JP4530111B2 - 電気アルミニウムめっき液およびアルミニウムめっき被膜の形成方法 - Google Patents
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Description
また、請求項2記載の電気アルミニウムめっき液は、請求項1記載の電気アルミニウムめっき液において、アルミニウムハロゲン化物が塩化アルミニウムであることを特徴とする。
また、請求項3記載の電気アルミニウムめっき液は、請求項1記載の電気アルミニウムめっき液において、アルミニウムハロゲン化物が無水物であることを特徴とする。
また、請求項4記載の電気アルミニウムめっき液は、請求項1記載の電気アルミニウムめっき液において、塩化テトラアルキルアンモニウムが塩化テトラメチルアンモニウムであることを特徴とする。
また、本発明のアルミニウムめっき被膜の形成方法は、請求項5記載の通り、請求項1記載の電気アルミニウムめっき液中に被めっき物を陰極として設置し、通電を行うことで被めっき物の表面にアルミニウムめっき被膜を形成することを特徴とする。
また、本発明の物品は、請求項6記載の通り、請求項5記載のアルミニウムめっき被膜の形成方法によって表面にアルミニウムめっき被膜が形成されてなることを特徴とする。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムと塩化アンモニウムを10:3:0.5の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液250mL中に、陽極として40mm×20mm×2mmの純アルミニウム板(A1090)を、陰極として被めっき物とする20mm×20mm×0.5mmの純度99.99%の無酸素銅板(予め10mL/Lの硝酸水溶液に浸漬して表面酸化膜を除去した後、水洗し、温風にて十分に乾燥したもの)を設置し、110℃にて3.0A/dm2の印加電流密度で60分間通電し、めっき処理を行った。その結果、被めっき物の表面に白色の均一なアルミニウムめっき被膜(厚み:約40μm)を形成することができた。次に、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べるため、めっき液250mLに水を1.2g添加し、めっき液と水との反応が終了するまで十分に時間をかけた後、上記と同じ条件でめっき処理を行い、さらに順次、水を1.2gずつ添加して同じ操作を繰り返した。めっき液に添加した水の量と被めっき物の表面に形成されためっき被膜の外観との関係について、目視観察の結果を図1に、ヤケの占有面積を画像解析によって算出した結果を図6に示す。図1と図6から明らかなように、水の添加量を10.8gとしてもヤケの発生は認められなかったが、水の添加量が9.6gになるとスジ状の無めっき部分の発生が認められた。以上の結果から、少なくとも水の添加量が8.4gまでは良好なめっき処理を行うことができることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを10:3:1の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様の方法で、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べた。目視観察の結果を図2に、ヤケの占有面積を画像解析によって算出した結果を図6に示す。図2と図6から明らかなように、水の添加量を10.8gとしてもヤケの発生は認められなかったが、水の添加量が7.2gになると色ムラの発生が認められた。以上の結果から、少なくとも水の添加量が6.0gまでは良好なめっき処理を行うことができることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムを10:2の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様の方法で、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べた。目視観察の結果を図3に、ヤケの占有面積を画像解析によって算出した結果を図6に示す。図3と図6から明らかなように、水の添加量が2.4gではヤケの発生は認められなかったが、水の添加量が3.6gになるとヤケの発生が認められたことから、実施例1のめっき液と実施例2のめっき液は、それぞれ塩化アンモニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを含有することで、このめっき液よりも高寿命化が図られていることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムを10:4の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様の方法で、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べた。目視観察の結果を図4に、ヤケの占有面積を画像解析によって算出した結果を図6に示す。