JP2020059260A - シーラントフィルムの製造方法 - Google Patents

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卓哉 五十嵐
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Abstract

【課題】シーラントフィルムの成形性を向上させる。【解決手段】熱可塑性樹脂を含み、基材層を形成する樹脂組成物(I)と、低融点樹脂と粘着付与剤を含み、ヒートシール性樹脂層を形成する樹脂組成物(II)を、各々溶融押出する工程と、溶融押出された前記樹脂組成物(I)及び樹脂組成物(II)を直接又は他の層を介して積層した後、一対のロールにて挟圧する工程とを含み、前記一対のロールのうち、前記ヒートシール性樹脂層に接するロール(a)表面のテープ接着強度が2.0mN/mm以下である、シーラントフィルムの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、シーラントフィルムの製造方法に関する。
ヒートシール性を有するシーラントフィルムは、一般的に基材層の最表面にヒートシール性樹脂層が設けられた積層フィルムである。シーラントフィルムは、従来、インモールドラベル、蓋材、包装材等として広く利用されている。
インモールド成形時に成形体の表面に接着するインモールドラベルは、ヒートシール性樹脂層がインモールド成形時の成形体の熱によって溶融して成形体に接着する。ヒートシール樹脂層の接着性は、該層に用いる樹脂の融点、成形温度、成形体を構成する樹脂との組み合わせ等によって変わる。例えば、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂はポリオレフィン系樹脂に対する接着性が高く、ポリオレフィン系樹脂容器用のインモールドラベルには、ポリエチレン系樹脂を含むヒートシール性樹脂層が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、飲料容器として普及しているポリエチレンテレフタレート樹脂容器は、ストレッチブロー成形によって比較的低温条件下で形成されることが一般的であり、ラベルのヒートシール性樹脂層には低融点樹脂の使用が検討されている。
特開2006−276848号公報
上記シーラントフィルムは、シーラントフィルムを構成する各層の樹脂を溶融共押出し、1対のロール間に通して挟圧することで製造することができる。しかしヒートシール性樹脂層に低融点樹脂を使用する場合、この方法で成形すると溶融樹脂がロールに貼り付きやすく、フィルム成形が困難となったり、成形できてもフィルムにシワやよれが生じる等の問題があった。
本発明は、シーラントフィルムの成形性を向上させることを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、シート状に押出した樹脂を挟圧する1対のロールのうち、ヒートシール性樹脂層に接するロールとして、特定のテープ接着強度を有するロールを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に存する。
(1)熱可塑性樹脂を含み、基材層を形成する樹脂組成物(I)と、
低融点樹脂と粘着付与剤を含み、ヒートシール性樹脂層を形成する樹脂組成物(II)を、各々溶融押出する工程と、
溶融押出された前記樹脂組成物(I)及び樹脂組成物(II)を直接又は他の層を介して積層した後、一対のロールにて挟圧する工程とを含み、
前記一対のロールのうち、前記ヒートシール性樹脂層に接するロール(a)表面の
テープ接着強度が2.0mN/mm以下
である、シーラントフィルムの製造方法。
(2)前記ヒートシール性樹脂層における粘着付与剤の含有量が20〜60質量%であることが好ましい。
(3)前記低融点樹脂の融点が60〜130℃であることが好ましい。
(4)前記一対のロールの線圧が0.05〜0.5MPaであることが好ましい。
(5)前記ロール(a)の表面温度が35〜100℃であることが好ましい。
(6)前記ロール(a)がシリコーンオイル含有シリコーンゴムロールであることが好ましい。
(7)前記ロール(a)表面の算術平均粗さRaが1.2〜2.4μmであることが好ましい。
(8)前記低融点樹脂が、エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含むことが好ましい。
(9)前記シーラントフィルムが、前記基材層のヒートシール性樹脂層を有する層とは反対の面に印刷受容層を有することが好ましい。
本発明によれば、シーラントフィルムの成形性を向上させることができる。
本発明の一実施形態のシーラントフィルムの構成を示す断面図である。 図1のシーラントフィルムの製造装置の一例を示す正面図である。 実施例で使用した1対のロール付近の拡大図である。 図3の破線枠内の拡大図である。 比較例で使用した1対のロール付近の拡大図である。
以下、本発明のシーラントフィルムの製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタアクリルの両方を示す。
本発明の製造方法により製造されるシーラントフィルムは、基材層と、ヒートシール性樹脂層とを含み、ヒートシール性樹脂層が基材層の一方の面側の最表面に積層されたフィルム積層体である。以下、当該シーラントフィルムの構造について説明した後、本発明の製造方法について説明する。
(シーラントフィルム)
本発明の製造方法により製造されるシーラントフィルムは、熱によって接着するヒートシール性を有するフィルム積層体である。シーラントフィルムとしては、例えばインモールド成形時に成形体の表面に接着するインモールドラベル;アイロン、ヒーター、インパルスシーラー等の熱によって接着する接着ラベル、保護シート、蓋材、包装材等が挙げられる。
