JP2010273061A - スピーカー用フレーム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に優れ、なお且つ、環境負荷を低減させた、スピーカー用フレームを提供する。
【解決手段】本発明のスピーカー用フレームは、ポリ乳酸樹脂(A)と非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練して得られるアロイ化樹脂を含有する複合材料から形成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、スピーカー用フレームに関する。より詳細には、本発明は、耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に優れ、なお且つ、環境負荷を低減させた、スピーカー用フレームに関する。
車載向けスピーカー用フレームの材料としては、一般的に、汎用樹脂の成形品や鉄板を絞ったものが挙げられる。
上記汎用樹脂としては、ABS樹脂、PP樹脂等が一般的に良く用いられている。しかし、このような汎用樹脂を単独で用いたスピーカー用フレームは、環境の厳しい車載用途には十分に対応しきれないという問題がある。
そこで、汎用樹脂に対して、耐熱性の高いPBT樹脂等をアロイ化させたり、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、マイカ等の無機質フィラーを添加させたりして、耐熱性と剛性を向上させている。
しかし、上記のような汎用樹脂は、石油から製造されるものであり、燃焼廃棄時に多量の二酸化炭素を発生するため、環境破壊につながるという問題が生じる。
また、上記無機質フィラーとして最も良く使用されているガラス繊維は、溶融温度が低いため、燃焼廃棄時に液状化してしまい、焼却炉の壁面にへばりついて焼却炉を傷めてしまうという問題がある。
環境にやさしい材料として、とうもろこしやサトウキビ等の植物由来のポリ乳酸樹脂が知られている(特許文献1参照)。しかし、このようなポリ乳酸樹脂は、耐熱性や耐衝撃性に劣るという問題がある。
上記問題を解消するため、ポリ乳酸樹脂にケナフや竹繊維等の天然繊維をブレンドする技術が知られている(特許文献2、3参照)。しかし、ブレンドするものが天然繊維であるため、耐熱性や耐衝撃性の向上は十分ではない。
また、ポリ乳酸樹脂とポリプロピレン樹脂と竹繊維とをブレンドする技術が知られている(特許文献4参照)。しかし、ポリプロピレン樹脂では耐熱性や耐衝撃性が向上せず、またポリプロピレン樹脂は結晶性樹脂であるために成形時の樹脂の流動性が悪く、ヒケやウェルドライン等が生じやすいという問題がある。また、ポリプロピレン樹脂の配合比を多くした場合には、接着性が低下するという問題が生じる。
ポリオレフィン系樹脂にフィラーとして玄武岩からなるバサルト繊維を添加する技術が知られている(特許文献5参照)。しかし、このようなバサルト繊維が添加されたポリオレフィン系樹脂は、スピーカー用フレームに最も要求される耐衝撃性に劣っているという問題がある。また、ポリオレフィン系樹脂自体が石油から製造されるものであり、燃焼廃棄時に多量の二酸化炭素を発生するため、環境破壊につながるという問題が生じる。
特開2009−13343号公報 特開2005−260546号公報 特開2008−160360号公報 特開2009−89303号公報 特開2006−303969号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に優れ、なお且つ、環境負荷を低減させた、スピーカー用フレームを提供することにある。
本発明のスピーカー用フレームは、ポリ乳酸樹脂(A)と非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練して得られるアロイ化樹脂を含有する複合材料から形成される。
好ましい実施形態においては、上記ポリ乳酸樹脂(A)が植物由来のポリ乳酸樹脂である。
好ましい実施形態においては、上記ポリ乳酸樹脂(A)の配合割合が50重量%以下である。
好ましい実施形態においては、上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)との配合比が20:80〜30:70である。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂(B)がリサイクル品である。
好ましい実施形態においては、上記複合材料がフィラーを含む。
好ましい実施形態においては、上記フィラーがバサルト繊維である。
好ましい実施形態においては、上記アロイ化樹脂に対する上記バサルト繊維の含有割合が20重量%以下である。
好ましい実施形態においては、上記バサルト繊維が、長さ1〜3mmのチョップドファイバーである。
本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に優れ、なお且つ、環境負荷を低減させた、スピーカー用フレームを提供することができる。
このような効果は、スピーカー用フレームの材料として、ポリ乳酸樹脂(A)と非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練して得られるアロイ化樹脂を含有する複合材料を用いることによって発現可能となる。
本発明のスピーカー用フレームは、特定の複合材料から形成される。スピーカー用フレームの形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。スピーカー用フレームの形成方法としては、具体的には、例えば、上記複合材料をペレット化し、所望のスピーカー用フレームの形状を有するインジェクション金型を用いて、該ペレットを原料としてインジェクション成形する方法が挙げられる。