図4と図6から明らかなように、水の添加量が2.4gでヤケの発生がわずかに認められ、水の添加量が3.6gになるとヤケの発生が顕著となったことから、実施例1のめっき液と実施例2のめっき液は、それぞれ塩化アンモニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを含有することで、このめっき液よりも高寿命化が図られていることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムとジメチルアミン塩酸塩を10:3:0.2の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様の方法で、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べた。目視観察の結果を図5に、ヤケの占有面積を画像解析によって算出した結果を図6に示す。図5と図6から明らかなように、水の添加量が3.6gでヤケの発生がわずかに認められ、水の添加量が4.8gになるとヤケの発生が顕著となったことから、ジメチルアミン塩酸塩は、塩化アンモニウムや塩化テトラメチルアンモニウムが有するめっき液の寿命を長くする効果を有さないことがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムと塩化アンモニウムを10:3:1の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様のめっき条件でめっき処理を行ったところ、めっき液中に気泡が発生し、発生した気泡が被めっき物に接触したことでアルミニウムめっき被膜の表面にはスジ状の無めっき部分が存在した。従って、無水塩化アルミニウムに対して塩化アンモニウムをモル比で1/3含有するめっき液では、塩化アンモニウムの含有量が多すぎて、良好なめっき処理を行うことができないことがわかった(塩化アンモニウムの添加量が増えるに従ってめっき液中のアルミニウム錯イオン(Al(DMSO2)3 3+)の存在量が減少するが、アルミニウムハロゲン化物に対してモル比で1/4までの添加量では0にはならないことを別途の実験によって確認した)。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを10:3:2の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様のめっき条件でめっき処理を行ったところ、被めっき物の表面にアルミニウムめっき被膜は形成されなかった。従って、無水塩化アルミニウムに対して塩化テトラメチルアンモニウムをモル比で2/3含有するめっき液では、塩化テトラメチルアンモニウムの含有量が多すぎて、良好なめっき処理を行うことができないことがわかった(塩化テトラメチルアンモニウムの添加量が増えるに従ってめっき液中のアルミニウム錯イオン(Al(DMSO2)3 3+)の存在量が減少するが、アルミニウムハロゲン化物に対してモル比で1/2までの添加量では0にはならないことを別途の実験によって確認した)。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムとジメチルアミン塩酸塩を10:3:0.75の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様のめっき条件でめっき処理を行ったところ、被めっき物の表面に形成されたアルミニウムめっき被膜には色ムラやスジ状の無めっき部分が存在した。従って、ジメチルアミン塩酸塩は、塩化アンモニウムや塩化テトラメチルアンモニウムが有するめっき液の寿命を長くする効果を有さないことがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムとジメチルアミンボランを10:2:0.1の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例1と同様の方法で、被めっき物の表面に形成されるアルミニウムめっき被膜に対して、めっき液中に含まれる水分がどのような影響を及ぼすかを調べた。その結果、めっき液250mLに水を1.2g添加し、めっき液と水とを反応させた時点で、めっき液が緑色の炎を発して燃焼してしまったことから、ジメチルアミンボランは、塩化アンモニウムや塩化テトラメチルアンモニウムが有するめっき液の寿命を長くする効果を有さないことがわかった。
実施例2で調製した電気アルミニウムめっき液を使用し、被めっき物として70mm×70mm×0.5mmの純度99.99%の無酸素銅板(予め10mL/Lの硝酸水溶液に浸漬して表面酸化膜を除去した後、水洗し、温風にて十分に乾燥したもの)を使用したこと以外は実施例1と同様のめっき条件でめっき処理を行い、被めっき物の表面にアルミニウムめっき被膜を形成した。被めっき物の表面に形成されためっき被膜の被めっき物との密着性を碁盤目試験によって評価した結果を図7に示す。図7から明らかなように、めっき被膜の被めっき物からの剥離は全く認められなかったことから、このめっき被膜は、優れた密着性のもとに被めっき物の表面に形成されていることがわかった。