本発明に係るシーラントフィルムは、上述のように基材層とヒートシール性樹脂層とを含む。ヒートシール性樹脂層が基材層の一方の面側の最表面に積層されていれば、本発明に係るシーラントフィルムは、基材層とヒートシール性樹脂層の間に、転写箔、ホログラム等のパターン層、厚さ、強度等を調整するための中間層、偏光フィルム等の機能層、硬化型樹脂を含む保護層等の他の層を備えることができる。これら他の層は、基材層の他方の面側(すなわちヒートシール性樹脂層を有する側とは反対の面側)に設けられていてもよい。また、基材層の他方の面側には、インキとの密着性を高める観点から印刷受容層が設けられることが好ましい。
図1は、一実施形態のシーラントフィルムの構成を示す。
図1に示すシーラントフィルム10は、基材層1の両面に、各々ヒートシール性樹脂層2及び印刷受容層3を備える。ヒートシール性樹脂層2は、基材層1の一方の面側の最表面に設けられている。印刷受容層3は、基材層1の他方の面側の最表面に設けられている。
(基材層)
基材層は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物(I)にて形成される。
該熱可塑性樹脂は、これを用いて形成されるシーラントフィルムの用途や加工プロセスに適した性質を有する樹脂を選択すればよいが、例えば後述するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂容器のインモールドラベルとして使用する場合には、融点が130〜280℃である熱可塑性樹脂が好ましい。融点が下限値以上であると、PET樹脂容器のストレッチブロー成形時の温度で基材層が溶解しないため好ましく、上限値以下であると、後述する、低融点樹脂を含むヒートシール性樹脂層形成用樹脂組成物(II)と共押出成形する際の成形性が良好であるため好ましい。このような融点を有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン系樹脂、密度が0.940〜0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920〜0.935g/cmの中密度ポリエチレン、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、シーラントフィルムの強度及び成形性の観点から、ポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が好ましい。
基材層の主成分(すなわち構成材料の50質量%以上)を構成する熱可塑性樹脂は、後述するヒートシール性樹脂層を構成する低融点樹脂の融点より15℃以上高い融点を有する樹脂であることが好ましい。なかでも、ポリプロピレン系樹脂が適度な可撓性、耐薬品性又はコストの観点から好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティック又はシンジオタクティックの立体規則性を示すプロピレン単独重合体、又はプロピレンを主成分とし、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用できる。これら共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
基材層は、基材層を形成するための樹脂組成物(I)中に、必要に応じて、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、紫外線安定剤、分散剤、滑剤、相溶化剤、難燃剤、核剤、着色顔料等の添加剤を含有することができる。
シーラントフィルムの耐久性の観点からは、基材層は酸化防止剤、紫外線安定剤等の添加剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を添加する場合の添加量は、通常0.001〜1質量%である。酸化防止剤としては、例えば立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤等が挙げられる。紫外線安定剤を使用する場合の添加量は、通常0.001〜1質量%である。紫外線安定剤としては、例えば立体障害アミン、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤等が挙げられる。シーラントフィルムの密度は0.84〜1.02g/cmの範囲であることが好ましい。
基材層は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよいが、得られるシーラントフィルムをインモールドラベルとして用いる際、ラベルに透明性、被着体の凹凸形状への追随性(柔軟性)等の品質が求められる場合は、無延伸フィルムであることが好ましく、ラベルに不透明性、白色性、厚さの均一性、コシ(剛性)等の品質が求められる場合は延伸フィルムであることが好ましい。
基材層の厚さは、シワの発生を抑える観点からは、20μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。また、柔軟性を高める観点からは、基材層の厚さは、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。したがって、基材層の厚さは、20〜200μmが好ましく、40〜150μmがより好ましい。
(ヒートシール性樹脂層)
ヒートシール性樹脂層は、加熱によって接着性が発現する層であり、低融点樹脂と粘着付与剤を含有する樹脂組成物(II)にて形成される。
低融点樹脂は、これを用いて形成されるシーラントフィルムの用途や加工プロセスに適した性質を有する樹脂を選択すればよいが、例えば後述するPET樹脂容器のインモールドラベルとして使用する場合には、融点が60〜130℃の熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、融点は、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定することができる。
