JP4526154B2 - 着色組成物及びその製造法 - Google Patents
着色組成物及びその製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4526154B2 JP4526154B2 JP2000110786A JP2000110786A JP4526154B2 JP 4526154 B2 JP4526154 B2 JP 4526154B2 JP 2000110786 A JP2000110786 A JP 2000110786A JP 2000110786 A JP2000110786 A JP 2000110786A JP 4526154 B2 JP4526154 B2 JP 4526154B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pigment
- coloring composition
- octopus
- broth
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、タコやイカなどの頭足類由来のオモクロームを含有する着色組成物及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料、菓子などの食品を赤ないし赤紫色に着色する方法の一つとして、赤色2号、3号、102号というタール系の合成着色剤が使用されている。また、化学的な着色法としては、タラコを亜硝酸ソーダで処理して発色させる方法が知られている。
【0003】
しかし、合成着色剤や化学的な発色剤は人体への安全性の面から添加量や残存率が厳しく規制されており、最近では安全性、イメージ等の問題から合成着色組成物よりも天然色素を使用する傾向が年々強くなっている。
【0004】
赤色系の天然色素としては、赤キャベツ色素(特開昭61−97362号)、紅麹色素(特開平6−233669号)、クチナシ赤色色素などが広く利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に天然色素は安定性が悪く、熱、光、pHによって退色しやすいという問題があった。
【0006】
このため、天然色素の退色を防止するために様々な方法が提案されている。例えば、天然色素とルチン、ケルセチン、フィチン酸、ポリフェノール類などを併用して退色を防止する方法が知られているが、従来の退色防止方法による退色防止効果は充分満足できるものではなく、熱や光にも安定な天然色素の検索と実用化が求められていた。
【0007】
したがって、本発明の目的は、熱や光にも安定で、かつ、安全性の高い赤色系の天然色素を含有する着色組成物及びその製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の着色組成物は、頭足類を煮熟処理して得られる煮汁に含まれるオモクロム色素を有効成分として含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の着色組成物の製造法は、頭足類を煮熟処理してその煮汁を得る工程と、前記煮汁を脱塩する工程とを少なくとも経て、オモクロム色素を含有する組成物を得ることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、熱や光に安定で、かつ、安全性の高い赤色系の天然色素を含有する着色組成物を提供できる。また、タコ、イカなどを煮熟加工する際に多量に排出する煮汁を有効に利用することができる。
【0011】
【発明の実施形態】
タコやイカなどの頭足類の体表面にはフェノキサゾン誘導体であるオモクロム(ommochrome)という色素が分布している。オモクロムは細胞内では顆粒状で存在し、タンパク質と結合している場合もある。タコやイカを加熱すると赤紫色になるが、アルカリ、酸性下で加熱しても同じような結果になるので、この現象はオモクロムが加熱により溶け出すのではなく、顆粒の拡散や熱変性したタンパク質からの色素の遊離によるためと考えられている(秦正弘:水産生物化学(山口勝巳編)、pp.107−110、東京大学出版会(1991))。
【0012】
本発明の着色組成物の有効成分である頭足類を煮熟処理して得られる煮汁に含まれる色素には、上記オモクロムの他に、例えば、オモクロムの分解物などの様々な色素成分が含まれていると考えられる。本発明の着色組成物は、これらの色素成分を全て含むものであってもよく、あるいはオモクロム等がより高純度に含まれるように精製したものであってもよい。
【0013】
本発明の着色組成物は、例えば以下のようにして得ることができる。
体表面の汚れやヌメリを除去した頭足類1質量部に対して水1〜100質量部を加え、10分間〜5時間煮熟し、煮汁を得る。
【0014】
原料となる頭足類としては、イカ、タコ等が挙げられる。本発明においては、特にタコが好ましく用いられる。したがって、本発明においては、通常、タコを加工する際に排出される煮熟処理の煮汁を用いることができる。
【0015】
上記煮汁は、そのまま、又は減圧濃縮や逆浸透膜濃縮により適宜濃縮して、或いは必要に応じて凍結乾燥やスプレードライ等をして、液状、又はペースト状或いは粉末状の着色組成物とすることができる。また、煮汁には、塩分が含まれているので、本発明においては煮汁を電気透析等により脱塩してから、同様にして液状、又はペースト状或いは粉末状の着色組成物とすることが好ましい。
