JP2007238979A - 金属粉体、その製造方法及び導体用ペースト - Google Patents

金属粉体、その製造方法及び導体用ペースト Download PDF

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康隆 高橋
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啓祐 塩野
Akio Harada
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Abstract

【目的】本発明は、生成が容易であり、均一で微小な導体用材料として好適な金属粉体を提供することを目的とする。
【構成】本発明の第1の実施形態は、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)である塩基性有機酸金属塩から生成される金属粉体であり、第2の実施形態は、前記塩基性有機酸金属塩と有機金属化合物との混合物から生成される金属粉体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属粉体及びその製造方法に関し、更に詳細には、新規物質である塩基性有機酸金属塩から生成される金属粉体及び前記塩基性有機酸金属塩から金属粉体を製造する金属粉体製造方法に関する。
例えば、積層型のセラミックス電子部品は、複数のセラミックス層が積層されたセラミックス素体(焼成前はグリーンシートと呼ばれる)と、セラミックス素体の両端面に形成された外部電極とからなる。また、内部電極を備える積層セラミックコンデンサ等のセラミックス電子部品にあっては、両端縁がセラミックス層の何れかの端面に露出するようにセラミックス層間に形成された複数の内部電極を備え、外部電極は内部電極の露出した端縁を介して内部電極と電気的に接続されている。
上記セラミックス電子部品の電極形成に導電性ペーストが用いられる。この導電性ペーストは、例えばAg、Ag/Pd等からなる導電性金属微粉末と、金属微粉末を分散させるための有機溶剤や粘度調整用の樹脂成分からなる。例えば、導電性ペーストを用いて外部電極を形成する場合、セラミックス素体の端面にペースト材を浸漬塗布して乾燥させ焼成することにより電極が形成される。
金属電極膜のパターン形成等に用いられる導電性ペースト材には上記のように、金属微粉体を分散したものが一般的に利用されている。特に、近年のセラミックス電子部品の小型化に応じて電極膜の薄膜化や微細化パターンが要求され、金属微粉体の粒径もナノオーダーのものも必要とされてきている。
更に、単分散化処理により凝集物のない金属粉体を製造するには製造コストが増大する。そこで、特許文献1等に示されるように、微細金属粉の代わりに、金属有機化合物の溶液(金属レジネートと呼ばれる)が用いられている。これは、金属レジネートを分子オーダーで金属原子又はイオンが均一に分散した金属分散液(金属分散ゾル)とみなすことができ、また実際にペーストの代わりに利用できるからである。
特開平8−169788
導体用ペーストに応用される金属レジネートの金属有機化合物には一般的に次のような条件を満たすものが好ましい。
(1)燃焼・分解時に腐食性のガスを発生させるハロゲンや硫黄を含まない。
(2)合成・精製が容易である。
(3)化学的安定性があり、保存・取扱いが容易である。
(4)有機溶媒又は水等に対して高い溶解度をもつ。
(5)金属含有量が高い。
上記の条件をいくつか満たすものとして、市販の金属有機化合物の中ではオクチル酸金属塩等がある。しかし、例えばオクチル酸ニッケル塩の場合、その分子は分子量の大きい2つの有機配位子を含むため、分子中の金属含量は元々高くない。また、オクチル酸金属塩は通常低融点で、時として飴状の粘稠固体物であるから、ハンドリング性も煩雑となる。このため、オクチル酸で希釈した希薄溶液として製造現場等に提供されるのが一般的であるが、そのような希釈溶液化処理によっても金属含量がさらに低下することになる。したがって、市販の金属塩では、導電性ペーストの出発材料として重要な金属含有量条件を満たさず、金属含有量が少ないといった問題があった。また、オクチル酸で希釈した溶液から真空でオクチル酸を完全に除き、取扱いやすい粉末状に加工することは一般には困難であった。
一方、種々の固体金属有機化合物塩は数多くあり、中には金属含量の高いものも存在する。しかし、これらはほとんどがペースト製造に適した有機溶媒には難溶であり、したがってそれらを利用するときには固体状態、すなわち粉体として利用しなければならない。しかし、そのときは当然ながらの微粉体として分散処理する必要がある。導体用ペーストには、最近の電子部品の多様化に応じて種々の異なるペースト物性を備えたものが要求されている。ペースト物性の中では含有金属成分の粒径が重要である。しかし、その原料物質となる上記のような市販の金属塩から生成される金属粉末は、粒径の制御が困難であると共に、粒子が強固に凝集しており、単分散化処理を行う必要があった。更に、平均粒径は1μm以上となり、また粒径分布も広いものであった。従って、従来の金属粉体をサブマイクロメートル以下の微細な導体部材に用いる場合、前記単分散化処理と共に、所望の平均粒径に制御するために高度な分球処理を行う必要があった。その結果、従来の金属粉体から微細な導体部材を製造する場合、原料コストを増大させていた。
