JP4523852B2 - 塩基性有機酸金属塩及びその製造方法 - Google Patents
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(1)燃焼・分解時に腐食性のガスを発生させるハロゲンや硫黄を含まない。
(2)合成・精製が容易である。
(3)化学的安定性があり、保存・取扱いが容易である。
(4)有機溶媒又は水等に対して高い溶解度をもつ。
(5)金属含有量が高い。
MXa・kH2O → MXa + kH2O (1)
しかし、実際はそのような簡単な反応ではなく、下記反応式(2)に示すように、結晶水と金属塩の反応(加水分解反応)が併発し、対応する酸と塩基性金属塩が生じる場合多い。金属原子が3価以上の高い形式酸化数をもつときはこの加水分解が起こる傾向が特に著しいことはよく知られていることである。
MXa・kH2O → MX(a−q)(OH)q + qHX + (k-q)H2O (2)
これは、高い形式酸化数をもつ金属イオンに配位した水がその金属イオンの高い電子吸引性のために酸解離(加水分解)する傾向が強いことに基づく。この傾向は2価の金属イオンの塩では小さい。したがって、Cu(II)の酢酸塩が、通常の中性酢酸塩としての他に、塩基性酢酸銅としても存在しうることはむしろ例外的であり、同じ2価の金属であるニッケルNi(II)やコバルトCo(II)の塩ではこの加水分解が起こりにくいと考えられる。例えば、コバルトの場合、無水の酢酸塩は対応する四水塩を140℃に加熱脱水することにより得られるとされており(Merck Index,13th edn., Merck&Co.,Inc.,Whitehouse Station,1997,p.426)、ニッケルやコバルトの塩基性酢酸塩の生成に関してこれまで報告されていなかった。
凝集沈殿物5の元素分析を行ったところ、これに含まれる炭素C、水素H、ニッケルNiの組成割合がそれぞれ、23.09、3.37、36.14(%)として実測された。この元素分析実測データから、凝集沈殿物5の組成はニッケル金属元素と有機酸基(CH3COO)を含む塩基性酢酸金属塩(CH3COO)3Ni2(OH)・nH2O(n=0以上の整数あるいは半整数)であると知見される。この塩基性酢酸金属塩(n=0.5のC6H11Ni2O7.5)の理論上の計算組成を求めたところ、炭素C、水素H、ニッケルNiのそれぞれの組成割合が22.48、3.46、36.62(%)であり、これらは上記実測値に極めて近似していることからも上記知見を確認できた。この塩基性酢酸金属塩の生成は、結晶水として持ち込まれた水と酢酸ニッケルとの反応(加水分解反応)によるものと考えられる。特に、n=0.5とした場合の組成が計算値に近いので、凝集沈殿物5の多くが(CH3COO)3Ni2(OH)・0.5H2Oであるが、(CH3COO)3Ni2(OH)、(CH3COO)3Ni2(OH)・H2O、(CH3COO)3Ni2(OH)・2H2O等が混在しているものと推定される。
酢酸ニッケルの4水塩は、例えばエキネンに対する溶解度は比較的高く、沸点下においてはエキネン溶媒200mlに対して酢酸ニッケルの4水塩は約70g以上溶解する。一方、本実施形態による塩基性酢酸金属塩は反応温度(70℃以上)において定量的に生成されるが、これはエキネン溶媒に対してほとんど溶解しないことも確認した。したがって、生成物収量は定量的であり、生成後も温度低下による溶解度差により生成物や原料等が新たに結晶析出することはないので、生成粉体の純度や粒径が冷却後も十分に維持され、また生成再現性もよく、多量生産に適した塩基性酢酸金属塩の製造方法を提供できる。
図2は上記の製造方法により得られた微粉体の粒径測定グラフである。横軸の粒径(μm)に対して縦軸はその分布頻度(%)を示す。このグラフから微粉体の平均粒径は540±13nmであり、粉体が微小な粒子が揃った状態からなることが分かる。なお、上記平均粒径の分布にある塩基性酢酸ニッケル塩の微粉体を後述の図4、図5に示すように、窒素中400℃以上で焼成すると、平均粒径が約200nmのニッケル金属粒子になる。
以上のように、本実施形態にかかる塩基性酢酸金属塩の製造方法によれば、加水分解反応が約2時間以内に終了し、三酢酸ニニッケル塩(CH3COO)3Ni2(OH)・nH2Oあるいは五酢酸三ニッケル塩(CH3COO)5Ni3(OH)・nH2Oの生成金属塩の収率はほぼ定量的である。これは、塩基性酢酸塩のアルコール類に対する溶解度が非常に小さいことによる。また、原料が完全に溶解して均一溶液となってから反応生成物が沈殿するので、微粉体が得られるだけでなく、その粉体粒子の粒径が揃っており、ほぼ単分散粒子となっている。
(1)生成物である塩基性酢酸塩はその組成の如何にかかわらず、メタノールを含むアルコール類に対する溶解度は非常に低く(例えば、エキネンに対して70℃で100ppm以下である)、生成物をほぼ定量的に単離できる。
(2)水にはすぐには溶解しないが、時間がたつと酢酸ニッケルに相当する緑色の溶液と水酸化物特有の透明糊状物質(コロイド)との混合物になる。
(3)図8及び図10に示したように、生成物である三酢酸ニニッケル塩及び五酢酸三ニッケル塩は結晶性を具備し、回折ピークの半値幅から、その結晶子サイズは約60nmであると推定される。
