JP2007208060A - シリコンウエハの製造方法、シリコンウエハおよびシリコンブロック - Google Patents

シリコンウエハの製造方法、シリコンウエハおよびシリコンブロック Download PDF

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Abstract

【課題】スライス加工時にシリコンウエハがダミー材から脱落するのを防止すると共に、シリコンウエハの破断強度を向上させ、シリコンウエハの割れ率を低下させることを課題とする。
【解決手段】シリコンウエハ製造用のシリコンブロックの、シリコンウエハの端面となる側面を機械的に研磨し、次いで該側面をケミカルエッチングし、その後スライス加工して、シリコンウエハを得ることからなり、前記ケミカルエッチング後の表面粗さが、前記研磨後の表面粗さより大きいことを特徴とするシリコンウエハの製造方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】図6

Description

本発明は、シリコンウエハの加工方法、特にシリコンブロック側面に存在する凹凸を平坦化する研磨技術に関する。
シリコンウエハの需要は、太陽電池などの普及に伴い年々増加している。特に太陽電池においては、一辺が5インチの四角形型のシリコンウエハを54枚程度用いて1枚の太陽電池モジュールを製造するため、その使用量はICやLSIなどのシリコンウエハの使用量に比べて膨大である。
このようなシリコンウエハには、多結晶と単結晶があり、次のような方法で製造されている。
多結晶シリコンウエハは、次のような方法で製造される。
まず、バンドソーなどを用いて、四角形型の多結晶シリコンインゴットを四角形型の多結晶シリコンブロックに切り出し、これを寸法出し、エッチングなどの仕上げ工程に付す。次に、得られたシリコンブロックをスライスし、シリコンウエハを製造する。
一般に、シリコンブロックのスライスには、ワイヤソー装置が用いられる。まず、シリコンブロックをダミー材(例えば、ガラス)と接着し、これをワイヤソー装置に取り付け、ワイヤーを走行させながらシリコンブロックをワイヤーの走行方向と垂直方向に移動させることにより、シリコンブロックをスライスする。このとき、シリコンブロックを超え、ダミー材の一部にまで達するように、ワイヤーを走行させて、シリコンブロックとダミー材の一部を切断する。スライス後のウエハは、ウエハと同等の厚みの接着剤のみで保持される。スライス後、ウエハを接着剤から剥離し、洗浄、検査工程を経てシリコンウエハを得る。
また、単結晶シリコンウエハは、次のような方法で製造される。
CZ法(引き上げ法)などにより製造された円筒形型のシリコンインゴットを、適当な寸法(長さ)に切り出し、次いでバンドソーなどを用いて、円断面を4面切断して平坦部を作り、研削により寸法を整え、擬似角型の単結晶シリコンブロックを得る。
次に、上記のシリコンブロックと同様に、得られた単結晶シリコンブロックをスライスして、シリコンウエハを得る。このようにして得られたシリコンウエハのコーナーは丸みを有している。
太陽電池は、近年の急激な需要の増加により、原材料であるシリコンインゴットの需要が急激に増加し、その供給不足が発生している。
そこで、シリコンインゴットを有効利用した太陽電池の製造方法が望まれている。
例えば、シリコンウエハの薄型化は、シリコンインゴットの有効利用に繋がり、有益である。しかし、これを実現するためには、シリコンブロックからシリコンウエハを加工するスライス工程の前工程であるシリコンブロックの製造工程、特に、シリコンブロック側面の仕上げ加工が重要になる。すなわち、シリコンブロック側面の仕上げ加工の状態によって、得られるシリコンウエハの割れ率(歩留り)が左右される。
シリコンブロック側面の仕上げ加工としては、ケミカルエッチングが一般的に用いられているが、本発明の発明者は、スライス工程前にシリコンブロック側面を機械的に研磨することにより、シリコンウエハの割れ率を低下させる方法を提案した(特開2002−176014号公報、特許文献1参照)。
特開2002−176014号公報
ケミカルエッチングによるシリコンブロック側面の仕上げ加工には、次のような課題がある。
(1)バンドソーなどを用いて切り出されたシリコンブロック表面の機械的ダメージは大きく、これを取り除くためには、約100μm以上のケミカルエッチングが必要になる。
(2)上記(1)のケミカルエッチングでは、大量の化学廃液が発生し、その処理費用が膨大になる。
(3)多結晶シリコンをアルカリエッチングすると、粒界によりエッチング速度の差が生じ、シリコン表面の凹凸が50μm程度と大きくなり、ウエハの意匠が悪くなる。
そこで、本発明の発明者は、スライス工程前にシリコンブロック側面を研磨する方法を提案した。その方法は、次のような効果を示す。
(1)バンドソーなどを用いて切り出されたシリコンブロック表面の機械的ダメージをケミカルエッチングと同等以上に取り除くことができる。
(2)化学的な手法ではないため、化学廃液の発生が少なく、廃液の処理費用が比較的小さい。
(3)多結晶シリコンであっても、アルカリエッチングによるような、粒界による加工速度(エッチング速度)の差が生じないため、表面の凹凸が小さくなり、ウエハの意匠が良い。
しかしながら、上記の方法では、次のような課題がある。
(1)粒径の小さい(JIS規格の番手の大きい)砥粒を用いて研磨すれば、シリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRyは非常に小さくなり、このようなシリコンブロックをスライス加工したシリコンウエハの強度は非常に高くなる。しかし、スライス加工におけるシリコンブロックとガラスなどのダミー材との接着面積が小さくなり、スライス中にウエハが接着面から剥離し易くなるため、割れが発生し易くなる。
(2)シリコンウエハを薄型化するために、ワイヤソー装置のワイヤー間の距離を非常に狭く設定する必要があり、加工時の発熱により接着剤の接着力が低下し、剥離し易くなり、これによっても割れが発生し易くなる。
本発明は、スライス加工時にシリコンウエハがダミー材から脱落するのを防止すると共に、シリコンウエハの破断強度を向上させ、シリコンウエハの割れ率を低下させることを課題とする。
かくして、本発明によれば、シリコンウエハ製造用のシリコンブロックの、シリコンウエハの端面となる側面を機械的に研磨し、次いで該側面をケミカルエッチングし、その後スライス加工して、シリコンウエハを得ることからなり、前記ケミカルエッチング後の表面粗さが、前記研磨後の表面粗さより大きいことを特徴とするシリコンウエハの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記のシリコンウエハの製造方法を用いて製造されたシリコンブロックおよびシリコンウエハが提供される。
本発明によれば、スライス加工時にシリコンウエハがダミー材から脱落するのを防止すると共に、シリコンウエハの破断強度を向上させ、シリコンウエハの割れ率を低下させることができる。
本発明のシリコンウエハの製造方法は、シリコンウエハ製造用のシリコンブロックの、シリコンウエハの端面となる側面(シリコンブロック側面)を機械的に研磨(平坦化)し、次いで該側面をケミカルエッチングし、その後スライス加工して、シリコンウエハを得ることからなり、前記ケミカルエッチング後の表面粗さが、前記研磨後の表面粗さより大きいことを特徴とする。
本発明のシリコンウエハの製造方法を、実施形態に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態により限定されない。
1.角柱加工工程
まず、本発明のシリコンウエハの製造方法におけるシリコンウエハ製造用のシリコンブロックを加工する。
単結晶インゴット(胴体部長さ1m程度)のトップ部とテール部(インゴットの上下にある円錐状の部分)を、バンドソーなどを用いて切断する。その後、単結晶インゴットの胴体部分を、バンドソーなどを用いて適当な長さ(200〜500mm)に切断する。
その後、単結晶インゴットの胴体部分の表面にあるうねりを、円筒研削などの公知の方法で研削し、図1に示すような所定の外径寸法を有する単結晶インゴットを得る。
その後、バンドソーや外周刃切断機(ODソー)などを用いる公知の方法で、得られた単結晶インゴットを図2に示すように切断し、図3に示すような断面形状が略矩形(擬似四角形)である角柱シリコンブロックを得る。なお、角部に円弧面が残らないように単結晶インゴットを切断すると、断面形状が矩形(四角形)である角柱シリコンブロックが得られる。
太陽電池用のシリコンウエハの製造においては、シリコンブロックの断面形状は、矩形または略矩形であるのが好ましく、上記のようにシリコンインゴットから切り出したものであるのが好ましい。
2.研磨工程
本発明のシリコンウエハの製造方法においては、研磨は、順次行う第1研磨(粗研磨)工程と第2研磨(仕上げ研磨)工程の2工程からなり、第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が、第1研磨工程で用いる砥粒の粒径よりも小さいのが好ましい。ここで、「粒径」とは平均粒径を意味する。
2−1.第1の実施形態
第1の実施形態における研磨は、シリコンブロック側面上に砥粒と媒体との混合物を散布し、研磨加工部を前記側面上に近接あるいは接触させ、前記シリコンブロックと研磨加工部とを相対運動させることにより、シリコンブロック側面を機械的に研磨する。
この実施形態では、2種類の研磨剤を用いて、2段階で研磨する。
その後、得られたシリコンブロックを、ケミカルエッチング(化学反応を用いたエッチング)に付す。
研磨に用いられる砥粒としては、公知の砥粒、例えばダイヤモンド、GC(グリーンカーボランダム)、C(カーボランダム)、CBN(立方晶窒化ホウ素)などが挙げられる。
砥粒の大きさは、第1研磨工程ではJIS R6001の#100〜#400、第2研磨工程ではJIS R6001の#800〜#3000であるのが好ましい。なお、砥粒の粒径は、13000〜16000を番手で割った数値(単位はμm)である。
また、本発明で用いられる砥粒を散布するための媒体としては、水、アルカリ溶液、鉱油およびグリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(PG))のような液体、空気、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガスのような気体が挙げられる。
砥粒と媒体との混合割合は、それぞれ液体1kgに対して砥粒0.5〜1.5kg程度および気体1リットルに対して砥粒0.01〜2kg程度である。
本発明で用いられる研磨加工部としては、例えばスチール、樹脂、布、スポンジなどで形成された部材が挙げられ、より具体的にはスチールブラシ、樹脂ブラシなどが挙げられる。この研磨加工部は、その表面および/または内部に砥粒を有していなくてもよい。
第1の実施の形態について、図4を用いて説明する。
ここでは、角部に面取り面または円弧面を有する、断面形状が略矩形であるシリコンブロックを用いた場合について説明する。
まず、シリコンブロック1の研磨加工面に接触するように研磨ホイール2の先端部に研磨加工部3を設置し、研磨ホイール回転用モータ4により高速回転させると共に、研磨ホイール2の周辺に砥粒と媒体の混合物(「スラリー」または「遊離砥粒」、図示せず)をノズル5から散布する。また、シリコンブロックを一軸ステージ6により往復運動させる。
また、シリコンブロックの両端は、回転可能な保持機構7により保持されており、シリコンブロックにある4つの面を研磨する場合には、シリコンブロックの中心を軸に90度ずつ回転してそれぞれの面を研磨し、4つの円弧面を研磨する場合には、円弧の面に沿って揺動回転させて研磨する。