従って、本発明は、上記の課題に鑑み、生成が容易であり、均一で微小かつ高純度な金属粉体及び微細な導体部材を形成することができる導体用ペーストを提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)である塩基性有機酸金属塩を原料物質とし、この原料物質から生成される金属粉体である。
本発明の第2の形態は、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)である塩基性有機酸金属と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物を原料物質とし、この原料物質から生成される金属粉体である。
本発明の第3の形態は、第1又は2の形態において、前記原料物質を焼成して生成される金属粉体である。
本発明の第4の形態は、第3の形態において、前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成して生成される金属粉体である。
本発明の第5の形態は、第4の形態において、前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、この還元性雰囲気下で前記塩基性有機酸金属塩を焼成して生成される金属粉体である。
本発明の第6の形態は、第1〜5のいずれかの形態において、前記塩基性有機酸金属塩に含まれる金属元素Mが卑金属元素であり、この塩基性有機酸金属塩を含む原料物質から生成される金属粉体である。
本発明の第7の形態は、第6の形態において、前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、前記原料物質から生成され、Ni粉体、Ni合金粉体又はNi混合粉体からなる金属粉体である。
本発明の第8の形態は、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩からなる原料物質を焼成して金属粉体を製造する金属粉体製造方法である。
本発明の第9の形態は、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物からなる原料物質を焼成し、金属混合体及び/又は合金粉体からなる金属粉体を製造する金属粉体製造方法である。
本発明の第10の形態は、第8又は9の形態において、前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成する金属粉体製造方法である。
本発明の第11の形態は、第10の形態において、前記非酸化性雰囲気を形成する非酸化性ガスを流通させながら前記原料物質を焼成する金属粉体製造方法である。
本発明の第12の形態は、第12又は13の形態において、前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、還元性雰囲気下で前記原料物質を焼成する金属粉体製造方法である。
本発明の第13の形態は、第8〜12のいずれかの形態において、前記原料物質の焼成温度が400℃から金属元素のバルク融点未満の範囲である金属粉体製造方法。
本発明の第14の形態は、第8〜13のいずれかの形態において、前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、前記原料物質からNi粉体、Ni合金粉体又はNi混合粉体を生成する金属粉体製造方法。
本発明の第15の形態は、第8〜14のいずれかの形態において、前記原料物質が固体物質であり、この固体物質から金属粉体を生成する金属粉体製造方法である。
本発明の第16の形態は、第8〜15のいずれかの形態において、前記原料物質が液体物質であり、この液体物質から金属粉体を生成する金属粉体製造方法である。
本発明の第17の形態は、第1〜7のいずれかの形態の金属粉体とこの金属粉体の溶剤及び/又は粘度調整用の樹脂を少なくとも含有する導体用ペーストである。
本発明の第18の形態は、第17の形態において、前記金属粉体が30重量部〜90重量部、前記溶剤が30〜60重量部、前記樹脂が0.5重量部〜10重量部配合される導体用ペーストである。