上記複合材料は、ポリ乳酸樹脂(A)と非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練して得られるアロイ化樹脂を含有する。
上記ポリ乳酸樹脂(A)としては、任意の適切なポリ乳酸樹脂を採用し得る。上記ポリ乳酸樹脂(A)としては、例えば、L−乳酸からなるポリ乳酸、D−乳酸からなるポリ乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、またはこれら2種以上の混合物、などが挙げられる。なお、上記L−乳酸や上記D−乳酸は化学修飾されていても良い。
上記ポリ乳酸樹脂(A)としては、上記のようなホモポリマーが好ましいが、乳酸モノマーまたはラクチドとそれらと共重合可能な他の成分とが共重合されたポリ乳酸コポリマーであっても良い。ポリ乳酸コポリマーを形成する上記「他の成分」としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などに代表されるジカルボン酸;エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール;グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類;等が挙げられる。
上記ポリ乳酸樹脂(A)は、植物由来のポリ乳酸樹脂であることが好ましい。植物由来のポリ乳酸樹脂としては、具体的には、例えば、とうもろこし、芋類、サトウキビ、ビートなどの植物から採取されるデンプンを原料として製造される乳酸から製造されるポリ乳酸樹脂である。
上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)としては、非晶質を発現するものであれば任意の適切なポリカーボネート樹脂を採用し得る。上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)としては、例えば、2価以上のフェノール系化合物と炭酸ジエステル化合物とを反応させて得られるもの等が挙げられる。
上記2価以上のフェノール系化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等の2価フェノール系化合物;2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の3価以上のフェノール系化合物;などが挙げられる。
上記炭酸ジエステル化合物としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
上記炭酸ジエステル化合物としてホスゲンを用いた場合は、上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)は、例えば、溶媒及び脱酸剤の存在下における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)を代表とする原料とホスゲンとの脱塩重縮合反応(ホスゲン法)によって製造し得る。上記炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いた場合は、上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)は、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)を代表とする原料とジフェニルカーボネートの無機溶媒条件下におけるエステル交換反応(エステル交換法)によって製造し得る。
本発明においては、上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)は、リサイクル品であることが好ましい。このようなリサイクル品としては、例えば、CD、DVDなどの記録媒体に用いられたポリカーボネート樹脂のリサイクル品が挙げられる。
非晶質のポリサルフォン樹脂(C)としては、非晶質を発現するものであれば任意の適切なポリサルフォン樹脂を採用し得る。
本発明においては、上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または上記非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練してアロイ化樹脂とする。上記混練方法としては任意の適切な方法を採用し得る。上記混練方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーやユニバーサルミキサー等の混合機を用いて溶融混錬を行う方法が挙げられる。上記混練を行う際には、上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または上記非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混合したものに、相溶化剤など任意の適切な添加剤を加えても良い。
