JP4527570B2 - 高周波モジュ−ル及びそれを搭載した無線通信装置 - Google Patents
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以下、送信系を“Tx”と表し、受信系を“Rx”と表すものとする。
この高周波送受信回路は、各通信方式GSM/DCSでの送信信号に対して搬送波を供給するための電圧制御発振器VCOと、各通信方式のRxでの、低雑音増幅器AMP100およびAMP400、帯域通過フィルタBPF100およびBPF400と、各通信方式のTxでの、電力増幅回路AMP200およびAMP300、整合回路MAT200およびMAT300、方向性結合器COP200およびCOP300と、周波数帯域の異なる2つの方式GSM/DCSをそれぞれの周波数帯に分波し、各通信方式GSM/DCSにおいてそれぞれのTxとRxとの切り替えを行う高周波選択回路RFM100と、無線電波を送受信するためのアンテナANTとを備えている。
また、同様にDCS−Rxでは、アンテナANTで受信された無線電波は、高周波選択回路RFM100で選択され、帯域通過フィルタBPF400にて受信帯域近傍の周波数以外の不要信号が除去される。帯域通過フィルタBPF400を通過した信号は、低雑音増幅器AMP400にて増幅され、信号処理系に入力される。
また、同様にGSM−Txでは、GSMの送信信号が、電力増幅回路AMP300で増幅され、低域通過フィルタからなる整合回路MAT300を通過し、方向性結合器COP300を介して高周波選択回路RFM100に供給される。高周波選択回路RFM100に供給された高周波信号は、アンテナANTから無線電波として送信される。
そこで、最近では、小型化、低損失化を目指して、高周波送受信回路の内部で周波数帯の切り替え、送受信切り替えを行う手段として、例えば、GaAs(ガリウム砒素)などを用いた高周波スイッチ回路が検討されている。
なお、この図のように、GSM850−Tx端子およびGSM900−Tx端子は、周波数帯域が近いため、1つの端子で共用されていてもよい。また同様に、DCS−Tx端子およびPCS−Tx端子も、周波数帯域が近いため、1つの端子で共用されていてもよい。
図6は、図5に示す従来の高周波選択回路の詳細な回路図である。図6により各通信方式の回路を詳細に説明する。
まず、DCS/PCS−Txの場合について説明する。分波回路DIP100は、高域通過フィルタHPF100を備えている。高域通過フィルタHPF100は、直列接続された2つのコンデンサと、前記2つのコンデンサの間とグランドとの間に形成された分布定数線路とを有している。DCS/PCS−Txの経路には、高周波スイッチ回路SW100とDCS/PCS−Tx端子との間に、送信信号の高調波成分を減衰させる低域通過フィルタLPF110を備えている。低域通過フィルタLPF110は、2つの直列接続された分布定数線路と、前記2つの分布定数線路に並列接続されたコンデンサと、前記2つの分布定数線路の両端および中間の3箇所とグランドとの間に形成された各々1つずつのコンデンサとを有している。この低域通過フィルタLPF110によって、高周波電力増幅器で発生した高調波信号を取り除くことができる。
次に、DCS−Rxの場合について説明する。アンテナ端子ANTで受信した信号は、分波回路DIP100により、高周波スイッチ回路SW100側に分波され、高周波スイッチ回路SW100により、DCS−Rx側の端子に接続される。
次に、GSM850/900−Txの場合について説明する。分波回路DIP100は、低域通過フィルタLPF100を備えている。低域通過フィルタLPF100は、分布定数線路と、前記分布定数線路と並列に接続されたコンデンサと、前記分布定数線路の両端とグランドとの間に形成された各々1つずつのコンデンサとを有している。GSM850/900−Txの経路には、高周波スイッチ回路SW200とGSM850/900−Tx端子との間に、送信信号の高調波成分を減衰させる低域通過フィルタLPF210を備えている。この低域通過フィルタLPF210によって、高周波電力増幅器で発生した高調波信号を取り除くことができる。
次に、GSM850−Rxの場合について説明する。アンテナ端子ANTで受信した信号は、分波回路DIP100により、高周波スイッチ回路SW200側に分波され、高周波スイッチ回路SW200により、GSM850−Rxの端子側に接続される。