本発明の第1の形態によれば、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される新規物質の塩基性有機酸金属塩から生成され、微小な粒径を有する金属粉体を提供することができる。この金属粉体を金属粉体材料として用いれば、微小又は微細な導体部材を製造することができる。本発明に係る塩基性有機酸金属塩は、導体用ペーストの原料物質として好適な高金属含有率の物質を探求する過程において発見された新規物質である。本発明者らは、次のような方法により、前記塩基性有機酸金属塩を生成することに初めて成功している。まず含水有機酸金属塩を親水性有機溶媒(アルコール類など)と混合し、室温あるいは加熱状態で攪拌する。このとき、原料に含まれていた水(結晶水)により、有機酸金属が反応(加水分解)して塩基性有機酸金属塩が生成される。この塩基性有機酸金属塩は、アルコールに難溶であるため沈殿物として分離堆積される。前記塩基性有機酸金属塩は金属含有量が多く、この塩基性有機酸金属塩から高効率に金属粉体を生成することができる。また、上述のように、本発明に係る金属粉体の原料物質である前記塩基性有機酸金属塩は、含水有機酸金属塩を親水性有機溶媒に混合し、加熱するだけで簡易に製造することができるから、微小な平均粒径を有し、均一な金属粉体を低コストで多量に生成することができる。従って、本発明に係る金属粉体を電極や配線などの微細な導体部材用材料として用いれば、前記導体部材の製造コストを大幅に低減化することができる。
更に、原料の含水有機酸金属塩には親水性有機溶媒のみが混合されるだけであるので、一連の製造工程を通じて、不純物の混入が起きないため極めて高純度の塩基性有機酸金属塩が得られる。従って、この塩基性有機酸金属塩から前記有機酸基、水酸基及び結晶水を除去することにより、高純度の金属粉体を生成することができ、この金属粉体を導体用材料として用いれば、極めて信頼性の高い導体部材を製造することができる。換言すれば、本発明に係る金属粉体が高純度であることにより、設計時に設定された所望の電気伝導度を有する導体部材を製造することができる。更に、本発明に係る原料物質としては、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩、パラトイル酸塩、n−デカン酸塩、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート等のうち、有機配位子を備える有機金属レジネートを原料として合成される塩基性有機酸金属塩を用いても良い。
前記塩基性有機酸金属塩に含まれる金属元素Mが貴金属元素(Au、Ag、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru)である場合、塩基性有機酸金属塩から生成される金属粉体は貴金属粉体であり、この粉体を導体部材用貴金属材料として用いることができる。貴金属粉体は、安定で良好な導電性を有しており、電子部品等の導体用材料として好適な原料である。前記貴金属元素を含む塩基性有機酸金属塩を出発材料として用いれば、高純度で均一な貴金属粉体を生成することができ、平滑で均一な極めて薄い貴金属電極膜等を形成することができる。
本発明に係る金属粉体の出発材料としては、前記塩基性有機酸金属塩の固体物質又は溶液物質を用いることができる。前記固体物質の出発材料として、例えば、前記沈殿物をろ過や遠心分離によって分取して乾燥させることにより、塩基性有機酸金属塩が凝集して形成される凝集粉体を得ることができる。また、前記溶液物質の出発材料としては、溶媒中に前記塩基性有機酸金属塩が分散又は溶解する金属塩溶液を用いることができる。また、前記塩基性有機酸金属塩をこの塩基性有機酸金属塩が分離堆積した前記親水性有機溶媒に分散させ、溶液物質として用いても良い。
本発明の第2の形態によれば、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される新規物質の塩基性有機酸金属塩と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物から生成され、微小な粒径を有する合金粉体又は金属混合粉体からなる金属粉体を提供することができる。前記混合物を焼成して合金粉体又は金属混合粉体を生成するから、不純物の含有量が少ない高純度の合金粉体材料又は金属混合粉体材料として用いることができる。前記有機金属化合物としては、所望の金属元素を含有する有機金属化合物を選択することができ、好ましくは、前記金属元素Mを除く卑金属元素(Ni、Co、Cuなど)又は貴金属元素(Au、Ag、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru)を含有する有機金属錯体が用いられる。前記有機金属錯体と塩基性有機酸金属塩を混合することにより、夫々の有機物を比較的簡易に除去することができ、合金粉体又は金属混合粉体からなる金属粉体を低コストで提供することができる。
本発明の第3の形態によれば、前記原料物質を焼成して金属粉体を生成するから、前記塩基性有機酸金属塩からより確実で簡易に金属粉体を生成することができ、この金属粉体を導体用材料として用いることができる。化学反応等により前記塩基性有機酸金属塩を分解して金属粉体を生成する場合、金属粉体中に多量の副生成物が残留する惧れがあった。第3の形態によれば、焼成により前記原料物質から高効率に含有有機物や水酸基及び結晶水を除去することができ、より高純度の金属粉体を得ることができる。更に、前記原料物質を焼成することによって、前記塩基性有機酸金属塩分子に含まれる金属元素が凝集して均一な金属微結晶を形成し、粒径分布が狭く結晶性の良い高純度な金属粉体を生成することができる。従って、均一で微細な金属微結晶粒子からなる金属粉体を導体用材料として用いることにより、均一な導体部材を製造することができる。