実施例2で調製した電気アルミニウムめっき液を使用し、被めっき物として50mm×50mm×1.0mmのマグネシウム合金板(AZ31圧延材)にジンケート処理とストライク銅めっき処理と電気亜鉛めっき処理を順次行って最表面を亜鉛めっき被膜として十分に乾燥したものを使用したこと以外は実施例1と同様のめっき条件でめっき処理を行い、亜鉛めっき被膜の表面にアルミニウムめっき被膜(厚み:約40μm)を形成した。最表面にアルミニウムめっき被膜を有するマグネシウム合金板の外観の目視観察の結果を図8に、断面観察の結果を図9に示す。図8と図9から明らかなように、マグネシウム合金板の最表面に形成されたアルミニウムめっき被膜は白色の均一なものであり、また、緻密であることがわかった。この最表面にアルミニウムめっき被膜を有するマグネシウム合金板に対し、100℃の熱水を使用して1時間の酸化処理を行うことで表面に酸化膜を形成した後、96時間の中性塩水噴霧試験を行った。中性塩水噴霧試験後の外観の目視観察の結果を図10に示す。図10から明らかなように、アルミニウムめっき被膜の表面には発錆はまったく認められず、優れた耐食性を示した。また、この最表面にアルミニウムめっき被膜を有するマグネシウム合金板に対し、陽極酸化処理を行うことで、純アルミニウム材などと同様にアルミニウムめっき被膜の着色を行うことができた。以上の結果から、マグネシウム合金板の表面にアルミニウムめっき被膜を形成することで、耐食性や意匠性を付与することができることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを10:2:1の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液中に、陽極として70mm×70mm×1mmの純度99.99%のアルミニウム板を設置した。また、直径5mmの鉄球(被めっき物)180個とリード線を接続した直径10mmの銅製ボール1個を投入した一辺が2cmで長さが5cmの六角柱のテフロン(登録商標)製バレルをめっき液中に設置し、銅製ボールを介して鉄球とリード線の導通をとることで陰極とし、バレルを10rpmの回転速度で回転させながら、110℃にて4.0A/dm2の印加電流密度で50分間通電し、めっき処理を行った。その結果、鉄球の表面に白色の均一なアルミニウムめっき被膜(厚み:約40μm)を形成することができた。表面にアルミニウムめっき被膜を有する鉄球の断面観察の結果を図11に示す。図11から明らかなように、鉄球の表面には緻密なアルミニウムめっき被膜が形成されていることがわかった。
ジメチルスルホンと無水塩化アルミニウムを10:2の割合で混合し(モル比)、110℃に加熱して溶融させることで電気アルミニウムめっき液を調製した。このめっき液を使用して、実施例5と同様のバレル方式でのめっき処理を行い、鉄球の表面にアルミニウムめっき被膜(厚み:約40μm)を形成した。表面にアルミニウムめっき被膜を有する鉄球の断面観察の結果を図12に示す。図12から明らかなように、鉄球の表面に形成されたアルミニウムめっき被膜は、層状に形成されており、かつ、層と層の間で剥離が生じた不均一なものであることがわかった。実施例5のめっき液と比較例8のめっき液の電気伝導性を図13に示す。図13から明らかなように、実施例5のめっき液と比較例8のめっき液の電気伝導性は大きく異なり、この電気伝導性の相違が鉄球の表面に形成されたアルミニウムめっき被膜の性状に反映していること、めっき液が塩化テトラメチルアンモニウムを含有することで、電気伝導性が向上することがわかった(分極曲線の勾配が大きいほど電気伝導性が高い)。
Claims (6)
- ジメチルスルホン10.0molに対してアルミニウムハロゲン化物を1.5〜4.0mol含有し、かつ、アルミニウムハロゲン化物に対して塩化アンモニウムをモル比で1/15〜1/4含有するか、または、塩化テトラアルキルアンモニウムをモル比で1/15〜1/2含有することを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
- アルミニウムハロゲン化物が塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の電気アルミニウムめっき液。
- アルミニウムハロゲン化物が無水物であることを特徴とする請求項1記載の電気アルミニウムめっき液。
- 塩化テトラアルキルアンモニウムが塩化テトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項1記載の電気アルミニウムめっき液。
- 請求項1記載の電気アルミニウムめっき液中に被めっき物を陰極として設置し、通電を行うことで被めっき物の表面にアルミニウムめっき被膜を形成することを特徴とするアルミニウムめっき被膜の形成方法。
- 請求項5記載のアルミニウムめっき被膜の形成方法によって表面にアルミニウムめっき被膜が形成されてなることを特徴とする物品。
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