JP4523099B2 - 電池電圧検出回路及び電池電圧検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池電圧を検出する電池電圧検出回路及び電池電圧検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
充電可能な電池、あるいは非充電型の電池を電源とする機器では、負荷に電流を供給することにより電池が消耗し電池電圧が低下してくる。電池電圧が低下して機器の動作に不都合が生じるのを防止するために、電池電圧が一定値以下となったことをユーザに知らせ、電池の充電、あるいは電池の交換時期をユーザに知らせるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、従来は、電圧検出回路で電池電圧を検出し、電池電圧が所定の電圧以下となったならバッテリアラームを報知するようにしていた。電池の電圧は周囲温度により変化し、周囲温度が低いときには、電池の残容量が十分あっても電池電圧が低なる。従って、特定のバッテリアラーム電圧を基準としてバッテリアラームを報知するようにすると、電池の容量が残っているにもかかわらず、低温時にバッテリアラームが報知されてしまうという問題点があった。
【0004】
また、一時的に負荷が増大して通常より大きな電流が流れる場合があるが、このような場合、電池の内部抵抗、保護回路のオン抵抗、ヒューズ等の過電流保護素子の抵抗、端子部の接触抵抗等により電池の出力電圧が低下し、その結果、バッテリアラームが報知されてしまうという問題点もあった。
【0005】
本発明の課題は、バッテリアラームの検出精度を向上させることである。他の課題は、一時的に大電流が流れたときに、バッテリアラームが報知されないようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電池電圧検出回路は、電池の温度を検出する温度検出手段と、電池電圧を検出する電圧検出手段と、電池の出力電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される電流が所定値以上のとき有効に設定され、所定値未満のとき無効に設定される電流ステータス情報を記憶する電流ステータス情報記憶手段と、前記電流ステータス情報が有効か否かを判定し、前記電流ステータス情報が有効のときには、前記電圧検出手段で前回測定された電池電圧を測定値として採用し、前記電流ステータス情報が無効のときには、前記電圧検出手段で今回測定された電池電圧を採用し、電池電圧を判定する電圧判定手段と、前記温度と測定電圧と電池電圧の補正値とを対応付けたデータを記憶する補正テーブルを参照して、前記温度検出手段により検出された温度と前回又は今回測定された電池電圧に対応する電池電圧の補正値を取得する電圧補正手段と、前記電圧補正手段により取得された電池電圧の前記補正値がアラーム電圧以上か否かを判定し、アラーム電圧以下のときにはアラームを報知する報知手段とを備える。
【0007】
この発明によれば、負荷に供給される電流が一時的に増加した場合に、電池電圧の低下が検出されてもバッテリアラーム等を報知しないようにできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態の携帯型コンピュータ(例えば、ハンディターミナル)の回路ブロック図である。
【0013】
電池パック11は充電可能な電池12とサーミスタ13とからなる。サーミスタ13は電池12の電極の近傍に設けられている。電池パック11は携帯型コンピュータ14に着脱可能に取り付けられる。
【0014】
アナログ/デジタルコンバータ16は、電池12の出力電圧を高精度の抵抗15で分圧して得られるアナログ電圧を読み取りデジタルデータに変換する。また、サーミスタ13の抵抗値の変化による電圧変化を読み取りデジタルデータに変換する。さらに、電流センサ17で検出される電池12の出力電流をデジタルデータに変換する。
【0015】