導体部材が電極膜である場合、より薄くて平滑な電極膜を電子部品等に成膜することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成して金属粉体を生成するから前記金属粉体の酸化が防止され、金属酸化物を殆ど含まない高純度な金属粉体材料として用いることができる。例えば、Ni元素を含む塩基性有機酸金属塩((CHCOO)Ni(OH)・0.5HO)を空気中で焼成した場合、(CHCOO)Ni(OH)+O→NiO+CO+HOにより、酸化ニッケルが生成される。前記非酸化性雰囲気は、還元性ガス、不活性ガス又はこれらの混合ガスから形成されるから、前記原料物質に含まれる金属元素と酸素が結合して金属酸化物が生成されることを防止することができる。従って、この形態の金属粉体を導体用材料として用いることにより、良好な導電性を有する導体部材を製造することができる。
本発明の第5の形態によれば、前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、還元性雰囲気下で前記原料物質を焼成するから、金属酸化物を殆ど含まないより高純度な金属粉体材料として用いることができる。前記非酸化性雰囲気を還元性ガスから形成することにより、前記原料物質に含まれる金属元素と酸素が結合して金属酸化物が生成されることをより確実に防止することができる。前記還元性ガスは、熱分解により塩基性有機酸金属塩に含まれる酸素と結合し、金属元素が酸化されることを高効率に抑制することができる。
本発明の第6の形態によれば、前記塩基性有機酸金属塩に含まれる金属元素Mが卑金属元素であり、前記原料物質から生成される金属粉体が卑金属粉体、卑金属合金粉体又は卑金属混合粉体であるから、高純度で均一な卑金属粉体材料として利用することができる。前記原料物質から生成される卑金属粉体は、均一で微細な卑金属粒子及び/又はその2次粒子から形成されており、この卑金属粒子は結晶性も良く、好適な導体用材料として用いることができる。この卑金属粉体を用いて卑金属電極膜を形成すれば、平滑で好適な導電性を有する導電膜を形成することができる。従って、貴金属に比べ安価な卑金属粉体からなる電極膜や配線などの導体部材を形成することができ、この導体部材から構成される電子部品の製造コストを大幅に低減することができる。また、前記卑金属は、貴金属に比べ価格が安定しており、卑金属粉体からなる導体用材料などを安定供給することができる。含有される卑金属元素としては、導体材料によく用いられるNi、Co、Cuなどを用いることができ、例えば、Co粉体を製造する場合、組成式が(CHCOO)Co(OH)・nHOで表される塩基性有機酸金属塩などを用いることができる。
本発明の第7の形態によれば、前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、Ni粉体からなる金属粉体を提供することができる。このNi粉体は、均一な粒径を有すると共にサブミクロンオーダー以下の微小な平均粒径を有し、前記Ni粉体を導体用材料として用いれば、極めて薄い又は微細化されたNi電極膜等を形成することができる。前述のように、従来、Niを含む導体用材料には、オクチル酸ニッケル塩の溶液からなるNiレジネートが用いられていたが、Ni含有量が低く、好適な導体用材料とは云えなかった。更に、本発明に係るNi粉体は、卑金属からなる好適な導体用材料であると共に、Niは貴金属に比べ安価で価格が安定しており、低コストでNi粉体からなる導体用材料を安定供給することができる。
本発明の第8の形態によれば、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩を非酸化性雰囲気下で焼成するから、均一で高純度の金属粉体を提供することができる。前述のように、前記塩基性有機酸金属塩は、導体用材料として好適な高金属含有率を有する金属化合物(金属塩)を探求する過程において発見された新規物質であり、含水有機酸金属塩を親水性有機溶媒に混合して加熱するだけで簡易に製造することができる。この塩基性有機酸金属塩は、金属含有量が多く、焼成することにより金属酸化物の生成が防止され、高純度で均一な金属粉体を多量に生成することができ、本発明に係る金属粉体を低コストで提供することができる。従って、結晶性が良く微細な金属微結晶からなる金属粉体を提供することができ、この金属粉体を導体用材料として用いることにより、均一で好適な導電性を有する導体部材を製造することができる。
本発明の第9の形態によれば、金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物からなる原料物質を焼成し、金属混合体及び/又は合金粉体からなる金属粉体を提供することができる。前記有機金属化合物としては、所望の金属元素を含有する有機金属化合物を選択することができ、好ましくは、前記金属元素Mを除く卑金属元素(Ni、Co、Cuなど)又は貴金属元素(Au、Ag、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru)を含有する有機金属錯体が用いられる。従って、所望の金属を組み合わせ、微小な平均粒径を有する合金粉体や金属混合粉体を製造することができる。
