JP3973236B2 - 単分散性貴金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は還元析出法により得られる貴金属粉末の製造方法及び当該方法により製造される貴金属粉末に関する。詳しくは、コンデンサー用内部電極又は高温センサー用回路等の電子部品に好適に使用される貴金属粉末の製造方法及び当該方法により製造される貴金属粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層用コンデンサーの内部電極又は高温センサー用回路等の電子部品に貴金属粉末をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加え、混練して製造される貴金属ペーストが使用されている。前記貴金属ペーストのための貴金属粉末には、粒子径が適当に小さく、粒度が揃っていることが要求される。そこで、このような貴金属粉末の提供を目的とした製造方法として、特公昭44−21968号公報及び特公平1−35044号公報などが開示されている。
【0003】
しかし、近年、コストの低減化を図るために、積層コンデンサー等の電子部品の小型化及び電極材料の使用量の抑制等によって、電極の厚みを更に薄くする必要性が生じている。この要求に応えるためには、粒子径が小さく且つ均等であるだけでなく、凝集していない単分散した粒子であることも要求されるようになった。
【0004】
ところで、分散剤の添加により単分散された粒子が得られることが知られている。例えば、特公昭61−55562号公報、特開昭63−213606号公報、特開平4−333504号公報及び特開平4−235205号公報などである。
【0005】
特公昭61−55562号公報は銅微粉末の製造方法に関し、難溶性の酸化銅を保護コロイドの存在下、ヒドラジン系の還元剤で還元する方法である。保護コロイドは難溶性の酸化銅を水溶液中に分散、懸濁させる作用、及び還元析出した銅の微粒子同士がくっつきあうことを防止する作用を有すると記載されている。
【0006】
特開昭63−213606号公報は銀−パラジウム複合粉末の製造方法に関し、銀とパラジウムの可溶性金属塩の水溶液中に分散剤を加え、更に還元剤を徐々に加えて銀−パラジウム共沈粉末を製造する方法である。分散剤は析出した金属の粒子を溶液中に分散させ、安定な懸濁液を作る作用をし、これにより析出されてくる金属の結晶は溶液中の各部分において同様に成長するため粒径のばらつきが小さくなると記載されている。
【0007】
特開平4−333504号公報は、銀微粉の連続製造方法に関し、生成される銀粒子の単分散化及び球状化を図るために還元剤溶液中に水溶性の高分子物質を添加しても良いと記載されている。
【0008】
特開平4−235205号公報は、銅粉の製造方法に関し、反応溶液中に保護コロイドを分割添加しながら銅塩水溶液を段階的に還元させることにより単分散した球状銅粉を製造する方法である。保護コロイドの分割添加は、水酸化銅の核生成前(初期添加)と、水酸化銅から金属銅に還元させた銅粒子の粒成長中(後添加)の2段階に分けて行う。水酸化銅が析出する以前の段階で全添加量の40〜60重量%を添加することで、水酸化銅の析出粒子をコントロールする。その析出水酸化銅の粒子径及び形状等の形態が還元される銅粒子の形態を決定するからである。その後に残りの保護コロイドを追加することで、銅の核を凝集させることなく粒成長させるので、粒度分布の極めて狭い球状単分散粒子が得られるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開昭63−213606号公報及び特開平4−333504号公報記載の方法では、粒子形状及び粒度の制御が十分とはいえず、未だ不満の残るものであった。
【0010】
また、特公昭61−55562号公報及び特開平4−235205号公報は銅粉のみを対象としたもので貴金属粉末に関するものではなく、更に難溶性酸化銅の懸濁(特公昭61−55562号公報)、硫酸銅から還元される疎水性コロイドの水酸化銅の分散(特開平4−235205号公報)工程を要し、可溶性金属塩溶液から還元剤により直接金属を析出させる貴金属粉末の製造においては、貴金属の析出反応凝集が早過ぎるため十分に粒度等の制御ができない。
【0011】
本発明者らは、貴金属粉末、特に銀−パラジウム複合粉末の製造方法に関し、組成が均一で粒度分布の幅の狭い球状粉末の製造方法を提供することを目的として鋭意研究を進め、既に、特願平5−70781号、特願平5−275977号、特願平5−314020号、特願平5−340247号を出願した。
【0012】
例えば、特願平5−70781号は、銀−パラジウム複合粉末の製造方法に関し、詳しくは、還元剤を含有する溶液に銀塩とパラジウム塩が溶解する混合溶液を分散させ、銀とパラジウムに同時に還元して析出させる方法である。当該方法により銀の一次粒子とパラジウムの一次粒子とが均一に混合して成る粉末を得る。
【0013】
還元剤には、主として銀塩を銀に還元するのに有効な還元剤と、パラジウム塩をパラジウムに還元するのに有効な還元剤の2種以上を組み合わせて用いる。組み合わせの例には、蟻酸と次亜リン酸、蟻酸ナトリウムと亜二チオン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドとロンガリット、ホルムアルデヒドと次亜リン酸、ホルムアルデヒドと蟻酸アンモニウム、L−アスコルビン酸と次亜リン酸、ロンガリットと次亜リン酸、ロンガリットと蟻酸アンモニウム、ロンガリットと蟻酸、蟻酸アンモニウムとヒドラジン又は抱水ヒドラジン、ロンガリットとヒドラジン又は抱水ヒドラジンなどがある。また、ロンガリット、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン又はL−アスコルビン酸を使用する場合には、いずれか一種のみで銀とパラジウムとを同時に還元析出できる。尚、パラジウム塩にはジクロロジアミンパラジウムが好適である。
【0014】
しかし、上記出願によっても、粒度の揃った粒子を得ることはできるけれども、粒子の凝集を完全に免れることはできなかった。そこで、本発明は、粒度が揃っているだけでなく、単分散している粒子を工業的に安定して得られる製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の如く電子部品の小型化・薄膜化を達成するために分散剤の添加に着目し、更に研究を進めたところ、分散剤を所定の方法で分割添加することにより単分散した貴金属粉末粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、貴金属塩含有水溶液又は還元剤含有水溶液のどちらか一方に予めデキストリン、トリエタノールアミン、ゼラチン、グリセリンから選択される分散剤の第一添加をしておき、貴金属塩含有水溶液中に還元剤含有水溶液を加えて貴金属粉末を還元析出させ、貴金属粉末の析出後で粒子の二次凝集が生じる前に、更にゼラチン、トリエタノールアミン、グリセリンから選択される分散剤の第二添加をして、蒸留水に懸濁させた場合に二次凝集が防止される単分散性貴金属粉末を得ることを特徴とする単分散性貴金属粉末の製造方法及び当該方法により製造されて得られる極めて粒度分布の幅の狭い球状の単分散性貴金属粉末に関する。
【0017】
【作用】
本発明の製造方法の特徴は一連の工程において分散剤を段階ごとに複数回添加することにあり、詳しくは貴金属塩含有溶液又は還元剤含有溶液のどちらか一方に分散剤の第一添加を行い、次に貴金属塩含有溶液中に還元剤含有溶液を加え、還元反応が終了して一次粒子の析出後に速やかに第二添加を行う。
【0018】
まず、分散剤の第一添加により析出核の量をコントロールし、同時に引き続き還元される貴金属の析出速度をコントロールする。分散剤の第二添加により析出した貴金属粒子の二次凝集を防止する。故に第二添加は一次粒子の析出が終了した時点で二次凝集が生じるまでの間に迅速に行うことが肝要である。
【0019】
この結果、生成される貴金属粒子はその粒子の大きさが厳格に制御されたもので粒度分布の非常に狭い均一な粒子であり且つ単分散されている粒子となる。特に銀−パラジウム等の複合粉末については、粒子ごとの組成にばらつきのない均等に分散された複合粉末を得ることができる。
