JP4529251B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、即席麺あるいはヨーグルト等を収納する容器の蓋材に関するものであり、さらに詳細には、内容物の充填機内における供給適性を考慮した蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば即席麺あるいはヨーグルトやプリン等を収納する容器で、上端に開口部を有しかつ上端縁のフランジ部を有する容器本体を密封する蓋材で、プラスチックフィルムや紙、アルミニウム箔などの積層体でなり、裏面(最内面)が容器フランジ部にヒートシール等で密封するためのシーラント層でなる蓋材が知られ、その開封は、フランジ部にシールされている蓋材をその周縁のタブを持ち上げながら剥がして食する便利な容器として広く普及している。
【0003】
上記のような容器本体にヨーグルト等内容物の充填と蓋材をそれにシールして、商品とするその商品専用の自動充填機があり、この自動充填機では、複数枚重ね合わされた蓋材と容器本体が搭載されていて、走行する容器本体に内容物を充填後、複数枚重ね合わされた蓋材より一枚づつ分離されてその容器本体のフランジ部にヒートシールされて商品とするようになっている。
【0004】
ところが上記複数枚重ね合わされた蓋材が、一枚づつ分離されずに(例えば2枚くっついた状態で)一個の容器に供給されて、シール不良等の不良品となる事故が発生することがあった。それは蓋材の裏面(シーラント層)とその下に重ね合わされている蓋材の表面とが完全に密着して剥がれない状態となっているためであって、蓋材の表裏両面とも平滑性が良すぎることがその要因の一つでもあった。
【0005】
そこで従来、この問題の解消に、例えば製造中に蓋材と蓋材との間にデンプンやタルクなどの微粉末を散布して重ね合わせる方法や、蓋材表面にエンボスローラー等によりエンボス加工を施したもの同志を重ね合わせる方法などがとられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術である微粉の散布による方法では、内容物等にもよるが、例えば無菌充填の場合は、不純物として混入するので使用不可能であり、またエンボス加工等による方法では、表面の見栄えの問題や内部の印刷が見え難いなどのほか硬質の材料には加工し難く、耐熱性のない材料ではエンボスができないなどの問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、容器本体に内容物の充填と蓋材のシールで商品とする自動充填機において、表面材質の如何にかかわらず、かつ無菌充填の場合も適用可能な、1枚づつ分離して供給される充填機適性に優れた蓋材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、容器本体の上端開口部をシール密封する積層体で、外周縁に開封用タブを有する蓋材において、前記積層体は、少なくとも蓋材の表面側が、JIS K 7105に規定されている光沢度が7%以上100%以下となるように、表面にサンドブラスト法により凹凸が形成されるか、もしくは所定の粒度の無機顔料が樹脂のバインダーに分散されたつや消し剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムでなり、裏面がシーラント層でなることを特徴とする蓋材としたものである。
【0009】
また、請求項2の発明では、無菌充填において、微粉を使用することなくクリーンな状態で、1枚ずつ分離して供給可能とし、かつ内容物の充填と蓋材のシールを一連の作業で行なう自動充填機にて対応可能なことを特徴とする請求項1記載の蓋材としたものである。
【0010】
上記本発明の蓋材によれば、比較的硬いフィルムの表面に既につや消し処理が均一に施されていて、かつその表面の光沢度で7〜100%の範囲内では、自動充填機内で安定して一枚づつ分離されて供給され、微粉を使用していないので無菌充填の場合もクリーンな状態で使用可能な充填機適性に優れた蓋材とすることができる。その表面の光沢度が、7%に満たないと表面の凹凸が大き過ぎて見栄えがせず、内部の印刷も見え難くなり、また表面の光沢度が、100%を越えると1枚づつ分離されず2枚差しによる不良品の発生の危惧があるので好ましくない。なお通常の平坦なポリエチレンテレフタレートフィルムの光沢度は、160〜200%である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明の蓋材は、図1の側断面図に示すように、例えば表面側から、表面につや消し処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(10)の裏面に、ドライラミネーション用接着剤を介して、表面に印刷層(22)を有する基材シート(20)をラミネートし、さらにドライラミネーション用接着剤を介して、容器本体(5)のフランジ部(12)にヒートシールでシールするためのシーラント層(30)を最内層として設けた積層体でなり、外周縁に開封用タブ(14)を有する蓋材(1)である。