本発明の第10の形態によれば、前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成して金属粉体を生成するから、前記金属粉体の酸化が防止され、金属酸化物を殆ど含まない高純度な金属粉体材料として用いることができる。例えば、Ni元素を含む塩基性有機酸金属塩((CHCOO)Ni(OH)・0.5HO)を空気中で焼成した場合、(CHCOO)Ni(OH)+O→NiO+CO+HOにより、酸化ニッケルが生成される。前記非酸化性雰囲気は、還元性ガス、不活性ガス又はこれらの混合ガスから形成されるから、前記原料物質に含まれる金属元素と酸素が結合して金属酸化物が生成されることを防止することができる。従って、この形態の金属粉体を導体用材料として用いることにより、良好な導電性を有する導体部材を製造することができる。
本発明の第11の形態によれば、前記非酸化性雰囲気を形成する非酸化性ガスを流通させながら前記原料物質を焼成するから、焼成時に発生する副生成物(炭化ガス、水蒸気など)が排出されると同時に、新たな非酸化性ガスが供給され、高純度の金属粉体を提供することができる。前記非酸化ガスは、窒素ガスなどの安価な不活性ガス又はこの不活性ガスに還元性ガスを混合した還元性混合ガスを流通させることができ、より高純度な金属粉体を低コストで提供することができる。
本発明の第12の形態によれば、前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、この還元性雰囲気下で前記原料物質を焼成するから、高純度の金属粉体を提供することができる。前記前記塩基性有機酸金属塩が熱分解されると、金属元素Mは酸素と結合して金属酸化物が生成される惧れがあった。しかし、前記還元性雰囲気下で焼成されることにより、金属酸化物の生成をより確実に防止することができる。即ち、前記還元性ガスは、酸素と結合して水分子を形成し、水蒸気として排出され、金属元素の酸化が防止される。
本発明の第13の形態によれば、前記原料物質の焼成温度が400℃から金属元素のバルク融点未満の範囲に設定されるから、前記原料物質に含まれる有機物を確実に除去できると共に、微小な平均粒径を有する金属粉体を提供することができる。焼成温度が400℃以上になると、前記有機酸基を形成する有機成分Aを確実に除去することができる。更に、前記焼成温度を前記金属元素のバルク融点未満に設定することにより、金属元素から形成される金属粒子の成長を抑制することができる。
本発明の第14の形態によれば、前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、前記原料物質から生成される高純度のNi粉体を提供することができる。このNi粉体は、均一な粒径を有すると共にサブミクロンオーダー以下の微小な平均粒径を有し、前記Ni粉体を導体用材料として用いれば、極めて薄い又は微細化されたNi電極膜等を形成することができる。更に、Niは貴金属に比べ安価で価格が安定しているから、Ni粉体からなる導体用材料を低コストで安定供給することができる。
本発明の第15の形態によれば、前記原料物質が固体物質であり、この固体物質から金属粉体を生成するから、粉体状の塩基性有機酸金属塩又はこの粉体を分散させた気体もしくは液体中の塩基性有機酸金属塩から金属粉体を生成することができる。前記塩基性有機酸金属塩やこの塩基性有機酸金属塩に混合する有機金属化合物の特性に応じて原料物質の状態を選択し、本発明に係る金属粉体を生成することができる。
本発明の第16の形態によれば、前記塩基性有機酸金属塩が液体物質であり、この液体物質から金属粉体を生成することができる。前記塩基性有機酸金属塩を溶媒中に溶解させ、この溶液を塩基性有機酸金属塩の前駆物質として用いることができ、焼成前段の昇温過程において塩基性有機酸金属塩を析出させ、この析出物を焼成することにより金属粉体を生成することができる。
本発明の第17の形態によれば、第1〜7のいずれかの形態の金属粉体とこの金属粉体の溶剤及び/又は粘度調整用の樹脂を少なくとも含有する導体用ペーストを用いて平滑で均一な電極膜や配線を形成することができる。本発明に係る導体用ペーストを用いて、回路基板や積層セラミックスコンデンサ、圧電素子、インダクタの内部電極を形成することにより、これらの電子部品の信頼性を格段に向上させることができる。更に、本発明に係る導体用ペーストには、共材としてセラミックなどの酸化物を配合して、他の部材との馴染性の向上させたり、前記導体部材に所定の抵抗値や体積を付与することができる。前記樹脂には公知の各種樹脂が利用でき、例えば、フェノール樹脂・メラミン樹脂・アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂、フェノキシ樹脂・アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの硬化剤硬化性樹脂などが焼成温度に応じて利用できる。また、前記溶剤としては、金属粉体を分散させるペースト調製用の公知の溶剤が利用できる。例えば、脂肪族アルコール、アルコールエステル、カルビトール系溶媒、セロソルブ系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒などが利用できる。
本発明の第18の形態によれば、前記金属粉体が30重量部〜90重量部、前記溶剤が30〜60重量部、前記樹脂が0.5重量部〜10重量部配合されるから、好適な粘度を有する導体用ペーストを提供することができ、種々の基板材料に電極膜や配線などを形成することができる。金属粉体が30重量部未満になると好適な導電性を導体部材に好適な導電性を付与することが困難となり、金属粉体が90重量部を超えると、導体用ペーストに好適な粘度を付与することが困難となる。また、溶剤が30重量部未満になると金属粉体の分散が不均一となり、溶剤が85重量部より多くなると金属濃度が希薄になり、好適な導電性が得られなくなる。更に、前記樹脂が0.5重量部未満になると、導体用ペーストに好適な粘度を付与することが困難となり、前記樹脂が10重量部を超えると、過剰な粘度が付与され、導体用ペーストの均一に塗布することが困難になる。
以下に、本発明に係る電磁超音波探触子の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る金属粉体の出発材料である塩基性有機酸金属塩の製造装置の概略構成図である。この実施例では、Ni粉体を生成する塩基性有機酸金属塩の製造方法を示して、前記製造装置の構成を簡単に説明する。前記塩基性有機酸金属塩の原料は、酢酸ニッケルの4水塩(CHCOO)Ni・4HOを使用する。この4水塩を原料槽2内にエタノール(親水性有機溶媒)と共に投入して、懸濁させることにより混合する。前記酢酸ニッケルの4水塩は、エタノールに対して可溶性を有し、この実施例で用いられる有機溶媒は、エキネン(日本アルコール販売株式会社製F−1:10%イソプロパノール及び0.1%のオクタアセチル化蔗糖により変性した変性アルコール)が用いられる。前記有機溶媒として用いられるアルコール類は、エタノールに限定されるものではなく、2−プロパノール、n−及びi−ブタノール等のアルコール溶媒を使用しることができる。更に、前記アルコール溶媒に限らず、4水塩の有機配位子化合物と煩雑な化学反応を起こさない種々の有機溶媒が用いても良い。4水塩とエタノール(エキネン)との混合溶液4を収容した原料槽2はシリコーンオイル8による恒温槽6に浸漬される。原料槽2内に作製された混合溶液4は恒温槽6より加熱され、エタノール混合処理と加熱処理を同じ原料槽2で行うことにより無水金属塩の精製工程を簡素化することができる。
更に、前記塩基性酢酸金属塩の製造装置を用いて徐熱法により塩基性酢酸金属塩を合成する実施例の1つを説明する。この実施例では、40.5gの酢酸ニッケル4水塩と200mlのエキネンの混合溶液2を作製して原料槽1内に収容し、加熱しながら攪拌した。恒温槽6の加温装置(図示せず)により槽内の収容シリコーンオイル8の浴温が約65℃であるとき、酢酸ニッケルは完全に溶解して緑色の透明溶液になる。さらに加熱を続け浴温が75℃になったとき、溶液が濁り始める。数分後(浴温約78℃)には、溶液全体が白濁すると同時にゲル状になるが、さらに攪拌することによりスラリー状に変化する。前記シリコーンオイル8の温度をエタノールの沸点(約78.3℃)より高く設定し、溶媒の沸騰下(80℃以上)でさらに攪拌を続けると沈殿量が増加する。前記溶媒の沸騰状態下では、前記混合溶液2中における加水分解反応が進行し、塩基性酢酸塩(CHCOO)Ni(OH)又は(CHCOO)Ni(OH)・nHO等からなる1次粒子12が溶液全体にわたって分散形成されながら、1次粒子12同士が凝集し、2次粒子の塩基性酢酸塩からなる凝集沈殿物10が生成される。
室温に冷却した後、原料槽1内の懸濁液を遠心分離機(図示せず)に投入し、沈殿物を遠心分離する。この遠心分離により得られた凝集沈殿物を室温で乾燥させた後、恒温槽(図示せず)内で約110℃以上の温度で乾燥させる。乾燥後の粉体の大部分は、元素分析から三酢酸二ニッケル塩(CHCOO)Ni(OH)・0.5HOであることが確認されており、その収量は26.1gであった。乾燥後、凝集沈殿物を粉砕処理することにより、塩基性酢酸ニッケル塩の凝集粉体を製造することができる。また、図1の塩基性有機酸金属塩の製造装置を用いることにより製造される金属粉体の出発物質は、塩基性酢酸ニッケル塩に限定されるものではなく、最終的に生成される金属粉体に応じて、塩基性有機酸金属塩の原料を選択することができる。例えば、Co粉体を生成する場合、塩基性有機酸金属塩の原料となる含水有機酸金属塩として、酢酸コバルトの4水塩(CHCOO)Co・4HOを用いることができる。
