JP4529356B2 - ポリ乳酸樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂のポリマーアロイからなるポリ乳酸樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸は、溶融成形可能な結晶性ポリマーであり、実用上優れた生分解性ポリマーとして期待されている。しかしながら、ポリ乳酸は結晶融点が比較的低く、耐熱性に劣るため、その用途が制限され、さらなる新規用途を開拓する上で障害を生じている。そこでポリ乳酸樹脂においては、特に耐熱性を改良することが強く要望されており、その改良方法として、高耐熱成分の樹脂をポリマーアロイ化する方法が有望視されている。
【0003】
ところで2種もしくはそれ以上のポリマー同士を混合することは、ポリマーブレンドまたはポリマーアロイとして広く知られており、個々のポリマーの欠点を改良する方法として広く利用されている。しかしながら、一般的に2種のポリマーを混合した場合、多くは個々の相に分離し、一方の相が数μm以上の不均一な粗大分散構造を有するのが一般的である。この様な分散形態の場合、不透明であり、また機械強度も低く、さらには溶融混練時の吐出時にバラス効果を起こしやすく生産性に劣るものとなるのが多い。一方、極まれに2種のポリマーが均一に混合する場合があり、この種のものは、一般的に相溶性ポリマーまたは混和性ポリマーと呼ばれ、優れた特性を示すことが期待されるが、その例は限られたものである。
【0004】
特許文献1には、ポリ乳酸と、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂とのアロイからなる単繊維及び多成分繊維が開示されており、またかかる単繊維及び多成分繊維中で不連続性または共連続性相を呈しているが、具体的記載としては、鞘−芯型やサイド−バイ−サイド型の多成分繊維に関するもののみであり、上記樹脂とのアロイからなる単繊維については具体的記載がない。つまり上記文献中には、ポリ乳酸とその他の樹脂とのアロイにより、如何なる構造が形成されるかについての具体的開示はなく、さらにはいかなる構造を有する場合に、優れた耐熱性の改良効果、および優れた機械強度を有するかについても一切開示がない。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−522412号公報(第2、25、37頁)
【0006】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリ乳酸樹脂の課題である耐熱性を改良し、かつ機械強度にも優れるポリ乳酸樹脂組成物を提供することをその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物において特定構造としたポリ乳酸樹脂組成物が上記特性を有することを見いだし本発明を完成させるにいたった。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、ポリ乳酸樹脂40重量%以上を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物であり、前記ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値の差の絶対値が、0.01〜1.6〔(cal/cm 1/2 〕の範囲であり、かつ該ポリ乳酸樹脂組成物中で、前記ポリ乳酸樹脂と前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂が、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成していることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物、
(2)前記ポリ乳酸樹脂組成物における両相連続構造または分散構造がスピノーダル分解により相分離させることによって形成されたものであることを特徴とする、上記(1)記載のポリ乳酸樹脂組成物、
(3)前記ポリ乳酸樹脂組成物が、溶融混練を経て得られたものであることを特徴とする上記(1)〜(2)いずれか1項記載のポリ乳酸樹脂組成物、
(4)前記ポリ乳酸樹脂組成物が、溶融混練時の剪断下で相溶化させた後、吐出後の非剪断下で相分離させることにより得られたものであることを特徴とする上記(3)記載のポリ乳酸樹脂組成物、
)前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値が9.7〜11.5〔(cal/cm1/2〕の範囲であることを特徴とする上記(1)〜()いずれか1項記載のポリ乳酸樹脂組成物、であり、
)ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、ポリ乳酸樹脂40重量%以上を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値の差の絶対値が、0.01〜1.6〔(cal/cm 1/2 〕の範囲であり、かつ前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂とポリ乳酸樹脂をスピノーダル分解により相分離させて、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成させることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、
)ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする上記()記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、
)溶融混練時の剪断下でポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を相溶化させ、吐出後の非剪断下で相分離させることを特徴とする上記()記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明のポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記他の共重合成分の共重合量は、全単量体成分に対し、0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることが好ましい。
【0012】
本発明において、特に高い耐熱性を有する樹脂組成物を得るためには、ポリ乳酸樹脂として乳酸成分の光学純度が高いものを用いることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが特に好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることが更に好ましい。
【0013】
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
【0014】
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の融点は通常、乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点120℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることにより、また融点150℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることにより得ることができる。