アナログ/デジタルコンバー16は変換したデジタルデータとクロック等のタイミング信号をLSI18に出力する。LSI18は、入出力回路の制御、割り込み制御等を行う回路であり、MPU19とバスを介して接続されている。MPU19は、携帯型コンピュータの全体の動作を制御するものであり、各種のアプリケーションプログラムを実行する。表示部20は、電池電圧、電池12の残容量、バッテリアラーム等を表示する。
【0016】
次に、以上のような構成の実施の形態の動作を図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。
最初に、MPU19の図示しないメモリに格納されているプログラム(システムソフト)がデバイスドライバに対して電圧の読み込みを指示する(図2,S11)。デバイスドライバは、電池12の出力電流が所定値(第1の所定値)以上で大電流ステータスがオンか否かを判別する(S12)。大電流ステータスとは、電流センサ17により検出される電流値が所定値以上のとき、MPU19によりオンに設定され、電流値が所定値未満のときオフに設定されるステータス情報である。
【0017】
大電流ステータスがオフのときには(S12,NO)、今回読み込んだ電池電圧を測定値として採用する(S13)。他方、大電流ステータスがオンのとき、つまり電池12の出力電流が所定値以上のときには(S12,YES)、今回読み込んだ電池電圧を測定値として採用せず、前回読み込んだ電池電圧を測定値として採用する。大電流ステータがオンのときに前回測定された電池電圧を、測定値(後述する疑似常温電圧を算出するための電圧)として採用しているのは以下の理由からである。
【0018】
図3に示すように、本実施の形態では、電池12の状態を判断する基準となる電圧として、電池12の電圧が低下したことを警告するバッテリアラーム電圧と、回路をサスペンデッド状態にするパワーアラーム電圧と、電池12を回路から切り離す”MBAT DEAD”電圧と、過放電状態を検出するための過放電検出電圧がそれぞれ設定されている。具体的な値としては、バッテリアラーム電圧として3.5V、パワーアラーム電圧として3.1V、”MBAT DEAD”電圧として2.6V、過放電検出電圧として2.3Vが設定されている。
【0019】
例えば、図3に示すように、常温(約20°C)で電池電圧が約3.7Vのときに、負荷が増大して大電流が流れると電池電圧は約3.2Vまで低下する。そのときの電圧3,2Vはバッテリアラーム電圧の3.5V以下であるので、従来の電池電圧の検出方法であれば、電池電圧が3.2V以下となった時点でバッテリアラームが報知されてしまう。
【0020】
同様に、常温で電池電圧が3.5Vのときに、大電流が流れ電池電圧が約3.0Vまで低下すると、そのときの電圧はパワーアラーム電圧の3.1V以下となるのでパワーアラームが報知されてしまう。
【0021】
それに対して、本実施の形態では、大電流が検出された場合には、そのときの電池電圧の測定値をマスクし、つまりそのとき測定された電池電圧ではなく、大電流が検出される前に測定された電池電圧を測定値として採用し、その電圧から常温時の電池電圧を算出するようにしている。従って、負荷電流が一時的に増大した場合でも、電池電圧が低下したものと判断されてアラームが報知されるのを防止できる。
【0022】
図2に戻り、サーミスタ13の両端の電圧を読み込み、サーミスタ13の抵抗値の変化から電池12の温度を算出する(S15)。そして、測定した電池電圧と電池12の温度から、そのときの温度における電池電圧を常温における電圧である疑似常温電圧に補正する(S16)。疑似常温電圧とは、電池12の放電特性が周囲温度により変化することから、それぞれの温度における電池電圧を常温時の電圧に補正した値を意味する。
【0023】
ここで、図2のステップS16の常温時の電圧に補正する処理について図4のフローチャート及び図5の補正テーブル21を参照して説明する。
大電流ステータスがオフのときには、図2のステップS13で取得した今回測定した電池電圧が、あるいは大電流ステータスがオンのときには、ステップS14で取得した前回測定した電池電圧が、図5の補正テーブル21のどの行の電圧範囲に入るかを決定する(図3.S31)。次に、図2のステップS15で読み込んだ温度が補正テーブル21のどの行の温度範囲に入るかを決定する(S32)。補正テーブル21の該当する行及び列が決定したなら、その行及び列に対応する補正値を取得する(S33)。さらに、その補正値から疑似常温電圧を求める(S34)。