上記低融点樹脂を含有するヒートシール性樹脂層は、特にPET樹脂との接着性が高い。樹脂容器のインモールド成形方法には、原料樹脂を融点以上(PET樹脂の場合は250℃程度以上)に加熱して形成されるパリソンを用いて成形するダイレクトブロー法と、原料樹脂のプリフォームをガラス転移点〜結晶化温度の間の温度(PET樹脂の場合は85〜110℃程度)まで加熱して成形するストレッチブロー法がある。PET樹脂は溶融粘度が低く、溶融状態ではパリソンの形状を保つことが難しいため、通常は融点以上ではなく、ガラス転移点〜結晶化温度の間の温度まで加熱するストレッチブロー法により樹脂容器が成形される。本発明におけるヒートシール性樹脂層は、上述した融点を有する低融点樹脂を含有することにより、ストレッチブロー法のように低温の成形条件下でも十分に成形体に熱融着でき、PET樹脂に対する高い接着性を示すことができる。
融点が低いほど、少ない熱量で十分な接着性が得られるため、低融点樹脂の融点は、110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。また、融点は高いほど、フィルム成形がしやすくフィルム製造時のロールへの貼り付きも減りやすいため、低融点樹脂の融点は、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。したがって、低融点樹脂の融点は、60〜130℃であってよく、70〜110℃であることが好ましく、75〜100℃であることがより好ましい。
低融点樹脂としては、密度が0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.900〜0.935g/cmの低密度又は中密度の高圧法ポリエチレン、密度が0.857〜0.940g/cmの直鎖線状ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;アルキル基の炭素数が1〜8のエチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA))等のエチレン−アクリル酸系共重合体、アルキル基の炭素数が1〜8のエチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体(例えばエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA))等のエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Na等、所謂アイオノマー);エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−1−ヘキセン共重合体等のエチレン−オレフィン系共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂との優れた接着性を得る観点からは、低融点樹脂はエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体であることが好ましく、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)であることがより好ましく、耐熱性が高く、分解しても酸を発生しない点、及び成形加工性の点からは、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)であることがさらに好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒートシール性樹脂層中の低融点樹脂の含有量は、接着性の観点から好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。ヒートシール性樹脂層は、後述する粘着付与剤と低融点樹脂のみからなる層であってもよいが、接着性等の各種性能向上のために、本発明の効果を損なわない範囲で、その一部を他の添加剤や樹脂で置き換えてもよい。
本発明におけるヒートシール性樹脂層は、粘着付与剤を含有することにより、シーラントフィルムと成形体とのより高い接着性を有することができる。粘着付与剤としては、例えばロジン、ロジン誘導体(水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル(アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のエステル化ロジン等)、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン)、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
粘着付与剤も、これを用いて形成されるシーラントフィルムの用途や加工プロセスに適した性質を有するものを適宜選択すればよいが、例えば後述するPET樹脂容器のインモールドラベルとして使用する場合には、軟化点が60〜130℃である粘着付与剤が好ましい。
粘着付与剤の含有量は、ヒートシール性樹脂層中、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また十分なヒートシール性を確保する観点から60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。したがって、ヒートシール性樹脂層中の粘着付与剤の含有量は、20〜60質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。