このような研磨ホイール2の回転運動と一軸ステージ6の往復運動により、シリコンブロックの全体が研磨され、微小な凹凸が除去される。スラリーは、砥粒(スラリーの中に存在する)を研磨ホイールの研磨加工部に染み込ませ、砥粒で研磨加工面を研磨加工する機能、砥粒を散布する媒体(スラリーの中に存在する)でシリコンの切屑や不要になった砥粒を排出する機能および研磨加工面の周辺を冷却する機能を有する。
研磨による研磨量は、100μm以上が好ましく、過剰研磨を考慮して100〜200μmが特に好ましい。
また、研磨後(ケミカルエッチング前)の研磨面の表面粗さは、最大高さRyが2μm以下(好ましくは、0.1〜1μm)および算術平均粗さRaが0.25μm以下(好ましくは、0.01〜0.13μm)の少なくとも1つの条件を満たすのが好ましい。
表面粗さの最大高さRyおよび算術平均高さRaは、JIS B0651に規定され、極端な段差がない限り、おおよそ最大高さRyの1/8が算術平均高さRaとなる。したがって、本発明の方法においては、最大高さRyおよび算術平均高さRaのいずれか1つを測定し、それを基準とすればよい。
研磨量および表面粗さは、砥粒の種類、使用量および吐出圧力、ホイールの回転数、ステージの移動速度などにも依存するが、研磨量は、第1研磨(粗研磨)工程で使用する砥粒の粒径(番手)に、表面粗さは第2研磨(仕上げ研磨)工程で使用する砥粒の粒径(番手)に最も大きな影響を受ける。
したがって、第1研磨工程で使用する砥粒が、JIS R6001の#400以下であれば、研磨量を100μm以上とすることができる。
また、第2研磨工程で使用する砥粒が、JIS R6001の#800以上であれば、最大高さRyを2μm以下とすることができる。
一般に、粒径の小さい(JIS規格の番手の大きい)砥粒を用いて研磨すると、最大高さRyは小さくなり、研磨による機械的ダメージを低減させことができる。但し、JIS R6001の#3000より大きい砥粒を用いて研磨すると、研磨量が低下し、粗研磨表面が残り、最大高さRyが大きくなるため、第2研磨工程ではJIS R6001の#800〜#3000が好ましい。第2研磨工程後にさらに第3研磨工程で研磨仕上げを行ってもよいが、工程が増加するので好ましくない。
発明者らの試験によれば、第2研磨工程後の最大高さRyは、JIS R6001の#800の砥粒を用いた場合には、1〜2μm程度、#1000の砥粒を用いた場合には、0.5〜1.5μm程度、#1200〜#3000の砥粒を用いた場合には、0.3〜1μm程度となることを確認している。
2−2.第2の実施形態
第2の実施形態に係る研磨は、シリコンブロック側面上に媒体を散布し、砥粒を有する研磨加工部を前記側面上に近接あるいは接触させ、前記シリコンブロックと研磨加工部とを相対運動させることにより、シリコンブロック側面を機械的に研磨する。
この実施形態では、2種類の研磨剤を用いて、2段階で研磨する。
その後、得られたシリコンブロックを、ケミカルエッチング(化学反応を用いたエッチング)に付す。
研磨に用いられる砥粒をその表面および/または内部に有する研磨加工部としては、例えば、ダイヤモンド、GC(グリーンカーボランダム)、C(カーボランダム)、CBN(立方晶窒化ホウ素)などの砥粒をその表面および/または内部に有する、スチール、樹脂、布、スポンジなどで形成された部材が挙げられる。
砥粒の大きさは、第1研磨工程ではJIS R6001の#100〜#400、第2研磨工程ではJIS R6001の#800〜#3000であるのが好ましい。
本発明で用いられる媒体としては、前記のような液体、気体が挙げられる。この媒体は、砥粒を含んでいなくてもよい。
散布される液体や気体は、スチール、樹脂、布、スポンジの表面および/または内部から脱落した砥粒およびシリコンの切屑などを、シリコンブロックの表面から排除する機能を有する。砥粒を含まない液体や気体を用いる場合、液体や気体のリサイクルが容易にでき、砥粒やシリコンの切屑の分離も容易にできる。
第2の実施の形態について、図5を用いて説明する。
ここでは、角部に面取り面または円弧面を有する、断面形状が略矩形であるシリコンブロックを用いた場合について説明する。
実施の形態1との違いは、シリコンブロック11の研磨加工面の表面に接触するように研磨ホイール12の先端部に砥粒をその表面および内部に有する研磨加工部(砥粒付き研磨加工部)13を設置し、上記媒体からなる研磨液または研磨気体をノズル15から散布することである。つまり、シリコンブロックの研磨加工面を研磨するのは、砥粒付き研磨加工部の砥粒である。シリコンブロックの研磨加工面に散布する研磨液や研磨気体は、シリコンの切屑の排出、研磨加工面の冷却や不要になった砥粒(砥粒屑)や研磨加工部より発生するゴミの排出を行う。図中、14は研磨ホイール回転用モータ、16は一軸ステージ、17は保持機構を示す。
この方法では、切屑や砥粒屑あるいはゴミなどによる研磨加工面の汚染や加工後のゴミなどの付着が抑えられるので、加工品質の低下を防ぐことができる。また、研磨液の場合、切屑やゴミなどの除去がフィルターなどで簡単に行えるので、毎回の加工ごとに液体の交換を行う必要がない。
3.ケミカルエッチング工程
次いで、研磨を行ったシリコンブロックをケミカルエッチング(以下、「エッチング」ともいう)に付す。
ケミカルエッチングは、本発明の方法に適する化学反応を用いたエッチングであれば特に限定されないが、フッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理であるのが好ましい。
酸処理に用いるエッチング液としては、例えば、フッ酸と硝酸との混酸、具体的には、フッ酸:硝酸:水を6:4:6の比率(容量)で混合したもの、フッ酸:硝酸を1:4の比率(容量)で混合した溶液が挙げられる。
アルカリ処理に用いるエッチング液としては、例えば、1〜30%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、1〜5%のアルカリ溶液に1〜10%のイソプロピルアルコールを混合したものが挙げられる。
ケミカルエッチングは、多結晶シリコンを用いる場合には、酸処理またはアルカリ処理が好ましく、単結晶シリコンを用いる場合には、アルカリ処理が好ましい。
ケミカルエッチングによるエッチング量は、2〜50μmであるのが好ましい。
また、ケミカルエッチング後(スライス前)のエッチング面の表面粗さは、最大高さRyが2〜30μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜4μmの少なくとも1つの条件を満たすのが好ましい。
このようにしてシリコンブロック側面のケミカルエッチング後の表面粗さは、研磨後の表面粗さより大きくなる。すなわち、シリコンブロック側面に微小な凹凸が形成されるので、次工程のスライス工程においてシリコンブロックとダミー材との接着面積が大きくなり、スライスされたシリコンウエハがダミー材から脱落するのを防止することができる。
図6は、本発明のシリコンウエハの製造方法に基づく、(a)角柱加工後、(b)研磨後、(c)エッチング後のシリコンブロック側面の表面状態、を示す模式図である。
図中、21はエッチング後の研磨表面、22はエッチング後のエッチングの谷面(エッチング後の底の位置)を示す。
(a)角柱加工後はバンドソーの加工により表面ダメージがあり、凹凸の大きさも大きく、(b)研磨後はバンドーソーによる表面ダメージが除去され、凹凸の小さい面となり、(c)エッチング後は微小な凹凸が形成されている。
4.スライス工程
1〜3の工程により製造されたシリコンブロックをダミー材(例えば、ガラス、以下「ダミーガラス」という)に接着し、これをジグに取り付け、さらにワイヤソー装置などの公知の装置に装着し、シリコンブロックを板状にスライスする。
ダミーガラスは、公知のものを用いることができるが、シリコンブロックとの接着面積を増やすために、ブラストなどで凹凸形状に加工したガラスを用いるのが好ましい。
接着剤は、公知のものを用いることができ、例えば、エポキシ系の接着剤などが挙げられる。
図7は、シリコンブロック、ダミーガラス、接着剤の構成を示す模式図であり、(a)は接着後、(b)はスライス後、(c)はスライス後に剥離(脱落)が発生した場合である。
図中、31はダミーガラス、32は接着剤、33はシリコンブロックを示す。
図8は、ワイヤソー装置の構造を示す概略図である。
この装置は、複数の溝に沿って切断用のワイヤー102を螺旋状に巻きつけたワイヤガイド101を回転させ、ワイヤー102を走行させ、オイルと砥粒の混合液であるスラリーをスラリーノズル104から吐出させると共に、その状態でワイヤー102とシリコンブロック103との間に切削送りを付与してシリコンブロックを切断する。
図中、105はプーリ、106は新線側ボビン、107は巻取側ボビンを示す。
ワイヤーによるシリコンブロックの切断は、図7(b)に示すように、シリコンブロックを超えてダミーガラスの一部を切断するように行う。
このダミーガラスの切断において、ダミーガラスの加工熱によりダミーガラスの温度が上昇するため、接着剤の接着力が弱くなる。このとき、シリコンブロックとダミーガラスとの接着面積が小さく、両者の接着力が弱いと、図7(c)に示すように接着面からウエハが脱落(剥離)し易い。特に、シリコンウエハの薄型化に伴い、ダミーガラスの被加工面積比率が増加しているため、ダミーガラスの温度上昇により、さらに接着面からシリコンウエハが脱落し易くなる。
本発明では、前工程のエッチングにより、シリコンブロック側面に凹凸を形成するので、シリコンブロックとダミーガラスとの接着面積を増加させることができ、ウエハの脱落が抑えることができる。
5.研磨条件とエッチング条件
本発明のシリコンウエハの製造方法を各工程1〜4に分けて説明したが、研磨条件とエッチング条件について、本発明者らが実施した試験例の結果に基づいて、さらに詳しく説明する。
(試験例1)
多結晶シリコンブロック側面を、表1に示す条件で、研磨後にエッチング処理、研磨処理のみ、およびエッチング処理のみに付し、スライス加工した場合について、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)と算術平均粗さRa(μm)、および得られたシリコンウエハの破断強度(N)とその標準偏差を比較した。
シリコンウエハの破断強度は、155mm角×厚さ200μmの多結晶シリコンウエハを、120mm間隔の2本の棒(先端はφ10mmの球面形状、長さ50mm)で下から保持し(自由端)、下の棒と対角に位置する120mm間隔の2本の棒(先端はφ10mmの球面形状、長さ50mm)でウエハの上から負荷をかけ、ウエハが破壊したときの荷重(N)とした。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手と研磨量、およびエッチング処理に用いたエッチング液の種類とエッチング量と共に表1に示す。
なお、エッチング液のアルカリとしては、1%水酸化ナトリウム水溶液を、エッチング液の酸としては、フッ酸:硝酸を1:4の比率(容量)で混合した溶液を用いた。
Figure 2007208060
表1より、次のことがわかる。
(1)ウエハの破断強度は、(研磨+アルカリ)と(研磨+酸)が同等で、次いで(研磨のみ)、(アルカリのみ)、(酸のみ)の順に高い。
(2)ウエハの破断強度の標準偏差(ばらつき)は、(研磨+アルカリ)と(研磨+酸)が同等で、次いで(研磨のみ)、(アルカリのみ)、(酸のみ)の順に小さい。
(研磨+アルカリ)および(研磨+酸)の場合には、研磨による軽度な機械的ダメージがエッチングにより除去されるため、強度が高くなり、ばらつきが小さくなるものと考えられる。
一方、(研磨のみ)の場合には、シリコンブロック加工時にバンドソーなどから影響を受けた機械的ダメージ層が残留するため、強度が低くなり、ばらつきが大きくなるものと考えられる。
また、(アルカリのみ)の場合には、多結晶シリコンの粒界によるエッチング速度の差が顕著に発生し、シリコンブロック表面の機械的ダメージ層が残留するため、強度が低くなり、ばらつきが大きくなるものと考えられる。
さらに、(酸のみ)の場合には、シリコンブロック加工時にバンドソーなどから影響を受けた大きな機械的ダメージ層がエッチングにより空孔(エッチピット)となるため、割れ易くなり、強度が低くなり、ばらつきが大きくなるものと考えられる。
(3)表面粗さは、(研磨のみ)、(研磨+酸)、(研磨+アルカリ)、(酸のみ)、(アルカリのみ)の順に大きい。
(研磨のみ)の場合には、多結晶シリコンの粒界の違いによる加工速度の差が発生しないため、表面粗さの最大高さRyは非常に小さくなるものと考えられる。
一方、(研磨+酸)と(研磨+アルカリ)は、共にシリコンブロック表面を荒らす加工であるが、後者の方が多結晶シリコンの粒界によるエッチング速度の差が顕著に発生し、また面方位により、ピラミッド構造となる面が多数存在するため、表面粗さの最大高さRyが大きくなるものと考えられる。また、(アルカリのみ)の場合も同様である。
(研磨+アルカリ)が(アルカリのみ)よりも表面粗さが大きいのは、エッチング量の相違に起因するものと考えられる。
(4)以上より、多結晶シリコンの場合、(研磨+アルカリ)または(研磨+酸)の場合が最も破断強度が強く、適度に表面が荒れていることがわかる。よって、研磨後にケミカルエッチングを行えば破断強度の向上と表面の適度な荒れによる接着力向上の効果が得られることがわかる。
(試験例2)
多結晶シリコンブロック側面を、表2に示す条件で、研磨後にアルカリエッチング処理に付し、スライス加工した場合について、第2研磨工程で用いる砥粒の大きさと、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)、破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)とを比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手と研磨量、およびエッチング処理に用いたエッチング液の種類とエッチング量と共に表2に示す。
なお、エッチング液のアルカリとしては、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
Figure 2007208060
また、多結晶シリコンブロック側面を、上記と同様の条件で研磨後にアルカリエッチング処理に付さずに、スライス加工した場合について、得られたウエハの破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)を評価した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2007208060
表2および3より、次のことがわかる。
(1)第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が小さい(砥粒番手が大きい)ほど、表面粗さの最大高さRyは小さくなり、ウエハの破断強度は増加する。
(2)第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が小さい(砥粒番手が大きい)ほど、スライス加工後の接着面からのシリコンウエハの脱落割合は飛躍的に増加し、歩留が低下する。この原因は、シリコンブロック側面の表面の凹凸が少なく、ダミーガラスとシリコンブロック間の接着面積が小さいことにあるものと考えられる。
(3)以上より、研磨の粒径が小さいほどウエハの強度は増すが、スライス加工後の接着面からの脱落割合は増すことがわかる。
(4)アルカリエッチング処理により、シリコンブロック表面に凹凸が形成されるため、その表面粗さの最大高さRyは、アルカリエッチング前よりも若干大きくなる。
(5)第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が#800〜#3000の範囲であれば、スライス加工後の接着面からのシリコンウエハの脱落割合は顕著に低下する。
(6)第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が#800〜#3000の範囲であれば、シリコンウエハの破断強度がさらに向上し、破断強度のばらつきが顕著に小さくなる。これは、僅かに残っていた研磨による機械的なダメージが微小なエッチングにより除去されるためと考えられる。
(7)以上より、第2研磨工程で用いる砥粒の粒径は、JIS R6001の#800〜#3000が好ましいことがわかる。
(試験例3)
多結晶シリコンブロック側面を、表4に示す条件で、研磨後にアルカリエッチング処理に付し、スライス加工した場合について、アルカリエッチング処理のエッチング量と、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)、破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)とを比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手および研磨量と共に表4に示す。
なお、エッチング液のアルカリとしては、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
Figure 2007208060
表4より、次のことがわかる。
(1)アルカリエッチング処理のエッチング量が増加するほど、表面粗さの最大高さRyは、テクスチャエッチングによる凹凸の誇張により増加する。
(2)アルカリエッチング処理のエッチング量が2μm以上、好ましくは5μm以上であれば、シリコンウエハの脱落割合および破断強度は大きく変化しない。
(3)アルカリエッチング処理のエッチング量が50μmを超えても、表面粗さの最大高さRyの最大高さは30μmで略一定になる。
(4)以上より、多結晶シリコンの場合には、アルカリエッチング処理のエッチング量は、2〜50μmの範囲が好ましく、また表面粗さの最大高さRyは2〜30μmが好ましいことがわかる。
(試験例4)