【0015】
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂の分子量については、特に制限はないが、後述のスピノーダル分解する際の条件に関連するため、適宜選択され、通常重量平均分子量が5万以上のものが用いられるが、良好な機械特性を得るために好ましくは8万以上、さらに10万以上であることがより好ましい。上限としては30万以下であることが好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
【0016】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を含んでなるものであり、かつ該ポリ乳酸樹脂組成物中で、前記ポリ乳酸樹脂と前記その他の樹脂が、構造周期0.001μm〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001μm〜2μmの分散構造を形成していることが必要である。かかる構造となるポリ乳酸樹脂組成物を得る方法としては、後述のスピノーダル分解を利用する方法が好ましく、さらには後述の剪断場依存型相溶解・相分解を利用する方法が、さらなる微細な構造制御を容易にすることからより好ましく用いられる。
【0017】
以下、一般に2成分の樹脂からなるポリマーアロイにおける構造制御方法を説明する。2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
【0018】
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
【0019】
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
【0020】
また前記バイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
【0021】
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶しているか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
【0022】
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速に変化させた場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
【0023】
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]-1/2(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
【0024】
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行する。
【0025】
ここで本発明にいうところの分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
【0026】
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である不規則な分散構造が形成されてしまい、それが成長するため最終的に均一な分散構造が得られにくい。
【0027】
またこれらの両相連続構造もしくは分散構造が、スピノーダル分解によって形成されたものかを確認するためには、規則的な周期構造を有しているかを確認することが有効である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
【0028】
ここでポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂からなるポリ乳酸樹脂組成物において、スピノーダル分解を実現させるためには、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とする。
【0029】
まずこのポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、溶融混練で相溶化させる溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
【0030】
溶融混練により相溶化させるには、相溶化する条件を満足させ得る性能を有する限り、通常の単軸押出機、または2軸押出機を用いることができるが、中でも2軸押出機を用いることが好ましい。また相溶化のための温度は、ポリ乳酸樹脂、およびポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の分子量の組み合わせ、、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の種類によっても異なり、一概にはいえないが、溶融混練時の温度で相溶となる様適宜ポリ乳酸樹脂および/またはポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の分子量を低下させた場合の相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
【0031】
そこで次に溶融混練により相溶状態としたポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂からなるポリ乳酸樹脂組成物を、スピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件はポリ乳酸樹脂、およびポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の分子量の組み合わせ、その他の樹脂の種類によっても異なり、一概にはいえないが、上記相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
【0032】
このスピノーダル分解で相分離した後は、所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。かかるスピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0033】
本発明のポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物は、樹脂組成物中、前記ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂とが構造周期0.001〜2μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの範囲の分散構造に構造制御されていることが必要であるが、さらに優れた機械特性を得るためには、構造周期0.001〜1.2μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.001〜0.8μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましい。
【0034】
本発明で用いるポリ乳酸樹脂以外のポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂としては、上記スピノーダル分解により相分離可能な樹脂であることが好ましく、そのためにはポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値の差が小さいことが好ましい(ポリ乳酸樹脂のSP値9.6〔(cal/cm1/2〕)。ポリ乳酸と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂のSP値の差の絶対値は、0.01〜1.6〔(cal/cm1/2〕の範囲であり、0.01〜1.5〔(cal/cm1/2〕の範囲が好ましい。かかる範囲の、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の具体例としては、ポリカーボネート(9.75〔(cal/cm1/2〕)、ポリブチレンテレフタレート(10.77〔(cal/cm1/2〕)、ポリエチレンテレフタレート(10.3〔(cal/cm1/2〕)、1,4−シクロヘキサンジメタノール誘導体共重合ポリエステル(例えば、テレフタル酸単位と、エチレングリコール単位および1,4−シクロヘキサンジメタノール単位からなるポリエステルであって、かつエチレングリコール単位(I)と1,4−シクロヘキサンジメタノール単位(II)とのモル比(I)/(II)が、約70/30のもの10.3〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン6(10.62〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン11(9.76〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン12(9.53〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン66(10.62〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン46(10.97〔(cal/cm1/2〕)、ナイロン610(10.05〔(cal/cm1/2〕)等を挙げることができる。
【0035】
また上記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂のSP値としては、9.7〜11.5〔(cal/cm1/2〕の範囲が好ましく、さらには9.7〜11未満〔(cal/cm1/2〕の範囲が好ましい。またかかるSP値とは、P.A.J.Small,J.Appl.Chem.,3,71,(1953)に記載された方法によって求められるものである。
【0036】
また上記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂は、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合等のカルボニル基を有するので、構造的にポリ乳酸樹脂と親和性が高いためか、スピノーダル分解による相分離を誘発する条件域を広くとり得る傾向があり好ましい。また、ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させる観点からも、これらの高耐熱性樹脂が好ましく挙げられる。
【0037】
ポリ乳酸を除くポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
上記ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。またジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0039】
これらの重合体ないしは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール誘導体共重合ポリエステル(テレフタル酸単位を主とするジカルボン酸単位と、エチレングリコール単位および1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を主とするグリコール単位とからなる非晶ポリエステル)などが挙げられ、中でもポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール誘導体共重合ポリエステルなどが特に好ましい。かかるポリエステル樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲、通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下の範囲で、酸成分としてイソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、1,2’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−エタン、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの他のジカルボン酸を、またグリコール成分としてプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、および2,2−ビス(2’−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの他のグリコールを共重合することができる。
【0040】
また、これらポリ乳酸を除くポリエステル樹脂の分子量については、分子量に関するパラメーターである固有粘度が0.36〜1.60dl/g、とくに0.52〜1.35dl/gの範囲にあるものが良好な機械特性を得られるため通常好適に用いられるが、本発明で規定する構造を形成させるため、ポリ乳酸樹脂と組み合わせて前述のスピノーダル分解により相分離させ得るよう、適宜選択される。ここでいう固有粘度とは、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの値をさす。
【0041】
ポリアミド樹脂としては、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0042】
とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。
【0043】
また、これらポリアミド樹脂の分子量については、分子量に関するパラメーターである相対粘度が1.5〜5.0の範囲、とくに2.0〜4.0の範囲にあるものが良好な機械特性を得られるため通常好適に用いられるが、ポリ乳酸樹脂と組み合わせて前述のスピノーダル分解により相分離させ得るよう、適宜選択される。ここでいう相対粘度とは、1%の濃硫酸溶液を25℃で測定したときの値を指す。
【0044】
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA、つまり2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするものが挙げられる。具体的には、上記ビスフェノールAをジヒドロキシ成分として用い、エステル交換法あるいはホスゲン法により得られたポリカーボネートであることが好ましい。さらに、ビスフェノールAの一部、好ましくは10モル%以下を、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどで置換したものも好ましく用いられる。
