JP4528599B2 - エピタキシャル基板の製造方法 - Google Patents
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Description
シリコンの半導体単結晶基板には、成長の過程でグローイン(Grown−in)欠陥と呼ばれる結晶欠陥が発生する。近年、半導体回路の高集積化、微細化の進展に伴い、デバイスが作成される基板表面近傍に、この結晶欠陥が存在することが許されなくなってきている。
そこで、半導体単結晶基板上にシリコンのエピタキシャル層を成長させることにより、表面近傍に結晶欠陥を有しない基板(エピタキシャル基板)を製造する方法が知られている。
このエピタキシャル基板の製造方法としては、次のような方法が用いられている。
まず、単結晶基板上にエピタキシャル層を成長させる。次に、このエピタキシャル層上に、CVD法等により、保護膜(シリコンの酸化膜又はシリコンの窒化膜)を形成する。
その後、面取り装置を用いて、面取りを行い、エピタキシャル層の成長により基板周縁部に生じたエッジクラウンを除去する。さらに、エッジクラウン除去後の基板をエッチング液に浸漬し、エッチングを施し、面取り加工により生じた加工歪を除去する。そして、フッ酸や燐酸を用いて、保護膜を除去する。これにより、エピタキシャル基板が完成する(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されたエピタキシャル基板の製造方法では、面取り工程の後段で、エッチング工程を実施し、面取り工程で生じた加工歪を除去している。このエッチング工程では、基板をエッチング液に浸漬するが、基板のエピタキシャル層表面には、保護膜が形成されているので、基板表面の平坦度がエッチングにより崩れてしまうことがない。
このようなスピンエッチングでは、少量のエッチング液をエピタキシャル基板のエピタキシャル層上に遠心力により、高速に広げることができるから、エピタキシャル基板の平坦度を崩さずに、エピタキシャル基板の周縁部のエッチングを行なうことができる。
そのため従来のように、平坦度を確保するために、エピタキシャル層上に保護膜を形成する必要がなく、エピタキシャル基板の製造工程を簡略化することができる。
また、このような本発明では、エッチング装置は、エピタキシャル基板の裏面から、前記エピタキシャル基板の周縁部に向かってガスを吐出し、ガスの吐出圧を制御することにより、エッチング液の前記エピタキシャル基板の周縁部への回り込みを調整している。従って、例えば、エッチング液の粘度等に応じてガスの吐出圧を制御することで、エッチング液のエピタキシャル基板の周縁部への回り込みを適宜調整することができる。
エッチング工程では、エピタキシャル層が形成された面にエッチング液を滴下するとともに、エピタキシャル基板を回転させて、スピンエッチングを行なっている。そのため、エピタキシャル層には、エッチング液が流れた跡が形成されることとなる。
本発明では、エッチング工程の後段で、エピタキシャル層の表面を研磨しているので、エッチング液が流れた跡を消すことができる。
エピタキシャル層の厚さ寸法を60μm以上とした場合に、エピタキシャル基板の周縁部にエッジクラウンや、ナイフエッジが形成されやすくなるため、面取り工程が不可欠なものとなる。従って、本発明のエピタキシャル基板の製造方法は、エピタキシャル層の厚さ寸法が60μm以上の場合に、特に有用なものとなるのである。
エッチング液の粘度が低すぎる場合には、エッチング液がエピタキシャル基板の周縁部に回り込むことなく、エピタキシャル基板の回転による遠心力により、エッチング液が基板外方に飛んでしまう可能性がある。これに対し、本発明では、エッチング液は、硫酸を含有するため、所定の粘度を有することとなる。エッチング工程において、エピタキシャル基板の周縁部に倣ってエッチング液が流れやすくなり、確実にエピタキシャル基板の周縁部のエッチングを行なうことができる。
さらに、本発明では、エッチング液は燐酸を含有しているので、エッチングされるエピタキシャル基板の周縁部の光沢度を向上させることができる。
図1には、本実施形態のエピタキシャル基板の製造方法のフローチャートが示されている。