【0020】
以上の如く本発明は、パラジウム粉末、プラチナ粉末、銀−パラジウム複合粉末などの貴金属粉末の製造方法を提供するものであり、その中でも銀−パラジウム複合粉末の製造には粒子間の銀とパラジウムの組成とのばらつきをなくすことができるので、特に適している。
【0021】
従って、特開昭63−213606号公報及び特開平4−333504号公報に記載の如く、金属塩溶液又は還元剤溶液に分散剤を1回だけ添加する方法とは本発明は大きく異なる。本発明では、適切な粒子径が得られるように量の制御された分散剤の存在下で還元析出反応を行い、更に第二添加を行うことで、粒子の大きさの制御をより厳格にすることができ、且つ単分散性も格段に向上させている。
【0022】
また、本発明は特開平4−235205号公報に記載の如く銅粉の製造方法ではなく、パラジウム、銀−パラジウム複合粉末、プラチナなどの貴金属粉の製造方法に関するものである。その上、前記公報では硫酸銅水溶液から水酸化銅、亜酸化銅を経て金属銅へと徐々に還元させているが、本発明では貴金属塩水溶液から直接に貴金属へと還元させている点でも相違する。
【0023】
即ち、反応凝集が早過ぎるため制御し得ないとする前記公報において解決し得なかった課題(前記公報段落番号0020参照)は、本発明では解決されており、直接に貴金属を還元析出させても、析出核の大きさの制御を十分に可能とし、極めて粒度分布の幅の狭い均一且つ単分散している粒子を得ることができる。従って、製造工程が単純化されているため、この点からも製造コストの低減化を図ることができる。
【0024】
更に、前記公報と本発明とでは第二添加(後添加)の作用が異なる。本発明において、第二添加により結晶の粒成長を抑止させ、必要最低量以上の量の分散剤を添加することで、析出粒子の凝集を確実に防ぐ。従って、粒成長をも考慮して第二添加量を調節している前記公報に比べ、単分散性にも優れている。
【0025】
本発明の製造方法において、分散剤の第二添加の作用をより確実に行わせることで、極めて単分散性に優れた貴金属粉末を得ることができる。小粒径で粒度が揃い且つ単分散性に優れた貴金属粉末をペースト状にしたものを電子用部品に使用した場合には、小型化・薄膜化強いては製造コストの低減化が図れるためより好適である。
【0026】
第二添加を効率的に行うには、反応溶液中に如何に混合性良く第二添加のための分散剤を投入するかということである。そのための手段として、第二添加の際のガス発生物質の投入、スタティックミキサーの使用、邪魔板等の導入による攪拌混合などが挙げられる。
【0027】
具体的には、例えば第二添加と同時に又は第二添加の直前若しくは直後に、反応溶液中でガスを発生する物質を添加することが好ましい。反応溶液は発生するガスにより攪拌され、第二添加の分散剤が反応溶液中に均一に攪拌混合されるので、第二添加による二次凝集防止効果がより効率的に作用するからである。
【0028】
他に、前記ガス発生物質の添加に代えて或いはガス発生物質の添加に加えて、スタティックミキサーを使用することもできる。前記ミキサーの翼板の捻りに依って、第二添加の分散剤は反応溶液中に均一に混合されるので、二次凝集防止効果が増強される。
【0029】
或いは、邪魔板を導入した容器に反応溶液を入れて攪拌混合しても同様の効果が得られる。攪拌は第二添加直前からでも、第二添加と同時であっても構わない。
【0030】
【好適な実施態様】
本発明の製造方法において、分散剤には、第一添加にはデキストリン、トリエタノールアミン、ゼラチン、グリセリンから選択されるものを用いる。第一添加の添加形態については、分散剤の種類に応じて貴金属塩含有溶液又は還元剤含有溶液のどちらか一方を選択し添加する。例えば、グリセリンは貴金属塩含有溶液に添加される方が特に好ましく、ゼラチンは還元剤含有溶液に添加される方が特に好ましい。
【0031】
第二添加のための分散剤にはゼラチン、トリエタノールアミン、グリセリンから選択したものを用いるが、特にゼラチンが効果的である。本発明においては、第一添加又は第二添加の所与の目的を達成できれば相互に分散剤の種類が異なっていても構わない。
【0032】
好ましい添加量は、第一添加では析出粒子の形態に影響を与えない最少範囲内である。前記範囲より多いと、反応溶液中の貴金属塩は多数の微細な核として析出し所望の大きさの粒子が得られない。また、分散剤が多量に存在するにも関わらず析出粒子も多量に存在するために却って凝集を招き易くなる。一方、少ないと分散効果が表われず核が均一に析出しなくなり球状粒子が得られない。
【0033】
具体的な好ましい第一添加の添加量は選択される分散剤の種類によって異なる。例えば、ゼラチンでは0.02g/L未満、より好ましくは0.001〜0.004g/Lであり、デキストリンでは0.002〜2.0g/L、より好ましくは0.005〜0.2g/Lであり、特に好ましくは0.01〜0.02g/Lである。
【0034】
一方、第二添加では、二次凝集防止作用を表わす必要量以上の添加を行い、より好ましくは1.2から10.0g/L程度である
【0035】
尚、一般に反応は超音波攪拌、回転子による攪拌、プロペラによる攪拌などの攪拌が行われる反応槽にて行う。超音波攪拌の場合には40kHz前後が好ましいが、これより高くても構わない。回転子又はプロペラによる攪拌の場合には、回転数を100〜3000rpmとするのが好ましい。
【0036】
上述の第二添加をより効率的に行うために、第二添加の際に、ガス発生物質を添加する、又は/及びスタティックミキサーの使用による混合或いは邪魔板を導入して攪拌混合することが好ましい。
【0037】
ここで、反応溶液中に投入した際にガスを発生する物質とは、即ち水中でガスを発生する物質をいい、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ドライアイス、液体N2などである。
【0038】
ガス発生物質の添加時期は、ガス発生による攪拌混合作用が第二添加の分散剤に及ぶのであれば、分散剤の第二添加と同時であるか、又は第二添加の直前若しくは直後のいずれでも構わない。また、添加量は、最低限第二添加の分散剤が攪拌される程度の量を必要とし、それは、反応溶液2リットルに対して0.1モル程度以上のガスが発生する量であり、例えば炭酸アンモニウムでは10g程度を必要とする。
【0039】
前記ガス発生物質の添加に代えてスタティックミキサーを使用する場合は、例えば第二添加直後の反応溶液をスタティックミキサーを通して混合する、或いは、第二添加前の反応溶液と第二添加の分散剤溶液とを同時にスタティックミキサーを通して混合する。
【0040】
ガス発生物質に加えてスタティックミキサーを使用する場合は、例えば第二添加及びガス発生物質の添加が行われた直後の反応溶液をスタティックミキサーを通して混合する。又は第二添加直後の反応溶液をスタティックミキサーを通して混合し、更にガス発生物質を溶解させた水溶液をスタティックミキサー通して反応溶液中に添加する。若しくは第二添加直後の反応溶液とガス発生物質を溶解させた水溶液とを同時にスタティックミキサーを通して混合する。
【0041】
別の方法としては、第二添加が行われる前の反応溶液と第二添加の分散剤溶液とを同時にスタティックミキサーを通して混合し、更にガス発生物質を溶解させた水溶液をスタティックミキサーを通して混合する。或いは、第二添加前の反応溶液にガス発生物質を予め添加しておき、この溶液と第二添加の分散剤溶液とを同時にスタティックミキサーに通し混合する。
【0042】
更に混合度をよくしたい場合には、複数のスタティクミキサーを用いるか、スタティックミキサーに流れる溶液の流速を速めるために補助的にポンプを用いるなどをしても構わない。
【0043】
スタティックミキサーとしては、図42に示すように捻り角度180°を有する右捻り要素11と左捻り要素12からなる板状のミキサーエレメント1を軸方向に交互に且つ隣接する要素の端部を接続角度90℃をもって交叉させて連続してなるものを基本的構造とするもので、これに各種のバリエーションを加えたものも使用できる。反応溶液は、各ミキサーエレメント毎に1/2に分割され、更に各捻り要素の通過時に反応溶液に回転・旋回運動が生ずることにより、混合が促進される。
【0044】
或いは、第二添加時には反応槽に邪魔板を導入して、混合攪拌しても同等の効果が得られる。初めから邪魔板を設けてある反応槽にて反応を行っても良いが、邪魔板の壁面に貴金属が析出してくるため避けた方が好ましい。
【0045】
第二添加前に邪魔板を導入した容器内に反応溶液を移して、攪拌しながら第二添加のための分散溶液及び必要に応じてガス発生物質を添加する。攪拌器具によって生じた攪拌流は邪魔板に当たって反射して、新たなうねりを起こし、反応溶液全体が攪拌混合される。従って、邪魔板の大きさは、攪拌流が反射される程度の大きさであって、別の邪魔板にその反射流が伝播するのを阻害しない程度の大きさであることが必要であり、反応槽の大きさに応じて調整する。
【0046】
この際の攪拌態様は上述の通りであり、例えば回転子等が設けられた攪拌棒の好ましい回転数は100〜3000rpm程度である。100rpmより回転数が少いと攪拌効果が不十分であり、逆に3000rpmより回転数が多いと攪拌流が強過ぎて弊害を与える。図43〜図45は邪魔板の態様を例示したものであるが、前述の攪拌混合作用を有する限りにおいて本発明はこれらに限定されない。
【0047】
本発明の製造方法では、還元剤の選択、反応温度又はpHなどに関しては、公知の方法に従えば十分に目的を達成し得る。例えば、還元剤には塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジンなどのヒドラジン化合物、亜硫酸塩、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウム、蟻酸、蟻酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸、亜二チオン酸ナトリウム、無水亜硫酸ナトリウム、L(+)酒石酸、蟻酸アンモニウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸、又はこれらの混合物などが用いられ、ヒドラジン化合物を含むことが好ましい。温度に関しては、還元析出反応は25℃以上で行うのが好ましく、加温しながら40℃以上で行うことがより好ましく、40〜80℃の範囲内で行うのが最も好ましい。pHについてはpH3〜10程度の範囲内で反応させることが好ましい。
【0048】
しかし、本発明者らが既に出願した特願平5−275977号、特願平5−314020号、特願平5−340247号の方法に従えば、これらの出願で開示された貴金属粉末よりも更に粒度が均等に揃ったものとなり、しかも単分散性に優れている貴金属粉末を得ることができる。
【0049】
特願平5−275977号は銀−パラジウム複合粉末の製造方法に関し、銀及びパラジウムの添加総合計量の0.2〜20.0mol%の銀粉末、パラジウム粉末又は銀−パラジウム粉末を核として予め分散させた溶液中に還元剤を添加し、更に銀塩とパラジウム塩とが溶解する混合溶液を分散させ、前記核上に同時に銀とパラジウムとを還元析出させる方法である。
【0050】
核として予め分散させる貴金属粒子の粒子径としては、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.1〜0.5μmであり、湿式還元析出法又は水素等の不活性ガスにより貴金属塩を還元させて得る。この貴金属粒子を核として前もって分散させる量は、前記の如く銀及びパラジウムの添加総合計量の0.2〜20mol%であり、好ましくは0.5〜10mol%、より好ましくは2mol%である。この際、含有量の少ないパラジウムは、全部とならないようにする。銀との共沈作用により、複合粉末の銀−パラジウム間の固着力が強まり、酸化増量の減少、酸化開始温度の遅延化を招来すると考えられるからである。
【0051】
従って、本発明に上記方法を利用するには、核となる貴金属粉末を分散剤の存在下(第一添加)で分散させ、これに還元剤、更に銀塩とパラジウム塩の含有溶液を加え、銀−パラジウムの析出反応の後、分散剤の第二添加を行えば良い。
【0052】
特願平5−314020号は銀−パラジウム複合粉末の製造方法に関し、(a)銀塩とパラジウム塩とを含有する溶液(以下、金属塩含有溶液という)のpHをアルカリ性領域に調整する工程、及び別途に(b)蟻酸アンモニウム及び抱水ヒドラジン化合物を還元剤とする還元剤含有溶液のpHを酸性領域に調整する工程、(c)前記工程(a)で調製した金属塩含有溶液と前記工程(b)で調製した還元剤含有溶液の少なくとも一方に酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムの一種以上を添加する工程、及び(d)前記金属塩含有溶液と前記還元剤含有溶液とを混合し、銀とパラジウムとを同時に還元析出せしめる工程、とからなる。
【0053】
金属塩含有溶液のpHは7〜11であることが好ましく、還元剤含有溶液のpHは4〜7であることが好ましい。そして、両溶液を混合して金属析出反応が行われる時のpHは7〜10.5の範囲内にあることが好ましい。
【0054】
当該方法では、還元剤の種類の限定及びpHの制御に加え、金属塩含有溶液及び還元剤含有溶液の少なくとも一方に酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムを添加することが肝要であり、これらにより、還元析出反応の速度を調和し制御する。前記アンモニウム化合物の好ましい添加形態としては、金属塩含有溶液には硝酸アンモニウム又は酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムから選択される少なくとも1種以上を添加し、又は/及び還元剤含有溶液には硝酸アンモニウム又は酢酸アンモニウムを添加することである。
【0055】
但し、金属塩含有溶液に硝酸アンモニウムを添加する場合は更に金属塩含有溶液に酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムから少なくとも一種を添加するか、還元剤含有溶液に酢酸アンモニウムを添加することを要する。一方、還元剤含有溶液に硝酸アンモニウムを添加する場合には、同様に更に還元剤含有溶液に酢酸アンモニウムを添加するか、金属塩含有溶液に酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムの中少なくとも一種を添加しなければならない。
【0056】
従って、本発明においては、(a)金属塩含有溶液に分散剤の第一添加を行い、更にpHをアルカリ性領域に調整する工程、及び別途に(b)蟻酸アンモニウム及び抱水ヒドラジン化合物を還元剤とする還元剤含有溶液のpHを酸性領域に調整する工程、(c)前記工程(a)で調製した金属塩含有溶液と前記工程(b)で調製した還元剤含有溶液の少なくとも一方に酢酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムの一種以上を添加する工程、及び(d)前記金属塩含有溶液と前記還元剤含有溶液とを混合し、銀とパラジウムとを同時に還元析出せしめ、その後に分散剤の第二添加を行う工程、となる。
【0057】
特願平5−340247号の方法とは、スリップ剤を含有する電気絶縁性プラスチックから形成され且つ凹痕がない内側壁面を有する反応槽にて貴金属の還元析出反応を行わせるものであり、ヒドラジン化合物の少なくとも一種以上を還元剤とする。当該方法では、反応槽内壁面での金属析出反応が起こり難くなる。
【0058】
電気絶縁性プラスチックには、例えばポリエチレン、ポリエチレン/ナイロン、ポリプロピレン、ナイロンなどがある。スリップ剤とは、前記プラスチックに相溶性があり且つ耐熱性が良く表面分子層を形成して帯電防止効果を示すものであり、例えばステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属化合物、ワックス、パラフィン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、精製タルクなどが挙げられ、100〜300ppm添加されるのが好ましい。
【0059】
還元剤には前記ヒドラジン化合物が少なくとも一種以上含有していることを要する。また、これに金属還元析出法の還元に汎用されている他の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