相溶化剤としては、任意の適切な相溶化剤を採用し得る。相溶化剤としては、例えば、メタクリル樹脂(例えば、(株)クラレ製のパラペットGR(メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの共重合体とメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレンの共重合体との混合物)など)が挙げられる。メタクリル樹脂としては、代表的には、メタクリル酸エステルモノマーをモノマー成分として含む樹脂が挙げられる。メタクリル樹脂は、1種の(共)重合体のみからなっていても良いし、2種以上の(共)重合体の混合物であっても良い。メタクリル樹脂を構成する(共)重合体としては、例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸エステル系共重合体、などが挙げられる。上記メタクリル酸エステルモノマーとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸ブレンド(MMA(GE−110)、MMA(GE−120))、メタクリル酸2−ヒドロキシメチル(2−HEMA)、メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)、メタクリル酸i−ブチル(i−BMA)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DAM)、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(DMC)、メタクリル酸グリシジル(GMA)、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル(LMA)、メタクリル酸Sラウリル(SLMA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEAEMA)、メタクリル酸アリル(AMA)、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、などが挙げられる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記ポリ乳酸樹脂(A)の配合割合は、好ましくは50重量%以下である。また、上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または上記非晶質のポリサルフォン樹脂(C)との配合比が、好ましくは20:80〜30:70である。上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または上記非晶質のポリサルフォン樹脂(C)との配合比を上記範囲内に収めることにより、耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に一層優れ、なお且つ、環境負荷を一層低減させた、スピーカー用フレームを提供することが可能となる。特に、上記ポリ乳酸樹脂(A)の配合割合が大きすぎると、スピーカー用フレームを作製した際に、荷重たわみ温度が低下してしまうおそれがあり、車載向けのスピーカー部品としての実用性に劣るおそれがある。
本発明における上記複合材料は、上記アロイ化樹脂を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を含んでいても良い。
本発明における上記複合材料は、上記その他の添加剤として、フィラーを含むことが好ましい。フィラーを含むことによって、曲げ剛性に一層優れたスピーカー用フレームを提供することが可能となる。上記フィラーとしては、本発明の効果をより一層発現させる点で、バサルト繊維が好ましい。
上記バサルト繊維としては、任意の適切なバサルト繊維を採用し得る。上記バサルト繊維としては、本発明の効果を十分に発現させる点で、好ましくは、長さ1〜3mmのチョップドファイバーである。
上記その他の添加剤としてバサルト繊維を用いる場合、上記アロイ化樹脂に対する上記バサルト繊維の含有割合は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは1〜20重量%である。上記アロイ化樹脂に対する上記バサルト繊維の含有割合を上記範囲内に収めることにより、曲げ剛性に一層優れたスピーカー用フレームを提供することが可能となる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量(質量)基準である。
<試験方法>
実施例および比較例で得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を以下のように行った。
(比重)
ISO規格1183に準じた試験方法に従って測定した。
(曲げ弾性率)
ISO規格178に準じた試験方法に従って測定した。
(衝撃強度)
ISO規格179に準じた試験方法に従って測定した。
(荷重たわみ温度)
ISO規格75に準じた試験方法に従って測定した。
(MFR)
ISO規格1133に準じた試験方法に従って測定した。
〔実施例1〕
ポリ乳酸樹脂(レイシアH−100J:三井化学(株)製)と非晶質ポリカーボネート樹脂(100%リサイクル品、タフロンA1900:出光興産(株)製)とを、配合比30:70で混合し、相溶化剤(メタクリル樹脂(メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの共重合体とメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレンの共重合体との混合物((株)クラレ製のパラペットGR)))を樹脂合計量に対して10重量%の割合で添加し、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて十分に攪拌して、溶融温度230℃で押出機の口金よりストランド状に押出し、水冷後ペレタイザーで切断し、アロイ化樹脂ペレットを得た。
得られたアロイ化樹脂ペレットを、口径16cmの車載用スピーカー用フレーム形状を有するインジェクション金型にて、成形温度250℃、金型温度90℃、冷却時間30secの条件下で、インジェクション成形を行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリカーボネート樹脂との配合比を20:80にした以外は、実施例1と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリカーボネート樹脂との配合比を50:50にした以外は、実施例1と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