【0024】
図5は、電池12の温度範囲を横の列に、電池電圧の範囲を縦の行に設定し、行と列に対応させて常温時の電池電圧に補正するための補正値(16進数:HEX)を対応づけた補正テーブル21を示している。
【0025】
電池電圧と、サーミスタ13で測定した電池12の電極近傍の温度が得られたなら、それらの電圧及び温度が、図5の補正テーブル21のどの行及び列に該当するかを判断し、該当する行及び列の補正値を取得する。そして、その補正値から疑似常温電圧を求める。例えば、補正テーブル21から得られる補正値を最大値のFFF(HEX)で割った値に6.6Vを乗算して疑似常温電圧を求める。
従って、電池電圧とそのときの電池の近傍の温度が分かれば、図5の補正テーブル21から、その温度における電池電圧を疑似常温電圧に補正することができる。
【0026】
なお、図5は補正テーブル21の一部の値を示したものであり、使用可能な電圧範囲である、約3.1V〜4.15Vの範囲の補正値が補正テーブル21に設定されている。
【0027】
図6は、周囲温度を変化させたときの電池12の放電特性を示す図である。図6に示すように、周囲温度20°Cにおける電池12の放電特性から、一定の負荷条件で放電させたときに電池電圧が急激に低下し始める変化点の電圧をバッテリアラーム電圧として設定した場合、バッテリアラーム電圧は約3.6Vとなる。従って、電池電圧が4.2V弱の状態からバッテリアラームの警告が行われる約3.6Vに低下するまでの運用可能時間は約8時間となる。
【0028】
従来のバッテリアラームの検出方法では、常温時の変化点の電圧である3.6V、あるいはその近傍の値をバッテリアラーム電圧として設定しているので、低温時には、電池12の残容量があってもバッテリアラームの警告が行われてします。
【0029】
図6の白丸印は、従来のバッテリアラームの検出方法における各温度でバッテリアラームが報知される電圧を示し、黒丸印は実施の形態のバッテリアラームの検出方法において、各温度でバッテリアラームが報知される電圧を示している。
【0030】
従来のバッテリアラームの検出方法と本実施の形態のバッテリアラームの検出方法とを、図6を参照して比較すると、従来の検出方法では常温時のバッテリアラーム電圧を基準にしてバッテリアラームを報知しているので電池電圧が低下してバッテリアラームが報知されるまでの時間、つまり電池12の運用可能時間が周囲温度により変化してしまう。従来の検出方法では、例えば、−5°Cのときは運用可能時間が約3時間、−10°Cのときには約2時間、−20°Cのときには約1時間となる。
【0031】
これに対して、本実施の形態の検出方法では、例えば、−5°Cにおける電池電圧を20°Cの電圧(疑似常温電圧)に補正するので、バッテリアラームが報知される電圧を、20°Cにおけるバッテリアラーム電圧である3.6Vに設定したのと同じ条件となる。これは、バッテリアラームが報知される電圧を、図6の−5°Cの放電カーブ上の黒丸印a1の電圧に設定したことを意味している。
【0032】
すなわち、−5°Cにおける電池電圧を常温時の電池電圧に補正することにより、−5°Cにおける電池12の正確な残容量を求めることができる。これにより、−5°Cにおけるバッテリアラーム電圧(図5の黒丸印a1に示す電圧)まで電池電圧が低下したとき、つまり−5°Cにおいて電池12の残容量が殆どなくなったときにバッテリアラームを報知することができる。また、この場合の電池12の運用時間は電池電圧が図6の黒丸印a1に低下するまでの約7時間となるので、従来の方法に比べて運用時間を大幅に延ばすことができる。
【0033】
同様に、−10°Cにおける電池電圧及びバッテリアラームが報知される電圧を20°Cの電圧に補正することにより、−10°Cにおける電池電圧が、図5の黒丸印a2で示す電圧に低下したときにバッテリアラームが報知されることになる。従って、電池電圧が図5の黒丸印a2で示す電圧に低下するまでの約6時電池12を使用することができる。