なお、ヒートシール性樹脂層は、目的とするヒートシール性を阻害しない範囲で公知の添加剤を任意に含有することができる。添加剤としては、例えば帯電防止剤、滑剤、染料、核剤、可塑剤、離型剤、ワックス、無機充填剤(フィラー)、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。ヒートシール性樹脂層中のこれら添加剤の含有量は、通常、添加剤の種類ごとに独立して0.01〜5質量%である。
ヒートシール性樹脂層の厚さは、接着性を高める観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。ロールへの貼り付き及びフィルムのカールを減らす観点からは、上記厚さは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。したがって、ヒートシール性樹脂層の厚さは、1〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。
(印刷受容層)
印刷受容層は、印刷に使用されるインキ、トナー等の色材との密着性を高めるために、必要に応じて設けられる。印刷方法としては特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シール印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
印刷受容層は熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、密度が0.900〜0.920g/cmの直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Na等)、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
印刷受容層に含まれる熱可塑性樹脂としては、該印刷受容層を有するシーラントフィルムの用途や加工プロセスに適した性質を有する樹脂を選択すればよいが、例えばPET樹脂容器のインモールドラベルとして使用する場合には、前述した基材層に含まれる熱可塑性樹脂と同様、融点が130〜280℃である熱可塑性樹脂が好ましい。
特にインキとの密着性、コスト、耐水性、耐薬品性等の観点からは、ポリプロピレン系樹脂又は高密度ポリエチレンが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティック、シンジオタクティック等の立体規則性を示すプロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、又はプロピレンを主成分とし、プロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。これらの共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
印刷受容層は、インキとの密着性向上の観点から、更にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、アイオノマー、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等の極性基を有する熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。なかでも、マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体は、これを含むことにより、印刷受容層のインキ密着性が良好になるため好ましい。
印刷受容層は、ヒートシール性樹脂層と同様に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線安定剤、分散剤、滑剤、相溶化剤、難燃剤、着色顔料等の添加剤を含有することができる。
印刷受容層の厚さは、均一な層を形成しインキとの密着性を高める観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、シーラントフィルムのカールを抑制する点から、上記厚さは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。したがって、印刷受容層の厚さは、1〜30μm、好ましくは5〜20μmである。
(シーラントフィルムの製造方法)
本発明のシーラントフィルムの製造方法は、シーラントフィルムの各層を構成する樹脂を溶融共押出し、1対のロール間に通して挟圧することでシーラントフィルムを製造する方法である。具体的には、本発明のシーラントフィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を含み、基材層を形成する樹脂組成物(I)と、低融点樹脂と粘着付与剤を含み、ヒートシール性樹脂層を形成する樹脂組成物(II)を、各々溶融押出する工程と、溶融押出された樹脂組成物(I)及び樹脂組成物(II)を直接又は他の層を介して積層した後、一対のロールにて挟圧する工程とを含み、一対のロールのうち、ヒートシール性樹脂層に接するロール(a)表面のテープ接着強度が2.0mN/mm以下である。
特定のロール(a)を使用することにより、ヒートシール性樹脂層のロール(a)への貼り付きを効果的に抑えることができ、長期間安定的にシーラントフィルムを製造することができる。
図2は、図1のシーラントフィルム10の製造装置100の構成例を示す。
図2に示すように、製造装置100は、シーラントフィルム10を構成する3層の形成用樹脂組成物をそれぞれ溶融押出する3台の押出機51と、各押出機51から押し出され溶融した各層形成用の樹脂組成物(以下、単に「溶融樹脂」という)を積層してシート状に押し出すTダイ52と、を備える。また、製造装置100は、Tダイ52から押し出された各溶融樹脂を挟圧する1対のロール61及び62と、挟圧により得られたシーラントフィルム10を搬送するロール71〜73と、搬送されたシーラントフィルム10を巻き取るロール74と、を備える。
なお、シーラントフィルムの基材層とヒートシール性樹脂層との間、又は基材層と印刷受容層との間等に、これら以外の任意の層を設ける場合は、当該任意の層形成用の樹脂組成物を他の押出機から溶融押出し、基材層、ヒートシール性樹脂層等の形成用溶融樹脂と積層して共押出すればよい。
ロール61は、挟圧により得られたシーラントフィルム10を冷却するロールであり、キャストロール等と呼ばれる。ロール61は、通常、内部に冷媒の流路が設けられた金属等の熱伝導性の高い材質からなる円筒体である。ロール62は、ロール61に押し付けられて溶融樹脂を挟圧するロールであり、タッチロール等と呼ばれる。Tダイ52から押し出された各層の溶融樹脂のうち、ヒートシール性樹脂層を形成する溶融樹脂はロール62側に位置し、ロール62が本発明におけるロール(a)に相当する。
図2に示す構成の製造装置にてヒートシール性樹脂層を備えたシーラントフィルムを作成する場合、通常は、低融点樹脂を含むため硬化し難いヒートシール性樹脂層形成用の溶融樹脂がキャストロールに接する状態で挟圧し、次いでそのまま溶融樹脂の積層体を半周程度キャストロールに沿って搬送することにより、ヒートシール性樹脂層を冷却及び硬化し形成する。しかし、このような方法で溶融樹脂の積層体の挟圧及び搬送を行うと、ヒートシール性樹脂層の表面が過度に平滑になり、また例えば基材層に対してヒートシール性樹脂層とは反対の面に印刷受容層を設ける場合には、タッチロール側に位置する印刷受容層の表面を十分平滑にすることが困難である。
一方、前述のように、タッチロール(ロール62)側にヒートシール性樹脂層形成用の溶融樹脂、キャストロール(ロール61)側に印刷受容層形成用の溶融樹脂を配置して、溶融樹脂の積層体を挟圧し搬送すると、印刷受容層表面が、キャストロール(ロール61)と密着して冷却及び搬送される間に十分平滑化されるため好ましい。
この場合には、ヒートシール性樹脂層形成用の溶融樹脂を十分に冷却及び硬化させるために、キャストロール(ロール61)表面の温度を十分に低下させておくと共に、タッチロール(ロール62)表面の温度も低下させておき、ヒートシール性樹脂層形成用の溶融樹脂を、その表裏両面から冷却し硬化させることが好ましい。タッチロール(ロール62)もキャストロール(ロール61)と同様、内部に冷媒の流路を設けることにより表面温度を低下させることができる。具体的には、例えばタッチロール(ロール62)の表面温度を35〜100℃とすることが好ましく、より好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは45〜70℃程度とすることにより、タッチロール(ロール62)側に位置するヒートシール性樹脂層形成用の溶融樹脂も十分に冷却硬化させることができるため好ましい。またキャストロール(ロール61)の表面温度は35〜60℃程度が好ましく、35〜40℃程度がより好ましい。なお、各ロールの表面温度は、低すぎると夏場の高温環境下でロールが結露し、水滴がフィルム表面に付着することによるシーラントフィルムの外観不良が発生する場合があるため、溶融樹脂を冷却硬化させるために必要十分な程度に冷却すればよい。
(ロール(a))
本発明に使用されるロール(a)は、表面のテープ接着強度が2.0mN/mm以下である。ヒートシール性樹脂層の溶融樹脂中の低融点樹脂は溶融粘度が比較的高く、また粘着付与剤を含有するため、ロール面に貼り付きやすいが、テープ接着強度がこの範囲内にあるロール(a)であれば、ヒートシール性樹脂層の溶融樹脂を挟圧した場合でも溶融樹脂の剥離が容易である。よって、溶融樹脂がロール(a)表面に貼り付くことなく、長期間安定的にフィルム成形が可能である。
ロール(a)表面のテープ接着強度は、好ましくは1.5mN/mm以下、より好ましくは1.2mN/mm以下である。テープ接着強度を上限値以下とすることによりヒートシール性樹脂層のロール(a)への貼り付きを抑制できる。またテープ接着強度の下限値に特に制限はないが、通常0.2mN/mm程度以上である。なお、ロール(a)が、後述するようにシリコーンオイル含有シリコーンゴムロールである場合、テープ接着強度が極端に低いロールよりは0.2mN/mm程度以上のロールを使用する方が、該ロールに含まれるシリコーンオイルがヒートシール性樹脂層の表面に付着して接着性が低減することを抑えやすい。
なお、テープ接着強度は、JIS Z 0273「粘着テープ・粘着シート試験方法 180度引きはがし法」に準拠した方法にて測定した値である。
また、ロール(a)表面の算術平均粗さRaは、好ましくは1.2μm以上、より好ましくは1.3μm以上、さらに好ましくは1.6μm以上であり、また好ましくは2.4μm以下、より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.8μm以下である。ロール(a)表面の算術平均粗さRaを下限値以上とすることにより、得られるヒートシール性樹脂層の表面が適度に荒れ、ラベルインサーター(ラベルを金型に挿入する機械)による吸引時に、複数のラベル間が真空状態となり密着することによる、ラベルの2枚取りを抑制でき、上限値以下とすることにより、得られるシーラントフィルムのヒートシール性樹脂層表面が適度に平滑になり、ストレッチブロー成形後のラベル−ボトル間でのエアー巻き込みによる外観不良を効果的に抑制できるため好ましい。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠して測定される値である。
ロール(a)としては、表面のテープ接着強度が上述の範囲のものであれば特に制限なく使用できるが、具体的には、例えばシリコーンオイルを含有させたシリコーンゴムロールが好ましく使用できる。
シリコーンゴムロールは、全体がシリコーンゴムからなるロールであってもよいが、少なくとも表面がシリコーンゴムからなるロールであればよく、例えば金属、樹脂等の軸体(芯金)の外周面にシリコーンゴム層が設けられたロールであってもよい。シリコーンゴム層は、多層構造を有してもよい。冷却機能を高める観点からは、シリコーンゴムロールは、熱伝導性の高い鉄、アルミ、SUS等の金属の軸体上に、放熱性の高いシリコーンゴム層が積層されたロールであることが好ましい。また、シリコーンゴムロールは、シート状に押し出された溶融樹脂を冷却するため、軸体内部に水等の冷却用の媒体を通す導管が設けられた円筒体であることが好ましい。
シリコーンゴムとしては、ポリオレガノシロキサンを主成分とするのであれば特に限定されず、例えばジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が挙げられる。シリコーンゴムには、必要に応じて、珪砂、珪酸ガラス粉末等の充填剤、顔料、架橋剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の添加剤を配合してもよい。
シリコーンゴムロールは、例えば上記シリコーンゴム材料に必要に応じて添加剤及び溶剤を配合して混練し、液状に調製した後、金型に充填し硬化させることにより製造できる。表面にシリコーンゴム層が設けられたシリコーンゴムロールの場合、液状のシリコーンゴム材料を軸体の外周面に塗布して硬化させるか、又は金型を使用してシリコーンゴム材料を軸体の外周面上に充填して硬化させることにより、シリコーンゴム層を形成することができる。硬化剤は、使用するシリコーンゴムに合わせて選択すればよい。
シリコーンゴムロールに含有させるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、これらをアルキル変性、ポリエーテル変性、ポリエステル変性、フルオロアルキル変性等した変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルは、シリコーンゴム材料に配合して混練してもよく、予め作製したシリコーンゴムロールにシリコーンオイルを含浸させてもよい 。またシリコーンオイル含有シリコーンゴムロールの場合、例えば表面に一定粒度の粉体(アルミナ等)を配合し、表面の粗さを調整することで、上述した範囲の算術平均粗さRaを有するロール(a)を得ることができる。
シリコーンオイル含浸シリコーンゴムロールの場合、シリコーンオイルの含有量を調節することによって上述した範囲のテープ接着強度を有するロール(a)を得ることができる。
本発明のシーラントフィルム製造方法において、溶融樹脂を挟圧する一対のロール間の線圧は、0.05〜0.5MPaとすることが好ましい。線圧を上記範囲内とすることにより、ヒートシール性樹脂層の表面粗さを前述した好ましい範囲に制御しやすい。また下限値以上とすることにより、シーラントフィルムの蛇行を抑制し良好な生産性を得やすくなるため好ましく、上限値以下とすることにより溶融樹脂のロール(a)への貼り付きを効果的に抑制できるため好ましい。線圧は、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.14MPa以上であり、またより好ましくは0.3MPa以下であり、さらに好ましくは0.26MPa以下である。
なお、線圧は圧空加圧装置(エアシリンダー)を用い、ゲージ圧で調整した。
ロール(a)の表面温度は、図2に示す製造装置100の説明の項で、タッチロール(ロール62)ロールの表面温度として説明したように、35〜100℃とすることが好ましい。表面温度を下限値以上とすることにより夏場の高温環境下でロールが結露し、水滴がフィルム表面に付着することによるシーラントフィルムの外観不良発生を抑制できるため好ましく、また上限値以下とすることにより、溶融樹脂がロール(a)表面に貼り付くことなくフィルム成形可能であるため好ましい。ロール(a)の表面温度は、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは45℃以上であり、またより好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
基材層の形成に使用した樹脂組成物(I)及びヒートシール性樹脂層の形成に使用した樹脂組成物(II)に用いた原料は以下の通りである。なお「MFR」はメルトフローレートの意である。
《熱可塑性樹脂》
・(略称:PP)プロピレン単独重合体。日本ポリプロ(株)製、製品名「ノバテックPP MA3」。融点160℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)11kg
・(略称:PE)高圧法低密度ポリエチレン。日本ポリエチレン(株)製、製品名「ノバテックLD LJ802」。融点106℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)22kg
・(略称:EMMA)エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体。住友化学(株)製、製品名「アクリフト WH206−F」。融点86℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)2kg
・(略称:EVA)エチレン−酢酸ビニル共重合体。三井デュポンポリケミカル(株)製、製品名「エバフレックス EV150」。融点61℃、MFR(190℃、2.16kg荷重)30kg
《粘着付与剤》
・(略称:PAJA)ロジンエステル。ハリマ化成グループ(株)製、製品名「ハリタック PAJA」。軟化点102℃
・(略称:P−90)脂環族石油樹脂。荒川化学工業(株)製、製品名「アルコン P−90」。軟化点90℃
・(略称:TO105)テルペン樹脂。ヤスハラケミカル(株)製、製品名「YSレジン TO105」。軟化点105℃
《滑剤》
・(略称:EBOA)エチレンビスオレイン酸アミド。日本化成(株)製、製品名「スリパックスO」。融点119℃
シーラントフィルムの製造に使用したロール(a)(タッチロール62)は、各々以下の通りである。
・タッチロール(1):持田商工(株)製「ITS68−S−マット 離型配合品」。シリコンオイル含有シリコーンゴムロール。テープ接着強度1.0mN/mm、表面の算術平均粗さRaは1.3μm。
・タッチロール(2):持田商工(株)製「ITS68−S−マット 1/2離型配合品」。シリコンオイル含有シリコーンゴムロール。シリコーンオイルの含有量が、上記タッチロール(1)の半量であるもの。テープ接着強度1.2mN/mm、表面の算術平均粗さRaは1.3μm。
・タッチロール(3):持田商工(株)製「FSTロール セミマット」。テフロンゴムロール。テープ接着強度4.1mN/mm、表面の算術平均粗さRaは1.3μm。
[実施例1]
以下の手順でシーラントフィルムを製造した。
基材層を構成する樹脂組成物(I)として、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックPP MA3、MFR(230℃、2.16kg荷重):11g/10分)100質量部を用いた。
ヒートシール性樹脂層を構成する樹脂組成物(II)としては、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学(株)製、製品名「アクリフト WH206−F」、MFR(190℃、2.16kg荷重):2.0g/10分)59.7質量部、ロジンエステル(ハリマ化成グループ(株)製、製品名「ハリタック PAJA」)40質量部、及び滑剤としてエチレンビスオレイン酸アマイド(日本化成(株)製、製品名「スリパックスO」)0.3質量部の混合物を用いた。
印刷受容層を構成する樹脂組成物としては、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、製品名「ノバテックPP MA3」、MFR(230℃、2.16kg荷重):11g/10分)60質量部、及び高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、製品名「ノバテックLD LJ802」、MFR(190℃、2.16kg荷重):22g/10分)40質量部の混合物を用いた。
次に、各層の樹脂組成物から、図2に示す製造装置100と同様の構成を有する製造装置によりシーラントフィルムを製造した。
図3は、実施例のシーラントフィルムの製造装置のうち、1対のロール付近を拡大した図である。図4は、図3中の破線枠内の拡大図である。なお、図3において図2と同じ構成部分には同じ符号を付している。
まず、図3に示すように、各層を構成する樹脂組成物を、240℃に設定した3台の押出機51を用いてそれぞれ個別に溶融混練し、次いで240℃に設定した1台の共押出T−ダイ52に供給した。図4に示すように、T−ダイ52内で各層の樹脂組成物をヒートシール性樹脂層2/基材層1/印刷受容層3の順に3層構造となるように積層し、積層物をT−ダイ52よりシート状に押し出した。シート状に押し出された樹脂組成物を、60℃に温調したキャストロール61と35℃に温調したタッチロール62との間に導き、各ロール61及び62で挟圧(線圧約0.1MPa)するとともに冷却した。これにより、3層構造を有する無延伸のシーラントフィルムを得た。シーラントフィルムは、総厚さが95μm、ヒートシール性樹脂層の厚さが15μm、基材層の厚さが65μm、印刷受容層の厚さが15μmであった。
挟圧時、図3及び図4に示すように、キャストロール61は印刷受容層3に接する。このキャストロール61としては、冷却のために内部に導水管を有する、直径450mm、幅1500mmのセミミラー調金属ロールを用いた。
また、図3及び図4に示すように、タッチロール62はヒートシール性樹脂層2に接する。このタッチロール62としては、シリコーンオイルを含有するシリコーンゴムロール(持田商工社製「ITS68−S−マット 離型配合品」)を用いた。詳細には、冷却のために内部に導水管を有する軸体(芯金)上に2層構造のシリコーンゴム層が設けられた、直径300mm、幅1500mmのマット調のシリコーンゴムロールを用いた。軸体側の第1シリコーンゴム層は、放熱性シリコーンゴム(デュロメータA硬度:70、厚さ:3mm)の層である。第1シリコーンゴム層上に積層された第2シリコーンゴム層は、シリコーンゴムロールの最表層であり、シリコーンゴム混練時にシリコーンオイル及びアルミナ粒子を配合してなる層(デュロメータA硬度:70、厚さ:7mm)であり、表面の算術平均粗さ(Ra)が1.3μm、テープ剥離強度は1.04mN/mmであった。
なお表面の算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601「表面粗さ」に準拠した方法にて測定した値であり、東京精密社製、製品名:HANDYSURF E−35Bを用いた。
テープ接着強度は、JIS Z 0273「粘着テープ・粘着シート試験方法 180度引きはがし法」に準拠した方法にて測定した値である。
具体的には、金属にシリコーンゴムを接着させ、これを試験片とした。次に試験片に評価テープを荷重2400gのローラーで圧着した。評価テープは布粘着テープ(積水化学社工業社製、製品名:新布テープ No.760)を使用した。評価テープを圧着した試験片は5分間静置し、5分後、試験片に圧着させた評価テープの遊び部分を180度に折り返し、試験片端部は試験機の下部チャックに、評価テープの遊び部分は、上部チャックに挟み、300mm/minの速さで連続して引きはがし、凹凸平均剥離(mN/mm)を求めた。測定は5回行い、その平均値を測定値とした。
