JP4526200B2 - 金属コロイド液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属コロイド液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属コロイド液は、金属微細粒子が水や有機溶媒等に分散しているものであるが、熱力学的には極めて不安定であり、時間とともに金属微細粒子が凝集し、沈降する傾向にある。それは電解質が存在する場合やpHが変化した場合に顕著であり、雰囲気温度が変化する場合、特に温度の変化率が大きい場合や温度サイクルを持つ場合にも顕著である。また、このような傾向は金属コロイド液が高濃度である場合にも顕著になる。
【0003】
このような金属コロイド液は、古くから知られているが、例えば、特開平10−66861号公報には、硝酸銀水溶液とクエン酸第一鉄水溶液とを温度を管理した上で2000〜6000rpmの攪拌下に反応させて銀微粒子のコロイド液を得て、更に沈降分離することにより得た固形部に硝酸ナトリウム水溶液を加えて鉄分を除去し、更に3000Gの重力で遠心分離して銀固形分を得て、それを水に再分散させることにより、透明導電膜形成用コーティング材に用いる銀コロイド液を得ることが記載されている。また、特開2000−87122号公報には、上記の公報に記載されている技術の欠点を補うために、実質的に酸素を含まない雰囲気中で調製を行い、同じく透明導電膜形成用コーティング材に用いる銀コロイド液又は銀とパラジウムとの混合コロイド液を得ることが記載されている。また、特開平11−80647号公報には、数平均分子量が1000〜1000000の特定の構造を持つ高分子量顔料分散剤を高分子系分散剤として使用することで、彩度の高い色材に用いる貴金属又は銅のコロイド液を得ることが記載されている。
【0004】
上記の種々の方法は特定の用途に使用される金属コロイド液としては優れているが、高い分散安定性が必要な場合や、金属微細粒子の特性を顕著に際だたせ、触媒、導電性材料等に用いる場合には、大きな問題があることが判明した。
【0005】
特開平10−66861号公報や特開2000−87122号公報に記載されている方法で得られる金属コロイド液中の金属微細粒子は、表面にクエン酸に由来するカルボキシレートイオンを有し、その電気的反発により分散している。そのため、特開平10−66861号公報に記載の技術では生成した金属コロイド液から鉄分を洗い流す必要性があり、このことからもわかるように、電解質を添加したり、pHを変化させたりすると金属微細粒子が凝析する。したがって、電解質を含む系における触媒として使用する場合、反応系の濃度を高くすると金属コロイド液中の金属微細粒子が凝析してしまい所望の特性が得られないことが判明した。また、表面にその様なイオンを有するので触媒として使用する場合に金属微細粒子の表面活性が充分利用できず、粒子間の接触が妨げられるので高導電材料としても利用できないことも判明した。
【0006】
特開平11−80647号公報に記載された方法で得られる貴金属又は銅のコロイド溶液では、高分子量顔料分散剤を保護コロイドとして金属微細粒子の表面に絡みつかせることにより分散させているので、温度変化によって高分子と金属微細粒子との相互作用が生じて沈殿してしまうことや、効果的に分散させるためには多量の高分子を金属表面に吸着させる必要があることより、金属微細粒子の表面活性を利用した触媒や、金属微細粒子同士を接触させて金属並の体積抵抗値を持つ応用に用いるには問題があることが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、pHの変化や、電解質の存在や、雰囲気温度の変化によっても安定した分散性を示し、特に温度の変化率が大きい場合や温度サイクルを持つ場合でも高い分散安定性を示し、かつ、有機物ができるだけ少なく、導電性等の金属微細粒子の特性を生かせる金属コロイド液の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、タンニン酸を含む溶液と、イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液とを混合して金属コロイド液を製造する方法であって、混合時において、上記タンニン酸を含む溶液及び上記イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液のB型粘度計により計測した粘度が、ともに300mPa・s以下であり、かつ、上記タンニン酸を含む溶液と、上記イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