図2は、本発明に係る塩基性酢酸ニッケル塩から生成されたNi粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。(2A)〜(2D)は、還元性雰囲気下において、夫々400℃、600℃、800℃、1000℃の焼成温度で前記塩基性酢酸ニッケル塩を2時間焼成して生成されたNi粉体のSEM像である。前記塩基性酢酸ニッケル塩の焼成に用いられた雰囲気炉は、金属製の管状炉と、セラミックス製の断熱材及び発熱用の金属線から構成される。前記管状炉内には、外部ボンベから還元性ガスが250sccmで供給され、この還元性ガスを流通させながら焼成が行われる。図2に示したNi粉体は、還元性ガスとして水素ガスを3%含む窒素ガスからなる混合ガス雰囲気下で焼成が行われている。前記塩基性酢酸ニッケル塩から発生する副生成ガスは、流通する還元性ガスの排気に伴って炉外へ排出される。また、焼成に用いられた雰囲気炉では、1時間当たり100℃程度温度が上昇するように設定されており、残留する溶媒成分は昇温過程において除去される。
前記塩基性酢酸ニッケル塩の場合、後述するように、約370℃以上で焼成することにより、塩基性酢酸ニッケル塩から含有有機物が焼失することが確かめられている。更に、前記塩基性酢酸ニッケル塩は、400℃以上で焼成することにより略完全に熱分解されて含有有機物が焼失される。一般的に、有機金属化合物等に含有される有機物は、400℃以上で略完全に焼失される。また、Niのバルク融点は1450℃であり、前記焼成温度が1450℃以上となるとNiは液相状態となり、焼成後に冷却過程において微細なNi粒子の形成が困難になる。従って、均一で微細なNi粉体を生成するためには、前記焼成温度を370℃〜金属元素のバルク融点未満に設定することが好ましく、400℃〜前記バルク融点未満に設定することがより好ましい。更に、焼成後に生成される金属粉体は、粒子同士が凝集して凝集粉体を形成されているため、この凝集粉体を粉砕処理し、目開き10μmのふるいに掛け、大きな粒子や分球されていない粉体成分を除去している。このような処理を施すことにより、図2の(2A)〜(2D)に示すように、焼成温度が400℃〜1000℃の場合、均一な粒子径を有する金属粉体が得られている。
図3は、本発明に係るNi粉体の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。TEMにより観察されたNi粉体は、焼成温度を400℃に設定し、塩基性酢酸ニッケル塩を2時間、還元性雰囲気下で焼成して生成された凝集粉体を粉砕し、目開き10μmのふるいに掛けてものである。即ち、図2の(2A)に示したNi粉体と同一条件で製造された粉体である。TEMによる観察によりNi粉体の平均粒子径は、約200nmであることが見積もられている。図に示すように、Ni粉体の粒径は、均一性が高く、粒径分布が狭いことが分かる。
次に、前記塩基性酢酸ニッケル塩から生成されたNi粉体に対してX線粉末回折法(XRD)により分析を行った。図4は、本発明に係るNi粉体を試料として求めた、Cu(銅)のKα線照射によるX線回折強度グラフである。横軸の散乱角2θ(θ:Bragg反射角、単位deg)に対する回折強度(任意単位)を縦軸に示す。(4A)は、還元性ガス(窒素:97%、水素:3%)が流通状態にある還元性雰囲気下で前記塩基性酢酸ニッケル塩を400℃で2時間焼成して、生成されたNi粉体のX線回折強度グラフであり、(4B)は、焼成温度を600℃に設定し、その他は同一条件で焼成して生成されたNi粉体のX線回折強度グラフである。(4A)及び(4B)の回折ピークは、Niのバルク結晶に対する回折ピーク位置と一致しており、本発明に係る金属粉体製造方法によりNiの単結晶粒子からなるNi粉体が得られたことを示している。即ち、焼成温度が400℃以上では、単結晶粒子からなる均一で高純度なNi粉体が形成されている。
図5は、本発明に係る導体用ペーストを用いて製造された積層セラミックスコンデンサの断面写真図である。(5A)は、1000℃で焼成された積層セラミックスコンデンサの断面写真図であり、(5B)は、1100℃で焼成された積層セラミックスコンデンサの断面写真図である。この実施例では、Ni粉体を45重量部、粘度調整用の樹脂としてエチルセルローズを1重量部、溶剤としてパピノールを54重量部配合して導体用ペーストが製造されている。この導体用ペーストをセラミック本体15に塗布して焼成することにより、Niが析出して内部電極層14a、14b、14cが形成されている。導体用ペーストに含有されるNi粉体は、塩基性酢酸ニッケル塩から生成された金属粉体であり、約200nmの平均粒径を有し、粒径の揃った均一な金属粉体である。その結果、均一で好適な電気伝導性を有する内部電極が形成されていることが、図に示した積層セラミックスコンデンサを用いて実証されている。
また、導体用ペーストの実施例の1つとして、Ni粉体を45重量部、粘度調整用の樹脂としてエチルセルローズを1重量部、溶剤としてパピノールを44重量部、共材としてチタン酸バリウム(BaTiO:BT−01、堺化学工業社製)10重量部配合して導体用ペーストを製造している。この導体用ペーストを用いた場合においても、好適な積層セラミックスコンデンサを製造できることが確かめられており、セラミック本体との馴染性を向上させることができる。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明に係る金属粉体は、前記塩基性有機酸金属塩から高効率に生成される均一で微小な金属粒子から形成され、この金属粉体を導体用材料として用いることにより、均一で好適な導電性を有する導体部材を製造することができる。更に、本発明に係る金属粉体を含有する導体用ペーストによれば、平滑で均一な電極膜や配線などの導体部材を形成することができると共に、これらの導体部材の微細化や薄膜化を図ることができる。従って、本発明に係る導体用ペーストによれば、高性能でコンパクトな回路基板や積層セラミックコンデンサ、圧電素子、インダクタなどの内部電極を形成することができ、高機能の電子部品を低コストで提供することができる。