本実施形態のエピタキシャル基板の製造方法は、エピタキシャル層形成工程(処理S1)と、面取り工程(処理S2)と、エッチング工程(処理S3)と、研磨工程(処理S4)とを備える。
エピタキシャル層形成工程(処理S1)は、半導体単結晶基板上にシリコンのエピタキシャル層を形成し、エピタキシャル基板を形成する工程である。
ここで、図2に示すように半導体単結晶基板11は、CZ法で製造されたものである。この半導体単結晶基板11は、表裏面が鏡面加工されているとともに、その周縁部111には面取り加工が施されている。
このようにして形成されたエピタキシャル層12は、厚さ寸法T1が60μm以上であり、エピタキシャル基板1の周縁部121の表面には、エッジクラウン122や、ナイフエッジ123が形成されている。
図4に示すように、エピタキシャル基板1の周縁部121を面取り装置2のダイアモンド砥石21の端面に押し当て、ダイアモンド砥石21を回転させる。これにより、エピタキシャル基板1の周縁部121のエッジクラウン122、ナイフエッジ123が除去されることとなる。
なお、エピタキシャル基板1の周縁部121には、面取りによる加工歪が生じることとなる。また、エピタキシャル基板1の周縁部121には、面取りにより、金属不純物が付着することとなる。
このエッチング工程(処理S3)では、図5に示すようなエッチング装置3を使用する。
このエッチング装置3は、いわゆるスピンエッチングを行なう装置であり、エピタキシャル基板1を保持する保持手段31と、前記保持手段31を回転駆動する回転手段32と、エピタキシャル基板1上にエッチング液35を滴下する滴下手段33とを備える。
保持手段31は、エピタキシャル基板1の裏面に当接し、エピタキシャル基板1を保持するインナーチャック311と、このインナーチャック311の外側に配置されたアウターチャック312とを備える。
インナーチャック311は中空の円錐台形状となっている。このインナーチャック311は、上面(エピタキシャル基板1側の面)が下面よりも大きな径となっている。
回転軸321は、中空構造であり、その上端は、インナーチャック311の下面に固定されている。回転軸321の回転中心軸321Bは、エピタキシャル基板1の表裏面の平面中心位置を通るようになっている。
また、回転軸321の上端近傍には孔321Aが形成されており、回転軸321の下端から注入されたガス34は、回転軸321内部を通り、前記孔321Aを介して、インナーチャック311及びアウターチャック312間の隙間に充填される。そして、出口S1からガス34が排出される。すなわち、回転軸321の内部及びインナーチャック311及びアウターチャック312間の隙間がガス34の吐出経路Sを構成することとなる。
なお、このガス34が吐出経路Sの出口S1から排出されることにより、エピタキシャル基板1の裏面側では、負圧が発生する。この負圧により、エピタキシャル基板1の裏面がインナーチャック311の上面に当接し、エピタキシャル基板1がインナーチャック311に固着されることとなる。
ここで、前記ガス34としては、例えば、乾燥した酸素が使用される。
このため、エピタキシャル基板1が回転しつつ、ノズル331からエッチング液35が滴下されると、エッチング液35は、遠心力により、エピタキシャル基板1の中心から周縁部121に向かって拡散し、図6に示すように、周縁部121に倣って、エピタキシャル基板1の裏面側に回りこむ。
ここで、エッチング液35としては、少なくとも硫酸と、燐酸とを含有するものであることが好ましく、特に、硫酸、燐酸、フッ酸、硝酸を含有するものであることが好ましい。
まず、エピタキシャル基板1をインナーチャック311上に設置する。次に、回転軸321内部にガス34を注入し、回転軸321内部、インナーチャック311及びアウターチャック312間の隙間を介して、ガス34を出口S1から排出する。次に、回転軸321を回転駆動し、その後、滴下手段33のノズル331からエッチング液35を滴下する。エッチング液35は、図6に示すように、エピタキシャル基板1の中心から周縁部121に向かって拡散し、周縁部121を通って、エピタキシャル基板1の裏面側に回りこむ。これにより、エピタキシャル基板1の周縁部121がエッチングされることとなり、加工歪が除去されるとともに、周縁部121に付着した金属不純物が取り除かれる。