【0045】
また、これらポリカーボネート樹脂の分子量については、分子量に関するパラメーターである固有粘度が0.2〜1.3dl/gの範囲、とくに0.3〜1dl/gの範囲にあるものが良好な機械特性を得られるため通常好適に用いられるが、ポリ乳酸樹脂と組み合わせて前述のスピノーダル分解により相分離させ得るよう適宜選択される。ここでいう固有粘度とは、メチレンクロライド溶液を20℃で測定したときの値を指す。
【0046】
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合においても、上記部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となり、構造の微細化が容易となるためより好ましく用いられる。
【0047】
剪断下での溶融混練により相溶化させるには、相溶化の条件を満足させ得る性能を有する限り、通常の単軸押出機、または2軸押出機を用いることができるが、中でも高剪断を賦与できるようスクリューアレンジとした2軸押出機を用いることが好ましい。ここで相溶化する温度、スピノーダル分解するための温度、その他の条件はポリ乳酸樹脂、およびその他の樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。
次に上記剪断下で溶融混練により相溶状態としたポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂からなるポリ乳酸樹脂組成物を、非剪断下でスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は、ポリ乳酸樹脂、およびポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。この剪断場依存型相溶解・相分解でのスピノーダル分解による、構造の微細化をより効果的に生じさせるためには、上記剪断条件下での相図の変化幅が大きくなるよう、ポリ乳酸樹脂、およびポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の分子量の組み合わせを選択することが好ましい。
【0048】
このスピノーダル分解で相分離した後は、所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。かかるスピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0049】
本発明のポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を主たる構成単位とするポリ乳酸樹脂を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物は、構造周期0.001〜2μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの範囲の分散構造に構造制御されているが、さらに優れた機械特性を得るためには、構造周期0.001〜1.2μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.001〜0.8μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましい。
【0050】
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に、さらにポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどのコポリマーである第3成分を添加することは、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させ、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリ乳酸樹脂組成物の各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリ乳酸樹脂組成物同様に取り扱うことができる。
【0051】
本発明でのポリ乳酸樹脂組成物の組成については、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、通常ポリ乳酸樹脂が40重量%以上が用いられ、さらにポリ乳酸樹脂の特性を効果的に発現するため好ましい組成として、60〜95重量%の範囲がより好ましく、特に65〜95重量%の範囲が好ましい。
【0052】
本発明に対して、本発明の目的を損なわない範囲で充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、有機繊維、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土など)、酸化防止剤(ヒンダートフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系など)、赤外線吸収剤、有機顔料(シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、クノフタロン系など)、無機顔料、蛍光増白剤、滑剤、離形剤、難燃剤(リン系、ブロム系など)、抗菌剤、制電剤、核化剤、撥水剤、防カビ剤、消臭剤、ブロッキング防止剤などを添加することができる。
【0053】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、相溶性または混和性に優れ溶融混練可能であることから、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、繊維、シートなどとして利用できる。またフイルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸、インフレーションフィルムなどの各種フイルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。また、これらの物品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、日用品など各種用途に利用することができる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
実施例1
表1記載の組成からなる原料を、シリンダー温度240℃に設定し、ニーディングゾーンを1箇所有し、スクリュー回転数を100rpmの通常速度で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。
【0056】
次に、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定したガットを用い、加熱プレスにより表1記載の温度、時間で熱処理後、急冷し構造を固定したシート(厚み0.5mm)を作製した。該シートから厚み100μmの切片を切り出し、光散乱を測定した。表1には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの切片から超薄切片を切り出したサンプルについて位相差光学顕微鏡にて観察を行い、構造の状態を観察した結果を表1に記した。