【0060】
従って、この場合内側壁面が上記のような材料から形成され且つ凹痕がない反応槽に、貴金属塩含有溶液を入れ、そこに分散剤を第一添加し、次に還元剤含有溶液を徐々に加え、反応後迅速に分散剤の第二添加を行う。
【0061】
以上の上述の方法は全て、必要に応じて第二添加の際に、更にガス発生物質の添加、スタティックミキサーの使用、反応槽への邪魔板の導入を行い、生成粒子の二次凝集防止効果を高めることができる。このようにして、上述の方法により製造された貴金属粉末は、いずれも粒度分布の幅が、当該出願のものに比べ更に狭くなり一定の粒径のものが多く、且つ良好に単分散されており、電子部品に好適に使用される。
【0062】
【実施例】
次に実施例を用いて本発明について詳説する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
(本発明例1)
ガラスビーカーに蒸留水130mLを入れ適度に加温しながら硝酸銀1.21gと硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)2.52gを加え、50℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを10.4に調整し、貴金属塩含有溶液とした。この50℃の溶液中へ、還元剤含有溶液と混合後の反応溶液中のゼラチンの濃度が0.001g/Lとなるようにゼラチン水溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0064】
別に、蟻酸アンモニウム2.24gと抱水ヒドラジン0.48gとを蒸留水100mLに50℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpH6.4に調整後、緩衝剤として酢酸アンモニウム5gを投入攪拌し完全に溶解させ、還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。更に反応時の泡発生後に、反応溶液中のゼラチンの濃度が1.2g/L(第一添加分は考慮しない)となるようにゼラチン水溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。
【0065】
反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて瀘過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなるなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0066】
<実施例1(比較例1〜3)>
分散剤の添加形態を表1に記したように種々変更させる他は前記本発明例1と同様にして、銀−パラジウム複合粉末を製造した。各方法で得られた銀−パラジウム複合粉末について、該粉末を蒸留水に懸濁させレーザー回折式粒度分布測定器(Master Sizer)で粒度分布を測定した。本発明例1及び比較例1〜3の結果は表1及び図1〜図4に示す。尚、粒度分布の測定については、以下の実施例についても同様にして行った。
【0067】
【表1】
【0068】
分散剤の添加が第一添加又は第二添加の1回だけ行われた貴金属粉末(図2〜図4)に比べて、本発明の方法に従って製造された貴金属粉末は図1に示される如く、粒度分布の幅が極めて狭く、粒度が均一である。また、実際の粒子径の平均と粒度測定による粒子径の平均との差は、本発明の方法により製造された貴金属粉末が最も小さく、粒子の凝集が少ないことを示した。
【0069】
<実施例2(参考例1〜7)>
第一添加に好適な分散剤を調べるために、分散剤は前もって貴金属塩含有溶液に添加しておき、これに還元剤含有溶液を加えて銀−パラジウム粉末を製造し、得られた粉末の粒度分布を調べた。簡易的に、分散剤の添加は本発明でいう第一添加のみの1回だけで製造した。尚、分散剤の種類及び添加形態以外については上述の本発明例1と同様の操作をした。使用した分散剤の種類は表2に示し、結果は表2及び図5〜図11に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
アラビアゴム、デキストリン、トリエタノールアミン、ゼラチン、グリセリンは、粒度分布のグラフにおいて、一定の粒度のものが多く第一添加に好適な分散剤であるが、アラビアゴム、デキストリンはその中でも特に山が高く且つ裾野の幅の狭い形を表わし、極めて好適であることを示した。
【0072】
<実施例3(参考例8〜11)>
次に、分散剤の第一添加の添加形態について検討した。グリセリン及びアラビアゴムについてそれぞれ貴金属塩含有溶液又は還元剤含有溶液のどちらか一方に前もって添加し、貴金属塩含有溶液に還元剤含有溶液を加えていき銀−パラジウム粉末を製造し、得られた粉末の粒度分布を調べた。簡易的に、分散剤の添加は本発明でいう第一添加のみの1回だけで製造した。尚、分散剤の種類及び添加形態以外については上述の本発明例1と同様の操作をした。結果は表3及び図12〜図15に示した。
【0073】
【表3】
【0074】
グリセリン、アラビアゴム共に金属塩含有溶液に第一添加を行った方が粒度分布の幅が狭く且つ単分散性に優れていた。尚、前記実施例1における比較例1(図2)及び比較例2(図3)を比較すると、ゼラチンでは還元剤含有溶液に分散剤の第一添加を行った方が好ましいことがわかる。
【0075】
<実施例4(本発明例2、2−2、2−3及び比較例4)>
表4に記載の分散剤を用いてそれぞれ第二添加を行って、貴金属粉末を製造し、得られた粉末の粒度分布を調べた。尚、分散剤の種類及び添加形態以外については上述の本発明例1と同様の操作をした。結果は表4及び図16〜図19に示す。なお、表4に比較例5として示されているものは本発明例2−2であり、比較例6として示されているものは本発明例2−3である。
【0076】
【表4】
【0077】
第二添加には、ゼラチン、トリエタノールアミン、グリセリンがデキストリンに比べて粒度分布の幅が狭くなり好適であることを示した。特にゼラチンを用いた時が最も粒子の凝集が少なく、デキストリンの第一添加のみの場合(前記参考例2)に比較して、分散剤の2回添加による凝集抑制の効果を明確に表わした。
【0078】
<実施例5(参考例12〜14及び比較例7)>
次に、第二添加の添加時期について検討を加えた。貴金属塩含有溶液に還元剤含有溶液を添加してからそれぞれ所定の時間経過後に第二添加を行って、貴金属粉末を製造し、得られた粉末の粒度分布を調べた。第二添加の添加時期は表5に示す通りであり、分散剤の添加に関する以外については本発明例1と同様の方法で製造した。結果は表5及び図20〜図23に示す。なお、表5に本発明例3〜5として示されているものは、それぞれ本発明に含まれない参考例12〜14である。
【0079】
【表5】
【0080】
ここで、反応溶液の色と反応の進行程度については次の関係にあると考えられる。反応溶液の色が薄茶色になった時は、金属パラジウムが核として析出してきた段階であり、引き続き銀が析出してくると泡を発生し始め、銀−パラジウム、特に銀の析出がほぼ完了すると反応溶液が灰色に変化していく。
【0081】
貴金属塩含有溶液に還元剤含有溶液を添加してかなりの時間が経過し、貴金属の析出反応がほぼ完全に終了してから更に時間をおいて分散剤の第二添加を行うと、粒子の凝集がかなり起こっている。従って、反応後所定時間内に速やかに第二添加を行うことが必要である。
【0082】
<実施例6(本発明例6〜7及び比較例8)>
分散剤の第二添加を次に示す時期に行う他は、実施例5と同様にして貴金属粉末を製造した。但し、反応温度は40℃で行った。
【0083】
分散剤の第二添加時期
比較例8 :貴金属塩含有溶液に還元剤含有溶液を添加混合直後
本発明例6:反応時の泡発生後(反応溶液は薄茶色)
本発明例7:反応溶液が灰色に変色後30秒後
【0084】
得られた粒子の電子顕微鏡写真を図24〜図26に示す。比較例8では貴金属粒子の還元析出反応が途中であり、一次粒子の成長が未発達であるため、図24では粒径が0.1μm以下のブラック粒子の存在が多数認められた。一方、図25又は図26では一次粒子の成長は十分であり、ほぼ均等の粒子が製造されていた。
【0085】
従って、粒子の析出反応終了前に第二添加を行うことは避けられるべきである。つまり、分散剤の第二添加は、貴金属粉末の析出後で粒子の二次凝集が生じる前の所定時間内に行うことが肝要である。
【0086】
<実施例7(本発明例9〜10及び参考例15)>
表6に記載の製造設計に従い、本発明例1と同様の操作によって銀−パラジウム複合粉末を製造し、粒度分布を調べた。結果は表6及び図27〜図29に示す。なお、表6に本発明例8として示されているものは、本発明に含まれない参考例15である。
【0087】
【表6】
【0088】
いずれの粒度分布のグラフにおいても、山が高く且つ裾野の幅の狭い形を表わし、粒度が揃った貴金属粉末が製造され、しかも見かけの粒子径と実際の粒子径との差が小さく、粒子の凝集が少ないことを示した。即ち、本発明の方法により製造される貴金属粉末は、粒度が揃っており且つ単分散性に優れている。
【0089】
また、特筆すべきは、分散剤にゼラチンを用いた場合、図8に示されるように第一添加のみでは、粒度の揃った粉末は得難いが、ゼラチンにて第一添加及び第二添加を行う本発明の方法では、図28又は図29に示される如く粒度の揃った粉末を得ることができた。従って、分散剤を分割添加することを特徴とする本発明の製造方法の効果がここでも確認された。
【0090】
(本発明例11)
1Lのガラスビ−カーに蒸留水200mLを入れ適度に加温しながらパラジウム化合物として、ジクロジアミンパラジウム([Pd(NH3)2Cl2]n)1gと緩衝剤として酢酸アンモニウム8gを投入攪拌し、溶液が60℃になるまで加熱し完全に溶解させパラジウム化合物含有溶液とした。この溶液はpH6.2であった。このパラジウム含有溶液中に分散剤としてデキストリン0.004gを添加し、溶解させた(分散剤の第一添加)。
【0091】
別に、塩化ヒドラジニウム1.0gを60℃の蒸留水25mLに溶解させた塩化ヒドラジニウム水溶液を製し還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記パラジウム化合物含有溶液に迅速に追加し、パラジウムを還元析出させた。更に、反応開始後約20秒後にゼラチン7gを蒸留水20gに溶解させた水溶液が前記反応溶液中に添加された(分散剤の第二添加)。
【0092】
反応を完了させるために、97℃で煮沸を1時間続けた後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて瀘過し、フィルター上のパラジウム粉を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0093】
こうして得られたパラジウム粉を電子顕微鏡で観察したところ、形状はほぼ球形で粒子の直径は約0.5μmであった。また、このパラジウム粉を蒸留水に懸濁させレーザー回折式粒度分布測定器(Master Sizer)で粒度分布を測定したところ、平均粒子径は1.20μmであり分散性が良好であった。
【0094】
(比較例9及び比較例10)
パラジウム化合物含有溶液中に予め、分散剤としてデキストリン0.004gのみを添加した場合(比較例9)及び分散剤を用いなかった場合(比較例10)で、その他は上記本発明例11に従い、パラジウム粉を製造した。
【0095】
それぞれ得られたパラジウム粉についての電子顕微鏡観察での粒子径は共に直径が約0.5μmであった(図示せず)。そしてその粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定器(Master Sizer)で粒度分布を測定したところ、平均粒子径はそれぞれ1.60μm(比較例9)及び1.70μm(比較例10)であり、上記本発明例11と比較して単分散性に劣ったものであった(図示せず)。
【0096】
<実施例8(本発明例12〜14及び参考例16〜17)>
更に、本発明の製造方法に従って、下記本発明例及び参考例の銀−パラジウム複合粉末を製造し、上述までの実施例と同様にしてそれぞれの粉末についての粒度分布を測定した。結果は表7及び図30〜34に示す通りである。なお、表7に本発明例15〜16として示されているものは、それぞれ本発明に含まれない参考例16〜17である。
【0097】
【表7】
【0098】
本発明例12〜13に示すような分散剤の二回添加に加えて、更に第二添加の際に、ガス発生物質を添加した本発明例14は、より見かけの粒子径が小さいものであり、粒子の二次凝集がより確実に防止されていることが判る。
【0099】
(本発明例12及び本発明例13)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g)とを加え、反応温度が40℃(本発明例12)又は50℃(本発明例13)になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを9.4に調整し貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へ、ゼラチンを0.0023g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0100】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに投入し、前記の反応温度と同じ温度になるまで加熱しながら攪拌し溶解した。硝酸でpH6.4に調整後、緩衝剤として酢酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0101】
更に反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0102】
(本発明例14、本発明例15及び本発明例16)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g)とを加え、反応温度が40℃(本発明例14)又は50℃(本発明例15)若しくは60℃(本発明例16)になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを9.4に調整し貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へ、ゼラチンを0.0023g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0103】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに投入し、前記の反応温度と同じ温度になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpH6.4に調整後、緩衝剤として酢酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0104】
更に反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。その後即座に、炭酸アンモニウム20gを添加して攪拌混合した(ガス発生物質の添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0105】
<実施例9(本発明例17及び参考例18〜19)>
第一添加の分散剤を代えて、実施例8と同様にして下記本発明例及び参考例の銀−パラジウム複合粉末を製造し、それぞれの粉末についての粒度分布を測定した。結果は表8及び図35〜37に示す通りである。なお、表8に本発明例18〜19として示されているものは、それぞれ本発明に含まれない参考例18〜19である。
【0106】
【表8】
【0107】
実施例8の結果と同様に、更に第二添加の際にガス発生物質を添加した本発明例では、粒子の二次凝集がより確実に防止された。またデータは示していないが、第二添加の直前或いは第二添加と同時にガス発生物質を反応溶液に添加した場合にも同等の二次凝集防止効果が得られた。
【0108】
(本発明例17)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g)とを加え、反応温度が50℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを9.4に調整し貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へ、デキストリンを0.046g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0109】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに投入し、前記の反応温度と同じ温度になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpH6.4に調整後、緩衝剤として酢酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0110】
更に反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0111】
(本発明例18)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g)とを加え、反応温度が60℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを9.4に調整し貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へ、デキストリンを0.046g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0112】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに投入し、前記の反応温度と同じ温度になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpH6.4に調整後、緩衝剤として酢酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0113】
更に反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。その後即座に、炭酸アンモニウム20gを添加して攪拌混合した(ガス発生物質の添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0114】
(本発明例19)
第一添加用の分散剤に0.046gのアラビアゴムを用いる以外は本発明例18と同様にして、銀−パラジウム複合粉末を製造した。
【0115】
<実施例10(本発明例20、22及び参考例20〜21)>
更に、下記本発明例及び参考例の銀−パラジウム複合粉末を製造し、それぞれの粉末についての粒度分布を測定した。結果は表9及び図38〜41に示す通りである。なお、表9に本発明例21及び23として示されているものは、それぞれ本発明に含まれない参考例20及び21である。
【0116】
【表9】
【0117】
ガス発生物質に代えて、スタティックミキサーを使用して、第二添加直後から反応終了まで攪拌した場合にも、ガス発生物質を添加した場合と同様に二次凝集防止効果が増強された。
【0118】
またデータは示していないが、本発明例23と同様の攪拌器を用いて(図44及び図45参照)、攪拌しながら反応溶液に第二添加用の分散剤溶液を添加した場合にも同等に二次凝集防止効果が増強された。
【0119】
(本発明例20)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g換算)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g換算)を加え、反応温度が75℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを調整後炭酸アンモニウム50gを添加しpH8.6として貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へゼラチンを0.0023g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0120】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに反応温度と同じ75℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpHを調整後、緩衝剤として炭酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、pHを8.6に調整して還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0121】
更に、反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0122】
(本発明例21及び本発明例22)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g換算)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g換算)を加え、反応温度が60℃(本発明例21)又は75℃(本発明例22)になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを調整後炭酸アンモニウム50gを添加しpH8.6として貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へゼラチンを0.0023g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0123】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに反応温度と同じ温度になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpHを調整後、緩衝剤として炭酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、pHを8.6に調整して還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0124】
更に、反応時の泡発生後の反応溶液中に2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し攪拌混合した(分散剤の第二添加)。その後即座に、炭酸アンモニウム20gを添加して攪拌混合した(ガス発生物質の添加)。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0125】
(本発明例23)
ガラスビーカーに蒸留水1000mLを入れ、適度に加温しながら硝酸銀8.95g(銀として7g換算)と、硝酸パラジウム(パラジウム金属含有量12.76重量%)23.51g(パラジウムとして3g換算)を加え、反応温度が75℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。更に、水酸化アンモニウムでpHを調整後炭酸アンモニウム50gを添加しpH8.6として貴金属塩含有溶液とした。この反応溶液中へゼラチンを0.0023g添加し攪拌混合した(分散剤の第一添加)。
【0126】
別に、蟻酸アンモニウム6.17gと80重量%抱水ヒドラジン4.41gとを蒸留水1300mLに反応温度と同じ75℃になるまで加熱しながら攪拌し溶解させた。硝酸でpHを調整後、緩衝剤として炭酸アンモニウム50gを投入攪拌し完全に溶解させ、pHを8.6に調整して還元剤含有溶液とした。この還元剤含有溶液を前記貴金属塩含有溶液に添加して、銀−パラジウムを還元析出させた。
【0127】
この反応時の泡発生後の反応溶液を図43に示される邪魔板を導入した反応槽に移し、攪拌しながら2.76gのゼラチンを若干量の蒸留水に溶かした溶液を添加し(分散剤の第二添加)た。反応終了後溶液を冷却し、ガラスフィルターにて≪過し、フィルター上の銀−パラジウム複合粉末を残存塩類がなくなるまで蒸留水で洗浄を繰り返した後、メタノールで洗い水分を除去し、室温で乾燥させた。
【0128】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、粒子径がほぼ一定であり、且つ単分散された貴金属粉末を製造することができる。特に、銀−パラジウム粉末においては粒子間で組成のばらつきがみられないため、特にその製造に好適である。即ち、本発明の貴金属粉末は粒度が揃い且つ単分散性に優れているため、コンデンサー用の電極又は高温センサー回路等の電子部品に好適に用いることができる。
【0129】
また、必要に応じて二次凝集防止効果を増強することができるので、所望により極めて単分散性を更に向上させた貴金属粉末を得ることができる。従って、電極等の小型化・薄膜化が益々容易になり、製造コストをより引き下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後に更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例1の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図2】貴金属塩含有溶液に、ゼラチンを添加した還元剤含有溶液を徐々に加えて製造された、比較例1の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図3】貴金属塩含有溶液にゼラチンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、比較例2の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図4】貴金属塩含有溶液に還元剤含有溶液を徐々に加えて、反応時の泡発生後にゼラチンを添加して製造された、比較例3の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第二添加の1回だけである。
【図5】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例1の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図6】貴金属塩含有溶液にデキストリンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例2の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図7】貴金属塩含有溶液にトリエタノールアミンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例3の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図8】貴金属塩含有溶液にゼラチンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例4の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図9】貴金属塩含有溶液にグリセリンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例5の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図10】貴金属塩含有溶液にジエチレングリコールを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例6の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図11】貴金属塩含有溶液にポリアクリル酸を添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例7の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図12】貴金属塩含有溶液に、アラビアゴムを添加した還元剤含有溶液を徐々に加えて製造された、参考例8の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図13】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例9の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図14】貴金属塩含有溶液に、グリセリンを添加した還元剤含有溶液を徐々に加えて製造された、参考例10の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図15】貴金属塩含有溶液にグリセリンを添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加えて製造された、参考例11の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。従って、分散剤の添加は本発明でいう第一添加の1回だけである。
【図16】貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例2の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図17】貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にデキストリンを第二添加して製造された、比較例4の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図18】貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから1分後に、更にトリエタノールアミンを第二添加して製造された、比較例5の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図19】貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから1分後に、更にグリセリンを第二添加して製造された、比較例6の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図20】 貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、参考例12の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図21】 貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから30秒後に、更にゼラチンを第二添加して製造された、参考例13の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図22】 貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから1分後に、更にゼラチンを第二添加して製造された、参考例14の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図23】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから2分後に、更にゼラチンを第二添加して製造された、比較例7の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図24】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、還元剤含有溶液を完全に貴金属塩含有溶液と添加混合した直後にゼラチンを第二添加して製造された、比較例8の貴金属粉末の粒子構造を表わした電子顕微鏡写真である。(a)は倍率×1000であり、(b)は前記(a)の白枠部分を倍率×5000に拡大したものである。
【図25】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例6の貴金属粉末の粒子構造を表わした電子顕微鏡写真である。(a)は倍率×1000であり、(b)は前記(a)の白枠部分を倍率×5000に拡大したものである。
【図26】貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時薄茶色の反応溶液が灰色に変色してから30秒後に、更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例7の貴金属粉末の粒子構造を表わした電子顕微鏡写真である。(a)は倍率×1000であり、(b)は前記(a)の白枠部分を倍率×5000に拡大したものである。
【図27】 貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、参考例15の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図28】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例9の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図29】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後で反応溶液が薄茶色を呈している時に、更にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例10の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図30】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例12の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図31】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例13の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図32】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、本発明例14の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図33】 貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、参考例16の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図34】 貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、参考例17の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図35】貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例17の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図36】 貴金属塩含有溶液にデキストリンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、参考例18の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図37】 貴金属塩含有溶液にアラビアゴムを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、参考例19の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図38】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加して製造された、本発明例20の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図39】 貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、参考例20の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図40】貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後にガス発生物質としての炭酸アンモニウムを添加して製造された、本発明例22の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図41】 貴金属塩含有溶液にゼラチンを第一添加し、還元剤含有溶液をこれに徐々に加え、反応時の泡の発生後にゼラチンを第二添加し、更にその直後に後記図43に示す邪魔板を導入して反応終了まで攪拌混合されて製造された、参考例21の貴金属粉末の粒度分布を表わしたグラフである。
【図42】本発明の製造方法に好適に使用されるスタティックミキサーの基本構造を表わす側面図である。
【図43】本発明の製造方法に好適に使用される邪魔板の一実施態様を表わす模式図である。(a)は全体の概略図であり、(b)は邪魔板の上面図であり、(c)はその側面図である。
【図44】本発明の製造方法に好適に使用される邪魔板の別の一実施態様を表わす模式図である。(a)は全体の概略図であり、(b)は邪魔板の上面図であり、(c)はその正面図及び側面図である。
【図45】本発明の製造方法に好適に使用される邪魔板の更なる一実施態様を表わす模式図である。(a)は全体の概略図であり、(b)は邪魔板の上面図であり、(c)はその正面図及び側面図である。
【符号の説明】
1…ミキサーエレメント
Claims (9)
- 貴金属塩含有水溶液又は還元剤含有水溶液のどちらか一方に予めデキストリン、トリエタノールアミン、ゼラチン、グリセリンから選択される分散剤の第一添加をしておき、
貴金属塩含有水溶液中に還元剤含有水溶液を加えて貴金属粉末を還元析出させ、貴金属粉末の析出後で粒子の二次凝集が生じる前に、更にゼラチン、トリエタノールアミン、グリセリンから選択される分散剤の第二添加をして、蒸留水に懸濁させた場合に二次凝集が防止される単分散性貴金属粉末を得ることを特徴とする単分散性貴金属粉末の製造方法。 - 前記分散剤の第一添加では、任意な径の球状粒子が均一に析出する最少範囲量の分散剤が添加されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記分散剤の第二添加では、二次凝集防止作用を現わす最低量以上の分散剤を添加することを特徴とする請求項1から2の一に記載の製造方法。
- 前記分散剤の第二添加に使用する分散剤は、ゼラチンであることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
- 更に、前記分散剤の第二添加と同時に、又は第二添加の直前若しくは直後の少なくともいずれか一の時に、反応溶液中でガスを発生する物質を添加することを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の製造方法。
- 前記ガスを発生する物質が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ドライアイス、液体N2から選択されることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
- 第二添加又はガスを発生する物質を添加した直後に、反応溶液をスタティックミキサーに通して混合させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の製造方法。
- 第二添加を行う際に、第二添加が行われる前の反応溶液と第二添加の分散剤溶液とを同時にスタティックミキサーに通して混合させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の製造方法。
- 邪魔板を導入した容器内で攪拌しながら分散剤の第二添加を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の製造方法。
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