【0034】
−20°Cについても同様であり、図5に黒丸印a3で示す電圧に低下するまでの約5時間電池12を使用することができる。
なお、電池12の放電特性は、負荷によって変化するので、予め機器の負荷量が分かっている場合には、それぞれの負荷条件における各温度の放電特性を測定しておいて、それぞれの放電特性から補正テーブル21を作成しても良い。
【0035】
ここで、図5の補正テーブル21の補正値の算出方法について図7及び図8を参照して説明する。
本実施の形態では、電池12の残容量により複数のステージに分類し、各ステージ毎に放電特性カーブの近似式を求め、その近似式から各温度の電池電圧を20°Cにおける電池電圧に補正するための補正値を算出している。
【0036】
図8は、電池12の残容量を8つのステージに分類した場合の残容量とステージとの関係を示す残容量テーブル31を示す図である。
図8に示すように残容量0%以上、12.5%未満をステージ1、残容量12.5%以上、25.0%未満をステージ2、残容量25.0%以上、27.0%未満をステージ3、残容量27.5%以上、50.0%未満をステージ4,残容量50.0%以上、62.5%未満をステージ5,残容量62.5%以上、75.0%未満をステージ6,残容量75.0%以上、87.5%未満をステージ7,残容量が87.5%以上、100%をステージ8と定義している。
【0037】
次に、それぞれのステージの境界の電圧と時間を求める。そして、各ステージ毎に同一の負荷条件の元での運用時間Xと電池電圧Yの実測値から、電池電圧Yを時間Xの関数で表したときの近似式を求める。例えば、電池電圧Yを、Y=aX2+bX+cで表したときの電池電圧Yと時間Xの実測値から二次関数の係数a、b、cを求める。
【0038】
上記の演算を各温度範囲、つまり1°C以上、0〜5°C、−6°C〜−15°C、−16°Cの各温度範囲で行い、それぞれの温度における係数a、b、cを求める。さらに、各ステージの同一負荷条件での電池電圧Yの実測値と放電時間Xとからa、b、cの値を求める。
【0039】
なお、上記の方法でa、b、cの値を求めたとき、最小残容量のステージ1と、最大残容量のステージ8における上記の二次関数で求めた電池電圧の誤差が大きい場合には、1つのステージを細分化し、係数の異なる複数の近似式を用いるようにしても良い。
【0040】
図8は、各ステージ、各温度範囲における放電特性を示す近似式の係数テーブル31を示す図である。上記のようにして、それぞれのステージ、それぞれの温度範囲での近似式の係数a、b、cを求めたなら係数テーブル31にそれらの値を設定する。
【0041】
補正テーブル21を作成するときには、上記の係数テーブル31を参照して各温度、各ステージの近似式からそれぞれの温度における電池電圧Ytを求める。
さらに、それぞれの温度における電池電圧Ytと基準温度におけるおける電池電圧との比を補正値αとして求める。この補正値αに基づいて前述した補正テーブル21を作成する。
【0042】
以上の処理により、図5に示す補正テーブル21が作成される。この補正テーブル21は予めROM等に格納されている。
電池12の放電特性は負荷条件により異なるので、この実施の形態では、図9に示すような高負荷時と低負荷時の2つの放電カーブから補正テーブル21を作成している。
【0043】
図9に示すように、高負荷時と低負荷時とでは放電カーブが異なる。低負荷時には、放電を開始してから30分後でも電池電圧がほとんど変化しないのに対して、高負荷時は3.7Vから3.6Vに約1V低下している。
【0044】
従って、異なる負荷条件で測定した放電特性に基づいて複数の補正テーブル21を作成しておいて、実際に測定した電池電圧から放電カーブを求め、類似する放電カーブから作成された補正テーブル21を選択し、あるいは複数の補正テーブル21の補正値を補間して得られる値から常温時の電池電圧に補正することで、電池12の残容量を正確に把握し、残容量が殆ど無くなったときにバッテリアラームを報知するようにできる。