上記製造工程において、T−ダイよりシート状に押し出された樹脂組成物(シート状物)のタッチロール62への貼り付きと成形性を評価した。評価基準は以下の通りであり、評価C以上を合格とした。結果を表1に示す。
《貼り付き・成形性評価基準》
A:シート状物がキャストロールに密着しており、成形可能。
B:シート状物がタッチロールに若干貼り付き、タッチロールより剥離音が発生するが、シート状物はキャストロールに密着しており、成形可能。
C:シート状物の端部がキャストロールから浮く(離れる)場合があるが、成形可能。
D:シート状物がタッチロールに巻き取られ、成形不可。
また、得られたシーラントフィルムについて、外観を評価した。評価基準は以下の通りであり、評価C以上を合格とした。結果を表1に示す。
《シート外観評価基準》
A:フィルム表面にスジやムラが無く、良好。
B:フィルム表面に殆ど気にならない程度のスジやムラがあるが、可。
C:フィルム表面に若干スジやムラがあるが、可。
D:フィルム表面にはっきりとしたスジやムラがあり、不可。
[実施例2〜11]
ヒートシール性樹脂層形成用の樹脂組成物(II)を表1に記載の組成とし、ロール(a)及び製造条件を表1に記載したものとした以外は、実施例1と同様に、各々シーラントフィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
上記実施例1のシーラントフィルムの製造において、テフロンゴムロール(持田商工社製「FSTロール セミマット」)を、ヒートシール性樹脂層2に接するタッチロールとして用いたこと以外は、上記実施例と同様にしてシーラントフィルムを得た。上記テフロンゴムロールは、詳細には冷却のために内部に導水管を有する軸体(芯金)上に、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体。デュロメータA硬度:70、厚さ:0.5mm)を被覆した、直径300mm、幅1500mmのマット調のフッ素樹脂被覆ロールであり、表面の算術平均粗さ(Ra)が1.3μm、テープ剥離強度は4.1mN/mmであった。
図5は、比較例1のシーラントフィルムの製造装置のうち、1対のロール付近を拡大した図である。図5中の破線枠内の拡大図は、図4と同じ図である。図5において図2に示す製造装置100と同じ構成部分には同じ符号を付している。
上記実施例1〜16のシーラントフィルムの製造に際し、成形開始直後から1時間の間、シート状物がタッチロール62に巻き取られる事象は観察されず、安定してシーラントフィルムを製造することができた。
一方、比較例1のシーラントフィルムの製造時には、図5中の一点鎖線の円で囲むように、成形開始直後から押出しされたシート状物の両端部がタッチロール63に貼り付く事象が観察され、引き取られたシートの同部分が引き伸ばされてシートの両端部にシワが入った。ロール61及び63の温度や線圧等の条件を変更しても同事象は解決せず、安定してシーラントフィルムを製造することはできなかった。
10 シーラントフィルム
1 基材層
2 ヒートシール性樹脂層
3 印刷受容層
100 製造装置
51 押出機
52 Tダイ
61 ロール(キャストロール)
62 ロール(a)(タッチロール)
63 ロール(タッチロール)
本発明のシーラントフィルムの製造方法によれば、ヒートシール性樹脂層のフィルム成形用のロールへの貼り付きを効果的に抑えることができ、長期間安定してシーラントフィルムを製造することができ、有用である。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を含み、基材層を形成する樹脂組成物(I)と、
    低融点樹脂と粘着付与剤を含み、ヒートシール性樹脂層を形成する樹脂組成物(II)を、各々溶融押出する工程と、
    溶融押出された前記樹脂組成物(I)及び樹脂組成物(II)を直接又は他の層を介して積層した後、一対のロールにて挟圧する工程とを含み、
    前記一対のロールのうち、前記ヒートシール性樹脂層に接するロール(a)表面の
    テープ接着強度が2.0mN/mm以下
    である、シーラントフィルムの製造方法。
  2. 前記ヒートシール性樹脂層における粘着付与剤の含有量が20〜60質量%である、請求項1に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  3. 前記低融点樹脂の融点が60〜130℃である、請求項1又は2に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  4. 前記一対のロールの線圧が0.05〜0.5MPaである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  5. 前記ロール(a)の表面温度が35〜100℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  6. 前記ロール(a)がシリコーンオイル含有シリコーンゴムロールである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  7. 前記ロール(a)表面の算術平均粗さRaが1.2〜2.4μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  8. 前記低融点樹脂が、エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。
  9. 前記シーラントフィルムが、前記基材層のヒートシール性樹脂層を有する層とは反対の面に印刷受容層を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシーラントフィルムの製造方法。

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