【0012】
この積層体の構成は、内容物の種類やそれに応じて必要な機能をもつもので、例えば即席麺用(熱湯を注いで温めほぐしてから食す)には、図2の側断面図に示すように、基材シート(20)として、印刷層(22)を有する紙層(26)の裏面にドライラミネーション用接着剤を介してアルミニウム箔(28)をラミネートし、それにシーラント層(30)が形成され、外周縁に開封用タブ(14)を有する蓋材(1)で、デットホールド性(開封用タブ(14)を引っ張り上げ、中央まで剥離すると上にカールしたままの状態を保持する性質で、この状態で熱湯を安全に注ぐことができる)や遮光性を持たせた蓋材(1)とすることもできる。
【0013】
また、本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムに硝化綿、アクリル、ウレタンあるいはポリアミド系のつや消し剤をコートしてつや消し処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(10)とすることもできる。
【0014】
以下本発明の蓋材を構成する各層の材料等について説明する。
まず本発明の蓋材(1)を構成するつや消し処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(10)としては、例えば厚さ12μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に圧搾空気により砂を吹きつけるサンドブラスト法によりつや消し処理を行ったものが一般的に使用可能であり、そのつや消しの度合いは、吹きつけ圧、砂の粒度、処理時間等でグレード化したもので、プラスチックの光学的特性試験法として、JIS K 7105に規定されている表面の光沢度で、7〜100%の範囲のものが、本発明の蓋材として好適である。その表面の光沢度が、7%に満たないと表面の凹凸が大き過ぎて見栄えがせず、例えば図1あるいは図2に示すような印刷層(22)も見え難くなり、また100%を越えると、自動充填機内に積載された蓋材が1枚づつ分離されず2枚差しになるなどの不良品の発生の危惧があるので好ましくない。なお通常のつや消し処理の施されていない平坦なポリエチレンテレフタレートフィルムの光沢度は、160〜200%である。
【0015】
また、つや消し剤のコートによる場合のつや消し剤としては、例えば無機顔料である酸化チタン等が、硝化綿、アクリル、ウレタンあるいはポリアミド系樹脂等のバインダーに分散された塗布液があり、その塗布液をロールコート法等で5〜20g/m2 程度に塗布乾燥されて得られる。この場合も無機顔料等の粒度や分散量、バインダーの種類等によってその表面光沢度がグレード化されていて、7〜100%の範囲のものが好適に使用される。
【0016】
また、本発明の蓋材(1)を構成する基材シート(20)としては、例えば二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム、ナイロン(ONy)フィルム、ポリプロピレン(OPP)フィルム等の単体フィルムが挙げられ、内容物や蓋材の機能等を考慮して適宜選定することができる。
【0017】
あるいは、図2に示すように少なくとも表面が白色で印刷適性を有する、例えば坪量50〜120g/m2 程度の両アート紙、片アート紙、両、片面コート紙等を紙層(26)とし、厚さ10μm程度のアルミニウム箔(28)を接着剤等を介して積層されたものが即席麺等を収納するカップのデッドホールド性や遮光性に優れた蓋材の基材シート(20)として好適に使用することもできる。
【0018】
また、本発明の蓋材(1)を構成する最内層としてのシーラント層(30)としては、ヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィンが好適に用いられ、さらにこれらポリオレフィン樹脂にポリスチレンやポリブデン等からなる、ポリオレフィン樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとすることもでき、これら樹脂のフィルムを基材シート(20)にドライラミネーション用接着剤を介してラミネートするか、あるいはこれら溶融樹脂を基材シート(20)面にアンカーコート剤を介して、押し出しラミネートして得られる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m2 程度で設けてもよく、これらシーラント層(30)によって容器本体(5)のフランジ部(12)との十分な密封性と剥離開封性(イージーピール性ともいう)を可能とすることができる。