また、アンテナ端子ANTと分波回路DIP100との間には、ESDなどの高電圧サージを減衰させる高域通過フィルタの役割を持つESD保護回路ESDを備えている。
図7は、従来の高周波スイッチ回路を搭載した高周波モジュ−ルとその外部基板の断面図を示す。
小型・高密度の高周波モジュールの場合、小型化に対応できる高周波スイッチ回路として、前記高周波スイッチ回路SW100およびSW200は、GaAs(ガリウム砒素)化合物、Si(シリコン)又はAl2O3(サファイア)を主成分とする基板上に、p−HEMTなどの半導体素子を搭載して、これらの半導体素子を利用したスイッチング回路パターンを形成している高周波半導体集積回路素子ICが用いられる。
なお、高周波半導体集積回路素子ICの実装は、バンプを介して誘電体多層基板A表面の電極パッドに直接実装される、いわゆるフリップチップ実装のタイプでもよい。
しかし、無線通信装置に搭載される通信方式の数に合わせたフィルタを設けなければならないことで、基板スペースが増大してしまい、必然的に携帯電話機自体が大型化せざるをえなくなる。また、携帯電話機の容量が決められているときには、内部には限られた基板スペ−スしかなく、必要分の高調波フィルタを搭載した高周波モジュールを収容できなくなるという問題がある。さらに、高調波の放射抑制の効果を高めるためにフィルタを多段化することによる弊害として、挿入損失が増加するという問題もある。
図1は、本発明に係る高周波モジュールおよびそれを搭載する外部基板の断面図である。図2は、本発明の高周波モジュールの内部構造を示す一部切欠斜視図である。
この高周波モジュ−ル1は、高周波スイッチ回路を含む高周波半導体集積回路素子ICと、複数の各誘電体層1a〜1zが積層されてなる誘電体多層基板Aとを有する。高周波半導体集積回路素子ICの信号用端子T1は、ボンディングワイヤWB1を介して電極パッドP1に接続されている。一方、高周波半導体集積回路素子IC上の高周波スイッチ回路が必要とするグランド用端子である接地用端子T2は、ボンディングワイヤWB2を介して電極パッドP2に接続されている。
なお、高周波半導体集積回路素子ICは、誘電体多層基板A主面上の電極パッドP1およびP2を、バンプを介して直接実装される、いわゆるフリップチップ法によっての実装でもよい。
誘電体多層基板Aは、同一寸法形状の各誘電体層1a〜1zが積層されている。各誘電体層1a〜1z間には、所定のパタ−ンからなる導体パターンCが形成されている。各誘電体層1a〜1zには、複数の層にわたって、回路を縦に接続するための必要なビアホールV1が、縦方向に適宣形成されている。
なお、誘電体多層基板Aを形成する誘電体層の比誘電率が2から120であることが望ましい。特に、セラミック材料を用いれば、セラミック誘電体の比誘電率は、通常9から25と、樹脂基板に比べて高いので、誘電体層に内装された回路の素子のサイズを小さくでき、素子間距離も狭くすることができる。各誘電体層が高誘電率になることで、比誘電率の平方根に反比例して波長が短縮する。よって、各回路を構成する分布定数線路の長さを短縮することができる。また、比誘電率に反比例してキャパシタ素子の対向面積を減少することができる。したがって、高周波モジュ−ルの小型化を実現することが可能となる。
また、各ビアホールVの導体は、誘電体層に形成した貫通孔にメッキ処理するか、導体ペーストを充填するかして、形成される。
高周波半導体集積回路素子ICは、誘電体多層基板Aの上面に、高周波半導体集積回路素子ICの実装面の面積よりも大きい面積のダイパッドP3を介して、AgもしくはAuSnに接着剤を混ぜた導電性の接着剤Sを用いて接着されている。また、有機樹脂系の非導電性の接着剤を用いてもよい。
また、高周波スイッチ回路SW100、SW200を備える高周波半導体集積回路素子ICの信号用端子T1は、ボンディングワイヤWB1、ビアホールV1、そして誘電体多層基板Aの各々の導体パターンCを経由して、基板内部の回路パターンと接続されている。
電極パッドP2は、各誘電体層1a〜1zを貫くビアホールV2に接続されている。ビアホールV2の終端は、接地用の電極D2に接続されている。接地用の電極D2は、半田層H2を介して、外部基板2に設けられた接地端子用電極L2に接続されている。そして、接地端子用電極L2は、外部基板2を貫くビアホールV21を通じてグランド用電極GNDに接続される。