多結晶シリコンブロック側面を、表5に示す条件で、研磨後に酸エッチング処理に付し、スライス加工した場合について、酸エッチング処理のエッチング量と、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)、破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)とを比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手と研磨量と共に表5に示す。
なお、エッチング液の酸としては、フッ酸:硝酸を1:4の比率(容量)で混合した溶液を用いた。
Figure 2007208060
表5より、次のことがわかる。
(1)酸エッチング処理のエッチング量が2μm以上、好ましくは5μm以上であれば、シリコンウエハの脱落割合および破断強度は大きく変化しない。
(2)酸エッチング処理のエッチング量が30μmを超えても、表面粗さの最大高さRyの最大高さは10μmで略一定になる。これは、酸エッチング処理は、アルカリエッチング処理と比較して、多結晶シリコンの粒界によるエッチング速度の差が小さいためと考えられる。
(3)以上より、多結晶シリコンの場合には、酸エッチング処理のエッチング量は、2〜30μmの範囲が好ましく、また表面粗さの最大高さRyは2〜8μmが好ましいことがわかる。
(試験例5)
多結晶シリコンブロックの代わりに単結晶シリコンブロックを用いること以外は試験例1と同様にして、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)と算術平均粗さRa(μm)、および得られたシリコンウエハの破断強度(N)とその標準偏差を比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手と研磨量、およびエッチング処理に用いたエッチング液の種類とエッチング量と共に表6に示す。
Figure 2007208060
表6より、次のことがわかる。
(1)ウエハの破断強度は、(研磨+アルカリ)と(研磨+酸)が同等で、次いで(研磨のみ)、(アルカリのみ)、(酸のみ)の順に高い。
(2)ウエハの破断強度の標準偏差(ばらつき)は、(研磨+アルカリ)と(研磨+酸)が同等で、次いで(研磨のみ)、(アルカリのみ)、(酸のみ)の順に小さい。
多結晶の場合と同様に、(研磨+アルカリ)および(研磨+酸)の場合には、研磨による軽度な機械的ダメージがエッチングにより除去されるため、強度が高くなり、ばらつきが小さくなるものと考えられるが、多結晶の場合と比べると他の処理との差が小さい。
(3)表面粗さは、(研磨のみ)、(研磨+酸)、(研磨+アルカリ)、(酸のみ)、(アルカリのみ)の順に大きい。
(研磨+アルカリ)による表面粗さの最大高さRyは、多結晶の場合に比べて小さくなる。これは、単結晶には粒界がないため、面によるエッチング速度の分布が発生せず、ほぼ均一なピラミッド構造の表面となるためであると考えられる。
また、(研磨+酸)は、機械的ダメージ層が小さいため、エッチピットが少なく、等方性エッチングがなされるために表面粗さの最大高さRyが小さくなるものと考えられる。
さらに、(酸のみ)は、シリコンブロック加工時にバンドソーなどから影響を受けた大きな機械的ダメージ層がエッチングにより空孔(エッチピット)となるため、割れ易くなり、強度が低くなり、ばらつきが大きくなるものと考えられる。
(4)以上より、単結晶シリコンの場合でも、研磨後にケミカルエッチングを行えば破断強度の向上と表面の適度な荒れによる接着力向上の効果が得られることがわかる。
(試験例6)
単結晶シリコンブロック側面を、表7に示す条件で、研磨後にアルカリエッチング処理に付し、スライス加工した場合について、アルカリエッチング処理のエッチング量と、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)、破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)とを比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手および研磨量と共に表7に示す。
なお、エッチング液のアルカリとしては、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
Figure 2007208060
表7より、次のことがわかる。
(1)アルカリエッチング処理のエッチング量が増加するほど、表面粗さの最大高さRyは、テクスチャエッチングによる凹凸の誇張により増加する。
(2)アルカリエッチング処理のエッチング量が2μm以上、好ましくは5μm以上であれば、シリコンウエハの脱落割合および破断強度は大きく変化しない。
(3)アルカリエッチング処理のエッチング量が30μmを超えても、表面粗さの最大高さRyの最大高さは10μmで略一定になる。
(4)以上より、単結晶シリコンの場合には、アルカリエッチング処理のエッチング量は、2〜30μmの範囲が好ましく、また表面粗さの最大高さRyは2〜10μmが好ましいことがわかる。
(試験例7)
単結晶シリコンブロック側面を、表8に示す条件で、研磨後に酸エッチング処理に付し、スライス加工した場合について、酸エッチング処理のエッチング量と、各処理後のシリコンブロック側面の表面粗さの最大高さRy(μm)、破断強度(N)とその標準偏差およびスライス加工後に接着面から脱落したウエハの良品ウエハに対する脱落割合(%)とを比較した。
得られた結果を、研磨処理に用いた砥粒のJIS番手と研磨量と共に表8に示す。
なお、エッチング液の酸としては、フッ酸:硝酸を1:4の比率(容量)で混合した溶液を用いた。
Figure 2007208060
表8より、次のことがわかる。
(1)酸エッチング処理のエッチング量が2μm以上、好ましくは5μm以上であれば、シリコンウエハの脱落割合および破断強度は大きく変化しない。
(2)酸エッチング処理のエッチング量が30μmを超えても、表面粗さの最大高さRyの最大高さは10μmで略一定になる。これは、酸エッチング処理は、アルカリエッチング処理と比較して、多結晶シリコンの粒界によるエッチング速度の差が小さいためと考えられる。