【0045】
なお、図9の例では、30分間の電池電圧の変化から放電カーブの傾きの類似性を判断しているが、電圧の測定間隔を短くしてより短い時間で傾きを判断できるようにしても良い。
【0046】
図2に戻り、ステップS16で疑似常温電圧を算出したなら、ステップS17に進み算出した疑似常温電圧が予め設定されているバッテリアラーム電圧以下か否かを判別する。
【0047】
常温時の電圧に補正した電池電圧がバッテリアラーム電圧以下の場合には(S17,YES)、ステップS18に進みX回連続してバッテリアラーム電圧以下の電圧が検出されたか否かを判別する。
【0048】
バッテリアラーム電圧以下の電圧が連続してX回検出された場合には(S18,YES)、ステップS19に進みバッテリアラーム電圧以下となった電池電圧の検出回数をカウントする連続カウンタをリセットし、算出した疑似常温電圧を保持する。
【0049】
他方、連続カウンタでカウントされた回数がX回未満の場合には(S18,NO)、ステップS20に進み算出した疑似常温電圧を保持する。
ステップS17において、算出した疑似常温電圧がバッテリアラーム電圧より高い場合には(S17,NO)、ステップS21に進み連続カウンタをリセットする。そして、温度補正した電池電圧をシステムソフトに通知する(S22)。システムソフトは温度補正された電池電圧及び電池12の残容量を表示部に表示する。
【0050】
上述した実施の形態によれば、任意の温度における電池電圧を基準温度における電池電圧に補正し、さらに温度補正した電池電圧から電池の残容量を求めることにより、温度の影響を除去した正確な電池電圧、あるいは電池12の残容量を知ることができる。また、温度補正した電圧、あるいは電池12の残容量に基づいて電池12の充電を促すバッテリアラームを報知することで、バッテリアラームの検出精度を向上させ、それぞれの温度における適正な電池12の充電時期、あるいは非充電型の電池であれればその交換時期を報知することができる。これにより、電池電圧が実際に充電、あるいは交換が必要な電圧に低下するまで電池12を使用することができるので、電池パック11の運用時間を大幅に延ばすことができる。
【0051】
さらに、上述した実施の形態では、各温度で測定した電池電圧を基準温度(実施の形態では20°C)の電圧に補正しているので、MPU19が実行するアプリケーションプログラムは、電池電圧の測定値を温度に依存しないデータとして処理でき、アプリケーションプログラム側の処理を簡単にできるという効果も得られる。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、測定した電池電圧を基準温度における電池電圧に補正するための補正テーブル21を予め記憶しておくようにしたが、各温度の電池の放電特性を記憶しておいて、該当する温度の放電特性カーブから補正値をその都度算出するようにしても良い。
【0053】
上述した実施の形態では、各温度で測定した電池電圧を20°Cの疑似常温電圧に補正しているが、基準となる温度は20°Cに限らず任意の温度で良い。
また、電池12の電極の温度、あるいは電池12の近傍の温度を検出するためにサーミスタを電池パック11の内部に設けているが、電池パック11とは別に機器側に温度センサを設けても良い。また、温度センサは、サーミスタに限らず、熱電対型センサ、抵抗式センサ、放射型センサ等の非接触型の温度センサなどでも良い。
【0054】
さらに、上述した実施の形態では、常温時以外の電池電圧を常温時の電圧に補正しているが、予め各温度における放電特性を測定し、電池電圧が急激に低下する点の電圧をそれぞれの温度におけるバッテリアラーム電圧として設定しておいて、それぞれの温度で測定した電池電圧と該当する温度のバッテリアラーム電圧とを比較して電池の充電時期または交換時期を報知するようにしても良い。この場合も、上述した実施の形態と同様に電池12の残容量を正確に求めることができるので、電池パック11の運用時間を大幅に延ばすことができる。
【0055】
また、電池電圧を検出する回路、電池の温度検出回路を電池パック11内に設け、検出した電圧を外部に出力するようにしても良い。