したがって、高周波モジュール内に流れ込む高調波が抑制される。これにより、高周波モジュ−ルの共通のアンテナ端子から漏れ出る高調波信号は、大幅に低減され、歪みのより少ない高周波モジュ−ルが実現される。
高周波モジュ−ル1の上面は、エポキシ樹脂などの封止樹脂Jで覆われている。この封止樹脂Jにより、高周波半導体集積回路素子並びにその他の搭載部品の損傷を防ぐとともに、外部からの異物混入などを防止でき、高周波モジュ−ルの信頼性を向上することができる。
以上の構成により、高周波半導体集積回路素子IC内の高周波スイッチ回路に接続された接地用端子T2が、外部基板2のグランド用電極に接続される間に、誘電体多層基板A内の回路と接続しない構造とすることにより、高周波スイッチ回路内で発生した高調波信号が、設計者が意図しない経路を通って、高周波モジュ−ル1の共通のアンテナ端子ANTに伝播することを防止できる。したがって、歪みの低減を実現した複数の通信方式に対応可能な高周波モジュール1を実装できる。これにより、携帯電話機などを大型化することなく、複数の通信方式に対応した無線通信装置を提供できる。
さらに、共通のアンテナ端子ANTと高周波スイッチ回路との経路での通過損失の低減できる。これにより、不必要な電力低下を防止でき、無線通信装置の省電力化を実現できる。
本実験は、図1に示す高周波モジュール1のDCS/PCS−Tx信号入力端子に、1710、1750、1785MHzの3種類の単一周波数の正弦波信号を入力した。そして、高周波モジュ−ル1のアンテナ端子ANTにおいて出力電力が30dBmとなるようにしたときの2次高調波レベルを測定した。
以上の結果から、本発明の高周波モジュ−ルを用いることで、約10dB程度、高調波レベルが低減することがわかる。
1a〜1z 誘電体層
2 外部基板
A 誘電体多層基板
AMP100,AMP400 低雑音増幅器
AMP200,AMP300 電力増幅回路
ANT アンテナ端子
BPF100,400 帯域通過フィルタ
C 導体パターン
Gc 接地用導体
COP200,300 方向性結合器
D1 信号用端子
D2,D3 接地用の電極
DIP100 分波回路
ESD ESD保護回路
GND グランド用電極
H1,H2,H3 半田層
HPF100 高域通過フィルタ
IC 高周波半導体集積回路素子
L1 信号端子用電極
L2,L3 接地端子用電極
LPF100,210,310 低域通過フィルタ
MAT200,300 整合回路
P1,P2 電極パッド
P3 ダイパッド
RFM100 高周波選択回路
S 接着剤
SW100,SW200 高周波スイッチ回路
T1 信号用端子
T2 接地用端子
V1,V2,V3 ビアホール
VCO 電圧制御発振器
WB1,WB2 ボンディングワイヤ
Claims (4)
- 一または複数の誘電体層が積層されている誘電体基板と、該誘電体基板の一方主面上に搭載された高周波半導体集積回路素子とで構成されており、
前記高周波半導体集積回路素子は、信号用端子および接地用端子を備え、
前記誘電体基板は、前記高周波半導体集積回路素子が搭載されたダイパッドと、前記信号用端子に接続された第1の電極パッドと、前記接地用端子に接続された第2の電極パッドとを前記一方主面に備えるとともに、前記誘電体基板を貫通する第1の導体を介して前記ダイパッドに接続された第1の接地用の電極と、前記誘電体基板を貫通する第2の導体を介して前記第2の電極パッドに接続された第2の接地用の電極とを他方主面に備える、高周波モジュ−ル。 - 前記信号用端子と前記第1の電極パッドとの接続および前記接地用端子と前記第2の電極パッドとの接続は、ボンディングワイヤによってなされている、請求項1に記載の高周波モジュ−ル。
- 前記高周波半導体集積回路素子は、高周波信号の経路を切り替えるための一または複数の高周波スイッチ回路を含む、請求項1または請求項2に記載の高周波モジュ−ル。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の高周波モジュ−ルを搭載した無線通信装置。
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