(3)以上より、単結晶シリコンの場合には、酸エッチング処理のエッチング量は、2〜30μmの範囲が好ましく、また表面粗さの最大高さRyは2〜10μmが好ましいことがわかる。
以上の結果をまとめると、
本発明のシリコンウエハの製造方法は、シリコンウエハ製造用のシリコンブロックの、シリコンウエハの端面となる側面を機械的に研磨し、次いで該側面をケミカルエッチングし、その後スライス加工して、シリコンウエハを得ることからなり、前記ケミカルエッチング後の表面粗さが、前記研磨後の表面粗さより大きいことを特徴とし、
(1)研磨による研磨面の表面粗さが、最大高さRyが2μm以下および算術平均粗さRaが0.25μm以下の少なくとも1つの条件を満たし、
(2)研磨による研磨量が、100μm以上であり、
(3)ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜30μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜4μmの少なくとも1つの条件を満たし、
(4)ケミカルエッチングによるエッチング量が、2〜50μmであり、
(5)研磨が、順次行う第1研磨工程と第2研磨工程の2工程からなり、第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が、第1研磨工程で用いる砥粒の粒径よりも小さく、
(6)第1研磨工程および第2研磨工程で用いる砥粒が、それぞれJIS R6001の#100〜#400および#800〜#3000であり、
(7)ケミカルエッチングが、フッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理であり、
(8)シリコンブロックが多結晶シリコンであり、ケミカルエッチングが水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理である場合、ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜50μmであり、ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜30μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜4μmの少なくとも1つの条件を満たし、
(9)シリコンブロックが多結晶シリコンであり、ケミカルエッチングがフッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理である場合、ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜8μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1μmの少なくとも1つの条件を満たし、
(10)シリコンブロックが単結晶シリコンであり、ケミカルエッチングが水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理である場合、ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜10μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1.25μmの少なくとも1つの条件を満たし、
(11)シリコンブロックが単結晶シリコンであり、ケミカルエッチングがフッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理である場合、ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜10μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1.25μmの少なくとも1つの条件を満たす
のが好ましい。
本発明によれば、上記のシリコンウエハの製造方法を用いて製造されたシリコンブロックおよびシリコンウエハが提供され、これらは、太陽電池の製造に有用である。
シリコンインゴットを示す概略図である。 シリコンインゴットを角柱加工するときの切断方法を示す概略図である。 シリコンブロックを示す概略図である。 本発明のシリコンウエハの製造方法(第1の実施形態)に基づく、研磨装置を示す概略図である。 本発明のシリコンウエハの製造方法(第2の実施形態)に基づく、研磨装置を示す概略図である。
本発明のシリコンウエハの製造方法に基づく、(a)角柱加工後、(b)研磨後、(c)エッチング後のシリコンブロック側面の表面状態、を示す模式図である。
シリコンブロック、ダミーガラス、接着剤の構成を示す模式図であり、(a)は接着後、(b)はスライス後、(c)はスライス後に剥離(脱落)が発生した場合である。 ワイヤソー装置の構造を示す概略図である。
符号の説明
1、11 シリコンブロック
2、12 研磨ホイール
3、13 研磨加工部
4、14 研磨ホイール回転用モータ
5、15 ノズル
6、16 一軸ステージ
7、17 保持機構
21 研磨表面
22 エッチングの谷面
31 ダミー材(ダミーガラス)
32 接着剤
33 シリコンブロック
101 ワイヤーガイド
102 ワイヤー
103 シリコンブロック
104 スラリーノズル
105 プーリ
106 新線側ボビン
107 巻取側ボビン

Claims (18)

  1. シリコンウエハ製造用のシリコンブロックの、シリコンウエハの端面となる側面を機械的に研磨し、次いで該側面をケミカルエッチングし、その後スライス加工して、シリコンウエハを得ることからなり、前記ケミカルエッチング後の表面粗さが、前記研磨後の表面粗さより大きいことを特徴とするシリコンウエハの製造方法。
  2. 前記研磨による研磨面の表面粗さが、最大高さRyが2μm以下および算術平均粗さRaが0.25μm以下の少なくとも1つの条件を満たす請求項1に記載のシリコンウエハの製造方法。