本発明に係る金属粉体の出発材料である塩基性有機酸金属塩の製造装置の概略構成図である。 本発明に係る塩基性酢酸ニッケル塩から生成されたNi粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明に係るNi粉体の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 本発明に係るNi粉体を試料として求めた、Cu(銅)のKα線照射によるX線回折強度グラフである。 本発明に係る導体用ペーストを用いて製造された積層セラミックスコンデンサの断面写真図である。
符号の説明
2 原料槽
4 混合溶液
6 恒温槽
8 シリコーンオイル
10 凝集沈殿物
12 1次粒子
14a 内部電極
14b 内部電極
14c 電極
15 セラミック体

Claims (18)

  1. 金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)である塩基性有機酸金属塩を原料物質とし、この原料物質から生成されることを特徴とする金属粉体。
  2. 金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)である塩基性有機酸金属塩と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物を原料物質とし、この原料物質から生成されることを特徴とする金属粉体。
  3. 前記原料物質を焼成して生成される請求項1又は2に記載の金属粉体。
  4. 前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成して生成される請求項3に記載の金属粉体。
  5. 前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、この還元性雰囲気下で前記原料物質を焼成して生成される請求項4に記載の金属粉体。
  6. 前記塩基性有機酸金属塩に含まれる金属元素Mが卑金属元素である請求項1〜5のいずれかに記載の金属粉体。
  7. 前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、前記原料物質から生成される粉体がNi粉体、Ni合金粉体又はNi混合粉体である請求項6に記載の金属粉体。
  8. 金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩からなる原料物質を焼成して金属粉体を製造することを特徴とする金属粉体製造方法。
  9. 金属元素M(形式酸化数 +m)と有機酸基A(イオン価数 −р)を含み、組成式がAxMy(OH)z・nHO(x≧1、z≧1、m×y=p×x+z、n=0以上の整数または半整数)で表される塩基性有機酸金属塩と、他の金属元素(前記金属元素Mを除く)を含有する有機金属化合物との混合物からなる原料物質を焼成し、金属混合体及び/又は合金粉体からなる金属粉体を製造することを特徴とする金属粉体製造方法。
  10. 前記原料物質を非酸化性雰囲気下で焼成する請求項8又は9に記載の金属粉体製造方法。
  11. 前記非酸化性雰囲気を形成する非酸化性ガスを流通させながら前記原料物質を焼成する請求項10に記載の金属粉体製造方法。
  12. 前記非酸化性雰囲気が還元性ガスからなり、還元性雰囲気下で前記原料物質を焼成する請求項10又は11に記載の金属粉体製造方法。
  13. 前記原料物質の焼成温度が400℃から金属元素のバルク融点未満の範囲に設定される請求項8〜12のいずれかに記載の金属粉体製造方法。
  14. 前記塩基性有機酸金属塩の組成式が(CHCOO)Ni(OH)・nHO又は(CHCOO)Ni(OH)・nHOであり、前記原料物質からNi粉体、Ni合金粉体又はNi混合粉体を生成する請求項9〜13のいずれかに記載の金属粉体製造方法。
  15. 前記原料物質が固体物質であり、この固体物質から金属粉体を生成する請求項8〜14のいずれかに記載の金属粉体製造方法。
  16. 前記原料物質が液体物質であり、この液体物質から金属粉体を生成する請求項8〜14のいずれかに記載の金属粉体製造方法。
  17. 請求項1〜7のいずれかに記載の金属粉体とこの金属粉体の溶剤及び/又は粘度調整用の樹脂を少なくとも含有することを特徴とする導体用ペースト。
  18. 前記金属粉体が30重量部〜90重量部、前記溶剤が30〜60重量部、前記樹脂が0.5重量部〜10重量部配合される請求項17に記載の導体用ペースト。
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