また、エッチング液35の吐出量が多くなると、エッチング液35のエピタキシャル基板1の裏面への回り込み量が大きくなる。さらに、エッチング液35の粘度が大きくなると、エッチング液35のエピタキシャル基板1の裏面への回り込み量が大きくなる。さらに、ガス34の出口S1からの吐出圧が大きくなると、エピタキシャル基板1の裏面側に回りこんだエッチング液35を阻止する力が大きくなるため、エッチング液35のエピタキシャル基板1の裏面への回り込み量が小さくなる。
なお、ガスの出口S1からの吐出圧は、インナーチャック311及びアウターチャック312間の隙間の幅Dにより変化させることができる。
このエッチング液35の流れの軌跡を除去するために、研磨を行なう(処理S4)。
図7に示すように、研磨装置4の支持台40の上に、エピタキシャル基板1を設置し、研磨パッド41を、エピタキシャル基板1の表面に押し当て、回転させることで、研磨を行なう。
これにより、エピタキシャル基板1が完成し、エピタキシャル基板1の製造が終了することとなる。
(1)面取り工程(処理S2)の後段で、エピタキシャル層12が形成された面にエッチング液35を滴下するとともに、エピタキシャル基板1を回転させ、エッチング液35を遠心力により広げて、前記エピタキシャル基板1の周縁部121をエッチングしている。これにより、面取り工程(処理S2)で生じたエピタキシャル基板1の周縁部121の加工歪が除去されることとなる。また、エピタキシャル基板1の周縁部121をエッチングすることで、面取り工程(処理S2)で付着した金属不純物等を除去することが可能となる。
このようなスピンエッチングでは、少量のエッチング液35をエピタキシャル基板1のエピタキシャル層12上に遠心力により、高速に広げることができるから、エピタキシャル基板1の平坦度を崩さずに、周縁部121のエッチングを行なうことができる。
そのため従来のように、平坦度を確保するために、エピタキシャル層12上に保護膜を形成する必要がなく、エピタキシャル基板1の製造工程を簡略化することができる。
(3)さらに、本実施形態では、スピンエッチングにより、エピタキシャル基板1の周縁部121のエッチングを行なっており、周縁部121が非常に滑らかな面となる。これにより、周縁部121での割れ等を防止することができ、周縁部121の強度を向上させることができるとともに、発塵を防止することができる。
本実施形態では、エッチング工程(処理S3)の後段の研磨工程(処理S4)でエピタキシャル層12の表面を研磨しているので、エッチング液35が流れた跡を消すことができる。
なお、研磨工程(処理S4)では、エッチング工程(処理S3)で生じたエッチング液35が流れた跡を除去するだけでよいので、研磨時間が非常に短時間となる。
(6)エッチング液35の粘度が低すぎる場合には、エッチング液35がエピタキシャル基板1の周縁部121に回り込むことなく、エピタキシャル基板1の回転による遠心力により、エッチング液35がエピタキシャル基板1の外方に飛んでしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、エッチング液35は、硫酸を含有するため、所定の粘度を有することとなる。エッチング工程(処理S3)において、エピタキシャル基板1の周縁部121に倣ってエッチング液35が流れやすくなり、確実にエピタキシャル基板1の周縁部121のエッチングを行なうことができる。
さらに、本実施形態では、エッチング液35は燐酸を含有しているので、エッチングされるエピタキシャル基板1の周縁部121の光沢度を向上させることができる。
(8)また、本実施形態では、エッチング装置3は、エピタキシャル基板1の裏面から、エピタキシャル基板1の周縁部121に向かってガス34を吐出し、ガス34の吐出圧を制御することにより、エッチング液35のエピタキシャル基板1の周縁部121への回り込みを調整している。従って、例えば、エッチング液35の粘度等に応じてガス34の吐出圧を制御することで、エッチング液34のエピタキシャル基板1の周縁部121への回り込みを適宜調整することができる。