  3. 前記研磨による研磨量が、100μm以上である請求項1または2に記載のシリコンウエハの製造方法。
  4. 前記ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜30μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜4μmの少なくとも1つの条件を満たす請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  5. 前記ケミカルエッチングによるエッチング量が、2〜50μmである請求項1〜4のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  6. 前記研磨が、順次行う第1研磨工程と第2研磨工程の2工程からなり、第2研磨工程で用いる砥粒の粒径が、第1研磨工程で用いる砥粒の粒径よりも小さい請求項1〜5のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  7. 前記第1研磨工程および第2研磨工程で用いる砥粒が、それぞれJIS R6001の#100〜#400および#800〜#3000である請求項6に記載のシリコンウエハの製造方法。
  8. 前記研磨が、シリコンブロック側面上に砥粒と媒体との混合物を散布し、研磨加工部を前記側面上に近接あるいは接触させ、前記シリコンブロックと研磨加工部とを相対運動させることにより、シリコンブロック側面を機械的に研磨する請求項1〜7のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  9. 前記研磨が、シリコンブロック側面上に媒体を散布し、砥粒を有する研磨加工部を前記側面上に近接あるいは接触させ、前記シリコンブロックと研磨加工部とを相対運動させることにより、シリコンブロック側面を機械的に研磨する請求項1〜7のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  10. 前記ケミカルエッチングが、フッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理である請求項1〜9のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  11. 前記シリコンブロックが多結晶シリコンであり、前記ケミカルエッチングが水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理であり、該ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜50μmであり、該ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜30μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜4μmの少なくとも1つの条件を満たす請求項1〜9のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  12. 前記シリコンブロックが多結晶シリコンであり、前記ケミカルエッチングがフッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理であり、該ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、該ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜8μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1μmの少なくとも1つの条件を満たす請求項1〜9のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  13. 前記シリコンブロックが単結晶シリコンであり、前記ケミカルエッチングが水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いたアルカリ処理であり、該ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、該ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜10μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1.25μmの少なくとも1つの条件を満たす請求項1〜9のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  14. 前記シリコンブロックが単結晶シリコンであり、前記ケミカルエッチングがフッ酸と硝酸との混酸を用いた酸処理であり、該ケミカルエッチングによるエッチング量が2〜30μmであり、該ケミカルエッチングによるエッチング面の表面粗さが、最大高さRyが2〜10μmおよび算術平均粗さRaが0.25〜1.25μmの少なくとも1つの条件を満たす請求項1〜9のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  15. 前記シリコンブロックの断面形状が、矩形または略矩形である請求項1〜14のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  16. 前記シリコンブロックが、シリコンインゴットから切り出したものである請求項1〜15のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法を用いて製造されたシリコンブロック。
  18. 請求項1〜16のいずれか1つに記載のシリコンウエハの製造方法を用いて製造されたシリコンウエハ。
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