(4)図2及び図12に示したように、粉体の粒径はサブミクロンオーダーであり、粒径もよく揃っている。エキネンに混在するオクタアセチル蔗糖は粒径及びその分布に大きくは影響しない。また、加熱時間、特に白濁し始めてから加熱終了までの時間が長いと粒径が増大する傾向がある(1時間加熱で平均粒径0.6μm、一方2時間加熱で平均粒径0.8〜0.9μm)。
(5)図3及び図11に示したように、空気中において、350〜380℃の温度で分解し、酸化ニッケルを生じる。純窒素中あるいは少量の水素を含む窒素中においては金属ニッケル微紛体(粒径約0.2μm)となる。
導電性ペーストは、酢酸ニッケル塩の微粉体と、有機溶剤及び/又は粘度調整用の有機樹脂とを均一に混練することにより精製される。もちろん、オクチル酸ニッケル等のレジネート、金属粉又はレジネートと金属粉体との混合体を本実施形態の導電性ペーストと併用してもよい。
図7は酢酸ニッケル塩微粉体を含む導電性ペーストによる塗膜を焼成して形成された電極膜の厚みを、サーフコム(登録商標)社の表面粗さ計を用いて計測したろ波うねり曲線を示す。このろ波うねり曲線から、所定間隔をおいて塗膜形成した3個の電極膜71〜73は略一定の厚みを形成していることが分かる。つまり、本発明の製造方法により製造された酢酸ニッケル塩微粉体の粒径分布が均一化されているため、それを導電性ペーストに使用することにより、電極膜の均一化を実現することができる。なお、本発明が対象とするセラミックス電子部品には、セラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子又はセラミックスアクチュエータなどがある。
(1)水と接触すると水酸化コバルト特有の青色の固体を生じる。
(2)空気中で加熱すると、四酸化コバルトを生じる。
(3)結晶性を具備し、その結晶子サイズは約50nmであると推定される。
(4)図14は塩基性酢酸コバルト塩の微粉体を試料として空気中で測定した熱重量示差熱分析(TG・DTA)のサーモグラムを示す。測定では試料(CH3COO)3Co2(OH)・0.5H2O)を熱的に変化させたときのCo3O4の重量割合(%)の変化を測定した。これは、化合物を酸化するとCo3O4が発生することに基づく。このDTA測定によれば、310℃付近で一気に含有有機物が焼失し、約47.6重量%のCo3O4が残留することが分かる。したがって、空気中において、約300℃の温度で分解し、酸化コバルトを生じる。
(5)図15は塩基性酢酸コバルト塩の微粉体の粒径測定グラフである。このグラフから微粉体の平均粒径は1〜2μmであり、粒径分布が比較的広い。これは原料の溶解と生成物の析出が分離できないこと、つまり酢酸コバルト塩が低温で容易に加水分解されることによる。
2 混合溶液
3 恒温槽
4 シリコーンオイル
5 凝集沈殿物
6 1次粒子
71 電極膜
72 電極膜
73 電極膜
Claims (8)
- ニッケル又はコバルトからなる金属元素Mと酢酸基CH 3 COOを含み、組成式が(CH 3 COO)xMy(OH)・nH2O(x=3又は5、y=(x+1)/2、n=0以上の整数または半整数)であることを特徴とする塩基性有機酸金属塩。
- 前記組成式が(CH3COO)3Ni2(OH)・nH2Oあるいは(CH3COO)5Ni3(OH)・nH2Oであり、前記組成比nがn=0〜2.5の整数または半整数である請求項1に記載の塩基性有機酸金属塩。
- 前記組成式が(CH3COO)3Co2(OH)・nH2Oであり、前記組成比nがn=0〜2.5の整数または半整数である請求項1に記載の塩基性有機酸金属塩。
- 含水有機酸金属塩を親水性有機溶媒と混合して、室温またはそれ以上の温度で前記含水有機酸金属塩を自発的に加水分解させ、その溶媒に難溶な塩基性有機酸金属塩を沈殿物として生成させて製造する塩基性有機酸金属塩製造方法であり、前記含水有機酸金属塩が酢酸ニッケルの4水塩(CH 3 COO) 2 Ni・4H 2 O又は酢酸コバルトの4水塩(CH 3 COO) 2 Co・4H 2 Oであり、前記親水性有機溶媒が前記含水有機酸金属塩を溶解する性質を備えたアルコール溶媒であることを特徴とする塩基性有機酸金属塩製造方法。
- 前記沈殿物の生成後、その沈殿物を粉体化処理して塩基性有機酸金属塩の粉体を製造する請求項4に記載の塩基性有機酸金属塩製造方法。
- 前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CH3COO)3Ni2(OH)・nH2Oあるいは(CH3COO)5Ni3(OH)・nH2Oであり、前記組成比nがn=0〜2.5の整数または半整数である請求項4又は5に記載の塩基性有機酸金属塩粉体製造方法。
- 前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CH3COO)3Co2(OH)・nH2Oであり、前記組成比nがn=0〜2.5の整数または半整数である請求項4又は5に記載の塩基性有機酸金属塩粉体製造方法。
- 前記沈殿物の生成を室温から前記親水性有機溶媒の沸点近傍あるいは前記沸点を越える温度において行う請求項4〜7のいずれかに記載の有機酸金属塩製造方法。
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