液との容積比が、1/1〜500/1(タンニン酸を含む溶液/イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液)である金属コロイド液の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明者は、金属コロイド液の製造に関して種々の検討を行った結果、一般にタンニン酸と称されるもの(他にガロタンニン酸、五倍子タンニン等と表現されることがある)を使用し、特定の条件下で金属コロイド液を製造することにより、分散剤を使用しなくとも優れた分散安定性を示す金属コロイド液を作製することができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
これまで知られている化学還元法による金属コロイド液の作製は、クエン酸ナトリウムのような分散剤や種々の高分子化合物からなる保護コロイドの使用が必須であった。しかしながら、本発明によれば、分散剤や保護コロイドを使用しなくとも分散安定性の高い金属コロイド液を作製でき、かつ、pHの変化、電解質の存在、雰囲気温度の変化によっても安定した分散性を示し、特に温度の変化率が大きい場合や温度サイクルを持つ場合でも高い分散安定性を示す、有機物が少ない金属コロイド液を作製することができることがわかった。
【0011】
J.W.Slot,H.J.Geuze,European Journal of Cell Biology,38,87−93(1985)には、塩化金酸溶液と、タンニン酸、クエン酸三ナトリウム及び炭酸カリウムを溶解した溶液とを混合して、金コロイド液を作製することが記載されているが、得られた金コロイド液は金濃度が0.58g/Lと非常に薄いものであった。また、このときの金イオン1価/g当たりのタンニン酸は0.00057〜0.0099gであり、クエン酸三ナトリウム1g当たりのタンニン酸は0.049〜0.85gであった。
本発明者がこの方法を検討した結果、この方法をそのまま用い、金濃度を高くしても、分散安定性の高いコロイド液を得ることはできないことが判明した。
【0012】
H.Muhlpford,Experientia,38,1127−1128(1982)には、タンニン酸溶液又はクエン酸溶液だけを用いては金コロイド液を作製することはできないことが記載されている。
【0013】
これらに対して、本発明者は、配合・製造条件を検討することにより、タンニン酸単独であっても、優れた金属コロイド溶液を作製しうることを見出した。
本発明は、タンニン酸を含む溶液と、イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液とを混合して金属コロイド液を製造する方法である。
【0014】
上記タンニン酸の添加量は、金属イオン1価/gに対して、0.01〜6gであることが好ましい。即ち、例えば、1価の銀イオンの場合は、銀イオン1g当たりのタンニン酸の添加量は0.01〜6gであり、3価の金イオンの場合は、金イオン1g当たりのタンニン酸の添加量は0.03〜18gである。
【0015】
タンニン酸の添加量が、金属イオン1価/gに対して、0.01g未満であると、金属イオンの還元反応が進みにくいので、所望の金属コロイド液が得にくくなり、6gを超えると、過剰のタンニン酸やタンニン酸の変成物が金属表面に吸着するので、分散安定性には影響しないが、有機物量が増えてしまい、好ましくない。
【0016】
上記イオン化列が水素より貴な金属としては、例えば、金、銀、銅、プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム等を挙げることができる。
上記イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩としては特に限定されず、例えば、上記の各種金属の、硝酸塩、亜硝酸塩、塩化物、酸化物、過塩素酸塩等を挙げることができる。これらの無機酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明において、上記金属は有機塩の形ではなく無機塩として使用しなければならない。有機塩の形で用いると、その有機物が金属表面に吸着するので、有機物の含量が大きくなり、導電性等の金属微細粒子の特性が阻害される。
【0017】
本発明者は、タンニン酸を含む溶液と、イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液とを混合する場合の粘度と容量比が、得られる金属コロイド液の性質に大きく影響することを見出した。
【0018】
本発明の金属コロイド液の製造方法は、混合時において、タンニン酸を含む溶液及びイオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液のB型粘度計により計測した粘度が、ともに300mPa・s以下であり、かつ、タンニン酸を含む溶液と、イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液との容積比が、1/1〜500/1(タンニン酸を含む溶液/イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液)であることを特徴とする。
【0019】
この条件を満たさない場合は、混合液中でのタンニン酸と金属イオンとの接触機会が減って、所望の金属コロイド液が得られず、pH変化や温度変化等に対して分散安定性の極めて不充分な金属コロイド液が得られることがある。
【0020】
本発明者は、また、タンニン酸を含む溶液とイオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液とを混合する場合の混合条件も、得られる金属コロイド液の性質に大きく影響することを見出した。
【0021】
本発明の金属コロイド液の製造方法は、混合時において、タンニン酸を含む溶液及びイオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液の初期温度が、ともに5〜75℃であり、かつ、混合中の攪拌速度が、30〜2000rpmであることが好ましい。
【0022】
温度が5℃未満で、かつ、攪拌速度が30rpm未満であると、タンニン酸と金属イオンとが均一に反応しないので、金属コロイド粒子の性質が変わってしまい、pH変化や温度変化等に対して極めて分散安定性の悪い金属コロイド液が得られることがある。一方、温度が75℃を超えて、かつ、攪拌速度が2000rpmを超えると、反応速度が速くなりすぎて、最初から金属コロイド粒子が沈降した金属コロイド液が得られることがある。また、温度が75℃を超えると、タンニン酸を含む溶液の劣化が速くなる。
【0023】
本発明で得られる金属コロイド液は、更に、他の還元剤や分散剤が添加されなくとも、充分な分散安定性と良好な導電性等の特性とを発現しうるものであるが、他の還元剤や分散剤の使用を排除するものではなく、本発明の金属コロイド液の製造方法において、更に、他の還元剤や分散剤を添加する工程を設けてもよい。
【0024】
上記還元剤としては特に限定されず、例えば、硫酸第一鉄、ホルマリン、アルコール、水素ガス、フェニドン、メトール、酒石酸、アミン類等を挙げることができる。
上記分散剤として特に限定されず、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩;りんご酸やその塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、アラビアゴム、ゼラチン等のポリマー等を挙げることができる。
【0025】
本発明で得られる金属コロイド液は、酸化還元反応や光触媒反応における触媒、微小球形支持体、金属並の高導電性を有する導電性材料の他、導電性インク、光学材料、透明導電性材料、帯電防止材料、電磁波遮蔽材料、金属コロイド液の発色を利用した色材等、有機物含量の少ない金属微細粒子の特徴を生かすことができる種々の用途に用いることができる。
【0026】
上記より明らかなように、タンニン酸を用い、更に、仕込み量や濃度、温度、攪拌速度、他の添加剤との比率を制御して、反応条件を特定の範囲に収めることで、pHの変化、電解質の存在、雰囲気温度の変化によっても安定した分散性を示し、特に温度の変化率が大きい場合や温度サイクルを持つ場合でも高い分散安定性を示す金属コロイド液を提供することが可能となった。また、金属イオンに対するタンニン酸の添加量が極めて少量で済むので、金属微細粒子の特性を生かせる金属コロイド液を提供することが可能になる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
タンニン酸(和光純薬工業社製、化学用)0.5gを100mLのイオン交換水に溶解した(粘度2mPa・s以下、A液)。次に室温下にマグネティックスターラーを用いて500rpmで攪拌しながら、1gの硝酸銀(和光純薬工業社製、試薬特級)を含む水溶液(粘度2mPa・s以下、B液)2mLを滴下させて銀コロイド液を作製した。なお、銀コロイド液の作製は室温で行った。このとき銀イオン1gに対するタンニン酸は0.79gとなり、化学量論的金属生成量は6.2g/Lとなる。また、A液とB液との混合比は50/1となる。
なお、A液及びB液の粘度の測定は、トキメック社製BM型粘度計を使用して行った。同機の信頼できる測定下限は10mPa・sである。
【0029】
得られた金属コロイド液について以下の評価を行った。
(分散性評価)
金属コロイド液をよく攪拌した後、容量30mLの試験管に適量を移して、下記の条件下に放置した。そして固形分が沈降すれば×、沈降しなければ○と評価した。なお、実験は次の条件で行った。
【0030】
pH:2(塩酸にて調整)と12(水酸化ナトリウム水溶液にて調整)
電導度:1mS/cmと10mS/cm(水酸化ナトリウム水溶液にて調整)
温度:室温(約20℃)と80℃(ヒーターにて調整して、液量が減った場合加温したイオン交換水をゆっくり添加した)
温度サイクル試験:80℃に急加熱して1時間放置→冷蔵庫で10℃に急冷して1時間放置を2サイクル行った。この場合も液量が減った場合加温したイオン交換水をゆっくり添加した。
【0031】
(有機物量測定)
金属コロイド液を適当な容器に入れて、デシケーター中で恒量になるまで自然乾燥させた。その自然乾燥物をセイコー電子工業社製TG/DTA300を用いて、昇温速度10℃/分で室温から500℃までの大気中における熱重量変化を求めた。そして100℃から500℃までの重量損失を計算した。
【0032】
(実施例2)
タンニン酸の量を0.007gとした以外は実施例1と同様に行った。なお、このとき銀イオン1gに対するタンニン酸は0.01gとなる。
【0033】
(実施例3)
タンニン酸3.8gを500mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。なお、このとき銀イオン1gに対するタンニン酸は6gとなり、A液とB液との混合比は250/1となる。
【0034】
(実施例4)
1gの硝酸銀を含む水溶液(粘度2mPa・s以下)100mLを滴下した以外は実施例1と同様に行った。このとき化学量論的金属生成量は3.2g/Lとなる。また、A液とB液との混合比は1/1となる。
【0035】
(実施例5)
タンニン酸0.5gを1000mLのイオン交換水に溶解した(粘度2mPa・s以下)以外は実施例1と同様に行った。このとき化学量論的金属生成量は0.63g/Lとなる。また、A液とB液との混合比は500/1となる。
【0036】
(実施例6)
予め、イオン交換水とグリセリン(和光純薬工業社製、試薬特級)とを混合してB型粘度計粘度を300mPa・sにしたもの100mLに、タンニン酸0.5gを溶解した以外は実施例1と同様に行った。
【0037】
(実施例7)
A液及びB液をともに5℃に調整してから、攪拌速度を30rpmとして混合した以外は実施例1と同様に行った。
【0038】
(実施例8)
A液及びB液をともに75℃に調整してから、攪拌速度を2000rpmとして混合した以外は実施例1と同様に行った。
【0039】
(実施例9)
予め、イオン交換水とメチルアルコール(和光純薬工業社製、試薬特級)とを容量比で1対1に混合したもの100mL(粘度2mPa・s以下)に、タンニン酸0.5gを溶解した以外は実施例1と同様に行った。
【0040】
(実施例10)
タンニン酸0.5gに加えて、硫酸第一鉄七水和物(和光純薬工業社製、試薬特級)46gを100mLのイオン交換水に溶解した(粘度2mPa・s以下)以外は実施例1と同様に行った。このとき硫酸第一鉄に対するタンニン酸の重量比は0.02となる。
【0041】
(実施例11)
実施例1で作製した銀コロイド液を倉敷紡績社製、セントリカットU−10に入れて、遠心分離器で3000rpm×30分間の限外濾過を行って、最終的に容量を5mLとした。このとき化学量論的金属生成量は127g/Lとなる。得られた濃縮銀コロイド液を実施例1と同様に評価した。
【0042】
(実施例12)
タンニン酸0.5gに加えて、クエン酸ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製、試薬特級)1.1gを100mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。このときクエン酸ナトリウムに対するタンニン酸の重量比は0.5となる。
【0043】
(実施例13)
実施例1において硝酸銀水溶液の代わりに塩化金酸四水和物(和光純薬工業社製、試薬特級)1gを含む水溶液2mLを用いた以外は実施例1と同様に行った。このとき金イオン1gに対するタンニン酸は0.1g(1価/g当たり0.33g)となり、化学量論的金属生成量は4.6g/Lとなる。
【0044】
(実施例14)
実施例1において硝酸銀水溶液の代わりに硝酸銅酸水和物(和光純薬工業社製、特級)1gを含む水溶液2mLを用いた以外は実施例1と同様に行った。このとき銅イオン1gに対するタンニン酸は1.9g(1価/g当たり0.95g)となり、化学量論的金属生成量は4.6g/Lとなる。
【0045】
(比較例1)
タンニン酸6.3gを1000mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。このとき銀イオン1gに対するタンニン酸は10gとなり、A液とB液との混合比は500/1になる。
【0046】
(比較例2)
1gの硝酸銀を含む水溶液(粘度2mPa・s以下、B液)200mLを滴下して銀コロイド液を作製した以外は実施例1と同様に行った。このときA液とB液との混合比は0.5/1となる。
【0047】
(比較例3)
タンニン酸0.5gを2000mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。このときA液とB液との混合比は1000/1となる。
【0048】
(比較例4)
予め、イオン交換水とグリセリンとを混合してB型粘度計粘度を400mPa・sにした溶液100mLに、タンニン酸0.5gを溶解した以外は実施例1と同様に行った。
【0049】
(比較例5)
A液及びB液をともに5℃に調整してから、攪拌速度を5rpmとして混合した以外は実施例1と同様に行った。
【0050】
(比較例6)
A液及びB液をともに75℃に調整してから、攪拌速度を3000rpmとして混合した以外は実施例1と同様に行った。
【0051】
(比較例7)
タンニン酸の代わりに硫酸第一鉄七水和物0.5gを100mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。
【0052】
(比較例8)
タンニン酸の代わりに、クエン酸ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製、試薬特級)6.4gと硫酸第一鉄七水和物5.5gとを100mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。
【0053】
(比較例9)
比較例8で作製した銀コロイド液を倉敷紡績社製、セントリカットU−10に入れて、遠心分離器で3000rpm×30分間の限外濾過を行い、水量が減った場合はイオン交換水を添加して限外濾過を繰り返し行い、最終的に電導度(東亜電波工業社製、CM−20Sで測定)を100μS/cm、容量を100mLとした。
【0054】
(比較例10)
タンニン酸の代わりに、高分子系顔料分散剤であるソルスパース27000(アビシア社製)4.0gと硫酸第一鉄七水和物5.5gとを100mLのイオン交換水に溶解した以外は実施例1と同様に行った。このとき銀イオン1gに対するソルスパース27000は6.3gとなる。
以上の結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、pHの変化、電解質の存在、雰囲気温度の変化によっても高い分散性を示し、特に温度の変化率が大きい場合や温度サイクルがある条件下でも高い分散安定性を示し、かつ、吸着している有機物が少なくて金属微細粒子の特性を生かせる金属コロイド液を提供することができる。
Claims (2)
- タンニン酸を含む溶液と、イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液とを混合して金属コロイド液を製造する方法であって、
混合時において、前記タンニン酸を含む溶液及び前記イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液のB型粘度計により計測した粘度が、ともに300mPa・s以下であり、かつ、
前記タンニン酸を含む溶液と、前記イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液との容積比が、1/1〜500/1(タンニン酸を含む溶液/イオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液)である
ことを特徴とする金属コロイド液の製造方法。 - 混合時において、タンニン酸を含む溶液及びイオン化列が水素より貴な金属の無機酸塩を含む溶液の初期温度が、ともに5〜75℃であり、かつ、
混合中の攪拌速度が、30〜2000rpmである
ことを特徴とする請求項1記載の金属コロイド液の製造方法。
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