【0019】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉図1に示すように、つや消し処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(10)として厚さ12μmのマットPETフィルム:エンブレットPTH−12(ユニチカ社製)の裏面に、ポリエステル・ウレタン系のドライラミネーション用接着剤:A−515/A−50(武田薬品社製)をグラビア法にて3g/m2 の塗布量で塗布、乾燥し、接着剤表面がまだ粘着状態時に、表面に白色コートと絵柄印刷でなる印刷層(22)を有する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材シート(20)として、加圧接着して中間製品としての積層体を得た。
【0020】
さらに上記で得られた中間製品としての積層体の基材シート(30)裏面に、ポリエステル・ウレタン系のドライラミネーション用接着剤:A−515/A−50(武田薬品社製)をグラビア法にて3g/m2 の塗布量で塗布、乾燥し、接着剤表面がまだ粘着状態時に、ポリエチレンに不相溶性成分であるポリブデンを混合した厚さ30μmのイージーピールフィルム:商品名CF7601EA(東レ合成社製)をシーラント層(30)として加圧接着して蓋材用の積層体を得た。ここで得られた積層体の平均表面光沢度は、70%であった。
【0021】
〈比較例1〉
上記実施例1で使用したマットPETフィルムを、つや消し処理の施されていない平滑な厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は、実施例1と同様にして蓋材の積層体を得た。この積層体の平均表面光沢度は、170%であった。
【0022】
上記実施例1および比較例1で得られた積層体を小断し、打ち抜いて、外周縁に開封用タブ(14)を有する100mmφの蓋材(1)とし、容器本体(5)としてポリエチレンがコートされた紙カップと、これら蓋材(1)を自動充填機に積載し、充填テストを繰り返したところ、実施例1で得られた蓋材では、2枚差しなどがなく良好なシール密封がなされた商品が得られた。それに対し比較例1で得られた蓋材では、2枚差しが発生し約10%の不良品(シール不良)ができた。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、容器本体の上端開口部をシール密封する積層体で、外周縁に開封用タブを有する蓋材において、比較的硬いPETフィルムの表面に既につや消し処理が均一に施されていて、かつその表面の光沢度で7〜100%の範囲内とすることによって、自動充填機内で安定して一枚づつ分離されて供給され、微粉を使用していないので無菌充填の場合もクリーンな状態で使用可能な充填機適性に優れた蓋材とすることができる。
【0024】
従って本発明は、即席麺あるいはヨーグルト等を収納する容器の蓋材において、特に内容物を充填する自動充填機内における供給適性を考慮した蓋材として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓋材の一実施の形態を説明するための側断面概略図である。
【図2】本発明の蓋材の他の一実施の形態を説明するための側断面概略図である。
【符号の説明】
1‥‥蓋材
5‥‥容器本体
10‥‥つや消し処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム
12‥‥フランジ部
14‥‥開封用タブ
20‥‥基材シート
22‥‥印刷層
26‥‥紙層
28‥‥アルミニウム箔
30‥‥シーラント層
Claims (2)
- 容器本体の上端開口部をシール密封する積層体で、外周縁に開封用タブを有する蓋材において、前記積層体は、少なくとも蓋材の表面側が、JIS K 7105に規定されている光沢度が7%以上100%以下となるように、表面にサンドブラスト法により凹凸が形成されるか、もしくは所定の粒度の無機顔料が樹脂のバインダーに分散されたつや消し剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムでなり、裏面がシーラント層でなることを特徴とする蓋材。
- 無菌充填において、微粉を使用することなくクリーンな状態で、1枚ずつ分離して供給可能とし、かつ内容物の充填と蓋材のシールを一連の作業で行なう自動充填機にて対応可能なことを特徴とする請求項1記載の蓋材。
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