例えば、前記実施形態では、エッチング液35は、燐酸、硝酸、硫酸、フッ酸の4種類の酸を含有するものとしたが、これに限らず、例えば、硫酸、燐酸のみを含有するものであってもよい。さらには、フッ酸のみであってもよい。
さらに、前記実施形態では、エピタキシャル基板1のエピタキシャル層12の厚さ寸法は、60μmであるとしたが、これに限らず、120μmであってもよい。
さらに、前記実施形態では、エッチング装置3のアウターチャック312は、インナーチャック311に対する相対位置を移動できる構成となっており、アウターチャック312及びインナーチャック311間の幅Dを調節できるとされていたが、これに限らず、アウターチャック312のインナーチャック311に対する相対位置は固定されていてもよい。このようにすることで、油圧シリンダ等のアウターチャック312を駆動するための手段が不要となり、エッチング装置3の部材点数を削減することができる。
2 面取り装置
3 エッチング装置
4 研磨装置
11 半導体単結晶基板
12 エピタキシャル層
21 ダイアモンド砥石
31 保持手段
32 回転手段
33 滴下手段
34 ガス
35 エッチング液
40 支持台
41 研磨パッド
111 周縁部
121 周縁部
122 エッジクラウン
123 ナイフエッジ
311 インナーチャック
312 アウターチャック
313 油圧シリンダ
313A シリンダ
313B ピストン
321 回転軸
321A 孔
321B 回転中心軸
331 ノズル
Claims (4)
- 半導体単結晶基板上にエピタキシャル層が形成されたエピタキシャル基板の製造方法であって、
前記半導体単結晶基板上に前記エピタキシャル層を形成するエピタキシャル層形成工程と、
前記半導体単結晶基板上に前記エピタキシャル層が形成されたエピタキシャル基板の周縁部の面取りを行なう面取り工程と、
前記エピタキシャル層が形成された面にエッチング液を滴下するとともに、前記エピタキシャル基板を回転させて、前記エッチング液を遠心力により広げ、前記エピタキシャル基板の周縁部をエッチングするエッチング工程とを備え、
前記エッチング工程では、エッチング装置を用いて、エッチングを行い、
前記エッチング装置は、前記エピタキシャル層が形成された面にエッチング液を滴下する滴下手段と、
前記エピタキシャル層が形成された面と反対側のエピタキシャル基板を保持する保持手段と、
この保持手段に保持された前記エピタキシャル基板の表裏面を通る軸を回転中心軸として、前記エピタキシャル基板を回転駆動する回転手段とを備え、
前記保持手段は、前記エピタキシャル基板の裏面に当接し、前記エピタキシャル基板を保持するインナーチャックと、このインナーチャックの外側に隙間を形成して配置されたアウターチャックとを有し、
前記インナーチャック及び前記アウターチャック間の隙間から前記エピタキシャル基板の裏面を介して、前記エピタキシャル基板の周縁部に向かってガスを吐出し、前記インナーチャック及び前記アウターチャック間の隙間の幅を変化させることにより前記ガスの吐出圧を制御して、前記エッチング液の前記エピタキシャル基板の周縁部への回り込みを制御することを特徴とするエピタキシャル基板の製造方法。 - 請求項1に記載のエピタキシャル基板の製造方法において、
前記エッチング工程の後段で、前記エピタキシャル層の表面を研磨する研磨工程を備えることを特徴とするエピタキシャル基板の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のエピタキシャル基板の製造方法において、
前記エピタキシャル層形成工程において、形成するエピタキシャル層は、60μm以上の厚さ寸法であることを特徴とするエピタキシャル基板の製造方法。 - 請求項1から3の何れかに記載のエピタキシャル基板の製造方法において、
前記エッチング工程で使用するエッチング液は、少なくとも硫酸及び燐酸を含有することを特徴とするエピタキシャル基板の製造方法。
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