【0057】
以上の様に、両相連続構造が出現し、さらには光散乱を測定した際に、散乱極大のピークが出現し該構造が周期構造を有していることから、本サンプルはスピノーダル分解により構造が形成されたものと考えられる。これは2軸押出機の溶融混練時において一旦相溶化し、加熱プレスでのシート化時にスピノーダル分解により相分離し、その後急冷することにより構造が固定されたものと考えられる。
【0058】
また別途、該シートから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.5mmのサンプルを切り出し、23℃、50%RHの環境下、オリエンテック社製テンシロンUTA−4を用いて、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度測定結果を表1に記した。
【0059】
また別途、該シートから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.5mmの短冊状サンプルを切り出し、試験片を、長手方向の片端から20mmの位置で保持して試験片が水平になるように片持ち状態で固定し、100〜170℃まで10℃間隔の各温度に設定されたオーブン中に60分間放置した後、保持した部分と反対側の先端が自重によって垂れ下がった垂直距離を測定した。次にこの各温度での垂れ下がり垂直距離と温度をプロットし各点間を直線で結び、垂れ下がり垂直距離3mmと交差する温度を耐熱温度とし、その値をヒートサグ試験の結果として表1に記載した。
【0060】
実施例2
ニーディングゾーンを2箇所有し、スクリュー回転数を300rpmの高速で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)を用いた以外は、実施例1と同様であり、該サンプルの引張強度、耐熱温度を測定した結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本例の様に、より高い剪断を賦与することにより、剪断場依存型相溶解・相分解が生じ、その結果、より微細な周期構造が出現し、優れた耐熱性と、機械強度を発現したものと考えられる。
【0061】
実施例3〜4、6〜8
表1記載の組成からなる原料を、シリンダー温度240℃に設定し、ニーディングゾーンを2箇所有し、スクリュー回転数を300rpmの高速で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。
【0062】
次に、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定したガットを用い、加熱プレスにより表1記載の温度、時間で熱処理後、急冷し構造を固定したシート(厚み0.5mm)を作製した。該シートから厚み100μmの切片を切り出し、小角X線散乱、または光散乱を測定した。表1には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。なお、分散構造を有する場合の粒子間距離も両相連続構造における構造周期と同じ方法で算出される。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの切片から超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡、または位相差光学顕微鏡にて観察を行い、構造の状態を観察した結果を表1に記した。
【0063】
図1に実施例3の組成物における各成分の分散形態を示す位相差光学顕微鏡写真を示す。該写真から、規則的な両相連続構造が観察される。
【0064】
図2に実施例7の組成物における各成分の分散形態を示す位相差光学顕微鏡写真を示す。該写真から、規則的な両相連続構造が観察される。
【0065】
以上の様に、両相連続構造が出現し、さらには光散乱を測定した際に散乱極大のピークが出現し、該構造が周期構造を有していること、及び分散構造においても散乱実験により散乱極大のピークが出現し該構造が周期構造を有していることから、2軸押出機の高剪断時において一旦相溶化したサンプルは、加熱プレスでのシート化時にスピノーダル分解により相分離し、その後急冷することにより構造が固定されたものと考えられる。
【0066】
また別途、該シートから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.5mmのサンプルを切り出し、23℃、50%RHの環境下、オリエンテック社製テンシロンUTA−4を用いて、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度測定結果を表1に記した。
【0067】
また別途、該シートから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.5mmの短冊状サンプルを切り出し、試験片の片端20mmを保持して試験片が水平になるように片持ち状態で固定し、100〜250℃まで10℃間隔の各温度に設定されたオーブン中に60分間放置した後、保持した部分と反対側の先端が自重によって垂れ下がった垂直距離を測定した。次にこの各温度での垂れ下がり垂直距離と温度をプロットし各点間を直線で結び、垂れ下がり垂直距離3mmと交差する温度を耐熱温度とし、その値をヒートサグ試験の結果として表1に記載した。
【0068】
実施例5
押出温度および熱処理温度を270℃で行ったこと以外は、実施例2と同様であり、シートの引張強度、耐熱温度を測定した結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表1に記載した。
【0069】
比較例1
PBTの添加量を増加した以外は、実施例2と同様であり、シートの引張強度、耐熱温度を測定した結果、およびシートの構造周期、構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本例の様に、構造の粗大化が進行し、かかる構造周期が本発明範囲を外れると、機械特性、耐熱性に劣るものしか得られなかった。
【0070】
なお、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PLA :ポリ乳酸(D体の含有量が1.2%であり、PMMA換算の重量平均分子量が10万であるポリL乳酸樹脂、溶解度パラメータ
9.6)
PBT:ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート:固有粘度0.5dl/g、溶解度パラメータ10.8)
PET:ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート:固有粘度0.6dl/g、溶解度パラメータ10.3)
N6:ポリアミド樹脂(N6、濃硫酸中、濃度1%、25℃で測定した相対粘度が1.8、溶解度パラメータ10.6)
N12:ポリアミド樹脂(N12、濃硫酸中、濃度1%、25℃で測定した相対粘度が1.7、溶解度パラメータ9.5)
PC:ポリカーボネート樹脂(三菱エンプラ社製H4000、固有粘度0.4dl/g
PE:ポリエチレン樹脂(三井化学社製、“ハイゼックス”7000F、溶解度パラメータ7.9)