なお、上述した実施の形態は、本発明をハンディターミナル等の携帯型のコンピュータに適用した場合であるが、携帯型に限らず、充電式、あるいは非充電式の電源で駆動される機器であればどのようなものでも良い。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、任意の温度における電池の残容量を正確に把握できるので、電池の残容量があるのに電池の充電、あるいは交換の必要があると誤って報知されることを防止できる。また、それぞれの温度において、適正な電池の充電、あるいは交換時期が報知されるので、電池の運用時間を延ばすことができる。また、一時的に大電流が流れたときに、電池電圧が低下したものとして誤って報知されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の携帯型コンピュータの回路ブロック図である。
【図2】バッテリアラーム報知処理のフローチャートである。
【図3】大電流が流れたときの電池電圧の変化を示す図である。
【図4】疑似常温電圧への補正処理のフローチャートである。
【図5】補正テーブルを示す図である。
【図6】疑似常温電圧と温度を変化さたときの放電特性を示す図である。
【図7】残容量テーブルを示す図である。
【図8】各温度範囲及びステージの係数テーブルを示す図である。
【図9】高負荷及び低負荷時の放電特性を示す図である。
【符号の説明】
11 電池パック
12 電池
13 サーミスタ
17 電流センサ
19 MPU
20 表示部
Claims (3)
- 電池の温度を検出する温度検出手段と、
電池電圧を検出する電圧検出手段と、
電池の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出される電流が所定値以上のとき有効に設定され、所定値未満のとき無効に設定される電流ステータス情報を記憶する電流ステータス情報記憶手段と、
前記電流ステータス情報が有効か否かを判定し、前記電流ステータス情報が有効のときには、前記電圧検出手段で前回測定された電池電圧を測定値として採用し、前記電流ステータス情報が無効のときには、前記電圧検出手段で今回測定された電池電圧を採用し、電池電圧を判定する電圧判定手段と、
前記温度と測定電圧と電池電圧の補正値とを対応付けたデータを記憶する補正テーブルを参照して、前記温度検出手段により検出された温度と前回又は今回測定された電池電圧に対応する電池電圧の補正値を取得する電圧補正手段と、
前記電圧補正手段により取得された電池電圧の前記補正値がアラーム電圧以上か否かを判定し、アラーム電圧以下のときにはアラームを報知する報知手段とを備える電池電圧検出回路。 - 複数の電池電圧の範囲に対してそれぞれ複数の温度範囲と各温度範囲の電池電圧の補正値を対応付けたデータを有する前記補正テーブルを格納した補正テーブル記憶手段を有し、
前記電圧補正手段は、前記電圧判定手段により採用された前回又は今回測定された電池電圧の該当する電池電圧の前記範囲と、前記温度検出手段により検出された温度の属する前記温度範囲とに対応する電池電圧の補正値を前記補正テーブルから取得する請求項1記載の電池電圧検出回路。 - 電池の温度を検出し、
電池電圧を検出し、
電池の出力電流を検出し、
検出される電流が所定値以上のとき有効に設定され、所定値未満のとき無効に設定される電流ステータス情報を記憶し、
前記電流ステータス情報が有効か否かを判定し、前記電流ステータス情報が有効のときには、前回測定された電池電圧を測定値として採用し、前記電流ステータス情報が無効のときには、今回測定された電池電圧を採用し、電池電圧を判定し、
前記温度と測定電圧と電池電圧の補正値とを対応付けたデータを記憶する補正テーブルを参照して、検出された温度と前回又は今回測定された電池電圧に対応する電池電圧の補正値を取得し、
取得した電池電圧の前記補正値がアラーム電圧以上か否かを判定し、アラーム電圧以下のときにはアラームを報知する電池電圧検出方法。
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