離は150mmとした。
f.引取機:溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロール内部は、定温度のオイルの循環によって冷却される構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は0.5mmとし、厚さ0.50mmのシートを得た。
g.引き取り速度:1.0m/分
【0035】
4.積層体容器成形品の成形
積層体シートを、間接加熱式圧空成形機((株)浅野研究所製、コスミック成形機)を使用して、圧空圧力5kg/cmの条件で、縦13cm、横18cm、探さ1cmの容器を成形した。シートは、シートから20cm離れた位置にある上下ヒータを450℃に保持して加熱され、加熱時間を変化させることにより最良の外観を得られたものを得るようにした。
【0036】
実施例1
基材層としてB−PPとタルクマスターバッチからなる熱可塑性樹脂組成物(配合重量比:70/30)を用い、導電層用樹脂組成物としてB−PP(33重量%)とCB1(67重量%)からなる樹脂組成物を用い、非導電層としてH−PPを用い、各樹脂層を非導電層/導電層/基材層/導電層/非導電層(厚み:2.5μm/30μm/440μm/30μm/2.5μm)の構成になるように、共押出法で成形し、断面が図1に示すような5層の積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、導電層に用いた樹脂組成物、非導電層に用いた樹脂組成物を原料としてそれそれ単層シートを得、それらの表面固有抵抗を測定したところ、導電層樹脂は、6.87×10Ω/cmであり、非導電層樹脂は、2.10×1014Ω/cmであった。
【0037】
実施例2
導電層に使用するカーボンブラックマスターバッチをCB2とした以外は、実施例1と同様にして積層シートを成形した。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、導電層に用いた樹脂組成物の表面固有抵抗は、7.24×10Ω/cmであった。
【0038】
実施例3
非導電層の厚みを両面とも5μmとした以外は、実施例1と同様にして積層シートを成形した。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
非導電層の樹脂をB−PPとした以外は、実施例1と同様にして積層シートを成形した。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、非導電層樹脂の表面固有抵抗は、1.64×1015Ω/cmであった。
【0040】
実施例5
基材層としてB−PPとタルクマスターバッチからなる熱可塑性樹脂組成物(配合重量比:70/30)、導電層としてB−PPとCB1とからなる熱可塑性樹脂組成物(配合重量比:33/67)を、導電層/基材層(厚み:30μm/440μm)の構成で、共押出法でシートを成形した。シートの導電層面に、非導電層としてLLDPEを厚さ10μmとなるように熱ラミネーションを施し、積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、非導電層樹脂の表面固有抵抗は、4.52×1015Ω/cmであった。
【0041】
実施例6
非導電層の熱ラミネーション樹脂をPETとした以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、非導電層樹脂の表面固有抵抗は、3.17×1015Ω/cmであった。
【0042】
実施例7
非導電層の熱ラミネーション樹脂をPVCとした以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
なお、非導電層樹脂の表面固有抵抗は、6.99×1013Ω/cmであった。
【0043】
比較例1
非導電層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表2に示す。
【0044】
比較例2
非導電層の厚みを両面とも25μmとした以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表2に示す。
【0045】
比較例3
非導電層の厚みを両面とも25μmとした以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表2に示す。
【0046】
比較例4
非導電層の熱ラミネーション樹脂をPETとし、厚みを両面とも100μmとした以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表2に示す。
【0047】
比較例5
非導電層の熱ラミネーション樹脂をPVCとし、厚みを両面とも100μmとした以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表2に示す。
【0048】
実施例8
実施例3で得られた積層シートを原反として、積層体容器成形品を熱成形した。容器の表面固有抵抗値、カーボン脱離試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004533564
【0050】
【表2】
Figure 0004533564
【0051】
表1及び2から明らかなように、本発明の積層体は、表面固有抵抗値が小さく導電性に優れ、かつ、カーボン脱落のない導電性積層体、および導電性熱成形容器である(実施例1〜8)。一方、非導電性層で被覆しない積層体は、カーボン脱離が見られ(比較例1)、非導電層の厚みが厚すぎる積層体は、カーボン脱離が見られないものの表面固有抵抗が高く、導電性が悪い(比較例2〜5)。
【0052】
【発明の効果】
本発明の導電性に優れた積層体、及びその成形品は、基材層の片面又は両面に導電層と極薄い非導電層とを順次積層してなる、カーボン脱落が低減された導電層に優れた積層体、及びその成形品である。積層体の利点を生かし高価なカーボンを全体に練り込む必要も無くコストが低減でき、カーボン脱落、および埃付着による梱包品の汚染が解消されるという機能性を持ち、静電気、埃等の影響を受けやすい電子部品搬送用の容器、梱包材に好適に使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性積層体の断面図である。
【符号の説明】
1 基材層
2 導電層
3 非導電層

Claims (3)

  1. 基材層の片面又は両面に、熱可塑性樹脂40〜95重量%と導電性フィラー5〜60重量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物(I)からなり、かつ、表面固有抵抗値が10Ω/cm未満である導電層と、表面固有抵抗値が10〜1017Ω/cmである熱可塑性樹脂組成物(II)からなる厚さ0.1〜20μmの非導電層とが順次積層された、表面固有抵抗値が1013Ω/cm以下である導電性積層体を熱成形してなる成形品
  2. 導電性フィラーが、導電性カーボンであることを特徴とする請求項1に記載の成形品
  3. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品
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