また、ポリ乳酸の重量平均分子量は、日本Warters(株)製、Warters2690を用い、PMMAを標準とし、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒を用いて測定し、ポリエステル樹脂の固有粘度は、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定し、ポリアミド樹脂の相対粘度は、1%の濃硫酸溶液を25℃で測定し、ポリカーボネート樹脂の固有粘度はメチレンクロライド溶液を20℃で測定した。
【0071】
【表1】
Figure 0004529356
【0072】
比較例2
ポリ乳酸樹脂以外のその他の樹脂を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様に溶融混練しリペレットし、シートの引張強度、耐熱温度を測定した結果を表2に記載した。本例はポリ乳酸樹脂アロイ系との比較用のサンプルである。
【0073】
比較例3
その他の樹脂をポリエチレン樹脂とし、シリンダー温度240℃に設定し、ニーディングゾーンを1箇所有し、スクリュー回転数を100rpmの通常速度で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本サンプルについても実施例2と同様に、シートを作製し、該シートの引張強度、耐熱温度を測定した結果、および構造の状態を観察した結果を表2に記載した。本例の場合、非周期構造で不均一な分散構造となることから、本サンプルはスピノーダル分解により構造が形成されたものではないと考えれる。これは押出温度240℃の押出機中の通常剪断下で相溶化していないものと考えられる。この場合、機械特性、耐熱性に劣るものしか得られなかった。
【0074】
比較例4
シリンダー押出温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを2箇所有し、スクリュー回転数を300rpmの高速で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本サンプルについても実施例2と同様に、シートを作製し、該シートの引張強度、耐熱温度を測定した結果、および構造の状態を観察した結果を表2に記載した。本例の場合、非周期構造で不均一な分散構造となることから、本サンプルはスピノーダル分解により構造が形成されたものではないと考えられる。これは押出温度240℃の押出機中の高剪断下でも相溶化していないものと考えられる。 この場合、機械特性、耐熱性に劣るものしか得られなかった。
【0075】
【表2】
Figure 0004529356
【0076】
これらの結果から、本発明のポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂からなる特定構造周期の両相連続構造物、分散構造物が、優れた機械特性、耐熱性を有していることがわかる。
【0077】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、ポリ乳酸樹脂40重量%以上を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物であって特定構造としたポリ乳酸樹脂組成物で、ポリ乳酸樹脂の課題である耐熱性を改良し、かつ機械強度にも優れるポリ乳酸樹脂組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の組成物における各成分の分散形態を示す位相差光学顕微鏡写真を示す。
【図2】実施例7の組成物における各成分の分散形態を示す位相差光学顕微鏡写真を示す。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、ポリ乳酸樹脂40重量%以上を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物であり、前記ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値の差の絶対値が、0.01〜1.6〔(cal/cm 1/2 〕の範囲であり、かつ該ポリ乳酸樹脂組成物中で、前記ポリ乳酸樹脂と前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂が、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成していることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 前記ポリ乳酸樹脂組成物における両相連続構造または分散構造がスピノーダル分解により相分離させることによって形成されたものであることを特徴とする、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 前記ポリ乳酸樹脂組成物が、溶融混練を経て得られたものであることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 前記ポリ乳酸樹脂組成物が、溶融混練時の剪断下で相溶化させた後、吐出後の非剪断下で相分離させることにより得られたものであることを特徴とする請求項3記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. 前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値が9.7〜11.5〔(cal/cm1/2〕の範囲であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  6. ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の合計100重量%に対して、ポリ乳酸樹脂40重量%以上を含んでなるポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂の溶解度パラメータ(SP)値の差の絶対値が、0.01〜1.6〔(cal/cm 1/2 〕の範囲であり、かつ前記ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂とポリ乳酸樹脂をスピノーダル分解により相分離させて、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成させることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
  7. ポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする請求項記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
  8. 溶融混練時の剪断下でポリ乳酸樹脂および、ポリ乳酸を除くポリエステル、ポリアミド、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とするポリカーボネートから選ばれる少なくとも1成分の樹脂を相溶化させ、吐出後の非剪断下で相分離させることを特徴とする請求項記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
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