【0016】
さらに、必要に応じて脱塩した煮汁をカラム処理して色素を精製することもできる。
【0017】
本発明の着色組成物は、熱や光に対して安定で、かつ、天然物由来であるので安全性が高く、赤色系の着色料として様々な食品や化粧品に用いることができる。食品としては、赤色に着色したいものであれば特に制限はないが、例えば苺風味の飲料、ゼリー、調味料、錠菓等が挙げられる。また、化粧品としては、口紅、アイシャドウ、マニキュア等が挙げられる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
実施例1 色素の精製
内臓、墨、体表面のヌメリを除去したタコ1kgに1Lの水を加え、煮熟処理して赤褐色色素を含む煮汁を得、この煮汁を電気透析して塩分を除去した。
【0019】
この煮汁に含まれる色素の最大可視吸収を測定したところ、図1に示すように494nmに吸収を持つことが分かった。
【0020】
次いで、文献[Adele Bolognese:J. Heterocyclic Chem., 25, 1243-1246(1988)]に記載された方法に従って、この色素を分離・精製した。すなわち、上記脱塩した煮汁をカルボキシメチルセルロースカラムに供し、ブタノール−酢酸−水の混液で溶出して494nmの吸光値をもつフラクションを回収した。回収したフラクションは、減圧濃縮により溶媒を完全に除去した後、少量の水に分散させて凍結乾燥して赤褐色の色素粉末320mgを得た。
【0021】
実施例2 色素の安定性試験
赤褐色色素を含む煮汁をpH5、7、9に調整して、90℃で30分及び1時間加熱した。加熱後の煮汁を冷却し、494nmの吸光値を測定した結果を図2に示す。
【0022】
図2から、中性(pH7)及びアルカリ性(pH9)においては色調が変化せず、熱に対して著しく安定であることが分かる。また、酸性(pH5)下では吸光値の23%が減少し、若干の退色が確認された。
【0023】
さらにpH7に調整した煮汁を蛍光灯下で室温で3ヶ月間放置したが、ほとんど色調に変化がなく光に対する安定性に優れていることが分かった。
【0024】
実施例3
表1に示す配合で、常法により赤褐色の飲料を製造した。この飲料は、きれいな赤褐色を呈していた。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例4
表2に示す配合で、常法によりイチゴ風味ゼリーを製造した。このゼリーは、きれいな赤褐色を呈しており、苺の風味とよくマッチしていた。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱や光に安定で、かつ、安全性の高い赤色系の着色組成物を提供できる。
【0029】
また、本発明の着色組成物の製造法によれば、タコ、イカなどを煮熟加工する際に多量に排出される煮汁を利用することができるので、コスト的にも安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タコを煮熟処理して得られた煮汁に含まれる色素の吸光値を測定した結果を表す図表である。
【図2】 タコを煮熟処理して得られた煮汁に含まれる色素のpH及び熱に対する安定性を測定した結果を表す図表である。
Claims (4)
- 頭足類を煮熟処理して得られる煮汁に含まれるオモクロム色素を有効成分として含有することを特徴とする着色組成物。
- 前記頭足類がタコ又はイカである請求項1に記載の着色組成物。
- 頭足類を煮熟処理してその煮汁を得る工程と、前記煮汁を脱塩する工程とを少なくとも経て、オモクロム色素を含有する組成物を得ることを特徴とする着色組成物の製造法。
- 前記頭足類がタコ又はイカである請求項3に記載の着色組成物の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000110786A JP4526154B2 (ja) | 2000-04-12 | 2000-04-12 | 着色組成物及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000110786A JP4526154B2 (ja) | 2000-04-12 | 2000-04-12 | 着色組成物及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001294767A JP2001294767A (ja) | 2001-10-23 |
JP4526154B2 true JP4526154B2 (ja) | 2010-08-18 |
Family
ID=18623240
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000110786A Expired - Fee Related JP4526154B2 (ja) | 2000-04-12 | 2000-04-12 | 着色組成物及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4526154B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005278569A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | オクトピン高含有魚介抽出物及びその製造方法、該オクトピン高含有魚介抽出物を含有する飲食品 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5313699B2 (ja) * | 1975-10-17 | 1978-05-12 | ||