非晶質ポリカーボネート樹脂に代えて、非晶質ポリサルフォン樹脂(ユーデル:ソルベイアドバンストポリマーズ(株))を用いた以外は、実施例1と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリサルフォン樹脂との配合比を50:50にした以外は、実施例4と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
実施例1において、天然の玄武岩100%を溶融炉で溶かして紡糸させて得たバサルト繊維を3mmの長さにチョップドファイバー化したものを、ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリカーボネート樹脂との合計量に対して20重量%添加した以外は、実施例1と同様にして溶融混練、ペレット化、インジェクション成形を行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
天然の玄武岩100%を溶融炉で溶かして紡糸させて得たバサルト繊維を3mmの長さにチョップドファイバー化したものを、ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリカーボネート樹脂との合計量に対して5重量%添加した以外は、実施例6と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
非晶質ポリカーボネート樹脂を用いず、ポリ乳酸樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様に行い、スピーカー用フレームを作製した。
得られたスピーカー用フレームについて、各種物性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010273061
表1を見ると、樹脂としてポリ乳酸樹脂のみを用いた比較例1では、曲げ弾性率、衝撃強度、荷重たわみ温度がいずれも小さいが、樹脂としてポリ乳酸樹脂と非晶質のポリカーボネート樹脂および/または非晶質のポリサルフォン樹脂とを用いた実施例1〜7では、曲げ弾性率、衝撃強度、荷重たわみ温度がいずれも向上している。したがって、本発明のスピーカー用フレームは、耐熱性、耐衝撃性、曲げ剛性に優れることが判る。
また、樹脂としてポリ乳酸樹脂のみを用いた比較例1では、MFRが小さいが、樹脂としてポリ乳酸樹脂と非晶質のポリカーボネート樹脂および/または非晶質のポリサルフォン樹脂とを用いた実施例1〜7では、MFR値が向上している。したがって、本発明のスピーカー用フレームは、成形時の樹脂の流動性が優れ、複雑な構造であっても樹脂が均一に流動して成形ムラが低減され、ヒケやウェルドラインが生じ難くなる。
さらに、バサルト繊維を用いた実施例6、7においては、バサルト繊維を用いない実施例1に比べて、衝撃強度は若干低下するものの、曲げ弾性率は大きく向上し、荷重たわみ温度も向上している。さらに、バサルト繊維の樹脂との摩擦係数が小さいためバサルト繊維が潤滑油の役割を果たしているため、実施例6、7においてはMFR値が大きく向上しており、成形性が向上していることが判る。
実施例3、5では、他の実施例に比べて、荷重たわみ温度が若干低くなっている。これは、ポリ乳酸樹脂と非晶質ポリカーボネート樹脂との配合比の調整において、ポリ乳酸樹脂の配合割合が他の実施例に比べて大きいためと考えられる。
本発明のスピーカー用フレームは、生分解性を発現するポリ乳酸樹脂を用いているため、環境負荷を低減させることができる。
本発明のスピーカー用フレームは、特に、車載向けスピーカー用フレームに好適である。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)と非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)とを混練して得られるアロイ化樹脂を含有する複合材料から形成される、スピーカー用フレーム。
  2. 前記ポリ乳酸樹脂(A)が植物由来のポリ乳酸樹脂である、請求項1に記載のスピーカー用フレーム。
  3. 前記ポリ乳酸樹脂(A)の配合割合が50重量%以下である、請求項1または2に記載のスピーカー用フレーム。
  4. 前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記非晶質のポリカーボネート樹脂(B)および/または非晶質のポリサルフォン樹脂(C)との配合比が20:80〜30:70である、請求項1から3のいずれかに記載のスピーカー用フレーム。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂(B)がリサイクル品である、請求項1から4までのいずれかに記載のスピーカー用フレーム。
  6. 前記複合材料がフィラーを含む、請求項1から5までのいずれかに記載のスピーカー用フレーム。
  7. 前記フィラーがバサルト繊維である、請求項6に記載のスピーカー用フレーム。
  8. 前記アロイ化樹脂に対する前記バサルト繊維の含有割合が20重量%以下である、請求項7に記載のスピーカー用フレーム。
  9. 前記バサルト繊維が、長さ1〜3mmのチョップドファイバーである、請求項7または8に記載のスピーカー用フレーム。
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