JPH01152162A (ja) * | 1987-12-09 | 1989-06-14 | Nippon Youriyokuso Kk | 天然黒色色素の製造方法 |
JPH0443954A (ja) * | 1990-06-11 | 1992-02-13 | Aomori Pref Gov | 頭足類の表皮より抽出される色素成分の用法 |
JP2001294854A (ja) * | 2000-04-12 | 2001-10-23 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 抗酸化剤及びその製造法 |
-
2000
- 2000-04-12 JP JP2000110786A patent/JP4526154B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5313699B2 (ja) * | 1975-10-17 | 1978-05-12 | ||
JPH01152162A (ja) * | 1987-12-09 | 1989-06-14 | Nippon Youriyokuso Kk | 天然黒色色素の製造方法 |
JPH0443954A (ja) * | 1990-06-11 | 1992-02-13 | Aomori Pref Gov | 頭足類の表皮より抽出される色素成分の用法 |
JP2001294854A (ja) * | 2000-04-12 | 2001-10-23 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 抗酸化剤及びその製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001294767A (ja) | 2001-10-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100436466C (zh) | 海藻糖或麦芽糖醇和金属离子化合物的缔合物 | |
JP4885797B2 (ja) | 小豆色色付け剤の製造方法 | |
JP4526154B2 (ja) | 着色組成物及びその製造法 | |
CN1329454C (zh) | 脱臭的红花黄色色素 | |
KR100513984B1 (ko) | 닭, 해산물, 및 한약재를 이용한 육수 제조 방법 및 그에 의해 제조된 육수 | |
CN1084164C (zh) | 高碘钙海带酱油 | |
WO2017217527A1 (ja) | イリドイド化合物由来赤色素組成物及びその製造方法 | |
KR980008061A (ko) | 탈색, 탈취된 정제액젓 | |
JP2019157063A (ja) | 藍葉加工産物を含有する着色料 | |
JP2667791B2 (ja) | 紫サツマイモ色素と食品原料の同時製造方法 | |
JPS5811989B2 (ja) | 魚卵様食品の製造法 | |
JPS61282032A (ja) | 赤キヤベツ色素の退色防止法 | |
JP4406148B2 (ja) | 抗酸化剤及びその製造法 | |
JP4996807B2 (ja) | 色素の安定化剤および色素の安定化方法 | |
KR20200141569A (ko) | 오만둥이 장아찌의 제조 방법 | |
JP5846865B2 (ja) | 濃色モルトエキス、及びその製造方法、並びにモルトエキス由来の、味又は臭いのマスキング剤、及びその製造方法 | |
JPH08231871A (ja) | 青色色素の製造方法 | |
JPH09111140A (ja) | 赤色系着色料 | |
JPS62186763A (ja) | 食品類の染色法 | |
JP2000184868A (ja) | 飲食品用水 | |
JPH0191765A (ja) | 調味料の防腐方法 | |
KR101496887B1 (ko) | 기능성 와인 소금 및 이의 제조 방법 | |
JPS623741A (ja) | 菓子類を赤ないし赤紫色に着色する方法 | |
RU2317299C2 (ru) | Ассоциат, содержащий трегалозу и хлорид кальция, в форме кристаллического моногидрата или безводного кристалла | |
JP4296429B2 (ja) | 耐酸性を有するチコリ色素及びその調製方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070316 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100309 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100518 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100601 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |